20120414 第2回マンキュー経済学勉強会essentinal

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1 第2回マンキュー経済学勉強会 Essential

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第2回マンキュー経済学勉強会Essential

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マンキュー経済学勉強会 Essential

•  第1回3月10日(土)  – 第1章 経済学の十大原理

•  第2回4月14日    – 第2章 経済学者らしく考える

•  第3回5月上旬     – 第3章 相互依存と交易(貿易)からの利益

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自己紹介(1人2分以内)

•  お名前 ご所属

•  本勉強会に参加したきっかけ

•  経済学に期待していること、していないこと。

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前回学んだこと

•  経済学とは何か

•  経済学を学ぶ理由

•  マンキュー経済学十大原理

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経済とは?経済学とは?

•  経済とは、生活において相互に関わりあっている人々の集団である。

•  経済学とは、社会がその希少な資源をいかに管理するかを研究する学問である。

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経済学を学ぶ理由

•  自分が暮らしている世界を理解するのに役立つ

•  経済へのより機敏な参加者になるため

•  経済政策の可能性と限界とをよりよく理解出来るようになるため

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マンキュー経済学十大原理

•  人々はどのように意思決定するか

–  1.人々はトレードオフに直面している

–  2.あるものの費用はそれを得るために放棄したものの価値である

–  3.合理的な人々は限界原理に基づいて考える

–  4.人々はさまざまなインセンティブに反応する

•  人々はどのように影響しあうのか

–  5.交易はすべての人々をより豊かにできる

–  6.通常、市場は経済活動を組織する良策である

–  7.政府は市場のもたらす成果を改善できることもある

•  経済は全体としてどのように動いているか –  8.一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している

–  9.政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する

–  10.社会は、インフレと失業率の短期的なトレードオフに直面している

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今回のテーマ

経済学者らしく考える

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Question1

経済学者って何者だろう? 経済学者の役割は?

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経済学者とは

•  昨日予測したことが今日起こらなかったことを、明日になって悟る人々。

•  現実に日常的に生じている現象を丹念に観察し、「いったいこれは原理的に可能なことか?」と分析する人々。

•  電話番号を聞かれたときに、「推定値」を答える人々。

•  自分で何をいっているのかわからずにしゃべりまくる人種である。それを理解できないのは聞き手のせいだと思わせつつ。

•  道を歩いていて金貨が落ちているのを見つけても、「もし本物の金貨であればだれかがとっくに拾ってしまったに違いない。だから落ちているのは偽者だ」と考える人。

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経済学者の二つの顔

•  科学者としての経済学者

•  政策担当者としての経済学者

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Question2

経済学が科学たる理由は なんだろう?

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科学的方法

•  世の中の仕組みに関する理論を構築し、検証するプロセス。

–  人々の給料はどのようにして決まっているのか? –  今年経済全体では、どれぐらいの人が雇用されているの

か? –  労働者に支払われる一国全体の給与水準はどのようにし

て決まるのか? –  経済全体の物価水準はどのようにして決まるのか? –  経済全体の雇用や成長を促進させるために、政府はどん

な政策を適用すべきか?

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経済学の基本3分野

•  ミクロ経済学(理論) – 家計の消費行動、企業の生産行動等

•  マクロ経済学(理論) – インフレーション、失業、投資、金融・財政政策等

•  計量経済学(実証) – 消費行動の実証分析、企業の投資行動の実証

分析、財政政策の実証分析、金融政策の実証分析

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Question3

 経済学のモデルには

どのようなものがあるだろう?

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マンキュー経済学で扱うモデル

ミクロ経済学 マクロ経済学3章 比較優位 23章 GDPの測定4章 供給曲線、需要曲線 24章 インフレーション5章 弾力性 25章 経済成長6章 税金の仕組み 26章 金融システム7章 消費者余剰、生産者余剰 27章 ファイナンス理論8章 死加重 28章 失業理論9章 関税、輸入割当 29章 貨幣システム10章 外部性、ピグー税 30章 インフレーション11章 公共財 31章 開放マクロ経済学12章 税の効率性と公平性 32章 貸付資本市場、外国為替市場13章 生産関数、費用関数 33章 総需要と総供給14章 利潤 大化 34章 金融政策・財政政策15章 独占モデル 35章 フィリップス曲線16章 寡占モデル、ゲーム理論 36章 マクロ経済学5大論争17章 独占的競争18章 生産要素市場、労働市場19章 勤労所得20章 不平等と貧困21章 消費者選択22章 情報の非対称性、行動経済学

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モデル1:フロー循環図

財・サービス市場 ・企業は売り手 ・家計は買い手

生産要素市場 ・家計は売り手 ・企業は買い手

企業 ・財サービスを

生産し販売する。 ・生産要素を

雇用し使用する。

家計 ・財・サービスを

購入し消費する。 ・生産要素を

所有し、販売する。

収入

支出

購入された 財・サービス

販売された 財・サービス

生産要素 労働・土地 資本

所得 賃金・ 地代・利潤

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Question4

  フロー循環図に加える要素があれば、どんなものがあるだろう?

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マクロ経済循環と3面等価

政府 企業 家計

生産要素市場

金融市場

財・サービス市場

海外部門

貯蓄=25

生産要素用役提供の 見返り=95

国債購入=5

法人税=5 所得税=10

消費=60

政府支出=20

貿易・サービス収支黒字=3 資本の輸出=3

投資=17

生産要素用役提供 への支払い=95

総需要=100

融資等=17

分配面の流れ

支出面の流れ

融資等資金の流れ

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Question5

  この10年で日本の産業はどのように変化したのであろうか?

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2002年と2012年時価総額比較

2002年時価総額 単位(10億円) 2012年時価総額 単位(10億円)

1 NTTドコモ 17,663 1 トヨタ 17,663 2 トヨタ 12,979 2 NTTドコモ 12,979 3 NTT 8,132 3 三菱UFJFG 8,132 4 SONY 6,154 4 ホンダ 6,154 5 ホンダ 5,242 5 CANON 5,242 6 武田薬品 4,606 6 NTT 4,606 7 三菱UFJFG 4,414 7 JT 4,414 8 日産 4,237 8 日産 4,237 9 CANON 392 9 三井住友FG 392 10 東京電力 3,355 10 ファナック 3,355 11 野村ホールディングス 3,342 11 みずほFG 3,342 12 松下電器産業 3,282 12 三菱商事 3,282 13 日立製作所 3,098 13 武田薬品 3,098 14 任天堂 2,785 14 ソフトバンク 2,785 15 ローム 2,322 15 三井物産 2,322 16 信越化学工業 2,284 16 日立製作所 2,284 17 JR 東日本 2,196 17 KDDI 2,196 18 富士フィルムホールディングス 2,145 18 DENSO 2,145 19 村田製作所 2,079 19 コマツ 2,079 20 シャープ 2,012 20 セブン&アイホールディングス 2,012

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モデル2:生産可能性フロンティア

自動車の生産台数

コンピューター の生産台数

生産可能性 フロンティア

1,000

3,000

300 600 700

2,200

2,000

1,000

A

D

C

B

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Question6

 生産可能性フロンティアにはマンキュー経済学十大原理のエッセンスのいくつかが含まれています。どのようなものがあるのでしょうか?

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マンキュー経済学十大原理

•  人々はどのように意思決定するか

–  1.人々はトレードオフに直面している

–  2.あるものの費用はそれを得るために放棄したものの価値である

–  3.合理的な人々は限界原理に基づいて考える

–  4.人々はさまざまなインセンティブに反応する

•  人々はどのように影響しあうのか

–  5.交易はすべての人々をより豊かにできる

–  6.通常、市場は経済活動を組織する良策である

–  7.政府は市場のもたらす成果を改善できることもある

•  経済は全体としてどのように動いているか –  8.一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している

–  9.政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する

–  10.社会は、インフレと失業率の短期的なトレードオフに直面している

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生産可能性フロンティアのシフト

自動車の生産台数

コンピューター の生産台数

生産可能性 フロンティア

1,000

3,000

300 600 700

2,200

2,000

1,000

A D

C

B

シフト

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貿易による生産可能性フロンティアの拡大

自動車の生産台数

コンピューター の生産台数

α国

β国

α国とβ国が貿易すること によって得られる新たな 生産可能性フロンティア

γ

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生産可能性フロンティアのエッセンス

•  希少性

•  効率性

•  トレードオフ

•  機会費用

•  経済成長

•  貿易の利益

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ミクロ経済学とマクロ経済学

•  ミクロ経済学

– 家計や企業がどのように意思決定を行い、それらが相互にどのように関わりあうかを研究する学問。

•  マクロ経済学

– インフレーション、失業、経済成長など、経済全体に関わる現象を研究する学問。

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マクロ経済学者とミクロ経済学者

■ミクロ経済学者

■マクロ経済学者 Paul Krugman

Ben Bernanke

John Forbes Nash Amartya Sen

John Maynard Keynes Milton Friedman

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Question7

 

 ミクロ経済学とマクロ経済学はどういった点でつながるのであろうか。それとも、別々の学問なのであろうか

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ミクロ経済、マクロ経済、そして政策立案

家計や企業の 意思決定・行動が変化

経済成長、 失業率、インフレーション

等マクロ変数が変化

結果として

政府・中央銀行

ミクロ経済学 マクロ経済学

政策立案 観察

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政策アドバイザーとしての経済学者

•  実証的な主張

– 社会がどのようになっているのか。

(例: 低賃金法は失業が増える原因になる)

•  規範的な主張

– 社会がどうあるべきか。

(例:政府は 低賃金法を引き上げるべき)

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Question8

なぜ経済学者は意見が分かれるの?

第33代 アメリカ合衆国大統

ハリー・S・トルーマン

「一方では(on the one hand)・・・ですが、 他方では(on the other hand)・・・となります。」

といつも経済学者はいっている。

隻腕の(one-armed)経済学者を見つけたい。

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なぜ経済学者の意見は一致しないのか?

•  科学的判断における相違 –  対立する理論の有効性や重要なパラメーターの大きさに

関して異なる推測をしている。

(例:金融政策はデフレに有効か否か)

•  価値観の相違

– 公平性の問題、世代間の価値観の相違等

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どのような知的影響からも無縁であ ると自ら信じている実務家達も、過去 の経済学者の奴隷であるのが普通で ある。

実務家という名の奴隷を従える 「偉大」な経済学者といえば、

スミス、ケインズ、マルクス、フリードマン、 ガルブレイスぐらいのものだろう。

ジョンメイナードケインズ

元京都大学教授 現滋賀大学学長 佐和隆光

佐和隆光(1999)「経済学の名言100」ダイヤモンド社

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政策提言と経済学者の賛同率

1.  家賃の上限規制は住宅供給の量・質ともに低下させる。93% 2.  関税と輸入割り当ては一般的な経済厚生を低下させる。93% 3.  変動為替相場制度は有効な国際通貨制度である。  90% 4.  不完全雇用状態の経済では、財政政策(減税や財政支出拡大)には顕著な景

気刺激効果がある。90% 5.  連邦予算を均衡させるためには、毎年の値ではなく景気循環を通じての値を

均衡させるべきである。85% 6.  生活扶助受給者への現金給付は、同額の現物給付よりも受給者の厚生を高

める。84% 7.  巨額の財政赤字は経済に悪影響をもたらす。83% 8.  低賃金の引き上げは、若年労働者と未熟練労働者の失業率を引き上げる。

79% 9.  政府は社会福祉制度を「負の所得税」形式に変革すべきである。79% 10. 環境汚染規制のアプローチとしては、排出税や売買可能な排出権のほうが、

総量規制の導入よりもすぐれている。78%

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マクロ経済政策に関する5つの論争(マンキューマクロ経済学第36章)

1. 金融・財政政策の立案者は経済の安定化を図るべきか

2. 金融政策は裁量よりもルールに従って実施されるべきか

3. 中央銀行はゼロ・インフレを目標とすべきか

4. 政府は財政を均衡させるべきか

5. 貯蓄を促進するために税法を改正すべきか

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マクロエコノミックコンセンサス新しいケインジアンと新しい古典派の 大公約数

•  何らかの市場メカニズムの限界で、実際のGDPが潜在GDPを一時的に下回る不況に陥ることがある。その場合、財政政策や金融政策などのマクロ経済政策によって総需要を刺激し、実施のGDPを潜在GDPにまで引き上げることは、理論的にも、実際的にも十分正当化できる。

•  しかし、マクロ経済政策には、潜在GDP自体を増大させる効果がまったくない。それにも関わらず、過度なマクロ経済政策によって、潜在GDPを上回る水準で実際のGDPを維持しようとすると、マクロ経済は激しいインフレーションに見舞われる。その意味で財政政策や金融政策の節度を保つことが重要である。

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Question9

 経済学者アンケートには、 「巨額の財政赤字は経済に悪影響をもたらす。83%」とあります。

 それでは、消費税増税については、

 賛成?反対?

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増税に関係する経済学のモデル

•  リカード=バローの等価定理(中立命題) –  政府支出増加の効果は、公債発行で調達した場合と増

税で調達した場合とで同じ。(調達方法は関係なし)

•  非ケインズ効果

–  財政の引き締めが人々の将来への不安(時間がたつほど負担は増えるという不安など)を打ち消すことになり、それに関連した効果で現在の消費などが刺激される。

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Question10

 経済学を学ぶにあたっては、どのような能力が必要になってくるのであろうか?

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ケインズからの助言

 「経済学の研究のためには、非常に高度な天賦の才といったものは必要ない。経済学は哲学や自然科学に比べればはるかに易しい学問といえるだろう。にもかかわらず優れた経済学者は非常に稀にしか生まれない。このパラドックスを解く鍵は、経済学者がいくつかの全く異なる才能を合わせ持たなければならない、という所にある。彼は一人にして数学者であり、歴史家であり、政治家であり、哲学者でもなければならない。個々の問題を一般的な観点から考えなければならないし、また抽象と具体を同時に兼ね備えた考察を行わなければならない。未来のために、過去に照らし、現在を研究しなければならない。」