1級建築士 aテスト 計画 第2回 解答bbweb.nikken.tv/test/50561a.pdf1級建築士...

14
1級建築士 Aテスト 計画 第2回 解答 問題 1 解説 正答──3 1. フリーアドレスオフィスは、座席を個人に割り当てず、在籍者で共有して自由に選 んで使用することで、空間の効率的な利用とコミュニケーションの活性化を図る方 式である。これを採用するためには、外勤者が多く、在席率が5060%以下である ことや、在籍者の理解と意識の高さ、席の共用・移動のための工夫などが必要とさ れる。[P.109] 2. 基準階における設備スペース特に空調機械室は、建物の規模や設備方式によって大 きく異なる。高層ビルでは、空調機を何層かの専用階に設置する場合と各階に設置 する場合があり、それぞれ基準階の設備スペースは、一律には決まらない。* 3. 事務所ビルのエレベーターの概数は、延べ面積3,0004,0002 ごとに1台程度と されているので、この場合1520台程度必要である。[P.115] 4. センターコアタイプは、非常用階段、非常用エレベーターなどが集中しているので 二方向避難計画が困難となりやすい。両端コア、分散コアタイプはこの点で有利で ある。[P.110] ─ポイント─ ◆エレベーターの計画概数算定の問題は、よく出題される。延べ面積3,0004,0002 ごとに1台という数値はしっかりと覚えておくこと。 問題 2 解説 正答──4 1. 事務所ビルの便器個数は、基準階の事務室面積が5002,0002 程度の中規模な計 画において、男子小便器、男子大便器、女子便器とも2~5個ずつ程度であり、実 例にはかなり幅がある。[P.112] 2. 建築物の壁面は、屋上とともに緑化による環境調整の効果が見込まれる部分である。 植栽を設ける位置や樹種を検討し、垂直面を利用するため、植物の生育を支持する 工作物や十分な土壌基盤を確保する工夫が必要とされる。[P.183] 3. 事務所ビルのエレベーター台数は、朝の出勤時5分間あたりの平均利用者数を基準 にして算定する。[P.115] 4. 天井チャンバー方式とは、天井内(天井裏)をチャンバー(箱型空間)として排煙に利 用する方式。この方式では、天井チャンバー(天井ふところ)分の蓄煙量の増加が期 待でき、天井面から防煙垂れ壁の下端までは25㎝以上とするよう規定されている。 (新・排煙設備技術指針)[P.113] [補足] 一般の防煙垂れ壁は、天井面から50㎝以上と規定されている。(建築基準 法施行令126条の2)

Upload: others

Post on 07-Mar-2020

3 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

1級建築士 Aテスト 計画 第2回 解答

問題 1 解説 正答──3

1. フリーアドレスオフィスは、座席を個人に割り当てず、在籍者で共有して自由に選

んで使用することで、空間の効率的な利用とコミュニケーションの活性化を図る方

式である。これを採用するためには、外勤者が多く、在席率が50~60%以下である

ことや、在籍者の理解と意識の高さ、席の共用・移動のための工夫などが必要とさ

れる。[P.109]

2. 基準階における設備スペース特に空調機械室は、建物の規模や設備方式によって大

きく異なる。高層ビルでは、空調機を何層かの専用階に設置する場合と各階に設置

する場合があり、それぞれ基準階の設備スペースは、一律には決まらない。*

3. 事務所ビルのエレベーターの概数は、延べ面積3,000~4,000m2ごとに1台程度と

されているので、この場合15~20台程度必要である。[P.115]

4. センターコアタイプは、非常用階段、非常用エレベーターなどが集中しているので

二方向避難計画が困難となりやすい。両端コア、分散コアタイプはこの点で有利で

ある。[P.110]

─ポイント─

◆エレベーターの計画概数算定の問題は、よく出題される。延べ面積3,000~4,000m2

ごとに1台という数値はしっかりと覚えておくこと。

問題 2 解説 正答──4

1. 事務所ビルの便器個数は、基準階の事務室面積が500~2,000m2程度の中規模な計

画において、男子小便器、男子大便器、女子便器とも2~5個ずつ程度であり、実

例にはかなり幅がある。[P.112]

2. 建築物の壁面は、屋上とともに緑化による環境調整の効果が見込まれる部分である。

植栽を設ける位置や樹種を検討し、垂直面を利用するため、植物の生育を支持する

工作物や十分な土壌基盤を確保する工夫が必要とされる。[P.183]

3. 事務所ビルのエレベーター台数は、朝の出勤時5分間あたりの平均利用者数を基準

にして算定する。[P.115]

4. 天井チャンバー方式とは、天井内(天井裏)をチャンバー(箱型空間)として排煙に利

用する方式。この方式では、天井チャンバー(天井ふところ)分の蓄煙量の増加が期

待でき、天井面から防煙垂れ壁の下端までは25㎝以上とするよう規定されている。

(新・排煙設備技術指針)。[P.113]

[補足] 一般の防煙垂れ壁は、天井面から50㎝以上と規定されている。(建築基準

法施行令126条の2)。

─ポイント─

◆事務所ビルのエレベーター台数の算定にあたっては、朝の出勤時のピークの5分間

集中率を基準に算定する。その際、自社ビルと貸ビルでは異なるので注意のこと。

問題 3 解説 正答──1

1. エレベーターの台数は、利用者の集中する出勤時のピークにおける5分間当たりの

平均利用者数を基準とするが、一般に、自社ビルでは在籍人数の20~25%を、貸ビ

ルでは10~15%を平均利用者数と想定して算出する。[P.115]

2. エレベーターの利用者は、建物の種類に応じてほぼ一定であり、台数を増やしたか

らといって、利用者が多くなることはない。[P.115]*

3. 非常用エレベーターは、所定の基準に適合した乗降ロビーが必要であるが、平常時

に乗用エレベーターとして利用することは可能である。[P.113]*

4. 高層事務所ビルのエレベーターの計画においては、効率的な利用を図るため、低・

中・高層行きなどに分割したゾーニングを行うが、その際の各ゾーンのサービスフ

ロア数は、一般に、10階程度とする。[P.116]

問題 4 解説 正答──1

1. 最前列座席の限度は、最前列中央からスクリーンの

両端までの水平角度を90゚以内とするのが好ましい。

[P.128]

2. 劇場での演技を表情や細かい身振りまで理想的に鑑

賞できる限度は、舞台から約15m以下である。

[P.128]

3. ホテルの計画においては、客室ごとに分離したPS

(設備縦シャフト)を設けるのが一般的だが、集中P

S方式とすることにより、客室有効比(客室基準階

の床面積に対する、廊下などを除く純客室床面積の

比率)を向上させ、将来、間仕切壁の移動を可能に

し、各階単位での部分改修の可能性が図られる等の利点がある。ただし、天井内や

床下での横引き配管が多くなるため、階高が大きくなりやすい。[P.122]

4. ホテルの宿泊客は、必ずエレベーターを利用するので、管理上フロントカウンター

からエレベーターホールや玄関が見通せるような配置が望ましい。[P.120]

─ポイント─

◆ホテルの客室階のPSの計画については、それぞれのメリット・デメリットを理解

する必要がある。集中PS方式は、将来の改修等には有利となるが、階高が大きく

なる点がポイント。

問題 5 解説 正答──1

1. ビジネスホテルとは、主として比較的安い料金で商用、業務用の宿泊者を対象とす

るホテルで、宴会、集会、接客、飲食などの機能をも重視する一般シティホテルと

区別される。ビジネスホテルは、客室を主体とするので、規模が増大してもパブリ

ックスペース、料理飲食、管理部門などの客室以外の部分の床面積の割合は増大し

ない。*

2. 物品販売店舗の陳列棚は、一般に、床面から70~150cm程度が、成人にとって最も

商品を手に取りやすい高さである。[P.137]

3. コンサートホールの気積(容積)は、演奏される音楽に響きと潤いを持たせるための

重要な因子である。一般に小規模な多目的ホールでも6m3/席以上、2,000席の大

規模ホールでは10m3/席程度が望ましいとされている。[P.127]*

4. レストランの客席部分の床面積は、1.0~1.5m2/席程度であり、高級店ほど広く、

ゆったりとした配置となる。小規模で比較的客の回転の早い中華料理店では、1m2/

席は適当な数値である。[P.139]

─ポイント─

◆ビジネスホテルと一般シティホテルの構成のちがいを理解すること。ビジネスホテ

ルは客室が主体となるので、パブリックスペースに必要となる面積は限られてくる。

問題 6 解説 正答──1

1. 有料駐車場の出入口は、一般に300~500台に1組必要とされ、これより出入口が少

ないと出車時の料金支払による滞留、混雑が予想される。[P.140]

2. 縦列駐車は、一般に1台当たり長さ7m程度のスペースが必要となる。[P.141]

3. 車路のスロープの緩和勾配(スロープ上下の水平部との接点につける)は本勾配

(10/100~15/100)の1/2程度とする。[P.141]

4. 駐車場の1台当たりの所要面積は、一般に直角駐車の方が斜め駐車より小さい。

[P.141]

問題 7 解説 正答──3

1. 地方中核都市の鉄道の駅を計画する場合、線路によって利用者の経路が遮断される

ことを考慮して、橋上通路を設け、出札・改札などの駅の主要機能を中央に集約し

て、利用者の便をはかることも多い。[P.144]

2. 複合施設の計画において、他種施設である高齢者利用施設と児童館を併設する場

合、両者の生活環境に大きな差があり、利用の形態が異なるので、出入口を分離

することが多い。なお、類似施設の複合においては、その程度により出入口の共

有化を図ることもある。*

3. 空港のターミナルビルは、旅客および貨物の円滑な乗降が行われるように、各施設

の適切な規模・配置を検討しなければならない。フロンタル方式は、駐機数の少な

い中小の空港に向いており、旅客の歩行距離が短いため単純な動線で搭乗でき、航

空機の走行動線も単純で、施設の増設が容易な方式である。なお、中・大規模の空

港に向いた方式として、フィンガー方式やサテライト方式などがある。[P.144]

4. クリーンルームには、ほこりなどの浮遊微粒子を対象として電子系・光学系工場な

どに設置される工業用クリーンルーム(ICR)と、微生物を対象として医薬品・食

品工場などに設けられるバイオロジカルクリーンルーム(BCR)とがある。また、

室内の清浄度を維持するための換気によるエアフロー(気流)の形状には、室内全体

で同一方向に流れる一方向流(層流)型と、場所によって方向の異なる非一方向流

(乱流)型とがあり、さらに一方向流型は垂直式と水平式とに分けられる。高い清浄

度を要求される工業用クリーンルームでは、一般に、換気効率の高い垂直一方向流

(層流)型が多く採用される。[P.176]

問題 8 解説 正答──1

1. 劇場の客席部分の床面積は0.5~0.7m2/席、800人で400~560m2となる。不適当。

[P.127]

2. レストランの客席部分の床面積は1.0~1.5m2/席、120席で120~180m2となる。適

当。[P.139]

3. 事務所の事務室部分の床面積の標準は約9m2/人、300人で約2,700m2となる。適

当。[P.111]

4. 図書館の開架書架のある閲覧室の床面積は2~3m2/人、80人で160~240m2とな

る。適当。[P.71]

─ポイント─

◆各種建築物の面積基準に関する問題。数値を覚えていれば比較的簡単に解答を見つ

けられる。

チェック! テキストで確認しよう! 空欄を埋め、整理する。

問題 9 解説 正答──4

1. 曲線状の階段で踏面の寸法が異なる場合は、内側から30cmのところで所定の踏面寸

法を確保する。[P.150]

2. 階段の手すりの高さは、踏面の先端の位置から測り、一般に80~85cm程度とする。

[P.149]

3. 幼児や高齢者のための手すりは、一般の手すりの高さが80~85cmであるのに対し、

やや低く、65cmの高さに二段にして設置するのが通例であり、幼児の足掛かりにな

る心配はない。[P.150]

4. 階段のけあげと踏面の寸法は、歩幅などと一定の関係があり、踏面が小さくなれば

けあげ...

は大きくなるようにする。[P.149]

問題 10 解説 正答──3

1. 車いす使用者用の調理台の配置は、2列型、L字型、U字型などが使いやすいとさ

れている。2列型では調理台の間隔が120cm程度であれば動線が長すぎることなく、

車いすにも対応できる。この場合、車いすのフットレストが入るように調理台の下

部が開放されていることから、車いすの方向転回に必要な直径150cmの平面空間を

確保することができる。*

面 積 の 基 準

室名 面積(m2) 備考

映画館・劇場の客席 0.5 ~ 0.7 (m2/席)

レストランの客席 1.0 ~ 1.5 (m2/席)

ホテルの宴会場 1.5 ~ (m2/席)

小・中学校の普通教室 1.5 ~ (m2/人) 理科教室は3m2/人程度(約2倍)

図書館の閲覧室 1.5 ~ 3.0 (m2/席)

事務所の会議室 2.0 ~ (m2/人)

病院の病室 (m2/床)以上 最低基準。小児病棟は6.4m2×2/3

事務所の事務室 5 ~ 15 (m2/人)

ホテルのシングルルーム 10 ~ (m2/室) ビジネスホテルは10~15m2が多い

〃 ツインルーム 20 ~ (m2/室)

百貨店の売り場面積 25 ~ (m2/人) 従業員1人当たりの面積

2. 公共建築物において、車いす使用者の利用する廊

下は、車いすのフットレスト(足置き部分)との接

触を保護するため、幅木の高さを35cmとする。

[P.157]

3. 車いす使用者の利用を考慮して、自動券売機の金

銭投入口等の高さは、床面から45~125cmの範囲

に納まるものとする。100~110cmの高さが望まし

い。[P.161]

4. オストメイト(Ostomate)とはがん..

や事故などにより消化管や尿管が損なわれたため、

腹部などに排泄のための開口部(ストーマ:人工肛門・人工膀胱)を造設した人のこ

とをいう。多目的トイレ(多機能便所又はバリアフリー便所)は、車いすでの使用が

可能で、ベビーチェアやベビーシート、パブリック用折り畳みシート等を備えてお

り、近年は、オストメイト対応の汚物流しやシャワー水栓等を設けた事例も増えて

いる。広さは内法寸法で2,000×2,000mm程度以上必要である。[P.160]

─ポイント─

◆車いす使用者が手を上に上げた時の高さが約140cmなので、この高さに金銭投入口

を設けるのは高すぎる。

問題 11 解説 正答──4

1. バリアフリー・デザインとは、建築物内外から物理的・感覚的な障壁(バリア)を取

り除いたデザインをいう。アクセシブル(Accessible:アクセス可能の意)・デザイ

ンとほぼ同義に使われる。建築物内外に障壁(例:段差)があるという前提のもとに、

身体障害者の機能特性に着目したデザイン(例:傾斜路や手すりの設置)を行い、障

壁を取り除く考え方である。*

2. 歩行不自由者を考慮して、手すりをできる限り連続させることが望ましい。

[P.156]

3. 視覚障害者に対する誘導・警告用床材の色は、黄色・橙色を原則とし、他の色を選

択する場合は、周辺床材との明度対比等を考慮する。[P.156]

4. ユニバーサル・デザインとは、特別な人に対して特別なものを提供するのではなく、

誰もが使えるように配慮されたデザインをいう。利用者に応じたデザイン変更や特

別仕様のデザインが必要なものであってはならない。特別な人に対して特別なもの

を提供する考え方(バリアフリー・デザインやアジャスタブル・デザイン)を超えた

考え方である。[P.152]

─ポイント─

◆バリアフリー・デザインとユニバーサル・デザインの考え方の違いをよく理解する

こと。ちなみに、アメリカのロン・メイスは、「誰でも公平に使用できること」「使

う上で自由度が高いこと」「使い方が簡単ですぐわかること」等、ユニバーサル・

デザインに要求される7つの原則を提唱している。

問題 12 解説 正答──3

1. 高齢者が利用する施設の階段は、段差の存在を知覚しやすいように、踏面の色と段

鼻の色(または、けあげ...

の色)の輝度比(明度差で示すこともある)を大きくする

ことが望ましい。白内障や黄変化によって視力が低下した高齢者の場合にも、輝度

比を1.5~2.0程度にすると対象物を見分けやすくなるとされている。[P.156]

2. 高齢者、身体障害者の使用する水栓はレバー式の方が使いやすい。また、大便器も

洋式(腰掛け式)が望ましい。[P.14]

3. 高齢者や車いす使用者のための流

し台の高さは75cm程度とする。健

常者用の流し台の高さは85cm程度

で、その30%減では約60cmとなり

低くなりすぎる。なお、車いす使

用者の場合は、流し台の下部を65cm程度開放する。[P.152]

4. 高齢者用の照明は視力の低下を考慮して、一般集会室の200~500lxよりやや明るく

設定することが望ましい。[P.17]*

問題 13 解説 正答──4

1. 病院の病室の出入口はストレッチャー(患者用運搬車)や各種医療器具などの出入り

を考えて有効幅を120cm以上とする。扉に大型のものを採用する場合と親子ドア形

式とする場合とがある。[P.89]

2. 機械式立体駐車場のエレベーター方式は、一般に、垂直循環方式等と比べ、設置に

必要な面積は大きくなるが、出庫時の時間が短く、騒音が小さく、維持費が比較的

安い等の長所があり、ターンテーブルを内蔵したタイプが多く用いられる。自動車

の出入口の寸法は、一般に、幅を2,400mm以上とするため、設問の2,500mmは適当な

寸法である。[P.140]

3. プロセニアム形式の劇場におけるフライタワー

とは、フライズまたはフライロフトともいい、

照明などが設置される舞台上部の空間のこと

である。大規模な舞台では、一般に、その上

部に照明器具や幕などを吊り下げるための

「ぶどう棚」とよばれるすのこ...

を設置するが、

観客席から装置などが見えないようにするた

めには、舞台の床面からすのこ...

までの高さは、

プロセニアムの開口の高さの2.5倍以上必要とされる。したがって、開口の高さが

8mであれば、20m以上としなければならない。[P.126]

4. 屋内の公式試合用テニスコートの天井高は、ネットの真上で12.2m以上、コート後

方の壁部で4.9m以上とする。[P.97]

─ポイント─

◆体育館における競技場の広さや天井高さについてはしばしば出題されるので、基本

寸法についてはしっかり記憶しておくこと。

健 常 者 車いす使用者

台所の流し台

の高さ 85cm程度 75cm程度

洗面器・手洗

器の高さ 75cm程度 75cm程度

問題 14 解説 正答──2

1. 縦軸回転窓は、ビルの換気窓として使われることの多い窓で、ガラス面の清掃にも

便利であるが、ストッパーがしっかりしていないと、風にあおられ、思わぬ事故が

生じるおそれがある。[P.169]

2. ガラススクリーン構法では、大型板ガラスの自重によるたわみ...

を無くすことが必要

であり、ガラス下部に自重がかかる自立構法より、吊り下げ構法のほうが高さを増

すことができる。[P.171]

3. 網入り板ガラスの耐風圧性能は、同じ厚さのフロートガラスと同等又はそれ以下で

ある。[P.166]

4. 窓のはめ込みガラスの一部に強い日射が当たると温度差による膨張率の違いで熱割

れが生じやすい(特に熱線吸収ガラスや網入りガラス)ので、窓面に一様に日射が

当たるように配慮することが望ましい。[P.166]

─ポイント─

◆ガラススクリーン構法における吊り下げ構法と自立構法の特徴をよく理解しておく

こと。

問題 15 解説 正答──4

1. 強化合わせガラスは、複数枚の強化ガラスを合わせ加工をしたものであり、強度や

安全性が高く、床や階段の段板などに使用するほか、間に挟む樹脂シートにプリン

ト加工を施すなどにより、店舗やオフィスなどの内・外装材料としても用いられて

いる。[P.167]

2. 遮音性を高めるために、外部建具を二重サッシとして、サッシ相互の間隔を20cm以

上離すことが望ましい。サッシの間隔が少ない場合、遮音性の向上はあまり望めな

い。[P.167]*

3. ガラスの表面に反射率の高い金属酸化物を焼き付けてつくる熱線反射ガラスは、日

射の遮蔽効果が大きく冷房負荷を軽減できる。[P.165]

4. 耐熱強化ガラスは、所定のアルミ製やスティール製防火戸の構成材料として認定さ

れており、従来から用いられている網入ガラスに比べ、良好な視界による開放感が

得られる。また、通常の強化ガラスよりも強度が高く、万一破損した場合にも破片

が粒状になり、大きな人身事故を防ぐことができる。[P.167]

─ポイント─

◆ガラスやサッシの種類による特徴が整理されていれば、解答を見つけるのはそれほ

ど難しくはない。

問題 16 解説 正答──3

1. 集合住宅団地の住棟配置計画において、板状棟を同一方向に配列する計画に対し、

塔状棟や高層・低層棟の混合、あるいは棟の方向にもある程度の変化を持たせるこ

となど特徴ある配置とすることにより、居住者の団地に対する親近感を高めること

ができる。*

2. 体育館は競技室(アリーナ)全面にわたって、均一な明るさとすることが重要であり、

左右対称平面により、開口部(採光部)が均等に配置されることが望ましい。

[P.98]*

3. 建築物の開口部上部に設けた水平の庇やルーバーは、夏期に南面の窓への日射を遮る

のには有効だが、西面の窓に設けた場合は、太陽高度が低いため遮蔽効果が小さい。

[P.183]

4. 小学校の配置計画では、従来画一的に北側校舎、南側運動場とすることが多かった

(明治時代の標準:冬の北風を防ぐ・職員室から運動場が見渡せる等の理由)が、逆

に、教室へのじんあい....

や騒音の侵入、教室から運動場が見えることによる児童の集

中力の低下などの問題もあり、多面的な配慮が必要である。*

問題 17 解説 正答──4

1. 近年、建築的な工夫や自然エネルギーの活用によって空調設備への依存を低減し、

快適な環境を作り出すための方法が積極的に提案されている。屋上緑化により屋根

からの熱負荷を減少させることや、風の道(地域に固有の通風経路)を考慮し、建物

の配置や開口部の位置を計画することなどがそれにあたる。なお、屋上を緑化し、

各階の天井内に風の道を設け、海風・陸風を取入れて通風・換気に利用している例

として名護市庁舎(沖縄県)がある。[P.100]

2. 太陽熱を利用した床暖房システムは、集熱パネルから送られる温水を床スラブに埋

設されたパイプに通して暖める方式が多く用いられ、床スラブの下面には熱損失を

防ぐための断熱層が設けられる。地球環境問題に対して、学校の施設・環境はそれ

自体が教材となり、自然の採光・日照・通風の利用や断熱等による省エネルギー化、

太陽光・風力・中水等の自然資源の活用、ビオトープ(自然の庭・せせらぎ)の設置

等を総合したエコスクール計画が求められている。[P.60]*

3. 屋根面に設けたモニター(採光や換気の目的で普通の屋根より一段高く設けた小屋

根)やベンチレーターなどの排気装置を風が通

り抜けると、下部の空気を上方に吸引して自然

換気が大きく促進される。この現象をベンチュ

リー効果と呼ぶ。体育館や工場などの大空間の

屋根にモニター・ベンチレーターを連続的に取

り付けることによって、自然換気による大量の

換気量が得られる。*

4. ナイトパージ(夜間外気導入方式)は、外気温が低下する夜間に、外気を建物内に導

入して躯体を冷却し、昼間の空調負荷を低減する方法である。外気との温度差(自

然エネルギー)を利用した蓄熱(蓄冷)方式であり、一般に、氷蓄熱システムなどは

用いない。[P.185]

問題 18 解説 正答──2

1. 公共事業支援統合情報システム(CALSキ ャ ル ス

/ECイーシー

:Continuous Acquisition and

Life-cycle Support,Commerce At Light Speed)は、部門間、企業間において、

設計から製造、流通、保守に至る製品のライフサイクル全般にわたる各種情報を電

子化し、技術情報や取引情報をネットワークを介して交換・共有し、製品などの開

発期間の短縮、コストの削減、生産性の向上を図ろうとするシステムである。EC

(Electronic Commerce)は「電子商取引」と訳され、ネットワーク上で電子化さ

れた商取引を意味し、建設分野では、公共事業の調達(入札・契約)行為、企業間

のオンライン取引などへの利用が注目されている。[P.193]

2. LCC(ライフ・サイクル・コスト)は、建築物の企画・設計・建設から、運営・保

守管理・廃棄に至るまでに要する総費用(生涯費用)であり、建築物の経済性を評価

するための指標として用いられる。[P.192]

3. ベンチマーキング(水準測量)は、地盤の高低差を測る際に、ある基準点からの高低

差を測って次の地点の高さを決定するという作業を繰り返し行う測量方法である。

FM(ファシリティ・マネジメント)におけるベンチマーキングもこれと同様に、

企業などの組織が、自組織の方式・プロセス・手続き・サービスなどの効率や有効

性について、同じ分野で他の外部組織が実践している優良事例と比較・分析して目

標を設定し、最良の方法を取り入れて改善を行うことである。[P.191]

4. 設計競技(コンペティション)は、事業の発注者側が複数の応募者に対して共通の設

計条件を提示し、提出された具体的な設計案を審査して設計者を選定する事業推進

方式である。[P.194]

問題 19 解説 正答──4

1. 工事発注におけるコストオン方式は、発注者(建築主)が専門工事業者を個別に選定

し、発注者と専門工事業者との間で工事費を決め、その専門工事業者の工事費に元

請の管理経費を加えて元請会社に工事発注する方式である。専門工事業者は、契約

上、元請会社の下請として工事に参画することになる。[P.194]

2. 「CM(Construction Management)方式」とは、米国で多く用いられている建築生

産・管理システムの1つであり、コンストラクション・マネージャーが、技術的な

中立を保ちつつ発注者の側に立って、設計・発注・施工の各段階において、設計の

検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメ

ント業務の全部または一部を行うものである。[P.190]

3. 発注者が施工者と工事請負契約を締結する場合、一つの元請業者と工事請負契約を

結ぶことを「一括発注方式」といい、発注する工事をいくつかの工区に区分したり、

建築工事と設備工事に分ける等、工事種別ごとに区分して工事請負契約を行うこと

を「分離発注方式(施工分離発注方式)」という。[P.194]

4. 記述はJV (Joint Venture:共同企業体 )を指す。SPC (Special Purpose

Company:特定目的会社、特定事業目的会社)は、「資産の流動化に関する法律(新S

PC法)」にもとづき、保有者からの資産の買取り、資金調達のための証券の発行、

投資家への収益の配分といった、特別な目的のために設立される会社をいう。建築

プロジェクトにおいては、不動産を証券化して投資家に販売し、資金を調達するこ

とを目的とする会社などがこれに該当する。[P.193]

問題 20 解説 正答──3

1. 建築士法では、建築士事務所の開設者が設計又は工事監理受託契約を建築主と締結

するときは、管理建築士その他の当該建築士事務所に属する建築士に重要事項(業

務の内容及びその履行に関する所定の事項)について、それを記載した書面を交付

し、説明をさせなければならないと定めている(建築士法24条の7第1項)。したが

って、管理建築士以外の建築士であっても、説明等を行うことができる。[P.196]

2. 建築設計業務、監理業務等の契約は、通常、建築設計・監理等業務委託契約約款に

基づいて行われる。約款には、一般に、報酬の変更、再委託の条件、著作権の扱い、

契約の解除等の条項が明示される。[P.196]

3. 「工事監理」とは、その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計

図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう(建築士法2条7

項)。「工事監理者(建築基準法2条11号)」は、建築物の工事が設計図書のとおり実

施されているか否かを確認し、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認め

るときは、直ちに、所定の措置を講じなければならないが(建築士法18条3項)、工

事を設計図書のとおりに行う責任は有していない。[P.195]

4. 「善良な管理者の注意義務(善管注意義務)」とは、民法(第400条)に由来する法律

用語で、「委任を受けた人の、職業、地位、能力等において、社会通念上、要求さ

れる注意義務」をいう。工事監理者は、単に受託業務を処理するだけでなく、専門

家としての平均的な注意を尽くす義務があり、この義務を怠り損害が生じた場合に

は、契約に明記されていなくても過失責任が問われることがある。[P.196]

最重要! 高頻度設問枝 今後の本試験においても出題される可能性の高い設問枝です。確実に正誤の判断ができなければ

なりません。解答欄に○、×を記入し、テキストでセルフチェックしてください。

≪商業建築≫

① 基準階の床面積が 3,000m2 の貸事務所ビルにおける基準階のレンタブル比を、

75%とした。

② 貸事務所における基準階の貸室面積を、1人当たり9m2として計画した。

③ 事務所ビルにおいて、事務室に設置するパーティションの高さを、いすに座った状

態における見通しを遮るために 110cmとした。

④ 事務室内の机の配置計画において、プライバシーが必要とされる頭脳労働的な業務

に利用するために、並行配置から対向配置へ変更した。

⑤ 10階建の事務所ビルにおいて、6台のエレベーターを対面配置するに当たり、エレ

ベーターホールの幅(対面距離)を4mとした。

⑥ 大規模なシティホテルでは、客室部分の面積を全体の 70%程度とするのが一般的

である。

⑦ シティホテルにおいて、ツインベッドルーム1室当たりの床面積を 30m2とした。

⑧ 劇場における舞台の上手とは、客席から見て舞台の左側を指し、この奥には綱元が

くることも多く、舞台進行上のかなめとなるところである。

⑨ 劇場で左右対称に客席配置をする場合、その中心線上に客席内の縦通路を配置する

ことが望ましい。

⑩ 量販店において、売場面積(売場内の通路を含む)の延べ面積に対する比率は、一般

に、60~65%程度である。

≪計画一般≫

① 車いす使用者は、方向転回に直径150cmの平面空間を必要とし、2cm以上の段差を

越えることは難しい。

② 車いす使用者と歩行者がすれ違うことができるように、廊下の有効幅を140cmとした。

③ 車いす使用者の利用するエレベーターの計画において、かごの寸法は間口1,400mm、

奥行1,350mmとし、出入口の幅は800mmとした。

④ 洗面器の下部のクリアランスは、車いす使用者の利用に配慮して、床面から65cm確

保した。

⑤ 突出し窓は、横長形状で寸法の小さい開口部に適しており、気密性・水密性に比較

的優れているが、室内からガラス外面の掃除がしにくい。

⑥ Low-Eガラスを用いる複層ガラスは、低放射膜をコーティングした面が複層ガラ

スの中空層の室内側に位置するように設置することにより断熱性能を高めるもので

ある。

⑦ 連窓を層間変位の大きな建築物に設ける場合、地震時の安全性を向上させるために、

ガラスの四周を強固に固定するほうがよい。

⑧ カーテンウォールのオープンジョイントは、雨仕切、等圧空気層(等圧用開口)及び

気密層(気密線)を組み合わせることによって雨水の浸入を防止する方式である。

⑨ 平葺の金属板屋根の標準的な勾配は、1.5/10~2/10程度である。

⑩ 一般に、京間は、柱心の間隔を基準寸法の整数倍とするが、江戸間は、柱と柱との

内法寸法を基準寸法の整数倍とする。

最重要! 高頻度設問枝 解答

≪商業建築≫

① 正答―○ テキスト P.107

② 正答―○ テキスト P.111

③ 正答―× テキスト P.109

④ 正答―× テキスト P.109

⑤ 正答―○ テキスト P.115

⑥ 正答―× テキスト P.119

⑦ 正答―○ テキスト P.120

⑧ 正答―× テキスト P.124

⑨ 正答―× テキスト P.127

⑩ 正答―○ テキスト P.138

≪計画一般≫

① 正答―○ テキストP.153

② 正答―○ テキストP.153

③ 正答―○ テキストP.158

④ 正答―○ テキストP.161

⑤ 正答―○ テキストP.168

⑥ 正答―○ テキストP.166

⑦ 正答―× テキストP.173

⑧ 正答―○ テキストP.172

⑨ 正答―× テキストP.174

⑩ 正答―× テキストP.189