は じ め に...は じ め に...

89

Upload: others

Post on 07-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣
Page 2: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

は じ め に

新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全

面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

旨に沿った教育の実現に向け、各種教育計画の作成など、様々な準備に取り組

んでこられたことと思います。

新学習指導要領のねらいを実現するためには、各学校における生徒や地域の

実態等に応じた適切な教育課程の編成・実施や指導方法等の工夫が重要です。

県教育委員会では、国の動向や各学校の実態等を踏まえ、学習指導要領に示

された内容が生徒一人一人に確実に身に付いているかどうかを適切に評価し、

その後の学習指導の改善に生かすとともに、学校の教育活動全体の改善に結び

付けていくことが重要であると考えております。

国の動きとしては、平成22年3月に中央教育審議会初等中等教育分科会教

育課程部会において「児童生徒の学習評価の在り方について(報告 、5月に)」

は「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評

価及び指導要録の改善等について(通知 」がまとめられ、指導と評価の一体)

化の重要性など、これからの評価の基本的な考え方が具体的に示されました。

また、平成22年11月には、国立教育政策研究所において 「評価規準の作、

成のための参考資料(小学校、中学校 」が作成され、各学校において評価規)

準を設定する際の参考資料が示されました。さらに、平成23年7月に、学習

評価の方法や進め方等をまとめた「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善の

ための参考資料(中学校 」が作成されました。)

本資料はこれらの資料を整理し、これからの学習評価の基本的な考え方を示

すとともに、新学習指導要領に示された目標の実現状況を適切に評価するため

の評価規準の設定や指導・評価計画作成のための参考資料として作成しまし

た。

各学校におかれましては、これまでの評価への取組について学校全体で十分

に見直し、より適切な評価を行い、指導に生かしていただけるようお願いいた

します。

平成23年12月

栃木県教育委員会事務局学校教育課長

齋 藤 宏 夫

Page 3: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

目 次

はじめに

目次

〔理論編〕

1章 学習評価の在り方について (p1)

1 今回示された学習評価の基本的な考え方とその背景

2 学習評価の現状と課題

3 学習評価の改善に係る基本的な考え方

4 各観点の評価に関する考え方

(1) 「関心・意欲・態度」

(2) 「思考・判断・表現」

(3) 「技能」

(4) 「知識・理解」

5 各教科における評価の観点

6 効果的・効率的な学習評価の推進

(1) 学校における組織的な取組

(2) 単元(題材)における効果的・効率的な評価

2章 「指導と評価の計画」の作成及び評価規準の設定について (p6)

1 年間指導計画に基づく単元(題材)の「指導と評価の計画」の作成

2 単元(題材)の評価規準の設定

3 学習活動に即した評価規準の設定

4 各学校が作成する「指導と評価の計画」例

5 〔各教科等編〕の資料の構成

〔各教科等編〕

1 教科の目標

2 評価の観点及びその趣旨について

3 単元(題材)の指導と評価計画の作成手順と考え方

・ 各教科の事例

①国語(p10) ②社会(p16) ③数学(p22) ④理科(p27)

⑤音楽(p32) ⑥美術(p40) ⑦保健体育(p48)

⑧技術・家庭(p55)〔技術分野(p56)、家庭分野(p62 〕)

⑨外国語(p68) ⑩総合的な学習の時間(p73) ⑪特別活動(p77)

参考資料

Page 4: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

理論編

Page 5: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -1

1章 学習評価の在り方について

、 ( 「 」 。)本章では 平成20年3月に告示された学習指導要領 以下 新学習指導要領 という

の趣旨を反映した学習評価の基本的な在り方について、中央教育審議会初等中等教育分科

会教育課程部会において平成22年3月24日にとりまとめられた「児童生徒の学習評価

の在り方について(報告 (以下「報告」という )等を基に示す。)」 。

1 今回示された学習評価の基本的な考え方とその背景

学習評価の基本的な考え方として 「報告」では「学習評価は、学校における教育、

活動に関し、子どもたちの学習状況を評価するものである (中略)学習評価を行う。

に当たっては、子どもたち一人一人に学習指導要領の内容が確実に定着するよう、

学習指導の改善につなげていくことが重要である 」としている。。

新学習指導要領の改訂に伴い、学習評価は、学習指導要領の目標の実現状況を把握

し、指導の改善に生かすものであることから、学習評価の基本的な在り方が検討さ

れた。

これは、平成20年1月に中央教育審議会においてとりまとめられた「幼稚園、小

学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について」の答

申において「学校や教師は指導の説明責任だけではなく、指導の結果責任も問われ

ていることを前提としつつ、評価の観点並びにそれぞれの評価の考え方、設定する

評価規準、評価方法及び評価時期等について、今回の学習指導要領改訂の基本的な

考え方を踏まえ、より一層簡素で効率的な学習評価が実施できるような枠組みにつ

いて、さらに専門的な見地から検討を行う」とされたことに基づくものである。

2 学習評価の現状と課題

現在、各学校においては、学習状況を分析的に捉える観点別学習状況の評価と総括

的に捉える評定とを、学習指導要領に定める目標に準拠した評価(いわゆる絶対評

価)として行っている。

平成15年度と平成21年度に実施した学習指導と学習評価に関する意識調査によ

ると、現在行われている学習評価は「児童生徒一人一人の状況に目を向けるように

なる」と感じている教師が増えるなど、小・中学校の教師を中心に肯定的に受け止

められている。その一方では 「資料の収集・分析に負担を感じる」など、負担感や、

授業改善に関しての課題も見られる。

また、保護者については、児童生徒一人一人の意欲を伸ばそうとする取組等につい

ては肯定的に受け止められている一方で、学校における学習評価の在り方や児童生

徒の学習状況について、より一層把握したいと望んでいることが伺える。

3 学習評価の改善に係る基本的な考え方

これまで指導と評価の一体化が推進されてきたところである。今後とも、各学校に

おける学習評価は、学習指導の改善や学校における教育課程全体の改善に向けた取

組と効果的に結び付け、学習指導に係るPDCAサイクルの中で、適切に実施され

ることが重要である 「報告」では、学習評価の改善に係る基本的な考え方として、。

Page 6: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -2

以下の三つを示している。

ア 目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価や評定の着実な実施

イ 学力の重要な要素を示した新しい学習指導要領等の趣旨の反映

ウ 学校や設置者の創意工夫を生かす現場主義を重視した学習評価の推進

ア 目標に準拠した評価による観点別学習状況の評価や評定の着実な実施

学習評価の意義や、これまでの学習評価の在り方が小・中学校を中心に定着して

きていること、新しい学習指導要領が次代を担う児童生徒に「生きる力」を育むと

いう理念を引き継いでいることを踏まえ、今後もこれまで行われてきた学習評価の

在り方を基本的に維持しつつ、その深化を図っていくことが重要である。

このため、きめの細かい学習指導の充実と児童生徒一人一人の学習内容の確実な

定着を図るため、各教科における児童生徒の学習状況を分析的に捉える観点別学習

状況の評価と総括的に捉える評定については、目標に準拠した評価として実施して

いく必要がある。

イ 学力の重要な要素を示した新しい学習指導要領等の趣旨の反映

新学習指導要領の総則に示された学力の三つの要素を踏まえて 「関心・意欲・、

」、「 」、「 」 「 」 。態度 思考・判断・表現 技能 及び 知識・理解 に評価の観点を整理する

【学力の三つの要素】 【評価の観点】

○基礎的・基本的な知識・技能 「知識・理解」及び「技能」

○課題を解決するために必要な「思考・判断・表現」

思考力・判断力・表現力等

○主体的に学習に取り組む態度 「関心・意欲・態度」

ウ 学校や設置者の創意工夫を生かす現場主義を重視した学習評価の推進

各学校や設置者における教育の目標や学習指導に当たって重点を置いている事項

をこれまで以上に学習評価に反映できるよう、一層創意工夫していくことが求めら

れている。このことを踏まえつつ、各学校では、組織的な取組を推進し、学習評価

の妥当性、信頼性等を高めることが重要である。

4 各観点の評価に関する考え方

(1) 「関心・意欲・態度」

この観点は、各教科が対象としている学習内容に関心をもち、自ら課題に取り組

もうとする意欲や態度を児童生徒が身に付けているかどうかを評価するものであ

る。

これまでと同様、各教科の学習内容に即した関心や意欲、学習の態度等を対象と

したものであり、その趣旨に変更はない。

Page 7: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -3

(2) 「思考・判断・表現」

この観点は、それぞれの教科の知識・技能を活用して課題を解決すること等のた

めに必要な思考力・判断力・表現力等を児童生徒が身に付けているかどうかを評価

するものである。

「思考・判断・表現」の観点のうち「表現」については、基礎的・基本的な知識

・技能を活用しつつ、各教科の内容に即して考えたり、判断したりしたことを、児

童生徒の説明・論述・討論などの言語活動等を通じて評価することを意味している。

つまり「表現」とは、これまでの「技能・表現」で評価されていた「表現」では

なく、思考・判断した過程や結果を言語活動等を通じて児童生徒がどのように表出

しているかを内容としている。

(3) 「技能」

この観点は、各教科において習得すべき技能を児童生徒が身に付けているかどう

かを評価するものである。

従前の「技能・表現」が対象としていた内容を引き継ぎ、これまでの「技能・表

現」として評価されていた「表現」をも含む観点として設定されている。

(4) 「知識・理解」

この観点は、各教科において習得すべき知識や重要な概念等を児童生徒が身に付

けているかどうかを評価するものである。

これまで同様、その趣旨に変更はない。

5 各教科における評価の観点

各教科における評価の観点は、 ~ に示した観点を基本としつつ、教科の特4(1) (4)

性に応じて、示されている。国語及び音楽、美術における評価の観点に関する考え方

については、以下のように示されている。

○ 国語や外国語における評価の観点

国語や外国語においては 「言語についての知識・理解・技能 (国語 「言語や、 」 )、

文化についての知識・理解 (外国語)などが、基礎的・基本的な知識・技能に着」

目した観点と位置付けられている。

その上で、学習指導要領の内容の示し方やこれまでの実践を踏まえ 「話す・聞、

く能力 「書く能力 「読む能力 (国語)や 「外国語表現の能力 「外国語理解の」 」 」 、 」

能力 (外国語)を、学習指導要領の内容のまとまりに合わせ、基礎的・基本的な」

知識・技能と「思考・判断・表現」とを合わせて評価する観点として位置付けられ

ている。

○ 音楽、美術における評価の観点

音楽、美術において、表現の能力を評価する観点は、基礎的・基本的な知識・技

能のうち、特に「技能」に関する観点と、表現を創意工夫したり発想・構想したり

する能力に関する観点とに分けて示されている。

また、鑑賞の能力を評価する観点は、基礎的・基本的な知識・技能のうち、特に

「知識・理解」に関する観点と、自分なりに評価したり価値を考えたりする能力に

関する観点とを一体的に見る観点として位置付けられている。

Page 8: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -4

各教科の観点は次に示すとおりである。○

新 旧

国 語 国 語

国語への関心・意欲・態度 国語への関心・意欲・態度話す・聞く能力 話す・聞く能力書く能力 書く能力読む能力 読む能力言語についての知識・理解・技能 言語についての知識・理解・技能

社 会 社 会

社会的事象への関心・意欲・態度 社会的事象への関心・意欲・態度社会的な思考・判断・表現 社会的な思考・判断資料活用の技能 資料活用の技能・表現社会的事象についての知識・理解 社会的事象についての知識・理解

数 学 数 学

数学への関心・意欲・態度 数学への関心・意欲・態度数学的な見方や考え方 数学的な見方や考え方数学的な技能 数学的な表現・処理数量や図形についての知識・理解 数量、図形についての知識・理解

理 科 理 科

自然事象への関心・意欲・態度 自然事象への関心・意欲・態度科学的な思考・表現 科学的な思考観察・実験の技能 観察・実験の技能・表現自然事象についての知識・理解 自然事象についての知識・理解

音 楽 音 楽

音楽への関心・意欲・態度 音楽への関心・意欲・態度音楽表現の創意工夫 音楽的な感受や表現の工夫音楽表現の技能 表現の技能鑑賞の能力 鑑賞の能力

美 術 美 術

美術への関心・意欲・態度 美術への関心・意欲・態度発想や構想の能力 発想や構想の能力創造的な技能 創造的な技能鑑賞の能力 鑑賞の能力

保健体育 保健体育

運動や健康・安全への関心・意欲・態度 運動や健康・安全への関心・意欲・態度運動や健康・安全についての思考・判断 運動や健康・安全についての思考・判断運動の技能 運動の技能運動や健康・安全についての知識・理解 運動や健康・安全についての知識・理解

技術・家庭 技術・家庭

生活や技術への関心・意欲・態度 生活や技術への関心・意欲・態度生活を工夫し創造する能力 生活を工夫し創造する能力生活の技能 生活の技能生活や技術についての知識・理解 生活や技術についての知識・理解

外国語 外国語

コミュニケーションへの関心・意欲・態度 コミュニケーションへの関心・意欲・態度外国語表現の能力 表現の能力外国語理解の能力 理解の能力言語や文化についての知識・理解 言語や文化についての知識・理解

(※下線部は今回見直された部分)

Page 9: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -5

6 効果的・効率的な学習評価の推進

(1) 学校における組織的な取組

各学校で学習評価を効果的・効率的に推進し、学習評価の妥当性、信頼性等の向

上を図るとともに、教師の負担感を軽減するためには、国や教育委員会の示す資料

等を踏まえつつ、校長のリーダーシップの下、組織的・計画的に取り組む必要があ

る。

具体的には、学校全体で評価規準や評価方法等を明確にし共有すること、評価結

果について教師同士で検討すること、実践事例を着実に継承していくこと、授業研

究等を通じ教師一人一人の力量の向上を図ること等が挙げられる。

(2) 単元(題材)における効果的・効率的な評価

ある単元(題材)において、過度に評価規準を設定したり、多くの評価方法を組

み合わせたりすることは、評価を行うこと自体が大きな負担となり、その結果を後

の学習指導の改善に生かすことも十分できなくなるおそれがある。例えば、1単位

時間の中で四つの観点全てについて評価規準を設定し、その全てを評価し学習指導

の改善に生かしていくことは現実的には困難である。教師が無理なく児童生徒の学

習状況を的確に評価できるよう評価規準を設定し、適切な評価方法を選択すること

が必要である。

また、日々の評価活動の実践を踏まえ、必要に応じて評価規準や評価方法につい

て検討し、見直しを行っていくことも効果的である。

効果的・効率的な評価を進める上では、例えば、次のようなことが考えられる。

ア 評価の重点化

評価結果を記録する機会を過度に設定することのないよう、1単元(題材)内

、 、で各観点をバランスよく配置するとともに 学習活動ごとの評価の重点化を図り

1単位時間当たりに一つから二つ程度の評価規準となるように指導と評価の計画

を立てる。

イ 評価方法

全員の学習状況を見取る上で、ノートやレポート、ワークシート、作品など、

授業後に教師が確認しながら評価を行えるような方法と、授業中の見取りを適切

に組み合わせるなど工夫する。

ウ 事前の想定

「関心・意欲・態度」や「思考・判断・表現」等、評価が円滑に実施できてい

ないと教師が捉えている観点をはじめとして、それぞれの観点において、どのよ

うな児童生徒の姿や記述等を評価対象とすればよいかを事前に想定しておく。

エ 評価時期

指導後の児童生徒の状況を記録するための評価を行う際には、単元等のある程

度長い区切りの中で適切に設定した時期において「おおむね満足できる」状況等

にあるかどうかを評価するなどの工夫をする。

Page 10: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -6

2章 「指導と評価の計画」の作成及び評価規準の設定について

本章では、各学校が観点別学習状況の評価を適切に実施していく上で 「指導と評価の、

計画」を作成し、単元や題材等の評価規準を設定する際の参考となるように、その考え方

や手順を示すものとする。

なお、本章及び〔各教科等編〕の作成に当たっては、平成14年5月に県教育委員会が

作成した「新学習指導要領に基づく評価の在り方(中学校 、平成22年11月に国立)」

教育政策研究所教育課程研究センターにおいて作成された「評価規準の作成のための参考

資料(中学校 (以下 「評価規準の作成のための参考資料」という )や平成23年7)」 、 。

月に同センターにおいて作成された「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参

考資料(中学校 (以下 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」)」 、

という )を参考にしている。。

、 、 、なお 評価場面や評価方法 観点別学習状況の評価及び評定の総括の仕方等については

上記の資料を参考にしていただきたい。

1 年間指導計画に基づく単元(題材)の「指導と評価の計画」の作成

、 ( )教科の目標を達成するための年間指導計画は 教科の目標を具現化する単元 題材

で構成されている。そのため年間を通して各教科の目標が達成されるように「指導と

」 。 。評価の計画 を作成する必要がある それらの手順は次のように考えることができる

① 学習指導要領に示されている教科の目標や内容から年間指導計画を作成し、

これを基に単元(題材)ごとに指導目標や具体的な学習活動等を示した指導計

画を作成する。

② 単元(題材)ごとの指導目標を分析し、単元(題材)ごとに観点別の評価規

準を設定する。

③ 単元(題材)の中での学習活動について、具体的な評価規準を設定する。

○ 単元(題材)の「指導と評価の計画」の作成上の留意事項

単元(題材)の指導計画の作成においては、単元(題材)の目標及び内容をどの

ように実現するのか、生徒や学校等の実態に応じて構想し、学習活動やそのねらい

を設定する。学習活動ごとのねらいを設定するに当たっては、育成する能力・態度

を細分化して絞り込み、単元(題材)の学習活動が終了した段階で単元(題材)の

目標が実現できるように配慮する。

評価計画の作成に際しては、まず、単元(題材)の目標に応じて評価規準を設定

し、さらに、学習活動ごとのねらいの実現状況を見取るための評価規準を目標に応

じて設定する。また、生徒の学習状況を的確に評価するために評価計画には、設定

した評価規準を学習活動のどの場面で行うかといった評価場面を明らかにするとと

もに、どのような方法で生徒の実現状況を見取るのかといった評価方法を明らかに

しておく必要がある。

Page 11: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -7

2 単元(題材)の評価規準の設定

目標に準拠した評価を着実に実施するためには、各教科の目標だけでなく、領域や

内容項目レベルの学習指導のねらいを明確にする必要がある。そして、学習指導のね

らいが達成されたかを見取るためには、生徒にどのような状況が見られる状態を指す

のかをあらかじめ具体的に想定しておく必要がある。これを具体的に示したものが評

価規準であり、各学校において設定するものである。

評価規準を設定する際は、学習指導要領の目標及び内容や生徒の実態を踏まえ、単

元の指導の目標、教材、学習活動等に即して、適切な評価規準を設定することが大切

である。

各学校が評価規準を設定する上では 「評価規準の作成のための参考資料」におい、

て示された各教科の内容のまとまりごとの「評価規準に盛り込むべき事項」やそれを

より具体化した「評価規準の設定例」を参考にすることが考えられる。

その際、単元(題材)によっては、資料に示されている「評価規準の設定例」をい

くつか組み合わせたり、いくつかに分けたりして、実際の指導に対応した評価規準を

設定する必要がある。

3 学習活動に即した評価規準の設定

本資料において、学習活動に即した評価規準は、単元(題材)の目標を基に、学

習活動のねらいや学習活動の展開に即して、生徒の具体的な実現状況を「おおむね

満足できる」状況と判断できるものとして想定して設定した。

また、本資料の〔各教科等編〕の事例では、評価規準の設定の手順や方法につい

て説明することを意図していることから 「ねらい 「主な学習活動 「評価規準」の、 」 」

ほか、生徒が学習活動ごとのねらいを達成することを重視し「おおむね満足できる

状況に達していないと判断される生徒への手だて」を示した。

「おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて」では、

学習につまずいている生徒への指導の手だてや働きかけなど、教師が支援する具体

的な内容を示した。これは、生徒が「おおむね満足できる」状況に達することが何

よりも大切であり、教師が個に応じた指導をしていくことが重要であることを意図

している。

「おおむね満足できる」状況に達していないと判断される生徒の状況は各学校や

、 。 〔 〕学級の実態に応じて 複数想定しておくことが考えられる 本資料の 各教科等編

の事例では、一つ以上を例として示した。

(本資料で示した計画の例)

おおむね満足できる状況に達してい時 ねらい 主な学習活動 評価規準ないと判断される生徒への手だて

「十分満足できる」状況と判断されるものについては 「おおむね満足できる」状、

況と判断されるもののうち、生徒の学習の実現の程度について質的な高まりや深ま

りをもつと判断されるものである。そこで 「十分満足できる」状況と判断されるも、

のについては、実現していると判断できる生徒の具体的な学習状況、判断するため

Page 12: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -8

のキーワードやポイントを事前に複数想定しておき、その現れている状況によって

多面的に判断するようにすることなどが考えられる。

4 各学校が作成する「指導と評価の計画」例

各学校では、指導計画と評価計画が対応するような形式を工夫し、日々の授業で

活用しやすい「指導と評価の計画」を作成する必要がある。

指導計画には「扱う時数 、学習活動ごとの「ねらい 「主な学習活動 「指導上」 」、 」、

の留意点」等を位置付ける。評価計画には 「評価の重点 「評価場面 、単位時間、 」、 」

のねらいに応じた「評価規準 「評価方法」等を位置付ける。」、

さらに 「十分満足できる状況」や「おおむね満足できる状況に達していないと判、

」 、 、「 」断される生徒への手だて 等を含め 学校や生徒の実態に即し 指導と評価の計画

を作成する。以下は、各学校で作成する「指導と評価の計画」の例である。

(各学校で作成する「指導と評価の計画」の例①)

おおむね満足できる時 ねらい 主な学習活動 指導上の 評価の重点 評価規準状況に達していない留意点 (評価方法)と判断される生徒へ関 思 技 知 ○おおむね満足できる状況の手だて●十分満足できる状況

この表では、重点化した観点が分かりやすいように項立てしている。また、評価

規準の項目に「おおむね満足できる」状況や「十分満足できる」状況などの実現状

況を示すとともに、具体的な評価方法を併せて記入できるようにしている。

(各学校で作成する「指導と評価の計画」の例②)

十分満足できる状況(キーワー時 ねらい 主な学習活動 指導上の留意点 評価規準(おおむね満足できる状況に達してい ド)(評価方法)ないと判断される生徒への手だて)

この表では、指導上の留意点の中に 「おおむね満足できる状況に達していないと、

判断される生徒への手だて」を示すことで早期に手だてを講じることができるよう

にしている。また 「十分満足できる」状況が実現していると判断できる生徒の具体、

的な学習状況をキーワードとして複数記入できるように項立てしている。

5 〔各教科等編〕の資料の構成

( ) 〔各教科等編〕において各教科の構成は基本的に次のようになっている。1

1 教科の目標

2 評価の観点及びその趣旨について

3 単元(題材)の指導と評価の計画の作成手順と考え方

・ 各教科の事例

「1 教科の目標」では、学習指導要領に示されている各教科の目標を示した。

「2 評価の観点及びその趣旨について」では、各観点の考え方、前回からの改

Page 13: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -9

善点や評価に当たっての配慮事項等について示した。

「3 単元(題材)の評価計画の作成手順と考え方」では 「評価方法等の工夫、

改善のための参考資料」にある事例等を参考に、単元(題材)ごとの「指導と評価

計画」の作成の仕方の事例を示した。ここでは、主に、単元(題材)の目標や評価

規準の設定の仕方 「指導と評価の計画」作成における留意事項等を示し、それら、

に基づいて作成した各教科の「指導と評価の計画」の例を示した。

( ) 〔各教科等編〕において 「総合的な学習の時間 「特別活動」については、評2 、 」

価の考え方や評価の観点、趣旨、評価規準の設定の仕方などについて、それぞれ

に示した。

Page 14: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

各教科等編

Page 15: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -10

国 語

1 教科の目標

国語を適切に表現し正確に理解する能力を育成し、伝え合う力を高めるとともに、思考力や想像力を養い言語感覚を豊かにし、国語に対する認識を深め国語を尊重する態度を育てる。

2 評価の観点及びその趣旨について

(1) 観点及び趣旨の理解

国語科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容などを

考慮し、以下の5観点として設定されている。

国語への 国語で伝え合う力を進んで高めるとともに、国語に対する認識関心・意欲・態度 を深め、国語を尊重しようとする。

これは、国語科の学習内容への関心・意欲・態度を評価する観点である。

具体的には、観点の名称を「国語への」と示しているように、国語科が対象とする学

習内容に関心をもち、自ら課題に取り組もうとする意欲や態度(例えば、話したり聞い

たりして考えをまとめようとすること、進んで文章を書いてまとめようとすることや、

読書を通してものの見方や考え方を広げようとする態度)を育てることをねらったもの

である。

、 、話す・聞く能力 目的や場面に応じ 適切に話したり聞いたり話し合ったりして自分の考えを豊かにしている。

これは、学習指導要領「A話すこと・聞くこと」の領域で育成する言語能力について

の観点である。

具体的には、目的や場面に応じて分かりやすく話す能力、話の内容を聞き取り、自分

の考えに生かす能力、話合いを効果的に進め、話合いを通じて自他の考えを豊かなもの

にし、合意形成を図る能力などを身に付けることができるようにすることをねらったも

のである。

書 く 能 力 相手や目的、意図に応じ、筋道を立てて文章を書いて、自分の考えを豊かにしている。

これは、学習指導要領「B書くこと」の領域で育成する言語能力についての観点である。

具体的には、相手や目的、意図に応じ、自分の取材したことを生かして文章の構成を

考えるとともに、工夫して記述する能力などを身に付け、自分の考えを豊かにすること

ができるようにすることをねらったものである。

[各教科等編]国 語

Page 16: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -11

[各教科等編]国 語

読 む 能 力 目的や意図に応じ、様々な文章を読んだり読書に親しんだりし

て、自分の考えを豊かにしている。

これは、学習指導要領「C読むこと」の領域で育成する言語能力についての観点であ

る。

具体的には、目的や意図に応じ、構成や叙述などに基づいて文章を解釈する能力を身

に付けたり読書に親しんだりして、自分の考えを豊かにすることができるようにするこ

とをねらったものである。

言語についての 伝統的な言語文化に親しんだり、言葉の特徴やきまり、漢字な

知識・理解・技能 どについて理解し使ったりするとともに、文字を正しく整えて速

く書いている。

これは、学習指導要領〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕で育成する言

語能力についての観点である。

具体的には、伝統的な言語文化に親しみ、継承・発展させる態度、言葉の特徴やきま

り、漢字などに関する知識及び実際の言語活動において有機的に働くような能力、文字

を正しく整えて速く書く能力を身に付けることができるようにすることをねらったもの

である。

(2) 国語科における評価の観点に関する考え方

話す・聞く能力 書く能力 読む能力 言語についての知識・理解・技能

基礎的・基本的な知識・技能

+ 基礎的・基本的な知識・技能

思考・判断・表現

※合わせて評価する

(3) 各観点の評価における配慮事項

ア 「国語への関心・意欲・態度」

いずれの単元にも位置付けて評価する。

イ 「話す・聞く能力 「書く能力 「読む能力」」 」

通常、この中から一つの観点に絞り込んで評価する。

( 、 、 。)ただし 指導の効果を高めるため 複数の観点を組み合わせることもあり得る

ウ 「言語についての知識・理解・技能」

〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕は各領域の指導を通して指導さ

れることから、基本的にいずれの単元にも位置付けて評価する。

〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の(1)「ア 伝統的な言語文化に

関する事項 「イ 言葉の特徴やきまりに関する事項 「ウ 文字に関する事項」に」 」

示す事項を特に取り上げて学習させる場合には 「国語への関心・意欲・態度」と、

「言語についての知識・理解・技能」の2観点のみを単元に位置付けて評価するこ

とも考えられる。

Page 17: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -12

[各教科等編]国 語

3 単元の指導と評価計画の作成手順と考え方

ここでは、第3学年の単元「観光パンフレットを批評しよう」を取り上げ、評価計画

の作成の仕方の例を示す。

(1) 単元で取り上げる指導事項と言語活動の確認

目標設定の前提として、年間指導計画と生徒の実態を踏まえて、当該単元で重点的

に取り上げる指導事項を確認する。なお、前単元までの学習状況を踏まえて、取り上

げる指導事項を変える場合も考えられる。本事例の場合は次のとおりとした。

○第3学年 指導事項

〔B書くこと〕

イ 論理の展開を工夫し、資料を適切に引用するなどして、説得力のある文章を書

くこと。

エ 書いた文章を互いに読み合い、論理の展開の仕方や表現の仕方などについて評

価して自分の表現に役立てるとともに、ものの見方や考え方を深めること。

〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕

(1)イ(イ) 慣用句・四字熟語などに関する知識を広げ、和語・漢語・外来語などの

使い分けに注意し、語感を磨き語彙を豊かにすること。

このように指導事項を確定した上で、学習指導要領に示されている言語活動例を参

考に、指導事項を指導するのにふさわしい言語活動を設定する。

ここでは 「B書くこと」の言語活動例「ア 関心のある事柄について批評する文、

章を書くこと 」を具体化し、観光パンフレットについて批評する文章を書く言語活。

動を通して、上記の指導事項を指導することとした。

(2) 単元の目標の設定

確定した指導事項を基に、生徒の前単元までの学習状況、より具体的な言語活動の

種類や特徴、教材の特質等を踏まえて、単元の目標を設定する。

【単元の目標】

(1) 社会生活の中の事柄やその背景に関心をもち、客観的に分析して自分の考

えを深めようとする。

(2) 論理の展開を工夫し、資料を適切に引用するなどして、説得力のある文章

を書くことができる。

(3) 書いた文章を互いに読み合い、論理の展開などについて評価して、自分の

表現に役立てることができる。

(4) 語感を磨き、適切な語句を選択し文章を書くことができる。

Page 18: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -13

(3) 単元の評価規準の設定

、 、 。次に 単元で取り上げる指導事項及び言語活動を基に 単元の評価規準を設定する

このとき 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 国、

語 」の「評価規準に盛り込むべき事項 「評価規準の設定例」を参考にすることも考) 」

えられる。

「評価規準の設定例」を参考にする際には、以下のことに留意する。

◇留意点

【 話す・聞く能力 「書く能力 「読む能力」について】「 」 」

・できるだけ多様な指導事項を取り上げて例示されているため、全てを当該単元で取

り上げる必要はない。

・領域を複合させて一つの単元を構成する場合は、複数の内容のまとまり( A話す「

こと・聞くこと 「B書くこと 「C読むこと )に示されている設定例を組み合わ」、 」、 」

せ、四つから五つの観点について単元の評価規準を設定することが考えられる。

【 言語についての知識・理解・技能」について】「

・当該の言語活動と比較的関連付けやすいと考えられるものがまとめて例示されてい

る。単元の評価規準設定の際は、当該単元で取り上げて指導する事項に応じて設定す

る。

このとき、指導事項( 評価規準に盛り込むべき事項 )だけでなく、言語活動と合「 」

わせて考えることが重要となる。そこで 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善、

のための参考資料(中学校 国語 (P38、39 【 B書くこと」の評価規準の設)」 )「

定例】のア「関心のある事柄について批評する文書を書く言語活動」を通した指導を

参考に、次のように単元の評価規準を設定した。

「B書くこと」の評価規準に盛り込むべき事項

国語への関心・ ・目的や意図に応じ、文章の形態を選択し、論理の展開を工夫して説得力のあ

意欲・態度 る文章を書こうとしている。

書く能力 ・論理の展開を工夫し、資料を適切に引用するなどして、説得力のある文章を

。 ( )書いている イ

・書いた文章を互いに読み合い、論理の展開の仕方や表現の仕方などについて

評価して自分の表現に役立てるとともに、ものの見方や考え方を深めている。

( )エ

言語についての ・慣用句・四字熟語などに関する知識を広げ、和語・漢語・外来語などの使い

、 。 ( )知識・理解・技能 分けに注意して書き 語感を磨き語彙を豊かにしている (1)イ(イ)

「B書くこと」の評価規準の設定例

ア「関心のある事柄について批評する文章を書く言語活動」を通した指導

国語への関心・ ・社会生活の中の事柄について、自分の立場や意見を明確にして批評する文章

意欲・態度 を書こうとしている。

書く能力 ・判断や評価の理由や根拠となる適切な資料を引用して、説得力のある批評の

。 ( )文章を書いている イ

[各教科等編]国 語

Page 19: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -14

・書いた批評の文章を読み合い、結論に導くための根拠の取り上げ方や論理の

展開の仕方について評価し、自分のものの見方や考え方を深めている。

( )エ

、 。言語についての ・和語・漢語・外来語の言葉のニュアンスを知り 適切な語句を選択している

( )知識・理解・技能 (1)イ(イ)

〔言語活動〕観光パンフレットについて批評する文章を書く

【単元の評価規準】

国語への関心・ ①複数の観光パンフレットの内容や体裁について関心をもち、

意欲・態度 批評する文章を書こうとしている。

書く能力 ①パンフレットについての自分の意見が読み手に伝わるような

、 、文章構成を考え パンフレットの内容等を適切に引用しながら

。 ( )批評する文章を書いている イ

②書いた文章を互いに読み合い、論理の展開や資料の引用の仕

、 。 ( )方について評価して 自分の表現に役立てている エ

言語についての ①読み手に自分の考えが伝わるように、適切な語句を選択して

。 ( )知識・理解・技能 使っている (1)イ(イ)

(4) 単元の指導と評価の計画

単元の指導過程を構想するとともに、単元の評価規準を基に、指導過程における

評価規準をより具体的に設定する。

、 、なお 学習につまずいている生徒に早い段階で的確な手だてを講じることを重視し

「おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて」の一例を示

した。

◇本事例のポイント

・単元の指導と評価に一貫性をもたせるため、単元の評価規準とのずれがないように

学習活動の評価規準を設定した。

・自分が批評の対象とする観光パンフレットと他のパンフレットとを比較し、自分の

考えをより明確にさせた。

[各教科等編]国 語

Page 20: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

国語科事例

1 単元名 「観光パンフレットを批評しよう」

2 単元の目標

3 単元の評価規準

4 単元の指導と評価の計画(全6時間)

時 ねらい 評価規準おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて

1

 自分が選んだ観光パンフレットの内容や体裁について、よい点や課題を出そうとする。

【関①】複数のパンフレットを比較しながらそれぞれの特色をつかもうとしている。

 比較する着眼点をいくつか例示し、自分の考えをまとめさせる。

2

 パンフレットについての自分の意見が読み手に伝わるような文章構成を考えることができる。

【書①】パンフレットのよい点や課題が読み手に伝わるように、構成メモを作成している。

 頭括型の例を示し、構成メモを作成させる。

3・4

 パンフレットの内容等を適切に引用しながら、説得力のある文章を書くことができる。

【書①】構成メモを基に自分の考えと根拠を記述し、文章を完成させている。

【関①】構成メモを基に批評する文章を書こうとしている。

 パンフレットの内容について項目を示し、その項目ごとに短く文章を書かせる。

 意見とその根拠の部分に絞って書くように助言する。

5・6

 適切な語句を選択し文章を書くことができる。 

 文章を互いに読み合い評価して、批評文を書くことに対する見方を深めることができる。

【言①】他の人の助言を参考に、自分の考えやその根拠がよく伝わるように、語句を選択して使っている。

【書②】書いた文章を互いに読み合い、パンフレットのよい点や課題が読み手に伝わるような文章構成やパンフレットの内容の引用の仕方について評価して、批評する文章を書くために気を付けること等をまとめている。

 他の人の助言の内容を教師が一緒に確認し、語句を選択させるようにする。

  参考にしたい点やよい点を中心にまとめさせるようにする。

 グループで文章を読み合い、助言し合うとともに、助言や他の人の文章のよい点を参考にしながら文章を完成させる。  単元のまとめをワークシートに書き、発表する。

①パンフレットについての自分の意見が読み手に伝わるような文章構成を考え、パンフレットの内容等を適切に引用しながら、批評する文章を書いている。②書いた文章を互いに読み合い、論理の展開や資料の引用の仕方について評価して、自分の表現に役立てている。

①読み手に自分の考えが伝わるように、適切な語句を選択して使っている。

主な学習活動

 文章の内容を構成メモに箇条書きでまとめ、伝えたい内容が伝わる構成を考え構成メモ(付箋)を並べる。

 構成メモを基に、批評する文章を書く。

(1) 社会生活の中の事柄やその背景に関心をもち、客観的に分析して自分の考えを深めようとする。(2) 論理の展開を工夫し、資料を適切に引用するなどして、説得力のある文章を書くことができる。(3) 書いた文章を互いに読み合い、論理の展開などについて評価して、自分の表現に役立てることができる。(4) 語感を磨き、適切な語句を選択し文章を書くことができる。

 複数のパンフレットを比較し、それぞれのよい点や課題をワークシートにまとめる。

①複数の観光パンフレットの内容や体裁について関心をもち、批評する文章を書こうとしている。

(第3学年)

国語への関心・意欲・態度

書く能力

言語についての知識・理解・技能

-15-

Page 21: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -16

社 会

1 教科の目標

広い視野に立って、社会に対する関心を高め、諸資料に基づいて多面的・多角的に考

、 、 、察し 我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を深め 公民としての基礎的教養を培い

国際社会に生きる平和で民主的な国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を

養う。

2 評価の観点及びその趣旨について

社会科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容などを

考慮し、以下の4観点として設定されている。

社会的事象への 社会的事象に対する関心を高め、それを意欲的に追究し、より

関心・意欲・態度 よい社会を考え自覚をもって責任を果たそうとする。

この観点は、生徒が社会的事象への関心を高めて意欲的に追究しているか、よりよい

社会を考え自覚をもって責任を果たそうとしているかを評価するものである。

実際の評価に当たっては、発言や挙手の回数など、表面的な状況に着目して評価する

。 、 、ことのないようにすることが大切である そこで ノートやワークシートへの記述内容

発言内容、観察等、多様な方法を組み合わせて評価するなどの工夫が必要となる。

また、それぞれの時点において、生徒の社会的事象に対する関心や追究意欲について

評価する他に、個人内評価として、個々の生徒の関心や意欲の高まりを評価することも

考えられる。その際、ある程度長い区切りの中で、適切な頻度で評価場面を設定して評

価するなどの工夫が考えられる。

社会的な思考・ 社会的事象から課題を見いだし、社会的事象の意義や特色、相

判断・表現 互の関連を多面的・多角的に考察し、社会の変化を踏まえ公正に

判断して、その過程や結果を適切に表現している。

この観点は、社会的事象から課題を見いだし、社会的事象の意義や特色、相互の関連

などについて多面的・多角的に考察し、社会の変化を踏まえ公正に判断したことを適切

に表現しているかを評価するものである 「考察し、判断して、表現する」場面だけでな。

く 「課題を見いだす」場面についても指導・評価する必要があることに十分留意する。、

、 、「 」、実際の評価に当たっては 思考・判断した結果だけでなく どのように考えたのか

「なぜそう判断したのか」等、その過程についても評価することが大切である。

そこで、学習過程の中に言語活動を意図的に設定して、適切に指導・評価することが

大切となる。また、ノートやワークシートの記述や作品などから、生徒の思考・判断の

状況を詳しく読み取ることも考えられる。

[各教科等編]社 会

Page 22: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -17

[各教科等編]社 会

資料活用の技能 社会的事象に関する諸資料から有用な情報を適切に選択して、

効果的に活用している。

この観点は、収集した様々な資料から、学習に役立つ情報を適切に選択しているか、

選択した情報を的確に読み取ったり効果的に図表などにまとめたりしているかを評価す

るものである。

実際の評価に当たっては、生徒がどのような観点で資料を収集したのか、どのような

理由からその情報を選択したのかなどを的確に見取る必要がある。

また、これまでの「資料活用の技能・表現」の「表現」では、作品の出来映えや文章

表現方法の分かりやすさなどを評価することが多かった。このような面の評価は、今後

も「 資料を活用して)必要な情報をまとめる力」として 「資料活用の技能」の観点で( 、

評価する点についても十分留意する。

社会的事象につい 社会的事象の意義や特色、相互の関連を理解し、その知識を身

ての知識・理解 に付けている。

この観点は、社会的事象の意義や特色、相互の関連を理解しているかどうかを評価す

るものである。生徒の「理解力」を評価するのではなく 「学習の結果として何を理解し、

たのか」を評価するものであることに十分留意したい。

実際の評価に当たっては、生徒の知識・理解を量的な側面からだけでなく、質的な側

面からも評価する必要がある。例えば 「社会的な思考・判断・表現」の評価場面と合、

わせて、思考・判断の結果として何を理解したのかを評価することが考えられる。

また、社会科における「基礎的・基本的な知識」とは何かについては、単元ごとに、

事例や教材に即して、学習指導要領に示す内容とそれを支える社会的事象、固有名詞や

個々の情報などを整理して明確にする必要がある。

3 単元の指導と評価計画の作成手順と考え方

ここでは、歴史的分野の小単元「古代の政治と文化」を設定し、評価計画の作成の仕

方の例を示す。

(1) 小単元の目標の設定

中学校の歴史的分野の目標は以下の4項目から成り立っている。

①基本的な目標

歴史的事象に対する関心を高め、我が国の歴史の大きな流れを、世界の歴史を

背景に、各時代の特色を踏まえて理解させ、それを通して我が国の伝統と文化の

、 、特色を広い視野に立って考えさせるとともに 我が国の歴史に対する愛情を深め

国民としての自覚を育てる。

Page 23: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -18

[各教科等編]社 会

②歴史上の人物と文化遺産に関する学習について示した目標

国家・社会及び文化の発展や人々の生活の向上に尽くした歴史上の人物と現在

に伝わる文化遺産を、その時代や地域との関連において理解させ、尊重する態度

を育てる。

③歴史に見られる国際関係や文化交流に関する学習について示した目標

歴史に見られる国際関係や文化交流のあらましを理解させ、我が国と諸外国の

歴史や文化が相互に深くかかわっていることを考えさせるとともに、他民族の文

化、生活などに関心をもたせ、国際協調の精神を養う。

④生徒が身に付けるべき望ましい能力と態度について示した目標

身近な地域の歴史や具体的な事象の学習を通して歴史に対する興味・関心を高

め、様々な資料を活用して歴史的事象を多面的・多角的に考察し公正に判断する

とともに適切に表現する能力と態度を育てる。

目標①は、歴史的分野の基本的な目標であり、目標②、③は、歴史上の人物と文化

遺産、国際関係や文化交流に関する学習について、目標④は、学習を通して身に付け

させる能力と態度について、それぞれ示されている。

また、本小単元の内容は、学習指導要領に示された内容の次の部分に該当する。

(2) 古代までの日本

イ 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治などを通して、大陸の文物や

制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ、その後、天皇や貴

族の政治が展開したことを理解させる。

ウ 仏教の伝来とその影響、仮名文字の成立などを通して、国際的な要素をも

った文化が栄え、後に文化の国風化が進んだことを理解させる。

本小単元のねらいは、大陸の文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが

整えられ、その後、天皇や貴族の政治が展開したことや、国際的な要素をもった文化

が栄え、後に文化の国風化が進んだことを理解させることである。

特に 「律令国家の確立に至るまでの過程」については、聖徳太子の政治、大化の、

改新などについて、小学校での学習の単なる繰り返しにならないよう留意し、小学校

での学習内容を有効に活用しながら、我が国が律令国家として形づくられていったこ

とを大きく捉えさせることが大切である。

また、この内容は歴史的分野の初期に学習することが多いと考えられるが、その場

合、歴史学習を進めるのに必要な考察の仕方や資料活用の技能が身に付くよう指導・

評価することや、生徒が小単元で学習した内容を最後に活用して、歴史の大きな流れ

を考察し理解することができるよう単元展開を工夫することなどが大切である。

以上のことを考慮し、中学校歴史的分野の目標に照らして、本小単元の目標を次ペ

ージのように設定した。

Page 24: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -19

[各教科等編]社 会

【小単元の目標】

(1) 小学校での学習内容を有効に活用し、律令国家の確立と天皇や貴族の政治の

展開、国際的な要素をもった文化と文化の国風化など、古代の歴史的事象に

対する関心を高め、意欲的に追究し、古代の特色を捉えようとする。

(2) 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治、仏教の伝来とその影響、仮名

文字の成立などから課題を見いだし、古代の政治や文化の特色について多面

的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現する。

(3) 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治、仏教の伝来とその影響、仮名

文字の成立などに関する様々な資料を収集し、古代の政治や文化の特色に関

わる情報を適切に選択し活用する。

(4) 大陸の文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ、その

後、天皇や貴族の政治が展開したことや、国際的な要素をもった文化が栄え、

後に文化の国風化が進んだことを理解し、その知識を身に付ける。

(2) 小単元の評価規準の設定

本小単元の学習内容は、大項目(2)の中項目イ、ウに該当する。一つの小単元と

して学習するため、目標は一体化して設定したが、ねらいを明確にした評価・指導を

行うため、評価規準はそれぞれの中項目に対応させて設定することとした。その際、

評価規準の作成 評価方法等の工夫改善のための参考資料 中学校 社会 の 評「 、 ( )」 「

価規準に盛り込むべき事項 「評価規準の設定例」を参考にして、以下のように評価」

規準を設定した。

】【小単元の評価規準

社会的事象への関心 ① 律令国家の確立と天皇や貴族の政治の展開、国際的な・意欲・態度 要素をもった文化と文化の国風化など、古代の歴史的事

象に対する関心を高め、意欲的に追究し、古代の特色を捉えようとしている。

社会的な思考・判断 ① 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治などから・表現 課題を見いだし、古代の政治の特色について多面的・多

角的に考察し、その過程や結果を適切に表現している。② 仏教の伝来とその影響、仮名文字の成立などから課題を見いだし、古代の文化の特色について多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現している。

資料活用の技能 ① 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治などに関、 、する様々な資料を収集し 有用な情報を適切に選択して

読み取ったり図表などにまとめたりしている。② 仏教の伝来とその影響、仮名文字の成立などに関する様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。

社会的事象について ① 大陸の文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕の知識・理解 組みが整えられ、その後、天皇や貴族の政治が展開した

ことを理解し、その知識を身に付けている。② 国際的な要素をもった文化が栄え、後に文化の国風化が進んだことを理解し、その知識を身に付けている。

Page 25: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -20

(3) 小単元の指導と評価の計画

次ページの表は、小単元の指導計画と評価計画をまとめて示し、学習のねらい、学

習活動、評価が各時間に対応するよう作成した事例である。

本小単元は、歴史的分野の初期に学習されることを想定し、歴史学習を進めるのに

必要な考察の仕方や資料活用の技能が身に付くよう指導・評価することを重視して指

導計画、評価計画を作成した。

、「 」 、「 」例えば 社会的な思考・判断・表現 の観点については 律令国家の理想と現実

など、様々な面から歴史的事象の特色を追究しやすい学習課題を設定し、考察したこ

とを生徒自身の言葉で表現させることで、多面的・多角的に考察できているかを評価

するようにした。

「資料活用の技能」の観点については、生徒が必要な情報を収集、選択してその内

容を読み取ったりまとめたりする活動を充実させ、指導・評価することとした。歴史

的分野の学習の初期にこのような活動の指導・評価を充実させることにより、歴史学

習に必要な考察の仕方や資料活用の技能の習得を図ることができる。加えて、歴史学

習が単に教えられたことを記憶するだけのものではなく、自分自身で調べたり考えた

りしようとすることが大切だという意識が育まれることも期待できる。

また、本小単元では、第1次から第4次までに学習した内容を第5次で活用して、

歴史の大きな流れを考察し理解することができるよう構成を工夫した。

具体的には、第1次は小単元の学習の見通しをもつ時間、第2次から第4次では律

令国家の確立とその後の展開、この時期の文化の特色を学習する時間とした。そして

第5次において、律令国家が目指した姿を「理想 、律令制度に内在した矛盾やその後」

の経過を「現実」とし、国際的な文化から日本風の文化に変化したことなどと合わせ

て小単元全体の学習内容を振り返り 「律令国家の理想と現実」というテーマで簡単な、

報告書をまとめるよう計画した。

したがって、第5次の学習評価は、第4次までの学習の状況やその成果を踏まえた

総括的なものとなる。そこで、第5次の評価を中核として、そこに第1次から第4次

までの学習評価を加味して総括することも考えられる。

実際に評価を行うに当たって特に留意しなければならないのは、生徒の学習状況を

克明に把握しようとするあまり、観察やノートの分析、記録などに多くの時間を費や

し、生徒に対する指導がおろそかにならないようにすることである。そこで、本小単

元では、各指導過程で一つまたは二つの観点に絞って評価を行うこととした。

また、実際の指導に当たっては、ねらいに対する生徒のつまずきを想定しておくこ

とも大切である。そこで、本事例においては、生徒の学習活動に基づき、学習活動ご

とのねらいの実現を「おおむね満足できる」状況を想定して設定した上で 「おおむね、

満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて」の一例を合わせて示し

た。

[各教科等編]社 会

Page 26: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

社会科事例

1 小単元名  「古代の政治と文化」(歴史的分野)

2 小単元の目標

(1)

(2)

(3)

(4)

3 小単元の評価規準

4 小単元の指導と評価の計画(全8時間)

第四次(

一時間扱い)

国際的な要素をもった文化と日本的な特徴をもった文化、それぞれの特色を捉える。

事後

過程

主な学習活動

・「望月の歌」や、貴族の屋敷の想像図などから、天皇中心の世の中から藤原氏が政治の実権を握るに至った背景に関心をもつ。

様々な資料を調べる活動を通して、律令国家の確立に至るまでの過程を捉える。

・教科書などの資料から、天皇を中心とした中央集権的な国づくりと関連が深いと考えられる歴史的事象を選び、グループ内で分担して調べ、ノートにまとめて、説明し合う。

 小学校での学習内容を有効に活用し、律令国家の確立と天皇や貴族の政治の展開、国際的な要素をもった文化と文化の国風化など、古代の歴史的事象に対する関心を高め、意欲的に追究し、古代の特色を捉えようとする。 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治、仏教の伝来とその影響、仮名文字の成立などから課題を見いだし、古代の政治や文化の特色について多面的・多角的に考察し、その過程や結果を適切に表現する。 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治、仏教の伝来とその影響、仮名文字の成立などに関する様々な資料を収集し、古代の政治や文化の特色に関わる情報を適切に選択し活用する。 大陸の文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ、その後、天皇や貴族の政治が展開したことや、国際的な要素をもった文化が栄え、後に文化の国風化が進んだことを理解し、その知識を身に付ける。

社会的な思考・判断・表現

社会的な事象についての知識・理解

① 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治などから課題を見いだし、古代の政治の特色について多面的・多角的 に考察し、その過程や結果を適切に表現している。② 仏教の伝来とその影響、仮名文字の成立などから課題を見いだし、古代の文化の特色について多面的・多角的に考 察し、その過程や結果を適切に表現している。

① 大陸の文物や制度を積極的に取り入れながら国家の仕組みが整えられ、その後、天皇や貴族の政治が展開したこと を理解し、その知識を身に付けている。② 国際的な要素をもった文化が栄え、後に文化の国風化が進んだことを理解し、その知識を身に付けている。

・他の小単元と併せて、定期考査としてペーパーテストを実施する。

【知ー①②】古代の国家形成や文化の特色について理解している。

・テスト返却後、教科書等で確認したり互いに教え合ったりしながら「テスト直し」をさせる。

【関ー①】報告書の作成や発表の場面において、古代の歴史的事象に対する関心を高め、意欲的に追究して古代の特色を捉えようとしている。

・意欲的に取り組めない生徒には、その生徒だけがもっている情報や、その生徒なりの見方を指摘し、それらの価値を認めることで自信と意欲をもたせる。

評価規準

【技-①】教科書などの資料から、戸籍の作成や法令の制定など律令国家の確立に至るまでの過程に関係の深い事象を選択し、その内容を調べてノートにまとめ、説明している。

・律令国家の確立に至るまでの過程に関係の深い事象を選択できない生徒には、改新の詔に書かれている内容と年表を比較してみるよう助言する。・事象の内容を調べたりまとめたりすることに困難さが見られる生徒には、「5W1H」を意識して、箇条書きでメモしてみるよう助言する。

・共通点に気付けない生徒には、まず、聖徳太子と中大兄皇子に着目させ、二人の人物は、どのような願いをもって政治を行っていたのかを想起するよう促し、気付いたら、同じことが聖武天皇にも言えないか検討してみるよう助言する。

【思-①】三人の業績が天皇中心の国づくりと深く関わっていることに気付き、これから学習する時代が天皇中心の国づくりが進められた時代であることを見通した記述や発言が見られる。

おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて

・聖徳太子、中大兄皇子、聖武天皇について、知っていることを発表し合う。

・自分が知っていることや友達が発表したことから、三人に共通している点をノートに書き、話し合う。

・三人が活躍した時期を年表で確認し、天皇中心の国づくりが進められた時代を学習する見通しをもつ。

社会的事象への関心・意欲・態度

① 律令国家の確立と天皇や貴族の政治の展開、国際的な要素をもった文化と文化の国風化など、古代の歴史的事象に 対する関心を高め、意欲的に追究し、古代の特色を捉えようとしている。

資料活用の技能 ① 律令国家の確立に至るまでの過程、摂関政治などに関する様々な資料を収集し、有用な情報を適切に選択して、読 み取ったり図表などにまとめたりしている。② 仏教の伝来とその影響、仮名文字の成立などに関する様々な資料を収集し、有用な情報を有用な情報を適切に選択 して、読み取ったり図表などにまとめたりしている。

ねらい

第一次(

一時間扱い)

小学校で学習したことをもとに、聖徳太子、中大兄皇子、聖武天皇の業績と、天皇を中心とした国づくりとの関わりに気付き、学習する見通しをもつ。

第五次(

二時間扱い)

律令国家が目指したものとその実際の様子について、第四次までに学習したことをもとに考え、古代の特色を大きく捉える。

・「律令国家の理想と現実」というテーマで簡単な報告書を作成し、発表する。

公地公民の原則が崩れて貴族などが荘園を所有するようになったことなど、藤原氏が政治の実権を握るようになった背景を考える。

・古代の文化財のうち、国際的な要素をもったものを一つ、日本的な特徴をもったものを一つ選び、それぞれの特色をまとめて発表する。

第二次(

二時間扱い)

【思ー①②】天皇中心の中央集権国家や国際的な文化が形成されたこと、一方で税負担の重さなどから土地制度が改変され、貴族の政治や日本風の文化が現れたことなど、様々な面から考察し、記述している。

・まとめることができない生徒には、これまでの学習内容を振り返りながら、「最初、どんな国づくりを目指したのか」「うまくいったのか、いかなかったのか」「それはなぜなのか」「実際はどうなったのか」の順に考察してみるよう助言する。

・教科書などの資料から、藤原氏が政治の実権を握るようになった背景を考えてノートに書き、話し合う。

【思-①】摂関政治の特色に加えて、墾田永年私財法の影響などで貴族などの私有地が増えていき、藤原氏に寄進された大規模な荘園が摂関政治の経済的基盤になったことを考察し、記述している。

・摂関政治の特色のみに藤原氏が政治の実権を握った背景を求めている生徒には、藤原氏の暮らしぶりに着目させ、その経済的基盤を検討してみるよう助言し、藤原氏が政治の実権を握ったことと、藤原氏に多くの荘園が寄進されるに至った過程を関連付けて、多角的に考察することを促す。

第三次(

二時間扱い)

【技ー②】7・8世紀頃の国際的な要素をもった文化と、10世紀以降の日本的な特徴をもった文化それぞれにふさわしい資料を選び、選んだ理由を記述している。

・資料を選択できない生徒には、作成年代に着目して、当時の日本の国際交流の様子と関連付けて考えるよう助言する。

【関-①】前時までに学習した天皇を中心とした中央集権的な国づくりが進められていたころとの違いに気づき、その背景に関心をもった発言や記述が見られる。

・関心がもてない生徒には、大仏造立の詔の記述内容と比較させ、「望月の歌」が詠まれるまでの年数を年表で確認させる。その上で、この間にどんなことがあったと思うかを予想させる。

-21-

Page 27: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -22

数 学

1 教科の目標

数学的活動を通して、数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則につい

ての理解を深め、数学的な表現や処理の仕方を習得し、事象を数理的に考察し表現

する能力を高めるとともに、数学的活動の楽しさや数学のよさを実感し、それらを

活用して考えたり判断したりしようとする態度を育てる。

2 評価の観点及びその趣旨について

数学科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容などを考

慮し、以下の4観点として設定されている。

数学への 数学的な事象に関心をもつとともに、数学的活動の楽しさ

関心・意欲・態度 や数学のよさを実感し、数学を活用して考えたり判断したり

しようとする。

この観点は、生徒が数学的に考え表現することに関心をもち、問題の解決に数学を意

欲的に活用して考えたり判断したりしようとする態度を身に付けているかどうかを評価

するものである。

関心・意欲・態度の対象が、学習している数学であることに配慮する必要がある。挙

手の回数などで量的に捉えるよりも、小単元等の学習のまとまりで同一の評価規準を設

定し、学習の様子の観察、ノートの記述内容などを基にして捉えることが大切である。

また、ある程度長い区切りの中で適切な頻度で「おおむね満足できる」状況等にある

か評価したり 「数学的な見方や考え方」や「数学的な技能」の観点に関わる指導や評、

価の場面で捉えたりするなどの工夫を行うことも可能である。

数学的な 事象を数学的にとらえて論理的に考察し表現したり、その

見方や考え方 過程を振り返って考えを深めたりするなど、数学的な見方や

考え方を身に付けている。

、 。この観点は 数学的な見方や考え方を身に付けているかどうかを評価するものである

この観点では、数学の学習において思考・判断したことを表現する活動を通して評価

することを重視している。説明する活動の様子の観察、ノートの記述内容、思考過程を

記述する小テストの結果などを基にして学習状況を捉えることが大切である。

数学的な技能 事象を数量や図形などで数学的に表現し処理する技能を身

に付けている。

この観点は、数学的な表現や処理についての技能を習得できているかどうかを評価す

るものである。

これまでの「数学的な表現・処理」から観点の名称が変更になったが、技能としての

各教科等編]数 学[

Page 28: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -23

各教科等編]数 学[

表現はこの観点で評価することに配慮する必要がある 「作図をする 「関数のグラフ。 」、

から式を求める」など、数学における基本的な事柄を身に付けているかどうかをペーパ

ーテストやワークシート等を通して評価することが大切である。

数量や図形などにつ 数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則などに

いての知識・理解 ついて理解し、知識を身に付けている。

、 、この観点は 数量や図形などに関する基礎的な概念や原理・法則などについて理解し

知識を身に付けているかどうかを評価するものである。

用語や記号の意味などについての知識だけでなく、問題を解決する手順や方法などに

ついての知識も評価の対象であることに配慮する必要がある。ペーパーテストの問題を

工夫するなどして評価することが大切である。

3 単元の指導と評価計画の作成手順と考え方

ここでは、第3学年「A 数と式」の単元「二次方程式」を取り上げ、評価計画の作

成の仕方の例を示す。

(1) 単元の目標の設定

単元の目標は、学習指導要領に示された教科の目標と内容及び生徒の実態等を踏ま

え、既習事項との関連等、指導内容の系統性に配慮して設定する。

本単元の内容について、学習指導要領では次のように示されている。

、 。(3) 二次方程式について理解し それを用いて考察することができるようにする

ア 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解すること。

イ 因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くこと。

ウ 解の公式を知り、それを用いて二次方程式を解くこと。

エ 二次方程式を具体的な場面で活用すること。

本単元の学習につながる内容として、第1学年では一元一次方程式を、第2学年で

は、それとの関連を図りながら、簡単な連立二元一次方程式を学習している。第3学

年では、二次方程式を解くことができるようにするとともに、具体的な問題解決の場

面で活用できるようにし、より多くの場面で問題の解決に方程式を活用できるように

することを目指している。

これらを踏まえ、次のように単元の目標を設定した。

【単元の目標】

(1) 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解することができる。

(2) 因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くことができる。

(3) 解の公式を知り、それを用いて二次方程式を解くことができる。

(4) 二次方程式を具体的な場面で活用することができる。

ここでは、学習指導要領の内容を基に小単元をまとまりとして単元の目標を設定し

た。単元の目標を設定する場合には、評価の観点ごとに設定することも考えられる。

いずれの場合でも、身に付けさせたい資質や能力を分析し、具体的に設定することが

Page 29: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -24

各教科等編]数 学[

大切である。

(2) 単元の評価規準の設定

単元の評価規準を設定する際には、単元の目標に加え 「評価規準の作成、評価方、

( )」 「 」法の工夫改善のための参考資料 中学校 数学 の 評価規準に盛り込むべき事項

を参考にすることも考えられる。中学校数学科の「評価規準に盛り込むべき事項」で

は 「A数と式 「B図形 「C関数 「D資料の活用」の四つの領域ごとに作成されて、 」 」 」

いる。

本単元では、第3学年の【 A数と式」の評価規準に盛り込むべき事項】の関連す「

る部分を基にして、以下のように設定した。

【単元の評価規準】

数学への関心・意欲・ 様々な事象を二次方程式で捉えたり、それらの性質や関

態度 係を見いだしたりするなど、数学的に考え表現することに

関心をもち、意欲的に数学を問題の解決に活用して考えた

り判断したりしようとしている。

数学的な見方や考え方 二次方程式についての基礎的・基本的な知識及び技能を

活用しながら、事象に潜む関係や法則を見いだしたり、数

学的な推論の方法を用いて論理的に考察し表現したり、そ

の過程を振り返って考えを深めたりするなど、数学的な見

方や考え方を身に付けている。

数学的な技能 二次方程式を解く技能を身に付けている。

数量や図形などに 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味などを理解

ついての知識・理解 し、知識を身に付けている。

(3) 単元の指導と評価の計画

、 、 、単元の目標と評価規準を設定した後 それを基に 各授業時間の学習の目標や内容

学習活動を設定し、それらに対応させて評価規準を設定する。その際 「評価規準の、

作成、評価方法の工夫改善のための参考資料」の「評価規準の設定例」を参考にする

ことも考えられる。

中学校数学科の「評価規準の設定例」は、小単元を単位として作成されている。そ

の構成は、学習指導要領解説の各学年の内容を説明した部分の項立てと原則的に一致

している。

「評価規準の設定例」の中には、そのまま評価規準として位置付けることができる

ものもあるが、学習指導の進め方との関係で一つの評価規準を二つ以上に分割して設

定することや、学習指導で取り上げる問題や教材等との関係でより具体的に評価規準

を設定することが適切な場合もある 「評価規準の設定例」を参考にする際には、実。

際の指導との関係で、学習活動に即した評価規準を設定する必要がある。

数学科事例として示した「4 単元の指導計画と評価計画」は、学習のねらい、学

習活動、評価が各時間ごとに対応するよう「評価規準の作成、評価方法の工夫改善の

Page 30: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -25

ための参考資料」の「評価に関する事例」を参考にしながら作成したものである。

授業改善のための評価は日常的に行われることが重要である。一方で,指導後の生

徒の状況を記録するための評価を行う際には,単元等のある程度長い区切りの中で適

切に設定した時期において「おおむね満足できる」状況等にあるかどうかを評価する

ことが求められる。

効果的・効率的な評価を進めるためには、評価結果を記録する機会を過度に設定す

ることのないよう、1単元(題材)内で各観点をバランスよく配置するとともに、学

習活動ごとの評価の重点化を図り、1単位時間当たりに一つから二つ程度の評価規準

となるように指導と評価の計画を立てるなどの工夫が必要である。

ここでは、前述の資料を参考にして、学習活動に即した評価規準を設定する際に、

「◎」と「○」の印を文頭に付した 「◎」は、評価規準に照らして生徒の学習の状。

、 、 。「 」況を判断し 把握することを意味するもので 単元における総括の資料とする ○

は、評価規準に照らして「おおむね満足できる」状況であるかどうかを判断し 「努,

」 、力を要する 状況になりそうな生徒に対して適切な指導を行うことを意味するもので

学習指導の過程における評価を中心とする。また 「○」についても 「十分満足でき、 、

る」状況にあると判断した生徒の学習状況については,必要に応じて記録を残し、単

元における総括の資料とする。

このように、記録に残す評価は「◎」の評価規準を中心とし、評価することが過重

な負担にならないように配慮しながら、評価結果を指導に生かせるようにすることが

大切である。

「数量や図形についての知識・理解」や「数学的な技能」の観点では、ペーパーテ

ストなどで、全生徒一斉に評価することも可能である。例えば、授業の最後の5~10

分の間に、これらについてまとめて小テストを行い、授業後に習得状況を確認し総括

の資料とするといった評価計画を立てることも考えられる。

また 「数学への関心・意欲・態度」の観点では、ある程度長い区切りの中で適切、

な頻度で評価するため、小単元である2、3時間のまとまりで評価規準を設定した。

評価の場面については、授業の中に「数学への関心・意欲・態度」の評価のための場

面を独自に設けることもできるが 「数学的な見方や考え方」や「数学的な技能」に、

関わる指導や評価の場面で捉えることも可能である。

なお、評価規準を設定するに当たっては、生徒の学習状況を具体的に想定するとと

もに ねらいに対する生徒のつまずきを想定しておくことが大切である そこで お、 。 、「

おむね満足できる」状況に至っていないと判断した生徒への手だてを事前に準備して

おくことを重視し、本事例においては 「おおむね満足できる状況に達していないと、

判断される生徒への手だて」についての一例を示した。

各教科等編]数 学[

Page 31: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

数学科事例

1 単元名  「二次方程式」 (第3学年 「A数と式」)

2 単元の目標

3 単元の評価規準

4 単元の指導と評価の計画(全13時間のうちの9時間)

数学への関心・意欲・態度

数学的な見方や考え方

数学的な技能 数量や図形などについての知識・理解

1

○二次方程式をつくることができる。

・数量の関係に着目させ、未知数をxとして考えさせるとともに、既習の方程式のつくり方を確認させる。

2

○二次方程式を変数が満たすべき条件と捉え、整数を順に代入するなど、二次方程式に当てはまる変数の値を求める方法を考えることができる。

◎二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解している。

・既習の方程式を想起させながら考えさせる。・解の意味は、既習の方程式と同じであることを確認させる。

3

○因数分解を基にして、二次方程式の解き方を考えることができる。

・一元一次方程式に帰着させるとともに、積が0になる乗法の意味を考えさせる。

4

◎因数分解して二次方程式を解くことができる。

◎因数分解することを基にした二次方程式の解き方を理解している。

・因数分解の仕方を確認させる。・前時の学習である「AB=0ならばA=0又はB=0」について確認させる。

5

○平方の形に変形することを基にして、二次方程式の解き方を考えることができる。

・ax 2=kの形の場合は、平方根の考えを使って解が求められることに着目させる。

6・7

◎平方の形に変形して二次方程式を解くことができる。

◎平方の形に変形することを基にした二次方程式の解き方を理解している。

・平方の形に変形しやすい問題から取り組ませ、習熟を図る。・平方の形に変形すれば解くことができる仕組みに着目させる。

8

○係数が数で表されている具体的な二次方程式を平方の形に変形する過程と比較しながら、二

次方程式ax 2+

bx+c=0 の解の公式の導き方を考えることができる。

◎二次方程式の解の公式について理解している。

・係数が数で表されている二次方程式の変形の仕方が理解できているか確認し、比較しながら考えさせる。・解の公式を使えば、能率的に解を求められることを味わわせ、解の公式への理解を深めさせる。

9

◎解の公式を用いて二次方程式を解くことができる。

◎解の公式を用いた二次方程式の解き方を理解している。

・解の公式と比較しながら、適切に代入できるように指導する。・二次方程式の解は三つの項の係数で定まることを確認する。

(1) 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解することができる。(2) 因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解くことができる。(3) 解の公式を知り,それを用いて二次方程式を解くことができる。(4) 二次方程式を具体的な場面で活用することができる。

 次数を減らすことや、「AB=0ならばA=0又はB=0である」ことから、因数分解を基にした二次方程式の解き方を考える。 因数分解を基にした解き方で二次方程式を解く。

 平方根の考えを用いることから、平方の形に変形することを基にした二次方程式の解き方を考える。

おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて

評価規準

◎二次方程式とその解に関心をもち、その必要性と意味を考えたり、様々な数を代入するなどして自分なりの方法で解を求めたりしようとしている。

数学への関心・意欲・態度

数学的な見方や考え方

数学的な技能

◎二次方程式の解の公式に関心をもち、それを導いたり、それを用いて二次方程式を解いたりしようとしている。

 二次方程式やxの意味を考えることを通して、二次方程式の解の意味を理解する。

主な学習活動

 二次方程式の解が三つの項の係数で定まることを知り、二次方程式の解の公式を用いて二次方程式を解く。

数量や図形などについての知識・理解

 様々な事象を二次方程式で捉えたり,それらの性質や関係を見いだしたりするなど,数学的に考え表現することに関心をもち,意欲的に数学を問題の解決に活用して考えたり判断したりしようとしている。

 二次方程式についての基礎的・基本的な知識及び技能を活用しながら,事象に潜む関係や法則を見いだしたり,数学的な推論の方法を用いて論理的に考察し表現したり,その過程を振り返って考えを深めたりするなど,数学的な見方や考え方を身に付けている。 二次方程式を解く技能を身に付けている。

 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解することができる。

 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味などを理解し,知識を身に付けている。

 因数分解することや、平方の形に変形することを基にして、二次方程式を解くことができる。

 解の公式が導かれる過程を考えたり、解の公式を用いて二次方程式を解いたりすることができる。

時 ねらい

◎二次方程式を解くことに関心をもち、因数分解して二次方程式を解こうとしている。

◎二次方程式を解くことに関心をもち、平方の形に変形して二次方程式を解こうとしている。

 平方の形に変形することを基にした解き方で二次方程式を解く。

 係数が数で表わされている具体的な二次方程式を平方の形に変形する過程と比較して、二次方程式の解の公式を導く。

 既習の方程式や二次方程式を使って問題解決する場面を考えることを通して、二次方程式の必要性や意味を理解する。

-26-

Page 32: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -27

理 科

1 教科の目標

自然の事物・現象に進んでかかわり、目的意識をもって観察、実験などを行い、

科学的に探究する能力の基礎と態度を育てるとともに自然の事物・現象についての

理解を深め、科学的な見方や考え方を養う。

2 評価の観点及びその趣旨について

理科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容などを考慮

し、以下の4観点として設定されている。

自然事象への 自然の事物・現象に進んでかかわり、それらを科学的に探究

関心・意欲・態度 するとともに、事象を人間生活とのかかわりでみようとする。

この観点は、科学を学ぶ意義や有用性を実感させることを重視し、自然の事物・現象

に進んで関わり、それらを科学的に探究しようとするとともに、事象を日常生活との関

わりでみようとしているかを評価するものである。

実際の評価に当たっては、自然の事物・現象に対して疑問をもって自発的に行動した

り、積極的に追究したりしている生徒の姿を、授業における行動観察により見取ること

が考えられる。その行動観察においては、例えば「挙手の回数」や「忘れ物の有無」と

いった表面的な状況のみで評価することのないようにする。また、日常生活で見られる

事象を、学習したことと関連させてみようとしているかを生徒の発言や行動の観察、ワ

ークシートなどの記述内容を分析して評価することが大切である。

科学的な 自然の事物・現象の中に問題を見いだし、目的意識をもって

思考・表現 観察、実験などを行い、事象や結果を分析して解釈し、表現し

ている。

この観点は、一連の探究的な学習の中で、生徒が科学的に思考し、その考えを表現し

ているかを評価するものである。一連の探究的な学習とは、自然の事物・現象の中に問

題を見いだし、目的意識をもって観察・実験などを主体的に行い、得られた結果を図や

表、グラフなどを活用して工夫してまとめ、それらを分析して解釈することである。

実際の評価に当たっては、生徒が得られた結果を分析して解釈し表現したものを、発

言、レポートやペーパ-テスト等の記述から評価することに加え、見いだした問題を解

決するために観察、実験を計画したり、科学的な言葉や概念を使用して予想や仮説を立

てたりする場面においても、生徒が記述したものと併せて、行動観察等を行いながら適

切に評価することが大切である。

[各教科等編]理 科

Page 33: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -28

[各教科等編]理 科

観察・実験の技能 観察、実験を行い、基本操作を習得するとともに、それらの

過程や結果を的確に記録、整理し、自然の事物・現象を科学的

に探究する技能の基礎を身に付けている。

この観点は、自然の事物・現象を観察したり実験を計画、実施したりする中で、科学

的に探究する技能の基礎を身に付けているかを評価するものである。実際の評価に当た

っては、例えば、試験管などの器具や様々な道具類、装置類、視聴覚機器などを安全に

操作するだけでなく、観察・実験の計画的な実施、結果の的確な記録や整理、資料の活

用などの技能が身に付いているか、観察・実験により得られた規則性に基づいて、適切

に作図しているかなどを評価する。

なお、この観点の「記録」とは、あくまで観察・実験などの結果の処理である。

留意点として、全ての生徒が器具や機器を実際に扱う場を意図的に設定し、基本操作

や技能の習得を図るとともに、その習得の状況を行動観察等から適切に評価することが

大切である。また、的確に記録する技能を高めるために、教師が、注目すべき点を生徒

に示し、その上で観察・実験の過程や結果を確認させる。さらにそれらの記録をレポー

ト等にまとめさせたり、発言させたりすることが大切である。

自然事象について 自然の事物・現象について、基本的な概念や原理・法則を理

の知識・理解 解し、知識を身に付けている。

この観点は、生徒が自然の事物・現象についての基本的な概念や原理・法則、実験器

具の名称やその扱い方などを理解し、身に付けているかを評価するものである。

実際の評価に当たっては、科学的な用語や概念、規則性等を正しく理解しているかを

適切に把握できるよう評価方法を工夫することが大切である。例えば、ペーパーテスト

だけでなく、単元末に「ものづくり」を行い、学習した知識を基に製作した作品の仕組

みについて、説明カードに記述させ、それを評価することなどが考えられる。

3 単元の指導と評価計画の作成手順と考え方

ここでは、第1学年の「 1)身近な物理現象」から単元「光と音」のうち 「光」を( 、

取り上げ、評価計画の作成の仕方の例を示す。

(1) 単元の目標の設定

本単元の学習内容について、学習指導要領には次のように示されている。

ア 光と音

(ア)光の反射・屈折

光の反射や屈折の実験を行い、光が水やガラスなどの物質の境界面で反射、

屈折するときの規則性を見いだすこと。

(イ)凸レンズの働き

凸レンズの働きについての実験を行い、物体の位置と像の位置及び像の大き

さの関係を見いだすこと。

Page 34: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -29

[各教科等編]理 科

この内容は、小学校第3学年で学習した「光の性質」からつながるものである。小学

校第3学年では、光の性質について追究する活動を通して、日光は集めたり反射させた

りできること、物に日光を当てると物の明るさや暖かさが変わることなどを学習してい

る。中学校では小学校での学習内容を踏まえ、課題を明確にした実験を通して、光という

身近な物理現象に対する生徒の興味・関心を高め、日常生活や社会と関連付けながら、

科学的にみる見方や考え方を養うことが大切である 「ものづくり」を取り入れること。

により、原理や仕組みの理解を深めるとともに、生徒の興味・関心を高めることを考慮

し、次のように単元の目標を設定した。

【単元の目標】

(1) 光に関する現象に対して進んで関わり、それらを科学的に探究しようとすると

とともに、事象を日常生活や社会と関連付けて考えようとする。

(2) 光の反射や屈折、凸レンズの働きに関して課題を明確にして実験を行い、結果

を分析して解釈し、規則性を見いだすことができる。

(3) 光の反射や屈折、凸レンズの働きに関する観察・実験の結果を記録することが

できる。

(4) 光の反射、屈折するときの規則性、凸レンズの働きについて理解し、知識を身

に付ける。

(2) 単元の評価規準の設定

、 、 、 、単元の目標を明確にした後 評価の観点の趣旨を踏まえ 単元の指導のねらい 教材

学習活動に応じて単元の評価規準を適切に設定する。また、生徒が本単元に関わるもの

についてどのような考えをもっているか事前に確認することも大切である。

、「 、 ( )」そこで 評価規準の作成 評価方法等の工夫改善のための参考資料 中学校 理科

のp23『 身近な物理現象」の評価規準の設定例』を参考に、単元の特性等を考慮し「

て、以下のように評価規準を設定した。

【単元の評価規準】

自然事象への関心・ 光の反射・屈折、凸レンズの働きに関する事物・現象に進ん

意欲・態度 で関わり、それらを科学的に探究しようとするとともに、事象

を日常生活との関わりでみようとする。

科学的な思考・表現 光の反射・屈折、凸レンズの働きに関する事物・現象の中に

問題を見いだし、目的意識をもって観察・実験などを行い、光

が反射、屈折するときの規則性、凸レンズにおける物体の位置

と像の位置や大きさとの関係について自らの考えを導き、表現

している。

観察・実験の技能 光の反射・屈折、凸レンズの働きに関する観察・実験の基本

操作を習得するとともに、観察・実験の計画的な実施 結果の、

記録や整理などの仕方を身に付けている。

自然事象についての 光が反射、屈折するときの規則性、凸レンズにおける物体の

知識・理解 位置と像の位置や大きさとの関係などに関する基本的な概念や

原理・法則を理解し、知識を身に付けている。

Page 35: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -30

(3) 単元の指導と評価の計画

次ページの表「4 単元の指導と評価の計画」は、学習のねらい、主な学習活動、評

価が各時間ごとに対応するよう作成したものである。

なお 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」においては 「指、 、

導に生かすとともに記録して総括に生かす評価」と「主に指導に生かす評価」をp51

「指導と評価の計画」に示している。次ページの表は、効果的・効率的な評価を行うよ

う、生徒全員に対して同一時期に同一方法で評価することに重点を置き、主に「指導に

生かすとともに記録して総括に生かす評価」を示している。

観点別評価を設定するに当たっては、生徒の具体的な学習状況を思い描き、ねらいに

対する生徒のつまずきを想定しておくことが大切である。そこで 「おおむね満足でき、

る」状況に至らない生徒の手だてを事前に準備しておくことを重視し、本事例において

は 「おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて」について、

一例を示した。

ア 本単元のねらい

本単元は「光」という、日常生活と関連した身近な事物・現象に関する観察・実験

を行い、結果を分析して解釈し、それらの規則性などを見いだすことをねらいとして

いる。実験が行いやすく、分析的な手法によって規則性を見いだしやすい、この単元

、 、 、では 身近な物理現象に対する生徒の興味・関心を高め 日常生活と関連付けながら

科学的に見る見方や考え方を養うことが大切である。

イ 指と評価の計画作成のポイント

評価規準を設定するに当たっては、各観点の評価時期や場面を検討し、各観点の評

価を、ねらいに沿った生徒の学習状況により把握することが大切である。

本単元において 「自然事象への関心・意欲・態度」の観点については、学習の導、

入時と単元末に位置付け、その変容を見取るよう設定している。実際の評価に当たっ

ては、生徒が学習の導入時は関心等が低く、次第に高くなっていく場合や、始めは高

いが次第に低下していく場合があるため、例えば単元末の方の評価を重視するなど配

慮することも考えられる。

「科学的な思考・表現」や「観察・実験の技能」の観点については、一連の探究的

な学習の中で、指導のねらいに応じ、観点を設定している。

「自然事象への知識・理解」の観点については、ペーパーテスト等から評価するだ

けでなく、簡単なカメラ作成などの「ものづくり」の学習活動を取り入れ、凸レンズ

の働きについて理解を深めるとともに、作品について説明カードに記述させることに

より評価するよう設定した。

[各教科等編]理 科

Page 36: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

理科事例

1 単元名「身近な物理現象・光」 (第1学年)

2 単元の目標

3 単元の評価規準

科学的な思考・表現

4 単元の指導と評価の計画(全9時間) ◇学習課題

光による現象

1

【関】光に関わる自然現象や、日常生活や社会で光が利用された例を考えたり、調べたりしようとしている。

・光を利用した日常生活でよく見られる道具や機器等を取り上げ、光がどのように利用されているかを確認し言葉で表現する場を設ける。・光について、この単元で学ぶ内容の見通しをもたせたうえで、小学校での既習事項を想起させ、課題を記述させる。

2

【技】反射の実験を行い、結果を表や図を使って整理し記録している。

・光が鏡などで反射して進む様子を確認し、入射角を変えると反射角が変わることに着目させ、表にまとめるよう指導する。

3

【思】光の反射の実験結果から規則性を見いだし、自らの考えを表現している。

・鏡と入射角と反射角を模式的に表した図などを書かせ、実験結果をまとめた表から、入射角が大きくなると反射角はどのように変化しているかを比較して記述するよう助言する。

4

【技】屈折の実験を的確に行い、結果を表や図を使って整理し記録している。

・空気中を直進する光が、空気中から台形(半円形)ガラスなどに進むときの屈折する様子を確認し、入射角と屈折角の大きさの違いに着目させる。

5

【知】光が屈折するときの規則性、全反射がおこる条件について理解し、知識を身に付けている。

・実験結果を基に、入射角と屈折角の関係を、空気中から台形ガラスに進むときと、台形ガラスから空気中に進むときとで比較させるとともに、結果をまとめた表や図に使用されている用語を用いて、その規則性を記述させる。

6

【関】身近な光の現象、鏡やレンズを用いている例を考えたり、調べたりしようとしている。

・凸レンズが使用されている顕微鏡を使って微生物を見たとき、移動したい方向と逆向きにプレパラートを動かした経験などを言葉で表現する場を設定する。

7

【思】凸レンズの働きの実験結果から規則性を見いだし、適切に表現している。

・実験記録や結果をまとめた表を基に、スクリーンにできた像の大きさや向きが変わる条件を確認し、その条件ごとに表や図で使用した用語を用いて記述するよう助言する。

8

【技】凸レンズによる像のでき方を作図している。【関】光の学習に対する自分の考えや学習の成果、日常生活への活用などを説明しようとしている。

・凸レンズを使うと光を集められる理由を再確認し、光源の先端から出た光が凸レンズを通ることにより一点に集まる様子を作図させる。・単元の導入で個人の課題を記述させたワークシートを基に、学習により明確になったことや新たな疑問とそれに対する仮説などを記述するよう助言する。

ものづくり

9

【知】カメラを完成させ、凸レンズの働きの知識を基に、カメラの像のでき方を説明している。

・カメラなどにおいて、凸レンズがどのように利用されているかを具体物で確認し、像を大きくすることや焦点距離を短くするなどの課題を設定させ、簡易の設計図を作成させる。

おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて

主な学習活動

・実験結果をまとめた図や表を基に入射角と反射角の大きさの関係について考察する。

◇光が空気中から台形(半円形)ガラスに、あるいは台形ガラスから空気中に光が進むとき、どのような規則性があるだろうか。・空気と台形(半円形)ガラスなど、異なる物質の境界面を進むときの入射角を変えたとき、屈折角はどうなるか調べ、.結果をまとめる。・実験結果を基に、異なる物質で境界面で光が屈折すること、その時の入射角と屈折角の大小関係、全反射が起こる条件などをワークシートに記述する。

◇凸レンズを使って物体を見たときの現象や凸レンズを使った道具を調べよう。・凸レンズを使ってものをみると逆さまに見えたり、大きく見えたりする現象に興味をもつ。・凸レンズを使った道具(望遠鏡、顕微鏡など)の構造に興味をもち、調べる。

 反射の法則を見いだし、光の進み方や鏡に映る像を表現することができる。

 光源装置からの光を台形ガラスに当てて、入射角と屈折角の関係を調べることができる。

 結果を作図し、屈折の法則性、全反射がおこる条件を説明できる。

・光源の先端からでた光線が凸レンズを通って進む道筋を作図し、像ができる位置や大きさ等を求める。・光の学習を通して理解したことや、そのことが日常生活や社会でどのように利用されているか記述する。

評価規準

・凸レンズを通る光の性質を基に、光線が凸レンズを通って進む道筋を作図することができる。・光の学習を通して理解したこと、日常生活や社会でどのような利用がされているか考えようとする。

光の反射・屈折、凸レンズの働きに関する事物・現象に進んで関わり、それらを科学的に探究しようとするとともに、事象を日常生活との関わりでみようとする。

 光の反射・屈折、凸レンズの働きに関する事物・現象の中に問題を見いだし、目的意識をもって観察・実験などを行い、光が反射、屈折するときの規則性、凸レンズにおける物体の位置と像の位置や大きさとの関係について自らの考えを導き、表現している。

 光の反射・屈折、凸レンズの働きに関する観察・実験の基本操作を習得するとともに、観察・実験の計画的な実施、結果の記録や整理などの仕方を身に付けている。

 光が反射、屈折するときの規則性、凸レンズにおける物体の位置と像の位置や大きさとの関係などに関する基本的な概念や原理・法則を理解し、知識を身に付けている。

観察・実験の技能

自然事象についての知識・理解

光の屈折

凸レンズの性質

 レンズを使った道具などの例や小学校で学習したこと、体験したことを発表する。

 光源の位置を変えたときの像の位置や大きさなどを調べることができる。

◇凸レンズを使って、簡単なカメラを作成しよう。・凸レンズを一枚使用して実像をスクリーンに映す簡単なカメラを作成する。・作成したカメラの像のでき方などのしくみを説明カードに記述する。

・凸レンズを使ってスクリーンに像ができる実験を行う。・凸レンズと光源の間の距離と、像の位置や大きさ、向きを比較して考察する。

 これまでの学習を生かし、カメラ、潜望鏡などを作成することができる。

(1) 光に関する現象に対して進んで関わり、それらを科学的に探究しようとするととともに、事象を日常生活や社会と関連付けて考えようとする。(2) 光の反射や屈折、凸レンズの働きに関して課題を明確にして実験を行い、結果を分析して解釈し、規則性を見いだすことができる。(3) 光の反射や屈折、凸レンズの働きに関する観察・実験の結果を記録することができる。(4) 光の反射、屈折するときの規則性、凸レンズの働きについて理解し、知識を身に付ける。

ね ら い

自然事象への関心・意欲・態度

 光に関わる自然現象や、日常生活や社会で光が利用された例を具体的に考えたり、調べたりすることができる。

◇光によって生じる様々な現象について調べよう。・虹や複数の鏡に映る像の数、光が当たると影ができる理由などの様々な現象から光の性質を考える。・万華鏡などを作って光を利用したものづくりをする。・光の学習を通して、どのようなことを調べたり分かったりしたいか考える。

◇光が鏡ではね返るとき、どのような規則性があるのだろうか。・鏡に当てる光の角度(入射角)を変えたときの反射角を調べ、結果をまとめる。

次 時

 光源装置からの光を鏡に当てて反射させ、規則性を調べることができる。

光の反射

-31-

Page 37: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -32

音 楽

1 教科目標

表現及び鑑賞の幅広い活動を通して、音楽を愛好する心情を育てるとともに、音楽

に対する感性を豊かにし、音楽活動の基礎的な能力を伸ばし、音楽文化についての理

解を深め、豊かな情操を養う。

2 評価の観点及びその趣旨について

音楽科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容などを考

慮し、以下の4観点として設定されている。

音楽への 音楽に親しみ、音や音楽に対する関心をもち、主体的に音楽表

関心・意欲・態度 現や鑑賞の学習に取り組もうとする。

この観点は、音楽に親しみ、音や音楽に対する関心をもち、主体的に音楽表現や鑑賞

の学習に取り組もうとする状況を評価するものである。

例えば、三味線の音色や奏法、長唄の特徴に関心をもち、それらを生かして表現をす

る学習に主体的に取り組もうとするといったように、学習の対象を明確にし、それに対

する生徒の関心と主体的な取組の状況を把握していくことが大切である。

また、生徒にとって、学習内容に対する関心が高まり、自ら音楽表現や鑑賞の学習に

取り組もうとする意欲や態度を育む学習であってこそ、生涯にわたって音楽に関わり、

楽しく豊かな音楽活動ができるための基盤となる力の育成に資する学習になると捉える

ことができる。このような学習を実現するために、この観点を他の三つの観点に係る資

質や能力と密接に関わらせて指導と評価を行うことが重要となる。

音楽表現の 音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きが生み出

創意工夫 す特質や雰囲気を感受しながら、音楽表現を工夫し、どのよう

に表すかについて思いや意図をもっている。

この観点は、音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰

囲気を感受しながら、音楽表現を工夫し、どのように表すかについて思いや意図をもっ

ている状況を評価するものである。

この観点は、これまでの「音楽的な感受や表現の工夫」から観点名を変えたが、音楽

的な感受が支えとなっている趣旨については変更はなく 〔共通事項〕の指導内容が表、

現活動の支えとなって、表現の学習が充実するという学習指導要領の趣旨が、評価の観

点においても明確にされている。

そこで、どのように音楽表現するかの思考・判断に結び付くように〔共通事項〕を扱

い、このように音楽表現をしたい、といった思いや意図をもつことができるような学習

活動を設定し、音楽的な感受に基づきながら創意工夫をしている状況を把握することが

大切である。

[各教科等編]音 楽

Page 38: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -33

[各教科等編]音 楽

音楽表現の技能 創意工夫を生かした音楽表現をするための技能を身に付け、

歌唱、器楽、創作で表している。

、 、 、 、この観点は 創意工夫を生かした音楽表現をするための技能を身に付け 歌唱 器楽

創作で表している状況を評価するものである。

指導のねらいや学習活動の展開等に応じて、特に 「音楽表現の創意工夫」の観点で、

、 、 、 、見取る力の育成と関連させながら 音楽表現するために必要な技能を育み 歌唱 器楽

創作で表している状況を把握していくことが大切である。

音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きが生み出

鑑賞の能力 す特質や雰囲気を感受しながら、解釈したり価値を考えたりし

て、よさや美しさを味わって聴いている。

この観点は、音楽を形づくっている要素を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰

囲気を感受しながら、解釈したり価値を考えたりして、よさや美しさを味わって聴いて

いる状況を評価するものである。

今回の改善では、これまでの「音楽的な感受や表現の工夫」のうち、鑑賞領域におい

て「音楽的な感受」で評価していた力も、この「鑑賞の能力」の観点に含めて評価する

こととされた。

そこで、音楽を形づくっている要素や構造と曲想との関わり、背景となる文化・歴史

等、音楽の多様性などを理解して聴くための思考・判断に結び付くように〔共通事項〕

を扱い、自分にとってこの音楽にはこのような価値がある、といった判断をしながら味

わって聴くことができるような学習活動を設定し、音楽的な感受に基づきながら解釈し

たり価値を考えたりして、味わって聴いている状況を把握していくことが大切である。

(2) 学習指導要領の内容、指導項目及び指導事項と評価の観点との関係

音楽科の内容は 「A表現 「B鑑賞」の二つの領域と〔共通事項〕で構成されて、 」、

いる。

「 」 、 、 、A表現 の指導項目については(1)歌唱 (2)器楽 (3)創作ごとに指導事項を示し

「B鑑賞」の指導項目については鑑賞の指導事項を示している。また 〔共通事項〕、

は、表現及び鑑賞の全ての活動において、共通に指導する内容を示しており、表現及

び鑑賞の能力を育成する上で共通に必要となるものである。

」、また 評価においては A表現 領域の指導では、 、「 」 、「音楽への関心・意欲・態度

「音楽表現の創意工夫 「音楽表現の技能」の学習状況を 「B鑑賞」領域の指導で」、 、

、「 」、「 」 。は 音楽への関心・意欲・態度 鑑賞の能力 の学習状況を評価することとなる

以上の内容をまとめたものを に示す。【表】

Page 39: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -34

[各教科等編]音 楽

【表】 内容の構成、指導項目及び指導事項と評価の観点との関係

評 価 の 観 点

音楽表現の

内容 学習指導要領に示されてい 音楽への音楽表現の

鑑賞の能力の

る指導項目及び指導事項 関心・意欲創意工夫 技能

・態度構成

A (1) 歌 唱 ア、イ、ウ

領 表 (2) ア、イ、ウ ○ ○ ○器 楽

現 (3) ア、イ創 作

○B

○域 鑑 (1) 鑑 賞 ア、イ、ウ

「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して、次の事項を指導する。(1)

ア 音色、リズム、速度、旋律、テクスチュア、強弱、形式、構成などの音楽を共

形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し、それらの働きが生み出す特質通

や雰囲気を感受すること。事

イ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを表す用語や記号などについて、項

音楽活動を通して理解すること。

3 題材の指導と評価の計画の作成手順と考え方

ここでは 「A表現」の(2)器楽と(3)創作を組み合わせたものとして 「日本の四季を、 、

イメージした箏曲をつくり表現しよう(第1学年 」を取り上げ、評価計画の作成の仕)

。 ( 「 」、「 」)方の例を示す 使用教材:箏曲 六段の調 さくらさくら

(1) 題材で取り上げる指導事項

目標を設定する際には、年間指導計画と生徒の実態を踏まえて、本題材で重点的に

取り上げる指導事項を確認することが大切である。

そこで、本題材において、(2)器楽ではイ、(3)創作ではアを指導事項として取り上

げた。

日本の四季をイメージした箏曲をつくり表現しよう題材名第1学年 A表現 (2)イ (3)ア

〔共通事項〕音色、旋律、構成

学習指導要領に示された第1学年の内容「A表現・(2)器楽 「A表現・(3)創作」」

のうち、ここで取り上げた指導事項は、次のとおりである。

○第1学年の内容 「A表現・(2)器楽」

(2) 器楽の活動を通して、次の事項を指導する。

イ 楽器の特徴をとらえ、基礎的な奏法を身に付けて演奏すること。

○第1学年の内容 「A表現・(3)創作」

(3) 創作の活動を通して、次の事項を指導する。

、 。ア 言葉や音階などの特徴を感じ取り 表現を工夫して簡単な旋律をつくること

Page 40: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -35

[各教科等編]音 楽

また、第1学年の〔共通事項〕として次の内容が示されている。

○第1学年〔共通事項〕

(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して、次の事項を指導する。

ア 音色、リズム、速度、旋律、テクスチュア、強弱、形式、構成などの音楽を

形づくっている要素や要素同士の関連を知覚し、それらの働きが生み出す特質

や雰囲気を感受すること。

イ 音楽を形づくっている要素とそれらの働きを表す用語や記号などについて、

音楽活動を通して理解すること。

(2) 題材の目標の設定

題材で取り上げる指導する項目及び事項を明確にした後、題材の目標を評価する観

点に沿って設定する。その際、題材全体の指導を通じて生徒一人一人が身に付けてほ

しい資質や能力を具体的に示すことが大切である。

そこで、本題材の目標を次のように設定した。

【題材の目標】

(1) 箏の音色や奏法、平調子による旋律、構成に関心をもち、箏の基礎的な奏法など

を身に付けて演奏する学習や、箏のための簡単な旋律をつくる学習に主体的に取り

組もうとする。

(2) 箏の音色、平調子による旋律、構成を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰

囲気を感受しながら、箏の特徴を感じ取って音楽表現を工夫し、どのように演奏す

るか、旋律をつくるかについて思いや意図をもつ。

(3) 箏の特徴を捉えた音楽表現をするために必要な、基礎的な奏法などの技能を身に

付けて演奏することができる。

(4) 平調子による旋律などの特徴を生かした音楽表現をするために必要な技能を身に

付けて簡単な旋律をつくることができる。

(3) 題材の評価規準の設定

題材の評価規準の設定に当たっては 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善の、

ための参考資料(中学校 音楽 」の「評価規準に盛り込むべき事項」及び「評価規)

準の設定例」を参考にすることも考えられる。

本事例における評価規準は 「評価規準の設定例」の中から、本題材で扱う学習指、

導要領の内容(第1学年の「A表現」(2)器楽の事項イ、(3)創作の事項ア、及び〔共

通事項〕の音楽を形づくっている要素のうち、音色、旋律、構成)に対応するものを

選択し、第1学年の学習指導要領の指導内容、題材の目標、教材の特徴、学習活動等

を考慮して設定したものである ( 参照)。【資料】

なお 「題材の評価規準」を設定した上で、必要に応じて、題材の評価規準をさら、

に具体化した「学習活動に即した評価規準」を設定することも考えられるが、本事例

では、題材の評価規準を実際の評価に用いる評価規準とした。

Page 41: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -36

[各教科等編]音 楽

【資料】

○ 音楽への関心・意欲・態度

「評価規準の設定例」 評価規準「評価規準に盛り込むべき事項」

A ① 曲想、楽器の特徴、基礎 ① 楽器の特徴(楽器の構 ① 箏の音色や奏法に関表 的な奏法、声部の役割や全 造や奏法、その楽器固有 心をもち、基礎的な奏現 体の響きなどに関心をも の音色や響き よさなど 法で演奏する学習に主、 )(2) ち、それらを生かし音楽表 に関心をもち、基礎的な 体的に取り組もうとし器 現を工夫して演奏する学習 奏法(楽器の初歩的な演 ている。楽 に主体的に取り組もうとし 奏方法など)で演奏する

ている。 学習に主体的に取り組もうとしている。

A ② 言葉や音階などの特徴、 ② 言葉や音階などの特徴 ② 箏の音色や奏法、平表 音素材の特徴 反復 変化 (言葉の抑揚、アクセン 調子による旋律、構成、 、 、現 対照などの構成に関心をも ト、リズム、音階の構成 などの特徴に関心をも(3) ち、それらを生かし、音楽 音によって生み出される ち、即興的に音を出し創 表現を工夫して音楽をつく 独特な雰囲気など)に関 ながら旋律をつくる学作 る学習に主体的に取り組も 心をもち、音楽表現を工 習に主体的に取り組も

うとしている。 夫して簡単な旋律をつく うとしている。る学習に主体的に取り組もうとしている。

○ 音楽表現の創意工夫

「評価規準の設定例」 評価規準「評価規準に盛り込むべき事項」

A ①③音楽を形づくっている要 ①③音楽を形づくっている ③ 知覚・感受しなが表 素を知覚し、それらの働き 要素(音色、リズム、速 ら、箏の音色や奏法、現 が生み出す特質や雰囲気を 度 旋律 テクスチュア 平調子による旋律、構、 、 、(2) 感受しながら、曲想を感じ 強弱、形式、構成など) 成などの特徴を捉えた器 取る、楽器の特徴をとらえ を知覚し、それらの働き 音楽表現を工夫し、自楽 る、声部の役割や全体の響 が生み出す特質や雰囲気 分がつくった旋律をど

きを感じ取るなどして音楽 を感受しながら、楽器の のように演奏するかに表現を工夫し、どのように 特徴を捉えた音楽表現を ついて思いや意図をも演奏するかについて思いや 工夫し、どのように演奏 っている。意図をもっている。 するかについて思いや意

図をもっている。 ① 箏の音色、平調子による旋律、構成を知覚

A ①②音楽を形づくっている要 ①②音楽を形づくっている し、それらの働きが生表 素を知覚し、それらの働き 要素(音色、リズム、速 み出す特質や雰囲気を現 が生み出す特質や雰囲気を 度 旋律 テクスチュア 感受している。、 、 、(3) 感受しながら、言葉や音階 強弱、形式、構成など)創 などの特徴、音素材の特徴 を知覚し、それらの働き ② 知覚・感受しなが作 を感じ取る、反復、変化、 が生み出す特質や雰囲気 ら、箏の音色や奏法、

対照などの構成を生かすな を感受しながら、言葉や 平調子による旋律、構どして音楽表現を工夫し、 音階などの特徴を感じ取 成などの特徴を感じ取どのように音楽をつくるか って音楽表現を工夫し、 って音楽表現を工夫について思いや意図をもっ どのように旋律をつくる し、どのように旋律をている。 かについて思いや意図を つくるかについて思い

もっている。 や意図をもっている。

) 、 〔 〕 。上記の下線( 部は 音楽的な感受に相当する 共通事項 事項アの内容である

Page 42: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -37

[各教科等編]音 楽

○ 音楽表現の技能

「評価規準の設定例」 評価規準「評価規準に盛り込むべき事項」

A ① 創意工夫を生かした音楽 ① 楽器の特徴を捉えた音 ① 筝の特徴を捉えた音表 表現をするために必要な技 楽表現をするために必要 楽表現をするために必現 能を身に付けて演奏してい な、基礎的な奏法などの 要な、箏の基礎的な奏(2) る。 技能(奏法、呼吸法、姿 法、読譜の仕方などの器 勢や身体の使い方、読譜 技能を身に付けて演奏楽 の仕方など)を身に付け している。

て演奏している。

A ② 創意工夫を生かした音楽 ② 言葉や音階などの特徴 ② 箏の奏法、平調子に表 表現をするために必要な技 を生かした音楽表現をす よる旋律、構成などの現 能を身に付けて音楽をつく るために必要な技能(課 特徴を生かした音楽表(3) っている。 題に沿った音の組合せ 現をするために必要創 方、記譜の仕方など)を な、音の組合せ方、記作 身に付けて簡単な旋律を 譜の仕方などの技能を

つくっている。 身に付けて簡単な旋律をつくっている。

以上のことをまとめると、本題材の評価規準は以下のようになる。

【題材の評価規準】

① 箏の音色や奏法に関心をもち、基礎的な奏法で演奏する学習に音楽への関心

主体的に取り組もうとしている。・意欲・態度

② 箏の音色や奏法、平調子による旋律、構成などの特徴に関心を

もち、即興的に音を出しながら旋律をつくる学習に主体的に取り

組もうとしている。

① 箏の音色、平調子による旋律、構成を知覚し、それらの働きが音 楽 表 現 の

生み出す特質や雰囲気を感受している。創意工夫

② 知覚・感受しながら、箏の音色や奏法、平調子による旋律、構

成などの特徴を感じ取って音楽表現を工夫し、どのように旋律を

つくるかについて思いや意図をもっている。

③ 知覚・感受しながら、箏の音色や奏法、平調子による旋律、構

成などの特徴を捉えた音楽表現を工夫し、自分がつくった旋律を

どのように演奏するかについて思いや意図をもっている。

① 筝の特徴を捉えた音楽表現をするために必要な、箏の基礎的な音 楽 表 現 の

奏法、読譜の仕方などの技能を身に付けて演奏している。技能

② 箏の奏法、平調子による旋律、構成などの特徴を生かした音楽

表現をするために必要な、音の組合せ方、記譜の仕方などの技能

を身に付けて簡単な旋律をつくっている。

Page 43: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -38

(5) 題材の指導と評価の計画

次ページに示した題材の指導計画と評価計画は、学習のねらい、主な学習活動、評

価が各授業時間ごとに対応するよう作成したものである。

本事例において、観点別に評価を行う際には、全7時間の配当時間内における評価

の観点のバランスを考慮するとともに、一単位時間に設定する評価規準を一つか二つ

に絞り、効果的・効率的に評価できるように配慮することが大切である。

【本事例の評価方法例】

[関-①] (器楽 、 [関-②](創作) 行動の観察)

[創-①] (器楽、創作) ワークシート

[創-②] (創作) ワークシート、作品

[創-③] (器楽) 行動の観察、ワークシート

[技-①] (器楽) 行動の観察、演奏の聴取

[技-②] (創作) 作品

評価の計画を作成するに当たっては、評価の観点の趣旨を踏まえ、実際の学習活動

に即した評価規準を設定することが大切である。

なお、本事例にある「おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒へ

の手だて」については、一例を想定して示してあるが、生徒の実態に応じて、多様な

手だてを事前に準備しておくことが必要である。

[各教科等編]音 楽

Page 44: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

音楽科事例

1 題材名 「日本の四季をイメージした箏曲をつくり表現しよう」

2 題材の目標

3 題材の評価規準

4 題材の指導と評価の計画(全7時間)

 音楽への関心・意欲・態度

音楽表現の創意工夫

音楽表現の技能

1

箏の音色、平調子による旋律、構成を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受し、箏の音色や奏法に関心をもって「さくらさくら」の演奏に取り組むことができる。

・箏曲を聴いたり奏法を試したりして、箏の音色、平調子による旋律、構成を知覚・感受する。

① 箏の音色、平調子 による旋律、構成を 知覚し、それらの働 きが生み出す特質や 雰囲気を感受してい る。

【関】実際に箏の音色を聴  かせたり、いろいろな  奏法を試させたりす  る。【創】特徴を捉えた仲間の  発言をもとに、関係す  る奏法を選択するよう  助言する。

2

箏の基礎的な奏法、読譜の仕方を身に付け、箏の音色や奏法に関心をもって「さくらさくら」を演奏することができる。

・箏の基礎的な奏法を身に付け、「さくらさくら」を演奏する。・箏の音色や奏法に関心をもって、左手や右手の奏法を身に付ける。

① 筝の特徴を捉えた 音楽表現をするため に必要な、箏の基礎 的な奏法、読譜の仕 方などの技能を身に 付けて演奏してい る。

【技】仲間の弾き方を参考  にしながら、弦に集中  して、ゆっくり演奏す  るよう助言する。

3

旋律の特徴、左手や右手の奏法などを生かして即興的に音を出しながら、創作する活動に主体的に取り組もうとする。

・平調子による旋律などの特徴を生かした音の組合せ方について理解する。・即興的なリレー奏を楽しむ。

② 箏の音色や奏 法、平調子による 旋律、構成などの 特徴に関心をも ち、即興的に音を 出しながら旋律を つくる学習に主体 的に取り組もうと している。

【関】教師と一緒に演奏し  たり、これまでに学ん  だ奏法を確認したりし  ながら演奏させる。

【創】日本の四季の中で一  つ季節を決め、そのイ  メージを手の動きや擬  音を使って考えさせ  る。

【技】教師と一緒に1小節  をつくり、その後に続  く旋律を考えさせる。

6

箏の音色や奏法、平調子による旋律、構成などの特徴を感じ取って、自分がつくった旋律について箏の特徴を捉えた音楽表現を工夫し、どのように演奏するかについて思いや意図をもつことができる。

・つくった旋律の音楽的なよさを表現するために、どのように演奏すればよいのかを考え工夫する。

③ 知覚・感受しなが ら、箏の音色や奏 法、平調子による旋 律、構成などの特徴 を捉えた音楽表現を 工夫し、自分がつく った旋律をどのよう に演奏するかについ て思いや意図をもっ ている。

【創】他の生徒の思いや意  図を参考にしながら、  どのような旋律をつく  りたいのかを想起させ  る。

7

箏の基礎的な奏法、読譜の仕方を身に付け、自分がつくった箏のための旋律を演奏することができる。

・作品発表会を開き、それぞれ自分がつくった箏のための旋律を発表し合う。

① 筝の特徴を捉えた 音楽表現をするため に必要な、箏の基礎 的な奏法、読譜の仕 方などの技能を身に 付けて演奏してい る。

【技】教師や仲間が一緒に  演奏して、支援する。

(第1学年 A表現 (2)イ (3)ア 〔共通事項〕音色、旋律、構成)

箏の音色や奏法、平調子による旋律、構成などの特徴を感じ取って音楽表現を工夫し、創作に必要な技能を身に付け、表現したいイメージにふさわしい箏のための旋律をつくることができる。

・日本の四季の中で、自分が決めた季節の表現したいイメージにふさわしい箏のための旋律をつくる。

① 箏の音色や奏法 に関心をもち、基 礎的な奏法で演奏 する学習に主体的 に取り組もうとし ている。

② 知覚・感受しなが ら、箏の音色や奏 法、平調子による旋 律、構成などの特徴 を感じ取って音楽表 現を工夫し、どのよ うに旋律をつくるか について思いや意図 をもっている。

② 箏の奏法、平調子 による旋律、構成な どの特徴を生かした 音楽表現をするため に必要な、音の組合 せ方、記譜の仕方な どの技能を身に付け て簡単な旋律をつ くっている。

① 筝の特徴を捉えた音楽表現をするために必要な、箏の基礎的な奏法、読譜の仕方などの技能を身に付 けて演奏している。② 箏の奏法、平調子による旋律、構成などの特徴を生かした音楽表現をするために必要な、音の組合せ 方、記譜の仕方などの技能を身に付けて簡単な旋律をつくっている。

(1) 箏の音色や奏法、平調子による旋律、構成に関心をもち、箏の基礎的な奏法などを身に付けて演奏する学習や、箏のための簡単 な旋律をつくる学習に主体的に取り組もうとする。(2) 箏の音色、平調子による旋律、構成を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受しながら、箏の特徴を感じ取って音 楽表現を工夫し、どのように演奏するか、旋律をつくるかについて思いや意図をもつ。(3) 箏の特徴を捉えた音楽表現をするために必要な、基礎的な奏法などの技能を身に付けて演奏することができる。(4) 平調子による旋律などの特徴を生かした音楽表現をするために必要な技能を身に付けて簡単な旋律をつくることができる。

音楽への関心・意欲・態度

4 ・ 5

① 箏の音色や奏法に関心をもち、基礎的な奏法で演奏する学習に主体的に取り組もうとしている。② 箏の音色や奏法、平調子による旋律、構成などの特徴に関心をもち、即興的に音を出しながら旋律を つくる学習に主体的に取り組もうとしている。

音楽表現の創意工夫

① 箏の音色、平調子による旋律、構成を知覚し、それらの働きが生み出す特質や雰囲気を感受してい る。② 知覚・感受しながら、箏の音色や奏法、平調子による旋律、構成などの特徴を感じ取って音楽表現を 工夫し、どのように旋律をつくるかについて思いや意図をもっている。③ 知覚・感受しながら、箏の音色や奏法、平調子による旋律、構成などの特徴を捉えた音楽表現を工夫 し、自分がつくった旋律をどのように演奏するかについて思いや意図をもっている。

音楽表現の技能

おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて

評 価 規 準

時 ねらい 主な学習活動

-39-

Page 45: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -40

美 術

1 教科の目標

表現及び鑑賞の幅広い活動を通して、美術の創造活動の喜びを味わい美術を愛好す

る心情を育てるとともに、感性を豊かにし、美術の基礎的な能力を伸ばし、美術文化

についての理解を深め、豊かな情操を養う。

2 旨について評価の観点及びその趣

美術科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容などを考

慮し、以下の4観点として設定されている。

美術への 美術の創造活動の喜びを味わい、主体的に表現や鑑賞の学習に

関心・意欲・態度 取り組もうとする。

この観点は、美術の創造活動の喜びを味わいながら、主体的に表現や鑑賞の活動に取

り組んでいる生徒の姿を評価するものである。

評価に当たっては、単独で把握することよりも、他の三つの観点と関わらせて把握す

ることが重要である。学習活動の特性や題材の関連などを考慮しながら、生徒のどのよ

うな姿を評価するのかを、方法も含めて明確にする必要がある。

感性や想像力を働かせて豊かに発想し、よさや美しさなどを考発想や構想の能力

え心豊かで創造的な表現の構想を練っている。

この観点は、生徒自らの感性や想像力を働かせて、形や色、材料、用途などを基に、

豊かに発想したり、よさや美しさなどを考えたりしながら、心豊かに表現の構想を練る

などしている生徒の姿を評価するものである。

評価に当たっては、生徒の姿や作品だけでなく、ワークシートや自己評価などを手が

かりにすることで、作品などからは見えにくい生徒の思いや、発想や構想の工夫を見取

ることが重要である。また 「発想や構想の能力」は、学習が進むにつれて高まり、制、

作しながら作品に積み重ねられていく傾向が見られることから、制作途中の評価を段階

的に行うことも重要である。

感性や造形的感覚などを働かせて、表現の技能を身に付け、意創造的な技能

図に応じて表現方法などを創意工夫し創造的に表している。

この観点は、生徒自らの感性や造形的感覚などを働かせながら、材料や用具の特性を

生かした表現の技能を身に付け、自分の意図に応じて表現方法などを創意工夫し、創造

的に表現している生徒の姿を評価するものである。

評価に当たっては、生徒の制作意図と題材で用いる材料や用具、あるいは表現方法な

どとの関連を教師は明確にする必要があり、生徒が創造的な技能を発揮している具体的

な場面を通して評価することが大切である。また 「発想や構想の能力」と同様、この、

[各教科等編] 美 術

Page 46: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -41

[各教科等編] 美 術

能力も学習が進むにつれ高まり、作品に積み重ねられていく傾向が見られることから、

段階的に評価を行うことが重要である。なお 「創造的な技能」は、単に材料や用具を、

用いる能力だけを示したものではなく、制作意図と結び付いて発揮される能力であるこ

とに留意する。

感性や想像力を働かせて、美術作品などからよさや美しさな鑑賞の能力

どを感じ取り味わったり、美術文化を理解したりしている。

この観点は、美術作品や自他の作品などから、自らの感性や想像力を働かせながら、

主体的によさや美しさなどを味わったり、美術文化を理解したりしている生徒の姿を評

価するものである。

評価に当たっては、生徒が美術作品を前に、造形的なよさや美しさ、作者の意図や創

造的な表現の工夫などを語り合ったり、批評し合ったりする活動を通して、生徒自身が

何を美しいと感じ、何をよいと考えているのかを具体的に捉える必要がある。

3 題材の指導と評価計画の作成手順と考え方

ここでは、第2学年「お菓子のパッケージデザイン」を取り上げ、評価計画の作成の

仕方の例を示す。

(1) 題材で取り上げる内容の確認

学習指導要領に示された第2学年及び第3学年「A表現(2)(3) 「B鑑賞(1)」の内」

容は次のとおりである。

〔第2学年及び第3学年の内容「A表現(2)(3)」

(2) 伝える、使うなどの目的や機能を考え、デザインや工芸などに表現する活動を

通して、発想や構想に関する次の事項を指導する。

ア 目的や条件などを基に、美的感覚を働かせて形や色彩、図柄、材料、光など

の組合せを簡潔にしたり総合化したりするなどして構成や装飾を考え、表現の

構想を練ること。

イ 伝えたい内容を多くの人々に伝えるために、形や色彩などの効果を生かして

分かりやすさや美しさなどを考え、表現の構想を練ること。

、 、 、ウ 使用する者の気持ちや機能 夢や想像 造形的な美しさなどを総合的に考え

表現の構想を練ること。

(3) 発想や構想をしたことなどを基に表現する活動を通して、技能に関する次の事

項を指導する。

ア 材料や用具の特性を生かし、自分の表現意図に合う新たな表現方法を工夫す

るなどして創造的に表現すること。

、 、イ 材料や用具 表現方法の特性などから制作の順序などを総合的に考えながら

見通しをもって表現すること。

Page 47: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -42

〔第2学年及び第3学年の内容「B鑑賞(1) 〕」

(1) 美術作品などのよさや美しさを感じ取り味わう活動を通して、鑑賞に関する次

の事項を指導する。

ア 造形的なよさや美しさ、作者の心情や意図と創造的な表現の工夫、目的や機

能との調和のとれた洗練された美しさなどを感じ取り見方を深め、作品などに

対する自分の価値意識をもって批評し合うなどして、美意識を高め幅広く味わ

うこと。

イ 美術作品などに取り入れられている自然のよさや、自然や身近な環境の中に

見られる造形的な美しさなどを感じ取り、安らぎや自然との共生などの視点か

ら、生活を美しく豊かにする美術の働きについて理解すること。

ウ 日本の美術の概括的な変遷や作品の特質を調べたり、それらの作品を鑑賞し

たりして、日本の美術や伝統と文化に対する理解と愛情を深めるとともに、諸

外国の美術や文化との相違と共通性に気付き、それぞれのよさや美しさなどを

味わい、美術を通した国際理解を深め、美術文化の継承と創造への関心を高め

ること。

また、第2学年及び第3学年の〔共通事項〕として次の内容が示されている。

〔共通事項〕

(1) 「A表現」及び「B鑑賞」の指導を通して、次の事項を指導する。

ア 形や色彩、材料、光などの性質や、それらがもたらす感情を理解すること。

イ 形や色彩の特徴などを基に、対象のイメージをとらえること。

(2) 題材の目標の設定

題材で取り上げる内容を基に、本題材の目標を設定する。その際、評価の観点に留

意しながら一つにまとめて文章で示す方法と、四つの観点ごとに示す方法があるが、

いずれにしても、題材でどんな力を身に付けようとするのかを明確に示さなければな

らない。ここでは、題材の目標の設定例として、次のように四つの観点ごとに示すこ

ととした。

【題材の目標】

(1) 美術の創造活動の喜びを味わい、目的を考えて表現することに関心をもち、

主体的に造形的な美しさなどを総合的に考えて構想を練ったり、材料や用具の

特性を生かしたりしようとする。

(2) 伝えたい内容を多くの人々に伝えるために、形や色彩などの効果を生かして

分かりやすさや美しさなどを考え、表現の構想を練ることができる。

( ) 材料や用具の特性を生かし、表したいイメージをもちながら自分の表現意図3

に合う新たな表現方法を工夫することができる。

( ) 伝達のデザインとしての調和の取れた美しさなどを感じ取り、自分の価値意4

識をもって味わうことができる。

[各教科等編] 美 術

Page 48: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -43

[各教科等編] 美 術

(3) 「題材の評価規準」及び「学習活動に即した評価規準」の設定

「題材の評価規準」は、題材ごとに設定する評価規準であり、題材の目標と評価と

の関連を確認したり、題材における評価の重点を捉えたりする場合に有効なものであ

る 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 美術 」に。 )

ある「評価規準に盛り込むべき事項」は「題材の評価規準」を設定する際に参考とす

ることが考えられる。

学習活動に即した評価規準は、授業の中での具体的な学習活動の評価規準であり、

実際の評価はこれに基づいて行うことになる 「評価規準の作成のための参考資料」。

にある「評価規準の設定例」は「学習活動に即した評価規準」を設定する際の参考に

することが考えられる。

評価を行う際は、題材の目標や教材の特徴、学習活動等に応じて四つの観点の趣旨

を生かしながら適切な「題材の評価規準」や「学習活動に即した評価規準」を設定す

ることが大切である。

ア 「題材の評価規準」を設定する

「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 美術 」)

にある「A表現(2)(3)目的や機能の表現」及び「B鑑賞」の「評価規準に盛り込む

べき事項」は、次のとおりである。

〔評価規準に盛り込むべき事項〕

「A表現(2)(3)目的や機能の表現」

美術への関心・意欲・態度 発想や構想の能力 創造的な技能

美術の創造活動の喜びを味 感性や想像力を働かせて、 感性や造形感覚などを

わい、目的や機能を考えて表 目的や条件、伝えたい内容、 働かせて、材料や用具の

現することに関心をもち、主 使用する者の気持ちや機能な 特性を生かし、自分の表

体的に造形的な美しさなどを どを基に形や色彩の効果を生 現意図に合う新たな表現

総合的に考えて構想を練った かして造形的な美しさなどを 方法を工夫したり、制作

り材料や用具の特性を生かし 総合的に考え、表現の構想を の順序などを総合的に考

たりしようとしている。 練ってい え見通しをもったりしなる。

がら、創造的に表現して

いる。

「B鑑賞」

美術への関心・意欲・態度 鑑賞の能力

美術の創造活動の喜びを味わい、身の回りの 感性や想像力を働かせて、造形的なよさ

造形や美術作品、生活を美しく豊かにする美術 や美しさ、作者の心情や意図と創造的な表

の働きや美術文化などに関心をもち、主体的に 現の工夫、目的や機能との調和のとれた洗

見方や理解を深めようとしている。 練された美しさなどを感じ取り味わった

り、生活を美しく豊かにする美術の働きや

美術文化などについての理解や見方を深め

ている。

Page 49: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -44

[各教科等編] 美 術

前記の盛り込むべき事項を参考にしながら「題材の評価規準」を次のとおり設定

した。

【題材の評価規準】

「A表現(2)(3)目的や機能の表現」

美術への関心・意欲・態度 発想や構想の能力 創造的な技能

美術の創造活動の喜びを味 感性や想像力を働かせて、 感性や造形感覚などを働

わい、目的を考えて表現する お菓子のコンセプト、味やイ かせて、絵の具やコンピュ

ことに関心をもち、主体的に メージ、購入する者の気持ち ータなどの特性を生かし、

造形的な美しさなどを総合的 などを基に形や色彩の効果を 自分の表現意図に合う新た

に考えて構想を練ったり絵の 生かして造形的な美しさなど な表現方法を工夫したり、

具やコンピュータの特性を生 を総合的に考え、表現の構想 制作の順序などを総合的に

かしたりしようとしている。 を練っている。 考え見通しをもったりしな

がら、創造的に表現してい

る。

「B鑑賞」

美術への関心・意欲・態度 鑑賞の能力

美術の創造活動の喜びを味わい、パッケー 感性や想像力を働かせて、造形的なよさや

ジのデザインを鑑賞し、生活を美しく豊かに 美しさ、作者の意図と創造的な表現の工夫、

する美術の働きに関心をもち、主体的に見方 目的と美しさの調和などを感じ取り味わった

や理解を深めようとしている。 り、生活を美しく豊かにする美術の働きにつ

いての理解や見方を深めている。

イ 「学習活動に即した評価規準」を設定する

「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 美術 」)

に示されている「評価規準の設定例」の中で本題材の目標に即した評価規準は、

次のとおりである。

〔評価規準の設定例〕

「A表現(2)(3)目的や機能の表現」

美術への関心・意欲・態度 発想や構想の能力 創造的な技能

・伝えたい内容を多くの人々 伝えたい内容を多くの人々 材料や用具の特性を生か

に分かりやすさや美しさなど に伝えるために、形や色彩な し、表したいイメージをも

を考えて表現することに関心 どの効果を生かして分かりや ちながら自分の表現意図に

をもち、主体的に構想を練ろ すさや美しさなどを考え、表 合う新たな表現方法を工夫

うとしている。 現の構想を練っている。 するなどして創造的に表現

・材料や用具の特性などを主 している。

体的に生かし、表現方法を工

夫して表現しようとしている。

Page 50: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -45

[各教科等編] 美 術

「B鑑賞」

美術への関心・意欲・態度 鑑賞の能力

目的や機能との調和のとれた洗練された美 目的や機能との調和のとれた洗練された美

しさ、つくり手の意図や願いなどに関心をも しさ、作品全体のイメージ、つくり手の意図

ち、主体的に感じ取ろうとしている。 や願いなどを感じ取り、自分の価値意識をも

って味わっている。

上記の設定例を参考にしながら、本題材の内容に合わせ、次のように「学習活動に

即した評価規準」を設定した。

【学習活動に即した評価規準】

「A表現(2)(3)目的や機能の表現」

美術への関心・意欲・態度 発想や構想の能力 創造的な技能

お菓子の味のイメージなど お菓子の味やイメージなど 絵の具やコンピュータな・

の伝えたい内容を多くの人々 の伝えたい内容を多くの人々 どの特性を生かし、表した

に分かりやすさや美しさ、購 に伝えるために、形や色彩な いイメージをもちながら自

入する者の気持ちを考えて表 どの効果を生かして分かりや 分の表現意図に合う新たな

現することに関心をもち、主 すさや美しさなどを考え、表 表現方法を工夫するなどし

体的に構想を練ろうとしてい 現の構想を練っている。 て創造的に表現している。

る。

・絵の具やコンピュータなど

の特性を主体的に生かし、表

現方法を工夫しようとしてい

る。

「B鑑賞」

美術への関心・意欲・態度 鑑賞の能力

お菓子の味のイメージを伝えること、パッ お菓子の味のイメージを伝えるパッケージ・

ケージとしての調和のとれた洗練された美し としての調和のとれた洗練された美しさ、つ

さ つくり手の意図や願いなどに関心をもち くり手の意図や願いなどを感じ取り、自分の、 、

主体的に感じ取ろうとしている。 価値意識をもって味わっている。

(4) 題材の指導と評価の計画

美術科事例は、題材の指導計画と評価計画をまとめて示し、学習のねらい、学習活

動、評価が各時間ごとに対応するよう作成した事例である。

【題材の指導計画(全9時間 】)

① 課題の把握と鑑賞 (1時間)

② 表現の発想・構想 (2時間)

Page 51: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -46

③ 制作 (5時間)

④ 作品鑑賞 (1時間)

指導と評価の計画を作成するに当たっては、題材の中で毎時間全ての観点を評価す

るのではなく、時間ごとのねらいや学習活動を踏まえた上で評価する観点を焦点化す

ることも考えられる。

また、評価は完成した作品からのみ行うものではなく、設定した評価規準を基に、

題材の特性や作業の流れ、生徒の実態などを考慮しながら、制作途中の作品やアイデ

アスケッチなどからも評価することが望ましい。また、学習活動のどの場面で、どの

ような方法で評価するのかを明確にしておく必要がある。評価の方法もワークシート

や自己評価だけでなく、座席表を活用したり、観察に基づく評価をしたりするなど、

学習活動に応じた評価方法等を工夫することが大切である。

なお 「おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて」に、

ついて一例を示しているが、実際には、扱う用具や材料、題材の理解度に応じ、生徒

の実態に即した複数の手だてを示すことも考えられる。

[各教科等編] 美 術

Page 52: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

美術科事例

1 題材名  「お菓子のパッケージのデザイン」 (第2学年「A表現(2)(3)目的や機能の表現」「B鑑賞」)

2 題材の目標

3 題材の評価規準

4 題材の指導と評価の計画(全9時間)

時 ねらい 主な学習活動 評価規準おおむね満足できる状況に達していないと判断される児童への手だて

【関】お菓子の味のイメージなどの伝えたい内容を多くの人々に分かりやすさや美しさ、購入する者の気持ちを考えて表現することに関心をもち、主体的に構想を練ろうとしている。 

 パッケージデザインを見るための手がかりや視点を示したり、機能を説明したりするなどして、つくり手の意図や願いを考えるおもしろさに気付かせる。

【鑑】お菓子の味のイメージを伝えるパッケージとしての調和のとれた洗練された美しさ、つくり手の意図や願いなどを感じ取り、自分の価値意識をもって味わっている。

 形や色彩などの特徴や印象を具体的に捉えさせ、それを言葉にしたりワークシートにメモをさせたりするなどして、作品全体のイメージ、つくり手の意図などに気付かせる。

【関】お菓子の味のイメージなどの伝えたい内容を多くの人々に分かりやすさや美しさ、購入する者の気持ちを考えて表現することに関心をもち、主体的に構想を練ろうとしている。

 市販されているお菓子のパッケージデザインなどの参考作品を見せたり、好きなお菓子の味やイメージを伝えることのおもしろさに気付かせる。

【発】お菓子の味やイメージなどの伝えたい内容を多くの人々に伝えるために、形や色彩などの効果を生かして分かりやすさや美しさなどを考え、表現の構想を練っている。

 生徒が伝えたい内容と、形や色彩がもたらす効果を確認し、構想を練るための具体的な手だてを示す。

 絵の具やコンピュータの特性を生かし、表現方法を工夫して制作する。

【関】絵の具やコンピュータなどの特性を主体的に生かし、表現方法を工夫しようとしている。

 生徒の制作意図を聞き、材料や用具を紹介し、選択させるなどして、具体的な完成のイメージをもたせ、意欲を喚起する。

【技】絵の具やコンピュータなどの特性を生かし、表したいイメージをもちながら自分の表現意図に合う新たな表現方法を工夫するなどして創造的に表現している。

 材料や用具の特性や扱い方について具体的に説明したり、選択させたりする。

 構想に改善を加え、表現方法を工夫しながら制作をする。

【発】お菓子の味やイメージなどの伝えたい内容を多くの人々に伝えるために、形や色彩などの効果を生かして分かりやすさや美しさなどを考え、表現の構想を練っている。

 生徒が伝えたい内容と、形や色彩がもたらす効果を確認し、改善にするための具体的な手だてを示す。

【関】お菓子の味のイメージを伝えるパッケージとしての調和のとれた洗練された美しさ、つくり手の意図や願いなどを感じ取り、自分の価値意識をもって味わおうとしているる。

 パッケージデザインを見るための手がかりや視点を示したり、機能を説明したりするなどして、つくり手の意図や願いを考えるおもしろさに気付かせる。

【鑑】お菓子の味のイメージ、パッケージとしての調和のとれた洗練された美しさ、作品全体のイメージ、つくり手の意図や願いなどを感じ取り、自分の価値意識をもって味わっている。

 形や色彩などの特徴や印象を具体的に捉えさせ、それを言葉にしたりワークシートにメモさせたりするなどして、作品全体のイメージ、つくり手の意図などに気付かせる。

発想や構想の能力

創造的な技能

鑑賞の能力

(1) 美術の創造活動の喜びを味わい、目的を考えて表現することに関心をもち、主体的に造形的な美しさなどを総合的に考えて構想を練ったり、材料や用具の特性を生かしたりしようとする。

(2) 伝えたい内容を多くの人々に伝えるために、形や色彩などの効果を生かして分かりやすさや美しさなどを考え、表現の構想を練ることができる。

(3) 材料や用具の特性を生かし、表したいイメージをもちながら自分の表現意図に合う新たな表現方法を工夫することができる。

(4) 伝達のデザインとしての調和の取れた美しさなどを感じ取り、自分の価値意識をもって味わうことができる。

 構想を基に自分の表現意図に合う表現方法を工夫したり、構想を深めたりしながら表現方法を工夫することができる。

 他者の作品から、作者の制作意図や創造的な表現の工夫、伝達効果や調和の取れた洗練された美しさなどを感じ取り、自分の価値意識をもって味わうことができる。9

 友達の作品を互いに鑑賞し、批評し合う。

45678

①美術の創造活動の喜びを味わい、目的を考えて表現することに関心をもち、主体的に造形的な美しさなどを総合的に考えて構想を練ったり絵の具やコンピュータの特性を生かしたりしようとしている。②美術の創造活動の喜びを味わい、パッケージのデザインを鑑賞し、生活を美しく豊かにする美術の働きに関心をもち、主体的に見方や理解を深めようとしている。

・感性や想像力を働かせて、お菓子のコンセプト、味やイメージ、購入する者の気持ちなどを基に形や色彩の効果を生かして造形的な美しさなどを総合的に考え、表現の構想を練っている。

・感性や造形感覚などを働かせて、絵の具やコンピュータなどの特性を生かし、自分の表現意図に合う新たな表現方法を工夫したり、制作の順序などを総合的に考え見通しをもったりしながら、創造的に表現している。

・感性や想像力を働かせて、造形的なよさや美しさ、作者の意図と創造的な表現の工夫、目的と美しさの調和などを感じ取り味わったり、生活を美しく豊かにする美術の働きについての理解や見方を深めている。

美術への関心・意欲・態度

 市販のお菓子のパッケージから伝達の表現について理解し、よさを味わうことができる。

1

 ワークシートやアイデアスケッチなどにより構想をまとめる。

 お菓子の味やイメージ、他者の気持ちなどを考えて発想し、表現の構想を練ることができる。

23

 市販されているお菓子のパッケージを持ち寄り鑑賞し、デザインの意図や表現の工夫などについて意見を述べ合う。

-47-

Page 53: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -48

保健体育

1 教科目標

心と体を一体としてとらえ、運動や健康・安全についての理解と運動の合理的な実践を

通して、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力を育てるとともに健康の保持増進のため

の実践力の育成と体力の向上を図り、明るく豊かな生活を営む態度を育てる。

2 評価の観点及びその趣旨について

(1) 観点及び趣旨の理解

保健体育科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容などを踏

まえ、以下の4観点として設定されている。

運動や健康・安全 運動の楽しさや喜びを味わうことができるよう、運動の合理的な実

への関心・意欲・ 践に積極的に取り組もうとする。また、個人生活における健康・安全

態度 について関心をもち、意欲的に学習に取り組もうとする。

この観点は、運動に進んで取り組んだり、仲間と協力して取り組んだりする姿や、個人生

活における健康・安全に関心をもち、積極的に学習に取り組もうとする意欲を評価するもの

である。

、 、「 」 、具体的には 体育分野では 進んで運動に取り組む といった運動への愛好的な態度や

「よい演技を認めようとしたり、勝敗などを認めルールやマナーを守ろうとしたり、フェア

なプレイを守ろうとしたり、伝統的な行動の仕方を大切にしようとしたり、互いのよさを認

めたり、互いに助け合い教えあったりする」などの協力・公正に関する態度 「分担した役、

、 」 、割を果たそうとしたり 話合いに参加しようとしたりする などの責任や参画に関する態度

「運動の場や用具の安全に気を配る」などの安全に関する態度が身に付いているかどうかを

見取る。保健分野では 「個人生活における健康・安全」に関する内容について、健康に関、

する資料を見たり、自分達の生活を振り返ったり、課題解決に向けての話し合いや意見交換

などの活動において注目をしたり、メモを取ったりして、意欲的に課題や学習に取り組んだ

、 。り 学習の成果を課題解決に生かそうとしたりする態度が身に付いているかどうかを見取る

運動や健康・安全 生涯にわたって運動に親しむことを目指して、学習課題に応じた運

についての思考・ 動の取り組み方や健康の保持及び体力を高めるための運動の組合せ方

判断 を工夫している。また、個人生活における健康・安全について、課題

の解決を目指して考え、判断し、これらを表している。

この観点は、各領域における学習課題に応じ、基礎的な知識や技能を活用して、これまで

学習した内容を学習場面に適用したり、応用したりする力が身に付いているかどうかを評価

するものである。

具体的には、体育分野では、個人やグループの課題に応じて、学習する技の合理的な動き

方や運動の行い方のポイントを見付けたり、適切な練習方法を選んだり、チームの特徴を踏

[各教科等編]保健体育

Page 54: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -49

[各教科等編]保健体育

まえた作戦や戦術を選んだり、仲間と協力する場面で分担した役割に応じた活動の仕方を見

付けたりしている姿を、保健分野では、健康に関する解決方法を見つけたり、選んだり、学

習したことを筋道を立てて説明したりするなどの姿を、発言やワークシート等への記述等の

学習状況を通して見取る。

運動の技能 運動の合理的な実践を通して、運動の特性に応じた基本的な技能を身

に付けている。

この観点は、運動を通して、各領域における技能や攻防の様相、動きの様相が身について

いるかどうかを評価するものである。

、 、 、具体的には ハードル走で例えると 何秒で走れたかという時間で評価するものではなく

スタートしてからゴールまでの「リズミカルな走り」や「なめらかにハードルを越す」とい

う走り方やハードルの越え方などの動きの質が身に付いているかどうかを見取る。

運動や健康・安全 運動の合理的な実践に関する具体的な事項及び生涯にわたって運動に

についての知識・ 親しむための理論について理解している。また、個人生活における健康

理解 ・安全について、課題の解決に役立つ基礎的な事項を理解している。

この観点は、各領域における基礎的・基本的な知識が身に付いているかどうか、理解して

いるかどうかを評価するものである。

具体的には、体育分野では 「運動の特性や成り立ち 「技の名称や行い方 「関連して、 」、 」、

高まる体力 「伝統的な考え方 「表現の仕方 「交流や発表の仕方」等を、また、保健」、 」、 」、

分野では、個人生活における健康・安全に関して、基礎的・基本的な知識が身についている

かどうか、理解しているかどうかを、発言やワークシートへの記述等の学習状況を通して見

取る。

(2) 各観点における配慮事項

○ 体育分野

ア 「運動への関心・意欲・態度」

人には誰でも学習によって技能や体力が向上する可能性があるといった挑戦することの

意義や、上達していくためには繰り返し粘り強く取り組むことが大切であることなどを理

解させた上で、生徒の発達の段階や学習の段階に適した課題を設定したり、取り組むべき

課題を明確にしたり、練習の進め方や場づくりの方法を示したりするなど、生徒が記録の

向上、競争や攻防、練習や試合、演技や発表などに意欲をもって取り組めるようにするこ

とが大切である。

なお、表面的な状況のみに着目することにならないよう留意するとともに、教科の特性

や学習内容等も踏まえつつ、ある程度長い区切りの中で適切な頻度で「おおむね満足でき

る」状況にあるかどうかを評価するなどの工夫を行うことも大切である。

イ 「運動についての思考・判断」

知識の内容を確実に指導した上で、学習指導要領解説の例示を手がかりに、自己やグル

ープの課題の解決を目指して、生徒が運動の仕方を工夫できるような知識を活用する場面

を設定し、思考力・判断力を高めた上で評価をすることが大切である。

また、ダンスについては、以下のように捉える。

Page 55: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -50

[各教科等編]保健体育

学習指導要領の体育、保健体育の指導内容として、例えば、ダンスにおいては 「動、

」 。 「 」きに変化をつけて即興的に表現したり 等が規定されている このような場合の 表現

は体育、保健体育における技能を示すものであることから、現在「運動の技能」で評価

しており、今後も「技能」の観点で評価することが適当である。

「児童生徒の学習評価の在り方について(報告 」)

ウ 「運動の技能」

行動の観察が中心となる運動の技能の評価を適切に行うためには、全ての生徒が技能の

向上に向けた学習に取り組むことができるように、個人差に合わせた学習課題の設定、学

、 、 ( ) 、習の場づくり 生徒相互の教え合いなどを工夫し 基本的な技能 動きの質 を指導をし

その上で、技能(動きの質)が高まりを評価することが重要である。その際、身体表現や

瞬時の判断を含む動きとして、評価規準を設定することが大切である。

なお 「体つくり運動」は 「技能」は示されておらず「運動」と示されている。これ、 、

は、体ほぐしの運動は、技能の習得・向上を直接のねらいとするものではないこと、体力

を高める運動は、運動の計画を立てることが主な目的となることから運動の技能と設定し

ない。技能(運動)については、主に「運動についての思考・判断」に整理されている。

また 「体育理論」は、大項目の「内容のまとまり」ごとにねらいを設定し、学習活動、

を工夫した上で 「運動の技能」を除いた3観点で評価する。、

エ 「運動についての知識・理解」

全ての学習の基礎となるため、基礎的・基本的な内容を確実に指導することが大切であ

る。

なお 「体育理論」については、各学年で3単位時間以上を配当することとなっている、

が、時数の少ない単元構成が予想されるため、本観点は毎時の小項目ごとに設定する。

○ 保健分野

保健分野において、目標に「個人生活における健康・安全に関する理解」とあるが、この

場合の「理解」は健康・安全への知識・理解だけでなく、健康・安全についての関心・意欲

・態度や思考・判断などの資質や能力を含んだものとされ、単元の目標は3つに分け、評価

も「運動の技能」を除いた3観点で評価することとしている。

また、本分野においては 「評価規準の作成のための参考資料」は、そこに示された「評、

価規準に盛り込むべき事項 が 単元の評価規準 等 評価規準の設定例 が各授業の 評」 「 」 、「 」 「

価規準」に活用できるように作成されている。

ア 「健康・安全についての関心・意欲・態度」

発問を工夫するなど、学習への意欲を持たせることが重要である。

イ 「健康・安全についての思考・判断」

現在及び将来の生活において、健康・安全の課題に直面した場合に的確な思考・判断を

行うことができるよう、自らの健康を適切に管理し改善していく思考力・判断力などの資

質や能力を育成することが大切である。

ウ 「健康・安全についての知識・理解」

小学校での「実践的に理解できるようにする」という考え方を生かすとともに、抽象的

な思考なども可能になるという発達の段階を踏まえ、心身の健康の保持増進に関する基礎

的・基本的な内容について科学的に思考し、理解できるようにすることが大切である。

Page 56: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -51

[各教科等編]保健体育

(3) 1単位時間に評価する内容について

1単位時間に原則として一つの観点が望ましい。ただし、総時数の少ない単元は、1単位

。「 」 「 」時間に二つの観点を設定することもある 運動への関心・意欲・態度 及び 運動の技能

における評価は、態度の育成や技能の獲得等に一定の学習機会が必要となること、主に観察

評価によって評価を行うことから、指導後に一定の学習期間及び評価期間を設けることが考

えられる 「運動の思考・判断」及び「運動の知識・理解」における評価は、主に学習ノー。

ト等に記述された内容から評価を行うことから、指導から期間を置かずに評価をすることが

考えられる。

3 単元の指導と評価計画の作成手順と考え方

ここでは、第1学年の単元「F 武道」から柔道を取り上げ、評価計画の作成の仕方の例を

示す。

(1) 単元で取り上げる指導内容の確認

本単元について、学習指導要領の内容は次のように示されている。

F 柔道

(1) 次の運動について、技ができる楽しさや喜びを味わい、基本動作や基本となる技がで

きるようにする。

ア 柔道では、相手の動きに応じた基本動作から、基本となる技を用いて、投げたり抑

えたりするなどの攻防を展開すること。

(2) 武道に積極的に取り組むとともに、相手を尊重し、伝統的な行動の仕方を守ろうとす

ること、分担した役割を果たそうとすることなどや、禁じ技を用いないなど健康・安全

に気を配ることができるようにする。

(3) 武道の特性や成り立ち、伝統的な考え方、技の名称や行い方、関連して高まる体力な

どを理解し、課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。

(2) 単元の目標の設定

指導内容を基に、種目の特徴、特質等を踏まえて、単元の目標を設定する。

【単元の目標】

・相手の動きに応じた基本動作を身に付け、基本となる技を用いて攻防を展開することがで

きるようにする。

・技ができる楽しさや喜びを味わい、基本動作や基本となる技の練習に積極的に取り組むこ

とができるようにする。

・練習や簡単な試合に際し、用具の準備や後片付け、審判などの分担した役割に積極的に取

り組むことができるようにする。

・危険な技や禁じ技を用いないこと、用具や練習及び試合の場所などの自己や仲間の安全に

留意して取り組むことができるようにする。

・柔道の特性や成り立ち、伝統的な考え方、技の名称や行い方、関連して高まる体力などを

理解できるようにする。

・課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。

Page 57: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -52

(3) 単元の評価規準の設定

設定した指導内容及び単元の目標を基に、単元の評価規準を設定する。このとき 「評価、

規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 保健体育 」の「評価規準)

の設定例」を参考にすることも考えられる。その資料には 「運動への関心・意欲・態度 、、 」

「運動についての思考・判断 「運動についての知識・理解」については、領域で共通し」、

た内容が示されているので、領域で共通して設定することが考えられる。なお、体育分野に

おいて、第1学年及び第2学年で、全ての領域を取り上げることとなるが、2年間継続して

1つの領域を取り扱う場合 「運動の技能」の観点は、領域の内容ごとに各学年の「単元の、

評価規準」を設定し 「運動の技能」以外の観点は、各学年での指導内容を重点化し、領域、

共通の評価規準を各学年に振り分け、2年間を見通した「単元の評価規準」を設定する。

ここでは 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 保健体、

育 【 F 武道」の評価規準の設定例】を参考に、以下のように設定した。)」「

【単元の評価規準 (●は第1学年の評価規準 ・は第2学年の評価規準)】 、

運動への関心 ●武道の学習に積極的に取り組もうとしている。

・意欲・態度 ・相手を尊重し、伝統的な行動の仕方を守ろうとしている。

●分担した役割を果たそうとしている。

・仲間の学習を援助しようとしている。

●禁じ技を用いないなど健康・安全に留意している。

運動について ●技を身に付けるための運動の行い方のポイントを見付けている。

の思考・判断 ・課題に応じた練習方法を選んでいる。

、 。・仲間と協力する場面で 分担した役割に応じた協力の仕方を見付けている

●学習した安全上の留意点を他の練習場面に当てはめている。

運動の技能 ●投げたり抑えたりするなどの攻防を展開するための相手の動きに応じた基

本動作から、基本となる技ができる。

運動について ●武道の特性や成り立ちについて学習した具体例を挙げている。

の知識・理解 ・武道の伝統的な考え方について、理解したことを言ったり書き出したりし

ている。

●技の名称や行い方について、学習した具体例を挙げている。

・武道に関連して高まる体力について、学習した具体例を挙げている。

●試合の行い方について学習した具体例を挙げている。

※「運動への関心・意欲・態度 「運動についての思考・判断 「運動についての知識・」、 」、

理解」については、2年間に分けて指導するように設定する。

※「運動の技能」については、学習指導要領解説の例示を参考に、具体的な動きの例を第1

学年と第2学年に分け、第1学年を取り上げる。

(4) 本事例のポイント

本事例では、武道(柔道)を例に、単元として総括するまでの一連の流れについて示して

いる。また、新学習指導要領では 「第1学年及び第2学年」における取り上げ方が弾力化、

[各教科等編]保健体育

Page 58: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -53

されており、特に、第1学年では「技ができる楽しさや喜びを味わい、基本動作や基本とな

る技ができるようにすること 「柔道の学習に積極的に取り組み、健康や安全に気を配る」、

こと 、第2学年では「得意技や連絡技を身に付け、相手との動きの中で、相手を崩して自」

由に技をかけるようにすること 「課題に応じた練習場所を選び、学習した安全上の留意」、

点を他の練習場所に当てはめること」に指導の重点を置いた単元計画を設定した。

なお、次ページの表の「おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手

だて」については、生徒が「おおむね満足できる」状況に達するための指導方法の工夫や学

習環境の充実等を例示している。実際の指導においては、生徒の実態に応じて多様な手だて

を事前に準備しておくことが必要である。

[各教科等編]保健体育

Page 59: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

保健体育科(体育分野)事例

1 単元名 武道(柔道) 第1学年

3 単元の評価規準 (□囲いは、2年次で扱う。)

関 思 技 知

1

 柔道の特性や成り立ち、学習のねらい・進め方について理解できる。

・柔道の特性や成り立ち、伝統的な考え方、柔道に関連して高まる体力について知る。・学習のねらい、進め方、学習ノートの使い方等について、学習資料による説明を聞く。・班編成をする。・柔道衣の扱い方を理解する。・学習計画を立てる。

① ・柔道の特性や成り立ち、学習のねらい、学習のすすめ方について理解できる。

・柔道の学習のねらいについて具体的に理解させる。

2

ねらい1 相手の動きに応じた基本動作や基本となる技を身に付ける。

 基本動作のポイントを見付けることができる。

・相手の動きに応じた基本動作を練習する。 姿勢、組み方、進退動作〔すり足、歩み足、継ぎ足〕、崩し 体さばき〔前さばき、後ろさばき、前回りさばき〕、 受け身〔後ろ受け身、横受け身〕

① ・相手の動きに応じた崩しや体さばきのポイントや、受け身のタイミングを見付けている。

・相手が前に出てくる時は後方や側方にさばくなど、相手の動きに合わせる動作のポイントを確認させる。

 基本となる技のポイントを見付けることができる。

① ・投げ技の基本となる技、固め技の基本となる技のポイン

・後ろ受け身をとる際、あごを引き頭を上げ、両方の腕全体で畳を強くたたくこと

(1) 相手の動きに応じた基本動作を身に付け、基本となる技を用いて攻防を展開することができるようにする。(2) 技ができる楽しさや喜びを味わい、基本動作や基本となる技の練習に積極的に取り組むことができるようにする。(3) 練習や簡単な試合に際し、用具の準備や後片付け、審判などの分担した役割に積極的に取り組むことができるようにする。(4) 危険な技や禁じ技を用いないこと、用具や練習及び試合の場所などの自己や仲間の安全に留意して取り組むことができるようにする。(5) 柔道の特性や成り立ち、伝統的な考え方、技の名称や行い方、関連して高まる体力などを理解できるようにする。(6) 課題に応じた運動の取り組み方を工夫できるようにする。

①柔道の特性や成り立ちについて、学習した具体例を挙げている。2柔道の伝統的な考え方について、理解したことを発言したり書き出したりしている。③技の名称や行い方について、学習した具体例を挙げている。4柔道に関連して高まる体力について、学習した具体例を挙げている。⑤試合の行い方について学習した具体例を挙げている。

①柔道の学習に積極的に取り組もうとしている。2相手を尊重し、伝統的な行動の仕方を守ろうとしている。③分担した役割を果たそうとしている。4仲間の学習を援助しようとしている。⑤禁じ技を用いないなど健康・安全に留意している。

①技を身に付けるための運動の行い方のポイントを見付けている。2課題に応じた練習方法を選んでいる。3仲間と協力する場面で、分担した役割に応じた協力の仕方を見付けている。④学習した安全上の留意点を、他の練習場面に当てはめている。

2 単元の目標

4 単元の指導と評価の計画(全12時間)

評価の重点時 ねらい 主な学習活動

運動の技能

運動についての知識・理解

①相手の動きに応じた基本動作を身に付け、基本となる技を用いて攻防を展開することができる。

評価規準

運動への関心・意欲・態度

運動についての思考・判断

おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて

・相手の動きに応じた基本動作を復習する。・基本となる技を練習する。

-54-

3

見付けることができる。

 安全に配慮しながら、基本動作の練習に意欲的に取り組むことができる。

め技の基本となる技のポイントを見付けている。・周囲の安全に気を付けながら、意欲的に練習に取組もうとしている。

げ、両方の腕全体で畳を強くたたくことを確認させる。・技をかける時の周囲の安全に気を付けさる。

4

 受け身、固め技のポイントを見付けることができる。

① ・受け身を取るタイミング、固め技のポイントを見付けている。

・技のポイントを確認させる。

5

投げ技について、「取」、「受」、それぞれのポイントを見付けることができる。

① ・投げ技の基本となる技のポイントを見付けている。

・技のポイントを理解させる。

6

技の名称を理解し、行い方について理解することができる。

③ ・技の名称を理解し、基本的な技の行い方を理解している。

・基本的な技の名称をを確認させる。

7・8

 相手の動きに応じた基本となる技を身に付けることができる。

①  相手の動きに応じた基本となる技ができる。

・学習資料や示範により技のポイントを確認させる。

9

ねらい2 相手の動きに応じた基本動作や基本的な技を生かした練習や簡易な試合ができるようにする。

簡易な試合の行い方と審判法を理解し、安全に留意して簡易試合をすることができる。

・簡易な試合をとおして、自分の役割を果たそうとしている。・禁じ技を用いないなど安全に配慮して簡易な試合をしようとしている。

・各自がそれぞれの役割を行うことで、簡易な試合が成り立つことを確認させる。・「取」は引き手をしっかり引く、「受」は確実に受け身をとるなど、安全に学習を進めることの重要性を理解させる。

10

 学習した安全上の留意点を簡易な試合にあてはめて試合をすることができる。

④ ・周囲や自他の安全を確認しながら簡易な試合をしようとしている。

・相手が受け身をとりやすい状態で技をかけたり、投げられたら受け身をするなど、安全に簡易試合を行う大切さを考えさせる。

11

簡易な試合の中で、相手の動きに応じた基本動作から、基本となる技ができる。

・簡易な試合において、相手の動きに応じた基本動作からの基本となる技ができる。

・相手の動きを利用するポイントについて確認させる。

12

 学習してきたことを評価し、次の学習に向けて課題や学習の手がかりをまとめることができる。

・学習カードを参考にしながら、これまでの学習を振り返るとともに、学習全体のまとめを行い、次年度の見通しを立てる。

⑤ ・自分の役割や試合の行い方、審判法について理解している。

・試合の行い方、審判法について、具体的に確認させる。

・簡易的なルールで階級別の試合を行う。 ・1分試合 ・ポイントが獲得できるまでの押さえ込みの時間の  短縮 ・投げ技のポイント獲得のための基準緩和 ・技あり1つで試合終了               など

③⑤

・基本となる技を練習する。   受け身(後ろ受け身)  固め技〔けさ固め、横四方固め、上四方固め〕・投げ技の基本となる技を練習する。  支え技系〔膝車、支え釣り込み足〕  刈り技系〔大外刈り、小内刈り、大内刈り〕  まわし系〔体落し〕

取:体さばき→投げ技  受:投げ技に応じた受け身

・かかり練習、約束練習を行う。・既習技の練習を行う。・自由練習を行う。

-54-

Page 60: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -55

技術・家庭

1 教科の目標

生活に必要な基礎的・基本的な知識及び技術の習得を通して、生活と技術とのか

かわりについて理解を深め、進んで生活を工夫し創造する能力と実践的な態度を育

てる。

2 評価の観点及びその趣旨について

技術・家庭科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容

などを考慮し、以下の4観点として設定されている。

生活や技術への 生活や技術について関心をもち、生活を充実向上するために

関心・意欲・態度 進んで実践しようとする。

この観点は、各内容で学習する生活や技術について一層の関心をもち、課題を見いだ

し、課題解決を目指して意欲的、積極的に学習に取り組み、計画的創造的に学習を進め

るとともに、習得した知識や技術を積極的に活用して生活を工夫したり創造したりする

実践的な態度が育っているかを評価するものである。

生活を工夫し 生活について見直し、課題を見付け、その解決を目指して自

創造する能力 分なりに工夫し創造している。

この観点は、実践的、体験的な学習活動を中心としている技術・家庭科の学習が、単

なる知識や技術の習得に終わることなく、習得した知識や技術を積極的に活用し、課題

の解決を目指して生活を工夫したり創造したりする能力が育っているかを評価するもの

である。

生活の技能 生活に必要な基礎的・基本的な技術を身に付けている。

この観点は、技術・家庭科が生活に必要な基礎的・基本的な知識と技術の習得を第一

の目標としていることと関連したものであり、素材を選択・加工して生活に役立つもの

をつくり出したり、調査・研究、計画、製作、整備などの実践的・体験的な学習活動を

通して、多面的な生活の場面で必要とされる基礎的な技術が身に付いているかを評価す

るものである。

生活や技術につい 生活や技術に関する基礎的・基本的知識を身に付け、生活と

ての知識・理解 技術とのかかわりについて理解している。

この観点は、実践的・体験的な学習活動を通して、多面的な生活の場面で必要とされ

、 、る基礎的・基本的な知識を身に付けるとともに 生活を尊重する立場から技術を捉えて

。生活を充実させるための技術との関わりについて理解しているかを評価するものである

[各教科等編]技術・家庭

Page 61: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -56

技術分野

1 技術分野の目標

ものづくりなどの実践的・体験的な学習活動を通して、材料と加工、エネルギー

変換、生物育成及び情報に関する基礎的・基本的な知識及び技術を習得するととも

に、技術と社会や環境とのかかわりについて理解を深め、技術を適切に評価し活用

する能力と態度を育てる。

2 評価の観点及びその趣旨について

技術分野の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における分野目標、内容

などを考慮し、以下の4観点として設定されている。

生活や技術への 材料と加工、エネルギー変換、生物育成及び情報に関する技

関心・意欲・態度 術について関心をもち、技術の在り方や活用の仕方等に関する

、 。課題の解決のために 主体的に技術を評価し活用しようとする

この観点では、技術と社会や環境との関わりに関心をもっているか、技術を評価し活

用しようとしているか、さらには技術に関する倫理観や新しい発想を生み出し活用しよ

うとしているかといったことについて評価するものである。そのため、提出物の回数や

発言回数といった表面的な状況を把握するよりも、発言や学習カードの記入内容などか

ら生徒の思いや願いを読み取るようにするといった工夫が必要である。

生活を工夫し 材料と加工、エネルギー変換、生物育成及び情報に関する技

創造する能力 術の在り方や活用の仕方等について課題を見付けるとともに、

、 。その解決のために工夫し創造して 技術を評価し活用している

この観点では、設計や製作の場面及び技術の評価・活用の場面において、目標を達成

するために制約条件の下で最適な解決策を考え出すことができているかについて評価す

るものである。出来上がった製作品からは、生徒の考えを読み取れないこともあること

から、製作図や回路図、フローチャート、育成計画表等を用いて生徒に考えさせ、その

記入内容から、生徒が解決策をどのように考え出したのかを読み取るといった工夫が必

要である。

生活の技能 材料と加工、エネルギー変換、生物育成及び情報に関する技

術を適切に活用するために必要な基礎的・基本的な技術を身に

付けている。

この観点では、材料や加工、エネルギー変換、生物育成や情報といった技術を活用す

。るために必要な基礎的・基本的な技術を身に付けているかについて評価するものである

製作品を作る技術だけが評価対象ではないので、最終的に完成した作品とともに、通常

の作業状況の観察や実技テストなどから多面的に評価するといった工夫が必要である。

( )[各教科等編]技術・家庭 技術分野

Page 62: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -57

( )[各教科等編]技術・家庭 技術分野

生活や技術につい 材料と加工、エネルギー変換、生物育成及び情報に関する技

ての知識・理解 術についての基礎的・基本的な知識を身に付け、技術と社会や

環境とのかかわりについて理解している。

この観点では、材料や加工、エネルギー変換、生物育成や情報といった技術を活用す

るために必要な基礎的・基本的な知識を身に付けているか、これらの技術と社会や環境

との関わりを理解しているかについて評価するものである。ペーパーテストや学習カー

ドの記入内容から、必要事項を指摘できるか、技術と社会や環境との関わりを説明でき

るかを確認するといった工夫が必要である。

3 題材の指導と評価計画の作成手順と考え方

技術分野の各項目に配当する授業時数と履修学年については、学習指導要領で示され

ている内容AからDの各項目に適切な授業時数を配当するとともに、3学年間を見通し

。 、て履修学年や指導内容を適切に配列することとなっている そのため題材の評価規準は

地域や学校の実態、生徒の発達の段階や興味・関心、分野間及び他教科等との関連等を

考慮する。そして、各学校が定めた履修学年や授業時数を踏まえ、題材目標を明確にし

た上で 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 技術・、

家庭 」の関連する項目に対応した「評価規準の設定例」を参考に検討することが大切)

である。

ここでは 「A材料と加工に関する技術」と「D情報に関する技術」を関連させた第、

1学年の題材を取り上げ、評価計画の作成の仕方の例を示す。

(1) 題材の目標の設定

本事例の場合は、内容「A材料と加工に関する技術」(1)及び内容「D情報に関する

技術」の(1)「情報通信ネットワークと情報モラル 、(2)「ディジタル作品の設計・制」

作」に関連した題材であり、学習指導要領では次のように示されている。

「A材料と加工に関する技術」

(1) 生活や産業の中で利用されている技術について、次の事項を指導する。

ア 技術が生活の向上や産業の継承と発展に果たしている役割について考え

ること。

イ 技術の進展と環境との関係について考えること。

「D情報に関する技術」

(1) 情報通信ネットワークと情報モラルについて、次の事項を指導する。

ア コンピュータの構成と基本的な情報処理の仕組みを知ること。

イ 情報通信ネットワークにおける基本的な情報利用の仕組みを知ること。

ウ 著作権や発信した情報に対する責任を知り、情報モラルについて考える

こと。

エ 情報に関する技術の適切な評価・活用について考えること。

(2) ディジタル作品の設計・制作について、次の事項を指導する。

ア メディアの特徴と利用方法を知り、制作品の設計ができること。

イ 多様なメディアを複合し、表現や発信ができること。

Page 63: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -58

( )[各教科等編]技術・家庭 技術分野

の指導事項を基に、次のように題材の目標を設定した。(1)

【題材の目標】

技術と社会や環境との関係に関心をもたせるとともに、情報に関する基礎的・基

本的な知識及び技術を習得させ、情報に関する技術が社会や環境に果たす役割と影

響について理解を深め、それらを適切に評価し活用する能力と態度を育成する。

(2) 題材の評価規準の設定

技術分野では、題材目標を明確にした上で 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改、

善のための参考資料(中学校 技術・家庭 」の関連する項目に対応した複数の「評価)

規準に盛り込むべき事項」及び「評価規準の設定例」を統合して設定するなど、実際の

指導に対応した評価規準となるよう留意する必要がある。ここでは 「A材料と加工に、

関する技術」の(1)「生活や産業の中で利用されている技術 「D情報に関する技術」の」、

(1)「情報通信ネットワークと情報モラル」及び「D情報に関する技術」の(2)「情報通

信ネットワークと情報モラル」の「評価規準び盛り込むべき事項」を参考にして、下表

の下段のとおり「題材の評価規準」を設定した。

生活や技術への 生活を工夫し 生活の技能 生活や技術についての関心・意欲・態度 創造する能力 知識・理解

A(1) D(1)技術が生活の向上や産業の コンピュータにおける基評

継承と発展に果たしている役 本的な情報処理の仕組みと価

割と、技術の進展と環境との 情報通信ネットワークにお規

関係について関心をもってい ける安全な情報利用の仕組準

る。 みについての知識を身に付に

D(1) D(1) け、情報に関する技術と社盛

よりよい社会を築くため よりよい社会を築くため 会や環境との関わりについり

に、情報に関する技術を適切 に、情報に関する技術を適 て理解している。込

に評価し活用しようとしてい 切に評価し活用しようとし D(2)む

る。 ている。 メディアの特徴と利用方べ

D(2) D(2) D(2) 法についての知識を身に付き

情報に関する技術に関わる 使用目的や使用条件に即 多能なメディアの複 けている。事

、 。項 倫理観を身に付け、知的財産 してディジタル作品の設計 合 表現や発信ができるを創造・活用しようとしてい を工夫している。る。

技術が生活の向上や産業の 使用目的や使用条件に即 多能なメディアの複 コンピュータにおける基

継承と発展に果たしている役 してディジタル作品の設計 合 表現や発信ができる 本的な情報処理の仕組みと題 、 。

割と技術の進展と環境との関 を工夫するとともに、情報 情報通信ネットワークにお材係について関心をもってい に関する技術を適切に評価 ける安全な情報利用の仕組のる。 し活用しようとしている。 みや、メディアの特徴と利評情報に関する技術に関わる 用方法についての知識を身価倫理観を身に付け、知的財産 に付け、情報に関する技術規を創造・活用しようとすると と社会や環境との関わりに準ともに、情報に関する技術を ついて理解している。適切に評価し活用しようとしている。

(3) 題材の指導と評価の計画

技術分野事例として示した「4 題材の指導と評価の計画」は、学習のねらい、主な

学習活動、評価規準が時間ごとに対応するよう作成したものである。指導と評価の計画

、 「 」を作成するに当たっては 本題材における 情報に関する技術と社会や環境との関わり

。 、「 」 「 」の学習活動を想定して設定する また D情報に関する技術 の 評価規準の設定例

の中から必要な内容を選んだり、組み合わせたりするなどして評価規準を設定する。

Page 64: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -59

その際、毎時間全ての観点を評価するのではなく、その時間のねらいや学習活動を明

確にして重点化するとともに、その評価結果を指導に生かすことができるようにするこ

とが大切である。また、学習活動の内容等に応じて1単位時間あるいは2時間、3時間

などのまとまった時間ごとに指導目標を明確にして「おおむね満足できる」状況を考え

設定することも考えられる。

本題材においては、以下に示すとおり六つの小題材で構成し、それぞれの学習活動に

おいて、各小題材ごとに評価の重点化を図っている。

[1] 技術が生活の向上や産業の継承に果たしている役割、技術の進展と環境との関係について関

心をもとう(5時間)

技術が人間の生活を向上させ、我が国における産業の継承と発展に影響を与えることに気付

、 。き 技術の果たしている役割や技術の進展と環境との関係に関心を示していることを重視する

[2] コンピュータを構成する主装置と基本的な情報の仕組み、情報をコンピュータで利用するた

めに必要なディジタル化の方法や情報の量の関係について知ろう(2時間)

コンピュータを構成する主要な装置と、基本的な情報処理の仕組み、情報をコンピュータで

利用するために必要なディジタル化の方法と情報の量との関係を指摘できる「知識・理解」を

重視する。

[3] 情報通信ネットワークの構成と、安全に情報を利用するための基本的な仕組みを知ろう

(2時間)

インターネットなどの情報を利用するための構成と、安全に情報を利用するための基本的な

仕組みについての「知識・理解」を重視する。

[4] 著作権や情報の発信に伴って発生する可能性のある問題と、発信者としての責任について知

り、情報社会において適正に活動しよう(2時間)

著作権や情報の発信に伴って発生する可能性のある問題と、発信者の責任についての「知識

・理解」を身に付け、情報に関する技術を適正に活動しようとする「関心・意欲・態度」と、

適正に活動しようと工夫したりする「工夫し創造する能力」を重視する。

[5] メディア素材の特徴と利用方法や多様なメディアを複合する方法を知り、目的や条件に応じ

て、ディジタル作品を制作しよう(8時間)

本題材の中心的な学習活動であり、4観点の全ての評価規準を設定する。

、 、小題材 から で学んだ知識や技能を活用し ディジタル作品の計画において社会面[ ] [ ]2 4

環境的側面から考えたり、メディアの種類や目的に応じたソフトウェアなどを比較検証した上

でディジタル化の方法やメディアを複合する方法等を工夫したりする「工夫し創造する能力」

や実際に作品制作に関する「技能」を重視する。

[6] 情報に関する技術と社会や環境との関わりを理解し、情報に関する技術の適切な評価と活用

について考えよう (2時間)。

、 、情報に関する技術が社会や環境に果たしている役割と影響について説明できること 社会的

環境的側面などから比較・検討しようとすることなど、適切な解決策を示したり見いだしたり

する「工夫し創造する能力」を重視する。

なお、次ページに示す事例においては 「おおむね満足できる状況に達していないと、

判断される生徒への手だて」を示しているが、観点別評価を実施するに当たっては、ね

らいに対する生徒のつまずきをしっかり想定しておくことが大切である。ここでは、生

徒が「おおむね満足できる状況」に達するための手だての一例を示している。

( )[各教科等編]技術・家庭 技術分野

Page 65: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

技術分野事例

1 題材名「ズームイン!私の学校紹介CMづくり」(第1学年)

2 題材の目標

3 題材の評価規準

4 題材の指導と評価の計画(全22時間)

1

・産業の変化や生活の変化について調べる。・自動化について調べる。・牧畜・農耕社会、工業社会、情報社会の生活様式の変化について調べる。・伝統的な製品、建造物、緻密な加工、仕上げ技術について調べる。

・昔の生活と今の生活を比較させ、産業や生活の変化に気付かせる。

・伝統的な製品や建造物を観察し、気になった点を考えさせる。

5

・コンピュータの構成を調べる。・基本的な情報処理の仕組みを調べる。

・コンピュータを構成している装置は、人間の体のはたらきと似ていることから気付かせる。

・ディジタル化の方法と情報量を調べる。(アナログとディジタルの違い、2進数、情報量の単位、解像度と画質の関係)・画像ファイルのサイズとファイルとフォルダの階層構造について調べる。

・アナログとディジタルの違いを、昔の電気機器と現在の電気機器とを比較させ、違いを考えさせる。・情報は、0と1との2進数で表していること、写真と絵などの違いから画質について気付かせる。・ファイルとフォルダについては、授業などで配布されるプリントとそのプリントを整理する方法を考えさせるなどの例示をすることで仕組みを理解させる。

89

 情報通信ネットワークの構成と、安全に情報を利用するための基本的な仕組みを知ることができる。

・ディジタル化したファイルを情報通信ネットワークで転送し、処理時間を調べる・情報通信ネットワークにおける基本的な情報利用の仕組みを調べる。・情報通信ネットワークの構成について調べる。・安全に情報を利用するための基本的な仕組について調べる。

・情報を相互に伝達するためには電話のような回線がつながっていることに気付かせる。・インターネットの利点と課題を実際に利用しながら考えさせる。・安全に情報をやりとりするために、セキュリティー(パスワードや信号化など)があることに気付かせる。

・著作権や情報の発信に伴って発生する可能性のある問題と、発信者としての責任について考える。・情報通信ネットワークにおいて知的財産を保護する必要性について調べる。

・著作権はなぜあるのか、なかったらどうなるかを具体的な例を挙げることで著作権の必要性に気付かせる。

・情報通信ネットワーク上のルールやマナーの遵守、危険の回避、人権侵害の防止等、情報に関する技術の利用場面に応じて適正に活動することについて考える。

・実際に起きている問題点(掲示板での誹謗中傷など)を知らせることで、どのように利用したらよいかを考えさせる。

【知】情報をコンピュータで利用するために必要なディジタル化の方法を理解している。【知】ディジタル化に関する言葉を理解し、情報量との関係を説明できる。【知】ファイルとフォルダの仕組みを理解している。

67

 コンピュータを構成する主装置と基本的な情報の仕組み、情報をコンピュータで利用するために必要なディジタル化の方法や情報の量の関係について知ることができる。

 技術が生活の向上や産業の継承に果たしている役割、技術の進展と環境との関係について考えることができる。

・エネルギー資源の現状について調べる。・技術の進展が資源やエネルギーの有効利用、自然環境の保全に貢献していることについて考える。・省エネルギー、循環型の製品ライフサイクルシステム等について調べる。・新素材や新エネルギーについて調べる。・材料と加工に関する技術、エネルギー変換に関する技術、生物育成に関する技術及び情報に関する技術の学習の見通しをもつ。

【関】技術が環境との問題に深く関わっていることに気付いている。

【関】技術の進展と環境との関係について関心を示している。

・発電所の仕組みの利点と問題点を考えさせ、環境との関わりに気付かせる。

・省エネルギーのための取組やリサイクルについて考えさせる。・インターネットや資料などを利用し、新しい取組などについて調べるよう助言する。

【工】情報に関する技術の利用場面に応じて、適正に活動している。10

11

 著作権や情報の発信に伴って発生する可能性のある問題と、発信者としての責任について知り、情報社会における適正な活動について考えることができる。

【知】インターネットなどの情報通信ネットワークの構成について理解している。

【知】安全に情報を利用するための基本的な仕組みについて説明できる。

【関】情報社会において適正に活動しようとしている。

ね ら い 主な学習活動

 技術が生活の向上や産業の継承と発展に果たしている役割と技術の進展と環境との関係について関心をもっている。 情報に関する技術に関わる倫理観を身に付け、知的財産を創造・活用しようとするとともに、情報に関する技術を適切に評価し活用しようとしている。

生活や技術への関心・意欲・態度

生活を工夫し創造する能力

生活の技能

生活や技術についての知識・理解

 技術と社会や環境との関係に関心をもたせるとともに、情報に関する基礎的・基本的な知識及び技術を習得させ、情報に関する技術が社会や環境に果たす役割と影響について理解を深め、それらを適切に評価し活用する能力と態度を育成する。

 使用目的や使用条件に即してディジタル作品の設計を工夫するとともに、情報に関する技術を適切に評価し活用しようとしている。

 多能なメディアの複合、表現や発信ができる。

 コンピュータにおける基本的な情報処理の仕組みと情報通信ネットワークにおける安全な情報利用の仕組みや、メディアの特徴と利用方法についての知識を身に付け、情報に関する技術と社会や環境とのかかわりについて理解している。

評価規準

【関】技術が人間の生活を向上させ、我が国における産業の継承と発展に影響を与えていることに気付いている。

【関】技術が果たしている役割について関心を示している。

【知】コンピュータを構成する主要な装置と基本的な情報処理の仕組みを説明できる。

時おおむね満足な状況に達していないと判断される生徒への手だて

-60-

Page 66: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

・メディアの素材と特徴と利用方法や、適切なソフトウェアを選択し、多様なメディアを複合する方法について調べる。

・多様なメディアを複合する方法を指摘できていない生徒に対しては、補充的なワークシートを用意したり、図示された資料を掲示したりする。・復習できる機会を確保し、学習が十分身に付くようにするなどの指導を行うようにする。

12

20 ・設計に基づき多用なメディアを複合して発信できる。・情報を発信する場面に応じた方法や伝えたい内容を表現するために必要なメディアの選択について考える。

・多様なメディアを複合して、表現や発信ができない生徒に対しては、個別指導を行う。・多様なメディアの複合する方法のマニュアルや作業の手引きを制作して配布したり、複合の方法、表現や発信の技術が十分に身に付くように助言したりするなどの指導を行うようにする。

2122

 情報に関する技術と社会や環境との関わりを理解し、情報に関する技術の適切な評価と活用について考えることができる。

・情報に関する技術が社会や環境に果たしている役割と影響について調べる。・よりよい社会を築くために、情報に関する技術を適切に評価し活用することについて考える。・紙の消費量や輸送費、移動などに必要なエネルギーの減少など、省資源、省エネルギーの視点から情報通信ネットワークが果たしている役割について考える。・運輸や製造の場面におけるコンピュータ制御について、人間の労働環境や安全性の視点から、その利用方法を考える。

・情報に関する技術が社会や環境に果たしている役割を確認させ、よさを見付けるように助言する。・昔の生活と今の生活を比較し、情報に関する技術により省資源や省エネルギーとなっていることに気付かせる。・今の生活の中で利用されている自動で動いたりするものはコンピュータ制御であることに気付かせる。・情報に関する技術の進歩が、労働環境や安全性を高めていることに気付かせる。

・目的や条件に応じて、ディジタル作品において利用するメディアの種類やディジタル化の方法、複合する方法などを理解できない生徒に対しては、サンプルの構造図や作品例を用意し、自分なりの工夫ができるようにするなどの指導を行うようにする。

【技】文字や静止画、動画などを課題の解決のために、複合し一元的に活用している。【技】動画作品やポスター作品に適した、ファイルサイズの変更を行うなど、目的に応じたディジタル化の方法を用いている。【技】完成した作品をコンピュータの画面や液晶プロジェクターなどの機器を使って表現している。【知】設計に基づき、適切なソフトウェアを用いて多様なメディアを複合し、表現や発信ができる。

 メディア素材の特徴と利用方法や多様なメディアを複合する方法を知り、目的や条件に応じて、ディジタル作品を制作することができる。

【知】文字、音声、静止画、動画など、表現手段としてのメディアについてのキーワードを記述している。【知】多様なメディアを複合する方法についてのキーワードを記述している。

・ディジタル作品において、目的に応じて利用するメディアの種類やディジタル化の方法、複合する方法などについて考えることができる。(設計)(例)・一般に公開するためのWebページ。・校内で発表するためのプレゼンテーション。・個人で楽しむアニメーション。

【関】利用者が安心して利用できる作品を設計・制作しようとしている。【関】新しい発想を生み出し、活用しようとしている。【工】ディジタル作品の使用目的や使用条件を明確にしている。【工】社会的、環境的側面などからメディアの素材の特徴と利用方法や適切なソフトウェアなどを比較・検討している。【工】作品に適したメディアの種類やディジタル化の複合する方法などを決定している。

【関】情報に関する技術の課題を進んで見付けようとしている。【関】社会的、環境的側面などから比較・検討しようとするとともに、適切な解決策を示そうとしている。【工】情報に関する技術の課題を明確にし、社会的、環境的側面などから比較・検討しようとするとともに、適切な解決策を見いだしている。【知】情報に関する技術が社会や環境に果たしている役割と影響について説明できる。

-61-

Page 67: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -62

家庭分野

家庭分野の目標1

衣食住などに関する実践的・体験的な学習活動を通して、生活の自立に必要な基礎的・

基本的な知識及び技術を習得するとともに、家庭の機能について理解を深め、これからの

生活を展望して、課題をもって生活をよりよくしようとする能力と態度を育てる。

2 評価の観点及びその趣旨について

家庭分野の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における分野目標、内容などを考

慮し、以下の4観点として設定されている。

生活や技術への 衣食住や家族の生活などについて関心をもち、これからの生活を展

関心・意欲・態度 望して家庭生活をよりよくするために進んで実践しようとする。

この観点は、身近な生活の課題を主体的に捉え、課題解決を目指して意欲的に取り組み、家

庭生活をよりよくするために実践しようとする態度が身に付いたかを見るものである。

したがって 「衣食住や家族の生活などについて関心をもっているか 「意欲的に課題解決、 」

をしようとしているか 「家庭生活をよりよくするために進んで実践しようとしているか」な」

どを評価することになる。

今回、分野目標の改訂に伴い 「これからの生活を展望して」を追加している。これは、将、

来にわたって自立して生活を営む見通しをもって、自らの課題の解決に意欲的に取り組むこと

を重視したものである。また 「生活を工夫し創造する能力」との関係を明確にするため、従、

来の「知識や技術を進んで活用しようとする」を「進んで実践しようとする」に改めている。

なお、趣旨の中の「など」は「D消費生活と環境」の内容を示している。

実際の評価の際には、授業中の発言や挙手の回数などで安易に評価することがないよう留意

するとともに、事前に生徒の学習内容への興味・関心の状況を把握しておき、ある程度長い区

切りの中で生徒の変容を評価する等の工夫を行うことも大切である。

生活を工夫し創造 衣食住や家族の生活などについて見直し、課題を見付け、その解決

する能力 を目指して家庭生活をよりよくするために工夫し創造している。

この観点は、共通の観点「思考・判断・表現」に当たるものであり、学習した知識と技術を

活用して、生活を見つめて課題を発見する能力やその解決を目指して自分なりに工夫したり創

造したりする能力が身に付いたかを見るものである。

したがって 「衣食住や家族の生活などについて見直し、課題を見付けているか 「課題を、 」

多面的に考察しているか 「学習した知識と技術を活用して課題解決をしているか 「解決を」 」

目指して自分なりに工夫したり、自分の考えを生かした取組をしたりしているか」などについ

て評価することになる。

また、この観点については、課題の解決を目指して工夫するその過程を含めて評価すること

が重要であり、例えば、製作品などに見られる工夫とともに、その過程での思考や工夫につい

ても評価していくことが大切である。今回、この観点に係る学習評価は、言語活動を中心とし

[各教科等編]技術・家庭(家庭分野)

Page 68: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -63

[各教科等編]技術・家庭(家庭分野)

た表現に係る活動等を通じて行うことが明確にされたことから、生徒が考えたり工夫したりし

たことを図や言葉でまとめたり、発表したりするなどの活動を通して評価することに留意する

必要がある。

生活の技能 生活の自立に必要な衣食住や家族の生活などに関する基礎的・基本

的な技術を身に付けている。

この観点は、生活の自立を図ることや生活を工夫し創造する能力の育成を図るための基盤と

して、生活の自立に必要な基礎的・基本的な技術が身に付いたかを見るものである。

したがって 「日常食の調理や衣服の選択と手入れ、布を用いた物の製作などに関する基礎、

的・基本的な技術を身に付けているか」などについて評価することになる。

生活や技術につい 家庭の基本的な機能について理解し、生活の自立に必要な衣食住や

ての知識・理解 家族の生活などに関する基礎的・基本的な知識を身に付けている。

この観点は、生活の自立を図ることや生活を工夫し創造する能力の育成を図るための基盤と

して、生活や技術について基礎的・基本的な知識が身に付いたかを見るものである。

したがって 「家庭の基本的な機能について理解しているか 「中学生の食事と栄養や快適、 」

な住まい方、家庭生活と消費などに関する基礎的・基本的な知識を身に付けているか」などに

ついて評価することになる。

3 題材の指導と評価計画の作成手順と考え方

題材については、各項目及び各項目に示す事項との関連を図ること、地域や学校及び生徒の

実態を踏まえ、指導に必要な時間を十分に検討すること、系統的・総合的に学習が発展される

よう配慮することが大切である。

特に、内容「D身近な消費生活と環境」は 「A家族・家庭と子どもの成長 「B食生活と、 」

自立 「C衣生活・住生活と自立」の学習との関連を図って適切な題材を設定する。」

ここでは、題材「考えて選ぼう 生活に必要なもの」を設定し、評価計画の作成の仕方の例

を示す。

なお、履修学年は、各学校において、地域や学校の実態、生徒の発達の段階や興味・関心、

分野間及び他教科等との関連を考慮し、3学年間にわたる全体的な指導計画に基づき適切に定

めることとしているため、この題材の履修学年については、示していない。

(1) 題材で取り上げる指導事項

本事例の場合は 「D身近な消費生活と環境」の( )「家庭生活と消費 、( )「家庭生活と、 」1 2環境」と「C衣生活・住生活と自立」の( )「衣服の選択と手入れ」のイとの関連を図ってい1る。

本題材では、衣服の選択場面や生活に必要なものの選択場面を取り上げ、物資・サービス

の適切な選択、購入及び活用について、模擬体験を通して考えたり、環境に配慮した消費生

活について工夫したりする構成としている。

ここでの指導事項を、次のとおりとした。

Page 69: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -64

[各教科等編]技術・家庭(家庭分野)

「D身近な消費生活と環境」

( ) 家庭生活と消費について、次の事項を指導する。1ア 自分や家族の消費生活に関心をもち、消費者の基本的な権利と責任について

理解すること。

イ 販売方法の特徴について知り、生活に必要な物資・サービスの適切な選択、

購入及び活用ができること。

( ) 家庭生活と環境について、次の事項を指導する。2ア 自分や家族の消費生活が環境に与える影響について考え、環境に配慮した消

費生活について工夫し、実践できること。

「C衣生活・住生活と自立」

( ) 衣服の選択と手入れについて、次の事項を指導する。1イ 衣服の計画的な活用の必要性を理解し、適切な選択ができること。

(2) 題材の目標の設定

の指導事項を基に、次のように題材の目標を設定した。(1)

【題材の目標】

自分や家族の消費生活に関心をもち、消費者の基本的な権利と責任について理解すると

ともに、物資・サービスの選択、購入及び活用について必要な情報を収集・整理し、それ

らを活用して適切な選択、購入及び活用の工夫ができるようにする。また、消費生活と環

境との関わりについて関心をもち、環境に配慮した消費生活について工夫し、実践できる

ようにする。

(3) 題材の評価規準の設定

家庭分野では、内容相互の関連を図り、題材を構成して指導することから 「題材の評価規、

準」については 「D身近な消費生活と環境」( )、( )及び「C衣生活・住生活の自立」( )、 1 2 1イの「評価規準に盛り込むべき事項」及び「評価規準の設定例」を参考にして設定すること

ができる。

生活や技術への 生活を工夫し 生活の技能 生活や技術についての関心・意欲・態度 創意する能力 知識・理解

D( ) D( ) D( ) D( )評価規準に 1 1 1 1家庭生活と消費に 家庭生活と消費につい 家庭生活と消費に関 家庭生活と消費に盛り込むべ

ついて関心をもって て課題を見付け、その解 する基礎的・基本的な ついて理解し、基礎き事項

学習活動に取り組み 決を目指して工夫してい 技術を身に付けてい 的・基本的な知識を、消費生活をよりよく る。 る。 身に付けている。しようとしている。

D( )ア D( )ア評価規準の 1 1自分や家族の消費 消費者の基本的な設定例

生活について関心を 権利と責任、消費者もち、消費の在り方 基本法の趣旨についを改善しようとして て理解している。いる。

Page 70: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -65

D( )イ D( ) イ D( )イ D( )イ1 1 1 1身近な販売方法に 収集・整理した情報を 物資・サービスの選 中学生に関わりの

関心をもち、その利 活用して物資・サービス 択、購入及び活用につ 深い販売方法の特徴点と問題点について の選択、購入及び活用に いて必要な情報を収集 について理解してい考えようとしている ついて考え、工夫してい ・整理することができ る。。

る。 る。 物資・サービスの選択、購入及び活用に関する知識を身に付けている。・選択の視点・支払いの方法

などD( ) D( ) D( )評価規準に 2 2 2環境に配慮した消 環境に配慮した消費生 消費生活と環境と盛り込むべ

費生活について関心 活について課題を見付け の関わりについて理き事項 、をもって学習活動に その解決を目指して自分 解し、基礎的・基本取り組み、よりよい なりに工夫し創造してい 的な知識を身に付け生活を実践しようと る。 ている。している。

C( )イ C( )イ C( )イ評価規準の 1 1 1目的に応じた衣服の適 既製服を選択するた 衣服の計画的な活設定例

切な選択について考え、 めの情報を収集・整理 用の必要性を理解し工夫している。 することができる。 ている。

既製服の表示と選択に当たっての留意事項について理解している。

題 自分や家族の消費 物資・サービスの選択 物資・サービスの選 家庭生活と消費、、材 生活や環境に配慮し 購入及び活用、環境に配 択、購入及び活用につ 消費生活と環境とのの た消費生活について 慮した消費生活について いて必要な情報を収集 関わりに関する知識評 関心をもって模擬体 課題を見付け、その解決 ・整理することができ を身に付けている。価 験などに取り組み、 を目指して工夫している る。。規 よりよい消費生活を準 実践しようとしてい

る。

(4) 題材の指導と評価の計画

家庭分野事例は、題材の指導計画と評価計画をまとめて示し、学習のねらい、主な学習活

動、評価が各時間ごとに対応するよう作成した事例である。

「学習活動に即した評価規準」については、題材における生徒の具体的な学習活動を想定

して 「評価規準の設定例」を参考にして設定する。その際、その時間のねらいや学習活動に、

照らして、いずれかの観点に重点を置くなど、適切に設定することが大切であり、単位時間

ごとに指導目標を明確にして、ねらいが実現された状況を考え設定する。

また、学習活動の内容等に応じて単位時間あるいは2時間、3時間などのまとまった時間ご

とに指導目標を明確にして「おおむね満足できる」状況を考え設定する。

本題材では、以下に示すとおり二つの小題材で構成し、衣服の選択場面や生活に必要なもの

の選択場面を取り上げ、物資・サービスの適切な選択、購入及び活用について、模擬体験

を通して考えたり、環境に配慮した消費生活について工夫したりする構成としている。

さらに、それぞれの学習活動において以下のように評価の重点化を図っている。

[各教科等編]技術・家庭(家庭分野)

Page 71: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -66

題材の指導計画 (総授業時数 9時間)

[1] 生活に必要なものを適切に選ぼう (6時間)

自分や家族の消費生活について関心をもつことと物資・サービスの選択、購入及び活用に関

する 知識・理解 生活に必要なものの適切な選択 購入及び活用について考え 工夫する 工「 」、 、 、 「

夫し創造する能力」を重視する。

[2] 環境に配慮した消費生活を工夫しよう(3時間)

環境に配慮した衣生活や消費生活について考え、工夫する「工夫し創造する能力」を重視す

る。

なお、次ページに示す事例においては 「おおむね満足できる状況に達していないと判断され、

る生徒への手だて」を示しているが、観点別評価を実施するに当たっては、ねらいに対する生

徒のつまずきをしっかり想定しておくことが大切である。ここでは、生徒が「おおむね満足で

きる状況」に達するための手だての一例を示している。

[各教科等編]技術・家庭(家庭分野)

Page 72: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

家庭分野事例

1 題材名「考えて選ぼう 生活に必要なもの」

2 題材の目標

3 題材の評価規準

4 題材の指導と評価の計画(全9時間)

1  消費生活について関心をもち、購入の目的にあった販売方法や支払い方法について理解することができる。

・これまでの購入経験を振り返り、購入方法を発表し合い、店舗販売や無店舗販売の利点と問題点をまとめる。・支払方法の特徴をまとめる。・消費者の権利と責任について、物資・サービスの選択、購入を関わらせて考え、発表する。

【知-①】 販売方法の特徴や消費者の基本的な権利と責任、消費者基本法の趣旨について理解している。

・店舗販売や無店舗販売には、それぞれに利点や問題点があることを確認し、消費者として購入するという行為には、権利と責任が伴うことを説明する。

23

 既製服の表示と選択に当たっての留意事項について理解し、既製服を選択するための情報を収集・整理することができる。

・既製服の入手経験を振り返り、選択する際の留意事項についてまとめる。・既製服についている表示を調べ、意味をまとめる。 ・組成表示・取扱い絵表示 ・サイズ表示 など・グループごとに入手したい既製服を選択するためにの情報を収集・整理する。

【技-①】 既製服を選択するための情報を収集・整理することができる。

【知-②】 既製服の表示と選択に当たっての留意事項について理解している。

・既製服を選択する際の情報源として広告、カタログ等を示して、選択する際のポイントとなる品質や価格、機能等がそれぞれに記載されていることに気付かせる。

・既製服についている組成表示や取扱い表示、サイズ表示が表す意味を説明したり、既製服を選択する際の視点になることを説明したりする。

4  収集・整理した情報を活用して、入手したい既製服の選択について考えることができる。

・目的に応じた既製服を選択する際に優先する視点について考える。・収集・整理した情報を活用して、目的に応じた既製服の適切な選択について考える。

【工-①】 目的に応じた既製服の適切な選択について考え、工夫している。

・既製服を選択する際に優先したい視点を基に、収集した情報を選び、まとめるよう助言する。

56

 自分や家族の生活に必要なものの適切な選択、購入及び活用について考え、工夫することができる。

・生活に必要な物資・サービスの選択の視点についてまとめ、発表する。・生活に必要なものを適切に選択、購入及び活用するために必要な情報を集め、整理する。・整理した情報を活用して、生活に必要なものの選択、購入について考え、学習カードにまとめ、発表し合う。・生活に必要なものを有効に活用する方法について考える。

【工-②】 収集・整理した情報を活用して自分や家族の生活に必要なものの選択、購入及び活用について考え、工夫している。【技-②】 自分や家族に必要なものの選択、購入及び活用について、必要な情報を収集・整理することができる。【知-③】 物資・サービスの選択、購入及び活用に関する知識を身に付けている。

・既製服の選択の仕方を振り返り、同様に生活に必要な商品を選択する際に優先したい情報を選び、まとめるよう助言する。

・再度模擬体験を通して、選択、購入及び活用について具体的に考えさせ、自分で意志決定することの大切さを助言する。

・これまでの購入経験を振り返り、失敗談を含めた話合いの中で、適切に購入するためにはいくつかのポイントがあることに気付かせる。

7  環境に配慮した衣生活に関心をもち、衣服の計画的な活用の必要性について理解することができる。

・手持ちの衣服の活用状況について、環境との関わりの点から振り返る。・衣服を計画的に活用する必要性について話し合う。・環境に配慮した衣生活を目指して、自分で実践できることを考える。

【知-④】 衣服の計画的な活用の必要性を理解している。

・手持ちの衣服の中で十分に活用されているものとそうでないものを具体的に分類させて、その理由を考えさせる。

89

 環境に配慮した消費生活について考え、工夫することができる。

・環境に配慮した消費生活をするために自分や家族の課題を見付ける。・自分や家族が実践できる消費生活の工夫を考え、継続して実践できる計画を作成する。(※家庭で環境に配慮した消費生活の工夫を実践する。)・実践を通して工夫したことをまとめる。・家庭での実践を振り返り、実践の成果や課題をまとめ、発表し合う。

【工-③】 自分や家族の消費生活を点検し、環境に配慮した消費生活について考えたり、実践を通して自分なりに工夫したりしている。【知-⑤】 自分や家族の消費生活が環境に与える影響について理解している。【知-⑥】 環境に配慮した消費生活に関する知識を身に付けている。

・自分や家族の生活の仕方が身近な環境に与える影響について、水・電気・ガスなど具体的な視点を通して考えるよう助言する。

・環境に配慮した消費生活が循環型社会を形成する基盤になることに気付かせる。・使い捨て容器とリサイクル可能な容器、食品の包装などの具体的な事例を取り上げ、環境との関わりを考える大切さを助言する。

時おおむね満足な状況に達していないと判断される生徒への手だて

ね ら い

【関-①】 店舗販売や無店舗販売の販売方法に関心をもち、その利点と問題点について考えようとしている。

【関-②】 自分や家族の消費生活に関心をもち、消費の在り方を改善しようとしている。

※1~6時間で適切な評価場面を設定する。

【関-③】 自分や家族の消費生活が環境に与える影響について関心をもち、環境に配慮した消費生活を実践しようとしている。

 物資・サービスの選択、購入及び活用、環境に配慮した消費生活について課題を見付け、その解決を目指して工夫している。

 物資・サービスの選択、購入及び活用について必要な情報を収集・整理することができる。

 家庭生活と消費、消費生活と環境との関わりに関する知識を身に付けている。

評価規準

 自分や家族の消費生活に関心をもち、消費者の基本的な権利と責任について理解をするとともに、物資・サービスの選択、購入及び活用について必要な情報を収集・整理し、それらを活用して適切な選択、購入及び活用の工夫ができるようにする。また、消費生活と環境との関わりについて関心をもち、環境に配慮した消費生活について工夫し、実践できるようにする。

生活に必要なものを適切に選ぼう

環境に配慮した消費生活を工夫しよう

生活や技術への関心・意欲・態度生活を工夫し創造する能力

生活の技能

生活や技術についての知識・理解

主な学習活動

自分や家族の消費生活や環境に配慮した消費生活について関心をもって模擬体験などに取り組み、よりよい消費生活を実践しようとしている。

-67-

Page 73: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -68

外国語 科

1 教科の目標

外国語を通じて、言語や文化に対する理解を深め、積極的にコミュニケーション

を図ろうとする態度の育成を図り、聞くこと、話すこと、読むこと、書くことなど

のコミュニケーション能力の基礎を養う。

2 評価の観点及びその趣旨について

外国語科の観点別学習状況の評価の観点は、学習指導要領における目標、内容など

を考慮し、以下の4観点として設定されている。

、 、コミュニケーショ コミュニケーションに関心をもち 積極的に言語活動を行い

ンへの関心・意欲 コミュニケーションを図ろうとする。

・態度

この観点は、コミュニケーションに取り組む様子やコミュニケーションを継続させよ

うとする努力の様子が見られるかどうかを評価することとしている。したがって、そこ

で用いられている英語の正確さや適切さなどの運用上の能力は評価しない。

<言語活動への取組>

自分の考えや気持ち、事実などを積極的に相手に伝えようとしたり、相手の考えなど

を理解しようとしたりしているかどうか、つまり、コミュニケーションに取り組んでい

る様子を評価する。

<コミュニケーションの継続>

コミュニケーションがとぎれそうになる時には、様々な手だてを用いてコミュニケー

ションを継続する努力が必要である。その努力の様子を評価する。

、 、 、なお この観点において 言語活動における生徒の取組から捉えることが大切であり

宿題や提出物の状況や授業中の発言の回数等で評価するものではないことに留意する必

要がある。ふり返りカードなどの自己評価等を利用して、評価の参考にすることは可能

であるが、総括的な評価に生かすことは適切ではないと考える。

外国語表現の能力 外国語で話したり書いたりして、自分の考えなどを表現して

いる。

この観点は、自分の考えや気持ち、事実などを誤解なく相手に伝えることができるか

どうかを評価することとしている。

<正確な発話、正確な筆記>

強勢、イントネーション、文法などの言語についての知識を活用して、英語で正しく

表現することができるかどうかを評価する。

<適切な発話、適切な筆記>

実際のコミュニケーションで誤解なく伝えるために、場面や状況に応じてふさわしい

表現を選択したり、適切な声量や明瞭さで話したり、内容的にまとまりのある文章を書

いたりすることができるかどうかを評価する。

[各教科等編]外国語

Page 74: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -69

[各教科等編]外国語

外国語理解の能力 外国語を聞いたり読んだりして、話し手や書き手の意向など

を理解している。

この観点は、相手の意向や具体的な内容など、相手が伝えようとすることを理解する

ことができるかどうかを評価することとしている。

<正確な聞き取り、正確な読み取り>

強勢、イントネーション、文法などの言語についての知識を活用して、英語の内容を

正しく理解することができるかどうかを評価する。

<適切な聞き取り、適切な読み取り>

場面や状況に応じた聞き方や、目的に応じた読み方をして英語を理解することができ

るかどうかを評価する。

言語や文化につい 外国語の学習を通して、言語やその運用についての知識を身

ての知識・理解 に付けているとともに、その背景にある文化などを理解してい

る。

この観点は、知識や理解がコミュニケーションを目的として言語を運用する支えにな

っているかどうかを評価することとしている。

<言語についての知識>

、 、 、 、言語活動を行う中で そこで用いられている強勢 イントネーション 文法事項など

英語の仕組みについての知識の有無を評価する。

<文化についての理解>

一般常識的な知識や百科事典のような内容ではなく、技能の運用で求められる、言語

の背景にある文化に限って評価する。すなわち、英文手紙や電子メール等の書き方、ジ

ェスチャーなど、理解していないとコミュニケーションに支障をきたすような文化的背

景を評価の対象とする。

3 単元の指導と評価計画の作成手順と考え方

ここでは、第1学年の「ナイアガラの滝」を取り上げ、評価計画の作成の仕方の例を

示す。

(1) 単元の目標の設定

単元の目標を設定するにあたっては、学習指導要領に示された目標や内容、各学校

で定めた学年ごとの目標、年間指導計画における単元の位置付けを確認し、扱われて

いる題材や言語材料の特徴を考慮しながら、外国語表現の能力や外国語理解の能力に

関わる事項を中心に設定することが大切である。その際、生徒の実態等を踏まえ 「こ、

の単元で、どのような力を身に付けることができるのか」を明確にする必要がある。

これらを踏まえ、次のような単元の目標を設定することが考えられる。

【単元の目標】

(1) 町や観光地について口頭で案内する。

(2) ペアワークにおいて、間違うことを恐れずに町や観光地についてを案内しよ

うとする。

(3) 助動詞canや疑問詞whenを用いた文の構造を理解する。

Page 75: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -70

なお、この単元の目標を設定するにあたり、(1)を中心的な目標とし、(2)、(3)の目

標を、中心的な目標である(1)を支えるものとして設定した。この単元を通して 「町、

や観光地について口頭で案内することができる力を身に付けさせたい」という指導者

のねらいを明確にすることが大切である。

(2) 単元の評価規準の設定

、 、 、 、単元の目標を設定した後 単元の特性 扱われる言語材料 言語活動及び生徒の実態

さらには評価の観点の趣旨 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資、

料(中学校 外国語 」の【 話すこと」の評価規準の設定例 」を踏まえながら評価規) 「 】

準を適切に設定することが必要である。本単元においては、次の評価規準の設定例を参

考にして、以下のような評価規準を設定した。

【単元の目標に関連する評価規準の設定例】

コミュニケーション (言語活動への取組み)

関心・意欲・態度 間違うことを恐れず積極的に自分の考えなどを話している。

外国語表現の能力 場面や状況にふさわしい表現を用いて話すことができる。

外国語理解の能力 ※この観点では評価しない。

言語や文化について 文構造や語法、文法などに関する知識を身に付けている。

の知識・理解

【単元の評価規準】

コミュニケーション ペアワークにおいて、間違うことを恐れずに町や観光地につ

関心・意欲・態度 いて案内しようとしている。

外国語表現の能力 町や観光地について口頭で案内することができる。

外国語理解の能力 ※この観点では評価しない。

言語や文化について 助動詞 や疑問詞 を用いた文の構造を理解している。can whenの知識・理解

適切に評価するためには、年間の指導計画を基にして、年間の評価計画を年度当初に

作成しておくことが効果的である。その際、全ての単元で全ての観点について評価する

ような計画を立てるのではなく、それぞれの単元の目標や内容、学習活動を明確にし、

いくつかの観点を絞って評価するなど、評価の重点化が必要である。同時に、年間を見

通してみて、いずれの評価規準、言語活動がバランスよく評価されるように系統的な計

画を立てておくように配慮する。

3年間を通して同一の「評価規準の設定例」を繰り返し活用して単元の評価規準を設

定することも考えられるが、その場合、学習段階に応じて評価規準を設定するようにす

る。関連して、ある課が例えば本事例のようにナイアガラの滝を案内する内容であった

としても、その課の場面に設定した「ナイアガラの滝を案内する」といったことを目標

にするのではなく 「町や観光地について口頭で案内する」など、広く別の場面でも使、

えることを視野に入れて目標を設定しておくことが適切である。具体的には、次のよう

な年間の評価計画が考えられる。

[各教科等編]外国語

Page 76: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -71

<第1学年> 本事例

単 元 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11L L L L L L L L L L L関 聞くこと 言語活動への取組 ○ ○

心 ○コミュニケーションへの継続

・ 話すこと 言語活動への取組 ○ ○

意 ○コミュニケーションへの継続

欲 読むこと 言語活動への取組 ○ ○

・ ○ ○コミュニケーションへの継続

態 書くこと 言語活動への取組 ○ ○

度 ○コミュニケーションへの継続

表 話すこと 正確な発話 ◎ ◎

現 適切な発話 ◎ ◎

の 読むこと 正確な発話 ◎

能 適切な発話 ◎

力 書くこと 正確な発話 ◎ ◎

適切な発話 ◎

理 聞くこと 正確な聞き取り ◎ ◎

解 適切な聞き取り ◎ ◎

の 読むこと 正確な聞き取り ◎ ◎

能 適切な聞き取り ◎ ◎

知識 言語についての知識 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

理解 文化についての理解 ○

(注)

・各単元において評価の対象とするものに○や◎を付けている。◎は、重点的に指導する

ものを示す。

(3) 単元の指導と評価の計画

単元の評価規準を設定した後、それを基に、各単位時間のねらいや学習活動に合わせ

て単元の評価規準を活用することとなる。その際、例えば、1単位時間の中で四つの観

点全てについて評価規準を設定し、その全てを評価し学習指導の改善に生かしていくこ

とは現実的には困難であることから、教師が無理なく生徒の学習状況を的確に評価でき

るように評価の観点を重点化し、さらに評価方法を工夫することが大切である。

次ページの表「4 単元の指導と評価の計画」は、学習のねらい、主な学習活動、評

価規準が単位時間ごとに対応するよう作成したものである。

なお 「おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて」を設、

け、当該生徒に対する指導の手だてを考える際の参考となるように、評価の観点ごとに

一例を示した。

[各教科等編]外国語

Page 77: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

外国語科事例

1 単元名  「ナイアガラの滝」  第1学年 

2 単元の目標

3 単元の評価規準

4 単元の指導と評価の計画 (全6時間)

1

・助動詞canを用いた文の構造を理解する。

・一般動詞を用いた英文の文構造と対比させながら、助動詞canの文構造を示し、どのような場面で使用されるかを考えさせる。

2

・助動詞canを用いた文の構造を理解する。

・教科書の中で、助動詞canがどのような場面で使われるいるのかを考えさせる。・一般動詞を用いた英文の文構造と対比させながら、カード等を使って視覚的に文構造について説明する。

3

・疑問詞whenを用いた文の構造を理解する。

・教科書の中で、疑問詞whenがどのような場面で使われているのかを考えさせる。・既習の疑問詞what,who,where等を用いた英文の文構造と対比させながら、カード等を使って視覚的に文構造について説明する。

4

・町や観光地について案内しようとする。

・ペアで練習できない場合は、個人練習の時間を設ける。・町や観光地について案内するため表現を理解していない場合は、教科書を黙読させ、必要な表現を探させる。

5

・町や観光地について案内しようとする。

・うまく練習ができているペアを全体で発表させ、案内の仕方を確認させる。・自分が選んだ町や観光地についての案内文を確認させ、個別練習の時間を与える。

6

・町や観光地について口頭で案内する。

・教師の前でうまく発表できない場合は、もう一度ペアで口頭練習させたり、個人練習の時間を与えたりする。

・どんな観光地へ行ったことがあるかを対話する。・本単元で身に付ける技能や理解する内容を知る。・助動詞canを用いた文の構造を知る。・助動詞canを用いた文を使えるように練習する。

コミュニケーションへの関心・意欲・態度

外国語表現の能力

外国語理解の能力

言語や文化についての知識・理解

ペアワークにおいて、間違うことを恐れずに町や観光地について案内しようとしている。

町や観光地について、口頭で案内することができる。

※この観点では評価しない。

助動詞canや疑問詞whenを用いた文の構造を理解している。

 (1) 町や観光地について口頭で案内する。

 (2) ペアワークにおいて、間違うことを恐れずに町や観光地について案内しようとする。

 (3) 助動詞canや疑問詞whenを用いた文の構造を理解する。

・ペアで町や観光地を案内し合う。・グループで町や観光地を案内し合う。・全体の前で町や観光地を案内する。

主な学習活動おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて

時 評 価 規 準(評価方法)ねらい

・助動詞canを用いた文の構造を知る。・教科書本文を通して、canを用いた疑問文の使い方を理解する。・教科書本文から、町や観光地を案内するときに使われる表現を探す。・助動詞canを用いた文を使えるように練習する。・助動詞canを用いた疑問文を用いて応答練習する。

・ペアで町や観光地を案内する練習をする。・バスで観光地を巡っている場面を想定し、紹介する場所や相手を変えながら他の生徒と自由に案内し合う。・上記の活動中に教師のところに来て、2ヶ所の町や観光地を案内する。

・疑問詞whenを用いた文の構造を知る。・教科書本文を通して、whenを用いの使い方を理解する。・教科書本文から、町や観光地を案内するときに使われる表現を探す。・疑問詞whenを用いた文を使えるように練習する。

【言】助動詞canを用いた文の構造を理解している。(ワークシート、ペーパーテスト)

【コ】ペアワークで間違いを恐れずに、自分の住んでいる町や観光地について案内しようとしている。(活動の観察)

【表】町や観光地について案内することができる。(ダイアローグテスト)

・We are going to ~. That is ~. Wecan see ~ . など教科書で用いられる町や観光地を案内する時に、使われる表現をまとめる。・教科書以外の他の表現を知る。・ペアで町や観光地を案内する表現を使う練習をする。

【言】助動詞canを用いた文の構造を理解している。(ワークシート、ペーパーテスト)

【言】疑問詞whenを用いた文の構造を理解している。(ワークシート、ペーパーテスト)

【コ】ペアワークにおいて、間違うことをを恐れずに、町や観光地について案内しようとしている。(活動の観察)

-72-

Page 78: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -73

総合的な学習の時間

1 総合的な学習の時間の目標

横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して、自ら課題を見付け、自ら学び、

自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育成するととも

に、学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的、

協同的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにする。

2 総合的な学習の時間の評価について

総合的な学習の時間では、創意工夫を生かした特色ある教育活動を展開するよう、各

学校において目標や内容を定めて実施することが求められている。各学校における、生

徒に育てようとする資質や能力及び態度が異なることから、それらを踏まえ、評価の観

点や評価規準を設定し、評価活動を適切に進めていく必要がある。

(1) 全体計画に示す「学習の評価」

総合的な学習の時間では、全体計画に「学習の評価」の欄を設け、そこに示した評

価の方針や手だてに基づき、評価を行うことが考えられる。この「学習の評価」の欄

には、学習状況の改善を図るのに有効な評価の考え方や評価方法、指導計画・学習指

導の評価に関する方針、評価活動を充実させる手だて等を簡潔に記述する。特に 「評、

価の観点」は、各学校における評価活動の要になる。そのため、全体計画の「学習の

評価」の欄に、各学校で定める「評価の観点」を書き記しておくことが大切である。

(2) 評価の観点の設定

総合的な学習の時間の評価に当たっては、観点別の学習状況の評価を基本とする。

これは、資質や能力及び態度がどのように育まれ、何を学び取っているのかなど、学

習の進歩や成長の状況をバランスよく総合的に判断するためである。

評価の観点は、各学校において定めた目標、内容、資質、能力及び態度を踏まえて

設定する。その際に参考になるのが「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等

における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について(通知 (平成22年5)」

月11日)である。通知に示された観点の例示は、以下のようになっている。

① 学習指導要領に示された総合的な学習の時間の目標に基づいた観点の設定

例 「よりよく問題を解決する資質や能力」

「学び方やものの考え方」

「主体的、創造的、協同的に取り組む態度」

「自己の生き方」

など、横断的・総合的な学習や探究的な学習を通して、自ら課題を見付け、自ら

学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育成す

、 、 、るとともに 学び方やものの考え方を身に付け 問題の解決や探究活動に主体的

創造的、協同的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができるよう

にする。

[各教科等編]総合的な学習の時間

Page 79: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -74

[各教科等編]総合的な学習の時間

② 学習指導要領に示された「学習方法に関すること 「自分自身に関すること」」

「他者や社会とのかかわりに関すること」などの視点を踏まえて設定した資質

や能力及び態度に基づいた観点の設定

例1 「学習方法」

「自分自身」

「他者や社会との関わり」

例2 「課題設定の力 (学習方法)」

「情報収集の力 (学習方法)」

「将来展望の力 (自分自身)」

「社会参画の力」(他者や社会との関わり)

など

③ 各教科の評価の観点との関連を明確にした観点の設定

例 学習活動に関わる「関心・意欲・態度」

「思考・判断・表現」

「技能」

「知識・理解」

など

、 。これら①~③を参考にしながら 各学校に応じた観点を設定することが考えられる

。 、総合的な学習の時間は学習対象や学習事項と関係が深い そこでその評価においては

内容として何を学んでいるのかについても評価することが大切である。これは、具体

的には、内容に関する観点を設定することや、それぞれの評価規準に内容を盛り込む

ことなどが考えられる。

(3) 単元の評価規準の設定

生徒の学習状況を評価する際には、学習活動を通して育てようとする資質や能力及

び態度が適切に育まれ、どのような内容が学ばれているのかを、生徒の学習状況から

丁寧に見取ることが大切である。そして、その評価を指導や学習の改善につなげるに

は、評価規準を明確にして、評価計画を具体的に立てておくことが重要である。

単元の評価規準は、評価の観点を基に、単元の目標や内容、育てようとする資質や

能力及び態度を踏まえて設定するものである。それは、単元の学習活動を通して、ど

。のような力が身に付いたのかを生徒の学習状況から適切に把握するためのものである

そのため、単元の評価規準では、生徒が取り組む学習活動との関連において、各観点

に即して期待される生徒の姿を想定し、具体的に設定することが考えられる。以下は

設定の手順である。

Page 80: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -75

① 各学校の全体計画を基に、単元で実現が期待される「育てようとする資質や能

力及び態度」と「内容」を設定する (その際 「今、求められる力を高める総。 、

合的な学習の時間(中学校編 (平成22年11月文部科学省)p70の図3「育て)」

ようとする資質や能力及び態度の例」や、同p72~73の図4「学習課題・学習対

象・学習事項の例」などを参考にすることが考えられる )。

② 各観点に即して実現が期待される生徒の姿が、単元のどの場面のどのような学

習活動において、どのような姿として実現されるかをイメージする。

③ 実現が期待される生徒の姿について、実際の学習活動の場面を想定しながら、

「育てようとする資質・能力及び態度」と「内容」に照らし合わせて、具体的に

記述する。

(4) 評価の方法

異なる方法や様々な評価者による多様な評価方法を組み合わせるとともに、評価を

学習活動の終末だけでなく、事前や途中に位置付けて実施することが大切である。学

習過程全般を通して、生徒の学習状況を把握し、指導に役立てることが大切である。

(5) 単元の指導と評価の計画

次ページの事例は、総合的な学習の時間の目標を踏まえた観点を定め、評価規準を

設定している。

3 単元で育てようとする資質や能力及び態度 (2)評価の観事例の では、本文中2の

②に示されている「学習方法に関すること 「自分自身に関すること 「他者点の設定 」 」

や社会とのかかわりに関すること」などの視点を踏まえて設定した資質や能力及び態

度に基づいた観点を設定している。さらに において、それらの観点5単元の評価規準

と の関連が分かるよう表中に【 -ア、 -ア、イ】のように記4 単元で学ぶ内容 3 4

号で示している。

また、評価の方法についても学習シートや提言リーフレット、自己評価カード等の

制作物だけでなく、課題設定や振り返りで教師との面談を入れるなど、多面的に評価

する方法を取り入れている。

なお 「おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて」に、

ついては一つの例を示しているが、実際には、生徒の実態に即した複数の手だてを示

すことも考えられる。

[各教科等編]総合的な学習の時間

Page 81: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

総合的な学習の時間事例

1 単元名「見つめて守ろうかけがえのない地域環境~環境保全の提言リーフレットづくり~」 (第1学年)                                    2 単元の目標

3 単元で育てようとする資質や能力及び態度

【学習方法に関すること】

【自分自身に関すること】

【他者や社会とのかかわりに関すること】

4 単元で学ぶ内容

ア 地域の自然の存在とそのよさ

イ 環境問題と自分たちの生活との関わり

ウ 環境の保全と持続可能な社会の創造のための取組

5 単元の評価規準

6 題材の指導と評価の計画(全22時間)

時 小単元名 主な学習活動 評価規準おおむね満足できる状況に達していないと判断される生徒への手だて

よりよく問題を解する資質や能力

 学習の進め方を具体的に示し、グループの友達と話し合い、意見を参考にしながら課題の設定ができるようにする。

 どんなところに調査や聞き取りに行けばよいのかを、生徒の課題に合わせて具体的に示し、主体的に取り組めるようにする。

学び方やものの考え方

主体的・創造的、協同的に取り組む態度

自己の生き方

171819202122

 地域環境の問題状況をとらえ、環境保全のための提言リーフレットをつくる活動を通して、地域環境の現状や問題点、かけがえのなさを理解するとともに、環境保全のための解決策を自分の生き方と結び付けて考え、具体的な環境保全の提言として発信、実践できるようにする。

5678910

○地域環境の現状と問題点から、環境保全の提言をするための、自分にとって価値ある課題を設定している。【3-ア 4-ア、イ】

○地域環境の状況を整理・分析し、根拠を明確にした環境保全の提言をまとめている。【3-イ 4-イ、ウ】

○他の生徒と協力して調査したり、地域の様々な立場の人の意見を聞いたりして、課題解決しようとしている。【3-エ 4-イ】

【資質や能力】地域環境の現状と問題点から、環境保全の提言をするための自分にとって価値ある課題を設定している。 

【態度】他の生徒と協力して調査したり、地域の様々な立場の人の意見を聞いたりして、課題解決しようとしている。

○提言、根拠とする調査結果からなる「環境保全の提言リーフレット」をつくり、提言を日常的に実践し始める。 ・「環境保全の提言リーフレット」仮作成 ・仮作成リーフレットのグループ内検討と推敲 ・「環境保全の提言リーフレット」完成○リーフレット説明の練習をする。 ・リーフレット説明原稿の作成 ・グループ内検討と推敲 ・グループ内説明リハーサルとアドバイス○地域講話等でお世話になった方を訪問してリーフレットを届け、提言の可能性や実践に向けた決意、協力のお願いを、自信をもって述べる。 ・リーフレットの説明 ・意見交換による交流 ・メッセージカード(提言リーフレット、説明についての感想)  記入のお願い○自己評価カードで活動を振り返り、カードに基づく教師との面談で成果と課題を確認する。

○自らの生活や生き方を見直し、環境保全のための提言リーフレットをつくって発信したり、環境保全活動に取り組んだりしている。【3-ウ、オ 4-イ、ウ】

○グループで、収集した情報(調査結果)を整理・分析する。 ・マップ等を用いた調査データと体験で得た実感との比較、因果  関係の類推、アンケート調査結果の分類、関連付けなど○個人で調査結果の妥当性を考えたり、自己の生き方を見直したりして、提言をまとめる。 ・調査結果の妥当性の判断 ・自己の生活や生き方の見直し ・提言の明確化と根拠の選定

111213141516

○単元ガイダンスでねらいを知り、学習の見通しをもつ。○地域環境への問題意識を深めるために、環境クイズや講話、調査活動によって情報を収集する。 ・「環境とは何か」を考えさせる環境クイズ ・環境問題に携わって生きる方へのあこがれやよりよい環境の創  造への可能性を感じさせる地域講師による環境講話 ・「環境に優しいか」を視点とする見学、体験活動○情報を整理・分析して、提言をもつための個人課題を設定する。 ・個人で仮設定→類似課題グループで検討→教師との課題設定の  ための面談→決定○類似課題グループで、課題探究計画を立てる。

 地域環境を見つめ、課題を設定しよう。

1234

○提言のヒントをつかむために、グループで地域調査活動を行い、情報を収集する。 ※協同的なよりよい調査活動となるように、毎時、グループ内で  振り返りとアドバイス活動を行う。 ・追体験、水質調査や生態調査等の調査活動 ・河川課長等地域環境を支える人、観光協会等、様々な立場の人  へのインタビューやアンケート調査 ・森の歴史や森に携わった人々に関する文献調査

 調査活動により地域環境の現状を知り、提言のヒントをつかもう。

 調査結果を整理・分析して提言をまとめよう。

【学び方】地域環境の状況を整理・分析し、根拠を明確にした環境保全の提言をまとめている。

環境保全の提言リーフレットをつくり、発信・実践しよう。

 整理や分析の具体的な方法について教えることで、グループで協力しながら提言がまとめられるようにする。

【生き方】自らの生活や生き方を見直し、環境保全のための提言リーフレットをつくって発信したり、環境保全活動に取り組んだりしている。 

 生徒の生活などを身近なところから見直させ、自分が調査してきたことやまとめた提言との関連が図れるようにする。

ア 複雑な問題状況の中から適切に課題を設定する。

イ 相手や目的、意図に応じて論理的に表現する。

ウ 自らの生活の在り方を見直し、日常的に実践する。

エ 互いの特徴を生かし、協同して課題を解決する。

オ 環境の保全を考えて行動する。

-76-

Page 82: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -77

特別活動 科

1 特別活動の目標

望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団や

社会の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的、実践的な態度を育

、 、 。てるとともに 人間としての生き方についての自覚を深め 自己を生かす能力を養う

2 特別活動の評価の基本的な考え方

、(1) 学習指導要領に示された目標や新たに規定された各活動・学校行事の目標を踏まえ

各学校において重点目標などを設定する。

(2) 学習指導要領に示された各活動・学校行事の内容に即して各学校の生徒や地域の実

態に応じて特色ある具体的な活動などを設定する。

(3) 特別活動の目標に照らして、育成しようとする資質や能力について、各学校が評価

の観点を定める。

(4) 各学校において定めた評価の観点に沿って評価規準を設定し、活動の状況を正しく

見取る手だてや評価体制を確立する。

(5) 各活動・学校行事における指導の過程において、生徒の活動状況を的確に把握し、

指導に生かす。また、年間を通した指導の成果や結果、事実や所見などを指導要録に

記載する。

(6) 特別活動が人間形成に関する多様な資質や能力の育成を目標としていることから、

生徒のよさや可能性、進歩の状況など、十分満足できる活動の状況を積極的に認める

ようにする。

3 評価の観点の変更点

≪ ≫これまでの評価の観点

①関心・意欲・態度 ②知識・理解 ③思考・判断 ④技能・表現 の4観点

≪ ≫新たに示された評価の観点の例

①集団活動や生活への関心・意欲・態度

②集団(社会)の一員としての思考・判断・実践

③集団活動や生活についての知識・理解

※ これまでの「思考・判断」と「技能・表現」

を一つにし、特別活動の特質から 「表現」を「実践」とした。これは、話し合っ、

て終わり、知識を身に付けて終わりではなく、それを実践することが大切であると

いうことからである。

これらの3観点の例を参考に、各学校で観点、趣旨、内容等について明示する。

また、評価の観点は、学校として重点化した内容を踏まえ、育てようとする資質や

能力などに即して、より具体的に定めることも考えられる。

[各教科等編]特別活動

①~③の3観点を例示した。これは、学力

の3要素との整合を図ったものである。

Page 83: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -78

[各教科等編]特別活動

4 観点及びその趣旨の理解

「小学校・中学校・高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指

導要録の改善について(通知 (平成22年5月)の別紙5では、小・中学校の指導の)」

一貫性に配慮して、次のような「評価の観点及びその趣旨」の例が示された。

集団活動や生活へ 学級や学校の集団や自己の生活に関心をもち、望ましい人間

の関心・意欲・態 関係を築きながら、積極的に集団活動や自己の生活の充実と向

度 上に取り組もうとする。

この観点は、学級や学校の集団や自己の生活に関心をもち、望ましい人間関係を築

きながら、積極的に集団活動や自己の生活の充実と向上に取り組もうとする状況を評

価するものである。つまり、特別活動の各活動・学校行事に積極的に取り組もうとし

ているかという観点から評価する。

集団や社会の一員 集団や社会の一員としての役割を自覚し、望ましい人間関係

としての思考・判 を築きながら、集団活動や自己の生活の充実と向上について考

断・実践 え、判断し、自己を生かして実践している。

この観点は、集団や社会の一員としての役割を自覚し、望ましい人間関係を築きな

がら、集団活動や自己の生活の充実と向上について考え、判断し、自己を生かして実

践している状況を評価するものである。

集団活動や生活に 集団活動の意義、よりよい生活を築くために集団として意見

ついての知識・理 をまとめる話合い活動の仕方、自己の健全な生活の在り方など

解 について理解している。

この観点は、集団活動の意義、よりよい生活を築くために集団として意見をまとめ

る話合い活動の仕方、自己の健全な生活の在り方などについて理解している状況を評

価するものである。つまり、特別活動を進める上で必要なことを理解しているかとい

う観点から評価する。

5 評価の進め方

各学校においては、特別活動の特質を踏まえ、以下のような評価の手順や留意点を参

考に適切に評価を進める必要がある。

(1) 評価の手順

ア 評価実施のための責任と役割の分担を明確にする。

イ 特別活動全体及び各活動・学校行事ごとの指導と評価の計画を作成する。

ウ 計画に基づいて、評価のための基礎資料を収集する。

エ 生徒一人一人のよさや可能性を生かし伸ばす点から、好ましい情報や資料は、随

時、当該生徒に伝えたり、学級で紹介したりする。

オ 収集した資料を各学校で定めた所定の手続きにしたがって総合的に判断し、評価

を行う。

カ 評価結果を、各学校における指導や評価体制の改善に生かす。

Page 84: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -79

[各教科等編]特別活動

(2) 評価体制の確立

、 。ア 個々の生徒の活動状況について 担当する教師との間で情報交換を密にすること

イ 評価に必要な資料を収集する方法を工夫するとともに、それらが学級担任の手元

に収集され、活用されるようにすること。

ウ 必要に応じて評価した結果を全教師が共有し、指導に生かせるようにすること。

エ 年間を通してより多くの教師の目で「個人の変容」や「集団の変容」について評

価すること。

(3) 指導と評価の計画の作成

ア 各活動・学校行事ごとに指導と評価の計画を作成する。

イ 指導と評価の計画を作成する際は、各活動・学校行事の特質を踏まえて、目標、

評価の観点、活動内容、活動時期、活動の場、指導上の留意点等を記入する。

ウ 各学校で評価規準を設定する際は 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善の、

ための参考資料(中学校 特別活動 」の【内容のまとまりごとの評価規準に盛り)

】 、 ( )、( )、( )、 、 ( )、込むべき事項 を活用し 学級活動 1 2 3 生徒会活動 学校行事 1

(2 (3 (4 (5)について、観点ごとに設定することが考えられる。)、 )、 )、

エ 学級活動の1単位時間の指導計画に記入すべき事項としては、題材名や生徒の実

態と題材設定の理由、本時のねらい、本時の活動計画(本時の展開 、指導上の留)

意点などがある。さらに、各活動・学校行事ごとに設定した評価規準に即して 「十、

分に満足できる活動の状況」を具体的な生徒の姿として示した「目指す生徒の姿」

を記入することが考えられる。

(4) 多面的、総合的な評価の工夫

ア 生徒が自己の活動を振り返り、新たな目標や課題がもてるようにする評価を進め

るため、活動の結果だけでなく活動の過程における生徒の努力や意欲などを積極的

に認めたり、生徒のよさを多面的・総合的に評価したりする。

イ 所属集団の環境や状況に応じて評価方法を工夫するなど、一面的な捉え方になら

ないようにする。

ウ 特別活動で育成しようとしている「自主性 「社会性 「個性」などが、生徒の」、 」、

活動意欲や積極的な態度、正しい知識や適切な判断に基づいた実践などの様々な側

面を含んでいることを理解し、各学校で設定した評価の観点に照らして総合的に評

価する。

エ 生徒一人一人について評価する方法としては、主として教師による観察を中心と

しながらも、質問紙法、チェックリストによる方法、生徒自身の各種記録の活用な

が考えられ、それぞれの評価方法の特質を十分に吟味しておく。

オ 観察による教師の評価に併せて、生徒自身による評価を参考にすることも考えら

れる。

(5) 評価機会の設定

全ての評価の観点について、事前、本時、事後などの一連の活動過程の中で評価で

きるようにしたり、各活動・学校行事おける顕著な事項は補助簿を活用して記録した

りしておき、一定期間に実施した活動や学校行事を評価規準に基づきまとめて評価す

るなど、効果的で効率的な評価となるよう配慮する。

Page 85: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -80

[各教科等編]特別活動

6 指導と評価の年間計画例

ここでは、第2学年の「学級活動」を取り上げ、評価計画の作成の仕方の例を示す。

(1) 学級活動の目標

学級活動を通して、望ましい人間関係を形成し、集団の一員として学級や学校にお

けるよりよい生活づくりに参画し、諸問題を解決しようとする自主的・実践的な態度

や健全な生活態度を育てる。

(2) 学級活動の評価の観点と評価規準

「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料(中学校 特別活動 」)

の【内容のまとまりごとの評価規準に盛り込むべき事項】を参考に、評価規準を次の

ように設定することが考えられる。

集団活動や生活への 集団や社会の一員としての 集団活動や生活について

関心・意欲・態度 思考・判断・実践 の知識・理解

学 学級や学校の生活の充実と 学級や学校の一員としての自 充実した集団生活を築くこと

級 向上にかかわる問題に関心 己の役割と責任を自覚し、他 の意義や、学級や学校の生活

活 をもち、他の生徒と協力し の生徒の意見を尊重しながら、 づくりへの参画の仕方、学級

動 て、自主的、自律的に集団 集団におけるよりよい生活づ 集団として意見をまとめる話

(1) 活動に取り組もうとしてい くりなどについて考え、判断 合い活動の仕方などについて

る。 し、信頼し支え合って実践し 理解している。

ている。

学 自己の生活の充実と向上に 日常の生活における自己の課 集団や社会への適応及び健康

級 かかわる問題に関心をも 題を見出し、自己を生かしな で安全な生活を送ることの大

活 ち、自主的、自律的に日常 がら、よりよい解決方法など 切さや実践の仕方、自他の成

動 の生活を送ろうとしてい について考え、判断し、実践 長などについて理解してい

(2) る。 している。 る。

学 人間としての生き方や学ぶ 自己の将来に希望を抱き、そ 学ぶことと働くことの意義

級 こと、働くことなどに関心 の実現に向け、現在の生活や や、自己の能力や適性、進路

活 をもち、自己のよさを伸ば 学習を振り返り、これからの 選択に必要な情報収集や将来

動 しながら、自主的、自律的 自己の生き方などについて考 設計の仕方などについて理解

(3) に日常の生活や学習に取り え、判断し、実践している。 している。

組もうとしている。

Page 86: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -81

(3) 指導と評価の年間計画(第2学年の例)

学級活動の目標及び評価規準を基に、各単位時間における題材、活動内容、指導のね

らい、目指す生徒の姿等を次のように設定することが考えられる。

活 動 内 容 目指す生徒の姿(主なもの)

月 週 題 材 指導のねらい 集団活動や生活 集団や社会の一 集団活動や生活(1) (2) (3)

へ関心・意欲・ 員としての思考 についての知識

態度 ・判断・実践 ・理解

、1 第2学年 ア 中堅学年とし 新しい学級に対 中堅学年として 中堅学年として

を迎えて ての生活上の する関心をもち 自覚をもち、決 学級や学校の生、

心構えをもた 自主的、自律的 意を新たに目標 活上の心構えを

せる。 に学校生活を送 を立てている。 理解している。

。ろうとしている

4 2 学級目標 ○ 中堅学年とし よりよい学級の 学級の一員とし 学級目標を定め

、を決めよ イ ウ てふさわしい 生活づくりに関 て、互いの意見 ることの意義や

う 学級目標をつ 心をもち、話合 を尊重しながら 学級集団として、

くり、協力し い活動に自主的 よりよい学級目 意見をまとめる、

てよりよい学 自律的に参加し 標について考え 話合い活動の仕、

級生活を築い ようとしている 理由を示して意 方を理解してい。

ていこうとす 見を述べている る。。

る態度を育て

る。

3 学級の組 ○ 学級内で必要 学級内の組織づ 学級の実態を踏 学級内の組織を

織づくり イ ウ な仕事につい くりに関心をも まえ、よりよい つくる必要性や

をしよう て考え、それ ち、他の生徒と 学級づくりに必 意義、活動の内

を学級の成員 協力して、自主 要な係等を考え 容や方法を理解、

が分担するこ 的、自律的に活 理由を示して提 している。

との意義を理 動しようとして 案している。

解し、協力し いる。

て生活してい

こうとする態

度を育てる。

5 1 自分にふ 自分にふさわ 様々な学習方法 他の生徒の学習 主体的に学習に

さわしい ア しい学習方法 に関心をもち、 方法に学びなが 取り組むことの

学習方法 について考え 家庭や学校での ら、自分にふさ 大切さや、自分、

○ 学習習慣の改 学習の在り方を わしい学習方法 にふさわしい学

イ 善を図ろうと 自主的、自律的 について考え、 習方法を理解し

する態度を育 に改善しようと 学習計画を作成 ている。

てる。 している。 し、実践してい

る。

※ 「活動内容」の欄のア・イ・ウ・・・の記号は、該当する内容項目を示している。ま

た、複数の内容項目を関連付けて行う場合は、重点を置く項目に○印を付けている。

[各教科等編]特別活動

Page 87: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

- -82

7 指導要録への記載

各学校が自ら定めた特別活動全体に係る評価の観点を記入した上で、各活動・学校行

、 、事ごとに 評価の観点に照らして十分満足できる活動の状況にあると判断される場合に

○印を記入する。

指導要録への記載例及び留意点

特 別 活 動 の 記 録

内 容 観 点 学 年 1 2 3

○ ○学級活動 ○集団活動や生活への関心・

意欲・態度

○集団や社会の一員としての

思考・判断・実践

○生徒会活動 ○集団活動や生活についての

知識・理解

(変更になった観点を記

○学校行事 述できるよう、スペー

スを空けておく )。観点は、各活動・学校行事のそれぞれ全てに関連して

いなければならない。

また、学級活動、生徒会活動、学校行事、全てにおい

て三つの観点に即して評価する。

設定した観点を省略せずに記述する。

観点の変更があった場合、あらかじめ空けたスペース

に、新たな観点を記入する。(学年も明記する。学年

は、終了した時点で記載する。) なお、変更があった

ことが分かるように、記載方法を工夫すること。

[各教科等編]特別活動

Page 88: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

参考資料

この参考資料の作成に当たっては、次の資料を参考にした。

【文部科学省・国立教育政策研究所の資料】

○ 「児童生徒の学習評価の在り方について(報告 」)

中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 平成22年3月24日

○ 「小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及

び指導要録の改善等について(通知 」)

文部科学省初等中等教育局 平成22年5月11日

○ 「評価規準の作成のための参考資料(中学校 」)

国立教育政策研究所教育課程研究センター 平成22年11月

○ 「言語活動の充実に関する指導事例集【中学校版 」】

文部科学省 平成23年5月

○ 「評価規準の作成、評価方法等の工夫改善のための参考資料」

国立教育政策研究所教育課程研究センター 平成23年7月

○ 中等教育資料 平成22年6~12月号、平成23年1~11月号

【栃木県教育委員会の資料】

○「新学習指導要領に基づく評価の在り方(中学校 」)

栃木県教育委員会 平成14年5月

○「教育課程編成の手引(小・中学校編 」)

栃木県教育委員会 平成22年3月

○「小学校児童指導要録・中学校生徒指導要録の手引」

栃木県教育委員会 平成22年12月

○「新学習指導要領に基づく評価規準設定のための参考資料(小学校 」)

栃木県教育委員会 平成23年6月

Page 89: は じ め に...は じ め に 新学習指導要領に基づく教育課程が、平成24年度から中学校において全 面実施となります。各学校におかれましては、これまで、新学習指導要領の趣

新学習指導要領に基づく評価規準設定のための参考資料(中学校編)

平成23年12月発行

編集発行 栃木県教育委員会

〒320-8501 栃木県宇都宮市塙田1-1-20

栃木県教育委員会事務局学校教育課

TEL028-623-3392 FAX028-623-3399