報告書 本編 - 静岡県公式ホームページ ......5...

12
114 3.8 牛淵川 3.8.1 文献・ヒアリング調査 1)文献調査 文献調査は、表 3.8.1 に示す文献について整理を行った。 3.8.1 文献一覧 No 水域の概要 1 気象庁ホームページ http://www.jma.go.jp/jma/index.html 2 国土交通省中部地方整備局(2006)菊水系河川整備基本方針. 3 静岡県(2008)菊川水系河川整備計画(指定区間). 4 静岡県交通基盤部河川砂防管理課(2010)静岡県河川指定調書. No 水質状況 1 静岡県環境森林部生活環境室(2006)平成 17 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. 2 静岡県県民部環境局生活環境室(2007)平成 18 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. 3 静岡県県民部環境局生活環境室(2008)平成 19 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. 4 静岡県県民部環境局生活環境室(2009)平成 20 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. 5 静岡県くらし・環境部環境局生活環境課(2010)平成 21 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. No 河床構造 1 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所(2009)平成 20 年度菊川水系魚類調査報告書. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所. 2 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所(2010)平成 21 年度菊川水系底生動物調査報告書. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所. 3 静岡県自然環境調査委員会.県版レッドデータブック 調査票. No 横断工作物等 1 国土交通省中部地方整備局(2006)菊水系河川整備基本方針. 2 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所ホームページ http://www.cbr.mlit.go.jp/hamamatsu/ 3 国土交通省国土地理院 地図閲覧サービス「ウオッちず」 http://watchizu.gsi.go.jp/ 4 静岡県産業部水産業局水産資源室栽培養殖スタッフ(2008)遊漁のしおり(静岡県の漁場案内). No 産卵場所及び幼稚仔の生育状況 文献なし No 水生生物の生息状況 1 板井隆彦(1982)静岡県自然環境基本調査 淡水魚類調査報告書. 2 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所(2009)平成 20 年度菊川水系魚類調査報告書. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所. 3 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所(2010)平成 22 年度菊川水系底生動物調査報告書. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所. 4 増田 修・波部忠重(1989)静岡県陸淡水産貝類相.東海大学自然史博物館研究報告,第 3 号. 5 リバーフロント整備センター編(2006)中部の河川魚類図鑑.国土交通省中部地方整備局中部技術事務所. 6 静岡県自然環境調査委員会.県版レッドデータブック 調査票. (1) 水域の概要 牛淵川は菊川の支川で、延長 15.28 ㎞の 1 級河川である(静岡県交通基盤部河川砂防管理課, 2010)。その源は牧之原台地に発し、台地西側の丘陵地に沿って南に流下した後、平野に出て緩 やかに蛇行しながら、支川丹野川、小笠高橋川等を合わせて菊川に合流する(静岡県,2008)。 流域の年平均気温は 14.515.7℃(気象庁 HP http://www.jma.go.jp/jma/index.html:アメダ ス,菊川牧之原 20002009 年)と温暖な気候である。牛淵川中下流域には水田が広がり、河川 の水は農業用水として利用されている(静岡県,2008)。 (2) 水質状況 牛淵川の水域類型は全域において河川 B であり、毎年、静岡県によって環境基準点の鹿島橋、 補助地点の堂山橋において水質等の測定が実施されている。環境基準類型は鹿島橋、堂山橋で B 類型である。過去 5 年間(平成 1721 年度)の BOD、全亜鉛、水温の検出状況を以下に示す。

Upload: others

Post on 07-Aug-2020

4 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

  • 114

    3.8 牛淵川 3.8.1 文献・ヒアリング調査 1)文献調査

    文献調査は、表 3.8.1 に示す文献について整理を行った。

    表 3.8.1 文献一覧 No 水域の概要 1 気象庁ホームページ http://www.jma.go.jp/jma/index.html 2 国土交通省中部地方整備局(2006)菊水系河川整備基本方針. 3 静岡県(2008)菊川水系河川整備計画(指定区間). 4 静岡県交通基盤部河川砂防管理課(2010)静岡県河川指定調書.

    No 水質状況 1 静岡県環境森林部生活環境室(2006)平成 17 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. 2 静岡県県民部環境局生活環境室(2007)平成 18 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. 3 静岡県県民部環境局生活環境室(2008)平成 19 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. 4 静岡県県民部環境局生活環境室(2009)平成 20 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果. 5 静岡県くらし・環境部環境局生活環境課(2010)平成 21 年度 静岡県公共用水域及び地下水の水質測定結果.

    No 河床構造

    1 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所(2009)平成 20 年度菊川水系魚類調査報告書. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所.

    2 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所(2010)平成 21 年度菊川水系底生動物調査報告書. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所.

    3 静岡県自然環境調査委員会.県版レッドデータブック 調査票. No 横断工作物等 1 国土交通省中部地方整備局(2006)菊水系河川整備基本方針. 2 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所ホームページ http://www.cbr.mlit.go.jp/hamamatsu/ 3 国土交通省国土地理院 地図閲覧サービス「ウオッちず」 http://watchizu.gsi.go.jp/ 4 静岡県産業部水産業局水産資源室栽培養殖スタッフ(2008)遊漁のしおり(静岡県の漁場案内).

    No 産卵場所及び幼稚仔の生育状況 文献なし

    No 水生生物の生息状況 1 板井隆彦(1982)静岡県自然環境基本調査 淡水魚類調査報告書.

    2 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所(2009)平成 20 年度菊川水系魚類調査報告書. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所.

    3 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所(2010)平成 22 年度菊川水系底生動物調査報告書. 国土交通省中部地方整備局浜松河川国道事務所.

    4 増田 修・波部忠重(1989)静岡県陸淡水産貝類相.東海大学自然史博物館研究報告,第 3 号. 5 リバーフロント整備センター編(2006)中部の河川魚類図鑑.国土交通省中部地方整備局中部技術事務所. 6 静岡県自然環境調査委員会.県版レッドデータブック 調査票.

    (1) 水域の概要 牛淵川は菊川の支川で、延長 15.28 ㎞の 1 級河川である(静岡県交通基盤部河川砂防管理課,

    2010)。その源は牧之原台地に発し、台地西側の丘陵地に沿って南に流下した後、平野に出て緩やかに蛇行しながら、支川丹野川、小笠高橋川等を合わせて菊川に合流する(静岡県,2008)。

    流域の年平均気温は 14.5~15.7℃(気象庁 HP http://www.jma.go.jp/jma/index.html:アメダス,菊川牧之原 2000~2009 年)と温暖な気候である。牛淵川中下流域には水田が広がり、河川の水は農業用水として利用されている(静岡県,2008)。 (2) 水質状況 牛淵川の水域類型は全域において河川 B であり、毎年、静岡県によって環境基準点の鹿島橋、

    補助地点の堂山橋において水質等の測定が実施されている。環境基準類型は鹿島橋、堂山橋で B類型である。過去 5 年間(平成 17~21 年度)の BOD、全亜鉛、水温の検出状況を以下に示す。

  • 115

    ① BOD(生物化学的酸素要求量) 平成 17~21 年度における各地点の BOD 値を表 3.8.2 に示す。 年間の環境基準値の達成状況を評価する 75%水質値は、鹿島橋で 1.6~2.9mg/l、堂山橋で 2.0

    ~3.1mg/l であり、おおむね河川における生活環境の保全に関する環境基準値(鹿島橋・堂山橋:3mg/l 以下)よりも低い値で推移したが、堂山橋では平成 20 年度に基準値を上回った。

    表 3.8.2 牛淵川本流の環境基準点及び補助地点における BOD 値(mg/l) 鹿島橋 調査年度 堂山橋 調査年度

    【環境基準点】 H.17 H.18 H.19 H.20 H.21 【補助地点】 H.17 H.18 H.19 H.20 H.214月 2.7 1.6 2.8 1.7 1.6 4月 4.2 2.0 1.9 2.7 2.35月 2.8 1.4 2.8 2.3 1.6 5月 1.9 1.8 2.6 3.1 3.36月 3.0 1.5 1.8 1.4 1.5 6月 4.0 2.1 2.3 1.7 2.37月 1.5 1.4 1.9 1.0 1.4 7月 2.0 2.4 2.6 1.4 2.28月 1.1 1.7 1.2 2.5 1.0 8月 1.4 1.8 2.0 3.2 1.29月 0.9 1.0 1.0 1.0 1.0 9月 2.1 1.7 1.7 2.0 1.210月 2.5 1.3 1.8 2.0

  • 116

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    4月 6月 8月 10月 12月 2月

    水温

    (℃)

    鹿島橋

    H.17 H.18 H.19 H.20 H.21

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    4月 6月 8月 10月 12月 2月

    水温

    (℃)

    堂山橋

    H.17 H.18 H.19 H.20 H.21 図 3.8.1 牛淵川本流の環境基準点及び補助地点における平均水温の推移

    ③ 全亜鉛の検出状況

    平成 17~21 年度における各地点の全亜鉛の検出状況を表 3.8.4 に示す。 全亜鉛の検出状況は、鹿島橋で 0.002~0.019mg/l であり、河川における生活環境の保全に関す

    る環境基準値(0.03mg/l 以下)よりも低い値で推移した。なお、堂山橋では全亜鉛の測定は行われていない。

    表 3.8.4 牛淵川本流の環境基準点及び補助地点における全亜鉛の検出状況(mg/l)

    鹿島橋 調査年度 堂山橋 調査年度

    【環境基準点】 H.17 H.18 H.19 H.20 H.21 【補助地点】 H.17 H.18 H.19 H.20 H.214月 - 0.005 0.014 0.006 0.006 4月5月 0.006 0.009 0.012 0.008 0.005 5月6月 - 0.005 0.006 0.007 0.003 6月7月 0.007 0.008 0.010 0.008 0.005 7月8月 - 0.003 0.006 0.007 0.002 8月 測 測 測 測 測9月 0.004 0.007 0.007 0.007 0.004 9月 定 定 定 定 定10月 - 0.006 0.004 0.010 0.009 10月 無 無 無 無 無11月 0.004 0.005 0.008 0.005 0.007 11月 し し し し し12月 - 0.005 0.010 0.010 0.013 12月1月 0.007 0.012 0.007 0.006 0.007 1月2月 - 0.005 0.015 0.011 0.019 2月3月 0.009 0.011 0.008 0.007 0.009 3月

    0.009 0.012 0.015 0.011 0.019 - - - - -

    年最小 0.004 0.003 0.004 0.005 0.002 年最小 - - - - -0.019(5箇年最大) -

    年最大年最大

    (3) 河床構造 文献調査において河床構造の記述が確認できたのは 2 地点であった(表 3.8.5)。 牛淵川の河床材料は泥から石で構成されていた。

    表 3.8.5 牛淵川本流の河床構造

    地点・距離 中嶋橋 前川橋 河床材料/植生

    2.8 10.2 岩盤またはコンクリート

    大石 (500mm 以上) 石 (100~500mm) ○ 砂礫 (0.074~100mm) ◎ ○ 泥 (0.074mm 以下) ○

    植生状況 ◎ 凡例)○:存在 ◎:多く存在

  • 117

    (4) 横断工作物等 河口から起点までの区間に 9 基の横断工作物が確認された(表 3.8.6、図 3.7.2)。魚道の有無に

    ついては不明であった。

    表 3.8.6 牛淵川本流に設置されている横断工作物 No. 名称 距離(km) 種類 魚道

    1 鹿島堰 0.2 堰 不明 2 下平川 1 号床止工 5.5 床固 不明 3 下平川 2 号床止工 5.8 床固 不明 4 下平川堰 6.6 堰堤 不明 5 東横地床止工 10.3 床固 不明 6 神尾床止工 10.6 床固 不明 7 八幡井堰 11.8 堰 不明 8 神尾床止工その 2 12.3 床固 不明 9 名称不明 13.9 不明 不明

    (5) 漁業権の設定状況

    ① 漁業権の設定状況等 牛淵川において漁業権が設定されている区間はない。

    ② 主要魚介類の分布と放流状況 牛淵川において魚介類の放流は行われていない。

    (6) 産卵場及所び幼稚仔の生育状況 産卵場及び幼稚仔の生息状況に関する資料は確認されなかったため不明である。

    (7) 水生生物の生息状況

    ① 魚介類相 文献調査において、魚類 7 目 14 科 32 種、貝類 4 目 4 科 5 種、甲殻類 1 目 5 科 5 種が確認され

    た(表 3.8.7)。 文献調査において場所が特定できる調査地点は中嶋橋、

    小笠高橋川合流部、丹野川合流部、前川橋の 4 地点であった。 確認された魚介類の生活型についてみると、純淡水性の

    種が 56%と多く、汽水・海水性の種は 16%と少なかった。確認地点別にみると純淡水性及び回遊性の種はすべての地

    点で確認されたが、汽水・海水性の種は下流の 2 地点だけで確認されていた。確認種数は中嶋橋 28 種(魚類 21 種、貝類 3 種、甲殻類 4 種)、小笠高橋川合流部 30 種(魚類 30種)と多かったが、丹野川合流部 8 種(魚類 8 種)、前川橋12 種(魚類 10 種、甲殻類 2 種)と少なかった。なお、イシガイ、マシジミの 2 種は確認位置が不明であった。

    純淡水

    56%回遊28%

    汽水・

    海水

    16%

    純淡水 回遊 汽水・海水

    図 3.8.2 確認種の生活型割合

  • 118

    確認種のうち、重要種として魚類 7 種、貝類 2 種が確認された。 外来種は魚類 6 種、貝類 2 種、甲殻類 1 種が確認された。そのうちブルーギル、オオクチバス

    は特定外来生物に、タイリクバラタナゴ、カムルチー、タイワンシジミ、アメリカザリガニは要

    注意外来生物に指定されている。

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋

    魚類

    純淡水 回遊 汽水・海水

    0

    5

    10

    中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋

    貝類

    純淡水 回遊 汽水・海水

    0

    5

    10

    中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋

    甲殻類

    純淡水 回遊 汽水・海水

    種数

    図 3.8.3 地点別の魚介類確認状況

    表 3.8.7 魚介類確認種一覧(文献調査)

    重要種 地点・距離No. 分類群 目名 科名 種名 生活型 国 県(西) 外来種 中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋

    2.8 3.2 5.0 10.21 魚類 カライワシ イセゴイ イセゴイ 汽水・海水 N-Ⅲ ●2 ウナギ ウナギ ウナギ 回遊 DD ● ●3 コイ コイ コイ 純淡水 ● ●4 ゲンゴロウブナ 純淡水 国内 ● ●5 ギンブナ 純淡水 ● ● ●

    フナ属 純淡水 ● ●

    6 タイリクバラタナゴ 純淡水 要注意 ● ● ● ●7 オイカワ 純淡水 ● ● ● ●8 カワムツ 純淡水 N-Ⅱ/★ ●9 カワバタモロコ 純淡水 EN CR ●

    10 ウグイ 回遊 ● ● ●11 モツゴ 純淡水 ● ● ●12 タモロコ 純淡水 ● ● ●13 カマツカ 純淡水 ● ● ●14 ニゴイ 純淡水 国内 ●15 ドジョウ ドジョウ 純淡水 ● ●16 ナマズ ナマズ ナマズ 純淡水 ● ● ●17 サケ アユ アユ 回遊 ● ● ●18 ダツ メダカ メダカ 純淡水 VU NT/★ ● ● ●19 スズキ スズキ スズキ 汽水・海水 ● ●20 ユゴイ ユゴイ 回遊 N-Ⅲ ●21 サンフィッシュ ブルーギル 純淡水 特定 ● ●22 オオクチバス(ブラックバス) 純淡水 特定 ●23 タイ キチヌ 汽水・海水 ●24 ボラ ボラ 汽水・海水 ● ●

    ボラ科 汽水・海水 ●

    25 ハゼ カワアナゴ 回遊 N-Ⅲ ●26 ウキゴリ 回遊 ●27 マハゼ 汽水・海水 ● ●28 ゴクラクハゼ 回遊 ● ●29 シマヨシノボリ 回遊 ● ● ● ●30 カワヨシノボリ 純淡水 ●31 ヌマチチブ 回遊 ● ●32 タイワンドジョウ カムルチー 純淡水 要注意 ●

    タイワンドジョウ属 純淡水 ●

    7目 14科 32種 7種 6種 21種 30種 8種 10種 0種1 貝類 アマオブネガイ アマオブネガイ イシマキガイ 汽水・海水 ●2 基眼 サカマキガイ サカマキガイ 純淡水 国外 ●3 イシガイ イシガイ イシガイ 純淡水 NT ●4 マルスダレガイ シジミ タイワンシジミ 純淡水 要注意 ●5 マシジミ 純淡水 NT ●

    4目 4科 5種 2種 2種 3種 0種 0種 0種 2種1 甲殻類 エビ ヌマエビ ミゾレヌマエビ 回遊 ●2 テナガエビ テナガエビ 回遊 ●3 アメリカザリガニ アメリカザリガニ 純淡水 要注意 ● ●4 ベンケイガニ クロベンケイガニ 汽水・海水 ●5 モクズガニ モクズガニ 回遊 ●

    1目 5科 5種 0種 1種 4種 0種 0種 2種 0種文献No. 2,3 5 1 6 4

    注) ・目名、科名、種名及び配列は主に国土交通省(2010)に従った。・生活型について、魚類はリバーフロント整備センター(2006)及び川那部ほか編(2001)を参考に区分した。・外来種について、板井(1982)、日本生態学会編(2002)を参考に区分した。・○○属の場合、他に同じ属の種がリストアップされている場合には種数を計上せず、他に同じ属の種がリストアップされていない場合には1種として計上する。

    凡例)生活型  純淡水:淡水域に生息する種  回遊:海と河川を行き来する回遊性の種  汽水・海水:主に汽水・海水域に生息する種

    重要種  CR:絶滅危惧ⅠA類  EN:絶滅危惧ⅠB類  VU:絶滅危惧Ⅱ類  NT:準絶滅危惧  DD:情報不足  N-Ⅱ:分布上注目種等  N-Ⅲ:部会注目種  /★:天然分布区域への移入あり   国:甲殻類は環境省自然環境局野生生物課(2006)、魚類・貝類は環境省自然環境局野生生物課(2007)から抽出した   県(西):魚類は静岡県(2007)静岡県版レッドリスト淡水魚別表(西部地域)、貝類は静岡県自然環境調査委員会編(2004)から抽出した外来種  国内:国内移入  国外:国外移入  特定:特定外来生物  要注意:要注意外来生物

    文献番号 表3.8.1参照

    不明

  • 119

    ② 水域類型に対応する魚介類 文献調査で確認された種について、水生生物保全環境基準(資料編 6)にあてはめるため、環

    境省類型生物及び静岡県類型生物に選定されている種を抽出した。 その結果、生物 A は 1 種(魚類 1 種)、生物 B は 13 種(魚類 10 種、貝類 1 種、甲殻類 2 種)、

    その他の類型は 1 種(魚類 1 種)が抽出された(表 3.8.8)。生物 A の種は前川橋で 1 種が確認されただけであった。生物 B の種はすべての地点で 4~10 種が確認され、中嶋橋、小笠高橋川合流部で 10 種と多かった。その他の種は中嶋橋、小笠高橋川合流部、丹野川合流部で 1 種が確認された。なお、生物 B のマシジミは確認位置が不明であった。

    表 3.8.8 水域類型に対応する魚介類の確認状況(文献調査) 類型 地点・距離

    No. 分類群 種名 環境省 静岡県 中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋2.8 3.2 5.0 10.2

    1 魚類 カワヨシノボリ 生物A ●1種 0種 0種 0種 1種 0種

    1 魚類 ウナギ 生物B ● ●2 コイ 生物B ● ●3 ゲンゴロウブナ 生物B ● ●4 ギンブナ 生物B ● ● ●

    フナ属 生物B ● ●5 オイカワ 生物B ● ● ● ●6 ウグイ 生物B ● ● ●7 ドジョウ 生物B ● ●8 ナマズ 生物B ● ● ●9 ボラ 生物B ● ●

    10 シマヨシノボリ 生物B ● ● ● ●11 貝類 マシジミ 生物B ●12 甲殻類 テナガエビ 生物B ●13 モクズガニ 生物B ●

    13種 10種 10種 4種 6種 1種1 魚類 アユ その他 ● ● ●

    1種 1種 1種 1種 0種 0種文献No. 2,3 5 1 6 4

    注) ・種名及び配列は主に国土交通省(2010)に従った。・○○属の場合、他に同じ属の種がリストアップされている場合には種数を計上せず、他に同じ属の種がリストアップされていない場合には1種として計上する。

    凡例)類型  生物A:イワナ、サケ・マス等比較的低温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域    生物B:コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域    その他:生息状況について把握しておくことが必要な種

      環境省:中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準類型指定専門委員会(2006)から抽出した  静岡県:静岡県環境審議会水質部会(2010)から抽出した文献番号 表3.8.1参照

    不明

    2)ヒアリング調査 表 3.8.9 に牛淵川の魚介類生息状況に関するヒアリング調査結果の整理を示す。なお、各ヒア

    リング議事録は、資料編(ヒアリング調査議事録)に示す。

    表 3.8.9 牛淵川の魚介類生息状況に関するヒアリング調査結果の整理 ヒアリング項目 内容

    魚介類の生息に関する情報 ・ 文献調査で確認されたもの以外に追加すべき生息種はない(板井)。

    注)板井:板井隆彦氏(静岡県自然史博物館ネットワーク理事)

  • 120

    3.8.2 調査結果のとりまとめ 1)魚介類相

    文献及びヒアリング調査の結果、牛淵川において魚類 7 目 14 科 32 種、貝類 4 目 4 科 5 種、甲殻類 1 目 5 科 5 種が確認された(表 3.8.10)。 場所が特定できる調査地点は中嶋橋、小笠高橋川合流部、丹野川合流部、前川橋の 4 地点であ

    った。 確認された魚介類の生活型についてみると、純淡水性の種が多く確認された。確認地点別にみ

    ると純淡水性及び回遊性の種はすべての地点で確認されたが、汽水・海水性の種は下流の 2 地点だけで確認されていた。確認種数は中嶋橋 28 種(魚類 21 種、貝類 3 種、甲殻類 4 種)、小笠高橋川合流部 30 種(魚類 30 種)と多かったが、丹野川合流部から上流の地点では大きく減少している。なお、イシガイ、マシジミの 2 種は確認位置が不明であった。 確認種のうち、重要種として魚類 7 種、貝類 2 種が確認された。 外来種は魚類 6 種、貝類 2 種、甲殻類 1 種が確認された。そのうちブルーギル、オオクチバス

    は特定外来生物に、タイリクバラタナゴ、カムルチー、タイワンシジミ、アメリカザリガニは要

    注意外来生物に指定されている。 牛淵川の源である牧ノ原台地は標高 300m 程度と低く、渓流にすむアマゴは生息していない(板

    井,1982)。

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    30

    35

    中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋

    魚類

    純淡水 回遊 汽水・海水

    0

    5

    10

    中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋

    貝類

    純淡水 回遊 汽水・海水

    0

    5

    10

    中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋

    甲殻類

    純淡水 回遊 汽水・海水

    種数

    図 3.8.4 地点ごとの確認状況(文献・ヒアリング調査)

  • 121

    表 3.8.10 牛淵川魚介類確認種一覧(文献・ヒアリング調査) 重要種 地点・距離

    No. 分類群 目名 科名 種名 生活型 国 県(西) 外来種 中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋2.8 3.2 5.0 10.2

    1 魚類 カライワシ イセゴイ イセゴイ 汽水・海水 N-Ⅲ ●2 ウナギ ウナギ ウナギ 回遊 DD ● ●3 コイ コイ コイ 純淡水 ● ●4 ゲンゴロウブナ 純淡水 国内 ● ●5 ギンブナ 純淡水 ● ● ●

    フナ属 純淡水 ● ●

    6 タイリクバラタナゴ 純淡水 要注意 ● ● ● ●7 オイカワ 純淡水 ● ● ● ●8 カワムツ 純淡水 N-Ⅱ/★ ●9 カワバタモロコ 純淡水 EN CR ●

    10 ウグイ 回遊 ● ● ●11 モツゴ 純淡水 ● ● ●12 タモロコ 純淡水 ● ● ●13 カマツカ 純淡水 ● ● ●14 ニゴイ 純淡水 国内 ●15 ドジョウ ドジョウ 純淡水 ● ●16 ナマズ ナマズ ナマズ 純淡水 ● ● ●17 サケ アユ アユ 回遊 ● ● ●18 ダツ メダカ メダカ 純淡水 VU NT/★ ● ● ●19 スズキ スズキ スズキ 汽水・海水 ● ●20 ユゴイ ユゴイ 回遊 N-Ⅲ ●21 サンフィッシュ ブルーギル 純淡水 特定 ● ●22 オオクチバス(ブラックバス) 純淡水 特定 ●23 タイ キチヌ 汽水・海水 ●24 ボラ ボラ 汽水・海水 ● ●

    ボラ科 汽水・海水 ●

    25 ハゼ カワアナゴ 回遊 N-Ⅲ ●26 ウキゴリ 回遊 ●27 マハゼ 汽水・海水 ● ●28 ゴクラクハゼ 回遊 ● ●29 シマヨシノボリ 回遊 ● ● ● ●30 カワヨシノボリ 純淡水 ●31 ヌマチチブ 回遊 ● ●32 タイワンドジョウ カムルチー 純淡水 要注意 ●

    タイワンドジョウ属 純淡水 ●

    7目 14科 32種 7種 6種 21種 30種 8種 10種 0種1 貝類 アマオブネガイ アマオブネガイ イシマキガイ 汽水・海水 ●2 基眼 サカマキガイ サカマキガイ 純淡水 国外 ●3 イシガイ イシガイ イシガイ 純淡水 NT ●4 マルスダレガイ シジミ タイワンシジミ 純淡水 要注意 ●5 マシジミ 純淡水 NT ●

    4目 4科 5種 2種 2種 3種 0種 0種 0種 2種1 甲殻類 エビ ヌマエビ ミゾレヌマエビ 回遊 ●2 テナガエビ テナガエビ 回遊 ●3 アメリカザリガニ アメリカザリガニ 純淡水 要注意 ● ●4 ベンケイガニ クロベンケイガニ 汽水・海水 ●5 モクズガニ モクズガニ 回遊 ●

    1目 5科 5種 0種 1種 4種 0種 0種 2種 0種文献No. 2,3 5 1 6 4

    注) ・目名、科名、種名及び配列は主に国土交通省(2010)に従った。・生活型について、魚類はリバーフロント整備センター(2006)及び川那部ほか編(2001)を参考に区分した。・外来種について、板井(1982)、日本生態学会編(2002)を参考に区分した。・○○属の場合、他に同じ属の種がリストアップされている場合には種数を計上せず、他に同じ属の種がリストアップされていない場合には1種として計上する。

    凡例)生活型  純淡水:淡水域に生息する種  回遊:海と河川を行き来する回遊性の種  汽水・海水:主に汽水・海水域に生息する種

    重要種  CR:絶滅危惧ⅠA類  EN:絶滅危惧ⅠB類  VU:絶滅危惧Ⅱ類  NT:準絶滅危惧  DD:情報不足  N-Ⅱ:分布上注目種等  N-Ⅲ:部会注目種  /★:天然分布区域への移入あり   国:甲殻類は環境省自然環境局野生生物課(2006)、魚類・貝類は環境省自然環境局野生生物課(2007)から抽出した   県(西):魚類は静岡県(2007)静岡県版レッドリスト淡水魚別表(西部地域)、貝類は静岡県自然環境調査委員会編(2004)から抽出した外来種  国内:国内移入  国外:国外移入  特定:特定外来生物  要注意:要注意外来生物

    文献番号 表3.8.1参照

    不明

  • 122

    2)水域類型に対応する魚介類 文献及びヒアリング調査の結果、菊川において水域類型に対応する魚介類は、生物 A は 1 種(魚

    類 1 種)、生物 B は 13 種(魚類 10 種、貝類 1 種、甲殻類 2 種)、その他の類型の種は 1 種(魚類1 種)が確認された(表 3.8.11)。 生物 A のカワヨシノボリは前川橋だけで確認された。生物 B の種はすべての地点で 4~10 種が確認され、シマヨシノボリはすべての地点で確認された。その他の種は前川橋を除くすべての地

    点で確認された。 産卵場及び幼稚仔魚の生息場に関する情報は確認されなかった。

    表 3.8.11 水域類型に対応する魚介類一覧(文献・ヒアリング調査)

    類型 地点・距離No. 分類群 種名 環境省 静岡県 中嶋橋 小笠高橋川合流部 丹野川合流部 前川橋

    2.8 3.2 5.0 10.21 魚類 カワヨシノボリ 生物A ●

    1種 0種 0種 0種 1種 0種1 魚類 ウナギ 生物B ● ●2 コイ 生物B ● ●3 ゲンゴロウブナ 生物B ● ●4 ギンブナ 生物B ● ● ●

    フナ属 生物B ● ●5 オイカワ 生物B ● ● ● ●6 ウグイ 生物B ● ● ●7 ドジョウ 生物B ● ●8 ナマズ 生物B ● ● ●9 ボラ 生物B ● ●

    10 シマヨシノボリ 生物B ● ● ● ●11 貝類 マシジミ 生物B ●12 甲殻類 テナガエビ 生物B ●13 モクズガニ 生物B ●

    13種 10種 10種 4種 6種 1種1 魚類 アユ その他 ● ● ●

    1種 1種 1種 1種 0種 0種文献No. 2,3 5 1 6 4

    注) ・種名及び配列は主に国土交通省(2010)に従った。・○○属の場合、他に同じ属の種がリストアップされている場合には種数を計上せず、他に同じ属の種がリストアップされていない場合には1種として計上する。

    凡例)類型  生物A:イワナ、サケ・マス等比較的低温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域    生物B:コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域    その他:生息状況について把握しておくことが必要な種

      環境省:中央環境審議会水環境部会水生生物保全環境基準類型指定専門委員会(2006)から抽出した  静岡県:静岡県環境審議会水質部会(2010)から抽出した文献番号 表3.8.1参照

    不明

  • 123

    3.8.3 牛淵川における類型あてはめ案 1)生息域の検討 (1) 生物 A 生物 A の種は魚類 1 種が確認されたが、環境省類型生物の生物 A の種は確認されなかった。 牛淵川では前川橋(10.2km 地点)でカワヨシノボリが確認されただけであった。 牛淵川における水温は、年最高水温が鹿島橋(0.4km 地点)で 26.4~29.8℃、堂山橋(3.9km

    地点)で 25.1~30.7℃と高い。これより上流における水温は不明であるが、牛淵川の源である牧ノ原台地は標高が 300m と低いため、水温は比較的高いと推測される。また、牧ノ原台地を水源とする河川にはアマゴは天然分布しない(板井,1982)。以上から、生物 A の種の生息に適した水域は少ないと推測される。 (2) 生物 B 生物 B の種は、魚類 10 種、貝類 1 種、甲殻類 2 種が確認された。 すべての地点で 4~10 種が確認され、上流の前川橋においても 6 種が確認された。また、オイ

    カワ、シマヨシノボリの 2 種はすべての地点で確認された。 以上から、牛淵川全域が生物 B の種の生息に適すると考えられる。

    2)類型あてはめ案 生物 A 及び生物 B の種の確認状況、環境基準点及び補助地点における水質の状況から、牛淵川

    の水生生物の保全に係る環境基準の類型あてはめは、全域において生物 B とすることが適当であると考えられる(表 3.8.12、図 3.8.5)。

    表 3.8.12 牛淵川の類型あてはめ案

    項目 全域 水域類型 河川 B 基準点等 鹿島橋 堂山橋

    水温 年平均 16.7℃(年最高 29.8℃) 年平均 17.1℃(年最高 30.7℃) BOD 環境基準類型 B 環境基準類型 B 水質

    全亜鉛 基準値以下 基準値以下 水域類型に対応 する魚介類 生物 B:11 種

    生物 A:1 種(国:0 種) 生物 B:7 種

    放流状況 放流なし 放流なし 類型あてはめ案 生物 B

    凡例)水温 年平均値の 5 箇年平均及び 5 箇年の最高値 BOD 環境基準類型 B:3mg/l 以下 全亜鉛 基準値:0.03mg/l 以下 水域類型に対応する魚介類(生物 A だけ) 国:環境省類型生物

  • 124

    図 3.8.5 牛淵川の類型あてはめ案

  • 125

    表 3.8.13 牛淵川総括表

    横断工作物・ 菊川 ← 牛淵川

    主な流入河川↓

    ↑ ↑小笠高橋川 丹野川

    距離(km) 延長 15.28km 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15

    調査地点鹿島橋

    中嶋橋

    小笠高橋川合流部

    堂山橋

    丹野川合流部

    前川橋

    地点位置(km) 0.4 2.8 3.2 3.9 5.0 10.2

    文献調査 4地点 ● ● ● ●ヒアリング調査 0地点

    横断工作物 9地点鹿島堰

    下平川1号床止工

    下平川2号床止工

    下平川堰

    東横地床止工

    神尾床止工

    八幡井堰

    神尾床止工その2

    床固工

    水域類型 河川B環境基準点(●)、補助地点(○) ● ○

    平均 (℃) 16.7 17.1

    最高 (℃) 29.8 30.7

    最低 (℃) 4.8 5.5BOD (75%値,mg/L) 2.3 2.6

    全亜鉛 (mg/L) 0.019 -環境基準類型 類型B

    岩盤またはコンクリート大石 (500mm以上)石  (100~500mm)砂礫 (0.074~100mm)泥  (0.074mm以下)

    カワヨシノボリ ●ウナギ ● ●コイ ● ●ゲンゴロウブナ ● ●ギンブナ ● ● ●フナ属 ● ●オイカワ ● ● ● ●ウグイ ● ● ●ドジョウ ● ●ナマズ ● ● ●ボラ ● ●シマヨシノボリ ● ● ● ●マシジミテナガエビ ●モクズガニ ●アユ ● ● ●

    漁業権設定生物B

    凡例) 水質 水温:最近5年間の年平均水温の平均値,最高値,最低値  BOD(75%値):最近5年間のBOD年75%値の平均値  全亜鉛:最近5年間の全亜鉛の最大値

    河床材料 ■:多く存在  ■:存在

    確認種 ●:文献調査で確認

    注) マシジミは確認位置が不明。

    類型あてはめ案

    水質

    水温

    河床材料

    生物A

    生物B

    その他