り 進 ャ に る は い び こ 対 の と が い 行 日 な 少 ー な ア ...2019/04/06...

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第2部 訪問者数は%の増加 (JNTO) 日本政府観光局 理事 小堀 守氏 ※役職は3月日時点 17第2980号 便2019年(平成31年)4月6日(土曜日) 調 調 調 調 調 調 調 調 https://education.jnto.go.j p/ 姿

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Page 1: り 進 ャ に る は い び こ 対 の と が い 行 日 な 少 ー な ア ...2019/04/06  · 第2部 高 校 教 育 旅 行 特 集 政 府 も 訪 日 教 旅 を 促 進

第2部

高校教育旅行特集

政府も訪日教旅を促進

「観光ビジョン」に施策明記

訪問者数は%の増加

 

外国からの教育旅行文科省

調

観光、人材に大きな意義

関係者の連携が重要に

訪日教育旅行を活性化

受け入れで国際交流推進

(JNTO)日本政府観光局

理事 小堀 守氏※役職は3月日時点

 

JNTOに現状や課題を聞く 

学校訪問を伴う交流

高校の受け入れ状況

(17) 第2980号第3種郵便物認可2019年(平成31年)4月6日(土曜日)

 文部科学省は、高等学校、中等教育学校の後

期課程、特別支援学校の高等部(以下、「高等

学校等」という)での国際交流などの状況につ

いて昭和年度から隔年で調査を行っている。

現時点で最新となる平成年度の調査結果を紹

介する。

 外国からの教育旅行

(引率者と生徒で構成さ

れる団体などで学校を訪

問したものを指し、研修

旅行、留学など個人的な

ものは除く)を受け入れ

た高等学校等は延べ16

13校(公立1091校、

私立501校、国立校)

だった。訪問者数は延べ

3万2801人(平成

年度2万8663人)で、

前回調査より約%増加

した。

 訪問者はカ国・地域

にわたり、台湾からの訪

問者が最も多く1万22

50人、次いで中国40

02人、韓国3785人、

オーストラリア3143

人の順だった。

 同調査で参考として紹

介されているデータで

は、外国からの教育旅行

を受け入れた中学校は延

べ1328校で、訪問者

数は延べ1万7323

人。小学校では延べ14

26校、延べ1万748

0人となっている。

 また、平成年5月1

日現在で外国の学校と姉

妹校提携を結んでいる高

等学校等は1109校

(公立588校、私立5

07校、国立校)だっ

た。平成年度は104

3校(公立542校、私

立492校、国立9校)。

 提携先はカ国・地域

で、国・地域別ではオー

ストラリアが最も多く4

29校、次いでアメリカ

335校、韓国253校、

中国193校の順。

 社会、経済のグローバル化が進み、国際的な視野を持った人材の育成が課

題となっている。訪日外国人旅行者数も年間3千万人を超える時代となっ

たが、地域活性化にはさらなる拡大が求められている。こうした状況の中、

訪日教育旅行を通じた国際交流は、人材育成にも、観光振興にも資する可

能性を秘めている。「訪日教育旅行の受け入れによる国際交流」をテーマに

海外の学校とのつなぎ役である日本政府観光局(JNTO)や、コーディ

ネーター、受け入れる高等学校などの取り組みを紹介する。(、面)

 政府は、訪日教育旅行

の活性化について、観光

政策の中長期構想「明日

の日本を支える観光ビジ

ョン」(2016年3月決

定、以下「観光ビジョン」)

に施策の方向性や数値目

標を掲げている。若者の

国際交流の意義に加え

て、将来の訪日観光客を

育てる上で重要な施策に

位置付けている。

 「観光ビジョン」には

「訪日教育旅行の活性

化」として、訪日教育旅

行者数を年までに4万

人から5割増の6万人と

する目標を設定。文部科

学省の調査では、学校訪

問を伴う訪日教育旅行者

数は、国内の小・中・高

校の受け入れ合計で年

度が延べ約4万人だった

が、年度(平成年度)

にはすでに延べ6万人を

超えている。

 訪日教育旅行では、学

校間交流が重要なプログ

ラムの一つ。ただ、国内

の地方公共団体、学校が

積極的に受け入れに応じ

るには、来訪校と受け入

れ校間のスケジュールな

どの調整を行う組織や人

材の不足、学校交流の意

義や目的に関する相互理

解の不足などが課題に挙

げられている。

 「観光ビジョン」の目

標達成への主な取り組み

には、観光庁と文部科学

省の検討などを踏まえ、

次の項目が挙げられてい

る。

 【地域における調整・

相談窓口の構築および地

域の観光部局と教育部局

の連携の促進】

 ・地域の観光部局が中

心となって訪日教育旅行

の受け入れ側と来訪側の

マッチングを実施するな

どのために必要な体制整

備を促進

 ・地域の観光部局と教

育部局の役割分担を明確

化するとともに、共通理

解の醸成を図るよう周知

徹底

 【訪日教育旅行に対す

る理解の促進】

 ・訪日教育旅行の教育

的意義について教育部局

・学校に対し理解を促進

 ・スーパーグローバル

ハイスクール(SGH)

の審査において、国際交

流の一つとして訪日教育

旅行を評価

 ・海外の学校関係者な

どを対象としたセミナー

を開催

 ・海外のニーズ把握や

受け入れ側学校との調整

において配慮すべき事項

を発信

 【訪日教育旅行を東北

をはじめとする地方へ誘

致するためのプロモーシ

ョンを集中的に展開】

 訪日教育旅行の現状や

課題について日本政府観

光局(JNTO)の小堀守

理事(役職は3月日時

点)に聞いた。

 ――訪日教育旅行を受

け入れる意義は。

 小堀 訪日教育旅行に

は複層的な意義がある。

JNTOや観光庁として

観光という観点で言え

ば、海外から訪れる学生

は、将来の訪日観光のリ

ピーターにつながる。ま

た、学生が家族や友人に

日本の様子を語る

ことで情報発信に

もなる。若いうち

から日本を知り、

日本に触れること

で国際相互理解が

進むという外交的

な意義もある。

 学校訪問などを含む教

育旅行を通じた交流は、

訪れる側にも、迎える側

にもグローバル教育の意

義が大きい。教育につい

て意見する立場にはない

が、海外の学生との交流

は、日本側の学生、学校に

も刺激になっていると思

う。外国語や異文化に触

れる貴重な機会であるほ

か、学生が将来のキャリ

アパスを考える機会にも

なる。地域としては、グロ

ーバルな視点を持った青

少年を育成することにつ

ながる。

 ――教育旅行先として

日本の魅力はどうか。

 小堀 教育旅行では旅

行前、旅行中、旅行後にお

いて学びにつながる資源

が必要になる。「優れた」

と言っては何だが、日本

の産業やインフラ、環境

対策などがテーマになる

こともあり、訪問校の学

びのニーズは多様化して

いる。教育旅行の実施に

は日程や予算に制約があ

るケースが多いが、地方

にも誘致、受け入れのチ

ャンスは十分にある。

 ――訪日教育旅行の促

進に関するJNTOの取

り組みは。

 小堀 海外向けに訪日

教育旅行のウェブサイト

(https://education.jnto.go.jp/

)や冊子を作り、各市場

でプロモーションを行っ

ているほか、学校関係者

の招請事業などを実施し

ている。訪日教育旅行に

おける学校訪問などのマ

ッチングでは、海外の学

校や旅行会社からの一元

的な相談窓口をJNTO

が担当し、交流のつなぎ

の役割を果たしている。

 ――JNTOが担当し

ている窓口への問い合わ

せの状況は。

 小堀 JNTOに対す

る2018年度の問い合

わせ件数は、年3月6

日時点で件。年度の

件から増加している。

最も多いのは中国で、こ

の他に台湾やタイ、イン

ドをはじめ、アフリカか

らの問い合わせもある。

年度にはこれまでに

件のマッチングが成立

し、国別では中国、米国が

各5件となっている。

 ――学校訪問を伴う訪

日教育旅行者数は台湾が

多い。

 小堀 台湾は教育部が

助成制度を設置し、海外

での教育旅行を支援して

いる。台湾の学校や学生

の日本への関心に加え

て、支援制度を活用して

多くの学校が日本を訪れ

ている。日台間では、学校

関係者を相互に現地に招

いて教育旅行の視察や情

報交換を継続的に実施し

ている。台湾からの学校

訪問を受け入れた日本の

学校が、台湾の学校を訪

れるなど相互交流にもつ

ながっている。これが一

つのモデルになって他の

国にも広がればよい。

 昨年月に開かれた日

中韓の観光大臣会合の共

同声明にも、青少年交流

の推進や日中韓教育旅行

シンポジウムの開催が盛

り込まれている。日本政

府も訪日教育旅行を重要

な分野と捉えて、交流の

拡大を目指している。

 ――訪日教育旅行の受

け入れに関する課題は。

 小堀 来訪校のニーズ

に応じた学校訪問やホー

ムステイ、学習プログラ

ムなどが提供できるかど

うか。また、受け入れる学

校や地域の意向を踏ま

え、いかに効率的

にコーディネート

できるかが大事

だ。受け入れ側の

学校や地域におけ

る労力・経費負担

の問題もある。英

語の先生はいるに

しても通訳が必要な場合

があるほか、学校間の記

念品の交換などには一定

の予算が必要となる。

 訪日教育旅行の受け入

れの先進地域に挙げられ

る長野県は、観光部局と

教育部局が連携態勢を構

築している。他の地域で

も教員OBらを訪日教育

旅行の受け入れ担当者と

して配置して成果を上げ

ているところがある。

 地域の青少年のために

知事や自治体が率先して

訪日教育旅行の受け入れ

に取り組む姿勢を示す

と、関係者も動きやすい。

地域の教育方針や先生方

の考えを踏まえながら訪

日教育旅行の意義を共有

し、受け入れ態勢などを

検討していただきたい。