ジェトロのカンボジア事業と進出日系企業について

2010年5月24日 大阪2010年5月26日 東京

日本貿易振興機構（ジェトロ）プノンペン事務所 道法清隆

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カンボジア投資セミナー資料

カンボジア経済概況

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○93年から03年のGDP成長率は平均で6.3%、実質GDPは1.9倍、1人当たり1.3倍。←多額の援助、外資法の施行、米国による最恵国待遇付与による縫製業への外資産業別付加価値構成：農業46.8%→38.8%（▲8%）、製造業（≒縫製業）8.2%→22.3%輸出額7.2倍（対名目GDP11.4%→49.0%）輸入額5.4倍（同19.0%→61.8%）

○04年から07年の平均成長率11.1%←①縫製業の輸出増、②堅調な観光業、③良好な農業生産、④建設業の活況、⑤外国投資、⑥銀行貸出の伸び

○リーマンショックで急減速：08年6.5%、09年▲2.7%（IMF）←①貿易相手国の不況、②インフレの高進、③通貨高による縫製業の輸出減少、観光収入減少、④金融収縮

○今年2010年、IMF、ADB等は4％以上の成長予測（輸出先先進国の回復、観光収入増等）メコン広域経済圏 （メコン5ヵ国及び中国１省・１自治区） の基礎経済指標（2008年）

国・地域名面積

（平方キロ） （人口万人）

名(

目GDP 億ドル）

名目一人当たり

GDP(ドル)

輸出（億ドル） （

輸入億ドル）

カンボジア 181,035 1,465.6 110.8 756.1 43.6 44.2

タイ 513,120 6,648.2 2,737.3 4,117.3 1,749.7 1,775.7

ベトナム 331,212 8,616.0 907.0 1,052.7 617.8 795.8

ラオス 236,800 576.3 52.9 917.8 8.3 18.0

ミャンマー 676,577 5,851.0 271.8 464.6 66.2 37.9

雲南省 394,000 4,543.0 820.7 1,812.4 49.8 46.1

広西チワン族自治区 236,700 4,816.0 1,032.6 2,154.9 73.5 58.9

大メコン圏（ＧＭＳ） 2,569,444 32,516.1 5,933.1 1,824.7 2,608.8 2,776.6

メコン5ヵ国（除、中国） 1,938,744 23,157.1 4,079.8 1,761.8 2,485.5 2,671.6

【参考】ＡＳＥＡＮ10 4,435,827 58,365.1 15,042.4 2,577.3 8,792.5 8,311.7

(注）雲南省、広西チワン族自治区の名目GDP、一人当たりの名目GDPについては2008年期中平均レート(中国統計年鑑2009)にてドル換算。

(出所）アセアンセンター事務局ホームページ掲載"Selected basic ASEAN indicators"及び「中国統計年鑑2009」より作成。

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カンボジア

シンガポー

ル

タイ

マレーシア

インドネシア

フィリピン

ベトナム

実質ＧＤＰ成長率（ＡＤＢより）（％）

（年）

大メコン圏におけるカンボジアの重要性

（出所）ジェトロ作成

(1)ASEANの大国であるタイと越の中間に位置

、両国経済を結ぶパイプラインの役割。→南部経済回廊の完成により、物流の迅速化・コスト低減・大規模化に大きく貢献

(2)中国、タイ、越での賃金が上昇する中、賃

金の安い若年労働力を供給できことから労働集約産業の受け皿（移転先）

(3)アンコール遺跡群など優れた観光資源を

有し、交通など観光インフラが整備されれば、周辺国の観光資源と一体化した大メコン圏観光の価値・可能性アップ

(4)石油、天然ガス、ボーキサイト、農産物、水

産物など資源・エネルギーの開発が進めば、大メコン経済圏のさらなる発展に貢献

（５）カンボジアを含む大メコン経済圏の自由化が進めば、3億3千万人の巨大経済圏

が出現。生産基地として、また消費市場として世界の人、モノ、金を集めることができる。

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●ジェトロ・プノンペン事務所概要

場所：プノンペン市内（空港から3km）体制：駐在員1名、現地スタッフ2名※事務所改装中（6月末完成予定）現在、仮事務所にて業務

【ジェトロ・プノンペン事務所入居ビル外観】

ジェトロのカンボジアでの取り組み

2009年１１月に行われた日カンボジア首脳会談（於東京）での鳩山総理とフンセン首相の合意に基づき、ジェトロ・プノンペン事務所を開設。（10年3月10日開所式開催）

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【ジェトロ・プノンペン周辺地図】

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カンボジアでのジェトロ事業

三つの柱○日本企業（特に、中小企業）のカンボジア進出支援

・カンボジア日本人商工会（JBAC)の事務局機能・カンボジア投資ミッション派遣（09年12月、約50社参加。10年６月にも計画中）

○日本・カンボジア間の貿易促進・カンボジアにおける有望輸出産品発掘・日本製品のカンボジア市場への紹介

○カンボジアの輸出産業育成支援・一州一品展示会（例年12月開催）への専門家（商品デ

ザイン〔08年〕、食の安全性〔09年〕）派遣

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カンボジアでのサポート

○ブリーフィングサービスカンボジア現地事情に関して現地でブリーフィング参照HP：http://www.jetro.go.jp/services/briefing/

○ミニ調査（有料）カ企業照会、小売価格調査等を現地事務所において調査参照HP：http://www.jetro.go.jp/services/quick_info/

○税務・会計リテイン事業現地会計事務所をジェトロでリテイン。進出日系企業（中小企業対象）の税務、会計等の問題を現地会計事務所に相談可（時間制限あり）

○進出日系企業向けセミナー開催会計、税務、労務等を中心に進出日系企業向けのセミナーを今後開催予定

ジェトロサービス詳細：http://www.jetro.go.jp/support_services/

カンボジア日本人商工会概要(Japan Business Association in Cambodia:JBAC)

• 1992年に発足。以下目的のため運営（１）日本国及びカンボジア王国両国間の、商工業及び経済全般の発展に寄与すること。

（２）会員相互の交流、親睦等を促進すること。

（３）会員の商工業活動発展の為の情報交換の場を提供すること。

（４）本会は営利を目的としない。また、特定の個人またはその他の団体の利益を目的とした事業は

行わない。

• 合計60会員（正会員47社、準会員7社、特別会員6社）

• 会長：近藤守彦（三菱商事）、副会長：渡辺理久男（カンボジアスズキモーター）、他役員5名、事務局：ジェトロプノンペン事務所

• HP： http://jbac.floppy.jp/index.htm （リバイス予定）

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カンボジア日本人商工会会員企業＜正会員：47社＞ （アイウエオ順）

アジアマリン事業協同組合、アステム、イースタンスチール㈱、伊藤忠商事㈱ 、ＡＣＳ ＣＡＰＩＴＡＬ Ｃｏ Ｌｔｄ．、エイペックス カンボジア トラベルサービス㈱、㈱大林組、おかだ㈱、ＯＣＳ海外新聞普及㈱、カムカル㈱、海外貨物検査株式会社、カンボジア味の素㈱、カンボジアスズキモーター㈱、カンボジアプロジェクトプランニング アンド ディヴェロップメントマネージメント㈱、㈱クボタ工建、クメールアンコールフーズ㈱、クラタペッパー㈱、神戸物産カンボジア、㈱鴻池組、シージェーエス㈱、ＪＨＣアンコールツアー シェ

ムリアップ営業所、商船三井カンボジア㈱、スエヒロ㈱、住友商事㈱プノンペン事務所、㈱ゼファーカンボジア、タイガーウィング株式会社、大豊、東洋建設㈱プノンペン営業所、豊田通商㈱、㈱ニッセイ・カンボジア、日本印刷㈱、日本工営㈱、日本たばこシンガポール会社プノンペン事務所、㈱間組、冨士電気E＆C、プロマジュアン、前田建設工業㈱、マルハンジャパン銀行、丸紅㈱、三井物産㈱、三菱商事㈱、メコンリサーチ コンサルタント カンパニー㈱、㈱八雲F&B、ヤマハモーター・カンボジア、㈱ユニ・エレックス、ロコモ社、ワールド開発工業㈱プノンペン事務所

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日系企業含む外資の進出状況＜誘因＞

①多額の援助→社会資本の整備、②93年に自由経済体制を憲法原則、94年に投資法施行、③96年米国による最恵国待遇→縫製業への外資急増、④ASEAN加盟（99年）、WTO加盟（04年）→会社法に当たる「投資法」改正、⑤各国との投資協定→韓国（02年）越（03年）日本（07年）馬（05年EPA）、⑥経済特区設置政令→21箇所が認可

<日系企業＞

– 商社

– 製造業

– 食品・同加工

– 建設

– その他

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プノンペン経済特区

日系企業以外の外資

• 中国、韓国企業：低廉な人件費と特恵関税制度にメリットのある縫製業の工場進出を除くと、多くが不動産開発（韓国の42階建て高層ビル等）や資源関連、飲食業などサービス産業に偏っている。

• 台湾：縫製業、製靴業

• 米国、星、馬：縫製業

• 越：南部経済回廊構想の進展に伴い、銀行、航空サービス、肥料工場

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日系企業にとっての課題～進出した外資系企業が指摘する隘路事項～

• 割高な電力料金、不安定な電力供給：タイや越からの買電に依存。越やラオスの2倍、タイの1.5倍。

• 熟練労働力不足：内戦もあり教育水準の高い労働者が不足：識字率78.4%、小学校終了59%、高校就学率16%

• 行政の不透明：投資関連法制度は急ピッチで整備が進んだが、許認可基準が不透明で運用手続きも行政の末端まで浸透していない。

• インフラ：特に道路がまだ貧弱。主要幹線道路、地方道路整備もこれから。

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日系企業からみたビジネスチャンス

• 低廉な若年労働力、日本の特恵関税、経済特区の特典を活かした日本市場向けの軽工業品の製造・輸出（縫製、製靴、食品加工、家具など）

• アンコール遺跡群など活用した観光業（日本人向け）

• 成長する国内市場向けのビジネス（二輪車組立・販売、小売など）

• 資源・エネルギー開発（海底油田・天然ガス、ボーキサイト）

• 南部経済回廊を活用した物流業

• BOPビジネス（安価な食品・日用品、簡易な水浄化器、小型太陽光発電ランプ、マイクロファイナンスなど）

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ご清聴、ありがとうございました。現地でお待ちしております。

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ジェトロプノンペン事務所