第2回 mathcad のライセンスと基本的な使い方(1) · 第58巻 12号(2014年...

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67 58 12 号(2014 12 月号) 2 種類の Mathcad ライセンスと, 無償版のダウンロード 現在,Mathcad には,2 種類のシリーズのバー ジョンがある。その一つは,開発当初からバージ ョン番号を引き継いできたもので,最新版は ver.15。もう一つは,「Prime」というサブ名称が 付けられたもので,最新版は「3.0」である。無 償版を除く正規ライセンスユーザーは,この 2 種 類の Mathcad を使用することができる。2 種類の シリーズが存在する理由は,もともと Mathcad は, Mathsoft 社が開発・販売していたものだが, 2006 年,米 PTC 社が同社を買収したことから, それ以降に開発したものを Prime という新しいシ リーズとして販売しているためである。PTC の他の製品である CAD PLM などとユーザーイ ンターフェイス(UI)の共通化を図り,かつデー タの有機的な連携を図ることが狙いである。ただ し,PTC 社によれば,旧シリーズは,現在の ver.15 で終了し,今後は Prime シリーズに統一し て,バージョンアップを進めていくとしている。 なお,ver.15 に組み込まれている機能のうち,す でに多くの機能が Prime 3.0 に移植されているが, まだ未搭載の機能もあり今後のバージョンアップ で順次組み込んでいくとしている。 こうした理由から本連載では Mathcad Prime リーズの最新版「3.0」を元に解説していく。筆 者がこれを選択するもう一つの理由は,ユーザー インターフェイスすなわち操作方法が,Prime リーズの方が優れていると思っているからである。 なお,無償の体験版が以下に示すサイトからダウ ンロードできる。 http://ja.ptc.com/product/mathcad この無償版は,インストール後 1 カ月間は,正 規版の製品と同じ機能を使用でき,それ以降は, 機能限定になるが無期限で使用できる。この機能 限定版は,Express と呼び,参考までに有償版の Prime 3.0 との機能の違いを表1 に示す。ライセ ンスを持っていない読者は,まず無償版を試され ると良いだろう。 Mathcad のメイン画面とワークシート Mathcad Prime 3.0 を立ち上げると,図1 に示 す画面が表示される。これが,メイン画面である。 まず,このメイン画面の構成を紹介しよう。画 面最上部で左から,「マス」「入力/出力」「関 数」…と並ぶタブメニューがある。また,このタ ブメニューをクリックすると,各タブメニューに 対応したサブメニューがリボン形式で表示される。 これらのメニューの下には,現在開いているワー クシート名がワークシートタブに表示される。な おデフォルトでは,タブには“無題”と表示され ている。そして,タブの下にはワークシートが表 示されている。 ワークシートは,各種の数式,テキスト,画像 などを挿入したり,グラフをプロットさせたりす る領域であり,ユーザーはこのスペースにドキュ メントを作成していく。ワークシートの背景は, 方眼紙のイメージになっているので,数式,テキ スト,画像などを挿入する際の位置決めが容易に なっている。なお,ワークシートのサイズは,デ フォルトでは A4 縦になっている。縦横の方向や サイズ,さらには方眼のグリッドサイズなどを変 Mathcad のライセンスと基本的な使い方(1) 第2回 テクファ・ジャパン 香取 英男 *かとり ひでお:代表取締役 URL: http://www.tecpha.com/

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Page 1: 第2回 Mathcad のライセンスと基本的な使い方(1) · 第58巻 12号(2014年 月号) 67 2種類のMathcadライセンスと, 無償版のダウンロード 現在,Mathcad

67第 58 巻 第 12 号(2014 年 12 月号)

2種類のMathcadライセンスと,無償版のダウンロード

 現在,Mathcad には,2 種類のシリーズのバージョンがある。その一つは,開発当初からバージョン番号を引き継いできたもので,最新版はver.15。もう一つは,「Prime」というサブ名称が付けられたもので,最新版は「3.0」である。無償版を除く正規ライセンスユーザーは,この 2種類の Mathcadを使用することができる。2 種類のシリーズが存在する理由は,もともとMathcadは,米 Mathsoft 社が開発・販売していたものだが,2006 年,米 PTC 社が同社を買収したことから,それ以降に開発したものを Primeという新しいシリーズとして販売しているためである。PTC 社の他の製品である CADや PLMなどとユーザーインターフェイス(UI)の共通化を図り,かつデータの有機的な連携を図ることが狙いである。ただし,PTC 社によれば,旧シリーズは,現在のver.15 で終了し,今後は Primeシリーズに統一して,バージョンアップを進めていくとしている。なお,ver.15 に組み込まれている機能のうち,すでに多くの機能が Prime 3.0 に移植されているが,まだ未搭載の機能もあり今後のバージョンアップで順次組み込んでいくとしている。 こうした理由から本連載ではMathcad Primeシリーズの最新版「3.0」を元に解説していく。筆者がこれを選択するもう一つの理由は,ユーザーインターフェイスすなわち操作方法が,Prime シリーズの方が優れていると思っているからである。なお,無償の体験版が以下に示すサイトからダウンロードできる。

 http://ja.ptc.com/product/mathcad

 この無償版は,インストール後 1カ月間は,正規版の製品と同じ機能を使用でき,それ以降は,機能限定になるが無期限で使用できる。この機能限定版は,Express と呼び,参考までに有償版のPrime 3.0 との機能の違いを表 1 に示す。ライセンスを持っていない読者は,まず無償版を試されると良いだろう。

Mathcadのメイン画面とワークシート

 Mathcad Prime 3.0 を立ち上げると,図 1 に示す画面が表示される。これが,メイン画面である。 まず,このメイン画面の構成を紹介しよう。画面最上部で左から,「マス」「入力/出力」「関数」…と並ぶタブメニューがある。また,このタブメニューをクリックすると,各タブメニューに対応したサブメニューがリボン形式で表示される。これらのメニューの下には,現在開いているワークシート名がワークシートタブに表示される。なおデフォルトでは,タブには“無題”と表示されている。そして,タブの下にはワークシートが表示されている。 ワークシートは,各種の数式,テキスト,画像などを挿入したり,グラフをプロットさせたりする領域であり,ユーザーはこのスペースにドキュメントを作成していく。ワークシートの背景は,方眼紙のイメージになっているので,数式,テキスト,画像などを挿入する際の位置決めが容易になっている。なお,ワークシートのサイズは,デフォルトでは A4 縦になっている。縦横の方向やサイズ,さらには方眼のグリッドサイズなどを変

載連 Mathcadのライセンスと基本的な使い方(1)第2回

テクファ・ジャパン 香取 英男*

*かとり ひでお:代表取締役 URL: http://www.tecpha.com/