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新時代の道路交通安全の向上をめざして
NO.6景観ガイドラインに対応した開発商品
鋼製防護柵協会
防護柵は道路に沿って連続的に設置されることから、道路景観を構成する要素の一つとなっています。これ
まで、防護柵の色彩は白が標準的に用いられてきましたが、「美しい国づくり政策大綱」を契機に防護柵につい
ても景観に配慮したものが求められるようになりました。
このため、鋼製防護柵協会では国土交通省が設立した学識経験者等からなる「景観に配慮した防護柵推進検
討委員会」に委員として参画し、「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」(平成16年3月)の策定に協力し
てきました。
「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」の概要
経 緯
適用する道路と防護柵の種類
防護柵の課題
・植樹帯で歩行者の横断防止機能を確保しているため横断防止柵は必ずしも必要ない。
・外部への眺望が阻害されている。
1
全国の全ての道路を対象とし、「防護柵の設置基準・同解説」に定められた全ての防護柵を対象とします。
・歩行者が触れる施設としての配慮に欠けている。
・周辺景観の中で防護柵が目立っている。
2
1.防護柵設置の判断と対応防護柵を設置する場合は必要性を十分検討し、景観に優れた他施設での代替も考慮します。
2.形状①シンプルな形状(付加的な装飾の抑制)
防護柵は周辺景観に対して目立ちすぎないよう、シンプルな形状とします。
②透過性への配慮
主に自然景観や田園景観が広がっている地域では周辺への眺望を確保します。
③存在感の低減
主に橋梁部や中央分離帯に設置されるコンクリート製の壁型剛性防護柵は、面としての存在感が強い
ため、必要に応じてコンクリート壁面の存在感を低減させる工夫を行うことが望ましい。
④人との親和性等に配慮
ボルトなどの突起物、部材の継ぎ目などにより歩行者に危害を及ぼすことがなく、表裏感を緩和させ
たデザインなど、人との親和性に配慮します。
景観に配慮した防護柵整備にあたっての留意事項
・形状、色彩の異なる防護柵が隣接して設置されている。
・近接して設置される他の道路施設との景観的統一性がない。
「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」の概要
3
②透過性への配慮(ガードパイプ)
③存在感の低減 ④人との親和性に配慮
(ガードケーブル)
①シンプルな形状(ガードパイプ) (ガードケーブル)
4
3.色彩防護柵の色彩については、従来のように白を標準とするのではなく、それぞれの地域において地域特
性に応じた適切な色彩を選定することを原則とします。
鋼製防護柵については一般的な日本の自然、風土、建築物等との融和性から、ガードパイプはダーク
ブラウン(こげ茶色)を、ガードレールはグレーベージュ(薄灰茶色)とダークブラウン(こげ茶色)
を基本とする色として提示しています。加えて、歴史的街並みにおいてはダークグレー(濃灰色)を候
補色として提示しています。
4.防護柵の統一と他施設との調和防護柵自体が周辺景観に融和し、風景の一部として違和感なく存在し得るような形状・色彩の工夫を行
ない、景観的基調が同一の場合には、同一種類(形状、色)の防護柵を設置します。また、近接して設置
される他の道路付属物等との調和を図ります。
したがって景観配慮に関するマスタープランを作成するなど、一貫した考え方に基づく整備となるよう
にすることが基本です。
5.視線誘導への配慮防護柵については、地域特性に応じた景観への配慮を行い適切な色彩、形状を採用し、視線誘導が必要
な場合には視線誘導標など他の手段により確保します。
6.コストと維持管理防護柵は設置に係るコスト(イニシャルコスト)のみならず、維持管理、修繕に関わるコスト(ランニ
ングコスト)をも十分に考慮します。
※マンセル値マンセル値は、色を「色相 明度/彩度」で表記したもので、色を表現する値として一般に使われます。(例えば、マンセル値10YR8.5/0.5とは、色相が10YR、明度が8.5、彩度が0.5であることを示しています。)
■鋼製防護柵の基本とする色とその標準マンセル値
基本とする色の名称 標準マンセル値 ※ 具体的な色(参考)
ダークブラウン〔こげ茶〕 10YR 2.0/1.0 程度
グレーベージュ〔薄灰茶色〕 10YR 6.0/1.0 程度
ダークグレー 〔濃灰色〕 10YR 3.0/0.2 程度
平成16年3月「景観に配慮した防護柵の整備ガイドライン」が示され、道路管理者からの景観に対するニー
ズは今後ますます高まるものと考えられます。
鋼製防護柵協会に加盟する防護柵メーカー4社(JFE建材、住友金属建材、東京製綱、日鐵建材工業)では、
ガイドラインのニーズに対応した車両用防護柵の共同開発をしました。
景観ガイドライン対応型ガードパイプ
はじめに
● 安全性能「防護柵の設置基準・同解説(社)日本道路協会 H16.3」の性能規定に基づいた衝突実験により安全性能を確認しています。● シンプルな形状上段ビームのなめらかな連続性を確保しています。必要最小限の部材配置と構成にしています。● 優れた透過性ビームをパイプ材にすることで外部への眺望を確保しています。● 人との親和性に配慮したデザインボルトナットの突起を抑制しています。キャップ形状を工夫し表裏感のない印象としています。衣服や鞄が防護柵へ引っかかりにくい端部形状としています。● 景観に配慮した色彩ガイドラインで推奨されているダークブラウンを基本色とし、その他グレーベージュ、ダークグレーを候補色としています。● コストと維持管理安価かつ製品の維持管理が容易です。
特 長
5※合成写真です。
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「防護柵の設置基準・同解説」(H16.3)の性能規定に基づいた実車衝突実験を実施し、車両の逸脱防止性
能・乗員の安全性・車両の誘導性能などの必要な性能を有することを確認しました。
性能評価
大型車衝突実験
小型車衝突実験
B種 性能確認試験実施証書 C種 性能確認試験実施証書
○たわみ性複合型防護柵は下部が剛性、上部がたわみ性で構成された新しい車両用防護柵です。実車衝突実験等により車両の誘導性、乗員の安全性が確認されています。
○鋼製部の重量を剛性複合型防護柵より約30%軽減し、コストダウン、施工性の向上を実現しました。
○横梁・支柱の形状を剛性複合型防護柵に比べスリム化したことで、路外の眺望性が向上し、走行環境改善に寄与します。
たわみ性-鋼・コンクリート複合型防護柵
【 特 長 】
【 衝突実験状況 】 【 部材選定領域 】
7
・衝突実験は国土交通省国土技術政策総合研究所にてSB種で実施し、所定の性能を有することを確認、その他の種別については3次元衝突シミュレーション(動的有限要素解析:PAM-CRASHTM)で性能を確認しました。
・部材は静荷重試験を行い、選定領域で必要強度を検証します。
00 50 100 150
10
20
30
40
50
60
70
80
35kN
58kN
88kN
138kN
62kN・m
40kN・m
27kN・m
17kN・mSC種�
SA種�
SB種�
SS種�
支柱の極限支持力 Pw(kN)
横梁の極限曲げモーメント�
Mo(kN・m)
8
【 構造図 】
【 構成部材 】
注)「たわみ性」のアンカーボルトの設計荷重は、支柱の最大荷重を用います。そのため「たわみ性」のアンカーサイズが「剛性」に比べ、大きくなる場合があります。
たわみ性-鋼・コンクリート複合型防護柵(SB種) 剛性-鋼・コンクリート複合型防護柵(SB種)
支柱間隔2,000 支柱間隔2,000
スリーブ�
支柱間隔2,000 支柱間隔2,000スリーブ�
横 梁�
支 柱�
F . L
1100
500
600390
180
30
80
120
横 梁�
支 柱�
F . L
1100
500
600390
180
30
80
120
SS�
SA�
SB�
SC
138�
88�
58�
35
H160×150×9×9�
H130×150×6×9�
H125×150×6×6�
H100×125×4.5×6�
�
φ165.2×5.0�
φ139.8×4.5�
φ114.3×4.5�
φ114.3×3.5
SS400 STK490 2m
注記):sc種横梁は、上記以外にφ114.3×4.5(材質:SKT400)も適用できます。�
支柱間隔�衝突荷重F(kN)支 柱� 横 梁�
寸 法� 寸 法� 材質�材質�種別�
『トピックス』ボルトゆるみ及び脱落防止構造
・橋梁上の振動等でボルトにゆるみが発生した場合、ボルトの脱落を確実に防止する金具を開発しました。
注)当協会メーカー標準仕様の鋼製高欄ボルト部にはスプリングワッシャを使用し、ゆるみ・脱落が発生しにくいよう考慮されております。
取付状況 金具概略図
※特許、意匠出願中
t=0.7 SUS
t=0.7 SUS
φ17
φ17
φ30
25
28�
�
4040
0.7
0.7
D≦250
D≦250
D>250
D>250
H
H
H H
地覆
アスカーブ、縁石
対象物
距離 :D
(mm)
高 さの取 り方
250以下 路 面から 地 覆
250超 天 端から
250以下 路 面から
縁 石 250超 路面から アスカーブ・
連続基礎のボリューム例
種別 新基準 (H16.3)
旧基 準 (H10.11)
設 置要綱 (S47.10)
設計の 考え方
衝突荷重は分散 輪荷重を考慮
Pmaxすべ ての 支柱 に 作用
土 質量を 確保
C 0. 5×0.85 0.7×1. 4 0.5×0. 64
B 0. 5×0.85 0.7×1. 4 0.5×0. 77
A 0. 5×1.25 0.9×1. 7 0.5×1. 06
*)上記表記は“h×B”
設計条件
10 (m)
2
1.7 (t/m3)32.35 (t/m )
0.55
30 (度)
147 (kN/m )
路面摩擦
土のせん断抵抗角
許容支持力
基礎長さ
土の単位体積質量
コンクリートの単位体積質量
10
調査委員会への参画
基礎実験
今後の対応
実験装置(動的破壊試験機)
実車実験の様子 実験後の車両 実験後のガードレール
室内試験後の供試体
トピックス(防護柵への付着金属片 対応)
平成17年5月28日に発生した埼玉県での負傷事故をきっかけとして、道路管理者が中心となって緊急点検を実施したところ、全国で多数の付着金属片が発見されました。このようなことから、国土交通省は原因究明を目的に、専門家による「防護柵への付着金属片調査委員会」
を6月8日に設置し、鋼製防護柵協会も委員として参画いたしました。委員会では、調査・分析・実験等を行い、7月29日の最終委員会では、金属片はほぼ自動車に由来するもの
であると断定され、今後の考え方も示されました。
今後は、自主的に行った室内試験や実車試験の結果を活かし、国土交通省と連携を取りながら金属片の付着しにくい防護柵構造の研究を実施していきたいと考えております。
鋼製防護柵協会では、調査委員会開催中、自主的に室内試験・実車実験を実施して原因究明と対応策の基礎的研究を行いました。
(1)室内試験金属片の発生メカニズムや対策案についての基礎的な効果検証を行いました。
(2)実車試験対策案についての基礎的な効果検証を行いました。
■ 会 員 会 社 ■J F E 建 材 株 式 会 社神鋼建材工業株式会社住友金属建材株式会社東 京 製 綱 株 式 会 社日鐵建材工業株式会社
鋼製防護柵協会〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町3-2-10 鉄鋼会館5FTEL:03-5640-1848 FAX:03-5640-0535
E-mail:[email protected] H17.12.古紙配合率100%再生紙を使用しています�