はじめに 学校評価の現状と課題 · 教育目標の達成 学校評価システム...

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-1- はじめに 学校評価の現状と課題 平成19年に学校評価が法制化されました。これにより、自己評価と学校関係者評価の実 施・公表、設置者への報告が規定され、学校はこれまでの閉鎖的で自己完結型の運営から、 情報の公開を基軸とした民主的な運営への転換が名実ともに求められるようになりまし た。 学校の裁量の拡大や学校運営の質に対する保護者等の関心の高まりに伴い、学校がその 教育活動の成果を検証し、自ら必要な改善を図るとともに、保護者等に対して適切に説明 責任を果たすことが重要になってきています。また、設置者等がその結果に応じて必要な 支援・援助を行うことにより、教育水準の保障と向上を図ることも求められています。 本県でも、「学校教育の指導の重点」に、「学校評価の活用」や「園・学校の組織の強化」 「積極的な情報発信」等を掲げ、各学校において学校評価を活用して学校の教育力の一層 の向上を図ることを求めており、全ての公立学校が学校評価に取り組んでいます。 全教職員の共通理解の下に自校の教育活動の成果と課題を明らかにし、次年度に向けて の具体的な改善策を示すことが学校評価ですが、学校教育アドバイザリーチームの学校訪 問を通して、学校評価を学校改善に十分活用できていない学校の姿も見受けられます。 そこには、 管理職や一部の教職員だけで学校評価を行っている。 学校の重点目標と評価項目が関連していない。 教員の主観のみで評価している。 アンケート調査がすなわち学校評価であると捉えている。 等、学校評価の目的や趣旨、システム、取組方法等が教職員に十分浸透していないという 課題が見て取れました。 今回、学校教育アドバイザリーチームが訪問した各学校の学校評価の取組の状況を踏ま えて、学校改善に活用するための学校評価をどのように進めればよいのかを本書に示しま した。 本書が活用され、各学校の教育活動が一層改善されることを期待します。 平成24年3月 学校教育アドバイザリーチーム

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はじめに ~ 学校評価の現状と課題 ~

平成19年に学校評価が法制化されました。これにより、自己評価と学校関係者評価の実

施・公表、設置者への報告が規定され、学校はこれまでの閉鎖的で自己完結型の運営から、

情報の公開を基軸とした民主的な運営への転換が名実ともに求められるようになりまし

た。

学校の裁量の拡大や学校運営の質に対する保護者等の関心の高まりに伴い、学校がその

教育活動の成果を検証し、自ら必要な改善を図るとともに、保護者等に対して適切に説明

責任を果たすことが重要になってきています。また、設置者等がその結果に応じて必要な

支援・援助を行うことにより、教育水準の保障と向上を図ることも求められています。

本県でも、「学校教育の指導の重点」に、「学校評価の活用」や「園・学校の組織の強化」

「積極的な情報発信」等を掲げ、各学校において学校評価を活用して学校の教育力の一層

の向上を図ることを求めており、全ての公立学校が学校評価に取り組んでいます。

全教職員の共通理解の下に自校の教育活動の成果と課題を明らかにし、次年度に向けて

の具体的な改善策を示すことが学校評価ですが、学校教育アドバイザリーチームの学校訪

問を通して、学校評価を学校改善に十分活用できていない学校の姿も見受けられます。

そこには、

○ 管理職や一部の教職員だけで学校評価を行っている。

○ 学校の重点目標と評価項目が関連していない。

○ 教員の主観のみで評価している。

○ アンケート調査がすなわち学校評価であると捉えている。

等、学校評価の目的や趣旨、システム、取組方法等が教職員に十分浸透していないという

課題が見て取れました。

今回、学校教育アドバイザリーチームが訪問した各学校の学校評価の取組の状況を踏ま

えて、学校改善に活用するための学校評価をどのように進めればよいのかを本書に示しま

した。

本書が活用され、各学校の教育活動が一層改善されることを期待します。

平成24年3月 学校教育アドバイザリーチーム

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1 学校評価を活用して学校改善に取り組みましょう

(1) 学校評価の目的

学校評価は、学校が教育活動や学校運営の目標達成に向けた取組の状況を点検・評価して、

その結果を学校改善に生かすために行うものです。

また、保護者や地域住民等から寄せられる期待に応え、より信頼される学校づくりを進めて

いくためには、学校評価を適切に実施するとともに、その結果を公表することが大切です。学

校評価の実施を通して、学校にかかわる多くの人々と情報のやりとりがなされ、連携を図るこ

とにより、開かれた学校づくりが推進されます。

【学校評価の目的】

① 各学校が、自らの教育活動その他の学校運営について、目指すべき目標を設定し、その達

成状況や達成に向けた取組の適切さ等について評価することにより、学校として組織的・継

続的な改善を図ること。

② 各学校が、自己評価及び保護者など学校関係者等による評価の実施とその結果の公表・説

明により、適切に説明責任を果たすとともに、保護者、地域住民等から理解と参画を得て、

学校・家庭・地域の連携協力による学校づくりを進めること。

③ 各学校の設置者等が、学校評価の結果に応じて、学校に対する支援や条件整備等の改善措

置を講じることにより、一定水準の教育の質を保証し、その向上を図ること。

「学校評価ガイドライン〔平成22年改訂〕」

学校評価は、一律に同一の方法で行わなければならないものではありません。各学校が、児

童生徒の状況やこれまでの取組の経緯、地域や保護者との連携・協力体制等を踏まえ、その特

色を生かしながら、取り組んでいくものです。そして、その取組を通して学校の教育活動を一

層進化・発展させていくためのものです。

学校評価の目的は学校改善と説明責任です

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(2) 学校評価の方法

① 自己評価…学校評価の最も基本となる、学校の教職員自らが行う評価。

② 学校関係者評価…自己評価の結果について、保護者等の学校関係者が行う評価。

③ 第三者評価…学校とその設置者が必要であると判断した場合に、外部の専門家等によっ

て行う評価。

学校評価には三つの方法があります

② 学校関係者評価

保護者、地域住民等による評価

学校評価の最も基本となる

教職員による評価

① 自己評価

自己評価の結果について評価する

設定した目標や具体的計画等に

照らして、その達成状況や達成

に向けた取組の適切さ等につい

て評価を行うもの

学校の教育活動の観察や意見交

換等を通して、自己評価の結果

について評価することを基本と

して行うもの

③ 第三者評価

学校運営に関する外部の専門家等による評価実施者(学校とその設置者)

の責任の下で第三者評価が

必要であると判断した場合

に行うもの教育活動その他の学校運営の状況について、

専門的視点から評価する

外部アンケート

児童生徒・保護者を対象に行うアンケート

自己評価の資料として活用する

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(3) 学校評価による改善サイクル

これからの学校評価は、

PLAN(目標設定)、DO(実行)、CHECK(点検・評価)、ACTION(改善)の各段階を

サイクルとして機能させていく必要があります。

PDCAサイクルを機能させて学校改善に取り組みます

教育目標の達成

学 校 評 価 シ ス テ ム

学校における教育活動、その他の学校運営の現状

保護者・地域住民

情報提供

意見聴取

結果公表

自 己 評 価

活動の改善(ACTION)

・目標達成状況の

診断・分析

・成果や課題の洗い出し

A

活動の目標設定(PLAN)

・成果や課題の把握

・目標の設定

・具体的方策の設定

P

活動の点検・評価(CHECK)

・具体的方策の

達成状況の評価

C

活動の実行(DO)

・計画に基づく

具体的方策の実践

D

学校関係者評価

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【第1段階】

○ 全教職員で課題を発見し共有する。

→意見を積極的に出し合える機会(職員会議、分掌会議、学年会議等)を設定して、学

校の教育活動の現状を点検し課題を把握する。

○ 課題を分析する。

→出てきた課題を必要度・緊急度を踏まえて分析し、重点的に取り組むべき課題を挙げ

る。

【第2段階】

○ 重点的に取り組むべき課題と学校が伸ばそうとする特色を踏まえて、具体的な教育活

動の重点目標を立てる。

→重点目標の作成には全教職員の参画が必要ですが、具体的目標の作成段階では、分掌

や学年等、当該の教職員で検討することも考えられます。

○ 重点目標を具体化するために教育活動の計画を立てる。

※ 学校が組織として自校の課題を共有し、具体的な教育活動の重点目標や計画を立てるた

めには、全教職員一人一人が「当事者意識」をもって、自分の考えや思いを積極的に出し

合うことが大切です。

まず、重点目標の設定が大切です

目指すべき姿

目指すべき姿と

現状とのギャップ

学校の教育活動の現状

【第 1段階】

課題の発見と共有化

課題の分析

【第 2段階】

重点目標を具体化する

ための教育活動計画

具体的な重点目標

重点目標設定のプロセス

伸ばそうとする特色

重点的に取り組むべき課題

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2 組織的・計画的に学校評価に取り組みましょう

(1) 学校評価委員会

学校評価委員会は、学校評価を推進していくための中核的な組織です。

学校評価を組織的に推進していくために、各学校においては、学校評価の全体計画を企画

等する学校評価委員会を組織することが有効です。合理化を図るために、企画委員会(運営

委員会)等と併せて開催することも考えられます。

学校評価委員会には次のような役割が考えられます。

○ 学校評価の年間計画を立てる。

→スケジュール表やフローチャート(右図)にしておくと全教職員が共有しやすい。

○ 自己評価の進め方を検討する。

○ 学校関係者評価のメンバーや評価方法、開催時期等を検討する。

○ アンケート調査の活用を検討する。

○ 重点目標と評価項目、具体的方策との関連や指標の設定等が適切か検討する。

→評価項目は、網羅的(総花的)にならないよう精選して設定する。

評価項目の達成状況を的確に把握するために適切に指標を設定する。

※ ここに挙げたのはあくまでも標準的な事例ですので、各学校がそれぞれの実情に応じ

て適切に学校評価委員会を運営していくことが大切です。

教職員による学校評価委員会を設置し、組織的に取り組みます

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学校評価(自己評価・学校関係者評価)全体計画の例

PLAN(目標設定)、DO(実行)、CHECK(点検・評価)、ACTION(改善)

自己評価(P8) 学校関係者評価(P12) PDCAサイクル

10

11

12

PLAN

DO

PLAN

DO

CHECK

CHECK

ACT I ON

ACT I ON

○第1回学校関係者評価委員会

・学校から目標、計画等の説明を聞き意見交換

○第2回学校関係者評価委員会

・学校と意見交換

(中間評価の結果について)

○第3回学校関係者評価委員会

・自己評価の結果と改善策等を踏まえ学校と

意見交換

○学校関係者評価の結果を踏まえて学校評価を総括

○自己評価の結果と改善策等の検討

○中間評価の実施

評価指標等の見直し

(必要に応じて)

資料や情報の収集・整理、計画の実施

公開授業や学校行事等に参加、資料や情報の収集及び意見表明

保護者アンケート

児童生徒アンケート

授業アンケート 等

外部アンケート(P11)

保護者アンケート

児童生徒アンケート

授業アンケート 等

外部アンケート(P11)

○学校評価委員会が中心となって、学校評価計画を

作成(可能であれば、前年度に設定)

・前年度の学校評価総括等を踏まえて教育活動の

重点目標を設定

・重点目標を踏まえて、各学年、分掌等が目標や取組、

評価項目を設定

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(2) 自己評価

学校が行う教育活動は多岐に渡り、網羅的に全てを評価することは不可能です。そのため、

自己評価の実施に当たっては、「何をどのように評価するのか」を整理する必要があります。

重点目標を具体化していく手順

① 「重点目標」を達成するための「教育活動の方向性」を定める。

実際の自己評価では、年度当初に全教職員で共通理解する教育活動の重点目標を基軸にし

て、その重点目標を達成するために取り組むべきと考えられる教育活動の方向性(=評価項

目)を定めなくてはなりません。

自己評価のキーワードは、具体化です

重点目標教育活動の方向性

(評価項目)具体的な方策

③ 取組や

成果の目標

① ②

(例)

基礎的・基本的な

学力の定着

教育活動の方向性

(評価項目)

授業の改善

学習評価の充実

学習意欲の喚起

重点目標

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② 「教育活動の方向性」に沿って「具体的な方策」を定める。

教育活動の方向性に沿って、組織的に取り組む本年度の具体的な方策を定めなければなり

ません。

③ 「具体的な方策」に「取組や成果の目標」を定める。

本年度の具体的な方策を決めれば、「どのレベルまで取り組むのか」という取組の目標や、

「どういう成果を求めるのか」という成果の目標を定める必要があります。

これらの目標は、最終的に活動を評価する際の指標となるものです。

(例)

具体的な方策

計画的な研究授業の推進

取組や成果の目標

(指標)

すべての教員が学期に

一度は実施する

児童生徒の満足度や

理解度を 90%以上にする

取組の目標(指標)

成果の目標(指標)

(例)

教育活動の方向性

(評価項目)

授業の改善

具体的な方策

計画的な研究授業の推進

研究テーマを定めての

各教科における研究

定期的な授業点検

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指標は、「達成に向けた取組の状況を把握するためのもの(=取組の目標(指標))と、

「目標の達成状況を把握するためのもの(=成果の目標(指標))」に大別できます。

○ 取組の目標(指標)

・教職員や学校の取組そのものを指標とするもの。

・比較的、数値化がしやすい。

○ 成果の目標(指標)

・教職員や学校の取組が児童生徒に与える成果を指標とするもの。

・児童生徒の獲得した力や変容度合いを扱うため、数値化が難しい。

・数値が一人歩きする恐れがあるので注意が必要である。

※ 指標は、数値化も含め、評価しやすいものとすることが大切です。

評価のしやすさは、改善のしやすさにつながります。

指標(=評価指標)について

指標を設定する効果

○ 教育活動の取組のできばえが評価しやすくなります。

○ 具体的な方策に取り組む教職員の意欲を高めます。

(「とにかくがんばれ!」より、「あと○○回がんばれ!」)

○ 保護者・地域住民に学校の教育活動の取組を具体的に示すことができます。

(「○○を充実させます。」より、「○○の状態にすることを目指します。」)

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(3) 外部アンケート

(児童生徒・保護者等を対象としたアンケート)

児童生徒の家庭での様子や教育活動に対する保護者の満足度や期待度、子どもの学習に対す

る意欲や意識等、アンケートの結果を自己評価の資料として活用しましょう。

アンケートを自己評価の資料として活用する際には・・・・・・

ア 既存のアンケートを活用する。

○ 既に各学校で実施しているものを、必要に応じて学校評価に活用するのが合理的です。

○ 学校評価を契機として必要なアンケートを新たに実施する場合、「評価指標」と関連

させた項目及び質問内容(文章表現)となるよう工夫する必要があります。

イ アンケートの実施時期を工夫する。

○ アンケートを学校の取組にできるだけ早く活用していくという観点から、例えば児童

生徒による授業評価アンケートを1学期中に実施し、これを分析・活用して授業改善を

行い、その成果を2学期に再度アンケートで検証するなど、実施時期を適切に設定する

ことも重要です。

※ 「アンケート=学校評価」ではありません。

アンケートは、児童生徒や保護者の思いや願い、実態を把握して、学校の取組に生かして

いくために行うものです。アンケートを実施することが、すなわち学校評価ではありません。

「アンケート」は、自己評価の有効な資料として活用できます

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(4) 学校関係者評価

学校関係者評価の目的は、学校が行った自己評価の結果について、保護者や地域住民等か

ら、学校とは異なった視点から意見をもらうことを通して、

①自己評価の客観性や透明性を高めるとともに、

②学校の取組を保護者や地域住民等に知ってもらい、共通理解を深め、連携・協力を促進す

ることです。

ア 保護者を加えた学校関係者評価委員を選定する。

「学校評価ガイドライン〔平成22年改訂〕」では、「その学校に在籍する児童生徒の保護

者を評価者に加えることを基本とする。」としています。

○ 学校評議員とその目的や趣旨に重なりがあることから、学校評議員が兼ねることも考

えられます。

○ 評価委員には、学校関係者評価の目的や趣旨、学校を訪問する回数や拘束時間、個人

情報の保護、守秘義務等の負担に関して、事前に十分に説明し理解と納得を得ておく必

要があります。

イ 自己評価の結果を提示して意見を聞く。

学校関係者評価の際には、

○ 自己評価の結果と課題に対する改善策を示します。

○ 自己評価の結果と改善策を示して意見を聞く必要があるので、年度末に開催時期を設

定します。できれば、自己評価の計画や中間評価についても、意見を聞く場を設定しま

す。

○ アンケート形式で回答を求めるのではなく、学校の教職員と直接、意見交換すること

が大切です。

ウ 評価委員に学校の教育活動の取組を十分に説明し、理解を得る。

学校関係者評価が、学校の実態を踏まえて適切に行われるように、学校は、学校の教育活

動の取組を十分に評価委員に説明するとともに、評価委員が学校行事等を参観する機会を設

けることが大切です。

自己評価の結果について学校とは異なった視点から意見をもらいます

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A・B

・C・D

など

の評

価を記

入。

教育

目標

・運営

方針

に基

づき、

学校

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課題

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重点

目標

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学校

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況を評

価す

るため

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入する。

連動

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る。

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評価

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(5) 学校評価結果の公表

学校評価の結果の公表は、学校を訪問する機会が少ない保護者や地域住民からも理解

と協力を得るための絶好の機会です。そのためには、結果だけではなく、より良い学校

づくりに向けて努力する意志や具体的な方策を併せて伝えることが重要です。

公表に向けて

○ 受け手として想定される対象に合わせて適宜公表する内容等を工夫する。

保護者や地域住民が公表された情報を見て、学校に共感し一緒に努力していこうと思え

るようなものにしていくことが大切です。

○ 「自己評価の結果」、「学校関係者評価の結果」であることを明らかにして公表する。

外部アンケート等の結果を公表するのではありません。

学校として組織的にPDCAサイクルに沿って自己評価を実施し、その結果と改善策を

工夫して公表してください。

○ 広く公表する。

公表に当たっては、一部の者にのみ説明するのではなく、広く一般の保護者等が知るこ

とができる方法(学校便り、PTA総会、ホームページ、地域広報誌等)で公表すること

が大切です。

終わりに

教職員はともすれば、教育の多様な価値観を求めるなかで、お互いの専門性や人格を尊重し

ようとするあまり、相互不干渉に陥りやすくなります。学年や教科、年齢(世代)を越えては

なおさら遠慮がちになっています。そのことが背景となって、学校の閉鎖性を問われたり、企

業に比べて組織としての足並みのまとまりの弱さを指摘されたりします。

こういった状況の中で大事にしなくてはならないことは、その多岐多様な足並みを具体的な

目標に向かってまとめることです。そのためには、教職員間で目標に関する対話(コミュニケ

ーション)が一層大切になります。目標の重点化や改善策の検討の際には十分に議論し、より

よいものを組織として立案していくことが重要です。

より理解と連携を促すために学校評価の結果と改善策を広く公表します

学校改善に向けては、教職員間のコミュニケーションが大切です

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学校関係者評価の取組を通じて、教職員や保護者、地域住民等が学校運営について意見交

換し、学校の現状や取組を知り課題意識を共有することにより、相互理解を深めることが重

要です。学校評価を教職員間はもとより、学校・家庭・地域間のコミュニケーション・ツー

ルとして活用することにより、保護者や地域住民の学校運営への参画を促進し、共通理解に

立ち家庭や地域に支えられる開かれた学校づくりを進めていくことが期待されます。

参考・引用文献

・新しい学校評価を活かした活力ある学校づくりへの挑戦[講義]木岡一明

2008 奈良県立教育研究所

・学校評価好事例の共通項[講義]野村総合研究所 2008 学校評価推進協議会

・組織マネジメントと学校評価[講義]浅野良一 2010 奈良県立教育研究所

学校評価を活用して、開かれた学校づくりを進めます

前年度に反省したことを今年度も繰り返し

ている

前年度の反省を生かして改善し、更に高い成

果をあげている

特定の教員のがんばり、使命感に依存して

いる

大事なことに学校が組織として(教職員がベ

クトルの方向を一つにして)取り組んでいる

学校のみで問題を抱え込み、悩んでいる家庭や地域が学校と情報を共有し、参画・協

力して課題解決に当たっている

解決したい学校の状態 求めたい学校の状態

~こんなふうに~ 学校の目指すべき姿と現状とのギャップを埋める

コミュニケーション・ツールの一つとしての学校評価

学校(学校経営)をあるべき姿へ動かすエンジン(推進力)の一つが学校評価です!

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参考資料 学校評価に関する法令の規定

【学校教育法】(抄) (平成19年6月一部改正)

第42条 小学校は、文部科学大臣の定めるところにより当該小学校の教育活動その他の学校運

営の状況について評価を行い、その結果に基づき学校運営の改善を図るため必要な措置を

講ずることにより、その教育水準の向上に努めなければならない。

【学校教育法施行規則】(抄) (平成19年10月一部改正)

第66条 小学校は、当該小学校の教育活動その他の学校運営の状況について、自ら評価を行い、

その結果を公表するものとする。

2 前項の評価を行うに当たっては、小学校は、その実情に応じ、適切な項目を設定して行う

ものとする。

第67条 小学校は、前条第一項の規定による評価の結果を踏まえた当該小学校の児童の保護者

その他の当該小学校の関係者(当該小学校の職員を除く。)による評価を行い、その結果を

公表するよう努めるものとする。

第68条 小学校は、第六十六条第一項の規定による評価の結果及び前条の規定により評価を

行った場合はその結果を、当該小学校の設置者に報告するものとする。

※[幼稚園、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校等にもそれぞれ準用。]

学校評価ガイドライン[改訂]での強調点

○評価項目の精選

・学校評価を実効性あるものとし、かつ、学校の事務負担を軽減する観点から、自己評価に

ついて、網羅的で細かなチェックとして行うのではなく、重点化された目標を設定し精選

して実施すべきこと。

○外部アンケートの活用

・児童生徒・保護者対象のアンケート調査について、網羅的に行うのではなく、重点目標に

即した項目により行い、自己評価に活用すべきこと。

○家庭・地域との連携協力の促進

・保護者による評価と積極的な情報提供の重要性、及び、それらを通じた学校・家庭・地域

の連携協力の促進。

・従来の「外部評価」を「学校関係者評価」に改めるとともに、評価者に保護者を加えることを

基本とすること。

・学校関係者評価の意義について、自己評価の客観性・透明性を高めることとともに、これ

を通じて学校の状況に関する共通理解を深め、学校・家庭・地域の連携協力を促すことを

目的とすること。

・情報提供の充実が学校と保護者との間の理解を深め、協調関係の構築に資することを踏ま

え、学校評価結果も含め広く情報を提供する重要性。

○設置者の責務

・学校評価の結果を設置者に報告することにより、設置者が学校に対して適切に人事・予算

上の支援・改善策を講じることの重要性。