刑事手続き と 司法面接

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刑事手続き と 司法面接. 脇中 洋. 2010 年新規受刑者の IQ (男 24873 人・女 2206 人). 日本 の取調べの現状. 長期にわたる被疑者勾留( 72 時間+1事案 ×20 日) 組織的な見込み捜査(証拠なき確信) 糾問的な取り調べ+反省悔悟を求める   「自白するまで取調べ室から出るな」 取調べ場面が全面可視化されていない 独白文で書かれた供述調書(「はい」→「私がやりました」に変換) 捏造すらある「秘密の暴露」供述 起訴後有罪率 99.9 % 受刑者の 30 %が、 IQ70 未満ないし測定不能          ↓ - PowerPoint PPT Presentation

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Page 1: 刑事手続き と 司法面接

刑事手続きと司法面接

脇中 洋 

Page 2: 刑事手続き と 司法面接

2010年新規受刑者の IQ (男 24873人・女 2206人)

49以下

50~59

60~69

70~79

80~89

90~99

100~109

110~119

120以上

テスト不能

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

男 女

Page 3: 刑事手続き と 司法面接

日本の取調べの現状• 長期にわたる被疑者勾留( 72時間+1事案 ×20日)• 組織的な見込み捜査(証拠なき確信)• 糾問的な取り調べ+反省悔悟を求める  「自白するまで取調べ室から出るな」• 取調べ場面が全面可視化されていない• 独白文で書かれた供述調書(「はい」→「私がやりました」に変換)

• 捏造すらある「秘密の暴露」供述• 起訴後有罪率 99.9%• 受刑者の 30%が、 IQ70未満ないし測定不能         ↓ 容易に虚偽の自白が生じ、 公判で虚偽であることを示すのが難しい。

Page 4: 刑事手続き と 司法面接

自白を偏重する裁判官の認識◆捜査段階で自白、公判段階で否認のケース…• 「自ら不利益になる供述は信用できる。」       ←「悲しい嘘」(浜田)• 「公判では空しい弁解に終始している」       (被告人はうまく説明できない)◆最近の判決文にあらわれた供述分析への認識の変化…• 「供述分析は科学として確立しておらず、  独自の見解に過ぎない。」 ↓• 「なるほど虚偽自白は起こりうるが、殊本件に限ってはそのようなことはない。」

◆何によって心証を抱いたのか不明だが、結論を先行させて、レトリカルに理由を後付けしているとしか思われない。

Page 5: 刑事手続き と 司法面接

虚偽自白の要因• 個体内要因 ・被暗示性「そうなのかもしれない」 ・迎合性「ここは合わせておこう」 ・黙従「疲労と無力感のあまり…」 ・未理解同調性 (脇中 )     「実は内容を理解していない」

• 状況要因(浜田寿美男「自白の研究」) ・情報から遮断され孤立無援  ・犯人扱いされる屈辱感 ・聞き入れてもらえない無力感  ・時間的展望の欠如 ・健康への配慮の無さ  ・捜査官への両義的感情(対立しきれない )

Page 6: 刑事手続き と 司法面接

関係要因

命題レベル 関係レベル 被疑者の意図 結果

否認時期 (無理に)真

実を語る 対立的関係真実を語れば嫌疑が晴れる 嫌疑が深まる

自白転落時点「私がやりました」 対立の解消

相手に認めてもらう

犯行供述展開の追及が始まる

自白の展開時期

虚偽供述の展開 協同的関係

相手に認めてもらう

協同的に犯行供述作成

―各時期の無実の被疑者 取調べ官のコミュニケーション

Page 7: 刑事手続き と 司法面接

    問題行動と偽解決    (悪循環の構図)

           問題行動 

                                  偽解決                       (Weakland,J.1984による)

Page 8: 刑事手続き と 司法面接

関係論から見た自白の転落過程

(偽解決1)               疑惑を深め          被疑者=犯人と         見込んで尋問する 

                           焦りの気持から         無理に想起する                 

Page 9: 刑事手続き と 司法面接

関係論から見た自白の展開過程

(偽解決2)       犯人としての自白供述の     展開を期待し、疑問点を質し、      ヒントを与え、励ます

        犯人に扮して犯行        ストーリーを構成    

Page 10: 刑事手続き と 司法面接

 面接法の違い(対被疑者、対被害者)

取調べ 司法面接法 心理カウンセリング

目的 「真相解明」と称する有罪立証

 限定された? 事実の提示

 心情の共有による当人の問題解決支援

方法 力の対峙(恫喝と利益誘導?)

 体験記憶の喚起  傾聴し共感的に  受容する

誘導や作話の  可能性

  多い   少ない   少ない(が作話の可能性)

「本心」が語られる可能性

  少ない?   どちらとも  言えない?

  多い?

Page 11: 刑事手続き と 司法面接

司法面接法ガイドライン

※最初の段階ほどオープンクエスチョン、 最後の段階ほどクローズドクエスチョンとなる。

1.手がかり質問 「○○について全て /詳しく話して下さい」

2.時間の分割 「□から△までの間について話して下さい」

3.後続質問 「それから何がありましたか」

4.反応 /繰り返し

「うんうん」 /「【相手が言った言葉の繰り返し】」

5. WH質問 「いつ」「どこ」「誰」「何」「どんな」

6.選択式質問 「○○ですか?」「 Aですか Bですか?」

7.付加疑問文 「○○ですよね?」

Page 12: 刑事手続き と 司法面接

司法面接法の可能性と限界

• 司法面接法(認知面接法) ・すべてのやりとりを記録する。 ・極力誘導を避ける。(OQ→CQ、質問の反復や復唱を避ける等)

*被害者に対しても、被疑者に対しても、 目撃証人に対しても有効。

*一旦「汚染された」供述に対して、 汚染を除去するすべを持たない。

Page 13: 刑事手続き と 司法面接

   被害者支援の多様な方向性 ~公判まで・公判後~

被害者 被告人

   A.実際には   犯罪なし

  虚偽供述の  指摘と修正    +「被害者」支援

冤罪被害者支援

B.犯罪はあったが、  被告人は無実

被害者支援    +虚偽供述の修正

冤罪被害者支援

C.犯罪はあり、 被告人は真犯人

 被害者支援(有罪立証およびトラウマ予防)

→加害者更生  支援へ(過去の被害者支援を含む)修復的司法の可能性 

Page 14: 刑事手続き と 司法面接

ありがとうございました。   ※写真は、 R-GIRO[法と心理学」研究拠点の創生 による

  カナダ視察(オンタリオ州立裁判所 old City hall                    2010年 3 月 15日)