海岸域における マイクロプラスチックの 調査手法 …まとめ •...
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海岸域における マイクロプラスチックの
調査手法の確立
静岡県環境衛生科学研究所
環境科学部
○鈴木光彰
村中康秀
伏見典晃
神谷貴文
小郷沙矢香
岡智也
長島由佳
平松裕志
1
マイクロプラスチックとは
製造された時点で既に5mm以下
紫外線や熱などにより劣化し粉々に
5mm以下の微細なプラスチック粒子
熱 UV
一次マイクロプラスチック
二次マイクロプラスチック
2
マイクロビーズなど
プラスチック海洋汚染の現状
3
環境省の調査結果(H26~28:沖合海域)
網口:75×75cm (0.56㎡)
網目:350μm
航速度:2~3ノット(約4.6km/h)
曳航時間:20 min.
種 類 平均
マイクロプラスチック※ 2.7
発泡スチロール片 0.57
糸くず 0.09
※大半はPE,PP
H28 沖合海域における漂流・海底ごみ実態把握調査業務報告書より
浮遊密度(個/㎥)(5mm以下のもの)
調査方法
4
研究の目的
県内のマイクロプラスチック汚染の現状を把握
海岸域で、様々な種類を、簡便に
マイクロプラスチックの調査手法を確立
・発生源となるプラスチックごみ排出削減対策・県内の汚染の現状の把握・マイクロプラスチックの調査手法(標準的手法がない)
今年度今年度
来年度以降来年度以降
課題課題
5
1
調査場所
6
焼津市浜当目海岸
朝比奈川
海水
採取
50m
プラ
ゴミ
砂
採取
方法
2
試料採取方法 砂
・満潮線上の砂を採取
・採取量:2.5L (0.25㎡)砂表面の深さ1cm×50cm×50cm
50cm
50cm
1cm 満潮線
7
PP
3
調査対象プラスチック
日本プラスチック工業連盟資料より
PE:ポリエチレンPP:ポリプロピレンPVC:ポリ塩化ビニルPS:ポリスチレンPET:ポリエチレンテレフタ
レートABS:ABS樹脂PC:ポリカーボネートPA:ポリアミド(ナイロン)PVA:ポリビニルアルコールPMMA:メタクリル樹脂PF:フェノール樹脂PU:ポリウレタン(液状)EP:エポキシ樹脂
プラスチック素材生産量(2017)
PE
PS
PVC
PET
ABS
PU
レジ袋
ストロー
ペットボトルキャップ
電気コード
ペットボトル本体
CDケース
PC筐体 スポンジ
PA
ストッキング
ペットボトル
フィルム
PVA接着剤
8
砂海水
(単位:千トン)
4
比重分離 砂
海水1.025
70%NaI1.5 GF強化樹脂
70%NaI溶液(比重1.5)
に設定
9
海水
スプーンすくい+傾斜法 オーバーフロー法
撹拌直後 1時間後
3時間後 6時間後
5
砂からの分離・回収
分離 回収6時間以上
静置する
6時間以上
静置する
10
砂オーバー
フロー式
で
オーバー
フロー式
で
6
その他の工夫
●超音波振動→砂との分離、回収率をよくする。
●● 3030%過酸化水素(%過酸化水素(HH 22
OO
22
)処理)処理
→有機物(プランクトンなど)を分解する。
●● 3つに分画3つに分画
→3㎛メンブレンフィルターと106㎛・425㎛のふるいでろ過し、目視選別・FT-IR解析を容易に。
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砂
425㎛~106~425㎛~106㎛
7
添加回収試験
12
添加
数回収
数回収率
25個 25個 100%
96%25個 24個 96%
25個 23個 92%
PET ①
PET ①
PET ②
PET ②
PVCPVC
約0.5~1mmにカット
砂
砂8
砂からの分離・選別フロー
13
ふるい選別
4.75mm
ふるい選別
4.75mm
砂試料300mL砂試料300mL
70%NaI溶液
撹拌+
超音波
撹拌+
超音波
静置6hr以上
静置6hr以上
オーバーフローで上澄回収
オーバーフローで上澄回収
70%NaI溶液
静置60℃
2日間
静置60℃
2日間
30%H2
O2
吸引ろ過425μm106μm
吸引ろ過425μm106μm
・425μm<・106~425μm
に分画
・<106μm
・425μm<・106~425μm
に分画
・<106μm
FT-IRで解析FT-IRで解析
ろ過ろ過
砂採取50×50×1㎝2.5L(0.25㎡)
砂採取50×50×1㎝2.5L(0.25㎡)
PE
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海水からの採取
14
P
海 防波堤
海表面近くか
ら海水を採取
発電機(左)
ポンプ(右)
プランクトン
ネット(20㎛)
で海水をろ過
海 水
海 水
10
海水からの分離・選別フロー
15
海水1㎥海水1㎥
プランクト
ンネット
20μm
プランクト
ンネット20μm
ろ過試料ろ過試料
10%
KOH
静置
2日間
静置
2日間
静置
2日間
静置
2日間
30%
H2
O2
吸引ろ過425μm106μm
吸引ろ過425μm106μm
・425μm<・106~425μm
に分画
・<106μm
・425μm<・106~425μm
に分画
・<106μm
FT-IRで解析FT-IRで解析
乾燥
オーバーフローで上澄回収
オーバーフローで上澄回収
70%NaI溶液
PE
調査結果
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砂
海 水
33個/2.5L(0.25㎡)⇓
13.2個/L(132個/㎡)
2個/0.8㎥
⇓2.5個/㎥
種類別 粒径別
採取したマイクロプラスチック
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PE PS PP
5mm
FT‐IR解析結果 (一例)
18
PE PP
FT-IR
まとめ
• NaI溶液による比重分離など前処理方法を工夫し、砂や 海水からマイクロプラスチックを効率的に分離・回収す
る手法を確立できた。
• 焼津市浜当目海岸の海水からは、2.5個/㎥を採取し、 環境省調査の平均2.7個とほぼ同数であった。
• 砂からも1㎡あたり132個を採取し、汚染実態把握の一
手法としての有用性が確認できた。
• 今後、FT-IR顕微システムを活用し、数百㎛以下の肉眼 で見えないサイズのマイクロプラスチックについても把
握できるよう、さらに手法を工夫・検討していきたい。
• NaI溶液による比重分離など前処理方法を工夫し、砂や 海水からマイクロプラスチックを効率的に分離・回収す
る手法を確立できた。
• 焼津市浜当目海岸の海水からは、2.5個/㎥を採取し、 環境省調査の平均2.7個とほぼ同数であった。
• 砂からも1㎡あたり132個を採取し、汚染実態把握の一 手法としての有用性が確認できた。
• 今後、FT-IR顕微システムを活用し、数百㎛以下の肉眼 で見えないサイズのマイクロプラスチックについても把
握できるよう、さらに手法を工夫・検討していきたい。
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海岸プラスチックごみ
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プラごみ
PETボトル劣化したPETボトル
食品容器・包装 タイヤ・チューブ 発泡スチロール 漁具