10万人集会」に参加して …12 鎌田慧さん講演会の報告 ……13 原...

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1 1.大飯原発再稼働 福島原発事故からわずか 年 ヶ月で、野田政 1 3 権は大飯原発の再稼働を容認しました。 原告団は同日首相宛に抗議文を発送しました ( 頁参照)。 5 再稼働は、民主党の中軸が原子力の利権に群が る守旧勢力との復縁を如実に物語るものです。原 発事故の最大の責任政党である自民党と結託し、 更なる原発依存政策を押進めていく気配がありあ りと感じとられます。 福島で今も呻吟する多くの住民、未だ収束しな い原子炉、再爆発の不安、除染されることなく全 国に残存する放射能による不断の被ばく・・・。 福島県民と国民の何物にも代えがたい犠牲と代 償を考えるとき、真夏のわずか数時間に訪れる ピーク時の電力不足のために、再稼働に踏み切っ た野田政権の犯罪性と無責任さは目を覆うばかり です。 原子力委員会が答申した三つの選択肢の結論は ただ一つです。使用済燃料の直接処分、この方法 をおいて他の選択肢はあり得ません。2030年と言 えばこれから18年も先のことです。事故を起こし たわけでもないドイツでさえ、10年後に全原発を 廃止する決定を下しているのです。原発依存度 15%が採用されると、18年後でも原発寿命40年を 基本とした場合には20基の原発が動く試算となり ます。この間絶対事故を起こさない保証など全く ありません。20基の多くは老朽化原発であり事故 の危険度は福島第一原発と変わるところはないの ニュース 2012-8-10 発行 です。野田首相が18年以内に事故が起きたときど のような責任をとるのでしょうか。政治屋の絵空 事以外の何物でもありません。選択肢にかかる 「国民的議論」の方法として、意見聴取会議が全 国11都市で開催されました。 ここで注意しなければいけないのは、 ① 意見聴取はごく限られた場所と時間、そして ほんの一握りの発表者に限定されており、およ そ公聴会の体をなしていません。これまで毎度 繰返されてきたような、結論ありき、国民の御 意見を聞いたというアリバイ作りのセレモニー に過ぎないこと. ② 原子力委員会は、原発依存度と核燃料サイク ル(再処理、高速増殖炉、プルサーマル)は一 体不可分のものとして、セットとしての答申を したにもかかわらず、政府は原発依存度につい てだけ「国民的議論」に付し、核燃については 国民の意見を聞かず政治決定するとしたこと. であり、そのために青森県は意見聴取自治体から 除外されてしまいました. この背景には、原発ほど国民の危機意識が高 まっていない再処理工場については、15%の依存 度の場合には直接処分と再処理の併存を明記した 原子力委員会の意見に拘束されずに、従来の全量 再処理路線もしくはそれに近い路線を踏襲しよう とする意図が見え隠れしています。全量再処理路 線が転換されたとき、青森県が使用済燃料を返還 するという脅しや、海外(英・仏)返還廃棄物の 受入れを拒否するのではないかという危惧が強く 代表 浅 石 紘 爾 裁判報告 95 目 次 裁判報告 ……………………1 野田総理宛抗議文 …………5 「原告団総会記念講演」報告…6 原告団総会報告 ……………7 「さようなら原発1000万人 署名青森県報告集会」報告 …9 「全国交流会&さようなら原発 10万人集会」に参加して …12 鎌田慧さん講演会の報告 ……13 寄稿「震災に遭って気づかされたこと」 …14 六ヶ所核燃などを巡る動き …15 お知らせなど …………………16 次回裁判 2012年9月7日(金) 午後1時15分~ 青森地方裁判所 円卓会議 午後1時30分~ 青森地方裁判所 口頭弁論

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1.大飯原発再稼働 福島原発事故からわずか 年 ヶ月で、野田政1 3権は大飯原発の再稼働を容認しました。 原告団は同日首相宛に抗議文を発送しました( 頁参照)。5 再稼働は、民主党の中軸が原子力の利権に群がる守旧勢力との復縁を如実に物語るものです。原発事故の最大の責任政党である自民党と結託し、更なる原発依存政策を押進めていく気配がありありと感じとられます。 福島で今も呻吟する多くの住民、未だ収束しない原子炉、再爆発の不安、除染されることなく全国に残存する放射能による不断の被ばく・・・。 福島県民と国民の何物にも代えがたい犠牲と代償を考えるとき、真夏のわずか数時間に訪れるピーク時の電力不足のために、再稼働に踏み切った野田政権の犯罪性と無責任さは目を覆うばかりです。 原子力委員会が答申した三つの選択肢の結論はただ一つです。使用済燃料の直接処分、この方法をおいて他の選択肢はあり得ません。2030年と言えばこれから18年も先のことです。事故を起こしたわけでもないドイツでさえ、10年後に全原発を廃止する決定を下しているのです。原発依存度15%が採用されると、18年後でも原発寿命40年を基本とした場合には20基の原発が動く試算となります。この間絶対事故を起こさない保証など全くありません。20基の多くは老朽化原発であり事故の危険度は福島第一原発と変わるところはないの

ニュース

2012-8-10 発行

です。野田首相が18年以内に事故が起きたときどのような責任をとるのでしょうか。政治屋の絵空事以外の何物でもありません。選択肢にかかる「国民的議論」の方法として、意見聴取会議が全国11都市で開催されました。 ここで注意しなければいけないのは、① 意見聴取はごく限られた場所と時間、そしてほんの一握りの発表者に限定されており、およそ公聴会の体をなしていません。これまで毎度繰返されてきたような、結論ありき、国民の御意見を聞いたというアリバイ作りのセレモニーに過ぎないこと.② 原子力委員会は、原発依存度と核燃料サイクル(再処理、高速増殖炉、プルサーマル)は一体不可分のものとして、セットとしての答申をしたにもかかわらず、政府は原発依存度についてだけ「国民的議論」に付し、核燃については国民の意見を聞かず政治決定するとしたこと.であり、そのために青森県は意見聴取自治体から除外されてしまいました. この背景には、原発ほど国民の危機意識が高まっていない再処理工場については、15%の依存度の場合には直接処分と再処理の併存を明記した原子力委員会の意見に拘束されずに、従来の全量再処理路線もしくはそれに近い路線を踏襲しようとする意図が見え隠れしています。全量再処理路線が転換されたとき、青森県が使用済燃料を返還するという脅しや、海外(英・仏)返還廃棄物の受入れを拒否するのではないかという危惧が強く

代表 浅 石 紘 爾

裁判報告

95号

目 次裁判報告 ……………………1野田総理宛抗議文 …………5「原告団総会記念講演」報告 …6原告団総会報告 ……………7「さようなら原発1000万人 署名青森県報告集会」報告 …9

「全国交流会&さようなら原発 10万人集会」に参加して …12鎌田慧さん講演会の報告 ……13寄稿「震災に遭って気づかされたこと」 …14六ヶ所核燃などを巡る動き …15お知らせなど …………………16

次回裁判 2012年9月7日(金) 午後1時15分~ 青森地方裁判所 円卓会議

                 午後1時30分~ 青森地方裁判所 口頭弁論

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働く可能性があります。しかし、再処理工場の存続には何の経済的メリットはなく、国民のコスト肩代わりだけが続くことになります。 再処理は即時廃止すべきです。

2.さようなら原発1000万人アクション ① 10万人集会  月16日に行われた代々木公園での10万人集7会に参加し、原告団代表として挨拶する機会を与えられました。  月11日の福島原発事故一周3年の福島県郡山市での集会の熱気も凄かったですが、「さようなら原発10万人集会」への参加者17万人が広大な代々木公園を埋め尽くしました。

 原発再稼働、福島原発事故などなかったかのように振る舞う現政権に対し、圧倒的国民の怒りが巨大なエネルギーと化して、脱原子力政策の道を要求していることを体感できました。国会前の集会・デモと共に、官製の意見聴取では汲み上げることが不可能な草の根の意思を尊重することなしに、政治決定はなされるべきではありません。安保改定の際、当時の岸首相は、デモ隊は一部の人間で、自分には“声なき声”がついていると言って、条約の強行採決に踏み切りましたが、結局退陣を余儀なくされました。 野田首相もこの歴史的教訓を学習すべきです。 ② 青森県での取り組み 青森県では、実行委員会を立ち上げて、これまで15万筆(県人口の10%)を目標に署名活動

を続けてきました。 この間、  月10日には呼びかけ人の鎌田慧氏、3原子力資料情報室の伴英幸氏、写真家の豊田直巳氏を招いて講演会を開催しました。その他にも ・11以降、各団体が積極的に講演会、集会、3デモなどを実施し、青森県内では脱原発・反核燃の機運が再燃しています。 相変わらず、何とかの一つ覚えのように原子力政策の堅持を声高に主張しているのは、三村県知事と古川六ヶ所村村長 人位なもので、県2民、県内企業、市町村長らの原子力に対する意識に、確実な変化が起きています。 現在約790万筆に積み上げられた署名は、1000万人に達するまで継続することになりました。引き続きご協力下さい。

3.原告団報告集会 「10万人集会」の後、会場近くの神宮前区民会館で、原告団主催の「下北半島・原子力施設集中立地の現状-危険な再処理工場は廃止を!」の集会を開催しました。 炎天下の集会・デモの後にもかかわらず、40数名の原告団メンバーや市民グループの皆さんが参加してくれました。 午後6時から8時半まで、私が裁判の経過と論点について、山田事務局長が再処理工場の危険性を中心として、パワーポイントを使って説明をしました。

2012.7.17 デーリー東北

2012.7.16 デモに出発

2012.7.16 報告集会の参加者

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 セッティングに尽力して下さった創史社の小原さんに感謝申し上げます。

4.再処理裁判(第80回口頭弁論・2012.6.1) 裁判は、  ・11以降 回の口頭弁論期日が開か3 5れ、原告側がその都度準備書面を提出してきました。これに対し、被告国側は、新しい耐震設計指針に基づくバックチェックの未了、安全審査機関による新指針の見直し作業を控え、証人申請はおろか原告の主張に対する反論も一切行えず、沈黙を決め込んでいます。原子力規制委員会設置法が制定されたので、自分たちのお役目は終わったと考えているのでしょうか。それにしては、10数人の大仰な“陣容”で出廷し、税金の無駄遣いを重ねているのには腹が立ちます。 再処理裁判では、  つの準備書面を提出しまし3た。 ① 準備書面 (110) 安全指針の死文化 (浅石担当) 前回伊東弁護士が作成した「班目発言で明確になった安全審査の不合理性・違法性」(準備書面108)を補充する内容で、当時の菅首相や国務大臣、関係閣僚らの答弁を引用して、現行の安全指針が失効しており、再処理工場は、このように死文化した安全指針により指定処分を受けたものであるから、伊方最高裁判決に照らして違法であると指摘したものです。 ② 準備書面(111)保安院秘密指示文書が明らかにした保安院、原子力安全委員会の正体(海渡弁護士担当) 海渡弁護士は、日弁連事務総長の事務引き継ぎで多忙が続いているため、久し振りに出廷した内藤弁護士が陳述を引き受けてくれました。あらましは以下のとおりです。 1995年の阪神淡路地震、2000年の鳥取県西部地震を受けて、原子力安全委員会は、2001年から旧指針の見直し作業を始めた。そして2006年 月、金沢地裁の井戸判決(志賀 号の差止め)3 2が出た。その ヶ月後の 月、保安院は原子力1 4安全委員会に対し、「旧耐震設計審査指針に基づき建設された原発について、安全性に問題がない」と表明するよう要求していた事実が 月517日に発覚した。原発訴訟での立証活動が困難となることを懸念しての対策である。 この保安院の脅しに屈した原子力安全委員会は、2006年 月、新指針ができたからと言って9安全審査をする必要はないし、許可を無効とするものではない、「既設の原子力施設に関する耐震安全性の確認は、あくまでも法令に基づく規制行為の外側で、原子力事業者が自主的に実

施すべき活動として位置づけられるべきもの」として、新指針の拘束力を自ら否定してしまった。その影響は住民敗訴となった浜岡原発判決や志賀 号炉の高裁判決にもあらわれている。2 福島原発事故後、原子力規制委員会設置法が可決され、既設の原子力施設でも新指針に適合しなければならないという「バックフィット制度」が採用されたので、今後訴訟の流れは大きく変わってゆくものと思われます。 ③ 準備書面(112)原子力施設に対するテロ攻撃を看過した違法性(浅石担当) 2001年の ・11同時多発テロ以降、米国をは9じめ欧州諸国では原子力施設に対するテロ攻撃対策が真剣に取り組まれるようになった。  我国では、イスラエルの原子炉爆撃を受けて、1984年に外務省がある財団に原発攻撃の被害予測を極秘裏に委託し、その調査報告書を反対運動の拡大を恐れ隠していた。 これによると、 万 千人の住民が急性死亡1 8するという衝撃的内容であった。また、1997年にも科技庁と通産省がテロ対策を共同で研究していたが極秘扱いとされた。 このように、国は早い時期から原子力施設に対するテロ攻撃を想定していたにもかかわらず、安全審査にその知見は何ら反映されなかった。 しかし、 ・11を契機に、政府も本腰を入れ始9め、2004年(平成16年)以降に、核物質防護の実効性を確保するため「設計基礎脅威」(DBT)を策定したが、ミサイル攻撃や航空機による自爆テロは想定されていない。この点米国では「B・ ・b」条項により原発テロ対策が義務付5けられており、欧州でも福島原発事故を契機に航空機墜落を想定したストレステストを実施している。 我国では、テロ攻撃が机上の危険ではない現実的な危機となっているにも拘らず、現在のところ有効な対策はとられていないし、安全指針の改定、審査のやり直しはなされていない。 再処理の指定は、不合理な審査基準に基づいてなされたものであるから取消されるべきである。

5.高レベル裁判(第81回口頭弁論・2012.6.1) 原子力資料情報室の澤井さんが作成した「準備書面(15)返還ガラス固化体表面汚染は深刻な事故である」を提出しました。前回提出した準備書面「準備書面(14)ガラス固化体の表面汚染事故-イギリスからの返還ガラス固化体受け入れ検査の結果について-」の続編です。

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 英国から返還された高レベルガラス固化体76本のうち、  本から表面汚染が発見されたことは3前々回の準備書面(14)で明らかにしました。 その原因について日本原燃は、2011年 月から9検査を実施し、2012年 月に「英国での固化体製3造時、容器の蓋受側上面にガラス微粉が付着した状態で蓋溶接を行った際、ガラスが表面に被膜状に広がったが、六ヶ所へ運ばれクレーンで吊り上げたことで表面汚染が顕在化した」と公表しました。 しかし、この結論は日本原燃の「推定」に止まり、汚染の原因は依然不明です。 本件施設では、固化体を30〜50年の長期間貯蔵することになっています。一時的な拭き取りで済む問題なのか、容器自体に欠陥はないのか、汚染原因が特定されないまま長期間に及ぶ貯蔵は許されません。

6.原告団総会(1)記念講演 2012年 月 日の裁判終了後、午後 時から青6 1 6森市民ホールで伊東良徳弁護士と松山力先生の記念講演会を行いました。 伊東弁護士からは、国会事故調などで行われている福島原発事故の原因調査は、多くの難題を抱えているという分析がなされました。 ① 福島の現状は、“犯行現場を犯人が管理している”ようなもので、捜査官は犯人の了解をとらなければ内部に入れず、証拠隠滅されてもわからないのが現状なのでは.

 ② 内部は破損されており、真っ暗闇で汚染が酷い。機器も水没しており、調査も困難なのでは.

 ③  関係者が口裏合わせをして、資料提出も核物質防護、企業秘密を理由に出てこないのではないか.

 松山先生は、地質の専門家の立場から、青森県や日本原燃などの活断層隠しの実情、六ヶ所断層、東通原発直下の活断層、大陸棚外縁断層の危険性などを非常にわかりやすく(先生は元高等学校の地学の先生!)解説・報告して下さいました。青森県では、いつ起きてもおかしくない地震の巣の中で暮らしていることが良く分かった講演でした。終了後、原告団・弁護団を交え懇親会を行いました。

(2)総会 翌 日午前中、同じ市民ホールにおいて、20122年度の原告団総会を、13名の少人数でしたが開催し、一年の反省、原発の再稼働阻止など、今後の運動方針を採択しました。松山先生も参加され、新会員の坪卓也さん(七戸町)も初参加してくれました。

7.東北弁連で脱原発・核燃廃止決議  月 日、私が所属する東北弁連の定期大会で、7 6原発の早期廃止、核燃料サイクル施設の即時廃止決議がなされました。その準備などで相変わらずの忙しさでしたが、夏以降に予定されているエネルギー環境会議の決定が国民の真の願いに叶うものとするため、もうひと踏ん張りしようと心に決めているところです。 次回口頭弁論は 月 日です。いくつかの重要9 7テーマについて準備書面を作成中です。傍聴をよろしくお願いします。

2012.6.1 松山力先生 

2012.7.7 東奥日報

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                     2012年(平成24年)6月16日内閣総理大臣 野田佳彦 殿

核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団                               代表  浅 石 紘 爾                             青森県八戸市根城9-19-9                             TEL・FAX 0178-47-2321

大飯原子力発電所3・4号炉再稼働に対する抗議及び撤回要求文

1.再稼働に強く抗議する 貴職は、本日大飯原子力発電所3・4号炉の再稼働を決定した。 その論拠は、「国民生活を守るため」「福島原発を襲った地震・津波が起きても大丈夫な安全対策がとられている」「事故責任は自分がとる」などというものであった。 しかし、福島原発事故の真の原因究明も未だなされていない中、原発にふるさとを追われ、日々の安寧な暮しを奪われた人々を想うとき、その言葉は一国の最高責任者にあるまじき空疎で虚しい響きとなる。 国民の安全より経済を優先する人権感覚の貧困さ、多くの避難民を出し、故郷に帰れない住民の悲しみを感じることのできない倫理性の欠如、「日本沈没か」とまで危惧された国家的危機をわずか1年余で忘れ去る政治的無神経さは、目を覆うばかりである。 六ヶ所核燃料サイクル施設に反対する私たち核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団は、脱原発・“核燃”廃止こそが国民の安全・安心をもたらす道であると確信するものである。 その観点から、貴職の決定に対して強く抗議し、以下のとおりその撤回を要求する。

2.再稼働の撤回を(1)科学的根拠の欠如

 大飯原発は、今や死文化した安全審査指針類によりその稼働を許された、20年を経過した原発である。しかも不十分なストレステストと、明日起きるかもしれない地震・津波対策を先送りした暫定基準をパスしたにすぎない危険な原発である。敷地直下に活断層の存在を指摘している専門家も一人や二人ではない。「福島」と同規模の地震・津波が来ても大丈夫という科学的根拠はどこにも見出し難いところである。

(2)深刻な放射能汚染と「責任の取り方」 福島原発事故は、福島県は言うに及ばず、日本全土に取り返しのつかない甚大にして深刻な放射能汚染をもたらし、国民生活と我が国の産業・経済に重大な被害を与え、国民に被ばくの恐怖を押し付けた。 東京電力、国ら事故責任者による被害の補償・救済は遅々として進まず、内部被ばくによる将来の不安は増すばかりである。 このような状況を踏まえて、貴職は何に対してどのような方法で「責任」を取るというのであろうか。1979年の米国TMI原発事故、1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故、そして2011年の福島原発事故は、多くの犠牲のうえに、二度と原発事故を起こしてはならないという重く貴重な教訓を私たちに残した。 「責任」を取るということは、絶対に事故を再発させない政策、つまり原発廃炉を決断する以外にない。これから起きる事故に責任をとってもらってもなんの意味もない。「3・11」を経験し、国民が塗炭の苦しみと不安の中で生きている実情を知るものであれば、大飯原発稼働がいかに誤った選択であるかを自覚、自省すべきである。

(3)再稼働決定の撤回を 原発依存脱却を謳った民主党政権の方針は大幅に後退し、かつての「原子力ムラ」が支配した旧体制に回帰しようとしている。これは、電力業界や大手プラントメーカーをはじめとする大企業の利潤にのみ目を向けた逆行政策以外の何物でもない。私たちは、福島原発事故の解明が不十分な中での大飯原発再稼働が、計画停電を予定している次なる原発のなし崩し的な再稼働に繋がり、それが第二の福島原発事故を誘発することを憂慮するものである。

3.結語 よって、私たち核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団は、大飯原発3・4号炉の再稼働決定の撤回と、他の原発の再稼働中止を強く要求する。

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 今回は、記念講演として、伊東良徳弁護士と松山力先生(元高校教員、日本地質学・地学団体研究会会員、日本自然保護協会自然観察指導員)にお願いしました。

1.伊東弁護士講演 伊東弁護士からは、「福島第一原発事故に関する調査報告書の危うさ」について語られました。原子力施設に精通している伊東弁護士から見て、事故から1年足らずの福島原発は、何がどうなっているかを手探りで見るようで、全容解明はとても出来るはずがないという指摘がありました。平常時においても、原子力施設の内部は核防護やテロ対策もあって、正確な図面は公表されていないそうである。そこに加えて、今回の水素爆発事故でがれきが散乱しています。元の姿は破壊され、地震でどこまで壊れたのか、津波での破壊とか、それを詳細に分類して事故原因究明とかが出来るはずはない。 ただし、そのような現場の詳細な分析を別とすれば、国会事故調が出す報告書の内容を吟味して、私たちの運動に使える部分を活かすことも必要だと締めくくられました。 現時点で4種類の福島原発事故調査報告書がインターネットで公表されているが、その詳細な分析と利用法を考えるのは、原告団に所属する私たちの役割でもあろうと思います。もし、鋭い分析で、お気づきのことがあれば、是非、その結果を原告団事務局に報告頂ければと思います。

2.松山先生講演 松山先生からは、「下北半島の原子力施設周辺の断層 六ヶ所核燃料サイクル施設と東通原発を中心に -原子力施設の地盤は安全か-」との演題の報告がありました。もともと、地質学を専門としてきましたし、下北の現状については、長年研究もしているので現場の状況に詳しく、それに加えて、丁寧なパワーポイントでの説明がありましたので、私たち素人にも問題点が分かる講演となりました。 講演を通して松山先生の最も指摘したい内容は、次の点に絞ることが出来ます。① 再処理工場の化学工場・放射能取扱い施設と

しての工程や危険性が解決されてないし、将来の解決の展望も出来てない現状にある.② 断層・撓曲の活動予測やその規模の評価が甘すぎる. このような指摘をせざるを得ない背景に、断層問題があり、その焦点を幾つか上げると、ⅰ 下北半島頸部形成史の検討が不十分.ⅱ 原燃等の地層形成年代・分布に誤り…活動層認定に関連.ⅲ 活断層評価が甘すぎ=国策(企業)優先・人命軽視.ⅳ あまりにも素人を愚弄し、地球科学をねじまげるこじつけ説明.ⅴ なぜか青森県の検討委員会に地形・地質学者が入っていない.等があります。 六ヶ所再処理工場を運営する側とそれを容認する側から考えると、人口の少ない青森県民に多少の放射能被害が出ることは、仕方がないことだと思っているかも知れません。東海再処理工場には実験規模でトリチウムとクリプトンの除去装置を取り付け、実用化を目指したが、技術的な壁に見舞われて断念しました。けれども、六ケ所再処理工場では、その設置を一旦は目指したものの、経済性を理由に断念したのがその表れでしょう。だからこそ、活断層があっても、地震地帯でも、なんとか再処理工場を操業させようとするのでしょう。そして、都会のための原発の電気を作ってくれるという東通の原発用地も、大間の原発用地も、どんなに活断層があっても、地震地帯であっても、原発の適地という結果を出さざるを得なかったのでしょう。それを、私たち原告団が法廷の場で覆すことが、絶対に必要だと感じました。

松山先生の講演資料より

原告団総会記念講演

事務局長 山 田 清 彦

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 総会記念講演の翌日、青森市民ホールの会議室で総会を開催しました。昨日講演頂いた松山先生と、新しく会員となられた方にも参加頂きました。

2011年度の原告団の行動報告

① 「さようなら原発1000万人署名」の青森県実行委員会の委員長に浅石代表が選任されました。そのこともあって、街頭署名行動を八戸市内と青森市内で数度行いました.② 福島原発事故を受けて、脱原発のイメージが拡がってはいますが、六ヶ所再処理工場への関心はいま一つ高まっていません。今後は、「六ヶ所再処理工場忍び寄る放射能の-の恐怖 暴かれた22μSvの虚構」を教材とした学習会等を行い、再処理工場の危険性や問題点を明らかにして、関心を持つ人を増やしていく必要があります.③ 裁判に関しては、実は国の方が為す術なく、停滞ムードが拡がっています。福島原発事故の後、断層問題等で再度の安全審査が原子力安全保安院から指摘される等があり、私たちに反論する材料が見あたらないのが実情のようです.

2012年度の原告団の行動予定

① 「さようなら原発1000万人署名」の1000万人までの継続に取り組みます.② 原子力安全庁を監視しよう.③ 再処理、高レベルの裁判の充実を求める.④ MOX加工工場の訴訟については、提訴可能な状態にあるので、準備を進めますので、皆さんのご協力を求めていきます.⑤ 関心層を掘り起こすために…7月16日、代々木で「さようなら原発」10万人集会の開催があるので、その日の夕方に原告団の報告集会を行うことにしました。当日の報告は浅石代表と山田事務局長が行いましたが、このような取り組みを、各地の呼びかけに応じて行いたいと思いますので、県外の方々には特に機会の設定をお願いします.⑥ 核燃料サイクル計画の見直しについて…今、原発の稼働率に関してはパブリックコメントを求める等を行っていますが、核燃サイクル政策については政府が決める(大飯原発稼働も、政府の閣僚数人で決めちゃった)と言い切っています。これを打ち破ることが出来なければ、原発が止まっても、六ヶ所再処理工場をやめる理由にはなりません。ここを打ち破る知恵を皆さんで出し合って欲しいと思います.⑦ 活断層問題のシンポジウム開催については、まだ準備途中ですが、青森県内で開催すべく取り組んでいきたいと思います.⑧ 原子力防災計画の見直しについてですが、原発の防災計画範囲が半径8〜10kmから30kmに拡大が図られそうになりましたが、再処理工場はまだ5kmのままです。民間再処理工場は日本に一つしかないので、規制する側がのんびり構えているように思います。この範囲拡大は勿論ですが、事故が起きた想定を正しく行えば、とても住んでいたくない。だから、再処理工場に反対する人を多くするのが狙いです。この取り組みを進めていきます。その他の議題については、原告団ニュースの中で、その都度取り上げます.  なお、7月16日の東京での報告会ですが、デモ行進等のお疲れにもかかわらず、約50名の方々が参加してくれました。原告団の顔ぶれが多かったですが、初めてお見かけした方々もいらっしゃいまして、熱心に最後まで参加頂きました。脱原発運動の流れに、再処理工場反対も加えて頂いて、核燃サイクル政策を転換する力にしたいと思いました。

総会報告

事務局長 山 田 清 彦

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※ 総会時に配布した資料とは一部異なっています.理由は、総会時に代表から提起がなされた小冊子“忍び寄る放射能の恐怖”の増刷のため、特別会計(備品購入積立金)より24万円を「収入の部」に繰り入れ、「支出の部」の教宣活動費(パンフレット増刷代)に流用したためです.

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 報告集会は 月30日午後 時から青森市の旧文6 2

化会館4階中会議室で行われ、集会には県内から

約200人が参加し、奈良岡事務局長の司会で、実行

委員会代表でもある原告団の浅石代表の挨拶で始

まった。

1.鎌田慧講演「署名の総括と1000万人に向け

て」

 講演は、「さよなら原発1000万人アクション」の

呼びかけ人のひとりで、同アクションの事務局長

でもあるノンフィクション作家・ルポライターの

鎌田慧さんで、以下に内容を紹介したい。

( )1000万人署名の達成を1

 昨年 月11日の東北大震災とそれが引き起こし3

た福島第一原発事故を契機に、内橋克人、大江健

三郎、落合恵子、瀬戸内寂聴、辻井喬、鶴見俊輔、

坂本龍一、沢地久枝、それに鎌田の 人が呼びか9

け人になった「さようなら原発1000万人アクショ

ン」は、脱原発、もんじゅを含む全原発の廃炉、

再処理工場の廃止などを求めた署名を始め、これ

までに750万筆以上の署名を集めたが、残り250万

人の署名を集めて1000万人アクションを達成した

い。

( )750万人分を提出2

 一次集約された750万人分の署名簿は、沢地、内

橋、大江、それに鎌田の 人が、 月15日※に横路4 6

衆院議長に提出し、藤村官房長官に「原発の再稼

働は認められない」と迫ったが、官房長官は「首

相に伝える」と述べるにとどまった。署名を1000

万以上集めて 月16日の「さよなら原発10万人集7

会」を大成功させ、アクションは大飯原発の再稼

働を止め、すべての原発を停止させたまま、再処

理を止めるまで続けていく。

 ※翌16日、政府は大飯原発の再稼働を決定

( )官邸前に拡がる再稼働反対の声3

 大飯原発をはじめ停止中の原発も再稼働する根

拠は何もない。事故後、54基のうち 基の廃炉が4

決まったので、50基全部停止しても、何も影響も

ないことがわかった。原発が止まれば日本経済が

駄目になるというが、原発が必要だということは

嘘であることも明らかになった。こうした中で、

脱原発へのうねりが、大飯原発再稼働への怒りに

なって拡がっている。今はかつて無関心だった人

たち、特に若者たちが原発や放射能に関心をもち

始め、独自の運動を盛り上げている。  月29日の6

官邸前の20万人抗議集会がそれを物語っている。

勤め帰りのいろんな人がぞくぞくと集まって来て、

「大飯原発の再稼働に反対」を叫んでいた。

( )太平洋戦争末期とよく似た状況4

 第二次世界大戦で、日本は 月 日に広島原爆8 6

投下される前に敗北を認めるべきであった。しか

し、天皇制を守るため、当時の軍部が、広島原爆

投下後も敗北を認めなかった。それが、長崎原爆

の投下につながったし、結局、15日まで終戦が延

び、結果として多くの犠牲者を出すこととなった。

 この時といまの状況が似ている。福島第 原発1

「さようなら原発1000万人署名 青森県報告集会」報告

青森市在住 原告 笹 田 隆 志

2012.7.1 東奥日報

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事故で日本は原発推進政策をやめ、失敗を認めて、

原発から撤退すべきであるが、それどころか、原

子力の平和利用に徹する民主・自主・公開が原則

の原子力基本法を改悪しようとさえしている。改

正案には、自民党の修正要求を受け入れ、その第

 条に「安全保障に資する」という条文を加えて、2

軍事転用が可能なように改定しようとしている。

 その意味でも、核武装に直結する再処理工場に

は絶対反対である。さらに原発が再稼働すれば、

日本は核によって安全が保障されるという極論ま

で出ている。旧態依然としたこうした利害関係、

利権構造による原発推進は、まさに日本を破滅さ

せるものに他ならない。

( )騙された青森県5

 青森県はウラン鉱山以外のすべての原子力関係

施設がある。1960年の新全総でむつ小川原開発が

始まったときから、核燃料サイクル基地の構想が

すでにあった。三沢から六ヶ所、東通にかけて下

北半島の付け根の太平洋岸の石油コンビナートの

巨大開発が1973年のオイルショックで頓挫して

残ったのは、石油備蓄基地だけであった。そこで

持ちあがったのが、再処理工場、低レベル放射性

廃棄物処分場、ウラン濃縮工場をセットとする核

燃料サイクル構想であった。

 あれから40年、六ヶ所は何も変わっていない。

あるのは核のゴミとその関連施設だけである。通

産省の時代から、政府は一貫して、再処理工場は

日本の核武装のために必要だとの認識できている。

それは経産省になったいまも変っていない。

( )責任を回避し続ける国や県6

 民主党の輿石幹事長にも、大飯原発再稼働の中

止と六ヶ所核燃料サイクルの中止を申し入れたが、

「再処理等は地元が引き受け、やれ、やれといっ

ている」とし、一方の県は「国に協力する立場で

国が安全と言っている」として互いに何らの対応

をとろうとしない。

 本土決戦を主張し、アメリカに広島・長崎へ原

爆を投下させてしまった阿南陸軍大臣は、敗戦の

責任をとって切腹したが、野田首相は再稼働後の

原発に大事故が発生した際にどんな責任をとると

いうのだろうか。

( )1000万人アクションを拡げよう7

 そのためにも、  月16日の10万人集会に参加し7

ていただき、1000万人アクションを拡げ、政府に

原発にさようならさせなければならない。代々木

公園を「原発はいらない」という声で埋め尽くそ

う。

2.対談 -鎌田慧vs浅石紘爾-

浅石;六ヶ所村に何故、核燃料サイクルが立地さ

れたのか、それを何故、青森県が受け入れたのか。

その後、核燃料サイクルだけでなく、大間、東通、

それにむつなどになぜ原子力施設が集中立地され

たのか。

鎌田;青森県は新全総の前は、農業開発であった。

むつ小川原開発はオイルショックでだめになり、

石油コンビナートに代わって原子力を準備しよう

ということであった。六ヶ所村には、広大な土地

があり、そこに核燃料サイクル関連工場の立地が、

60年代後半に日本工業立地センターの計画に入っ

ていた。しかし当時の公害反対闘争のなかで隠さ

れていたが、1984年に核燃料サイクル構想が発表

され、竹内知事と東北電力をはじめとする東北経

団連、中央の経団連が結託して、六ヶ所村に再処

理工場などの核燃料サイクルの集中立地がなされ

ることになった。

浅石;どこも引き受け手のない再処理工場などの

核燃料サイクルの核のゴミを、中央からの要請だ

からといって受け入れるのは、青森県の県民性に

問題がないか。

鎌田;県民性に問題があるというより、地理的

(東京から遠く離れた)・歴史的にみて、適地は北

海道か六ヶ所しかなかった。破綻したむつ小川原

開発区域には広大な用地があり、しかも人里離れ

ていて、危険なものでも抵抗も少ない。予定地の

近くに住む人が少なく、地理的にも、開拓地で

あったことなど、歴史的・地理的にとっても六ヶ

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所村は好都合であった。

浅石;これまで県民投票条例を求めて直接請求の署

名活動など運動を展開してきたが、少数意見だとし

て無視されてきた。正しいことがなかなか受け入れ

られない。

鎌田;日本には科学技術信仰があった。19世紀以降、

日本国民はその恩恵を受けてきた。科学技術の進歩

には反対できないという思いがあったのではないか。

都電廃止に反対して運動したことがあったが、廃止

されてみて初めて気づくことも多い。

浅石;県当局(当時)幹部には再処理工場をはじめ

とする核燃料サイクルを引き受けた責任があるので

はないか。また、再処理を止められない理由(政策

変更のリスク)として、再処理工場にこれまでかけ

てきたコスト、使用済み燃料の返還、海外返還廃棄

物の受け入れ拒否、県内出身者の原燃関連企業の雇

用の問題、再処理事業の既得権の喪失、核武装がで

きなくなるなどを上げて恫喝している。青森県は本

当にこれでいいのか、どうあるべきなのか。

鎌田;再処理を止めるかどうかで、日本人と青森県

人は対立している。再処理工場を稼働させれば、核

兵器につながり、それは他の日本人と対立する構造

だ。原発事故で避難する人を受け入れるか、否かで

対立する。汚染された土地に残るか否かでも対立す

る。炭鉱が閉山したとき、閉山交付金を受け入れる

か否かで、対立したように。放射能に汚染されてい

ないとはいえないガレキを受け入れるのかどうかで

も対立する。つまり、地域がどういうふうにして自

立していくのか、推進してきた電力会社や自民党と

も対立しなければならない。

浅石;再処理のコストとして電事連は11兆円を計上

し、これまで 兆5600億円も積立している。この半2

分でも、青森県の地域振興に使わせてほしい。

鎌田;まったく賛成だ。

浅石;3・11以後、ドイツのメルケル政権は倫理委

員会での決定に基づき、原発をやめることを決めて

いる。ドイツと日本の違いは何か。

鎌田;大江さんは、「倫理とは、子孫の代に汚染され

たものを残さないことだ」といっている。私がい

う倫理とは、モラルの崩壊が続いているというこ

とであり、ふつうの産業が社会でやらないことを、

電力会社が原発のためにやってきた。エコロジー

の町と言われるドイツのフライブルグというとこ

ろでは、自然を大事にすることは人間を大事にす

るという価値観から、太陽光パネル、分別収集ゴ

ミによるメタンガス発電などを当たり前のように

やっている。日本人にもそういう倫理観、価値観、

思考方法が求められているのではないか。

浅石;核燃料サイクルに反対して裁判闘争をやっ

てみて感じるが、残念ながら日本の司法にも問題

があるのではないか。

鎌田;冤罪事件の裁判と原発や核燃料サイクルの

裁判は似ている気がする。冤罪事件の再審はまた

始まっており、司法も世論の動向に無縁ではない。

反原発のうねりが裁判にも影響する。運動がない

といい判決が出ない。

浅石;署名運動が終ったあとの今後の方向性につ

いては。

鎌田;原子力ムラ (私は原子力帝国といっている)

あるいは原子力絶対体制の重厚肥大な体質には

変ってもらわなければならない。いろんな産業、

いろいろな職業の人たちの中で、脱原発派が大き

くなっている。原発依存がいかに非人間的である

かについて、多くの日本人も気付いてきている。

 日本のエネルギー政策はどうあるべきか、いろ

いろな人たちが、一緒に運動をしていく中で、解

決していけるものと確信している。

2012.6.30 対談する浅石代表(左)と鎌田氏

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1.全国交流集会

 集会は、当初 月 日、国内のすべての原発が5 5停止したことを受けて、原発なしでこの夏を乗り切り、  年中原発は要らないということを訴え、1全部の原発が止まっている間に、原発廃絶を確実なものとするため、政治的、法的な整備を進めるために、なにが必要なのかを全国各地の運動の成果に基づく提起と具体的な一歩を踏み出そうという集会であった。 しかし、野田政権は、原子力規制庁の整備、福島原発事故の解決と被災者達への補償、瓦礫処理、大飯原発直下の活断層、破砕帯の検証も終わらぬうちに、経団連の後押しのもとに、「国民の生活を守るため」「電力不足の解消」という虚偽を掲げて、なし崩しの原発再稼働を強行してしまった。 国民の多くがこの欺瞞性に気がついていると思う。野田政権が守りたいのは国民ではなく、関電を含む大企業なのだ、既得権益を貪る人たちなのだろう。朝日新聞によれば、「野田佳彦財務相(当時)は事故後の同年 月31日夜の原子力災害対策3本部会議で、東電の株価急落を懸念し、東電を弱める発言は控えてほしいと発言」と報道された。野田首相が思う国民とはいったい誰のことだろう?( )金子 勝氏の講演1

 慶応義塾大学教授の金子氏は、盛夏の電力不足を理由に、12基のうちの 基の火力発電所を止め8てしまったこと、関電の事業体質、電力会社が持つ原発が不良債権であることを、わかりやすく話された。 電力の方針は許しがたいが、国民も経済的な側面から電力を批判し、失われた経済の20年を繰り返さないことを考えねばなるまい。( )各地からの報告2

 その後全国で反原発・核燃運動をされている方達の報告があった。特に福島からの報告では、事故の集収はまったく見通しが立っていない、労働従事者の方たちの質や労働環境に不安を感じた。

国民が懸念することをこの国の官僚や為政者は分かっているのだろうか。彼らには現実感がないのだろうか?政治家では福島みずほ党首が参加されていた。国会での鋭い追求を期待したい。2.  月16日さようなら原発10万人集会に17万人7

  (代々木公園が脱原発の声で埋め尽くされた!)

 抗議集会には全国から17万人(主催者公表)が集まった。実際にはもっとたくさんの人が居たように思う。それぞれが思い思いのプラカードを手に声を上げていた。 メインステージでは、鎌田慧さん、澤地久枝さん、大江健三郎さん、内橋克人さん、広瀬隆さん、坂本龍一さん、奈良美智さん、落合恵子さん、若狭から中嶌哲演さん福島から武藤類子さんらがそれぞれの思いを述べられた。全てのメッセージが心に残る重い言葉であった。浅石原告団代表もサブステージでご発言され、全国に脱原発と六ケ所再処理工場稼働の危険性を訴えられた。 ここにいた人たち、ここに来ることができなかった人たち、多くの国民の声を今こそ為政者、官僚、財界は、聞く耳を持たねばならない。誰よりも主権者である国民が守られねばならない。お湯を沸かすのに放射能がでる施設は要らない。機能しない保安院、原子力委員を信じることは出来ない。まして、すっかり転向してしまった野田政権をやである。 炎天下に集まり、デモの出口規制をする警官に文句を言うでもなく、ただ無抵抗非暴力で、脱原発・反核燃の声をあげて、代々木公園から表参道、青山通りを経て、明治公園に戻った。お祭りのように感じたかもしれない。だが誰の胸にもあったのは、福島県の避難者への思い、我が身、我が子を守りたい、この国の自然を守り安心してご飯にありつきたい、放射能にさらされたくない、犠牲と差別、物言わぬ生物、この世の衆生達の存在、根源的な放射能への恐れであったろう。 デモ中の笑いは、決して福島を忘れたからではない。放射能を恐れるこの気持ちが多くの人に共感された、安堵と希望のが呼び起こすものではないか。

精神は常に3月11日に向かおう。忘れるな、侮辱

のなかで生きることに抵抗しよう。

青森は核のゴミ捨てばではない。原発止めて、核

のゴミはもう作らないで!

巨大海底断層が横たわる美しい青森を核で汚さな

いために。

全国交流集会(7月15日脱原発をどう実現するか・金子勝さん講演)&さようなら原発10万人集会(7月16日代々木公園)に参加して

弘前市在住 原告 佐 原 若 子

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 去る4月27日、母親の会では弘前文化センター

に鎌田慧さんをお招きして講演会を開きました。

この講演会は、実は昨年の6月25日、私たちの『核

燃と原発に反対する』デモ、250回を記念して計画

したものですが、あいにく鎌田さんの御都合が悪

く実現しませんでした。

 その後、鎌田さんから「今回は日程が取れませ

んでしたが、皆さんの御都合のよい日に講演料な

しで弘前に出かけます」という嬉しいお言葉をい

ただき、今回の運びとなりました。

 会場は400人収容の大会議室を借りましたが、

組織力のない私たちにはたして何人集めることが

できるのか、非常に不安でした。しかし、当日に

は300人近くの方々が参加して下さり、会場は熱

気に包まれたものになりました。

鎌田慧さんの講演内容

1.核燃施設は隠されていた

 先ずはじめに、下北半島に原子力関連施設が集

中することになった経緯について、「むつ小川原

開発計画には、1969年の当初から核燃施設の計画

が含まれていたが、それは隠されていた。表向き

は日本を代表する150社の企業が名を連ねた、バ

ラ色の夢を与えるものだった。その後、県は『オ

イルショックを機に、すべての企業が進出から撤

退したので石油備蓄基地と原子力産業だけが残っ

た』と言っていたが、これは過疎地青森県の開発

の夢を利用した計画で、青森県民は騙されたの

だ」と話されました。

2.原発の背後には核武装がある

 「原発や核燃は危険な施設であるために、その

周辺地域には多額のお金が交付金としてばら撒か

れている。この交付金は電力会社の総括原価方式

に基づいて、電気料金に上乗せされて国民から徴

収する事になっている。だから、どんなにお金を

ばら撒いても電力会社の腹は全く痛まない構造に

なっている。民間企業である電力会社にこのよう

な事が許されるのは、原発が国策になっているか

らである。その背後には日本の核武装構想がある。

 日本が核武装することは憲法9条で禁じられて

いるが、いざというときには核武装できる準備を

しておかねばならないと考えている。そのために、

プルトニウムを取り出す六ヶ所再処理工場が必要

になっている」と述べられました。

3.原発労働者の犠牲

 最後に力を込めて主張されたのは、「原発は日

常的に放射能で被ばくした労働者を出し続ける。

そしてこれらの労働者は何の補償もない日雇い労

働者で、何年か後には不治の病に侵され、病気と

原発の因果関係も証明されないまま、悲惨な人生

を終えることになる。原発は危険であると同時に、

このように弱い人々の犠牲の上に成り立っている

ことを忘れてはならない。現在の情勢では、原発

が廃炉になる日もそれほど遠くないと思うが、み

んなの力であと一歩進めていきましょう」という

力強いメッセージで講演は終わりました。

叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱叱

 講演会の翌日の4月28日、鎌田さんも私たちと

一緒に歩いて下さいました。参加者はいつもより

多く28名でした。デモの後、鎌田さんは「26年と

いう歴史あるデモに参加できて光栄です」と私た

ちのデモにエールを送って下さいました。

2012.4.28 255回目のデモを、鎌田さんと一緒に!

鎌田慧さん講演会の報告

放射能から子どもを守る母親の会  中屋敷 重子

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 私は2年半程前、20年間住んでいた関東からUターンして青森に戻って来ました。戻ってから1年程経ち、ようやく生活に馴染んできたなと思った折り、3・11東日本大震災に遭いました。 それまで県内に原子力施設があることはわかっていましたが、殆ど無知に近いものでした。その時、福島第1原発での事故を知り、県内に存在する施設も同様に安全では無いことが耳に入ってきたのです。 私は主にネットを中心に調べますが、青森県内にある原子力関連施設の規模の大きさ、施設の危険度合い、放射能物質の身体への影響が、それまで県内での新聞や報道から得られる情報とは、かけ離れていることに気づきました。 私の仕事は医療関係です。私自身これまで、「身体への健康を害する可能性のある治療法の改善法」について取り組んで来ました。少数の仲間と共に、臨床を行いながら研究・対策・データ収集を行ってきました。「人の命」に少なからず関わる事ですし、倫理的、個人情報保護との関連で、多くの方を纏めて調べる事は出来ず、個人個人のデータを調べる作業を少しずつ20年近く続けてきました。 しかし、今回問題とされている放射性物質は、「健康を害する」可能性があるどころか、「数年後に寿命を縮める」可能性が高いこと、しかも対象人数が数万人規模で「寿命を縮める」可能性が高いことを知りました。 通常、数万人に対して「寿命を縮める」可能性があるのでしたら、最低限、より詳細にデータ収集・研究・対策をするのが当たり前だと思うのですが、福島原発事故後の東京電力や政府の対応はどうもそうではないらしいのです。 困った事に青森県内の新聞やテレビら報道は偏った情報で、本質には触れないらしいのです。近所の人から原子力施設の危険性について聞きま

すと、多くの人が「国がやっている事だし」「大きな会社だから任せており、難しいことは分からない」と言います。これらの原因・要因は、何なのでしょうか? 福島第 原発事故後の、放射線被曝の危険性を1判断する年間積算線量20mSvをはじめ、食品の米 kg当たり500Bq(2012年新基準100Bq)等など1の基準は、実際に事故が起きた場合、避難の仕方、賠償金支払い、事故後の生活設計等を考える時に頼りとする数値です。しかし今回の基準は、いざ原発事故が起きた時「数万人の生命を見守る気持ちは無い」という、私達への対応が、厳しい現実が、突き付けられた事に気づきました。 また福島第 原発事故の解析をした専門家が、1県内にある各原子力施設の事故の危険性を訴えてくれています。元原子炉圧力容器・格納容器設計者の田中三彦・渡辺敦雄・後藤政志ら 氏は次の3ように指摘しています。① 大量の放射能を放出する結果となった福島第1原発のMark1型格納容器(東通原発 号機はこ1の改良型とされる)は、1970 年代から欠点が指摘されていること.② 電源喪失時、当初の発表されている数値や時間帯から事故を解析すると(具体的には 号機の1格納容器内の圧力が0.74MPaに上昇した時間帯)、地震が大きな要因となり、この欠点と組み合わさった結果、事故が拡がった可能性が高いこと. これらのことは出来る限り青森県内の方に広く、多く、平易に、(私自身も学びながら)伝えられればと思った次第です。

2012.6.2 坪さん初参加の原告団総会

震災に遭って気づかされたこと

七戸町在住 支援者  坪 卓也

寄 稿

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 4.20 青森県議会常任委員会:原子力委員会の小委員会で直接処分試算に不満噴出.   26 青森県内原子力5事業者:耐震安全性に新知見なしとの報告書を国に提出.    27 原子力委員会・小委員会:直接処分が安価との核燃サイクル試算見直しを公表.   27 日本原燃:安全評価(ストレステス)の結果を国に提出。安全機能喪失で、燃料プール13日で

沸騰し、耐震基準地震動は450ガルの1.48倍でプールの冷却不能. 5. 5 北海道泊原発3号炉定期検査入りで、全国50基の原発が全停止へ.   9 三村知事は、核燃サイクル政策転換論に反発。政策決定を先延ばしをする留保案には受け入れ

ない考え.   17 日本原燃:ウラン濃縮工場で非常用発電機1台が正常に起動しないトラブル発生と公表.   21 日本原燃:ガラス固化溶融炉の不調原因と対策を公表。再処理工場 溶融炉熱上げに着手.   23 むつ市長:核燃サイクル政策の選択肢に直接処分が選定された場合は拒否すると表明.   23 三村知事:「直接処分は現実的でない」として、全量再処理路線の堅持訴える.   24 原子力委員会・小委員会:サイクル推進派だけを集めた勉強会を約20回開き、報告書案を事前

提示が判明.   30 青森県内:電源交付金11年度は過去最高の191億円。累計の交付額は2.334億円. 6. 1 原告団:核燃裁判及び記念講演会実施(伊東先生から福島原発事故原因について、松山力先生

から断層問題).   2 原告団:総会開催.   5 原子力委員会・鈴木委員長代理:「全量再処理から撤退を」との見解表明.    5 原子力委員会・小委員会:核燃料サイクル選択肢「併存優位」との報告書提出.    6 東北電力:東通村へ産直施設建設中断で6億余円余の補償金支払判明。東京電力は経営状況の

悪化を理由に補償には応じない考え.   6 六ヶ所村議会:核燃料サイクル政策の説明を受けて、全量再処理を訴える.    7 日本原燃:再処理工場の溶融炉の熱上げを完了.   10 原告団:事務局会議開催.   12 日本原燃:固化体2本分のガラス溶融炉の流下性に問題なかったと発表.   13 さようなら原発1000万署名青森実行委員会:三村知事との対話を求めて県庁で交渉.   15 日本原燃:2011年3月14日に冷却水循環ポンプを動かす非常用発電機停止フィルター目詰まり

の原因公表.   16 原告団:野田政権は大飯原発の再稼働を容認で首相宛に抗議文を発送.   16〜17 大MAGROCK、大間原発反対集会及びデモ行進.   18 日本原燃:ガラス固化体製造試験(B系炉に模擬廃液を投入する事前確認試験)を3年半ぶり

に再開.    22 原子力安全・保安院:核燃料サイクル4施設についてストレステストの審査を開始.    28 さようなら原発1000万人アクション:三村知事宛に対話集会に関し申入書を提出.   30 さようなら1000万人署名報告集会:鎌田慧氏講演及び鎌田氏と浅石代表の対談(青森市文化会館)。 7. 1  原告団:さようなら原発1000万人街頭署名(八戸市三春屋前で実施).   3 東北電力:東通原発敷地内の3断層を追加調査することを報告。11月に結果を取りまとめる予定.   4 日本原燃:固化体試験で高レベル廃液の投入を開始。約1カ月で40本のガラス固化体を製造する.   4 下北8市町村長:経産省、国土交通省、民主党に核燃料サイクル堅持を要望.   6 東北弁護士連合会:浅石代表報告、小出裕章講演会及びシンポジウム(弘前市).   9 東北電力:東通原発敷地内の断層を10日から追加調査を行うと発表.   13 エネルギー・環境会議:将来の原発比率選択肢の意見聴取会開催14日から開催。青森県は含ま

れず.   15 エネルギー・環境会議:意見聴取会第2回を仙台市で開催。発言者に東北電力幹部が含まれ、

会場から抗議.   15 反原発新聞:金子勝氏のミニ講演会開催。(東京・連合会館)    16 さよなら原発1000万人アクション:代々木公園にて10万人集会開催し、17万人参加.   17 原告団:弁護団会議開催(東京共同事務所).   19 日本原燃:再処理工場で固化体製造試験の最大のヤマ場の「不溶解残さ」を含む廃液を投入す

る段階に移行.   21 みらいアクション青森:未来教室で原子力情報室の伴共同代表の講演会及びシンポジウム開催.   25 さようなら原発1000万人アクション:県内原子力施設の安全性や、再処理政策見直しなどに関

する質問状に回答。紘爾代表は「回答は抽象的」として、その場で県の担当者らに再質問も議論は平行線.

   27 日本原燃:高レベル廃液を用いた「事前確認試験」終了。川井社長は「技術的課題はクリアできた」と強調.

   29 原告団:街頭署名と事務局会議開催.

六ヶ所核燃などを巡る動き

Page 16: 10万人集会」に参加して …12 鎌田慧さん講演会の報告 ……13 原 …genkoku/g-news/genkoku-news-95.pdf · 現在約790万筆に積み上げられた署名は、

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 編 集 後 記 

 原子力政策を担う政府と国民の考えは、大きくかけ離れています。 政府のエネルギー・環境会議が「エネルギー・環境に関する選択肢」を提示し、パブリックコメントの募集をはじめましたが、一番望む、原発の再稼働なしで「原発ゼロ」にする選択肢はありません。政府の原発ゼロシナリオは、2030年です。その間に事故が起きたら・・・、事故が起きなくても放射性廃棄物は増え続けますし、原発労働者は被ばく覚悟で作業をしなければなりません。 想像を超えるリスクをもつ原発にしがみつく、政府の本意はなんでしょうか?     (Y・S)

夏期カンパのお願い

 いつもお願いばかりで恐縮ですが、原告団は会員の皆様の会費・カンパのご支援により運営されています。 今回のニュースと一緒に夏期カンパの振込用紙を同封しました。何卒よろしくお願いします。

お 知 ら せ

核燃裁判 日 時:9月7日(金)午後1時30分〜

 場 所:青森地方裁判所

学習会@あおもり「なぜ私たちは大間原発に反対するのか」 日 時:9月7日(金)午後6時30分〜

 場 所:青森市民ホール(JR青森駅隣り)

 講 師:澤井正子さん(原子力資料情報室)

 資料代:500円

 主 催:大間原発反対現地集会実行委員会

広瀬隆氏講演会 「福島から広がる放射能の恐怖」    六ヶ所再処理工場を即時閉鎖に!!

 弘前会場

  日 時:9月21日(金)午後6時〜

  場 所:弘前文化センター(NHK 隣り)

  主 催:青森県保険医協会

 八戸会場

  日 時:9月22日(土・祭日)午後2時〜

  場 所:八戸市公民館(公会堂文化ホール)

  主 催:核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団

 ※両会場とも入場無料です。

2012年反核燃秋の共同行動 日 時:10月28日(日)午後1時開始予定

 場 所:青森市民ホール(JR青森駅隣り) 

 講 演:平野良一さん

(核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会・顧問)

核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団〒039崖1166 青森県八戸市根城 -19- 9 9      浅石法律事務所内      TEL ・ FAX:0178-47-2321      郵便振替:02300-9-37486            『核燃阻止原告団』

支 援 者・年間6000円 (購読料共)サポーター・年間3000円 (購読料共)

eメール 1[email protected]ホームページ http://www5a.biglobe.ne.jp/~genkoku/

 原告団ニュースの発送作業を事務局員と一緒に行いながら情報交換(日頃の不安や疑問など)しませんか? 協力していただける方は事務局にご連絡ください。こちらからFax等で連絡します。

会員の方のお便り☆電気が足りるか足りないかより核のゴミの事まで考えなくちゃいけないよね。

(大阪府・K様)☆原子力小委員会で再処理よりも直接処分が経費が安いとの事で動き始めました。しかし、まだまだ様々な要因で一筋縄ではいかないでしょう。頑張って下さい。

(神奈川県・O様)☆高木さんの1995年の論文を読んで、10数年後の今、しかもフクシマ後の今も、当時の懸念が何一つ解消にむかうことのないような政界の様子に、空恐ろしいものを感じています。 大阪の地から、 地元のことや六ヶ所村のことを考え続けていきます。

(大阪府・N様)

※「福島原発事故の青森県内への影響」は次号に掲載予定です。