平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … ·...

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平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業) 【報 告 書】 Matsue オープンデータコンソーシアム】 株式会社テクノプロジェクト(幹事会社) 株式会社ネットワーク応用通信研究所 株式会社富士通総研

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Page 1: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

平成 26 年度電子経済産業省構築事業

(オープンデータを活用したビジネスモデルの

構築に向けた実証事業)

【報 告 書】

【Matsue オープンデータコンソーシアム】

株式会社テクノプロジェクト(幹事会社)

株式会社ネットワーク応用通信研究所

株式会社富士通総研

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Page 3: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

目 次

第 1 章 はじめに _______________________________________________________________________ 1

1-1. 背景と目的 _______________________________________________________________________ 1

1-2. 実施体制 _________________________________________________________________________ 3

(1) Matsue オープンデータバンク検討委員会 ___________________________________________ 3

(2) Matsue オープンデータバンクワーキンググループ ___________________________________ 4

第 2 章 Matsue オープンデータバンクアイデアコンテストによるアプリケーションの開発 ________ 5

2-1. アイデアコンテストの実施概要 _____________________________________________________ 5

(1) 目的 ____________________________________________________________________________ 5

(2) 募集概要 ________________________________________________________________________ 5

2-2. 優れたアプリケーションの選定 _____________________________________________________ 7

(1) 評価方法 ________________________________________________________________________ 7

(2) 応募のあったアプリケーション _____________________________________________________ 8

(3) 選定されたアプリケーションと評価のポイント _______________________________________ 9

第 3 章 アプリケーション(Eventer(いべんたー))の開発と試行・評価 _____________________ 11

3-1. Eventer(いべんたー)の開発 _____________________________________________________ 11

(1) 機能 ___________________________________________________________________________ 11

(2) ビジネスモデルのパターン________________________________________________________ 14

3-2. Eventer(いべんたー)の試行・評価 ________________________________________________ 18

(1) 試行 ___________________________________________________________________________ 18

(2) 評価 ___________________________________________________________________________ 18

第 4 章 Matsue オープンデータバンクの概要とビジネス化の方向性 __________________________ 21

4-1. 概要 ____________________________________________________________________________ 21

(1) 格納しているオープンデータ ______________________________________________________ 21

(2) サイトの構成 ___________________________________________________________________ 23

(3) 今後の方向性 ___________________________________________________________________ 25

4-2. ビジネス化の考え ________________________________________________________________ 27

(1) ビジネスモデルのパターン________________________________________________________ 27

(2) ビジネス化の方向性 _____________________________________________________________ 29

4-3. 今後の方向性 ____________________________________________________________________ 30

Page 4: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

参考資料 Matsue オープンデータバンク検討委員会の議事録 ________________________________ 31

参-1. 第 1 回の議事録 _________________________________________________________________ 31

参-2. 第 2 回の議事録 _________________________________________________________________ 37

参-3. 第 3 回の議事録 _________________________________________________________________ 46

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第 1 章 はじめに

1-1. 背景と目的

これまで「新たな情報通信技術戦略(2010 年 5 月 11 日高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部

(「IT 戦略本部」)決定)」および「電子行政推進に関する基本方針(2011 年 8 月 3 日 IT 戦略本部決定)」

の趣旨に則り、電子行政に関するタスクフォースを中心に、日本におけるオープンガバメントの推進に

ついて議論が行われてきた。また、2012 年 7 月 4 日には、公共データの活用促進のための基本戦略と

して、「電子行政オープンデータ戦略」が IT 戦略本部において決定されるとともに、2013 年 6 月 14 日

に閣議決定された「世界最先端 IT 国家創造宣言」においても公共データの活用の促進が明記されてお

り、政府一丸となって公共データの活用のための環境整備を推進しているところである。

これらの状況を受けて、経済産業省では、2013 年 1 月に保有するデータをカタログ化した特設サイ

ト「Open DATA METI」(β版)を公開、2014 年 2 月に「オープンガバメントアイディアボックス 2014」

を実施するなど、オープンガバメントおよびオープンデータの活用に積極的に取り組んでいる。

全国的にもオープンデータの活用の動きは広がりつつあり、自治体等行政機関(「自治体」)において

もオープンデータカタログサイトの立ち上げや、各種イベントの開催などオープンデータの活用に関す

る取組が進んでいるところである。一方、オープンデータを活用することによる、自治体の地域課題や

地域 IT ベンダーの振興等の効果はいまだ顕著には現れていない。

以上の背景のもと、本事業では、島根県松江市在住のエンジニアが開発した、世界的に有名なオープ

ンソースのプログラミング言語である「Ruby」を活用し、Ruby の街としてブランドを創造して地域 IT

ベンダーの振興等を図る「Ruby City Matsue」の実現に 2006 年度から取り組んでいる松江市と連携す

る。本事業は松江市において、松江市や松江市の公的機関等のオープンデータを管理する「Matsue オ

ープンデータバンク」を設立し、松江市や松江市の公的機関が保有する公共データのオープンデータ化

を推進するとともに、Ruby に基づくオープンデータの活用を通じた松江市の地域課題の解決と地域 IT

ベンダーの振興を実現するビジネスモデル(案)を検討する。具体的には、本事業では、

(Ⅰ)Ruby による優れたアプリケーションをアイデアコンテストを通じて選定・開発し、

(Ⅱ)試行を通じてビジネスモデルの持続可能性や松江市の地域課題の解決に向けた効果等を検

証するとともに、

(Ⅲ)Matsue オープンデータバンクのビジネス化に向けた方策を検討

する(図表 1- 1)。なお、本事業は Ruby の開発者であるまつもとゆきひろ氏や大学等の有識者による

「Matsue オープンデータバンク検討委員会」を設置して助言を得るとともに、松江市においてワーキ

ンググループを設置して協議しながら、実施する。

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図表 1- 1 本事業の全体像

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1-2. 実施体制

(1) Matsue オープンデータバンク検討委員会

① 委員

本事業において開発するアプリケーションや、Matsue オープンデータバンクの方向性や内容等

を検討する Matsue オープンデータバンク検討委員会の委員は、図表 1- 2のとおりである。

図表 1- 2 Matsue オープンデータバンク検討委員会の委員

所属・役職 氏 名

東京大学大学院情報学環長・大学院学際情報学府長 須藤 修 氏

島根大学副学長・島根大学医学部教授 塩飽 邦憲 氏

島根大学法文学部教授 野田 哲夫 氏

松江工業高等専門学校情報工学科教授 金山 典世 氏

一般財団法人 Rubyアソシエーション理事長 まつもとゆきひろ 氏

松江市副市長 能海 広明 氏

② スケジュール・議題

Matsue オープンデータバンク検討委員会は 3 回開催し、それぞれのスケジュール・おもな議題

は、図表 1- 3のとおりである。

図表 1- 3 Matsue オープンデータバンク検討委員会のスケジュール・おもな議題

回 数 日 時 おもな議題

第 1回 平成 26年 11月 8日

14:00~16:00

本事業の概要

Matsue オープンデータバンクビジネス

アプリケーション活用ビジネス

第 2回 平成 26年 12月 15日

13:30~16:00

アイデアコンテストの結果

上位者の発表と審議

表彰案件の選定(優秀賞・グッドアイデア賞)

開発と試行のスケジュール

松江オープンデータバンクのビジネスモデルの検討

第 3回 平成 27年 3月 2日

13:30~16:00

開発したアプリケーションの紹介

Matsue オープンデータバンクの紹介

Matsue オープンデータバンクのビジネスモデルの検討

Matsue オープンデータバンクの今後の展開の検討

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(2) Matsue オープンデータバンクワーキンググループ

① メンバー

本事業において収集する松江市のオープンデータの準備等を行う Matsue オープンデータバンク

ワーキンググループのメンバーは、図表 1- 4のとおりである。

図表 1- 4 Matsue オープンデータバンクワーキンググループのメンバー

所 属 人数(人)

松江市政策部政策企画課政策統計室 2

松江市政策部地域振興課 1

松江市政策部情報政策課 1

松江市産業観光部定住企業立地推進課 1

松江市産業観光部産業支援センター 1

松江市産業観光部観光文化課 1

松江市健康福祉部保健福祉課 2

松江市健康福祉部子育て課 1

松江市健康福祉部介護保険課 1

松江市健康福祉部保健センター 1

松江市健康福祉部子育て支援センター 1

計 14

② スケジュール・議題

Matsue オープンデータバンクワーキンググループは 2 回開催し、それぞれのスケジュール・お

もな議題は、図表 1- 3のとおりである。

図表 1- 5 Matsue オープンデータバンクワーキンググループのスケジュール・おもな議題

回 数 日 時 おもな議題

第 1回 平成 26年 10月 28日

13:35~14:10

事業概要の説明

スケジュールの説明

アイデアコンテストの説明

Matsue オープンデータバンクのデータの説明

アプリケーションの候補の説明

これから提案されるアイデアにおいて、データの使い方、

提供の仕方について市職員からヒアリング

第 2回 平成 26年 12月 10日

11:00~12:00

応募のあったアイデアに対しての事前審査方法の検討

松江市の地域課題の設定および解決方法が適切か?

使用するオープンデータは、市が提供できるデータ

か?

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第 2 章 Matsue オープンデータバンクアイデアコンテストによるアプリケ

ーションの開発

2-1. アイデアコンテストの実施概要

(1) 目的

Matsue オープンデータバンクのオープンデータを活用した、地域課題を解決するアプリケーシ

ョンのアイデアをコンテスト(Matsue オープンデータバンクアイデアコンテスト)を通じて選

定し、総額 150 万円を開発費用として助成するとともに、確実に実用化できるよう、当コンソー

シアムが支援する。なお、Matsue オープンデータバンクアイデアコンテストの募集は、松江市

や当コンソーシアムのホームページ等で周知する。

(2) 募集概要

Matsue オープンデータバンクアイデアコンテストにおけるアプリケーションの募集概要は、図

表 2- 1のとおりである。

図表 2- 1 アイデアコンテストの募集概要

① 応募者の資格

参加規約を含む、本資料に記載されたすべての内容に同意いただいた個人・

グループ・法人等の応募者

応募者には年齢・居住地等の制限はありません。なお、未成年の応募者は、保

護者または監督者(学校の先生等)の許可を得てください

応募者は、複数のアプリケーションの応募もしくは複数のグループ等に所属して

構いません

② 募集期間 2014年 10月 29日(水)~11月 28日(金)17:00 まで

③ 募集内容

松江市の地域課題を解決するとともに、ビジネスにつながる Webやスマートフォ

ン用の Rubyによるアプリケーションのアイデア

後述(2)提供データに記載する公共データのオープンデータを活用します

企業が保有するオープンデータの活用も可能です

【松江市のおもな地域課題】

(Ⅰ)人口減

対策

出産・子育ての支援、地域医療・保健の充実

転入の増加、転出の抑制

(Ⅱ)子育て

環境の充実

在家庭児童への対応(交流・相談・情報提供等)

保育サービス等の充実

就学前児童の教育・保育環境の充実

(Ⅲ)高齢者の

社会参加

老人クラブの活動の支援

高齢者の健康管理および健康づくりの推進

高齢者の就労機会の拡大

高齢者の移動手段の支援

(Ⅳ)定住対策

働く支援

住む支援

生み育てる支援

高齢者がいきいき暮らせる支援

(Ⅴ)観光振興 観光消費の域内循環の促進

松江のインバウンド(海外からの観光客誘致)の増強

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(Ⅵ)地域

医療・介護・

保健

かかりつけ医を持つような啓発、身近な地域での医療

の確保

高齢者の介護予防や健康増進の巣員、生活習慣病対策

と運動習慣の確立・閉じこもりの予防

地域密着型サービスの推進

注:上記以外の地域課題を取り上げても構いません

④ 提出物

別添の「応募様式」にしたがって、Rubyによるアプリケーションのアイデアをご記

載ください

アプリケーションの名称

アプリケーションが対象とする地域課題と解決の方向性

アプリケーションのサービス

アプリケーションが活用するオープンデータ

-公共データ((2)参照)

-事業者データ(必要な場合のみ)

アプリケーションのおもな画面や操作方法のイメージ(遷移図等)

アプリケーションのプログラム(可能な場合のみ。一部でも構いません)

⑤ 提出方法

2014 年 11 月 28 日(金)17:00 までに、提出物を下記の Matsue オープンデ

ータバンクコンソーシアムまで電子メールで提出してください。なお、電子メール

には、アプリケーションの名称と応募者の氏名・連絡先をご記載ください

Matsueオープンデータバンクコンソーシアムで提出物を確認後、応募者には 3

日以内に受領確認の電子メールをお送りします

Matsueオープンデータバンクコンソーシアム:[email protected]

⑥ 問い合わせ先

Matsueオープンデータバンクコンソーシアム(担当:講武(こうぶ))

電話番号:0852-32-1141

E-mail:[email protected]

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2-2. 優れたアプリケーションの選定

(1) 評価方法

Matsue オープンデータバンクアイデアコンテストに応募のあったアプリケーションについて、

Matsue オープンデータバンク検討委員会の委員が図表 2- 2に基づき事前にポイント化し、第 2

回 Matsue オープンデータバンク検討委員会においてポイントの理由等を協議して優れたアプリ

ケーションを選定する。

図表 2- 2 アプリケーションの評価項目

評価項目 評価の視点 ポイント

(Ⅰ)アプリケーション

の実用化の可能性

プログラムやアプリケーシ

ョンのプラットフォーム等

が示されているなどプロ

グラムのアイデアが具体

的であり、短期間に開発

することができるか?

2 点:プログラムの開発がすでに進んでおり、短期間に開

発することが可能

1 点:プログラムのアイデアが明確であり、課題はあるが、

短期間に開発することが可能

0 点:プログラムのアイデアは不明確であり、短期間に開

発することは難しい

(Ⅱ)オープンデータ

の活用レベル

さまざまなオープンデー

タを活用しているか?

2 点:Matsue オープンデータバンクに加えて、新規のデ

ータも活用している

1点:Matsueオープンデータを十分に活用している

0点:Matsueオープンデータを十分に活用していない

(Ⅲ)地域課題への波

及効果

アプリケーションの利用を

通じて地域課題の解決

が進むか?

2点:地域課題の解決が大きく進む

1点:地域課題の解決に一部役立つ

0点:地域課題の解決にはあまり関係がない

(Ⅳ)ビジネスとしての

持続可能性

価値が評価されて、ビジ

ネスが成立するか?

2点:価値が評価されて、ビジネスが成立する

1 点:課題はあるが、価値が評価されて、ビジネスが成立

する見込みがある

0点:価値が評価されずに、ビジネスが成立する見込みは

低い

総合評価 ポイント数の合計(0~8点)

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(2) 応募のあったアプリケーション

Matsue オープンデータバンクアイデアコンテストに応募のあったアプリケーションは、18 件で

ある(図表 2-3)。Matsue オープンデータバンクアイデアコンテストに応募のあったアプリケー

ションでは、「今日のおでかけ」や「市民×地域」、「SNS ラリークーポンアプリ」、「今日この頃ア

プリ」、「松江宅シー(宅配×タクシー)」、「Eventer(いべんたー)」、「松江縁 JOY カレンダー」、

「松江しじみポータルサイト『しじみ食堂』」といった地域資源を松江市内外に提供し、観光客を

呼び込んで観光振興につなげるアプリケーションが多くなっている。また、「少子化対策アプリ」

や「『松江市回覧板++』、「『子ども中心生活』アプリ」、「介護サービス評価ブランド(K.S.B)」、

「子育て情報カレンダー」等では、おもに市民に行政情報を提供し、人口減対策や子育て環境の

充実、地域医療・介護・保健の増進につながることが期待される。

図表 2- 3 応募のあったアプリケーションの一覧

名 称 概 要

お散歩ナビ 散歩に適したコースをランダムで表示

今日のおでかけ 目的(買物、イベント参加、散歩など)、時間、移動手段(徒歩、自転車、バ

スなど)等を 入力すると現在位置から現在位置(原則)までのルートを案内

少子化対策アプリ 結婚・出会いに関する情報を提供

訃報通知アプリ 死亡届と連動させて、登録者に訃報通知を配信

市民×地域 松江市のイベントに関する情報交換

SNS ラリークーポンアプリ 地域の名所やお店などをチェックポイントとしその場で SNS に一言≪感想

≫や≪写真≫投稿

「松江市回覧板++」 各家庭への市内情報、助成制度案内の提供

図書館 EnJoy(図書と縁を楽

しむ)アプリ 図書館の蔵書や循環図書バスの運行スケジュール等を発信

今日この頃アプリ 地域のイベントや季節ごとの見どころを発信

「子ども中心生活」アプリ 子ども(乳幼児~小学生までに特化した)に関するあらゆる情報を検索、閲

覧、サービス提供を発信

介護サービス評価ブランド

(K.S.B) 介護サービス評価を発信

松江宅シー(宅配×タクシー) タクシーのトランクの空き情報と観光客の宿泊情報を利用して、観光客の荷

物を空いているトランクに乗せ、宿泊施設まで宅配するサービス

松江版高度不動産情報デー

タベース

Web ページで自分の希望する条件を入力すると、条件に見合う地域が出てく

る。検索結果の地域を選択すると、その地域で契約可能な不動産情報を閲覧

Eventer(いべんたー) イベントへの参加者、イベントの主催者、イベントに興味がある人への情報

発信

松江縁 JOYカレンダー 松江市内の施設等で行われるイベントを集めて掲載するイベントポータルサ

イト。松江オープンデータからイベント情報と施設情報は自動取得

松江しじみポータルサイト「しじ

み食堂」 松江市のしじみ情報のポータルサイトを構築

子育て情報カレンダー 子育て情報を特化したカレンダー。子育て支援センターなどで発信する子育

て支援イベントなどの情報をカレンダー形式で発信

スポまち スポーツをやりたい人同士、またはサークルと開催場所をマッチングさせて、

スポーツができるように支援

注:順序は、応募順。

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(3) 選定されたアプリケーションと評価のポイント

Matsue オープンデータバンク検討委員会の委員は、Matsue オープンデータバンクアイデアコン

テストに応募のあったアプリケーションについてアプリケーションの実用化の可能性やオープン

データの活用レベル、地域課題への波及効果、ビジネスとしての持続可能性について事前にポイ

ントを付けており、事前のポイントが高い上位 5 位のアプリケーションは、図表 2-4 のとおりで

ある。事前のポイントが高いアプリケーションは、「Eventer(いべんたー)」や「松江縁 JOY カ

レンダー」、「松江しじみポータルサイト『しじみ食堂』」といった、応募件数の多い観光振興に関

するアプリケーションが多くなっている。

図表 2- 4 事前のポイントが高い上位 5 位のアプリケーション

順 位 名 称 おもなコメント

第 1位

Eventer

(いべんた

ー)

面白いが、情報加工が問題

アプリケーションの仕様がよく練られており、ビジネスモデルとしても可能性が認められる

イベントは情報が明確であり、利用しやすく、実装しやすいが、ビジネス化がポイント

島根大学が共同研究ですでに構築しているシステムと類似しており、新しいアイデアが不足

第 2位

松 江 縁

JOYカレン

ダー

ビジネス的な発想はよい

イベントは情報が明確であり、利用しやすく、実装しやすいが、ビジネス化がポイント

ビジネスモデルが広告モデルであり、具体的なビジネス提案がない

第 3位

「松江市回

覧板++」

IT リテラシーの高い年代層向けでないと活用されない。子育て・観光イベント関連がターゲットか?

回覧板の Web 化では?

行政のオープンデータ化としては評価できるか、持続していくための具体的なビジネスプランがない

松江しじみ

ポータルサ

イト「しじみ

食堂」

しじみ会館とバッティングし、しじみだけでは効果が少ない

しじみに特化することにより、ステークホルダーが明確になってビジネス化の点では有利だが、オープ

ンデータという点で弱点がある

お店の情報など民間の情報をどのように取得するかが課題

子 育 て 情

報カレンダ

既存の情報誌があり、アプリケーション化するメリットが不明

ニーズが明確で、実装可能性も高いが、子育て情報の分類が課題

民間の情報をどのように取得するかと継続して展開するためのビジネス視点の提案が不足

第 4位

松江版高

度不動産

情報データ

ベース

国勢調査と地理情報解析ソフトを用いれば評価可能。空き家活用には有効

オープンデータとの関係が恣意的で、運用は困難

既存の不動産検索システムと同等

スポまち

福岡市でフィットネスセンターやレストランの案内、健康活動を連携させた情報誌やアプリケーション

が作られている。データの更新が難しい

ニーズが明確で、実装可能性も高いが、ビジネス化に弱点

現時点では施設の予約情報の取得が不可能であるため、実現が不可能

第 5位

図 書 館

EnJoy (図

書と縁を楽

しむ)アプリ

具体性、実装可能性ともに高いが、どのようにビジネス化するかについてよりアイデアが必要

移動図書館をキーに図書の利用状況とあわせてサービスの提案がされているが、具体的なイメージが不

事前のポイントが高い上位 5 位のアプリケーションの中から、「Eventer(いべんたー)」が最も

優れた優秀賞、「松江縁 JOY カレンダー」が次点、「松江しじみポータルサイト「しじみ食堂」」

がグッドアイデア賞として選定され、Eventer(いべんたー)が開発されることになった(図表

2- 5)。「Eventer(いべんたー)」は、とくにアプリケーションの実用化の可能性について評価が

高く、短期間で確実に開発できることが優秀賞の決め手となった。

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図表 2- 5 選定されたアプリケーション

良い点 問題点・課題

優秀賞

⇒開発へ

Eventer

(いべんたー)

イベントが位置情報として地図上に載るの

で、オープンデータの活用として、イベント会

場の地理、交通情報とリンクする点がいい

アイデアは想定していた内容。まとまったアプ

リケーションの作成が期待

観光用としてのアイデアだが、「子育て」の情

報が加わると、市民も使えるアプリになる

アプリケーションとしての提案は洗練

イベントの参加者がコメントをつけられるという

のはレベルが高い

・地域住民向けの情報を登録すればいいだ

け。タグによって使い分けができる

場所と時間だけでは足りない。さらに

情報を付け加えるといい

データ運用が可能か気になる

オープンデータのうち、どのデータを

使うか明確でない

次 点 松江縁 JOY

カレンダー

松江市民向けのアイデアと言える

松江市が持つオープンデータの有効活用が

可能

活用するオープンデータが幅広に縁 JOY カ

レンダーは記載してある

アプリケーションのベースにある地域活性化

が可能

データ運用は可能。イベントの登録作業も記

載有

汎用性が高い

位置情報の記載がない。位置情報は

必要

アプリケーションとしての提案は足りな

イベント中心の考え方で、イベント集

めて何に活用するかが不明

・アプリケーションの作成に不安(応募

の提案を見る限り)

グッド

アイデア賞

松江しじみ

ポータル

サイト

「しじみ食堂」

絞り込んだ題材であり、アイデアとしてはとて

もいい

題材を絞り込みすぎると、使用する人

が少ない

オープンデータを使うほどの事案では

ない

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第 3 章 アプリケーション(Eventer(いべんたー))の開発と試行・評価

3-1. Eventer(いべんたー)の開発

(1) 機能

① 概要

Eventer(いべんたー)はユーザーの位置情報を取得し、ユーザーの周辺のイベント等に関する

位置情報を地図上に表示する。Eventer(いべんたー)では、日本の夕陽百選に選ばれた宍道湖

に沈む夕焼けをイメージした「松江の吉田君」が、ユーザーやイベント等の位置情報を案内する。

Eventer(いべんたー)は、次の URL からダウンロードして取得する。

○スマートフォン

-Android 端末:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.test.Eventer

-iPhone 端末の場合:http://mob.tpj.co.jp/eventer/events/maps

○パソコン:http://mob.tpj.co.jp/eventer/events/maps

② ユーザー機能

(Ⅰ)位置情報の表示

Eventer(いべんたー)がユーザーの周辺のイベント等に関する位置情報を地図上に表示する(図

表 3- 1)。

図表 3- 1 位置情報の表示のイメージ

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(Ⅱ)イベント内容の表示

Eventer(いべんたー)の地図上のイベント等の名称をクリックすると、コメントを入力できる

ほか、詳細表示ボタン画面が表示されて、イベント等の概要や URL を確認できる(図表 3- 2)。

なお、他の場所のイベント等を探す場合には、松江の吉田君をドラッグして移動し、イベント等

を変更する場合には、メニューボタンをクリックし(図表 3- 3)、カテゴリ・検索距離・日程を変

えて検索ボタンをクリックする(図表 3- 4)。

図表 3- 2 イベント等の内容の表示のイメージ

図表 3- 3 他の場所のイベント等を探す場合の操作イメージ

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図表 3- 4 イベント等を変更する場合の操作イメージ

③ 管理機能

(Ⅰ)イベント等の登録

Eventer(いべんたー)にイベント等を登録したい個人・事業者等は、次の URL の管理画面でロ

グインし、情報を登録後、ID・パスワードが発行される。個人・事業者等は Eventer(いべんた

ー)からイベント登録をクリックし、イベント等の情報を登録する(図表 3- 5)。

図表 3- 5 イベント等の登録のイメージ

遷 移

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(Ⅱ)イベント等の更新

個人・事業者等は Eventer(いべんたー)に登録したイベント等の情報を更新したい場合には、

イベント一覧をクリックし、修正画面で修正して更新するボタンをクリックする(図表 3- 6)。

図表 3- 6 イベント等の更新のイメージ

(2) ビジネスモデルのパターン

① 広告モデル

Eventer(いべんたー)のビジネスモデルとしては、事業者がイベント等に関連する既存の財・

サービスの広告を Eventer(いべんたー)を通じてユーザーに提供し、開発者は財・サービスを

販売する事業者から収入を得る「広告モデル」が考えられる(図表 3- 7)。

図表 3- 7 Eventer(いべんたー)の広告モデルのイメージ

広告モデルでは Eventer(いべんたー)を活用したい事業者は、既存の財・サービスの販売チャ

ネルの増加や広告費用の削減等のメリットを期待できる一方、Eventer(いべんたー)のイベン

ト等の情報によってはユーザーの属性が偏り、事業者がターゲットとする消費者に既存の財・サ

ービスの広告を効果的に提供できないおそれがある。なお、広告モデルにおいて Eventer(いべ

遷 移

財・サービスの広告

運 用

Matsueオープン

データバンク

運営事業者連

松江市アプリケーション(Eventer)

開発者

イベント等の主催者

Eventerを活用したい事業者既存の財・サービスを販売

開 発

ユーザー

観光振興など

地域課題の解決

地域ITベンダーの振興

行政情報・イベント情報・広告

財・サービスの購入

費用の負担

:情報の流れ :お金の流れ

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-15-

んたー)の開発者は、開発費用(アイデアコンテストの助成金である 150 万円とする)をソフト

ウェアの耐用年数である 3 年間で賄うとすると、Eventer(いべんたー)を活用したい事業者の

利用料金を月額 1 万円とした場合、収益を得るためには 4 事業者程度を確保する必要がある。

また、Eventer(いべんたー)が、イベント(開催者として一般企業もあるものと思料)の予約

まで踏み込むことができれば、対象イベントの主催者から顧客誘導に係るなにがしかのフィード

バックを受けることも可能であると考えられる。

② ユーザー情報提供モデル

Eventer(いべんたー)のビジネスモデルとしては、Eventer(いべんたー)のユーザーの属性や

嗜好等の情報を新規の財・サービスを開発する事業者に提供し、開発者は事業者から収入を得る

「ユーザー情報提供モデル」も考えられる(図表 3- 8)。

図表 3- 8 Eventer(いべんたー)のユーザー情報提供モデルのイメージ

ユーザー情報提供モデルでは Eventer(いべんたー)を活用したい事業者は、ユーザーの嗜好に

あった財・サービスの開発等のメリットを期待できる一方、ユーザーに情報を活用することを十

分に説得できなかったり、Eventer(いべんたー)のイベント等の情報によってはユーザーの属

性が偏って、事業者がターゲットとする消費者向けの新規の財・サービスを効果的に開発できな

いおそれがある。なお、ユーザー情報提供モデルにおいて Eventer(いべんたー)の開発者は、

開発費用をソフトウェアの耐用年数である 3 年間で賄うとすると、Eventer(いべんたー)を活

用したい事業者の利用料金を月額 1 万円とした場合、収益を得るためには広告モデルと同様に 4

事業者程度を確保する必要がある。

ユーザー情報(属性・嗜好等)

運 用

Matsueオープン

データバンク

運営事業者連

松江市アプリケーション(Eventer)

開発者

イベント等の主催者

Eventerを活用したい事業者新規の財・サービスを開発

開 発

ユーザー

観光振興など

地域課題の解決

地域ITベンダーの振興

行政情報・イベント情報

将来的に財・サービスの購入

費用の負担

:情報の流れ :お金の流れ

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-16-

③ 行政アウトソースモデル

Eventer(いべんたー)のビジネスモデルとしては、松江市が行政情報を Eventer(いべんたー)

を通じてユーザーに提供し、開発者は松江市が行う行政情報の提供を代行するとして松江市から

収入を得る「行政アウトソースモデル」も考えられる(図表 3- 9)。

図表 3- 9 Eventer(いべんたー)の行政アウトソースモデルのイメージ

行政アウトソースモデルでは、松江市はこれまで行政情報の提供が難しかった属性のユーザーに

Eventer(いべんたー)を通じて行政情報を提供できるようになる等のメリットを期待できる一

方、財政状況が厳しく、現時点では予算化は難しい。なお、行政アウトソースモデルにおいて

Eventer(いべんたー)の開発者は、開発費用をソフトウェアの耐用年数である 3 年間で賄うと

すると、松江市の負担は年間 50 万円程度となる。

④ ビジネスモデルのパターンの比較

Eventer(いべんたー)のビジネスモデルの中では、既存の財・サービスの広告を提供して、受

益関係が明確な広告モデルが最も実現可能性が高いと考えられる。広告モデルではイベント等の

情報にあわせて財・サービスの広告を提供して顧客を誘導するだけではなく、将来的には Eventer

(いべんたー)で財・サービスの購入に関する決済をできるようにするなど、収入源を増やして

いくことが適切である(図表 3-10)。

運 用

Matsueオープン

データバンク

運営事業者連

松江市アプリケーション(Eventer)

開発者

イベント等の主催者

開 発

ユーザー

観光振興など

地域課題の解決

地域ITベンダーの振興

行政情報・イベント情報

行政情報提供のアウトソース

(現時点では困難)

:情報の流れ :お金の流れ

松江市がリーチできなかった市民

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図表 3- 10 Eventer(いべんたー)のビジネスモデルのパターンの特徴

パターン メリット 問題点 収支の見込み

(Ⅰ)広告モデル

事業者の販売チャネルの

増加

広告費用の削減

ユーザーの属性が偏るお

それ

4 社程度(月 1 万円程度)

が必要

(Ⅱ)ユーザー情報

提供モデル

ユーザーの嗜好にあった

財・サービスの開発

個人情報の保護

ユーザーの属性がターゲ

ットと合わないおそれ

4 社程度(月 1 万円程度)

が必要

(Ⅲ)行政アウト

ソースモデル

これまで松江市がリーチ

できなかった属性の市民

(若者・働き盛りの世代

等)に情報を提供

予算を確保できないおそ

年間 50万円(月 4.2万円)

程度

また、ユーザー提供モデルはユーザーが増えて、属性や行動パターン等の消費行動が十分に把握

できる段階において、事業者の新規の財・サービスの開発に役立つと考えられる。ここで、ユー

ザー提供モデルでは他事例を参考にしながら、個人情報を適切に保護しながら、ユーザー情報を

事業者に提供する方法を検討することが必要である。さらに、行政アウトソースモデルについて

も、ユーザーの属性を分析して Eventer(いべんたー)は松江市ではリーチが難しい市民に対し

てもリーチしていることを明確にして、松江市に Eventer(いべんたー)の価値を訴求すること

が重要である。

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3-2. Eventer(いべんたー)の試行・評価

(1) 試行

Eventer(いべんたー)は広報を行って周知し、利用を働きかけた(図表 3- 11)。とくに、コン

ソーシアムの幹事会社である株式会社テクノプロジェクトと松江市の職員に対して、Eventer(い

べんたー)の利用を重点的に働きかけて、2015 年 2 月 12~3 月 11 日にかけて試行を行い、アン

ケート調査を行って評価等に関する意見を募った。

図表 3- 11 Eventer(いべんたー)に関するおもな広報の取り組み

対 象 手 段

一般向け コンソーシアムの幹事会社である株式会社テクノプロジェクトのホームページで紹介

山陰中央新報経済ウィークリーで紹介

松江市職員向け 庁内グループウェアで紹介

(2) 評価

① 利用状況

試行期間中の Eventer(いべんたー)の利用状況として広告の表示や、「吉田くん」を動かしたり、

検索条件を変更した検索回数を見ると、それぞれ 1,464 回・4,405 回であり、1 日当たりでは広

告の表示回数は 64 回・検索回数は 178 回となっている(図表 3-12)。Eventer(いべんたー)に

おける広告の表示回数や検索回数は、株式会社テクノプロジェクトと松江市において職員への利

用の呼びかけが行われた 2015 年 2 月 16~22 日と 3 月 9~11 日に多くなっている。とくに、

Eventer(いべんたー)における広告の表示回数や検索回数は、2015 年 2 月 23~3 月 1 日から 3

月 2~8 日にかけてそれぞれ減少しており、限られた試行期間では Eventer(いべんたー)を十

分に周知することは難しく、利用を増やすためにはユーザーに積極的に働きかけることが必要で

あることが伺える。

図表 3-12 Eventer(いべんたー)における広告の表示・検索回数(2015 年)

0

100

200

300

400

500

0

500

1,000

1,500

2,000

2月12~15日 2月16~22日 2月23~3月1日 3月2~8日 3月9~11日

(回)

(回)

広告の表示回数(左軸) 検索回数(左軸)

1日当たりの広告の表示回数(右軸) 1日当たりの検索回数(右軸)

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② ユーザーの意見

Eventer(いべんたー)の試行におけるアンケート調査から収集した株式会社テクノプロジェク

トと松江市の職員の評価に関するおもな意見は、図表 3-13 のとおりである。当面、Eventer(い

べんたー)はイベント等の情報の表示方法の改善や、操作性の向上によってユーザーの利便性を

高めるとともに、イベント等の情報を入力しやすくし、取り扱う情報を増やすことが必要である

と考えられる。また、将来的には、Eventer(いべんたー)は SNS との連携や、他のユーザーの

動向や意見等も取り扱い、多くのユーザーが利用しやすい環境を整備して、さらにユーザーを増

やしていくことが重要であると考えられる。

図表 3- 13 Eventer(いべんたー)の評価に関するおもな意見

(Ⅰ)カテゴリー

ⅰ)改善要望

対象者(乳児・幼児・小学生・中学生・高校生)の分類とジャンル(趣味、スポーツ)は別々

にする

ⅱ)好ましいカテゴリー

観光イベント、音楽(コンサート)、献血、フリマ(買い物)、祭り、自然(桜、月見、蛍、夕

日、紅葉)、海水浴(スポーツ)

(Ⅱ)機能

ⅰ)改善要望

【表示】

ふきだしが吉田くんとかぶって見えない

地図に対して吉田くんが大きい

画面にイベント開催情報が重なって表示されてみにくい

上のイベントを消していかないと下の情報が見えない

吉田君がイベント情報で隠れて移動できない

詳細の表示が画面サイズを超え、右側が見えないものもある

ズームにした画面が最初に表示されるほうが、ふきだしが分散される

広告が一番初めに画面に出てきて広告以外何も見えない。まずは全体をつかみたいの

で閉じる。画面の下の方に、小さく常時表示してある方が良い

【機能】

地図上のイベント名をタップしたら、まずはイベント内容が表示される方が良い

観光客向けイベントと市民向けイベントが混在しているため、分けた方が良い

検索が使いにくい

登録されている情報を一覧表示(カレンダー形式で)できる機能(コメントの投稿者、日

時)

写真でイベントの状況が見たい

1つのイベントを複数のジャンルに紐付けして、主ジャンルで色分け

これから出かける先を決めるために、全域のイベントを表示

Twitterや Facebookで登録した情報を掲載してほしい

誰がどこで、何を見ているか知りたい

お勧めイベントの紹介や人気イベントの一覧が見たい

イベントのお気に入り・ブックマーク機能

メニュー画面を常に表示した状態でないと今後予定イベントがないと思われる

イベントを見るとき、ひと手間減らしてほしい(現在:イベント選択→「詳細表示」選択→イ

ベント名など詳細、改善:イベント選択→イベント名など詳細)

地図を拡大、縮小したら吉田君が表示されなくなることがあるので、「吉田君を表示」ボタ

ンを設定し、画面の真ん中に表示されるとよい

(Ⅲ)登録

ⅰ)改善要望

地図、入力欄が小さい

イベント情報入力の際、特に概要の表示スペースが小さく、内容確認ができない

入力内容の確認がないまま、いきなり登録されてしまう

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日本語表示にすべき

登録済か確認するためイベント一覧へ進むと、その後メインメニューへのリンクがない

イベントが反映されたか確認するとき、上記の期間設定をしなければならず煩わしい。

「更新」ボタンの横に「確認」ボタンがあるとよい

ⅱ)追加要望

定期的に行っているイベントを入力する機能

(Ⅳ)表示項目

ⅰ)追加要望

イベントのイメージ図

イベントの状況の写真

イベントの開始時間、終了時間(必須ではなく入力されたもののみ表示)

なお、アンケート調査では Eventer(いべんたー)の評価に加えて、この他に欲しいアプリケー

ションも尋ねており、回収日に合ったごみ出しを促すアプリケーションや防災・防犯情報を受け

取るアプリケーション、読みたい本・読んだ本を登録して自分の読書スケジュールを管理できる

アプリケーション、インフルエンザ等の感染症が流行している地域が分かるアプリケーションが

挙げられている。

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第 4 章 Matsue オープンデータバンクの概要とビジネス化の方向性

4-1. 概要

(1) 格納しているオープンデータ

Matsue オープンデータバンクはインターネット上(http://163.49.71.190/datalist.html)に設置

し、松江市のオープンデータを全般と子育て情報の提供、高齢者の健康づくり・社会参加に関す

る情報の提供、観光情報の提供と地域課題のカテゴリーに分類して登録している(図表 4- 1)。

Matsue オープンデータバンクのオープンデータのファイル形式は、現在 Excel 形式や PDF 形式

であるが、活用しやすいよう、今後 Resource Description Framework(RDF)形式で提供する

とともに、共通語彙基盤も活用する。

図表 4- 1 Matsue オープンデータバンクで格納しているオープンデータの一覧

カテゴリー オープンデータ 実データ名 ファイル形式

1.全般

1-1 町丁別 1歳刻み人口 町丁別・年齢別人口集計表(2014年 9月) Excel

1-2 町丁別世帯数 町丁別世帯数・人口調表 201409 Excel

1-3 公民館区別 65歳以上人口 人口・世帯数(公民館別町別一覧表)65才以

上 201410 Excel

1-4 公民館区別世帯数 人口・世帯数(公民館別町別一覧表)総数

201409 Excel

1-5 町丁別高齢者世帯数 No.1から集計 Excel

1-6 小中学校別学年別児童生徒数 平成 26年度 5月 1日現在児童生徒数 Excel

1-7 国保加入者数 国民健康保険加入状況(2007-2012) Excel

1-8 出生者数 自然動態 Excel

1-9 死亡者数 自然動態 Excel

1-10 転入者数 社会動態 Excel

1-11 転出者数 社会動態 Excel

1-12 国勢調査データ 国勢調査結果の概要 平成 22年(2010年) Excel

1-13

市有施設(公民館、学校、幼稚

園、幼保園、保育所、児童クラ

ブ、児童館含む)の位置情報

公共施設学校リスト Excel

youchi.pdf pdf

hoikue.pdf pdf

hoikue_ninkagai.pdf pdf

youhoe.pdf pdf

1-14 イベント情報 events.rdf rdf

1-15

予防接種・健診日程・相談日・

健康講座などのカレンダー情

shihou_ma.pdf pdf

yobou.pdf pdf

kensh.pdf pdf

2.子育て情報

の提供

2-1

保育所・幼保園・幼稚園の施設

毎の定員及び毎月毎の入所入

園可能者数

hoikue_h2612.pdf pdf

youchi_shiritsu.pdf pdf

youchi_kuni.pdf pdf

2-2 小中学校の学校別児童生徒

数・学級数 平成 26年度 5月 1日現在児童生徒数 Excel

2-3 予防接種数 予防接種(2008-2012年) Excel

2-4 図書館利用状況 松江市立図書館概況(蔵書冊数・利用状況

等)(2002-2009年度) Excel

2-5 合計特殊出生率 08 資料 2 合計特殊出生率 pdf

2-6 母子手帳 dekit.pdf pdf

2-7 出生届 todoke.pdf pdf

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カテゴリー オープンデータ 実データ名 ファイル形式

2-8 国保加入 国民健康保険加入状況(2007-2012) Excel

2-9 妊婦健診 dekit_ninpuk.pdf pdf

2-10 子供の健康・予防接種 該当情報無し -

2-11 乳児訪問 shien.pdf pdf

2-12 出産育児一時金 umare.pdf pdf

2-13 乳児医療 n02a.pdf pdf

2-14 児童手当 jidou-.pdf pdf

2-15 医療費助成 n02a.pdf pdf

2-16 こっころカード cocc.pdf pdf

2-17 ひとり親のサポート n02b.pdf pdf

2-18 未熟児のサポート sono.pdf pdf

2-19 障がい児のサポート te.pdf pdf

2-20 難病のサポート 該当情報無し -

2-21 保育所 保育所の概況(2006-2013年) Excel

2-22 幼稚園 71_16-2幼稚園の概況(2009-2013年) Excel

2-23 児童クラブ jidouc.pdf pdf

2-24 ファミリーサポート shien ファミリーサポート.pdf pdf

2-25 教室・講座情報 shihou_ma教室・講座情報.pdf pdf

2-26 児童館 asobi.pdf pdf

2-27 子育て支援センター shien子育て支援センター.pdf pdf

2-28 男女共同参画センター annai.pdf pdf

2-29 子育てサークル H26waiwai pdf

2-30 図書館 teiki_kouza.pdf pdf

2-31 公園 odekakemap25.pdf pdf

2-32 公民館 公民館の状況(2012年) Excel

2-33

相談制度(子育て、発達、虐

待、女性・母子相談、民生児童

委員)

souda.pdf pdf

3. 高齢者の

健康づくり・社

会参加に関す

る情報の提供

3-1 死因別死亡者数 主要死因別死亡者数(2008-2012年) Excel

3-2 松江市立病院・松江日赤病院

入院患者外来患者数 松江市統計書(2012年) .pdf pdf

3-3 各種健診等受診者数 松江の国保と年金(平成19年度版)(平成18

年度実績).pdf pdf

3-4 後期高齢者被保険者数・支払

い件数・医療費額 松江市統計書(2012年) .pdf pdf

3-5 健康寿命 該当情報無し -

3-6 助成制度 sonoj.pdf pdf

3-7 補助制度 koureihojyo.pdf pdf

3-8 サポータ養成講座 nin.pdf pdf

3-9 デイサービス情報 naisyou.pdf pdf

jigyous.pdf pdf

3-10 がん検診情報 kensin_h26.pdf pdf

3-11 休日医療情報 08.pdf pdf

3-12 健康講座 kouzakyoushitu.pdf pdf

4. 観光情報

の提供

4-1 観光施設毎観光客数 観光施設毎観光客数 pdf

4-2 外国人別観光入込客数 外国人観光客 pdf

4-3 宿泊者数 宿泊客数(2008-2013年) Excel

4-4 主要宿泊地毎の宿泊客数 各宿泊地毎宿泊者数 pdf

4-5 文化財位置情報 shit.pdf pdf

4-6 観光関係補助金 該当情報無し -

4-7 ツアー情報 該当情報無し -

4-8 お得情報 4施設共通入場券 doc

資料:http://163.49.71.190/datalist.html より作成

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(2) サイトの構成

Matsue オープンデータバンクのサイトには、使用方法を説明する「チュートリアル」やデータ

をダウンロード・加工する「データ作成」、「情報流通連携基盤共通(Application Programming

Interface:API)」を提供している(図表 4-2~図表 4-4)。

図表 4-2 トップページ

Page 28: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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図表 4-3 データ作成のイメージ

データ管理

CSV 一括登録

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図表 4-4 データカタログ(CKAN)

(3) 今後の方向性

Matsue オープンデータバンクでは松江市を周辺とする地域を中心に、松江市等の自治体や個

人・事業者といった主体と連携して、さまざまなアプリケーションの普及等を通じて地域課題の

子育て情報 子育て情報

子育て情報

保育所児童入所

加入枠情報

CSV

xml

保育所児童入所

加入枠情報の

CSV データ

Page 30: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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解決に取り組んでいく方針である。一方、内閣官房では自治体等におけるオープンデータを普及

拡大するため、「オープンデータをはじめよう~地方公共団体のための最初の手引書~」や、「地

方公共団体オープンデータ推進ガイドライン(案)」(2015 年 2 月 10 日)等のガイドラインを作

成しており、これらのガイドラインを踏まえて、Matsue オープンデータバンクを改善していく

ことが必要である。

このため、Matsue オープンデータバンクでは、API を整備しながら、松江市等のオープンデー

タを格納する「データストア」だけではなく、オープンデータの活用を企画立案しやすいよう、

「最新政策トレンド」やのほか、オープンデータの成功事例を取りまとめた「行政コスト削減事

例」を作成することが求められると考えられる(図表 4-5)。また、Matsue オープンデータバン

クはアプリケーションを作成しやすいよう、開発キット等を提供する「簡単にアプリ構築」を作

成することも求められると考えられる。さらに、Matsue オープンデータバンクではユーザーの

要望を踏まえながら、利便性を高めるように改善していくため、ユーザーから要望を受け付ける

「目安箱」を作成することも求められると考えられる。

図表 4-5 改善されたトップページ(案)

Page 31: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

-27-

4-2. ビジネス化の考え

(1) ビジネスモデルのパターン

(Ⅰ)データの加工・販売モデル

Matsue オープンデータバンクのビジネスモデルとしては、運営事業者が松江市のデータを利用

しやすい形式に加工して多くの事業者に販売し、収入を得る「データの加工・販売モデル」が考

えられる(図表 4-6)。

図表 4-6 Matsue オープンデータバンクのデータの加工・販売モデルのイメージ

データの加工・販売モデルでは、Matsue オープンデータバンクの対象が拡大し、多くの自治体

が参加してデータが増えると、事業者の用途が広がって価値が高まることが期待される一方、事

業者のニーズが大きいデータの抽出や、松江市のデータを活用すること対する市民の理解を得る

ことが難しいおそれがある。なお、データの加工・販売モデルにおいて運営事業者は、サーバー

等の維持管理費用(年間 360 万円程度とする)を賄うとすると、Matsue オープンデータバンク

を利用したい事業者の利用料金を月額 1 万円とした場合、収益を得るためには 30 事業者程度を

確保する必要がある。

(Ⅱ)データの加工・販売モデル

Matsue オープンデータバンクのビジネスモデルとしては、運営事業者が松江市のデータを利用

したい事業者を個別に支援し、収入を得る「オープンデータの活用支援モデル」も考えられる(図

表 4-)。

松江市

運営事業者

アプリケーション(Eventer)

開発者

運 用 開 発

ユーザー

その他消費者

オープンデータを活用したい事業者新規の財・サービスを開発

:情報の流れ :お金の流れ

将来的に財・サービスの購入

費用の負担

松江市のデータ対象を拡大すれば、価値が向上

Matsueオープンデータバンク

多くの事業者に販売

Page 32: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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図表 4-7 Matsue オープンデータバンクのオープンデータの活用支援モデルのイメージ

オープンデータの活用支援モデルにおいても、Matsue オープンデータバンクの対象が拡大し、

多くの自治体が参加してデータが増えると、事業者の用途が広がって価値が高まることが期待さ

れる一方、運営事業者は事例を分析して成功要因を把握するなど、オープンデータの活用ノウハ

ウを獲得することが必要である。なお、オープンデータの活用支援モデルにおいて運営事業者は、

Matsue オープンデータバンクを活用したい事業者の要望や費用負担能力等に応じて支援するた

め、個別の案件に応じて収益を確保すると考えられる。

④ ビジネスモデルのパターンの比較

Matsue オープンデータバンクのビジネスモデルでは、最近のオープンデータの普及を受けて事

業者の需要が高まっており、データの加工・販売モデルに最初に取り組むことが適切である(図

表 4- )。その後、Matsue オープンデータバンクの運営事業者は、データの加工・販売モデルを

通じてオープンデータの活用ノウハウを獲得しながら、事業者に提供するオープンデータの活用

支援モデルに取り組むことが適切である。なお、Matsue オープンデータバンクでは事業者の需

要が高いデータを提供できるよう、松江市だけではなく、近隣の自治体にもオープンデータの提

供を働きかけていくことも必要である。

松江市

運営事業者

アプリケーション(Eventer)

開発者

運 用 開 発

ユーザー

その他消費者

オープンデータを活用したい事業者新規の財・サービスを開発

:情報の流れ :お金の流れ

将来的に財・サービスの購入

費用の負担

松江市のデータの活用方法の支援

Matsueオープンデータバンク

個別の事業者を支援

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図表 4- 8 Matsue オープンデータバンクのビジネスモデルのパターンの特徴

パターン メリット 問題点 収支の見込み

(Ⅰ)データの

加工・販売モデル

運営事業者は松江市のデ

ータを利用しやすい形式

に加工して販売

対象が拡大すれば、デー

タの価値が向上

価値のあるデータの抽出

市民からの理解

30社程度(月 1万円程度)

が必要

(Ⅱ)オープン

データの活用支援

モデル

事業者は Matsue オープ

ンデータのデータを円滑

に活用

対象が拡大すれば、デー

タの価値が高まり、事業者

のニーズは増加

運営事業者のノウハウの

獲得(成功事例の研究等)

個別案件ごとに費用を確

(2) ビジネス化の方向性

Matsue オープンデータバンクは、松江市と連携しながら大学など公的機関や他の自治体等に対

象を広げてオープンデータを拡充するとともに、有償を含むサービスメニューを増やして収入を

確保することによって、持続可能性を高められると考えられる。Matsue オープンデータバンク

の今後の行政等との連携や、サービスメニューの開発のおもな方向性は、図表 4-9・図表 4-10 の

とおりである。

図表 4-9 行政等との連携のおもな方向性

方向性 取り組み

松江市との連携の強化 事業計画・予算編成・人員配置が連動した内部の管理システムを勘案し、松江市の

データのオープンデータ化を促進

島根大学との連携の強化 島根大学の地(知)の拠点整備事業(大学 COC 事業)と連携し、新規のオープンデ

ータを発掘するとともに、地域課題の解決に貢献するビジネスモデルを検討

企業との連携の強化 行政のオープンデータ化を推進する企業と連携し、利用可能性が高いオープンデー

タを普及

図表 4- 10 サービスメニューの開発のおもな方向性

大分類 小分類

構築サービス

データストアの開放(プラットフォーム・テンプレートの提供、ヘルプデスク)

カタログ作成(請負)

アクセス解析

導入コンサルティング

統計分析(請負)

開発キットの提供

Web API

共通語彙基盤テンプレートおよび登録ツール、ドキュメント

イベントアプリ(オープンソース)

Page 34: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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4-3. 今後の方向性

近年、オープンデータの普及に伴って、オープンデータの利用に取り組んでいる自治体が増えて

いるが、オープンデータの利用を継続して推進するためには、オープンデータを自発的に増やす

仕組みを導入するとともに、収益を確保して持続可能性を高めることが必要である。Matsue オ

ープンデータバンクは松江市のオープンデータを登録して、オープンデータを活用するさまざま

なアプリケーションのプラットフォームとなるとともに、オープンデータの加工・販売やオープ

ンデータの活用を支援することによって収益を確保することをめざしており、持続可能なオープ

ンデータの利用の推進につながるものである。Matsue オープンデータバンクを利用する自治体

が増えるほど、オープンデータが豊富となり、充実したアプリケーションのプラットフォームと

なるとともに、オープンデータの加工・販売やオープンデータの活用の支援からの収入が増えて、

持続可能性が高まることが期待される。

Matsue オープンデータバンクでは松江市を初めとするオープンデータを増やし、Eventer(いべ

んたー)を改善するとともに、地域課題の解決等に貢献するアプリケーションの開発を促進する

ことが必要であると考えられる。一方、Matsue オープンデータバンクはアプリケーションのプ

ラットフォームとして持続可能性を高めるため、松江市や島根大学、企業等との連携を強化し、

需要が高いオープンデータを発掘して加工・販売するとともに、運営事業者はオープンデータの

活用ノウハウを活かしてオープンデータの活用を支援し、収入を確保することも求められると考

えられる。Matsue オープンデータバンクがオープンデータの加工・販売や、オープンデータの

活用の支援から収入を得るためには一定の知名度を獲得することが重要であり、松江市や島根大

学、企業等との連携を活かして、Matsue オープンデータバンクの意義や機能等をアプリケーシ

ョンとあわせて積極的にアピールすることが適切であると考えられる。

Page 35: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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参考資料 Matsue オープンデータバンク検討委員会の議事録

参-1. 第 1 回の議事録

Ⅰ.開催日時:平成 26 年 11 月 8 日(土)14:00~16:00

Ⅱ.開催場所:松江オープンソースラボ

Ⅲ.出席者:(敬称略)

委員:6 名、主催者:1 名、共催:2 名、事務局:4 名、特別参加:1 名 計 14 名

■Matsue オープンデータバンク検討委員

東京大学大学院情報学環長・大学院学際情報学府長 須藤 修 氏

島根大学副学長・島根大学医学部教授 塩飽 邦憲 氏

島根大学法文学部教授 野田 哲夫 氏

松江工業高等専門学校情報工学科教授 金山 典世 氏

株式会社ネットワーク応用研究所 清水 道雄 氏

(一般財団法人 Ruby アソシエーション理事長 まつもとゆきひろ 氏 代理)

松江市副市長 能海 広明 氏

■主催者

経済産業省商務情報政策局情報政策課情報プロジェクト室 泉本 央 氏

■共催

松江市政策統計室長 花形 泰道 氏

松江市政策統計室 柳浦 広光 氏

■事務局(Matsue オープンデータコンソーシアム)

株式会社テクノプロジェクト 藤原 邦弘

株式会社富士通総研 高村 茂

株式会社富士通総研 坂野 成俊

株式会社テクノプロジェクト 講武 由香里

■オブザーバー

松江商工会議所 渡利 氏

Ⅳ.次第

1.開会

挨拶

2.議事

(1)経済産業省挨拶

Page 36: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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(2)委員紹介

(3)本事業の概要

(4)Matsue オープンデータバンクビジネス

(5)アプリケーション活用ビジネス

(6)事務連絡

3.その他

4.閉会

<配布資料>

資料1.第 1 回 Matsue オープンデータバンク検討委員会 出席者 名簿

資料2.Matsue オープンデータバンク構築事業

資料3.Matsue オープンデータバンク構築事業スケジュール

資料4.Ruby オープンデータバンクアイデアコンテスト in Matsue のチラシ

資料5.Ruby オープンデータバンクアイデアコンテスト in Matsue の要項

資料6.Matsue オープンデータバンク 提供データ一覧

資料7.コンテスト及び事業の評価指標

別紙:座席表、松江の OD 課題説明資料(松江市政策統計 花形室長)

当日参照資料(須藤先生から):ICT による地方創生の事例(神山町モデル)

Ⅴ.議事詳細

1.開会:事務局

2.挨拶:経済産業省 泉本 央 氏

経済産業省挨拶(事業背景等)

3.委員紹介:事務局 (株)テクノプロジェクト 藤原 邦弘

4.オープンデータ活用の必要性について:東京大学環長 須藤 修 氏

欧米では、国、行政を上げて、オープンデータの活用がすすんでいる。ヘルシンキ市とサンフラ

ンシスコ市の連携など世界の新しい動きも念頭におきながら、本事業において議論を深めていた

だきたい。

5.事業概要説明:(株)テクノプロジェクト 藤原 邦弘

本検討委員会では、下記の観点で、知見をいただき、進め方/まとめ方について検討、助言等をお

願いします。

(1)オープンデータの活用が「行政サービス」上、最大の効果を出す仕組み、課題の抽出

(2)民間主体で、データバンク運営を可能とし、関わるアプリケーションをビジネスに繋げてい

くための効果的な仕組み、課題の抽出

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Ⅵ.第 1 回委員会の議事の要旨

1.提供データを元にした利用シーンに関する検討

2.課題解決に資するアプリケーションイメージ

3.ビジネスモデル

Ⅶ.議事内容(発言者略)

1.事業概要について

松江ソーシャルネットワークのシステムと今回の Matsue オープンデータバンクとの関連につい

て確認がしたい。今後別々の運用を考えているのか。

Matsue オープンデータバンクはどの自治体のデータも格納でき、共通の API で利用してもらう

ことをイメージしている(jig.jp を例示)

行政がデータ提供する仕組みがルーチン化され、Matsue オープンデータバンクに構築されるの

であれば、将来的には片寄せしてはどうか。

共通語彙化することは大変難しい。「井之頭公園」をとっても、語彙は様々ある。

松江市にとって重要な語彙(住所、施設(構造)、観光、健康管理、保健等)を共通語彙化するこ

とが重要

2.ビジネス化(オープンデータバンク)民間データの活用

「行政サービス」上、最大の効果としてコスト削減にとどまらず、仕事を創る、納税者を増やす

こと、が考えられる。

例1)ITSJapan

・ITSJapan が安価に情報提供している。松江市のデータと連携し、災害時の避難経路や観光等、

幅広く活用できると考える。

例2)サンフランシスコ市の例

・障がい者の観光経路、子どもの遊び場、安全な経路、怪我をした際の病院の情報等を 2~3 ド

ルで提供している。

・「行政がすること」から「サービスの提供は民間に任せる」という方針。行政は、データを渡

すだけ。

・他、ボストン市、シアトル市など財政力ある都市がオープンデータの活用に積極的である。納

税者を増やす。失業者を減らす効果を期待している。

例3)民間との連携アイデア

・介護サービス、病児後保育サービスにおいて、各事業者がリアルタイムに空き情報を出す仕組

みがあると、市民、事業者双方にメリットがある。

・児童クラブの空き情報を施設毎に公開する。

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・屋外のイベント開催時に雨が降った場合の対応ができる情報提供のアプリケーションがあると

よい。

・いずれにしても民間事業者が情報を提供することのインセンティブを明確にすることが重要で

ある。

3.ビジネス化(アプリケーション)

アプリケーションイメージ

・介護施設:その日の空きが埋まり、小回りが利く仕組みをつくる。(介護事業者との連携)

・Web で空き状況を提供

・中小施設は現在 Excel で管理している

交通量データ→地元の弁当屋が利用(配食事業者との連携)

・配送時間、配送ルートの選択が可能

・松江は、橋があるためルートが難しい

・ホームセキュリティ利用者で、頻繁に利用する方の予知(セキュリティ事業者との連携)

民間参加についての意見

・データを出した方が得という方向にもっていく必要がある

・パリ市は、パリ市が積極的にデータを提供することで、企業にデータを提供させる呼び水とし

ている。

→「パリ改造計画」と連動させようとしている。

・「島根の仕事を増やそう」をコンセプトとしたい。

・松江市のような人口 20 万程度の市は、情報は口コミで広まる。行政の持っているデータだけ

で、データの有償化には結び付かない。

Ⅶ.自由討論

データベース、情報に関する討議

・ドメスティックな品や一休に登録されている店が松江にあるか?

・ローカルな情報はある。(境港大橋のたもとの店といった口コミ)

・ここにきたら地元の人と話せるというような情報が大切

・ドメスティックフードを提供する店の情報を提示

地域に関する討議

・資源が発掘されていない。松江で獲れた魚や野菜はどこで買えるのか。

・本場の本物=松江で取れたものを松江で生産(消費)

・あごのやきと干し柿がある

・松江で獲れたものを松江で使えるところがないといけない

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・藤本米穀店=仁多米のブランド化に成功している

・中村茶舗(お茶)+福田屋(菓子)=タイで共同販促されている

・民間がデータを提供する必要がある

→民間のターゲットを決めてアプローチする必要がある

・地元企業、ホテル、ゲームみたいな楽しいしくみ

・決済サービス・Web マネー

・最近では、子供にネットを使わせるのに、Web マネーを使わせている。

・武雄市図書館。TSUTAYAや、スターバックスを併設。

→公共施設の機能の変革

・松江市街地の空き家の活用

・神山町のように IT 企業にきてもらう

・行政が借り上げ、活用する例があるので、参考にするとよい。

アプリケーションに関する討議

・島根大学の精神疾患の割合は?

→発達障害-理工系に多い・物理、数学の能力は高い

・ソリューションをサポートするアプリ。相談する場の提供。

・高齢者(60 歳以上)を元気にする

・生きがいを作る仕掛け、アプリで誘導する

・男性は、目的がないと外出しない。病院にいくよりソーシャルビジネスにより生きがいつくりが

できないか。元来、松江市は公民館活動が盛んであり、全体をまとめやすいのではないか

・松枯れ:市民参加できれいにしようというイベントを実施(水源の整備)

・イベントではなく、常態的に参加できるしくみがあるといい。

・「みどりの分布」と「市民活動(情報)」が結び付くと環境活動が活性化する。

・Matsue オープンデータバンクのデータ構造を購入してもらう

・1 ダウンロード 200 円から 300 円。アプリケーションは無償で配布する形が良いと考える。

・ロードマップを見せないと民間は協力してくれない

・事例をあげる必要がある

・ハローワークの情報提供の改善

→現在、求人と求職がマッチしていない

・アプリの例、アイデアを取り入れると作りやすいのではないか

今後のスケジュール、依頼事項

・第 2 回検討委員会は、12 月 15 日(月)開催。

・資料7コンテスト及び事業の評価指標について、ご確認いただきご意見があれば後日でもご連絡

頂きたい。

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Ⅸ.まとめ

「島根の仕事を創る」については、もっともな意見をいただいた。本事業の根幹でもあるが、行

政サイドへも本コンセプトを働きかけていきたい。

サンプルは早々に要項に掲載し、公開、連携する。

アイデアは 12 月 15 日(月)以前に各委員に事前配布する。当日までに事前審査をお願いしたい。

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参-2. 第 2 回の議事録

Ⅰ.開催日時:平成 26 年 12 月 15 日(月)13:30~16:00

Ⅱ.開催場所:松江オープンソースラボ

Ⅲ.出席者 :(敬称略)

委員:5 名、主催者:1 名、共催:3 名、事務局:5 名、オブザーバー:4 名 計 18 名

■Matsue オープンデータバンク検討委員

島根大学副学長・島根大学医学部教授 塩飽 邦憲 氏

島根大学法文学部教授 野田 哲夫 氏

松江工業高等専門学校情報工学科准教授 渡部 徹 氏

(松江工業高等専門学校情報工学科教授 金山 典世 氏)

一般財団法人 Ruby アソシエーション理事長 まつもとゆきひろ 氏

松江市副市長 能海 広明 氏

■主催者

経済産業省商務情報政策局情報政策課情報プロジェクト室 泉本 央 氏

■共催

松江市政策統計室長 花形 泰道 氏

松江市政策統計室 柳浦 広光 氏

松江市政策部 田原 弘 氏

■Matsue オープンデータコンソーシアム (事務局)

株式会社ネットワーク応用研究所 清水 道雄 氏

株式会社富士通総研 高村 茂

株式会社富士通総研 坂野 成俊

株式会社テクノプロジェクト 藤原 邦弘

株式会社テクノプロジェクト 講武 由香里

■オブザーバー

松江商工会議所 渡利 氏

一畑電鉄株式会社 前田 様

まつえ産業支援センター 藤原 様

まつえ産業支援センター 山根 様

Ⅳ.次第

1.開会

挨拶

2.議事

Page 42: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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アイデアコンテストの結果

上位者の発表と審議

表彰案件の選定(優秀賞・グッドアイデア賞)

開発と試行のスケジュール

松江オープンデータバンクのビジネスモデルの検討

第 3 回 Matsue オープンデータバンク検討委員会の予定

3.その他

4.閉会

<配布資料>

資料 1.第 2 回 Matsue オープンデータバンク検討委員会 出席者 名簿

資料 2.Matsue オープンデータバンク構築事業スケジュール

資料 3.Matsue オープンデータバンク 提供データ一覧

資料 4.評価一覧

資料 5.オープンデータの活用とビジネスモデルパターン

Ⅴ.議事詳細

1.開会:事務局

2.挨拶:事務局 (株)テクノプロジェクト 藤原 邦弘

松江オープンデータバンク検討委員会の第 2 回を開始させていただきます。

須藤座長欠席のため私の方で司会進行をさせて頂きます。

・委員のメンバの説明

・松江高専渡部先生(金山先生の代理)

・オブザーバーの紹介

【目的】アプリケーション審査で民間の活用の仕方のご意見を頂く

・一畑電鉄 前田次長

・松江商工会議所 渡利 様

・資料の確認・説明

資料 1 委員会の名簿

資料 3 今回提供予定のオープンデータの一覧を掲載

資料 4 評価一覧は、18 件応募の中で得点が高い 5 件を掲載。

資料 5 本事業の二つ柱の一つのビジネスモデルの構築、パターンの検討を後半に実施。

Ⅵ.第 2 回委員会の議事の要旨

1.アイデアコンテストの審議

2.ビジネスモデルの検討

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Ⅶ.議事内容(発言者)

1.アイデアコンテストの審議(司会:藤原)

■検討アプリケーション(上位 5 位)

第 1 位 NO.14 Eventer(いべんたー)

第 2 位 NO.15 松江縁 JOY カレンダー26 点

第 3 位 NO.16 松江しじみポータルサイト「しじみ食堂」25 点

第 4 位 NO.13 松江版高度不動産情報データベース

第 5 位 NO.8 図書館 EnJoy(図書と縁を楽しむ)アプリ

■審査結果

優秀賞 NO.14 Eventer(イベンター)

○委員コメント

【利点】

・イベントが位置情報として地図上に載るので、オープンデータの活用として、イベント会

場の地理、交通情報とリンクする点がいい。

・アイデアは想定していた内容。まとまったアプリケーションの作成が期待できる。

・観光用としてのアイデアだが、「子育て」の情報が加わると、市民も使えるアプリになる

可能性がある。

・アプリケーションとしての提案は洗練されている。

・イベントの参加者がコメントをつけられるというのはレベルが高い。

・地域住民向けの情報を登録すればいいだけ。タグによって使い分けができる。

【弱点】

・場所と時間だけでは足りない。さらに情報を付け加えるといい。

・データ運用が可能か気になる。

・オープンデータのうち、どのデータを使うか明確でない。

次 点 NO.15 松江縁 JOYカレンダー

○委員コメント

【利点】

・松江市民向けのアイデアと言える。

・松江市が持つオープンデータの有効活用が可能。

・活用するオープンデータが幅広に縁 JOY カレンダーは記載してある。

・アプリケーションのベースにある地域活性化が可能。

・データ運用は可能。イベントの登録作業も記載有。

・汎用性が高い。

【弱点】

・位置情報の記載がない。位置情報は必要。

・アプリケーションとしての提案は足りない。

・イベント中心の考え方で、イベント集めて何に活用するかがわからない。

・アプリケーションの作成に不安(応募の提案を見る限り)。

Page 44: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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グッドアイデア賞 NO.16 松江しじみポータルサイト「しじみ食堂」

○委員コメント

【利点】

・絞り込んだ題材であり、アイデアとしてはとてもいい。

【弱点】

・題材を絞り込みすぎると、使用する人が少ない。

・オープンデータを使うほどの事案ではない

■委員コメント(自由討論)

【松江市のオープンデータについて】

○質問(確認)

・イベント情報自体は、集約的にだせるか。

・アイデアで必要とされているイベント情報は、初期データとして松江市から全部出されてい

るものがあるという認識でいいか。

・細かく二次利用できるか、リアルタイムでだして、誰でも使えるようになっているか。

○回答

・松江市で把握しているものはだせる。

・市民から、「役所のデータ以外も一緒に情報提供してほしい」、「子育て世代の方の情報が欲し

い」というニーズが多い。

・担当者は、市役所、民間の情報をまとめて提供しないと利用者が満足しない、と言っている。

・入力ツールがあり、カレンダーツールに情報をためて、そこからデータバンク連携すれば、

比較的簡単に情報が集まる。

・民間に ID・パスワードを渡して、入力してもらうやり方もある。

【民間のイベント情報について】

・松江市以外の民間のイベント情報を集めるのは大変である。

・島根県内で情報を一番多く登録されているのは、「しまね観光ナビ」。

・「しまね観光ナビ」は、主催者がそれぞれ IDを持ち登録している。そこから松江市へ横流し

をし、提供したい。

・最初は、市役所の全部署が情報をいれ、運用は必要な人に ID を配り登録するような運用実

験をしたい。

・「しまね観光ナビ」と松江オープンデータの連携はない。

・松江商工会議所は、地域連携協議会になる。(観光に特化)中海宍道湖圏域の情報を収集して

いる。(米子、境港も含む)

・当面今年度は、既にオープンデータとして活用できるものを、オープンデータ化するところ

まで。

・観光の細かい情報をアップすることが必要。子育て情報等も、松江市で行うイベントの情報

に連携させると、観光客も利用し、市民も利用できる。

【「子育て」情報について】

・「子育て」のイベント情報があれば、松江市民も使えるアプリケーションになる。

・行政の情報だけではなく、民間も含めていろいろな情報が欲しい。

・「子育て支援センター」、「ファミリーサポートセンター」が一番よく把握しているので、そこ

で登録するように。

・大きいイベントは県民会館等施設で登録してもらう。

・子育て関係の情報は、ペーパーが多い。ペーパーからの広がりはないので、それをオープン

データに加工し、入力しやすくすればもっと広がりがもてる。

・子育て関係の情報は強く求められている。

Page 45: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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【ビジネスモデル化について】

・ビジネスモデル化しようとすると、かなり特定のもの(たとえば観光)のほうがやりやすい。

・アプリケーションのベースとしては、地域活性化をメインで考えていい。

・閲覧者を増やすことを優先されること。民間企業から広告収入とあるが、利用されないと広

告が集まらない。

・アプリケーションで情報が収集できることを定着させ、次のステップでビジネス化を考えた

らいい。

【アプリケーションについて】

・「イベント登録、検索」というアプリは、結構類似のものがある。こちらの方が優位性がある

とするには、データが充実している必要がある。

・見せ方も重要。

・facebook のイベントと連携できるといい。そういうアプリを確立すると、利用範囲が広がる。

・まず多くの人に使ってもらうことが必要。Twitter 連携 facebook 連携をうまくやれば、見る

人は増える。

【データの登録(充実)について】

・「しまね観光ナビ」に写真はない。(差別化)

・公民館等に登録できるやさしいインターフェースを用意し、逐次更新してもらう方法は可能

ではないか。

・日常的に使う情報が入ればおもしろい。

・オープンデータのイベント情報のなかで、自分の位置や時間とマッチして、プッシュしてく

れるものがあるといいと思う。(例:不燃物の日)

・パーソナル向けになるといい。

・子ども予防接種等を教えてくれるアプリはよく使われていると聞く。広告のマーケティング

に活用できる。

・がん検診は可能。

・松江市出資により市内に Wifi の設置を進めている。開発中の観光アプリとオープンデータ含

め連携は可能。

・Wifi の設置は、運営は民間で行い、ある程度制限はかけるが、地域の人が情報を登録するこ

とが可能になる。

【一畑グループの例】

・一畑グループでは 16 社それぞれがホームページを持っており、各社一人担当をきめてメンテ

ナンスしている。

・ただ、日常の業務の合間で情報をメンテナンスするのは負担になっている。

・情報を提供する側メリットがないと、情報提供してもらえないと考える。

【まとめ】

優秀賞は「Eventer(いべんたー)」、次点で「松江縁 JOY カレンダー」チーム、アイデアは松

江しじみポータルサイト「しじみ食堂」でよろしいですか。

○一同承認

後日確認して、状況は委員の皆様に共有させていただきます。

課題がでたら相談させていただいて、解決が難しいようであれば、次点の方にお願いすること

もあるかもしれません。

これでアイデアコンテストの審査を終了します。

2.松江オープンデータバンクのビジネスモデルの検討

第 1 回委員会からの継続

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資料 5 を用い、事務局で整理したビジネスモデル検討を説明

■資料 5:松江オープンデータバンクのビジネスモデルを 4 パターンに分け説明

○「松江オープンデータバンク」の役割

・アプリケーションを開発するインフラまたは母体

・松江市のデータをオープンデータ化し管理する

○パターン(お金の出し手)

(1)パターン A(プロバイダー企業)

・「プロバイダー企業」=「広告モデル」を前提。

松江オープンデータを使い、アプリケーションを通じて、市民に情報提供

(2)パターン B(ユーザー企業)

・「ユーザー企業」=オープンデータバンクの情報を利用、加工する。

例)帝国データバンク

(データに付加価値を持たせ、企業等に販売。企業等が付加価値のあるデータを使い、

新規の商品・サービスを開発して販売する。)

(3)パターン C(松江市)

・松江市がアウトソーシングし、松江市のオープンデータ管理、加工を担う。

(4)パターン D(「他地域」)

・近隣地域、県外に展開。(1)~(3)のパターンで課金。

○4 つのパターンのメリットデメリットを裏面で説明

3.ビジネスモデルについて自由討論

(1)行政効率化

・オープンデータにすることで、自治体への問い合わせが減り行政の効率化が図れる。

・オープンデータ自体で行政の効率化が図れるというのは難しい。

・松江市からデータを出すために掛けているコストは数値として出してない。

・現在の情報発信方法(HP 等)は変わらないので、コスト削減にはつながらない

・既にオープンデータを活用している自治体では、自治体が出来ないサービスや手一杯になっ

ている業務を、情報を公開する事により、ボランティアや NPO に担ってもらい、コスト削

減に繋げている。

例)千葉市:千葉レポ

オープンデータを使い、全体のコスト削減を図り、行政と民間との共同で将来的にそ

こをビジネスにするようなところも現れる可能性も考えられる。

(2)オープンデータと広告データ(有償データ)の区別化(課題)

・プロバイダー企業や広告を出したい人が広告情報をオープンデータバンクへ登録すると、オ

ープンデータに広告のデータが混じることになり、オープンデータなのか商品サービスの情

報なのか区別がつかなくなる。

→グーグル:検索結果の広告は、広告と明示している。

(3)松江オープンデータバンクついて

①オープンデータ(公開中の無料データ)の課金について

・付加価値をつけ、それに対してお金を支払ってもらうストーリーを設け、そこに魅力を感じ

てもらうような形での情報を提供する。

・市役所のオープンデータは、PDF 形式や Excel 形式が多い。

・CSV 形式 RDF 形式等、アプリケーション開発者が加工しやすい形であれば、アプリ開発者

に販売が可能と考えられる。

・アプリケーションが API 化され、適宜アップデートされ、API 形式のものが有償で手に入る

ことは、付加価値として十分。

Page 47: 平成 26 年度電子経済産業省構築事業 (オープンデータを活用し … · (オープンデータを活用したビジネスモデルの 構築に向けた実証事業)

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・そのデータを基に各種アプリケーション開発者が、オープンデータバンクにお金を出す。

→それが主軸になり、その次の段階でパターンBが出てくる。

・松江オープンデータバンクとしては、松江市のデータを使えるかどうか、かつ、検索可能で

あるか検討し API 化して提供。さらに、アップデートした最新の情報を提供する。

・アプリ開発者の方から運営企業に矢印(お金の流れ)があってもいい。

・オープンデータだけで課金は難しい。ユーザーにとってメリットがないといけないし、支払

う側にとってもメリットがないといけない。

・海外の事例で、必要だと社会が認めれば、課金が出来る事例がある。

例)遊び場、安全な場所・ルート等の子育ての方や障がい者の方向けの情報

②有効活用について

・松江オープンデータバンクが、アプリケーションを作成し主体で運営する。

・ここの地域の情報が欲しいというエンドユーザのニーズに対し、それを提供するユーザー企

業がでてくることも考えられる。

・オープンデータバンクの利用によるアプリケーションとのパッケージで、有効展開が必要。

(4)事例(既存及び想定)

①一畑電鉄様

・パターン B で、公共データ、プロバイダー企業のデータを組み合わせることにより、新規の

商品・サービスの開発が可能。

・ユーザー企業からオープンデータバンクの方へ矢印が出る。お金の流れも出てくる可能際が

ある。

例)一畑百貨店

売上のデータとその時の入店者数。過去の天気。そういうデータを利用すると、お客

様の出足が予測可能になる。バスやタクシーの情報と組み合わせることで、予測精度

が上がる。オープンデータを組み合わせることで、価値あるものにできる。

②島根大学の研究例

・健康、職業等の生活データを集めそれを地理情報の上にのせ、地域医療や災害対策に使って

いただく。

・地理情報にのせると、いろいろなマーケティングに使いやすい。

・町丁目単位で平均化したような形で提供すれば、ビジネスに使えるものになるのではないか。

・パターンCの形で、全世帯を地理情報にのせると下水道の設計だとか上水道の設計だとか、

さまざまな事に使える。

・市町村レベルだと専門家がいなくて地理情報が活用できていない。

・研究者は、ある程度契約を結んで個人情報が扱えるので、大学ならではのビジネスは成立し

ている。

例)地理情報の上でオープンデータ活用

・介護事業者へのビジネス

介護サービスや医療サービスを質の良いものを購入したいというニーズがある。需要

と供給がマッチしていない。例えば、高度な個別ニーズに対応できるヘルパーさん、

看護師のビジネスが成り立つ。と言うようなところが、オープンデータから見えてく

る。

・外商

売れている場所は、田舎でなく団地の高齢者とか公務員とか教師とか。新規開拓をす

る際に、広い範囲で地理情報の上でオープンデータがあるとマーケティングに使い易

い。

・警備

独居で、介護士が見ている、周りに親戚がいない、遠方にしか子供がいないという情

報から、最適な巡回ルートの設定や、プラスアルファのサービスが開発できる。

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(5)松江市の情報について

①健康情報(検診データ・医療データ)

・健康情報は、個人情報の為マスキングが必要。

・介護保険情報は全市網羅的に可能。

・検診は、受信率が悪く年齢層も限られる。

・スウェーデンは個人データを匿名化して販売。国が利益を上げている。

・子育て関係は、サービスの担い手が、民間に移行しつつある。情報提供し、民間の情報とサ

ービスを受けるという志向性を持てばオープンデータが意味をもつ。

例)予防接種、クラブ空き、学童の特色

・福祉情報は難しい。IT リテラシーのあるユーザーでないと情報を見ない。

②子育て情報

・松江市の子育ての情報は整理されている。見やすい。

・保育所預ける時に、住所以外で職場の近くで預けるとかいう融通性はきく。

・アプリケーションで保育所や病時保育で空きが検索できると、利便性は高まる。

・基本的な情報は出しているが、タイムリーに出せない施設もある。

(6)アプリケーションについて

・アプリケーションだけでは解決しない事がある。アプリで、その場を紹介するとか、機関を

紹介するのはいいけど、それ以上踏み込むとアプリの世界だけでは難しい。

・アカウント認証機能を付加し、意欲がある人に会員登録してもらう。(高い値段でない API

使用料)

・一般市民からのお金の流れが、考えられる。

・一般市民のアプリダウンロード(課金)というパターンがある。

・一番利用されているアプリケーションに「ゴピナス」がある。

→ダウンロードされているが、活用されているのかは解らない。(データを整理するのが

大変)

①介護施設向けアプリケーション

・運営企業、アプリ開発者がデータを利用し、データを更に加工していくことによってビジネ

ス化していく事は問題ないと考える。

・例えば、介護施設が 10 社あって、100 床ある。今 2 床空いているとしたら、その 2 床に入

る為には費用がいくらかかるのかとか、補助金はいくらもらえるのかを計算するアプリがあ

れば、利用に対してお金を支払う市民はいると考える。

②交通情報アプリケーション

・松江は、交通情報が非常に欠如している。

例)・松江駅~松江城までのタクシー料金が簡単に分かれば、例えば、3 人の場合はバスで

行くよりもタクシーで行った方が安い。とかが簡単にわかる。

・何時何分の何番線のバスに乗れば行先に行けることが、簡単に分かるアプリがあれ

ば、そのアプリを市民が購入し利用する事は可能ではないか。

・市民が利用し、事業収入を上げていくという事を考えるのは、運営企業であると考

える。

・例えば観光場所からホテルまで帰る場合、タクシー料金を知りたい時に、アプリで位置情報

をキャッチし、そこからホテルまでの料金、更に夜間料金まで計算するアプリがあれば全国

へ展開が可能ではないか。

・バス会社の停留所は、位置情報で確認出来ない。

・今都会では、前のバス停を出ましたと出るバス停がある。1 回位置情報を生成すれば、出来

るのではないか?

③チラシポスティングアプリケーション

・チラシ配布は、かなり有効なデータベースを必要とする。データがあれば、もっと対象を絞

ってポスティングができる。

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・町丁単位の人口構成だとか、学童の情報とかがあるだけでだいぶ違う。

・小学校、今度 1 年に入る子供の数とか。

・松江市で、国勢調査の情報は表と地図で出している。県の同型 DISマッピングに落としてい

る。

(7)広告の表示方法

・アプリの使用状況、使用時期と地理情報を組み合わせて、個人のアクセス内容に適した広告

を載せる。

・使用履歴、情報履歴を活用。

(8)運営企業体について

問)運営企業体はどうか。民間でも NPO があると思うが。

・図書館業務を民間に出し、貸出情報をオープンデータ化するというのは、ターゲットがはっ

きりして分かりやすいが、そんな事をしたら、大変な事が起こる。

・基本的にオープンデータは、誰でも使用出来るデータというのが前提で、そのさらに向こう

のデータを提供してもらうには、企業体なりがしっかりしていないといけない。

Ⅷ.まとめ

・まず、誰でも参入可能なモデルとして、松江市が提示するオープンデータを使い易いように

加工します。その後、付加価値という点を考慮し、本日のご意見を整理し、次回 3 月の検討

委員会では、金額等デジタルな数字を詰め、ビジネスが可能なモデルというものをご提示で

きればと考えます。

・ログの話が出ませんでしたが、場合によっては最大のウリとなります。

・アプリケーションの開発も進めていきます。実際には次回の委員会の前に、職員様のご協力

もいただき、課題に結びつくのかとういう観点で検証したいと考えます。

・アプリは 1 月末には開発終了、公開予定です。内容によって公開制限があるかもしれません。

以上で第 2 回の検討委員会を終了します。ありがとうございました。

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参-3. 第 3 回の議事録

Ⅰ.開催日時:平成 27 年 3 月 2 日(月)13:30~16:00

Ⅱ.開催場所:松江テルサ 研修室1

Ⅲ.出席者 :(敬称略)

委員:5 名、開発者:1 名、主催者:2 名、共催:3 名、事務局:6 名、その他:2 名

計 19 名

■Matsue オープンデータバンク検討委員

東京大学大学院情報学環長・大学院学際情報学府長 須藤 修 氏

島根大学副学長・島根大学医学部教授 塩飽 邦憲 氏

島根大学法文学部教授 野田 哲夫 氏

松江工業高等専門学校情報工学科教授 金山 典世 氏

一般財団法人 Ruby アソシエーション理事長 まつもとゆきひろ 氏

■アプリケーション開発者

清井 孝裕 氏

■主催者

経済産業省商務情報政策局情報政策課情報プロジェクト室 室長補佐 宮里 孝則 氏

経済産業省商務情報政策局情報政策課情報プロジェクト室 泉本 央 氏

■共催

松江市政策統計室長 花形 泰道 氏

松江市政策統計室 柳浦 広光 氏

松江市政策部 田原 弘 氏

■Matsue オープンデータコンソーシアム (事務局)

株式会社ネットワーク応用研究所 清水 道雄 氏

株式会社富士通総研 高村 茂

株式会社富士通総研 坂野 成俊

株式会社テクノプロジェクト 藤原 邦弘

株式会社テクノプロジェクト 講武 由香里

株式会社テクノプロジェクト 白鹿 由美

■その他

松江工業高等専門学校情報工学科准教授 渡部 徹 氏

小松電機産業株式会社 伊藤 圭佑 氏

Ⅳ.次第

1.開会

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挨拶

2.議事

(1) Ruby×オープンデータアイデアコンテスト in Matsue 優秀賞報告

① アプリケーション紹介

② 開発者からみた松江オープンデータバンクの課題、要望

(2) 松江オープンデータバンクの紹介

(3) 松江オープンデータバンクのビジネスモデル

(4) 松江オープンデータバンクの今後の展開

3.その他

4.閉会

<配布資料>

資料1.第 3 回 Matsue オープンデータバンク検討委員会 出席者 名簿

資料2.Matsue オープンデータバンク 提供データ一覧

資料3.アプリケーションへのコメント

資料4.アプリケーション広報状況

資料5.Matsue オープンデータバンクのビジネス化の取り組み

資料6.Matsue オープンデータバンク(MOB)

資料7.Matsue オープンデータバンクサイトご紹介

参考:第 2 回 Matsue オープンデータバンク検討委員会議事録

Ⅴ.議事詳細

1.開会:事務局

2.挨拶:須藤先生

先週行われた地方創生 IT 利活用推進会議において、地方の「まち、ひと、しごと」を活性化し

たいという総理の強い意志があり、石破大臣も熱心に動かれている。これを基盤にしてもっと発展

して欲しい。先週、IPA と「データの高度化」委員会もあり、今後、マイナンバーも絡めて、伸ば

していこうと、経済産業省と IPA が考えている。私から他の関係省庁にお願しようと思っているが、

松江はいいモデルになると思うので、より一層飛躍していただきたい。特に、「介護・予防医療」

は重要になる。アプリの開発も重要になるので、力をいれていただければと思う。そこを考慮して

おけば、財政的にも国からお金の措置、その後マネタイズして事業をまわす仕組みも組みやすいの

ではないかと思う。今後ともよろしくお願いします。

Ⅵ.第 3 回委員会の議事の要旨

1.アプリケーション紹介、松江オープンデータバンクの課題、要望

2.松江オープンデータバンクの紹介

3.松江オープンデータバンクのビジネスモデル

4.松江オープンデータバンクの今後の展開

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Ⅶ.議事内容

1.アプリケーション紹介、松江オープンデータバンクの課題、要望

アプリ開発者の清井さんから、アプリケーション(以降 Eventer)のプレゼンテーションを実

施。

委員の皆様には、資料3の「松江市 WG の方々の Eventer 検証結果のコメント」と「第 2 回委

員会の議事録」に記載のご意見を参考にしてご意見をいただきたい。

(1)Eventer の説明

① 元のアプリケーションのコンセプトと、開発にあたり広告と子育て世代向けにカスタマイズ

を行ったことの報告

② デモンストレーション

③ 今後の課題

・Facebook、Twitter との連携

・利用者ログ(年齢層、性別、子ども、参加したかどうか)

・おすすめイベント等の通知機能

(2)Matsue オープンデータバンク(以降 MOB)への要望

①データの利用

・API を提供してもらうと開発がしやすい。

・場所は、GPS 情報を含んでいると利用しやすい(松江市役所なら北緯~度、等)。今は google

のデータを検索して出している。

■委員コメント

・吹き出しが重なり、見せ方がだぶるのが課題

→どう見せていくかが課題。リスト形式で出すことを検討中

→Google マップなら、ピンをたてると見やすい

・吉田君の初期値は自分のいる場所なのか

→端末によって表示場所が変わるという問題があり、今は松江市役所を初期値としている。

・資料3の市の職員様の要望

→イベントのカレンダー表示

→詳細画面に写真がほしい

・イベント登録について

→登録自体はどの職員も簡易にできた。ただし、確認をする際に、当日イベントのみが表示され

るので、反映されてないように思ってしまう、という問合せが多かった。

・エリアの制限は 500m 以内~10km 以内に設定。イベント参加の可能性を考慮し、10km までと

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している

・予防接種等の情報を登録すると情報が結構な量になる

→カテゴリで絞り込みはできるが、少ない操作で切替できるようにするかが課題

・利用者が自分でイベントを追加できる機能があった方が、利用率はよくなる

・行政情報は大量で、行政では管理しきれない。行政の組織的な動き(CMS で編集して記事を作

成する人+承認する人)と個人の動き(いろいろな人が自由に発信)という二つの動きを分けた

ほうが良い

・オープンデータとして役所が持っている情報と民間が持っている情報の区別が必要

→区別することで、民間の情報は費用がとれる。

・予防接種等は生活圏内で表示されるより、カレンダー形式で表示されたほうが使いやすい。遊び

に行く予定でイベント検索する場合は、マップで表示されたほうが使いやすい。

・インフルエンザ感染状況の情報を登録すると親の利用率が上がる。親が自主的に情報を登録して

くれる。データの取り方も、公式データと親の入力データを比較するとおもしろい。

→「まめネット」の薬局データでは実現できないか。小児科医に聞くと、はっきりと広がりが分

かる。その情報とイベント情報を合わせると「使える」情報となる。

2.松江オープンデータバンクの紹介

・デモンストレーション

■委員コメント及び応答

・イベント会場の緯度経度情報は用意されているのか

→用意が必要。保育所情報は今回登録されている

・松江ソーシャルネットワークマップは地図が3種類から選択でき、緯度経度は Google Map を利

用し、マッピングしている

・データを入力する人の管理階層はどのようになっているか?組織に対応した管理階層を考えてい

ないと、管理者だけが忙しくなり、現実的でない。

・松江市の CMS と組み合わせて、将来的には MOB にデータが届くようにできたら良い

・メタデータは、テンプレート作成時に作成する

・CKAN に登録するメタデータは、MOB での登録作業終了とともに、CKAN にデータ出力される

仕組み

・ログイン権限は、テンプレート作成権限、データ登録権限、データ利用権限と分けている

・データのメタデータを作るのが大変。データ寄りでテンプレートを作ると入力する側の手間が大

きい。職員にあわせると使えるデータ構造にならない。

・国のデータカタログサイトは、管理担当者が職員から情報を収集するときにメタデータを整理し

登録している。管理者の負担が大きい。日常業務に組み込むことができている役所はない。松江

市役所の業務効率化のためにも、そこの連携が今後の運用で重要になる。

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・共有基盤で検討しているメタデータ、それをベースにしたタグの貼り方は踏襲しているか

→テンプレート作成時に、どの共通語彙基盤を使用するかを設定している。

・語彙データベースが稼働すれば、テンプレートごともってきて使える仕組みを用意している

■Ruby×オープンデータアイデアコンテスト in Matsue 優秀賞の表彰

須藤座長より、清井氏へ表彰状授与

3.松江オープンデータバンクのビジネスモデル

第 2 回委員会からの継続

資料 5 を用い、事務局で整理した松江オープンデータバンクをパターン分けし、それぞれのパタ

ーンのメリットデメリット、ビジネスモデルを説明

○「松江オープンデータバンク」のビジネス化の取り組み

○Eventer のビジネスモデルパターン(お金の出し手)

(1)広告モデル(ユーザー企業)

・収支見込:5 社×1 万/月=60 万/年

(2)ユーザー情報提供モデル(ユーザー企業)

・収支見込:5 社×1 万/月=60 万/年

(3)行政アウトソースモデル(松江市)

・年間 50 万円程度必要

○Matsue オープンデータバンクのビジネスモデルパターン(お金の出し手)

(1)データの加工・販売モデル(ユーザー企業)

・収支見込:30 社×1 万/月=360 万/年

(2)オープンデータの活用支援モデル(ユーザー企業)

・収支見込:個別案件ごとに費用を確保

■委員コメント

(1)広告モデルについて

・マーブルテレビの広告料はいくらか

→月一回のロケ込みで 8 万円支払っている。

→マーブルと提携してもいい

・松江市の広報誌、ホームページ(バナー)の民間の広告は、広告料をとっている

・「(1)広告モデル」が一番現実的に広告料がとれると考えている

・一畑電鉄の駅の広告は観光客にとって広告効果があると考えられる

・商工会議所のデータのニーズはどうか?商工会議所ならお金をプールし外部へ委託して、デー

タ加工や行政情報を分析するということができるのではないか。

・利用することにより、どのような価値があるのかを見える化することが必要。効果が図れると

広告媒体として利用が可能。アプリの強みは個人の特定ができること。「ランチの情報をプッ

シュで通知、それによりランチの売上がアップした」や、「イベントの通知をその媒体を使う

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事で来てほしい層に深く届かせることができ、イベントに何人集まった」など。見える化でき

ると、行政、事業者も広告料を出す。

(2)行政アウトソースモデルについて

・松江市にとってコスト削減を実現する具体的な取り組みが考えられるか

→一般に、自治体は行政に興味のない世代へのアプローチを課題としている。アプローチ

が困難な世代(30 代)へのアプローチとして、Eventer のような属性ピンポイント型アプ

リケーションを使用し、興味を引きそうな就活講座、パパママ講座等の情報を提供するの

はどうか。

・お金を出す際、新しくプラス αは難しい。なにかを削減しなければ難しい。

→松江市で配布している市報(おそらく 500~600 万円)を1割を減らすとすれば、費用は

算出できる。

・バスの路線、交通利便性をアプリに加工するとビジネスになりやすい。イベントや花火があっ

た場合は、駅周辺は駐車ができず、バス利用が増える。市バス、一畑バスの情報だけでも入っ

ていると利便性が高まり、利用者が増える。

・地理情報をベースに交通網の情報を提供すると、配送業者や小売業者の利用は増える。ただ提

供する単位が大きい(人口等)ので提供する範囲が難しい。提供の仕方をアクセシビリティを

基礎とした考えにしなくてはならない。

・松江高専の学生が主で時刻表データを登録しているが、バスの位置情報がない。位置情報をス

マートフォンのアプリで業務用に使用できれば 100 数十万もうかるだろう。それを市民も利

用したらよい。

・イベント情報に、会場に行く為のバス乗り場の情報をつけるといい

・無料アプリケーションの「ボイストラ」をぜひ使って、アプリに言語を勉強させてほしい。緊

急対応の言語データが入っているので、災害時に便利である。

・Eventer を使用している人に災害時の情報を配信したい。災害が起きた時にどこに避難したら

いいか等。

・アウトソースモデルについて。50 万円の価値があるかどうか。まず、予算が必要だが、現在

メディア上で確立されていないため困難。あるとすれば広告媒体の価値としての 50 万円。だ

が、無料で広告を出してくれる事業者はたくさんいる。その事業者に情報を送れば、媒体やス

マートフォンに広告として出してくれる。差別化、別の価値が必要。

・この媒体を使うとどれだけ価値があるかを見える化しないと売り込みづらい。ターゲットのユ

ーザーに対してどれだけ有効性があったかを追求する事が必要。アプリケーションの強みは、

個人の属性が取れる、push ができる等である。行政のイベントにアプリを試行的に組み入れ

ていくという動きがでてくると面白い。

・以前、松江市で携帯電話で子育て世代に予防接種情報などを情報提供していた。広報誌も紙媒

体で子育て世代に人気。そのような人にスマホで情報提供するといいサービスになる。

(3)Matsue オープンデータバンクのビジネスモデルのパターンについて

・(1)データの加工販売モデルと(2)オープンデータの活用支援モデルの違いが分からない。ユ

ーザーがオープンデータを加工して販売してしまったら、MOB としての利益はなくなってしま

うのではないか。

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→無償で提供するものと、有償で提供するものを仕分けることが課題。例えば、松江市からのデー

タそのものは無償とし、データを組み合わせたもの(MOB で加工)は有償。ただし、どういうデ

ータにニーズがあるかは、今後マーケティング等で調査する必要がある。

・例えば一畑では公共、民間データ関わらすどのようなデータなら購入してもらえそうか

→一畑で高齢者向け宅配お弁当サービスを行っている。その場合、松江市の町・丁項目別の人口デ

ータを利用し、データ分析し、地区の絞り込み、ルートの検討が行えるのではないか。

・MOB は、松江市のデータを提供するという形なのか、事業者がこういうデータが欲しいと言え

ば提供してもらえるのかが疑問。

例えば、図書館利用情報の月刊の貸出し数のデータは利用しにくいが、このような本が何冊貸し

出されたという情報をオープンデータにすれば、本屋が利用し店舗での販売に活かせるのではな

いか。

・データを使う民間側がデータを整える(データ形式を揃えてもらう)のと、MOB 側が加工して

データを整えるというのでは、サービスが違ってくる。松江市は優秀な IT 技術者が多いので、

巻き込みやすい。

・経済産業省としては、どこに売り込んでいくか、どこに営業していけばいいのかを共有できると

いい。できるとこは協力したいと考える。

4.松江オープンデータバンクの今後の展開

・資料 6 説明

■委員コメント

・MOB のサービスを導入コンサルで考えているが、これからは疑似クラウドにしてしまえばよい。

経常的にメンテ、データ解析し、上乗せして料金をもらう。富士通と提携でもよい。データ管理

が重要なので、そこを MOB で請け負うというサービスでもよい。(アクセス分析や統計分析も

含める)管理責任、費用が莫大なので、クラウドで別機関に頼んだほうが良い。監督権限のみ持

つ。日常メンテはしない。

・現在市役所では業務を止めることなく、同時にオープンデータ化していく仕組みを予算化しよう

としている。手間をかけずに運用したい。

・島根大学のオープンデータへの取り組みについて。今年もプログラム授業でオープンデータを活

用したビジネスモデルコンテストに応募した。実際にアプリを作って行政や産業で共同してつか

えるようなアプリ開発ができれば良い。

・島根県は IT の予算が莫大。島根県はオープンデータの動きはまだない。「観光」のキーワードを

使用すれば予算がつくのではないか。

・県は IT 企業の誘致。IT 技術者の UI ターンに力を入れている。

・県は共通語彙の基盤が安定して確立したら力を入れてくる様子。経産省と国交省と連携している

関係により、土木関係は入札情報や設計情報をオープンデータ化するなど、取り組みは始まって

いる。お互いに意見交換すべき。生活圏、商業圏をともにしているところと連携するのはとても

よいこと。

・これを使うとどのように楽になるかという、シナリオ作りをしていきたい。MOB にある先行事

例をどのように集めるか課題。コスト削減の見せ方等。

・コスト削減についてある程度定量化して見せることができるといい

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・データ使った分析の見せ方が重要。可視化アプリがアメリカで非常にでている。フリーウェアを

たくさん使っていけばよい。

Ⅷ.まとめ

・来年度以降の動きの確認。来月の今頃には MOB オープンの案内をだせるように努力する

・事業自体はあと 1 ヶ月継続します。今日の課題・取り組みを、きちんと効果がはかれるようにす

るのが大事。IT を使ってなにができるかを横展開していきたい。松江発のモデルをまとめ、政府

全体でしっかり打ち込みたい。まず、自治体の取り組みをバックアップしていきます。

・Ruby は世界的に広がっていて、今では Java より多くのシェアを占める。Ruby を使っていろい

ろアプリケーションを作っていただきたい。

メタデータの共通化・共同化は、OECD諸国で取り組みが始まっている。先進国ではまず医療系

のデータをお互いに構造化する。イギリス・アメリカは 2014 年 1 月、健康データの共同管理で

共通メタデータを使う事が決定した。日本も健康データを使用し、アプリケーションをつくれば

良い。それを事業としてマネタイズしていく仕組みが重要である。今後考えていけば内閣府も予

算をつけるであろうし、高齢化問題、地方活性化問題に連動する。産官学の連携をこの山陰で組

織できるようにしたい。

・オープンデータの可能性はいろいろある。とにかくたくさん公開していきたい!と思うので、ど

んどんデータを公開してもらえると加工ができる。とにかく「公開する」ことが大事。

・お金を支払ってでもデータを集め、こちらで構造化し、集積させる方がよい。その場合、委託で

きるなら MOB で構造化してもらいたい。

・集めたデータを分類したり加工したりして、届けるだけでも、ビジネスにつながる。どういった

情報が欲しいのかの情報を集めて、パーソライズしターゲット広報ができる。そのためにも、「デ

ータ集めて配る」という枠組みを早くつくるべき。

・内部の業務効率化のため、データクレンジングを予算化している自治体もある。すぐにフォーマ

ットにできなくても、将来的なフォーマット作りも合わせて行う。

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構築に向けた実証事業)

平成 26 年度電子経済産業省構築事業

(オープンデータを活用したビジネスモデルの構築に向けた実証事業)

【報 告 書】

平成 27 年 3 月発行

経済産業省

〒100-8901 東京都千代田区霞が関 1-3-1

電話番号 03-3501-2964

http://www.meti.go.jp/

委託先 Matsue オープンデータコンソーシアム

株式会社テクノプロジェクト(幹事会社)

株式会社ネットワーク応用通信研究所

株式会社富士通総研