グア グアヤキル - joes...escuela suplementaria de japonés en guayaquil 児童生徒数...

36 月刊 海外子女教育 2019.12 Escuela Suplementaria de Japonés en Guayaquil 児童生徒数 幼=1人 小=6人 中=5人 エクアドル グアヤキル グアヤス川沿いに広がるグアヤキル市の街並み AJALT (国際日本語普及協会)の協力で訪日し啓明学園 を訪問 海外校シリ エクアドル補習授業校 グアヤキル

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Page 1: グア グアヤキル - JOES...Escuela Suplementaria de Japonés en Guayaquil 児童生徒数 幼=1人 小=6人 中=5人 0º 15º 15º 0º 15º 30º 45º 60º 75º 90º 105º

当地の様子

 スペイン語で「赤道」を

意味する国名の通り赤道上

に位置する国エクアドル。

本校のあるグアヤキルは、

赤道の南半球側にある国内

最大の商業都市かつ港湾都

市である。バナナやカカオ

等の特産品は日本へはもち

ろん世界中へ輸出されてい

る。港には日本からの貨物

を積んだ定期船も入港する。

 エクアドルと修好通商航海条約が締結さ

れた一九一八年に野口英世が研究のために

訪れたのもグアヤキルだ。街の中にはヒデ

ヨノグチ通りや銅像もあり、彼の名前は功

績と共に広く知られている。日本とエクア

ドルの国交一〇〇周年を迎えた昨年はグア

ヤキル市内でもさまざまな文化交流イベン

トが開かれ、入場に大行列をつくる盛況を

見せた。和食をはじめ、特に若い世代は漫

画やアニメを通して、日本文化への関心が

どんどん高まっているようである。

現地の教育環境

  補習授業校での授業は週に一度だけなの

で、在留邦人の子どもは平日に私立の現地

校やインターナショナルスクールに通う。

インターナショナルスクールにはアメリカ

の認定機関に認め

られている学校や、

国際バカロレアの

ディプロマを取得

できる学校もある。

私立校では実践的

なマルチリンガル

教育に力を入れて

いる学校が多く、

なかには小学校低

学年のうちから公

用語のスペイン語

に加え、外国語の

英語を授業で習得し、高学年になると第二

外国語としてフランス語やドイツ語を選択

させるなど、国際社会での活躍を念頭に置

いていることがうかがえる学校もある。

 海岸地域と山岳地域では気候が大きく異

なるため、新年度の開始時期にも違いがあ

るが、グアヤキルは四月に入学、二月に卒業

と日本とほぼ同じだ。スポーツやクラブ活

動も盛んなので、授業外でも同級生と多く

の時間を共有し、週末には家族を交えた交

流もある。エクアドルには幼稚園から高校

までの一貫校も多いので、このような生活の

なかで子どもたちは一生ものの友情を築く。

温かい学校

 本校が誇るものといえば、人、環境、雰

囲気の持つ“温かさ”だ。グアヤキルの人た

36月刊 海外子女教育 2019.12

Escuela Suplementaria de Japonés en Guayaquil児童生徒数 幼=1人 小=6人 中=5人

15º

180º 165º 150º 135º 120º 105º 90º 75º 60º 45º15º 0º 15º 30º 45º 60º 75º 90º 105º 120º 135º 150º 165º

15º

30º

30º

45º

45º

60º

75º

60º

75º

MAPIO / Copyright©NijiX

1:100,000,000 赤道縮尺

Worldミラー図法

0 1 2 3 4cm

0 1000 2000 3000 4000km

エクアドルグアヤキル★校

舎外観

グアヤス川沿いに広がるグアヤキル市の街並み

AJALT(国際日本語普及協会)の協力で訪日し啓明学園を訪問

グア海外校シリーズ

●エクアドル●

補習授業校グアヤキル

Page 2: グア グアヤキル - JOES...Escuela Suplementaria de Japonés en Guayaquil 児童生徒数 幼=1人 小=6人 中=5人 0º 15º 15º 0º 15º 30º 45º 60º 75º 90º 105º

ちの受け入れ上手な気質は、こちらに住む

日本人にも根づいていて、新参と古参の間

に壁がない。そんな親を持つ子どもたちは、

日常の出来事を教員に話したり、授業が終

わるとその日に覚えたことをうれしそうに

親に披露したりと、のびのび過ごしている。

保護者は授業の間にも積極的に意見を交換

し、教員とのコミュニケーションも欠かさ

ない。児童生徒、保護者、教員の誰と誰をつ

なげてもそこには信頼関係がある。

 児童生徒数が減少傾向にあるため、授業

は少人数制だ。子どもたち一人ひとりの得

意・不得意にも対応しやすく、“こんなこ

とに挑戦したい”といった意見も授業に反

映させることができるので、学習意欲や積

極性を引き出すことにもつながっている。

 学習面においては、基礎をしっかりと学

んだうえで、その知識を生かしたゲームを

行う。繰り返すことで、日本語が自然と定

着するようはかっている。自宅学習には日

本語に触れる時間だけでなく、親子の時間

を増やすねらいもある。七夕など日本特有

の行事には全員で取り組み、その成り立ち

を学んだり、折り紙で飾りをつくったりす

る。遠く離れていても日本の文化や遊びに

触れ、理解を深める機会を設けている。

 最近では昼休みに「だるまさんが転んだ」

をするのがブームだ。平日に現地校やイン

ターナショナルスクールに通う子どもたち

にとって、土曜日だけとはいえ補習授業校

に通うことは負担になりがちだが、勉強す

るだけではなく、楽しい学びの場となるよ

うに工夫するのも大人たちの腕の見せどこ

ろだと考えている。四十年以上の歴史を持

つ本校には、卒業生を親に持つ児童生徒も

少なくない。かけがえのない友人と切せ

磋さ

琢たく

磨ま

し、多くを学んだ本校は、子の代へとし

っかりと受け継がれている。

(二〇一九年九月現在)

37 月刊 海外子女教育 2019.12

小学部5年 国語

スイカ割り

日本庭園で七夕会

現地校で七夕紹介

ラジオ体操

──修学旅行──

農園見学

子 ど も た ち か ら