病害虫防除情報 ②大規模生産者向け水稲の省力化技...

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平成29年1月 JA全農ちば 営農販売企画部 営農技術情報集のカラー版や、その他の営農情報は全農ちばHP内営農情報コーナーにて公開中! 全農ちばHP<http://www.cb.zennoh.or.jp/index2.html> 今月の情報 ①園芸野菜 病害虫防除情報 ②大規模生産者向け水稲の省力化技術 ~水稲鉄コーティング湛水直播栽培~ ③『Z-BFM』で手取り最大化への営農計画を! ④農業用ハウスの降雪・積雪対策 注意とお願い 掲載されている農薬登録内容は掲載時点の登録内容です。 農薬を使用する際には、最新の登録内容をご確認ください。

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Page 1: 病害虫防除情報 ②大規模生産者向け水稲の省力化技 …‘¢『Z-BFM』で手取り最大化への営農計画を! ④農業用ハウスの降雪・積雪対策

平成29年1月

JA全農ちば 営農販売企画部

営農技術情報集のカラー版や、その他の営農情報は全農ちばHP内営農情報コーナーにて公開中!

全農ちばHP<http://www.cb.zennoh.or.jp/index2.html>

今月の情報

①園芸野菜 病害虫防除情報

②大規模生産者向け水稲の省力化技術

~水稲鉄コーティング湛水直播栽培~

③『Z-BFM』で手取り最大化への営農計画を!

④農業用ハウスの降雪・積雪対策

注意とお願い

掲載されている農薬登録内容は掲載時点の登録内容です。

農薬を使用する際には、最新の登録内容をご確認ください。

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営農情報 平成29年1月

農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。

※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば

①入れない・持ち込まない

②増やさない ③出さない

×①入れない・持ち込まない

②増やさない ③出さない

×

①入れない・持ち込まない

・ハウス開口部に目合い

0.4mmのネットを張る。

・出入口は二重扉にする。

・ハウスに入るときは服をて

いねいに払う。

②増やさない

・殺虫剤による防除。

・黄色粘着板(コナジラミ類)・

青色粘着板(アザミウマ類)を

つるし、予察や捕殺を行う。

・ハウス内と周辺の除草を行う。

③出さない・④繋げない

・栽培終了後はハウスを

閉め切り、残渣は枯死

させて処分する。

・次作への間隔を十分に

空ける(約45日間)

園芸野菜 病害虫防除情報 JA全農ちば

営農販売企画部

1 はじめに

灰色かび病のような比較的低温性の病害が引き続き発生します。長期予報では1月は暖冬傾

向のため、施設栽培では年内から残っていた病害虫が早めに増加する可能性があります。ハダ

ニ類・アザミウマ類などの微小害虫の発生に注意しましょう。

2 施設作物 微小害虫対策(コナジラミ類・アザミウマ類など)

微小害虫対策で重要なのは害虫をハウスへ侵入させないことです。コナジラミやアザミウマは

越冬作型のハウス内に残っていたり、ハウス周辺の雑草に生息しており、育苗ハウス内へ侵入し

増殖します。初期発生量が多くなればウイルス病等の被害も大きくなります。害虫の侵入防止対

策が重要ですので、下記の事項を再確認しましょう。

□ ハウス開口部に0.4mm目合いの防虫ネットを張り、出入口は二重になるようにしましょう。

□ 防虫ネット等にほつれが無いか確認しましょう。

□ 黄色粘着板を吊るし、予察・捕殺を行いましょう。

□ 害虫が発生しているハウスに入った際は、出る前に作業服をよくはたきましょう。

□ 前作残渣は、きちんと枯らしてから処分しましょう。

□ ハウス周辺の除草を実施しましょう。

□ ハウス内では、花など害虫が集まりやすい作物の栽培は控えましょう。

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営農情報 平成29年1月

農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。

※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば

○トマト コナジラミ類・アザミウマ類 初期防除剤

対象

害虫

薬剤

系統 薬剤名

使用量・

使用方法

使用

時期

使用

回数 注意点

コナ

ジラミ類

アザミ

ウマ類

ネオニコチ

ノイド系

スタークル

粒剤

1~2g/株

株元散布 育苗期 1回

育苗期・定植時

それぞれ1回 1~2g/株

植穴土壌混和 定植時 1回

スタークル

顆粒水溶剤

100倍・セル成型育

苗トレイ1箱当り0.5L

潅注

定植時 1回 ―

ベストガード

粒剤

1~2g/株

株元散布 育苗期

1回 育苗期・定植時

どちらか1回 1~2g/株

植穴土壌混和 定植時

ジアミド系

ベリマーク

SC

400倍・1株当たり

25ml

育苗期後半

~定植当日 1回

ベリマークとプリ

ロッソは同成分

プリロッソは定植

後の灌水が必要

プリロッソ

粒剤

2g/株

株元散布

育苗期後半

~定植時

その他 モベント

フロアブル

1000倍・1株当たり

25~50ml 育苗期後半 1回

キュウリ(ウリ科)

は薬害を生じる

ので潅注処理は

行わない

薬剤使用時のポイント

①いずれの剤も、根から成分が吸収され効果を

発揮します。潅注タイプの剤は株元へ薬液が

かかるよう丁寧に処理しましょう。

②次の薬剤散布時期の目安は定植 14日~21日後

になります。この時期のコナジラミ類・アザミ

ウマ類はどちらも下位葉裏に寄生しているので

発生状況を確認し、発生前~発生初期に防除を

行いましょう。

ヒザより下から発生するので、株元に

しゃがみ、葉の裏をよく観察しましょう。

③次の散布薬剤は系統の異なる薬剤を選択しましょう。

3 イチゴ[ハダニ類・うどんこ病]

①ハダニ類 越冬したハダニ類の防除が遅れると、春先に多発する原因となりますので、定期的に防除

を実施しましょう。

コナジラミ類 幼虫・サナギ

【幼虫】

体長 1mm以下

【サナギ】

体色濃い

体長 1.5mm

トマト下位葉裏

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営農情報 平成29年1月

農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。

※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば

〇イチゴ ハダニ類 防除薬剤

対象病害虫 薬剤名 希釈倍数 使用時期 使用回数 備考

ハダニ類

マイトコーネフロアブル 1000 収穫前日 2回以内

カネマイトフロアブル 1000~1500 収穫前日 1回

ダブルフェースフロアブル※

(新規成分+ダニトロン) 2000 収穫前日 1回

※ダブルフェース は ダニトロンフロアブルと同成分を含むので使用回数が共通

②うどんこ病 適温は 20℃前後で、乾燥と多湿を繰り返すと被害が拡大します。

冬場閉め切っているハウスはうどんこ病の好適な環境になる

ため、多発しやすくなります。

ガッテン乳剤やプロパティフロアブルのような治療効果を持つ

薬剤は発生前~発生初期に使用し、予防剤でうどんこ病が低密度

の期間を長く保つことが上手な薬剤の使い方です。

○いちご うどんこ病 防除薬剤

対象病害虫 薬剤名 希釈倍数 使用時期 使用回数 備考

うどんこ病

ベルクートフロアブル 2000~4000 収穫前日 2回以内 予防

アフェットフロアブル 2000 収穫前日 3回以内 予防

ガッテン乳剤※ 5000 収穫前日 2回以内 予防・治療

プロパティフロアブル※ 3000~4000 収穫前日 3回以内 予防・治療

トリフミン水和剤 3000~5000 収穫前日 5回以内 予防・治療

※ガッテン乳剤、プロパティフロアブルは耐性菌の発生を防ぐため多用せず、1作1回の使用

に抑える。

4 ネギ(黒斑病・葉枯病)

・空気伝染で広がります。栽培後は残さ中に残り、次作の伝染源になります。

黒斑病は 24℃前後、葉枯病は 15~20℃の低温を好み、降雨が続くと発生しやすくなります。

年内に発生していた場合、これから気温が徐々に上がるにつれ拡大することが考えられま

すので、早めに防除を行いましょう。

○ネギ 黒斑病・葉枯病 防除薬剤

対象病害虫 薬剤名 希釈倍数 使用時期 使用回数 備考

黒斑病

葉枯病

ダコニール 1000 1000倍 収穫 14日前 3回以内 予防

オンリーワンフロアブル 1000倍 収穫 14日前 3回以内 予防・治療

アミスター20フロアブル※ 2000倍 収穫 3日前 4回以内 予防・治療

メジャーフロアブル※ 2000倍 収穫前日 3回以内 予防・治療

※アミスター と メジャーは同系統剤です(QoI剤・ストロビルリン系)。薬害回避のため、①ネギ

の生育が旺盛な時期の散布 ②日中の高温時散布 ③過剰な混用散布 は避けましょう。

作成者:名雪

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農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。

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大規模生産者向け水稲の省力化技術

水稲鉄コーティング湛水直播栽培 JA全農ちば

営農販売企画部

種子の製造技術指導も行っています JA 全農ちばでは、営農技術センター(成田市)に「鉄コーティング種子大量製

造装置」を設置し、種子のコーティング作業を行っていただくことができま

す。製造方法の指導も行っていますので、ご興味がありましたら最寄りの JA

を通じてご相談ください。 作成:川島

鉄コーティング湛水直播栽培とは 水稲種子を鉄粉と焼石膏でコーティングし、代かきした水田に直接播種する技術です。種子のコーティング作業が必要になりますが、育苗作業が必要ないため、作業分散・省力化につながります。

鉄コーティング湛水直播の メリットと注意点

メリット

1.労働時間の減少、特に移植栽培とくらべ育苗・移植

に係る時間が減少できます(図1)。

2.コーティング種子は保存がきくため、農閑期にコー

ティングし作業分散ができます。

3.育苗施設が必要ないため、既存の育苗施設と組み合

わせ、規模拡大がしやすいです。

注意点

1.圃場の均平がある程度取れ、入排水が自由

な管理がしやすい圃場推奨です。

2.ジャンボタニシ被害が大きいので、発生の

少ない地域で行いましょう。

3.この栽培方法ではコシヒカリは倒れやすいため、注意しましょう。

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営農情報 平成29年1月

農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。

※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば

『Z-BFM』で手取り最大化への営農計画を!

JA全農ちば

営農販売企画部

1.「Z-BFM」とは?

営農計画策定支援システム『Z-BFM』(Builder of Farming Model)では営農条件(作付面積や

労働条件、作物体系、反収、販売単価、生産費等)を入力することで、農業所得を最大限実現さ

せる 営農計画(最適化)を算出することができます。

2.システムの利用

本システムは(独)農研機構中央農業総合研究センターのホームページから、無償で操作マ

ニュアルとともにダウンロードして使用することができます。なお、本ソフトは、Excel ファ

イルとして保存、起動します。

★ ダウンロード URL:http://fmrp.dc.affrc.go.jp/programs/farmplanning/z-bfm/

★ その他、農研機構HPや検索サイトにて「Z – BFM」で検索

3.操作の流れと画面イメージ

④最適営農計画案の提示③経営指標の入力・選択単収、販売単価、生産費、旬別労働時間

等の作物別経営指標データの入力

②営農条件の入力常時・臨時労働力の賃金・労働

可能時間、借地の地代等の入力

最適化計算

①経営概況の入力経営面積、労働人数、作付品目、機械・設備の資本装備等の入力

新規作物の提案や経営分析に有効に活用できます!是非、一度お試しください。

作成:林

・経営規模の拡大 ・雇用の増減判断

・効率的な作付体系の検討

・新規品目・資材の導入検討 など

Z-BFMを用いて経営全

体のシミュレーション

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農業用ハウスの降雪・積雪対策

JA全農ちば

近年では千葉県でも大きな雪害が発生しています。平成26年2月の大雪では施設への被害

が、直近では平成28年11月に季節外れの降雪があり農産物被害が生じました。

雪害は事後対策が難しく、平時からの準備が大切です。日頃からの点検と対策に心がけまし

ょう。

降雪前・降り始めまでの処置

天気予報や行政の出す情報を収集し、予報に応じて事前に対策を打ちましょう。補強に

必要な部材などは事前に準備が必要です。

①パイプハウスの補強

必要に応じて応急補強用の支柱やすじかい等を取り付けて補強します。またハウスの

両肩をワイヤーなどで引っ張るように固定すれば屋根雪によるハウスの広がりを防止で

きます。

②屋根雪の滑落性の確保

屋根表面に雪の滑落を妨げるような突起物がないか点検します。特にネットなどは

滑落の妨げとなりますので除去をします。ネットが外せない場合はポリマルチをかぶ

せてバンドで固定するなどして、滑落を促します。

③外張りフィルムのたるみ・破れ補修

外張りフィルムのたるみや破れを降雪前に補修します。ハウスバンドのねじれ・緩み

を修正します。

④暖房用燃料等の確認と点検・補修

暖房機が設置されている場合は燃料を満タンにしておきます。暖房機・付帯設備の

動作・配管・配線の点検・修理しておきます。

⑤暖房機での屋根雪の融雪準備

二重カーテンを少し開放して可能な範囲で室温を高めることで屋根雪の滑落を図りま

す。自動天窓は閉め切りにします。暖房機がなくストーブなどで補熱する場合は、

一酸化炭素発生のリスクがあるため、ハウスに入るときは換気が必要です。

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営農情報 平成29年1月

農作業安全管理機の巻き込み事故注意!食の安全安心農薬の調合順序は①展着剤②乳剤③水和剤・フロアブルの順。

※ 本資料の無断使用・複写・転載を禁じます JA全農ちば

降雪時・降雪後の処置

基本的には降雪前から降雪始めの作業を継続して行います。降雪が続く場合は、いった

ん収まった後、施設の安全が確認された時点で確認・除雪作業等を行ってください。作業

は、必ず複数人で対処しましょう。

①作業の安全確認

屋根やフィルムへの負荷や、変形が認められる場合は施設倒壊の危険性があるので内部

への侵入は控えます。屋根への積雪が少ない場合も、安全を十分確認したうえで作業を行

います。

②ハウス側面の除去徹底

ハウス側部に堆積した雪は屋根雪の滑落を妨げ、ハウス側壁を圧することとなるので、

なるべく速やかに除去します。

③除雪後のハウス点検

施設倒壊の恐れがなくなったことを確認の上、ハウス各部の損傷や緩みなどを総点検し

ます。

④ハウス点検後の補修

内外気温差が低下すると雪の滑落性も低下するため、施設の損傷や被覆資材の切断等は

早急に修復します。

⑤栽培管理の復旧・事後対策

作物が入っている場合は、室温の確保と、湿害防止のため融雪水の排水に努めます。

⑥作業の安全確保

破損が著しく解体する場合、パイプの跳ね返りなどで怪我をする危険性があります。

できるだけ業者や経験者の応援を要請し、十分安全確認して作業は複数人で行います。

作成:園芸資材課

この記事は全農の作成した「自然災害対策マニュアル」から抜粋・加筆修正しました。同書は下記

からご覧いただけます。全農千葉県本部のホームページにもリンクがあります。

「自然災害対策マニュアル」 http://www.agri.zennoh.or.jp/sizensaigai/index.asp