水産研究...
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水産研究まぐろ類の研究に期待するもの
東京海洋大学理事・副学長岡本信明
水産基本法
• 水産物の安定供給の確保• 水産業の健全な発展
水産基本計画に基づく水産研究・技術開発戦略
• 水産資源の回復・管理及び積極的な増養殖の推進
• 国際的競争力のある経営体の育成・確保と活力ある漁業生産構造構築
• 水産物の安定供給を図るための加工・流通・消費
• 漁港・魚場・漁村の総合的整備と水産業・漁村の多面的機能の発揮
• 将来の水産業を切り拓く基礎的、先導的な研究
マグロの文字が使われている個所
• マグロ類等重要魚種の資源動態の解明と合理的管理方法の開発・促進
• 借り腹技術を活用した革新的なマグロ育成技術の開発
• マグロ等の鮮度及び食感保持のための技術開発、トレーサビリティ・システムの導入のための技術開発
• 将来の育種素材としてのクロマグロ等のゲノム解析の推進
本シンポジウムの副題 「未来の話をしよう」
世界の水産物生産の現状と将来
FAO(国際食料農業機関)による世界の水産物受給見通し(2010年の予測)
魚介類の需給予測
日刊水産経済新聞 2006年9月7日
養殖のポテンシャリティ
サケ、マスを例として
サケ・マスの漁獲量:天然70万トン、養殖130万トン
国内生産量(漁獲量)と輸入量:国内:25-30万トン、
輸入:25-35万トン
国内生産輸入
国内スーパーマーケットに並んでいるサケはほとんどが輸入品。
国内産は加工品(缶詰、お茶漬け)
サケ 100円/100g
ブタ 150円/100g
牛 350円/100g
サケは畜産物と比べて
格安!
養殖とは
骨のある雑魚を、骨の無い肉片に効率よく変えるもの。
養殖サケの飼料効率は1.2。(1kgの魚を作るのに1.2kgの飼料を与えればよい。)
魚1kg1.2kg餌
たいへん効率が良い!
魚粉(雑魚)
魚食生活の将来像
養殖魚(フィレー、刺身、切り身)
サケ 約1m マグロ 約2m
フィーレ
・骨なしのフィレー、切り身、刺身が一般化
・これを可能にする大型養殖魚が大量生産される。旬の味をいつでも提供可能
・マグロは格好のターゲット
食卓は養殖魚でいっぱい
インドネシアのエビの養殖場
マグロ養殖のオリンピック
ゴールは大衆化した世界の食卓
目指せ100万トン!
マグロオリンピックの強化策同時多元的研究開発
• 種苗生産の安定化---基本技術、 も大切
マダイ、シマアジなどでの知恵に期待
• 育種---商品化に威力
育種素材の開発、マーカー選抜育種、全ゲノム解読
• 餌の確保---根本的課題
混獲雑魚、未利用・過剰資源、加工残渣・代替原料利用
• 養殖場所と養殖方法---100万トン生産に必須
世界第6位の排他的経済水域(EEZ),工学的技術導入
未来予想とマグロ願望
• マグロは大衆化した世界の食卓の定食メニューになる
• マグロオリンピックは日本が参加しなくても開催される
• マグロオリンピックのゴールは優良商品の100万トン生産
• 我が国の水産世界戦略としてマグロを使おう---EEZで勝負!
• 優れた監督・コーチのもと、オールジャパンで取り組もう---種目別優勝ではダメで、総合優勝が必要
新の養殖技術革新
借り腹とマーカー選抜育種
魚の‘‘借り腹’’
マグロ類(サバ科)
マグロの種苗生産!
サバに借り腹して、
体が小さく、短い飼育期間で成熟する近縁種
体が大きく、親になるまでに長い期間を要する魚
魚の‘‘借り腹’’技術は、
・小型水槽での大型魚種の種苗生産を可能にする
メスの卵巣内では卵になり、オスの精巣内では精子になることができる、非常に魅力的な細胞
始原生殖細胞しげん せいしょく さいぼう
性(オス・メス)が決まる以前の稚魚期にだけ存在する特別な細胞
始原生殖細胞
将来、卵巣・精巣になるフクロ (未分化生殖腺)
の、目的地は 始原生殖細胞は、自分のチカラで、フクロの中へ向って、移動して行った
このフクロを取り出してみると・・
移植した始原生殖細胞
移植から6ヶ月後に、借り腹した魚の卵巣・精巣を観察してみると
オス
メスメス
オス
脊椎動物ではじめて、始原生殖細胞の移植による異種間での借り腹に成功した
ヤマメから生まれたニジマス2003/3/22
マーカー選抜育種
Lymphocystis disease (LCD)
Linkage map of LG15 in BAA familyLinkage map of LG15 in BAA family
LCDLCD--resistant resistant locuslocus
14.7 14.7 cMcM
0.73 0.73 cMcM
2.94 2.94 cMcM
Poli.9-8TUF-R
Poli.15-35TUF-R
Poli.121TUF-R
EEZでの養殖を可能にする技術開発=工学的技術導入
沿岸域
大陸棚
IEEE Journal of Oceanic Engeneering 2005 30(1) p20
マグロ
マグロ沖合養殖用の「いけす」船を設計しているチームがいる。
IEEE Journal of Oceanic Engeneering 2005 30(1) p20
IEEE Journal of Oceanic Engeneering 2005 30(1) p20
海中送信機を敷設して魚を制御することで、網のような構造物なしで魚を管理することができる
海中送信機
ロボットによる監視、指令
自然エネルギー
魚介類の行動制御による非囲い込み型養殖システム②
日本の排他的経済水域世界第6位
戦略的生産技術開発と工学的技術導入で耕そう!
マグロはウシ、ブタと並ぶ食肉供給源
・マーケットのグローバルな拡大は、資本
導入を加速させ、マグロを大衆化する
・技術革新の国際競争が激化する
海洋国日本は、この競争に
負けられない!
・・・
Looking into the future with hope in the sea