平成 29 年度 活用コアスクール 研究のまとめ...ak Ñ c 25 2 ) q+ bÆ f bÆ8 ) q+ l...

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1 平成 29 年度 活用コアスクール 研究のまとめ 平成 30 年3月 広島県立呉宮原高等学校

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平成 29 年度

活用コアスクール

研究のまとめ

平成 30 年3月

広島県立呉宮原高等学校

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目 次 1 平成 29 年度の取組 …… 3

2 公開研究授業の取組

(1) 国語科 学習指導案(沖 まりこ) …… 5

研究協議のまとめ …… 7

(2) 地理歴史科 学習指導案(中村 光則) …… 9

研究協議のまとめ …… 14

(3) 数学科 学習指導案(大田 純也) …… 15

研究協議のまとめ …… 18

(4) 理科 学習指導案(坂倉 みかり) …… 19

研究協議のまとめ …… 23

(5) 保健体育科 学習指導案(見越 勇太) …… 24

研究協議のまとめ …… 28

(6) 外国語科(英語) 学習指導案(野宮 三鈴) …… 29

研究協議のまとめ …… 33

(7) 芸術科 学習指導案(大澤 良幸) …… 34

研究協議のまとめ …… 35

3 成果と課題 …… 36

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1 平成 29 年度の取組 ⑴ ねらい ア テーマ「思考力」を高める授業づくり 「思考力」について本校では,「知識を活用して自ら課題解決のプロセスを組み立て,自分なりの答えを創り出す力」と定義づけた。教師が授業での「発問を構造化する」ことにより,思考の「質の深まり」を段階的に整理し,ルーブリックを用いて教師が到達度を段階的に評価することで「指導と評価の一体化」を図るとともに,生徒自身がその授業の「振り返り」を行うことにより,「思考力」を高めることができると考えた。このようにして思考力を育成することが,「主体的・対話的で深い学び」の実現につながると考える。

イ これまでの経緯 平成 27 年度は,教師と生徒のやりとりには「質の深まり」があることを,本校教師の一人一人が認識し,「発問を構造化する」ことに取り組んだ。 平成 28 年度はさらに,授業で行った「発問の構造化」が適切であったかどうかを,生徒の変容に着目してルーブリックを用いて評価し,授業改善に生かしていく「指導と評価の一体化」に取り組んだ。 平成 29年度は,生徒自身の「自己評価に向けた振り返りの工夫」に取り組んだ。「主体的・対話的で深い学び」の実現に向け,生徒を主体的な学習者にするためには,生徒が自分自身を自覚的に振り返り,自己評価できる力(メタ認知力)が必要となる。授業の中で自己の学習を振り返えらせ,次に向けて自己の在り方を生徒に考えさせる活動を,教師が工夫することとした。

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⑵ 概要 ア 学校体制の確立(組織) 管理職⇔教育研究部 教科主任会議 教科会 教科会を議論の場とし,教員全員で参画する。

イ 取組内容 (ア) 生徒の思考力を高めるために効果的な指導の取組 a 発問の工夫(発問の構造化)

b 考えるための材料の提供(教材) c コミュニケーションや思考を促す働きかけ(対話) d 学んだことを表現する場の設定(振り返り)

(イ) 教師の指導力向上に向けた取組 a 校内研修会(年間3回) b 相互授業参観(年間3回),公開研究授業(年間2回)

(a) 全教科において,様式2-②及び様式4を教師全員が作成し,シラバス・学習指導案・ルーブリックに適用する。

(b) 学習指導案の本時の学習の流れの指導上の留意事項の欄に,思考力を高めるための4つの手立て「問いかけ(発問)」「考えるための材料の提供(教材)」「コミュニケーションや思考を促す働きかけ(対話)」「学んだことを表現する振り返り」を明示して授業に臨む。

(c) 学習指導と学習評価のPDCAサイクルを回す。解法を組み立てるプロセスや創作活動などを通して,生徒の姿を「評価基準」に照らし合わせて評価し,その到達度で指導を振り返り,次の授業改善に生かしていく。

(ウ)授業に関するアンケートの実施

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2 公開研究授業の取組 国語科「国語総合(古典分野)」学習指導案 指導者:沖 まり子 1 実 施 日 時 : 平成 30年 2 月6日 第6校時 2 学年・学級 : 1年2組 3 実 施 場 所 : 1年2組 HR教室 4 単元(教材)名 : 和歌 万葉集・古今和歌集・新古今和歌集 5 単元の目標 和歌の表現内容を的確に読み取り,自分の考えを深める。

6 単元の計画(全7時間) 時 主な学習活動 1 三大和歌集の各5首を取り上げ,和歌の「部立」や「詞書」について基本知識をもつ。 和歌を音読して,それぞれの歌のリズムを味わう。 10グループで,和歌を分担し,学習計画を立てる。

2~4

『万葉集』の和歌については,解説・鑑賞を行い,生徒の学習の参考とする。 グループごとに,古語辞典・国語便覧・参考図書を持ち寄る。 ① 語句の意味や修辞技巧を調べ,歌の解釈をまとめる。 ② どのような情景・心情を詠んだ歌かを話し合う。 ③ 考えるヒントを参考に,鑑賞欄をまとめる。 ④ グループで1枚のワークシートに発表内容をまとめる。 → 進行状況により,グループの発表を開始する。 5~6 グループ発表を行い,発表を聴く側は質問をしたり,感想を述べたりする。 → 本時 7 感想の集約と,補足説明をする。

7 本時の目標 各グループで調べたことを発表し,その和歌の解釈や修辞技巧を共有し,鑑賞の内容について感想や質問をする。 各自がこの単元で主体的に学習できたかを振り返る。

8 学習の流れ(5時間目/全7時間) 学習活動 (〇発問,●予想される生徒の反応) 指導上の留意事項(◇) ◆「努力を要する」状況と判断した生徒への指導の手立て評価規準〔観点〕 (評価方法) 【導入】(5分)ガイダンス 本時の発表の方法や,聴き方について確認する。

〇発表のポイントを示す。《手立て①》 ・和歌を音読し,解釈を読む。 ・句切れや修辞技巧を説明する。 ・どのような情景・心情を詠んでいるかを話す。

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・その他,鑑賞として考えたことを発表する。 【展開1】(25分)グループ発表 〇発表するグループは,資料を配付して,説明する。 〇聴く側は,資料に感想・疑問を書き入れる。

〇聴き方のポイントを示す。《手立て①》 ・資料をもとに発表を良く聞いて,和歌の内容を理解する。 ・自分の学習した和歌と比較したり,自分の感じたことと比較したりして,感想や質問を書き留める。

知識・理解 (記述の確認)

読む能力 (行動観察)

【展開2】(15分)グループ協議 〇各グループで,感想・質問をひとつに絞り,発表する。 〇発表グループは,できるだけ回答する。

【まとめ】(5分)振り返り 学習内容を振り返り,シートに記入する。 次の発表グループを確認する。

〇グループ協議では,和歌の鑑賞として,自分の体験と照らし合わせたり,他の和歌との比較をしたりすることをすすめる。《手立て③》

〇本時の学習を通して,和歌の読みを深めることができたかを自己評価する。《手立て④》

関心・意欲・態度 (記述の確認)及び (行動観察)

関心・意欲・態度 (記述の確認)

9 評価 評価規準 評価基準

1 2 3 古典作品の内容を自分で調べ,その作品の背景や人物の心情を自分なりに考えて発表する。 ★振り返りの方法 (○)振り返りシート ( )ノートに記入 ( )口頭で行う ( )その他

古典作品の内容について,調べた資料を見ながら,そのまま説明する。

古典作品の内容について,その作品の背景や人物の心情を考えて,自分の言葉で説明できる。

古典作品の内容について,その作品の背景や人物の心情を考え,他の作品との比較などにより,自分の鑑賞ができる。

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公開授業(国語科) 研究協議のまとめ 教 科 平成 30 年2月 16 日(金) 授業者 沖 まり子 記録者 野宮 美鈴 授業場所 1年 2組 授業タイトル 万葉集・古今和歌集・新古今和歌集 ~主体的な学びの工夫~ 研修(授業)内容 ○10グループで1つずつ和歌を分担している。語句の意味や修辞技巧について主体的に調べを行った上で,グループ毎に話し合い,どのような情景・心情を詠んだ歌かをまとめ発表する。 ○発表内容に対して他グループから疑問・質問を受け,自分たちの解釈で答えを返していく。単なる調べ発表に終わらせず質疑応答の時間で,和歌の解釈をより深いものにする。

授業者の自己評価

指導内容(教材の工夫) ワークシートを用意し,グループ毎に1つの和歌の解釈・鑑賞・文法事項・その他の関連情報をまとめさせたものを全員に配布。 4つの手立てについて 「考えるための材料提供」「コミュニケーションや思考を促す働きかけ」をグループによるワークシート活動で実施。時間外にはなったが,活動の振り返りの2回実施し,その変容を生徒自身が感じていた。 生徒の反応 個人では深まりにくい和歌の解釈も,グループのメンバーの発言や,他グループからの質問・疑問により,意外な見方や新鮮な解釈を共有できた。時期的に総合的な学習の時間のグループ発表と重なり,相乗効果で生徒達の意欲的なやりとりにつながった。振り返りシートでは,普段の自分を振り返り,目標とさせたいものを示した。ずいぶん真剣に振り返りに取り組んでいた。本時の振り返りは和歌の解釈において2回目であるので,生徒達は自分たちの変容を感じていたのではないか。 分科会での討議内容 授業者より ○グループで取り組ませたことの良さは,本来間違ってとらえたままになりがちな生徒も,仲間と 辞書をひもときながらの解釈により新鮮な発見をしていた。 ○辞書ですぐ和歌の意味はでるが,そこからの更なる質問で生徒は考え出す。 ○イメージを広げる質問が大切になる。 ○公開研究授業だからこそ,意外な生徒の姿が多く見出された。 ○発表スタイルは,総合的な学習の時間での経験をそのまま応用できた様子。 ○総合の発表で,発表者の2つ後の班が質問するというルールがあり,この授業の形態にもよい影 響を与えていた。 ○授業後に提出原稿をやり直したいという生徒がでた。

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参加者の意見 ○生徒のやりとりを聴いて,とてもよい受け答えが出来ることに感心。質問に対してさっと返せる力がある。総合の時間の取り組みが影響したかも。 奥深さを感じる和歌の鑑賞だった。ただ,生徒は自己評価が下手である。 ○呉宮原2割の法則があるらしい。すぐに答えられる生徒の割合が2割ということ。1人1人では疑問も出にくいが,2割(約8人)の意見が出る形を工夫するなら,列当てがよい。たいてい必ず一人はいい答えを出してくる。発表は制限時間を守る感覚を身につけることも大切。時間内にまとめる力。 ○「春夏冬まででているのに,なぜ秋がないのか」に対する生徒の答えが良かった。しかも,想定していたということ。水の変化に季節を読み取る力。 自分はこのスタイルの授業はしないが,総合の発表時期と重なり相乗効果となっていた。和歌は興味を持ちやすい。自分たちの暮らしに照らし合わすといい。 ○T君は本来控えめな印象だが,今回の和歌の鑑賞についてはかなり積極的に自分なりの解釈を述べ,他グループの発表内容についてもいくつも質問を用意していた。自分は沖先生のプリントを使わせてもらって同じ授業をしたが,発表ではなく紙と紙の交換で意見を確認させた。どこまで文法説明をするかが難しい。

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地理歴史科「地理 B」学習指導案 指導者 中村 光則

1 実 施 日 時 : 平成 29年 11 月6日(月) 6校時 2 学年・学級 : 2年5組(33名) 場 所:

3 実 施 場 所 : 地歴公民教室 4 単元(教材)名 : 日本の自然災害と防災「なぜ,そこが危ないのか。」

5 単元(教材)について ①単元観 地理歴史科の現行学習指導要領で,「地理Bは,地図の読図や作図などの作業的,体験的な学習によって身につけた地理的技能,系統地理的な考察によって習得した知識や概念を活用して,現代世界の諸地域の特色や諸課題を地誌的に考察する科目である。」とされている。 そこで,本単元では,「地図の読図や作図などの作業的,体験的な学習によって身につけた地理的技能」を活用して,地域の諸課題を考察する学習として,防災の視点で主題を設定し,追究させる授業を実施する。「なぜ,そこが危ないのか。」という主題を追究していく過程で,国内のおもな自然災害について,その発生原因や特徴,その後の対策を学習し,地形図の読図により自分たちの居住地域における自然災害を予測する。また,自然災害がおこった場面を想定し,具体的にどこに避難すれば助かるかを地形図から地形を読み取ることで考察する。さらに,応用として他地域において安全な居住地を選択するというパフォーマンス課題を設定し,防災を視点とした安全性と生活の利便性の両立を考慮した居住地の選択を図上で考察し,根拠をもとに説明する。 本単元を通して,自然災害から身を守るためにはどうすれば良いのかを一人一人が自分のこととして具体的に考えることで,防災意識を高めることができると考える。また,この単元の学習により,ESD(持続可能な開発のための教育)で重視されている7つの能力・態度のうち,特に「未来像を予測して計画を立てる力」や「進んで参加する態度」を培うことができると考える。そのような能力や態度の育成は,学習指導要領解説地理歴史編の巻末参考資料にもあるように,ESDが目指す「持続可能な社会の構築」につながるとともに,持続可能な社会づくりの要素を含んだ課題を設定することで,未来を担う生徒たちの生きる力を育む単元であると考える。 ②生徒観 本校の第2学年で地理 Bを選択している生徒は,理系の全 66名で4・5組の2クラスに分かれている。どの生徒も自然災害の概要や地形図の基本事項については中学校段階で既習済みであるが,地形図の読み取りについて苦手な生徒が多い。 5組については,授業中は一部の生徒を除いて発言はあまりみられないが,日頃の地理 Bの授業ではグループでの学習を行っており,基本事項や応用問題について,自分たちで調べ,全体へ説明することを通して理解を深め合っている。地理的事象の説明については,資料をもとに簡単な説明はできるものの,複

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数の資料を用いて複雑な関係や因果関係を説明するまでには至っていない。

③指導観 指導にあたっては,昨年度までの地理の授業と同様に社会事象に対する生徒一人一人の関心や授業参加への意欲を高めるために,ICT機器を使用した資料提示を行う。資料映像やデータをスクリーンに大きく映し出すことにより,視覚的に資料に集中させることで興味・関心を高めるとともに,視覚的に分かりやすい資料を提示することで生徒の思考・判断も促しやすくなると考える。また,学習指導要領における地図を用いた事象の説明などの言語活動の重視をうけ,主題図や地形図などの地図を用いて生徒に自分の考えを説明させる活動をとおし,地理的な言語力・表現力を向上させたい。 課題の探究に当たって今回からは,課題を教員が提示するのではなく,生徒自らが課題を発見し,探究すべき課題についての仮説を設定し,仮説検証による学習を進めていく課題発見・解決学習の形をとることとした。この課題発見・解決学習を行うことで,学校教育法第 30条第 2 項が定める学校教育において重視すべき三要素(「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」)について主体的・対話的で深い学びとして育成していくことができると考える。 また,評価規準の達成を目指した段階的評価である評価基準(ルーブリック)について,教員が持っておくだけでなく,授業前に生徒に明示することで教員と生徒が同じルーブリックを共有し,生徒自身がどのようにがんばれば教員に評価されるのかを分かったうえで授業に臨むことで,主体的な学習者を育成できると考える。さらに,学習ごとに振り返りの場面を設け,自己の学習の到達度を生徒自身が自己評価することで,「知識・技能」や「思考力・判断力・表現力」はもちろんのこと,「主体的に学習に取り組む態度」である学習への意欲を高め,学習者基点の授業が展開できると考える。 地理的技能については,学習指導要領の地図の読図や作図などの作業的,体験的な学習の重視として,特に本単元では地形図から地形を読み取り,自分の考えを地図に表現する力を育成したい。そして,学習指導要領解説地理歴史編の「地理的な考え方」の柱の⑤の「将来像について考えること」として,ESDの視点に立った学習指導で重視する「未来像を予測して計画を立てる力」を育成するために,過去の自然災害の原因や被害状況から身近な地域で将来起こりうる自然災害を予測させる。さらに,避難場所や居住地の選択を考察させることで,将来自ら意思決定し行動できるような防災意識を高め,ESD において重視する「進んで参加する態度」を育成したい。 これらの学習活動では,考察場面において,まず自分で考え,その後,ペアやグループで意見交換等の話し合いをした上で,グループごとに説明させることで思考を深めさせていきたい。

6 単元の目標 〇ハザードマップと地形図から学習課題を設定する。 ○過去の自然災害の場所や種類とその原因を調べ理解する。 ○地形図から自然災害の起こりそうな危険箇所を読み取るスキルを身につける。 ○過去の自然災害の原因や被害状況から身近な地域で将来起こりうる自然災害を考え,予想する。(未来像を予測して計画を立てる力) ○防災を視点とした安全性と生活の利便性の両立を考慮した居住地の選択を図上で考察し,根拠をもとに説明する。(進んで参加する態度)

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※ESD の視点に立った学習指導で重視する能力・態度(平成 24 年 国立教育政策研究所) ①批判的に考える力 ②未来像を予測して計画を立てる力 ③多面的,総合的に考える力 ④コミュニケーションを行う力 ⑤他者と協力する態度 ⑥つながりを尊重する態度 ⑦進んで参加する態度

7 単元の評価規準

関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解 ・過去の自然災害やその原因について興味・関心を持っている。 ・将来起こりうる身近な地域の自然災害について意欲的に考え,予測している。 ・自分が考える防災対策について意欲的に説明しようとしている。 ・自然災害が起きたときの自分のとるべき具体的な行動を考え,行動への意識が高まっている。(ESD 進んで参加する態度)

・過去の自然災害の原因について多角的に考察し,発表している。 ・該当地域で将来起こりうる自然災害を予測し,自分の考えを説明している。 ・防災を視点とした安全性と生活の利便性の両立を考慮した居住地の選択を図上で考察し,根拠を も と に説明 す る 。(ESD 未来像を予測する力)

・自然災害の起きた場所の特徴を地形図から読み取ることができる。 ・自然災害の起こりそうな場所を地形図から地形を読み取りながら予測できる。 ・自治体が作成しているハザードマップから該当地域の危険箇所を読み取り,地形から危険箇所を予測できる。(ESD 未来像を予測する力)

・過去の自然災害やその原因について理解している。 ・自然災害が起こりうる危険箇所について理解している。 ・自然災害の被害を受けにくい場所について理解し,被害を最小限にするための知識を身に付けている。

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8 指導と評価の計画(全3時間) 次 学習内容

評 価 知・ 技 思・ 判・ 表

意欲 評 価 規 準 評価方法

1 自然災害を知る。(ハザードマップと地形図から学習課題を設定する。) 本時本時本時本時 ○ ◎ ○ 身近な地域(呉市宮原地区)で起こりうる自然災害の被害の可能性を地形図から予測し,原因の仮説を考えることができる。

発表 つぶやき 振り返りシート

自然災害から学ぶ。 危険箇所の考察から安全な場所,安全への行動を理解する。 ◎ ○ 〇 呉市宮原地区の地形を地形図から読み取り,土砂災害の可能性の高い地形の特徴を考察することができる。 広島市で実際に被災した地域の事例から,自然災害のメカニズムについて理解する。 広島市において自然災害で被災しうる場所を地形図から読み取り,地形図を使って説明することができる。 地形を読み取り,より安全な避難場所を探すとともに,安全への行動について考えることができる。(ESD未来像を予測する力)

発表 つぶやき 振り返りシート

自然災害から考察する。 防災性と利便性を考慮した居住地の選択により,持続可能なまちづくりの必要性について考察する。 ○ ◎ ◎

防災を視点とした安全性と生活の利便性の両立を考慮した居住地の選択を図上で考察し,根拠をもとに説明できる。(ESD未来像を予測する力) 自分の居住地だけでなく社会全体の安全・安心な暮らしを実現するための居住地のあり方について考察できる。(ESD社会づくりに進んで参加する態度)

発表 つぶやき 振り返りシート

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9 学習の展開

展開1 土砂災害ハザードマップを見て,気付いたことや知りたいことをできるだけ多く挙げる。<手立て2><手立て2><手立て2><手立て2> 【課題の発見】【課題の発見】【課題の発見】【課題の発見】2 グループで出した疑問を分類し,追究すべき課題を決める。<手立て1・3><手立て1・3><手立て1・3><手立て1・3>【課題の練り上げ】【課題の練り上げ】【課題の練り上げ】【課題の練り上げ】〇なぜ,そこが危ないのか?〇どうしてそこが危ないと分かるのか?〇特別警戒区域と警戒区域とそうでない場所をどのように決めているのか?3 追究すべき課題に対する仮説を立てる。<手立て1・3><手立て1・3><手立て1・3><手立て1・3>【課題の練り上げ】【課題の練り上げ】【課題の練り上げ】【課題の練り上げ】〇傾斜が急だからか?→等高線の間隔が密(中学校での既存の知識から)〇降った雨が多く集まる谷だからか?→集水域の面積(高校の学習内容)〇崩れやすい地質だからか?→地質調査4 ハザードマップと同範囲の土地理院25000分の1地形図を手立てとして,グループごとに仮説の検証方法を考え,発表する。<手立て1・2・3><手立て1・2・3><手立て1・2・3><手立て1・2・3>〇等高線の間隔が狭い→がけ崩れ〇広い集水域が1つの谷へ集中→土石流

1 このハザードマップを見て,気付いたことや知りたいことをできるだけ多く,疑問形で書き出してみよう。(評価基準1)2 グループで出した疑問や気づきを分類し,追究すべき最上位の課題にしぼり,選んだ理由を明確にして発表しよう。(評価基準2)3 グループで追究すべき課題に対する答えを予想し,発表しよう。(評価基準3)4 地形図を手立てとして仮説の検証方法を考え,発表しよう。(評価基準3)

地理的事象についての課題を設定し,その答えを予想し,解決方法を考えることができる。 地理的事象に対する疑問や気づきなどを多数挙げることができる。 地理的事象に対する疑問や気づきから,追究すべき課題をしぼることができる。 追究すべき課題に対する答えを予想し,その解決方法を考えることができる。まとめ振り返りシートを用いて,本時の内容を振り返り,設定した課題とその解決の方向性を再確認する。<手立て4><手立て4><手立て4><手立て4>【振り返り】【振り返り】【振り返り】【振り返り】評価規準 評価基準1 2 3

単元・題材  日本の自然災害と防災本時の目標  ハザードマップと地形図から学習課題を設定する。生徒の学習活動 教員の発問(指示)導入 呉市宮原地区の土砂災害ハザードマップを見て,既知の知識を出し合う。〇土砂災害→土石流,がけ崩れ,地滑り〇ハザードマップ→自然災害の危険場所を示した地図 〇これは呉市宮原地区の土砂災害ハザードマップです。〇土砂災害って何?○ハザードマップって何?教科  地理歴史科 科目  地理B 指導者  中村光則日時 11月 6日(月) 6限 学年 2年 5組 場所   地理歴史・公民科教室 4つの手立てのうち、どの手立てをどこでするのか、わかるように明示する。

(注)「内容」ではなく「資質・能力」です。

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公開授業(地理歴史科) 研究協議のまとめ 1 授業者(中村光則教諭)より ○ 昨年度との変更点 ・ 課題発見・解決学習-生徒に主題を設定させ,解決をする。 ・ 評価規準・基準を生徒に提示しておく。 ○ 課題 ・ 課題設定を自由にしたため,本時の課題・目標を立てるのに時間がかかった。 ・ 振り返りの時間配分 → 生徒の回答を見ていると,一人ひとりは考えていた。-全体のものにできればよかった。 ・ グループワークが形だけのものにならないようにしたい。 2 研究協議内容 司会者

思考力を深める授業を柱に,①発問・②考えるための材料・③コミュニケーションや思考を促す働きかけ・④振り返りの4つの視点で研修を深めていきたい。 まず,質問はないか。 松村

4分野のマトリックスを農業分野で使ったということだが,具体的にどのように使ったのか。 授業者

「農業人口率」と「1haあたりの生産性」の関係について考察させた。農業人口率が低くても1haあたりの生産性が高いとか,逆のケースもある,その背景を考察させた。 司会者 :

参加者の授業を参観しての感想・抱負を求める(このような点が参考になったとか,このようにすればもっとよいのではなど)。 大野 : ICTは効果的,自分も活用してみたい。学習課題を自分で設定するというは難しいが,ハザードマップと地形図に絞っているので,適切だった。「課題設定させる」という点では目標を達成していたと思う。 岡本 : 昨年の福山の災害…私の実家でのこと,数日間雨が降り,段々畑で水を含んだ土が崩れるのを見た。具体的にイメージできることが大切だと思う。ハザードマップの重要性を認識した。学習者中心,4つの視点を活用し,思考が深まったと思う。 伊藤 : もう少し画面を大きくすれば効果的だったのでは,後ろの生徒にも見えるようにすればもっと良かった。インパクトのある教材で,生徒の感性を覚醒させる必要。 生徒が課題をしっかり捉えるには基礎学力が必要。 授業者 : You tubeをつなぐ,ということも考えられるが,画像が粗いし,法的にも問題がある。 中村真 : 生徒に課題を設定させる,というのは斬新だ。教師が設定した発問よりも自ら設定した発問の方が自ら考える動機も強い。何が出てくるか分からないから教師の力量が問われるが,「危険地域の規準は?」というように括っておられた。「がけ崩れ・地すべり・土石流の違いは?」など生徒自身の中から問いが出てくるとよいと思う。 松村 : 眠れない授業だ。問いを出し合い,生徒自身が課題を設定する。誘導も必要だ。 参考にしたい。この4つのを行えばPDCAサイクルが回るのかわからないが,学習者起点という点では必要な視点だ。 授業参観者:校長・教頭・二川(国)・伊藤(地歴)・中村真(地歴)・中村光(地歴:授業者)・松村(公民)・清水仁(数)・大野(理科)・岡本(理科) 研究協議会参加者:伊藤(地歴)・中村真(地歴:司会者)・中村光(地歴:授業者)・松村(公民:記録者)・大野(理科)・岡本(理科)

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数学科「数学Ⅱ」学習指導案 指導者 大田 純也 1.日時・場所 平成 29年 11月6日(月)5限 2-5HR教室 2.学年・学級 2年生4,5組(理系発展クラス)

3.単元(教材)名 数学Ⅱ 指数関数と対数関数 「常用対数」

4.単元について ○教材観 指数関数・対数関数の考え方について理解させ,基本的な知識の習得と技術の習熟を図り,事象を数学的に考察し表現する能力を養うとともに,それらを活用する態度を育てる。 ○生徒観 理系の発展クラスの生徒なので基礎基本についてはある程度身についている。また,数学を理解しようとする姿勢の良い生徒が多く,公式の導き方や概念的な話でも集中して聞くことができる。 一方で,定期考査では基礎基本事項は得点できているが,発展的な問題は十分に得点できていない。 授業や家庭学習において,教科書レベルの標準問題を解く時間は多いが,発展的な問題に時間を掛けて取り組む機会が十分にないことが考えられる。 ○指導観 指数を正の整数から有理数まで拡張する必要性や対数の概念の必要性を理解させ,指数と対数の関係性を理解させる。 指数関数・対数関数の教科書の例題や練習問題が解けるだけでなく,学習事項を活用し発展的な問題に取り組む力を身につけさせる。そのために,基本的な知識や考え方を複数組み合わせて一つの問題を解決させる。 また,指数関数・対数関数を利用して,細菌の個数や確率などの変化の様子を考察する活動を通して,指数関数・対数関数の有用性を理解させる。

5.単元の目標 指数関数・対数関数の考え方について理解させ,基本的な知識の習得と技術の習熟を図り,事象を数学的に考察し表現する能力を養うとともに,それらを活用する態度を育てる。

6.単元の評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断・表現力 技能 知識・理解 指数関数・対数関数の性質や特徴を活用しようとする。

指数関数・対数関数を用いて事象を数学的に考察し表現することができる。

指数関数・対数関数の基本的な知識を用いて問題を解くことができる。

指数関数・対数関数の考え方について理解する。

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7.単元の計画(本時 15時間目/全 16時間) 時 学習内容 1~3 指数関数 ・指数を正の整数から有理数へ拡張する意義を理解する。 ・基本的な指数計算をすることができる 4~5 指数関数 ・指数関数とそのグラフの特徴について理解し,それらを利用して考察することができる。 6~7 指数関数 ・指数関数を含む方程式や不等式などを解くことができる。 8~9 対数関数 ・対数の意味とその基本的な性質について理解し,簡単な対数の計算ができる。

10~11 対数関数 ・対数関数とそのグラフの特徴について理解し,それらを利用して考察することができる。

12~13 対数関数 ・対数関数を含む方程式や不等式などを解くことができる。

14~16 対数関数 ・対数関数を活用させて対数関数の有用性を理解することができる。

8.本時の展開

(1) 本時の目標 対数を用いて一定以上の確率となるための条件を考えることができる。また,他分野の問題を解く際に対数を用いることで,対数の有用性を認識させる。

(2) 観点別評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断・表現力 技能 知識・理解 長い問題文を読み,式で表現しようとする。

与えられた条件を式で表現することができる。

対数を用いて問題を解くことができる。

(3) 準備物 教科書(数学Ⅱ)・ノート・筆記用具

(4) 学習の展開

学習内容 ●教員の行動 ○生徒の活動 ◎手立て

評価基準 導入 対数(常用対数)を利用して繁雑な計算を工夫することができることを復習する。

展開 ●問題の提示

1個のサイコロを n 回投げて,5以上の目が少なくとも1回以上出る確率を 0.9995以上にするための n の最小値を求めよ。ただし,log 2�� =0.3010,log 3�� =0.4771とする。

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○問題に取り組む。 ◎余事象の確率を用いる。 ◎不等式を満たす最小の n を求める方法を考えさせる。 ○近くの生徒と解法など確認する。 ●解説 ●対数を用いずに求める解法と比較して対数の有用性を認識させる。

●問題の提示

○問題に取り組む。 ◎前問題と同様に余事象の確率を用いる。 ◎1回装置のボタンを押したときに「はずれ」が表示される確率を pとおいて考える。 ○近くの生徒と解法など確認する。 ●解説 ●対数を用いずに解くことができないことを確認し,対数の有用性を理解させる。

・不等式を立式できる。 ・対数を用いて n を求めることができる。

・前問題を参考にして不等式を立式できる。 ・対数を用いて問題を解くことができる。 ・対数の有用性を理解できる。

まとめ ●本時でわかったことや理解したこと,疑問に感じたことをまとめさせる。 ○本時のまとめをする。

・本時で学習したことを自分の言葉で表現できる。

ボタンを押すと「当たり」か「はずれ」のいずれかが表示される装置がある。「当たり」の表示される確率は毎回同じであるとする。この装置のボタンを 20回押したとき,1回以上「当たり」の出る確率は 36%である。1回以上「当たり」の出る確率が 90%以上となるためには,この装置のボタンを最低何回押せばよいか。必要なら log 2�� =0.3010を用いてよい。

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公開授業(数学科) 研究協議のまとめ 教科 平成 29 年 11 月6日(月) 授業者 大田 純也 指導・助言者 授業場所 2 年 5 組 授業タイトル 「指数関数・対数関数」―思考力を高める工夫―

研修

(授

業)内

数学Ⅱ 指数関数と対数関数「常用対数」 対数関数を活用させて問題を解き,対数関数の有用性を理解させる。

授業

者の

自己

評価

指導計画 応用問題を2題出して,解き方を考えさせる。 指導内容(教材の工夫) 問題文から,既習の「確率」を用いて式を立てる。次に対数を用いて計算する。 4つの手立てについて 考えるためのヒントを小出しにする。生徒に話し合いをさせて思考を促す。 生徒の反応 難しいからと投げ出すことなく,懸命に考えたり,相談したりしていた。 時間が足りず,最終的に「わかった」という表情に至らなかったのが残念である。 分

科会

での

討議

内容

○問題は,既習事項も合わせた融合問題で,生徒の思考力を高めるために適していた。難易度が高いので,事前に既習事項を復習したり,前時に具体的な問題を解かせたりするという方法もある。授業中のヒントは出していたが,もう少し手立てがある方が,生徒からの意見も出やすかった。 ○板書に「常用対数」と書かずに,指数nを求めるための手計算をいくつかやってから,常用対数を使うことを思いつかせるという流れにすればよかった。また log102・log103の値を示す前に,確率を用いた式を出してから,それを解くために必要な数値を生徒に考えさせてもよい。 ○対数の有用性を認識させるという目標であれば,計算だけに対数を用いる問題よりも,事前に具体的な対数問題をしておいて,1時間使って一般事象に対数を用いるような応用問題をするのもよい。 ○グループワークでお互いの意見を出し合い,間違いを指摘し合うのはよかったが,中には席の関係で話し相手のいない生徒もいたので配慮が必要である。 ○解法を生徒に考えさせる時間を十分に取っていたので,最後の振り返りまでに至らなかったが,途中で時間配分を修正することも必要である。 ○他教科の振り返りの方法や活用の様子を出し合った。毎時間の振り返りシートでは,生徒が考える時間や,前時の学習を振り返り次回につなぐという点で活用している。この振り返りの取り組みについては,どのように検証していくのかを出してもらうと,各教科で実施しやすいのではないか。

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理科(地学基礎) 学習指導案 指導者:坂倉みかり

1 日 時 平成 30年 2月 16日(金)第 5校時 2 学年・学級 2年 1組(43名) 3 場 所 地学教室 4 単 元 名 太陽系と太陽(第一学習社 「地学基礎」) 5 単元について ○単元観 本単元は,学習指導要領「地学基礎」の(1)宇宙における地球 イ 惑星としての地球(ア)太陽系のなかの地球 を踏まえて設定したものである。 本単元では,宇宙に対する興味・関心を高めるとともに,太陽系の形成過程や惑星の特徴をデータと関連付けて理解し,考える力を身に付けさせる。 ○生徒観 生徒は,中学校において同じ分野を学習しており,太陽系や宇宙について学習してきている。しかし,太陽系・宇宙の空間スケールをイメージすることができる生徒は少ない。 本学級の生徒は,学習意欲の高い生徒が多く,興味を強く持つと積極的に授業に参加する。しかし,集中力が持続しない点があるため,興味を引き付けるなど,学習意欲を維持させるための工夫が必要である。また,既存の知識と学習内容をつなげて理解させることで,基礎基本の定着を図るとともに,探究心を高めていきたい。 ○指導観 指導にあたっては,太陽系の空間スケールを実感させ,太陽系と 8つの惑星の大きさをイメージできるようにさせたい。実際に計算させたり模型を提示することで,理解を深めるとともに太陽系や宇宙に対する関心を引き出したい。

6 単元の目標 地球が太陽系の一員として誕生し,生命を生み出す環境をもつ惑星となった過程や宇宙の概観を理解させる。 7 単元の計画(全 7時間) 時 主な学習活動

1

2

宇宙の中での太陽系の位置を理解し,太陽系の各天体の違いについて考察する。

3 地球型惑星・木星型惑星の違いと太陽系の形成過程を関連付けて理解する。

4

5

6

太陽の表面の現象と太陽のエネルギー源について理解する。

7 太陽系を縮小スケールで表し,地学的に探究する能力を高める。←本時 ※本時(数時間のまとまりでもよい。)は,「課題発見・解決学習」を取り上げる。

8 本時の目標 (1)宇宙空間のスケールを認識し,宇宙空間が空虚であることを見いだすことができる。(思考・判断・表現)

(2)天体間の距離を適切に計算することができる。(技能)

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9 学習の流れ(7時間目/全 7時間)

学習活動 (〇発問,●予想される生徒の反応) 指導上の留意事項(◇) ◆「努力を要する」状況と判断した生徒への指導の手立て 評価規準〔観点〕 (評価方法)

1. 前時までの復習をする。

2. 本時のねらいを示す。

1.太陽系の概観と構成要素を復習する。 ・太陽系=太陽+惑星+小惑星など

2.本時のねらいを知る。

3. 太陽半径の 10億分の1を計算させ,モデルを示す。

4.太陽と惑星について,10億分の1モデルを示す。

5. 発問 ○10億分の1の太陽を地学教室に置くと,惑星はどのあたりになるだろうか?

6.10億分の1の公転軌道半径を計算させる。

7.地図を配布し,公転軌道を記入させる。

3.太陽半径(7.0×105 km)の 10億分の1を計算する。課題1 7.0×105 km /109 =7.0×10-4 km

=70 cm

4.モデルを見て直径をワークシートに書き込む。 課題2

5.地球と海王星の公転軌道を予想する。課題3

(1)職員室(2)体育館(3)大和ミュージアム・・・

6.公転軌道半径の10億分の1を計算する。 ◆班ごとに分担して取り組む。 課題 4(1)

7.①太陽の位置(地学教室)をプロットする。 ②公転軌道の長さを縮尺を用いて計算する。 課題4(2) ③地図に記入する。課題 4(3) ④記入した公転軌道周辺の施設を探す。課題5

8.本時のまとめをさせる。 太陽系空間について気づいたこと。

8.本時の振り返りをする。(ワークシートに記入) ◆軌道半径と天体の大きさに注目する。

太陽系を 10億分の1スケールで表してみよう。

適切に計算し、縮小モデルで比較することができている。 〔技能〕 (ワークシート・観察) 太陽系空間が空虚であることを見いだしている。 〔思考・判断・表現〕

◇問いかけ

◇学んだことを表現する振り返り

◇コミュニケーションや思考を促す働きか◇考えるための材料の提

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公開授業(理科) 研究協議のまとめ 教科 平成 30年 2 月 16日(金) 授業者 坂倉みかり 指導 助言者 授業場所 地学教室 (2年 1組)

授業タイトル 太陽系の概観 研修 内容 太陽系を 10億分の1スケールで表す。 天体の大きさ・天体間の距離を 10億分の1にして地図に落とす。 授業者の自己評価 指導計画指導計画指導計画指導計画 (1)天体を 10億分の1にした大きさを知る。 (2)天体間の距離を地図に落とす。 指導内容指導内容指導内容指導内容((((教材の工夫教材の工夫教材の工夫教材の工夫)))) ・天体のモデルを用いる。 ・呉市の地図を用いて考えさせる。 4つの手立てについて4つの手立てについて4つの手立てについて4つの手立てについて 問いかけ:太陽系を 10億分の1スケールで表すと? コミュニケーションや思考を促す働きかけ:班ごとに計算させる。 考えるための材料の提供:地図,模型を示す。 学んだことを表現する振り返り:時間の都合により実施せず。 生徒の反応生徒の反応生徒の反応生徒の反応 比較的興味を持って活動していた。計算や作図の速さに差がある。

分科会での討議内容

【疑問点】 ・10億分の 1にして何がしたい? ➔教科書の図のイメージを払拭させ,太陽系の中の地球,地球の中の自分の存在を認識させたい。 ・空虚である太陽系を認識させて何がしたい? ➔教科書の図のイメージを払拭させ,太陽系の中の地球,地球の中の自分の存在を認識させたい。 【改善点】 ・何を答えさせるか明確にしてから発問を組み立てる。 ・疑問点を書かせる時間を取ること。 ・まとめで教科書の不自然さに気付かせる。 ・説明する時間を削って生徒の疑問を拾う。 ・生徒を引き付ける言葉の工夫をすること。 ・地学教室の広さを認識させるとよい。 ・作業➔思考力への移行の工夫がほしい。 ・惑星の大きさの不自然さ(天王星・海王星は小さい)に気付かせたい。 ・公転速度,質量への関連付けがほしい。 ・予想にもっと時間をかけること。 (1つ例を挙げてから考えさせる。) ・予想,計算の答え合わせ,手を挙げさせる。 【アクティブラーニングとは】 数学:生徒に考えさせること(話し合いではない) なるべく教えず,教科書を読み解かせる。 抽象↔具体の論理を伝えることがアクティブラーニング。 英語:知的好奇心が高まる➔自分で調べる。 体育:うまくいかない➔どうすればいい?➔基礎練習へ 認識を変えさせることで生徒が嫌がる基礎練習の取り組みが変わる。 社会:知識を組み合わせてから概念にする。

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保健体育科「体育」学習指導案 指導者:見越 勇太 1 実 施 日 時 : 平成 29年 11 月6日 4校時 2 学 年 ・ 学 級 : 1年生1・2組 3 実 施 場 所 : 本校グラウンド 4 単元 (教材 )名 : 球技(ゴール型:サッカー) 5 単元(教材)について

○単元(教材)観 ゴール型は,ドリブルやパスなどのボール操作で相手コートに侵入し,シュートやトライなどをして,一定時間内に相手チームより多くの得点を競い合うゲームである。 ○生徒観 このクラスは運動を楽しみながら実践することができるが,球技に対して苦手意識を持つ生徒が多い。サッカーにおいても,適切なボールコントロールが身に付いていない生徒が多くいる。 ○指導観 ドリブルやパスなどのボール操作が十分身に付いていないため,ボール操作を習得させつつ,ゲームを重ね,ボールを持たないときの動きを身に付け,ゲームで活かせるようにしたい。 6 単元(教材)の目標 ○ サッカーの楽しさや喜びを味わえるよう練習やゲームに積極的に取り組むとともに,勝敗に対し公正な態度がとれるようにする。また,安全に留意しようとする。(関心・意欲・態度) ○ 自分やグループの能力に応じた課題を設定し,その解決をめざし練習やゲームの仕方を工夫できるようにする。(思考・判断) ○ ボール操作,ボールを持たないときの動きを身に付け,ゲームで活かすことができる。(技能) ○ サッカーの特性や効果的な練習の仕方,ルール,審判法,ゲームの運営の仕方について理解している。(知識・理解)

7 単元の評価規準 関心・意欲・態度 思考・判断 運動の技能 知識・理解 ①サッカーの楽しさや喜びを味わえるよう練習やゲームに積極的に取り組んでいる。 ②健康・安全に留意して練習やゲームをしている。

③練習やゲームから生じる自分やグループの新たな課題を明らかにし,その解決を図ろうとしている。

④正確なボール操作ができる。 ⑤相手チームに対応した作戦を立ててゲームができる。

⑥サッカーの特性やルールついて理解している。

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8 指導と評価の計画 区分 1次(1時間) 2次(2時間) 3次(2時間) 4次(5時間) 学習内容

次 学習内容 評 価 関 考 技 知 評価規準 1次(1時間)

オリエンテーション ・学習のねらいと方法を理解する。 ・学習の進め方を知り,見通しを立てる。 ・個人的技能や集団的技能の内容を理解する。 ◎ ○ ①サッカーの楽しさや喜びを味わえるよう練習やゲームに積極的に取り組んでいる。 ⑥サッカーの特性やルールについて理解している。 2次(2時間) ボール操作(個人的技能)(本時1/2時間)(本時1/2時間)(本時1/2時間)(本時1/2時間) ・パス練習 ○インサイドキック ○インステップキック ・ワンバウンドリフティング ・パスをもらう原則を理解する。

◎ ○ ○ ③練習やゲームから生じる自分やグループの新たな課題を明らかにし,その解決を図ろうとしている。 ④正確なボール操作ができる。 ⑥サッカーの特性やルールについて理解している。 3次(2時間)

ボールを持たないときの動き(集団的技能) ・ゾーンサッカー ・鳥かご ・5対5の簡易ゲーム ○ ○ ③練習やゲームから生じる自分やグループの新たな課題を明らかにし,その解決を図ろうとしている。 ⑤相手チームに対応した作戦を立ててゲームができる。 4次(5時間) チーム練習 ・ポジション・作戦を考える。 ・チーム内で必要な練習を行う ゲーム まとめ ・授業の最後に振り返りシートを提出し,授業全体を振り返る。

○ ◎ ○ ②健康・安全に留意して練習やゲームをしている。 ⑤相手チームに対応した作戦を立ててゲームができる。 ⑥サッカーの特性やルールについて理解している。

体つくり運動(体ほぐしの運動,体力を高める運動) 授業の進め方 個人的技能の確認

ボール操作 パスをもらう原則を知る

ボールを持たないときの動き ・簡易ゲーム

グループ学習(ゲームを中心に)

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9 本時の展開(2時間目) (1)本時の目標 ・正確なボール操作ができる。 ・パスをもらう原則を理解することができる。 (2)観点別評価規準 運動の技能 知識・理解 ④正確なボール操作ができる。

⑥サッカーの特性やルールついて理解している。 (3)準備物 サッカーボール×23 作戦シート×8 (4)学習の展開 過程 学習活動 指導上の留意点 評価規準(方法) 導 入(10分)

○挨拶・出欠確認 ○ランニング ○体つくり運動 ・体操・二人組みの柔軟運動 ・補強運動 3種×20回 ○本時の目標の確認 「パスをもらう原則を理解することができる。」

・運動前のウォームアップを習慣付ける。 ・使っている筋肉や関節を意識させる。 ・意欲的に取り組めるように声をかける。

②健康・安全に留意して練習やゲームをしている。 (行動観察)

展 開(35分)

○パス練習 (インサイドキック,インステップキック) ○ワンバウンドリフティング ○チームで鳥かご

○「パスをもらう原則」について ○作戦タイム ・作戦シート記入(②教材) ○鳥かご対決(③協働) (2分×2)×3試合 ○チームで振り返り(④振り返り)

・キックのポイントをしっかり確認する。 ・ボールの中心を捉えるよう意識させる。 ・5~6人のチームを8チーム作らせる。 ・発問「どうしたらパスがもらえるだろうか?」(①問い) ・パスをもらうためにはディフェンスに対して「前に出る」「ズレる」ことが必要だと伝える。 ・6人チームは出席番号が若い者から順に 1 人抜けて人数を揃えさせる。

④正確なボール操作ができる。 (行動観察) ⑥サッカーの特性やルールについて理解している。 (行動観察)

ま と

め(5分)

○整理体操 ○まとめ

・運動後に整理体操を行う習慣をつけさせる。 ・生徒に授業の振り返りをさせ,発表させる。

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鳥かご対戦シート鳥かご対戦シート鳥かご対戦シート鳥かご対戦シート

チーム( )

メンバー ( )( )( ) ( )( )( )

作戦

対戦成績

1試合目

チーム( )

( )対( )

2試合目

チーム( )

( )対( )

3試合目

チーム( )

( )対( )

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公開授業(保健体育科) 研究協議のまとめ 教科 平成 29年 11 月 6日(月) 授業者 見越勇太 指導 助言者 授業場所 1年 1・2組 授業タイトル 「球技 サッカー」 ―チーム内で自分の役割を考える― 研修(授業)内容

体育 「球技 サッカー」 パスをもらう原則を理解させる。

授業者の自己評価 指導計画 体育 「球技」 指導内容(教材の工夫) 鳥かご対決を取り入れることでゲーム性をもたせた。 4つの手立てについて 手立て4について,時間が足りず,十分に振り返りの時間をとることができなかった。 生徒の反応 「どうしたらパスがもらえるだろうか」という問いに対して生徒が考える姿が見られた。

分科会での討議内容

○思考を促す工夫について ・動いた後に考えさせたので,主体的に考える姿が見られた。 ・ホワイトボードやマグネット,作戦シートといった小道具を用いることでより考えやすくなっていた。 ・小グループで考えさせることにより小さい意見が反映しやすかった。 ・鳥かごでは,4対1ではなくマークを増やして4対3でパスをできない状況を作ってから「どうすればパスがもらえるか」を考えさせてもよい。 ○振り返りについて ・今回は,活動量の確保のため振り返りの時間を十分にとることができなかったが,単元の全体で活動時間を確保できていれば良い。今回は本時のねらいに応じて,活動の時間より振り返りに重点を置けばよかったのではないか。 ○体育の思考力とは ・「どのようにパスをもらうか」は思考力だが,「前に出る・ずれる」と伝えてしまうと知識になってしまう。 ・体育では実際に動いてからでないと思考できない。 ・技術をつけるためにどうするかを考えるのも思考力である。

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外国語科(英語)「コミュニケーション英語Ⅱ」学習指導案 指導者 野宮三鈴 1 実 施 日 時 : 平成29年11月6日 1校時 2 学年・学級 : 2年 1・2組(30人) 3 実 施 場 所 : 選択4教室 4 単元(教材)名 : PROMINENCE Communication English Ⅱ Lesson5 Wonders Will Never Cease: Can the Loggerhead Survive? 5 単元(教材)について (1) 単元観 地球上に生きる様々な生物。その全てに人間にはない不思議な力が備わっている。この レッスンでは,絶滅危惧種の一種とされるアカウミガメを取り上げ,科学者たちが長い間関心を抱いてきた彼らの並外れた能力,今だ解明されていない神秘的な航海能力について学ぶ。さらに,彼らの生活に人間活動が直接的に影響を及ぼす現実を読み取る。人間ははたして他の生物より優れていると言えるのか。絶滅の危機に直面している生き物たちとどう向き合って行くべきなのか,身近な例にも思いをはせながら考えていきたい。 (2)生徒観 習熟度別の発展クラス30名の生徒である。ある程度自力で英文読解をすることはできるが,英語を日本語に訳すことで英語学習を完結してしまう生徒がほとんどである。高い英語力を有する生徒も2~3名いるが,自分の意見を表現すること,特に自分独自の想像力を使って描写することなどがとても苦手である。ペア活動であれば,互いに協力して取り組む姿勢はあるので,まずはリラックスして簡単なことを書いたり,話したりする機会をペアで多く設定し,楽しみながら自己表現・意見交換することに慣れさせたい。 (3)指導観 指導に当たっては,次の点を工夫する。 ① 全4パートを通じて,読解前に内容理解のポイントとなるQ&Aを行う。また,読解後それぞれのパートよりキーワードを捉え(リスニングによる),それをもとに要旨をまとめさせる。 ② 教科書に掲載された写真やイラストを使い,ペアやグループでレッスン内容を簡単な英語で説明する。 ③ レッスン内容に関わって,自分の身近にある例や知識を使い,簡単な英語での意見交換をする。 6 CAN-DOリストの形式による学習到達目標との関わり 本校CAN-DOリストの書くこと・話すことに関わる以下の項目に基づいて設定している。 ○「そして」「しかし」「なぜなら」などの簡単な接続詞でつなげた平易な表現や文を書くことができる。 ○身近な話題について,リハーサルをして,短い基本的なプレゼンテーション(または会話)ができる。 7 単元の目標 ○地球上に共に暮らす野生生物に関心を持ち,人間に起因する彼らの苦難に目を向けるきっかけとする。 ○レッスン内容のポイントをキーワードを用いて簡単に要約し,ペア・グループでより良いものにできる。 ○レッスン内容について根拠とともに自分の意見をまとめ,後に簡単な英語で他者と意見交換ができる。 8 観点別学習状況の評価規準 ア コミュニケーションへの関心・意欲・態度 イ 外国語表現の能力 ウ 外国語理解の能力 エ 言語や文化についての知識・理解 学んだことを他者にわかりやすく伝えたり,学んだことから考えたことを他者と共有することなどが積極的にできる。 聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことなどに基づき,情報や考えなどについて,根拠とともに書けたり,意見交換ができる。

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9 指導と評価の計画(全 11時間) 次 学習活動(時数) 評価 関 表 理 知 評価規準 評価方法 1 本課のトピックに関するQ&A(ペア活動) Part1の語句確認・読解 リスニングによる本文内容Q&A (☆メスのアカウミガメが卵を産む場所は?) ○ ○ ア)学んだことから考えたことを他者と共有することなどが積極的にできる。 観察 2 前時内容をリスニングで振り返り日・英で表現 Part1の読解 チャンクシートによるペアリーディング ○ ○ イ)聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことなどに基づき,情報や考えなどを表現・共有できる。 観察 3 リスニングでキーワードを掴みPart1英語要約(ペア) Part2の語句確認・読解 リスニングによる本文内容Q&A (☆夏の夜の海岸で人間が注意すべきこととは?) ○ イ)同上 観察 4 前時内容をリスニングで振り返り日・英で表現 Part2の読解 チャンクシートによるペアリーディング ○ ○ イ)同上 観察 5 リスニングでキーワードを掴みPart2英語要約(ペア) Part3の語句確認・読解 リスニングによる本文内容Q&A (☆遠く深い海で赤ちゃんウミガメが発揮する力とは?) ○ イ)同上 互 い の要 約 を相 互 評価 6 本時 Part3の読解の続き(チャンクシートによる) Q&Aによる前回までの振り返り イラストを使ったPart1~Part3の再話(グループ協働) ★It is not easy for loggerheads to survive now. What are the reasons why they have a hard time in living? ★人間と動物との関わりを考えてくる。(記事配布)

〇 ○ ○ ア)イ)同上 観察 7 Part4の語句確認・読解 リスニングによる本文内容Q&A (☆どうやってメスのアカウミガメは故郷にもどるのか?) Part4の読解 チャンクシートによるペアリーディング ○ ○ イ)同上 観察 8 キーワードを使ったPart4の内容要約(ペア) Part5の語句確認・読解 リスニングによる本文内容Q&A (☆アカウミガメの環境に影響する人間活動とは?) 〇 〇 9 前時内容をリスニングで振り返り日・英で表現 Part5の読解 チャンクシートによるペアリーディング キーワードを使ったPart5の内容要約(ペア) 〇 〇 10 11 【単元終了時のパフォーマンス課題活動】 野生生物に関連する英文記事を読み,グループでの協働活動により要約し,記事に対する意見をまとめる。

○ ○ ア)学んだことを他者にわかりやすく伝えたり,学んだことから考えたことを他者と共有することなどが積極的にできる。 イ)聞いたり読んだりしたこと,学んだことや経験したことなどに基づき,情報や考えなどを表現・共有できる。 パ フ ォー マ ンス テ スト

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10 本時の展開 (1) 本時の目標 単元の中間地点で,これまでの既習事項を利用して,協働して英語での簡単な内容の振り返りや意見交換をする。 (2) 本時の評価規準 キーワードを捉え,なるべく自分なりの英語で学んだ内容をアウトプットできる。 (3) 準備物 タイマー・ワークシート・イラスト(写真) (4) 本時の学習の展開 学習活動 指導上の留意事項など 1 単語テスト(5分) 2 本時の目標(3分) 生物の驚くべき能力についてのエピソード。 Have you seen any amazing abilities of animals? アカウミガメの Amazing abilities について読んできました。 本日の目標は以下: ●学んだ内容を自分なりの言葉(英語)で説明できる。 ●内容に関係する体験などを使って意見交換できる。 3 Part3読解(前時の続き)(12分)

チャンクシートによる個人・ペアでの刷り込み活動。 日本語(教員)→英語(教員・生徒)6分 日本語(生徒)→英語(生徒) 3分 日本語(教員)→英語(CD+生徒) 3分 4 Q&Aでこれまでの振返り(10分)

Q1 Ohama Beach in Minami-cho, Tokushima Pref. is famous for what?

Q2 How can female loggerheads come back to the same beach where they

were born? →They have amazing (n )(a )

Q3 A couple of months later, baby loggerheads break out of the nests.

It is really dark outside but they have to reach the water.

How do they know where the sea is?

Q4 There are problems for the baby loggerheads to get to the sea.

Sometimes they can’t get to the sea and die. Why?

Q5 Once in the water, how do they know the direction?

Q6 In the deep sea, they can not use waves to know the direction.

How do they know the direction? What do they use?

Q7 They spend a lot of time underwater. But they are very weak in the cold water.

What water temperature makes them unable to move?

Q8 So, to avoid very cold water, they use something. What is it?

5 Part1~Part3の再話(15分)

イラストを使った協働活動で内容を再現する。 (※イラストの中には学習してない場面も含む。) ① 3~4人グループになる ② 各グループに5枚ずつイラストを配布(1枚はアドリブを使うイラスト) ③ 順番を決めて,1人 1枚ずつイラストの説明をする(なるべく自分の言葉で) ④ メンバーが説明に困ったら,仲間がキーワードなど出してサポート ⑤ 5枚のイラスト説明が終わったら,じゃんけんで一人決めて5枚全て説明する ⑥ メンバーは拍手し,口頭で評価(★ルーブリック参考) ⑦ 時間の限り,グループ全員がチャレンジする。(そのつど拍手と口頭の評価)

6 振返り活動(自分の知識や体験に関連付ける)(5分)

★It is not easy for loggerheads to survive now.It is not easy for loggerheads to survive now.It is not easy for loggerheads to survive now.It is not easy for loggerheads to survive now. Think aboutThink aboutThink aboutThink about the reasons why they have a hard time in living?the reasons why they have a hard time in living?the reasons why they have a hard time in living?the reasons why they have a hard time in living? First, think about as many reasons as possible.

Then share your ideas with your group members.

If you can’t have any idea in your group, please check in your text book to page 84. 人間と動物との関わりについて考えてくる。(記事配布)

(4) 本時の評価規準(イラストによる Part1~Part3 の再話についてのルーブリック) 考え・基礎知識 (Ideas) つながり (Connections) 応用・ひろがり (Extensions) 【外国語表現の能力】 聞いたり読んだりしたこ キーワードを使い,イラストの内容を相手に伝えるこ キーワードを使い,なるべく自分なりの英語を用いて キーワードを使い,自分なりの英語で,わかりやすく

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と,学んだことや経験したことなどに基づき,情報や考えなどについて,話し合ったり意見の交換をしたりすることができる。 とができた。 わかりやすくイラストの内容を相手に伝えることができた。 イラストの内容を相手に伝え,初めて見るイラストについても,自分なりの想像力で意欲的に説明できた。

本日のふりかえり Class( )No.( )Name( ) 1.今日の活動で感じたことなど。

2.今日の活動で苦労したことなど。

3. It is not easy for loggerheads to survive now. Think about the reasons why they have a hard time in living?(あなたの考えをどうぞ)

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公開授業(外国語科(英語)) 研究協議のまとめ 日 時 平成29年11月6日(月) 授業者 野宮三鈴 指導・助言者 授業場所 2年 1.2組 授業タイトル Lesson5 Wonders will never cease

テーマに関する簡単な意見交換 授業内容 ○単元の中間地点において,既習事項を利用し,協働して英語での簡単な内容説明や意見交換をする。 ○なるべく教科書などを見ず,自分なりの表現を使って再話することにチャレンジする。 授業者の自己評価

指導計画 1) 英語による Q&Aで,アカウミガメの驚くべき能力について振り返らせる。 2) 既習事項をイラストにしたカードを利用し,協働して英語での説明をさせる。 指導内容(教材の工夫) ○簡単なルーブリックを提示し,自分なりの英語表現を工夫することにトライさせる。 ○説明用のイラストには,未習内容を表すイラストも加え,体験・知識を利用させる。 4つの手立てについて 自分なりの英語で説明することを目指すが,その前段階にチャンクシート音読や,英問英答での内容振り返りの時間をとり,スムーズな表現活動へと繋げる。 生徒の反応 イラスト説明での内容振り返りは,日常的にしている活動ではない。しかし,3人グループで助け合いながら,何とかイラストの説明に挑戦していた。教科書をのぞき見る生徒もいたが,参考にする程度であった。振り返りシートでは,今後こうした活動が上手くできるようになりたいという生徒の意欲が見られた。ルーブリックを生徒に提示したことが,かなり活動の深まりに影響したと思われる。 分科会での討議内容

質疑応答 Q.「思考力」とはこの取組では何がそれにあたるのか? →イラストを見ながら既習事項を思い出し,適切なキーワードを選びながら自分なりの英語で表現する点が思考力にあたる。 Q. 今まで授業で行ってきた要約活動とはどのようなものか? →パートが終わる毎にチャンクシートでペア音読し,内容が定着した後にリスニングによりキーワードをつかませ,それを利用して英語で要約する。 Q. 生徒はキーワードを使って説明できていましたか? →未習事項のイラストについても,かなり以前に学んだ”endangered species”などを使えていた。 Q. ペアワークは人間関係や,英語力の違いなどあり,難しさがあるが,どうしたか? →3人グループは席が近い所で教員がメンバーを決めた。その際,できる範囲で人間関係や積極性のバランスも考慮した。1グループ男子 1人女子 2人の所が活動が停滞していた。 意見など ○ほぼ英語で授業を展開できていた。 ○先生の説明が少々多かったかもしれない。もう少し,生徒にまかせる時間を多くしてもよかった。 ○単なる英語→日本語,またはその逆の通訳とは違い,自分の意見を表現する段階に進んでいた。 ○ある生徒が「沖」というのは何というのだろう?とつぶやいていたが,そこを主体的に調べて自分の 力にすれば良い。「この表現はどう言うのだろう?」という疑問をちゃんと調べ,自分の表現リストに 加えていくようなことを日常的な取組にしたい。 ○辞書には必ずマーカーを付け,自分の軌跡を残させたい。日本語から英語にするには電子辞書にはか なわない。英作活動には基本語句のリストを渡すなど,英和辞書から表現を見つけやすくする工夫も したい。

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芸術科(美術Ⅰ)学習指導案 指導者:大澤良幸 1 単元名 デザイン~社会の中のデザイン コーポレーションマーク~ 2 単元の目標 社会の中の「目的を持ったデザイン」について知り,考察する。

3 単元の計画(全時間) 時 主な学習活動 1 トレードマーク(とりわけ企業マーク)の特質・特性について,サンプルを見ることを通じて考察・理解する。 2 トレードマーク(とりわけ企業マーク)の特質・特性を,理解しながらデザインする。 →本時 4 本時の目標 トレードマーク(とりわけ企業マーク)の特質・特性を,理解しながらデザインし,自らデザインしたものの意味や特徴を論拠を持って述べることができる。

5 学習の流れ(2時間目/全2時間) 学習活動 (〇発問,●予想される生徒の反応) 指導上の留意事項(◇) ◆「努力を要する」状況と判断した生徒への指導の手立て 評価規準〔観点〕 (評価方法) 1.導入 前時の振り返り 2.課題提示 「自分が起業家」となった場合を想像してみる。 3.展開 ①「自分の会社のマークを考えてみよう」ラフスケッチ (20分間)<ワークシート2> ②自分がどのような考えでそのマークをデザインしたか作文する。 (10分間) <ワークシート3> ③グループ内で対話式鑑賞。(10分間) 4.まとめ マークのデザインでもっとも重要なこととは何かまとめる

前時に見た企業マークのサンプル(多数)を振り返り,その特徴や特性を考察する。(ワークシート) ◇目的意識を明確に持たせるようにする。 情報 ◇「企業の業種」「企業の考え方・理念」「デザインの基となるもの」をあらかじめ考察させるワークシート ◇使用してよい画材を明確にする ◇ラフスケッチ(簡易なデザイン)でよい 鉛筆を用いて「あなたの企業」のマークをデザインしてみましょう(定規,コンパス,色鉛筆を使用しても良い) 自らデザインした企業マークの意味について 200字以内で作文することにより,考察を深める。

○「企業のマーク」「トレードマーク」果たすべき役割とは何かデザインの「基となるもの」とは何か理解している。

デザインのコンセプトについて的確に考察し,作文することができる。 グループ内で感想や考察したことを述べ合うことが出来る。

6 評価 評価規準 評価基準 1 2 3 「(架空の)企業マーク」をデザインする ★振り返りの方法 ()振り返りシート ()ノートに記入 (○○○○)口頭で行う ( )その他〔 企業マークの意味を理解し,時間内にマークデザインのアイディアを出すことが出来る。

デザインのコンセプトについて的確に考察し,作文することができる。

グループ内で感想や考察したことを述べ合うことが出来る。

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公開授業(芸術科) 研究協議のまとめ 教 科 平成 30年 2 月 16日(金) 授業者 大澤 良幸 教諭 指導・助言者 授業場所 1年 1.2組 授業タイトル トレードマーク(とりわけ企業マーク)の特性を,理解しながらデザインする 授業内容 ○ 企業マークのモチーフから,その役割を考察する。 ○ 考察したことを基に,自分の会社(仮想)の企業マークを創作し,その意図を表現する。

授業者の自己評価

指導計画 ○ 前時に見た企業マークのサンプル(多数)を振り返り,その特徴や特性を考察させる。 ○「自分が社長だったら」という仮定で,自分の会社の業務内容と,それに対応する企業マークを想定しデザインする。 指導内容(教材の工夫) ○ 作品づくりに時間をかけると,鑑賞の時間が削られてくる。本時は鑑賞の時間として設定したが,鑑賞は知識の注入では全く面白くないものとなる。そこで,身近な企業のマークをテーマにした考察の授業を組んだ。 ○ さまざまなコンセプトの企業マークのサンプル(多数)を提示し,その基となるもの(モチーフ)を指摘させ,その意図を考察させる。 ○ 自分の会社を想定し,その企業マークを創作する際,「企業の業務内容」・「デザイン」・「考え方」のワークシートを文章とデザインの描出の両方の表現を対応して引き出せるよう工夫する。 ○ 仮想の企業が想定できない生徒は,自動車メーカーを想定するように指示する。 生徒の反応 特に後半の作業は時間が短かった(20 分間)であったにも拘わらず,個人差はあるものの,オリジナルのものを創出していた。 分科会での討議内容

検討会出席者の感想 ○ 短時間で創造する生徒はとても柔軟であると思った。お互いに作品を見せ合う時間があっても良かったと思う(もう1時間設定されていたら,それは可能であろう)。 ○ 考察や創造を引き出すのには雰囲気づくりが大切である。 ○ デザインによる表現が先か,言葉による表現が先か,生徒の思考回路は実際どうなのだろうか。生徒によって違いがあると思う。例えば,体育では身体表現が,音楽で作曲や演奏表現が先で,理論は後付けになる,ということがあってもよい。芸術表現・身体表現は言葉で説明できないものもあるだろうが,言葉で説明できれば,論理的思考力の深まりにもつながる。例えば,体育の創作ダンスにも,このことは当てはまる。何もないところから創作する場合,理論が後付けになっても構わないと思う。 ○ 仮想の企業が想定できない生徒は,自動車メーカーを想定してみよう,というように,デザインを創出する以前にアイデアが出てこない生徒をフォローする材料が用意されているところに細かい配慮を感じた。 ○ 生徒の思考・デザインを評価し,モチベーションを高めていく言葉かけ,具体的に,生徒が本当に 頑張ったところを褒める,という点がとても参考になった。 ○ マークは○型,という固定観念を見抜き,「マークは○とは限らない」と生徒の思考をほぐす声掛け が参考になった。 授業者より 本日の授業は,ラフスケッチで,本来はこれから考察したことを基にデザインを創作していく,ということになる(考察=理論があって,そこから本格的に創作ということをイメージした)。そして,完成した作品を生徒がお互いに評価し合う(実際,自分の作品を並べられることを嫌がる生徒もいるが)ことができれば理想であると考える。

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3 成果と課題 ⑴ 成果 ア 振り返りについて (ア) 振り返りの方法について,各教科・科目の特性を考慮して検討し,各授業で試行した。 (イ) 振り返りのアウトプットとして,全教科共通の振り返りシート,教科独自の振り返りシート,ノートや授業プリントの欄外へのメモ,授業内での口頭による振り返りの共有など,目的達成に向けた多様な取組で試行することができた。 (ウ) 各教科で様々な振り返りの方法をとりながら,「授業内容や生徒が感じたことが整理できた。」「理解できていない部分を生徒自身が把握した。」「知識と知識のつながりや新たな疑問に気づくことで次の学習への意欲につながった。」といった主体的な学習者への成長がみられた。 イ 思考力の高まりについて(教員アンケートから) (ア) 授業改善として思考力を高める工夫を実施した結果,本校の約7割の教員が生徒の思考力が高まったことに肯定的な手応えを感じている。 a 思考力を高める4つの手立てへの評価(有効であったと思われる手立てを1つ以上選ぶ) ○次の結果のように実際に実践してみて,どの手立ても有効であり重要であったと考えられる。 ・発問の工夫(発問の構造化)・・・・・・・・・・・・19名 ・考えるための材料の提供(教材)・・・・・・・・・・11名 ・コミュニケーションや思考を促す働きかけ(対話)・・13名 ・学んだことを表現する振り返り・・・・・・・・・・ 14名 全 37名複数回答

b 思考力が高まったと感じられた実際の場面や生徒の姿 ○各教科において思考力が高まったと考えられる様々な場面がみられた。 ・「あっそうか」というアハ体験があり,「そういうことか」という言葉があったとき。 ・「本時の学習事項を用いて解ける問いを作って,クラスメイトに解いてもらう」という活動を通し,教師側が予測していたものより高度な問いを作成しており,その問いに対する解説も正確なものであった。 ・生徒たちとのやりとりの中で,大切なことやポイントを発見してくれたとき。 ・分からないことを質問する際に,なぜ分からないのかを明らかにしてから質問に来るようになった。 ・生徒が「あっ」と声を出したとき。(かなりの確率で正答する) ・なかなか対教師では見られないときが多いが,ペアワークで振り返りをしたり,テストし合ったりするときに,さまざまな分からないところを考える機会になっていた。 ・美術にとってのアウトプットは作品そのもの。よい作品,工夫が見られる作品を見られた。 ・振り返りの感想欄に,他教科や実生活との関連を見いだしたようなコメントがあった。 ・自分の考えを理由も含めてメモをとるようになった。

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c 本校教員が考える生徒の思考力が高まった姿 ○各教員がイメージする生徒の思考力が高まっている姿を出し合った。

・自分で図を画いたり,積極的に板書以外のことをノートに書き始めたりする。 ・以前より,思考時間が伸び,書くことが増える。 ・じっくり考えて,オリジナルの考えを出す。 ・応用的な問題が自力で解ける。 ・文系でいうと,社会で習った内容が英文で出てきたり,いろいろな学習がつながったりする。 ・発問に対して,本文の表現を根拠に自分なりの言葉に言い換えて説明できたり,因果関係や対比の構造を理解できたりしている。 ・他の人との考えの違いを,思考の手順からも考えられるようになる。 ・何で違ったんだろう,何で合っていたのだろうと思考の道筋を振り返る。

⑵ 課題 ア 「振り返り」については,各教科・科目ごとに効果的な方法を試行するところまでは行ったが,その効果についての分析までは,まだ十分できていない。 イ 「思考力の高まり」についても,各教師の取組の中で生徒の思考力が高まったと感じられた具体的な場面の収集に止まっており,思考力が高まった姿の分析までには至っていない。

⑶ 改善策 ア 「振り返り」の試行の具体的な事例の分析から,主体的な学習者の育成により有効的な「振り返り」の方法のモデルを導き出し,各教科でさらに検証していく。 イ 思考力が高まった生徒の姿の具体事例及び生徒アンケートの結果から,目指すべき生徒像を明らかにする。 ウ 本校で「思考力を問う問題」として定期考査で実施している「活用問題」の内容について再検討し,授業で育成した思考力を活用する問題になっているかを検証する。