肘関節における前方 fat pad の正常像と前方 fat pad sign（関節内血腫、水腫陽性像）

肘関節における正常前方脂肪体像と前方脂肪体徴候　　　 ( 雑誌　整形外科　 Vol 62. 1017～ 1021. 2011 )

M,51

F,50 F,55

M,18

Type1 Type2

Type3 Type4

26/63 27/63

3/63 7/63

前方 fat pad正常像

正常前方 fat pad: 1.すべて上腕骨小頭滑車まで続いている。 2.前縁は小頭滑車を越えない。

1+ 3+2+上腕骨小頭滑車前縁と同等

15.S.N. 18.M.A. 7.K.K.

1:前縁が下方に広がり下端が大きい遠位部を底面とした三角形状で、2:下縁が水平か丸くへこんだ形を示し、3:上腕骨小頭滑車の上縁から数mm離れている

前方 fat pad sign （前方 fat pad異常像：関節内血腫、水腫陽性時像）

5.N.U.

ant fat pad sign 3+,post fat pad sign －

12才　男性

11/29関節ant fat pad sign +, post fat pad sign －

1

6.N.K.

ant fat pad sign 3+,post fat pad sign ±

帯状陰影

14才　男性

7/29関節ant fat pad sign +, post fat pad sign ±

2

7.K.K.

ant fat pad sign 3+,post fat pad sign +

30才　男性

11/29関節 :38%ant fat pad sign +, post fat pad sign +

3

転倒当日近医受診、 12日後当院初診前方 fat pad sign陽性、後方fat pad sign無、骨折不明

受傷後 19日の X線で橈骨頚部骨折を認めた。

症例 1: 56歳女性

受傷後 19日受傷後 12日

受傷後約 8W、 X線で橈骨頚部骨折部明瞭化、仮骨形成、

転倒当日近医受診時 X線ですでに前方 fat pad sign陽性

前方 fat pad sign

56歳女性

転倒当日受傷後約 8W

前方 fat pad sign

転倒肘打撲し当院初診前方 fat pad sign陽性、後方 fat pad sign無、骨折不明、関節穿刺にて 4ccの血腫

症例 2: 31歳男性

前方 fat pad sign (－ )正常 fat pad type2

症例 2: 31歳男性受傷後 4ｗの X線で橈骨頚部に骨硬

化

受傷後 4ｗ

転倒肘打撲、徐々に激痛で肘を動かせず、当院受診、

症例 3: 14歳男性

転倒肘打撲、徐々に激痛で肘を動かせず、当院受診、

症例 4: 26歳女性、

前方 fat pad sign

前方 fat pad sign

前方 fat pad sign陽性、骨折不明、関節穿刺で 17cc血腫除去後疼痛軽減、シーネ固定

前方 fat pad sign陽性、骨折不明、関節穿刺で 12cc血腫除去後疼痛軽減、シーネ固定

1. 後方関節包の拡大が小さい場合、前方 fat pad signのみが認められるため、前方fat padの形状、位置、大きさから前方fat pad signの有無を判断することが重要である。後方 fat padの有無のみで判断すると関節内血腫を見逃す可能性が大きい。後方 fat padの有無以上に前方 fat pad signの重要性を強調したい。

2. 外傷後肘痛が著明で肘を動かせず、 X 線でfat pad sign陽性の場合、関節穿刺での血腫除去は疼痛軽減処置として有用である。

3. 今後血腫の有無をエコーにて検索できる可能性があろう。

4. 前方 fat pad signを示すその他 20症例を次に供覧するので参考にしてもらいたい。

まとめ