物質系専攻

36114

片岡 祐己

久保田研究室

回転下における超流動 3He

1/14. テーマ 　　　　　 2003.12.1　物質系輪講 1A 　

～超流動 3He-A の織目構造と芯のない渦～

仕様・最高回転速度 ±2π radian/s 　・最低到達温度 300μK 　・熱流入 < 8 nW ( 静止下 , 回転下 )・温度安定性 ～ 1μK/hour

・超流動 3He

・超流動 3He-A の織目構造

・超流動 3He-A の NMR

・回転超流動 3He-A

2/14. 発表の概要　　　　 　 　 　　 2003.12.1　物質系輪講 1A 　

　ヘルシンキ工科大

　　　　　 3He-A で 4 種類の渦を発見

　物性研究所久保田研究室・京大・阪市大・福大

　　　　　　 Mermin-Ho の織目構造と回転との相互作用

3/14.3He 　　 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

　・ 3He 原子と電子のクーパー対3He 　 p 波スピン三重項 ( L=1 , S=1 )

従来の超伝導体 　 s 波スピン一重項 ( L=0 , S=0 )

　 　 　 　 　 　 　 3He の相図http://boojum.hut.fi/research/theory/helium.html

0.001 0.01 0.1 1 10 100

Temperature (K)pr

essu

re (M

pa)

1

2

3

・ 3He 原子

核スピン 1/2 のフェルミ粒子

・ 3He 原子と電子の相違点

質量　密度　純度

TF ~ 1K TF ~ 104K

高温超伝導体 　 d 波 ? 　

Sr2RuO4 , UPt3 　 p 波スピン三重項 ( L=1 , S=1 )

4/14. 超流動 3He 　 　 　 　 　　　　　　　　　　　 　 2003.12.1　物質系輪講Ⅰ A 　

・ 3He 原子　 核スピン 1/2 のフェルミ粒子

⇒　電子と同様に 3He 原子自体が対凝縮

⇒　原子間に強い近距離斥力

・ 3He クーパー対 L=1 S=1 P 波スピン三重項

⇒　異方的凝縮体

・超流動 3He 　 　 　　 9 個 (18 個 ) の内部自由度

⇒　複数の凝縮相 ( 3He-A ,3He-B )

⇒　凝縮相自体にも内部自由度が残る

　　　　　 3He クーパー対

http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/phys/ult/

　 　 　 　 　 　 　 　 　 3He の相図http://boojum.hut.fi/research/theory/he3.html

0 1 2 3

Temperature (mK)

4 3 2 1 0Pres

sure

(MPa

)

5/14. 超流動 3He の秩序変数　　　　　　　　 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

・相転移を記述

　　 秩序変数

とるスピンに垂直な方向にスピン状態を表わす

　秩序変数

d

・秩序変数

Tc 以下で現れる

・秩序変数の例超伝導体のエネルギーギャップ⊿

強磁性体 の自発磁化 M

・超流動 3He の秩序変数p 波スピン三重項 (Lz=1,0,-1 Sz=1,0,-1)

3 次元正方行列 　　 9 個の変数

)(A)(A)(A)(A)(A)(A)(A)(A)(A

)(333231

232221

131211

rrrrrrrrr

A rji)(A)( ij

1.2.3j1,2,3i

rr

jiAij )i(dΔA nm ˆˆˆ

・超流動 3He-A の秩序変数

エネルギーギャップ:軌道状態:

スピン状態:

A

ˆˆˆˆ

　

　 　 　nml

d

1mKΔA )0T(

秩序変数が空間変化が可能　　　　→　内部自由度を持つ凝縮体

　 　 の方向にとる０エネルギーギャップが

軌道状態を表わす　秩序変数

nm l ˆˆˆ

s d

s超流動 3He-A の秩序変数の内部自由度

の空間変化l& d ˆˆ

6/14. 超流動 3He-A の秩序変数 の配向 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

2gg )la()l,(ff l ˆˆˆ 　の剛性

uniforml ˆ

rdF 3自由エネルギー

( fd + fh + fg )

　l // d ˆˆ2

dd )ld(λ21f ˆˆ 双極子双極子相互作用

2hh H)d(λ

21f ˆ磁化の異方性

H d ˆ

　境界条件 wall l ˆ

re)(Textu織目構造の空間変化　と　様々な条件下おける l d ˆˆ

1mKΔA )0T(

s d

s

l

Hs

dsd

7/14. 超流動 3He-A の織目構造　　　　 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

uniformlfHdfl // dfwalll

g

h

d

ˆˆ

ˆˆˆ

　　　　 　

配向

狭い平行平板中の織目構造

dξ)HH( d

dξ

壁の近傍の織目構造

l d

dξ)HH( d

の空間変化とld ˆˆ3He-A の織目構造 ⇔

実験空間の大きさ , 幾何学的構造で織目構造を制御できる

m10μξd

mT2Hd

固有の値

dg ff

hd ff

」!！の織目構造を作りたい　と　「一様な d l ˆˆ

8/14. 超流動 3He-A の NMR 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

2A

2A

L

2A

L

2A

2L

2

Δf

cos2θ2f

fΔf

ffcos2θff

)T()T(

)T(H

)T(

　 　 ラーマー周波数

周波数シフト

NMR ⇒ ( )スピン状態 を見る d

l

d

)ld)(ld(R dˆˆˆˆ

トルク双極子相互作用による

の情報が得られるとによって ld ˆˆNMR

dξ)HH( d

l d

吸収NMR

Δf

L

2A

f2f

L

2A

f2f0

Lf

9/14. 回転超流動 　　　　　　　　　　　　　　　　 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　・回転超流動4He

evs r1

mm 44

超流動速度場

sv

r

r1

超流動 4He →　芯 (特異点 ) のある渦のみ

超流動 3He-A　　→　芯 (特異点 ) のない渦構造が可能

svr sv

円筒容器中

秩序変数 l の空間変化により

　　　　超流動速度場の発散がなくなる

　　　　　　→　中心でも超流動状態

渦の中心で超流動速度場が発散

→　中心では常流動状態

・超流動 3He-A

)cos(2m

nm2m

3

iii

3

　

sv lm

nと壁のなす角l:

0 5 10 15

　　　　⊿ｆ (kHz)

NM

R adsorbtion

10/14. 回転超流動 3He-A の CU 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

http://boojum.hut.fi/~ethuneb/

R. Blaauwgeers, V. B. Eltsov, M. Krusius, J. J. Ruohio, R. Schanen and G. E. Volovik ; Nature 404 473 (2000)

・ CUV

continuous dipole unlocked vortex

NMR のサテライトの場所と強度は渦の構造や渦の本数の情報を含む

l d ˆ ˆ //

渦にによるNMR のサテライト

l d ˆ//ˆ渦以外の部分からの寄与

11/14. 回転超流動 3He-A の渦　　　　　 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

「超流動転移の条件 ( 磁場 , 回転速度 ) の

違いで 5 種類の渦が生成されるであろう」

「それぞれの渦構造がサテライトの位置と強度の違いとして観測されている」

各々の渦の NMR スペクトル

・実験結果・理論的予想渦の相図

12/14. 物性研究所 1 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

・物性研究所 のヘルシンキ工科大の違い

　　　実験空間の大きさ

・ヘルシンキ工科大

直径 5mm 高さ 30mm の円筒容器

直径 >> ξd (=0.01mm)

→　壁の影響なし

・物性研究所

直径 0.1mm 高さ 30mm の円筒容器束

直径 = 10ξd

→　制限された空間

→　回転により他の渦が生成されず回転前からある織目構造の回転変化

が見える

「何故制限された空間なのか？」

「 Mermin-Ho 織目構造と回転の相互作用」

・渦の一種 (∵vs)

・狭い円筒容器中で静止下でも自発的に発生

・自発的角運動量 Lを持つ

・ Mermin-Ho 織目構造N. D. Mermin and Tin-Lun Ho; Phys. Rev. Lett. 36 594 (1976)

Lsv

LΩE ・回転との相互作用

「回転の角速度と方向によって織目構造が変形するのでは？」

walll

13/14. 実験 ~ 物性研究所久保田研究室 ~ 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

Pt-NMR 温度計

直径　0.1mm のセル

熱交換器

↑ 核ステージに熱接触

・実験空間

・実験セル

V

vr(0.05mm)

145mmr

r

平均渦間距離.0

渦が入らない状態

・超低温回転冷凍機

完全リモートコントロールシステム測定装置も一緒に回す測定装置の制御のためパソコンも一緒に回転させなければならないパソコンの制御は赤外 LAN を通じて、ネットワークから制御す完全リモートコントロールシステムエアーベアリング

振動なくスムーズに回転

地球磁場キャンセルコイル地球磁場中の回転による発熱を防ぐため地球磁場と逆方向の磁場を印加

14/14. 結果 ~ 物性研究所久保田研究室 ~ 2003.12.1 　物質系輪講Ⅰ A 　

LΩE 　・回転との相互作用

・回転角速度の変化により NMR サテライトが変形

・ Ω//L と Ω//-L では回転速度対する

NMR サテライトの変形の仕方が異なる

「回転に対する Mermin-Ho 織目構造の非対称性」

実験的に実証したのは世界で始めて

の結果L // Ω・

LΩ

(kHz) Δf

NM

R a

dsor

ptio

n (a

rb.u

nits

)の結果L// Ω - ・

LΩ

(kHz) Δf

NM

R a

dsor

ptio

n (a

rb.u

nits

)

最近、我々の研究グループ( 物性研 , 京大 , 阪市大 , 福大）ではこの解釈の妥当性を支持する方向で意見がまとまり、投稿の日が待たれている

壁の近傍の織目構造

l d

dξ)HH( d