2章 円管内圧力損失(5.1) - 谷口150624 · 2-1 2章 円管内圧力損失 1 問題の解説...
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2章 円管内圧力損失
1 問題の解説
1.1 例題
水平の円管に下記の条件で水を流した場合の両端での圧力差,および管入口から長さ 0.2 m
の地点での速度分布を求めよ.
円管半径: 30.5 m10R 円管長さ: 0.4mL
水の密度:31000kg/m 水の粘度:
31.3 10 Pa·s
流量:7 33.16 1 m0 /sQ
また,R = 1.0 ×10-3 m (他の条件は同じ)の場合の管両端での圧力差を求めよ.
1.2 解析解
R = 0.5×10-3 m のとき,
3 7 3 2 3 3Re (0.5 10 2)[3.16 10 / (0.5 10 ) ] (1.0 10 ) /1.3 10 309 2100
より,流れは層流である.円管両端の圧力差は,以下のように求められる.
3 73
0 4 3 4
8 8 (1.3 10 ) (3.16 10 ) 0.46.7 10
3.14 (0.5 10Pa
)L
QLP P
R
1.3 モデリング概要
対称性を考慮すれば,右図赤色で示すような 2 次元長方形のモデルを考
えれば十分である.
流入は完全発達流を仮定し,その速度分布は
2
max 1x
u uR
で与えられる.
ただし, max 2u u , < u >は平均流速.
R = 0.5×10-3 m のとき,
2 1/ 4.025 10 m/su Q R
これらの値を用いて,CFD シミュレーションを実施する. x(0.0005,0)
y
umax
(0,0)
(0,0.4)
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31.0 m10R の場合についても,< u >を変更し,
シミュレーションを実施することにより,円管両端の圧力差を求めることができる.
2 シミュレーション手順
2.1 モデルウィザード (1) COMSOL Multiphysics を起動する.
(2) 新規画面で「モデルウィザードウィンドウ」ボタンをクリックし,空間次元選択画面
で「2D 軸対称」ボタンをクリックする.
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(3) フィジックスを選択画面で「流体流れ>単相流>層流」を選択し,ダブルクリックす
る.これで,層流モデルが選択フィジックスに追加される.「スタディ」ボタンを押す.
このとき,右側には変数名が表示されているが,のちに式を作成したり,結果を参照
したりするときに使うことになる.
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(4) スタディタイプ選択画面で「定常」をクリックし,「完了」をクリックする.
完了後の状態
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定数定義
(1) モデルビルダでグローバル定義を右クリックし「パラメータ」を選ぶ.
(2) 設定(パラメータ)で以下の名前と式を入力する.
名前 式
R 0.5e-3[m]
L 0.4[m]
rho 1000[kg/m^3]
myu 1.3e-3[Pa*s]
v_ave1 4.025e-1[m/s]
v_ave2 1.006e-1[m/s]
以後適宜ファイルを保存することが望ましい.クイックアクセスツールバーの保存ボタン
やリボンのファイルタブで保存できる.
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2.3 ジオメトリモデリング
(1) モデルビルダのコンポーネント>ジオメトリを右クリックし,長方形を選択する.
なお,単位をあらかじめよく使うものに設定しておくと,直接数値を入力する際に
手間が省ける(今回は標準の m のままとする).
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(2) 設定(長方形)にて,幅;R,高さ:L に設定し,「全オブジェクトを作成」をクリッ
クする.(円管半径 R=1.0×10-3の場合は,グローバル定義のパラメータで数値を
変更すればよい)
グラフィックス画面に長方形が描画されているが,非常に細長い形状なのでよく見
えない.
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(3) グラフィックスで「画面にわたってズーム」ボタンをクリックするとジオメトリの
全体像が表示される.
(4) ズーム表示したい場合は,ズームしたい個所が画面の中央に来るように右クリック
を押しながら画面を移動させ調節し,「ズームイン」ボタンをクリックする.下図
は,「画面にわたってズーム」した後「ズームイン」を何度かクリックした結果.
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あるいは,「ズームボックス」ボタンをクリックした後,ズームしたい部分をドラ
ッグすることでもズームすることができる.
ズームボックス ボタン
ズームしたい部分を
ドラッグ
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2.4 層流設定
(1) モデルビルダーウィンドウの「層流」をクリックし,設定(層流)ウィンドウの物理
モデル上で圧縮性:非圧縮性流に変更する.
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(2) モデルビルダーウィンドウの「層流>流体特性 1」をクリックし,流体特性の密度
および粘性係数の欄において,プルダウンメニューからユーザ定義を選択し,以下
のように変更する.
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(3) モデルビルダーウィンドウの「層流」を右クリックし「流入口」を選択する.
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(4) モデルビルダーウィンドウに現れた「層流>流入口 1」を選び,グラフィクスウィ
ンドウにマウスを動かして,流入境界にしたい境界をクリックして選択する.選択
された境界は青くなる.もう一度クリックすると選択が解除される.図中では境界
に 2 というラベルがついているが,これはモデルビルダの「コンポーネント 1>定
義>ビュー1」をクリックして,設定(ビュー)ウィンドウの「ジオメトリラベルを表
示」にチェックすることで表示される.
流入口 1 の設定ウィンドウで,境界条件の法線流入速度 U0の欄に 2*v_ave1*(1-
(1-s)^2)を設定する.(R=1.0×10 -3の場合は U0=2*v_ave2*(1-(1-s)^2)と入力す
る).
ここで,s は境界長さを 1 に規格化したときの境界端からの長さである.このよ
うな built-in variables の一覧はヘルプを参照・検索されたい.ヘルプウィンドウ
は F1 キーでいつでも開くことができる.
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(5) モデルビルダーウィンドウの「層流」を右クリックし「流出口」を選択する.
グラフィックスウィンドウ上の境界 3 をクリックして流出境界として選択する.このと
き,設定ウィンドウの境界条件では,出口圧力は 0 Pa のデフォルト値をそのまま用い
る.
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メッシュ生成
(1) モデルビルダーウィンドウの「メッシュ 1」を右クリックし「フリーメッシュ 3 角
形」を選択する.
(2) モデルビルダーウィンドウの「メッシュ 1>サイズ」を選択し,設定(サイズ)ウィ
ンドウでパラメータ調整を「流体力学」に変更する.「全て作成」ボタンを押すと,
メッシュが作成される.作成されたメッシュ要素数は 約 6 万.
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求解
(1) モデルビルダーウィンドウの「スタディ 1」を右クリックし「計算」を選択する.
計算が終了すると,速度場が表示される.
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結果の表示
計算結果を用いて,円管内の流速分布,圧力分布を可視化する.
(1) モデルビルダーウィンドウの「結果>データセット」を右クリックし「カットライ
ン(2D)」を選択する.
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(2) モデルビルダーウィンドウの「結果>データセット>カットライン(2D)1」を選択
し,設定ウィンドウの「ラインデータ」に以下の値を入力する.その後,「Plot」
をクリックする.
r z
ポイント 1 0 0.2
ポイント 2 0.5e-3 0.2
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(3) モデルビルダーウィンドウの「結果」を右クリックし「1D 表示グループ」を選択
する.
(4) 設定(1D 表示グループ)ウィンドウのデータセットを「カットライン 2D 1」に変更
する(図中ではラベルが「1D 表示グループ 4」になっているが削除・再作成をして
いると 4 にならないこともある).
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(5) モデルビルダーウィンドウの「結果>1D 表示グループ 4」を右クリックし「ライ
ングラフ」を選択する.
(6) 設定(ライングラフ)ウィンドウの「プロット」をクリックする.長さ方向の中点 y =
0.2 での半径方向の流速分布が表示される.
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(7) (2)と同様にして,カットライン(2D)を新たに選択・追加する.モデルビルダで新た
なカットライン 2D を選択し,設定(カットライン 2D)ウィンドウでラインデータに
以下の値を入力し,「Plot」をクリックする.
r z
ポイント 1 0 0
ポイント 2 0 0.4
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(8) (3)と同様にモデルビルダの「結果」を右クリックし,「1D 表示グループ」を選択
する.その後,新たに結果に追加された 1D 表示グループ(ここでは 5)を選択し,
設定のデータセットを「カットライン 2D 2」に変更する.この操作により,1D 表
示グループ 5 ではカットライン 2D 2 でのデータを用いることになる.
(9) (5)と同様に「1D 表示グループ 5」を右クリックし,「ライングラフ」を選択する.
設定(ライングラフ)画面で y 軸データの式を「p」に変更する.その後,「Plot」を
クリックする.
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ちなみに,y 軸データの式として p や spf.U を入力してきたが,これらはフィジク
スで定義されていて,「y 軸データ」タイトルバー右端のプルダウンメニュー(+や
緑と赤の記号)から選択して入力することもできる.
(10) 以下のように中心軸上での圧力分布が表示される.円管両端の圧力差はおよそ
6700 Pa と読み取れる.
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(11) また,円管半径を R =1.0×10-3m に変更し(また v_ave1 を v_ave2 に変更),同様の
手順(メッシュの作成も再度行う)で計算したものでは次図のような圧力分布となり,
円管両端の圧力差はおよそ 418Pa と読み取れる.