支援体制 - 事業承継ひろば - 事業承継支援 ... ·...
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愛媛県事業承継ネットワーク事務局の取組み(採択団体名:公益財団法人えひめ産業振興財団)
支援体制
事業運営の結果
会議 セミナー・広報 事業承継診断 専門家リスト 個者支援※具体例は次頁
その他
5月29日全国協議会7月4日愛媛県事業承継ネットワーク連絡会議10月9日地域協議会(四国)10月29日全国事業承継推進会議(東京)2月22日全国事業承継推進会議(四国)3月4日愛媛県事業承継ネットワーク連絡会議
〇事業者向けセミナー12月13日~2月22日 ※ベンチャー型事業承継セミナー(参加者 計68名)※全3回シリーズ実施3月14日事業承継実践セミナー(参加予定者 20名)〇支援機関向けセミナー6月~1月支援機関向け講習会を全5回実施(経営指導員等計171名参加)
セミナー集客および地域事務局の認知度向上を目的とした新聞広告掲載累計8回。
9月1日愛媛県事業承継ネットワーク事務局のHPをリニューアルするとともに、HP上でWeb版事業承継診断をスタート。
隔月にネットワーク構成団体より診断結果を収集し、取り纏めを実施。
本年度:2,132件(2019年2月末時点)
10月以降弁護士、公認会計士、税理士、中小企業診断士からなる53名の専門家リストを作成し、「事業承継アドバイザー派遣事業」を開始。
専門家派遣については、弁護士1回、公認会計士1回、税理士1回の計3回を実施。
5月以降総計101件の相談を受け、全先と面談を実施し、・事業承継計画策定26件※(親族内・従業員承継)・企業概要書策定18件※(第三者承継希望先)の伴走型個者支援を行った。
※現状把握(定性・定量分析)と資産の見える化(事業用資産の確認、株価簡易算定、株式贈与計画等)を行うとともに、経営者の承継への想いや方針をヒアリングの上、事業承継計画書および企業概要書にまとめる支援を行った。
12月ネットワーク構成機関の意向を反映した愛媛県事業承継支援プランを策定。
2月行政団体主催の移住フェアへ出展し、アトツギの選択肢について、周知PRを実施(東京・大阪)。
西日本豪雨災害サテライト相談会4回、構成機関の団体機関誌への寄稿を2回実施。
地域事務局として、ネットワーク構成団体や士業専門家と連携し、事業承継対策の早期着手の気付きの促し、事業承継策の潜在ニーズの発掘から伴走型個者支援による承継計画等策定までのシームレスな事業承継支援を実施。承継CO1名とブロックCO4名による各構成機関の活動状況の取りまとめ、各種会議体の実施、支援機関担当のスキルアップセミナーや若手後継者の意識醸成を目的としたベンチャー型事業承継セミナーを開催した。
事業スキーム
■参画機関数:38機関
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独自的取組みや工夫した点、苦労した点など
●承継CO・ブロックCO主体による伴走型個者支援の実施趣旨:県内事業者の事業存続のために事業承継対策のニーズがある事業者の課題解決あるいは承継計画策定等にかかるワンストップ支援を実施する。工夫:愛媛県事業引継ぎ支援センターやよろず支援拠点等の構成機関と有機的に連携し、それぞれの強みを活かした支援を実施することができた。課題:後継者育成支援のニーズも多々あったが、支援する人材とノウハウが不足しており、後継者育成についてはその場でのヒアリングに留まることが多かった。
●「ベンチャー型事業承継セミナー ~未来をつなぐ起業~ 」の実施(全3回シリーズ)趣旨:家業または他人の資産を引き継ぎ、リスクや壁に果敢にチャレンジする若者に事業承継のメリット・デメリットを正しく理解し、後継者(予定者含む)自身が事
業あるいは経営資産の更なる磨き上げを行うことの大切さを啓発する。工夫:イノベーションやファミリービジネスに精通した専門家を招き、経営ノウハウを体系的に学ぶワークショップとし、様々な気付きの機会を提供することができた。課題:一過性のイベントでは勿体ない。意欲のある後継者が集うコミュニティの形成と中長期的なセミナーや、実際の経営革新に向けたフォローアップが必要である。
後継者候補の長男は、入社後20年を経過するが、黙々と担当業務をこなしているものの、経営への意欲や積極性を表明せず、任せてよいか迷うところがある。女婿は、業務の習熟に熱心に取り組み、将来は長男の補佐を行い、当社の事業を行く末まで支えていく覚悟を表明している。
事業承継後の社内体制をどのようにしていくか意思決定ができない。
地元商工会は、社長の相談を受けて、後継者候補のヒアリングと分析を行った後、ネットワーク事務局へ支援を求めた。承継CO等は、情報を共有した後、社長と商工会と3者でさらに検討を行い、その結果を事業承継計画書として承継の方針やスケジュールをまとめ、社長へ提言した。
社長はこれらを、後継者へ伝えたところ、両後継者は協力して互いを支えて経営にあたっていくことを誓約した。
社長は、事業承継を行いたいと思っているが、後継者候補の長男と女婿の意思確認を行った後、承継後の社内体制、運営をどのようにするか最終の意思決定を行い、早期に承継後の経営体制を確立していきたい。
どのように2名の意思を確認し、両者が今後の経営を円滑に引き継いで、継続的発展へと導いていけるか。
課題 支援結果・進捗(支援事例)
相談内容
①定期的に圏域別での支援担当者を集めたラウンドテーブルを開催し、意見・情報の交換ができる機会を提供する。
②具体的には、経営者としてのマインド醸成や経営知識の磨き方について、支援策とCO等役割、専門家との連携方法を検討実施する。
③中長期的な後継者支援の計画と人的交流コミュニティの形成を検討実施する。
①ネットワーク構成機関との連携体制においては、計画的な実施と地域の実情に応じた支援策を検討していく必要がある。
②伴走型個者支援は、ポスト事業承継(育成・発展)を見据えた後継者育成の支援ノウハウが不足している。
③ベンチャー型事業承継に取り組む意欲ある後継者を計画的に支援していくスキームを検討する余地がある。
今後の計画課題
(次年度に向けた取組)
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■支援の経緯
■支援内容・成果
愛媛県 よろず支援拠点と連携した親族内承継事例
支援企業 支援体制
企業名 小池ししゅう
■業種 タオル刺しゅう加工
■従業員数 5名
■創業 平成元年
■住所 愛媛県今治市大西町別府2406-1
■企業概要 今治タオルの刺しゅう加工業
支援概要
地域事務局コメント
よろず支援拠点
愛媛県事業承継NW事務局
同社社長 後継者連携支援
前代表者は昨年病没し、妻である現代表者が事業を引き継いだ。すでに代表者の長男と次男が実質的にはタオル刺しゅう加工を担当しており、兄はデザインやパンチングを、弟は刺しゅう機加工や経営管理を行っていた。今後は、兄弟が事業を承継して行くにあたって、事業の拡大と安定に向けて法人成りし、母に任せている経営管理も引き継いでいけるように、自ら承継後の事業計画を作成することとした。そこで、予てから支援のあったよろず支援拠点COと共に、事業承継ネットワーク事務局の承継COが第一次計画作成の支援に参画した。
母である事業主から、兄弟で事業を承継するにあたって、まず個人事業の法人成りを行い、事業と資産を法人へ引き継いだ後に、代表者の変更という形で経営を承継する計画を提案した。まず、法人成りした場合と、個人事業を継続した場合の費用負担や税制上の比較検討を行った。その後、法人成り時の諸税の負担や、法人の設備投資計画として刺しゅう機の更新と導入、人材の確保、タオル会社からの受注見込み、役員や金融機関からの借入や資金繰りなどを予測して予想損益計算書や予想貸借対照表の作成、予想株価の算定を行った。法人成り後、株価が低い段階で社長の交代と株式の贈与を行うという計画を一次案として代表者、後継者と共に作成した。
刺しゅう機 15頭9色機
現代表とは事業承継セミナーに出席していただいたこともあり、後継者ご兄弟の法人成りを前提とした事業承継計画書作成のご支援を担当した。刺しゅうデザイン、加工技術に優れたご兄弟が、経営管理手法も学び今治タオル製造各社から信頼を得ていくものと期待される。
兄 小池克自 弟 小池敬亮
フリーハンドのデザインと、高度なパンチング技術、刺しゅう機加工技術を結集して制作された、刺しゅう画
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■支援の経緯
■支援内容・成果
愛媛県 地元商工会と連携した親族内承継事例
支援企業 支援体制
企業名 株式会社 電子食品流通研究所
■業種 食品小売り・卸売業
■従業員数 2人
■創業 昭和51年
■住所 愛媛県伊予郡砥部町川井1556
■企業概要 電子付加食品、野菜・果物の販売
支援概要
地域事務局コメント
砥部町商工会
愛媛県事業承継NW事務局
同社社長 後継者連携支援
後継者 現社長 樋口剛志氏(以下、剛志氏)は、小学校から始めた野球を社会人まで続け、28歳の時にホテル・結婚式を運営する会社に転職した。37歳の時に大きな病気の宣告を受け、自らの食を見直すきっかけとなった。自身の病で気づいた真の幸せとは、健康である事がその基盤にあると実感した。当社の前代表者である父・樋口泰幸氏は、昭和45年から電子技法による食品製造を開始し、長年に渡り健康
につながる食べ物を提供してきた。「電子技法」による農法とは、「炭」・「水」・「空気」を活用して土を健康にして光合成の働きを高めて栽培する方
法である。 剛志氏は、父の高齢化と父の思いを引継ぐ為に、故郷・砥部町の自然の中で柑橘営農や食品加工を営む為に、平成30年春に帰郷し家業を承継するにあたり、引き継ぐべき資産等の見える化の支援を要請した。
前社長・泰幸氏も、後継者が事業を担っていけるように事業用資産と負債を明確化、株式の評価など会社の内容を把握してから事業を承継させたいとの事であった。 会社の役員借入金の返済計画へのアドバイス依頼などもあり、ヒアリングを行うと共に必要資料により、「事業承継計画(案)」を作成して対応した。また株式の譲渡時期についても「事業承継スケジュール」で提案を行い、30年6月に剛志氏が代表取締役就任時に父親から一部の株式の譲渡を受けた。 なお、剛志氏は「ベンチャー型事業承継」として「六次産業化」を目指しており、新事業戦略の作成への協力依頼もあったので、これについても、一年目に6次産業化・加工工場の設置・機械設備の導入、二年目から当社商品のブランド化や全国展開などを行うことを提案した。
後継者 社長 樋口剛志
炭の持つ効果を利用して、美味しい農作物を作ります
「健康は食品から」を当社の理念として事業展開し、また代表者は前職業時代の人脈を生かして、都会のデパートや各地のマーケットやマルシェに出店、SNSを有効に使っての販路拡大などに努力をしており、今後の展開が期待される。 支援要請があれば、引き続き伴走型支援を行う。
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■支援の経緯
■支援内容・成果
愛媛県 地元商工会と連携した親族外承継事例
支援企業 支援体制
企業名 奈良オートサービス
■業種 自動車整備業
■従業員数 1名
■創業 平成9年
■住所 愛媛県北宇和郡鬼北町奈良3888
■企業概要 地元密着の自動車整備業
支援概要
地域事務局コメント
鬼北町商工会
愛媛県事業承継NW事務局
同社社長 後継者連携支援
当社の創業者で、前社長である高田敏男氏(相談当時69歳)は、年齢的な理由で事業承継を検討したところ親族内には候補者がおらず、友人の子息で別の整備工場に勤務していた現社長の木下和也氏(相談当時36歳)が後継の意思を示した。事業譲渡の条件について、大まかなところでの合意はできていたが、税務・契約面など細部についてアドバイスが必要と感じていた。また、承継を機に今後の事業について考えてみることの必要性も感じていた。そこで、鬼北町商工会を通じて財団の事業承継ネットワーク事業に相談があり、同事業のコーディネーターおよび愛媛県の事業承継アドバイザーが共同で対応することになった。
税務面では、譲渡所得の分類と課税方式、譲渡対価における営業権や在庫の考え方、消費税の扱いなどを確認した。契約面では、事業譲渡契約書に盛り込むべき項目を確認した。また、事業環境分析と、それを元にした経営ビジョン、経営戦略の策定支援を行った。今回の支援で、承継に関する課題を項目別に整理できたことは、スムーズな承継につながったという意味で大きな効果であった。
木下社長(右)と、高田前社長ご夫妻
店舗外観
後継者難に悩む企業が多い中、当社は素晴らしい後継者を得ることができた。これは、地域密着で堅実な経営を続けてこられた高田前社長、ならびに奥様のお人柄によるところが大きい。今後も、地元の鬼北町商工会様とともに、課題解決のお手伝いをしていきたい。