レポート 資源メジャーの最新生産動向(2014年10...

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2015.3 金属資源レポート 1 5572014年度通期(1〜12月)における資源メジャー各社の鉱物生産量は、鉄鉱石が過去最高を記録した事を除けば、総 じて前年並みの結果となった。非鉄金属では鉱石品位の低下やリストラ(売却、休山)、事故による生産量の減少を生 産性の改善や新規、拡張案件のランプアップによる増産が補っている状況にある。代表的な鉱種別にみると、銅は Glencore (Katanga、Muanda:DRコンゴ)、Vale (伯Salobo)、Rio Tinto(モンゴルOyu Tolgoi)の新規・拡張のラン プアップが大きく伸びたが、南米を中心とする鉱石品位の低下が全体の伸びを抑制した。鉛、亜鉛も同様の傾向と言 えるが、新規・拡張は件数、生産量ともに少数であり、鉱石品位の低下や閉山によるマイナス分を埋めきれずに純減 となっている。ニッケルは鉱石品位の低下と事故による生産停止が足を引っ張っている。プラチナ等は長引いたスト ライキにより、大幅な減産となった。また、石炭は生産性の改善による増加がみられる一方で、年の中頃から後半に かけて大規模な休山や売却計画が相次いで発表されており、2015年度は大きな減少が見込まれる。 中国や欧州を中心とする鈍い資源需要による価格下 落は底が見えず、ついには鉄鉱石と銅までに顕著な影 響を及ぼしている。特に鉄鉱石の価格は年初から半値 に急落し、各社の収益の柱を直撃している。ここ数年 間に渡る石炭価格の低迷も含め、3大コモディティ(鉄 鉱石・銅・石炭)のネガティブな成長は、2011/2012年 度以降に各社が進めてきたポートフォリオの見直しを 再び加速させるトリガーとなっている。 それが表面化した案件として、石炭ではAnglo Americanの豪州における主力事業の売却計画発表や同 じく豪州でのGlencoreによる大規模減産の決定であり、 また、非鉄関連ではBHP Billitonによる非鉄事業のス ピンオフ決定(株主承認を必要とする)、同じくValeによる非鉄事業のスピンオフ(計画段階)、Glencoreが24%株式を 保有するLonmin社からの撤退が挙げられる。 鉄鉱石価格は大手3社が追加の増産プロジェクトを計画どおりに進めている一方、世界最大の鉄鉱石需要国である 中国の先行きが不透明である事から、供給過多の状態が当面続くと予想され、急な反転は考えにくい。大手3社の生 産コストからすれば、現在の価格でも利益は出せるものの、数年前までの状況と比較すれば規模感は劣後するため、 株主への配当、企業価値の維持など、具体的な数字での説明責任を果たすために、集中事業領域に絞り込む動きは今 後も続く事が予想される。 以下は、資源メジャー5社の(2014年度10〜12月期および通期(1〜12月))における主要鉱種のサマリーである。 資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月) 調査部金属資源調査課 10 12

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2015.3 金属資源レポート 1(557)

 2014年度通期(1〜12月)における資源メジャー各社の鉱物生産量は、鉄鉱石が過去最高を記録した事を除けば、総じて前年並みの結果となった。非鉄金属では鉱石品位の低下やリストラ(売却、休山)、事故による生産量の減少を生産性の改善や新規、拡張案件のランプアップによる増産が補っている状況にある。代表的な鉱種別にみると、銅はGlencore(Katanga、Muanda:DRコンゴ)、Vale(伯Salobo)、Rio Tinto(モンゴルOyu Tolgoi)の新規・拡張のランプアップが大きく伸びたが、南米を中心とする鉱石品位の低下が全体の伸びを抑制した。鉛、亜鉛も同様の傾向と言えるが、新規・拡張は件数、生産量ともに少数であり、鉱石品位の低下や閉山によるマイナス分を埋めきれずに純減となっている。ニッケルは鉱石品位の低下と事故による生産停止が足を引っ張っている。プラチナ等は長引いたストライキにより、大幅な減産となった。また、石炭は生産性の改善による増加がみられる一方で、年の中頃から後半にかけて大規模な休山や売却計画が相次いで発表されており、2015年度は大きな減少が見込まれる。

 中国や欧州を中心とする鈍い資源需要による価格下落は底が見えず、ついには鉄鉱石と銅までに顕著な影響を及ぼしている。特に鉄鉱石の価格は年初から半値に急落し、各社の収益の柱を直撃している。ここ数年間に渡る石炭価格の低迷も含め、3大コモディティ(鉄鉱石・銅・石炭)のネガティブな成長は、2011/2012年度以降に各社が進めてきたポートフォリオの見直しを再び加速させるトリガーとなっている。 それが表面化した案件として、石炭ではAnglo Americanの豪州における主力事業の売却計画発表や同じく豪州でのGlencoreによる大規模減産の決定であり、また、非鉄関連ではBHP Billitonによる非鉄事業のスピンオフ決定(株主承認を必要とする)、同じくValeによる非鉄事業のスピンオフ(計画段階)、Glencoreが24%株式を保有するLonmin社からの撤退が挙げられる。 鉄鉱石価格は大手3社が追加の増産プロジェクトを計画どおりに進めている一方、世界最大の鉄鉱石需要国である中国の先行きが不透明である事から、供給過多の状態が当面続くと予想され、急な反転は考えにくい。大手3社の生産コストからすれば、現在の価格でも利益は出せるものの、数年前までの状況と比較すれば規模感は劣後するため、株主への配当、企業価値の維持など、具体的な数字での説明責任を果たすために、集中事業領域に絞り込む動きは今後も続く事が予想される。

 以下は、資源メジャー5社の(2014年度10〜12月期および通期(1〜12月))における主要鉱種のサマリーである。

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)調査部金属資源調査課

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート2(558)

▶� 鉄鉱石 2014年7〜12月の生産量は前年同期比16.6%増の113.4Mtで、過去最高を記録した。Jimblebarのランプアップが当初スケジュールの前倒しで順調に進んでいる事、また、Jimblebarを含む、豪WA州で操業する鉄鉱石サプライチェーンの稼働率および収率の改善によるもの。

▶  原料炭 2014年7〜12月の生産量は前年同期比21.5%増の25.4Mtとなった。主な背景は豪QLD州とIllawarra(豪NSW州)のH1生産量が過去最高を記録した事。

▶  銅 2014年7〜12月の生産量は前年同期比▲2.0%の578.3Ktとなった。Escondidaをはじめ、比較的好調な生産を記録したが、Antaminaでの鉱石品位の低下による減産が足を引っ張った。

▶  その他 マンガン鉱石:2014年7〜12月の生産量は前年同期比6.5%増の2.41Mtとなった。南アフリカでの生産が好調だったため。 アルミナ:2014年7〜12月の生産量は前年同期比1.2%増の2.63Mtとなった。ブラジルでの生産が好調だったため。

1. BHP Billiton  2014年Q4(10~12月)生産レポート1

ハイライト

1 BHP Billitonの会計年度は7〜翌6月なので、10〜12月はQ2となるが、本レポート中では1〜12月の会計年度を採用する他社と同じく、10〜12月をQ4と表記する。

出所 : BHP Billiton, Operational Review for the year ended 31 Dec, 2014(2015/01/15 発表)

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 3(559)

銅事業(鉛・亜鉛、ウランを含む)

⇒銅 2014年7〜12月の生産量は前年同期比▲2.0%の578.3Ktとなった。2014/15年度の通期生産量は2015年1月末に発生したOlympic�Damでの電気系統のトラブルにより、2015年7月頃まで生産停止が決定した事から、予算の1.8Mt(100%ベース)は60〜70Ktの下方修正となる(詳細は2015年1〜3月の生産レポートでアップデートされる)。

■Escondida:57.5%(BHP�Billiton出資比率、以下同じ) 2014年7〜12月 の 生 産 量 は 前 年 同 期 比 ▲2.0%の317.7Ktとなった。鉱石運搬トラックの稼働率が14%改善するなど、操業効率での大幅な改善により、過去最高の鉱石生産量を記録した。同期間においては、様々な減少要因(2014年12月に発生した工業用水の使用制限、2日間のストライキ、2014年9月に発生したチリ北部地域の大規模停電、等)が存在していたが、操業効率の改善による鉱石生産量の増加によって、前年同期並みの製品生産量を維持できた。2014/15年度の通期生産計画(1.27Mt:100%ベース)に変更は無い。

■Pampa�Norte:100% 2014年7〜12月の生産量は前年同期比21.9%増の125.4Ktとなった。主にSpence鉱山の鉱石品位が向上した事によるもの。2014/15年度の生産計画は、Cerro Coloradoの鉱石品位低下による減少分をSpenceの鉱石品位改善でカバー可能と考えており、前年並みを維持する予定に変更はない。

■Antamina:33.8%(★Glencoreのページと相互参照) 2014年7〜12月の生産量は前年同期比▲37.1%の53Ktとなった。鉱石処理量は過去最高を記録したが、鉱石品位の低下がそれを大きく上回ったため。通期の平均品位は従来からの予想どおり、2013/14年度の1.03%に対して、2014/15年度は14年7〜12月期と同レベルの0.77%に留まると予想される。

■Olympic�Dam:100% 2014年7〜12月 の 生 産 量 は 前 年 同 期 比4.3%増 の82.2Ktとなった。なお、2015年1月末に発生した電気系統のトラブルにより、半年間の操業停止が決定したため、通期生産量はトラブル前の前年並みから一転して、60〜70Kt減となる。

プロジェクト名称 CAPEX 生産開始 内容 進捗

Escondida,Oxide Leach Area Project 933m.US$ 14年7〜12月

リーチングパッド、及び鉱石処理システムの新規導入により、酸化鉱の酸処理能力を維持。

2014年10〜12月期に初生産を達成した。

Escondida,Organic Growth Project -1 4,199m.US$ 15年1〜6月

Los Coloradosのコンセントレーターをリプレースし、152Kt/日の鉱石処理能力へ拡張。

工期は計画どおり。進捗率94%。予算は361mUS$増額。

Escondida, Water Supply 3,430m.US$ 2017年 淡水化プラントの新設(2,500L/秒)。 予算、工期ともに計画どおり。全体進捗は29%。

◆プロジェクト関連

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート4(560)

⇒鉛 2014年7〜12月 の 生 産 量 は 前 年 同 期 比5.7%増 の99.7Ktとなった。主力鉱山のCanningtonでの鉱石処理量の増加およびAntaminaでの鉱石品位アップによるもの。

⇒亜鉛 2014年7〜12月の生産量は前年同期比20.5%増の74Ktとなった。Canningtonの生産量が鉱石品位のアップと鉱石処理量の増加により、過去最高を記録した事、またAntaminaの鉱石品位がアップした事によるもの

(銅は低下しているが、鉛は2013年7〜12月の0.64%に対して、2014年同期は0.75%)。

⇒ウラン 2014年7〜12月の生産量は前年同期比▲1.8%となった。

鉄鉱石 2014年7〜12月の生産量は前年同期比16.6%増の113.4Mtとなり、過去最高を更新した。2014/15年度の

生産計画は前回見通しから変化は無く、225Mt(100%ベース)を予定している。

⇒WAIO(Western�Australia�Iron�Ore) 2014年7〜12月の生産量は前年同期比15.9%増の106.3Mt(100%ベースでは124Mt)となり、過去最高記録を更新した。これはJimblebarのランプアップ開始を前倒しできた事、および西豪州オペレーション全体のサプライチェーン効率化によるもの。各鉱山での効率

性の高い生産体制が確立された事に加え、直接船積鉱石の割合が増加した事による輸出港での積出能力アップにより、販売量(126Mt:100%ベース)も過去最高を記録した。 2015/16年の生産計画は前回と変わらず245Mt(100%ベ ー ス )を 予 定 し て い る。 積 み 込 み 能 力 の 改 善

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 5(561)

(10Ktpd→12.5Ktpd)を目的とした改修を行っているシップローダーNo.2が14年12月に完工する事により、当該生産計画は担保される。なお、270Mtpaへの拡張プロジェクトは、Jimblebar(フェーズ1)および他の鉱山における生産性改善をベースとした低コストの投資で

図1. BHP BillitonのWAIO拡張計画出所:BHP Billiton Investor Briefing: Iron Ore, Oct 2014(P18)

⇒Samarco(ブラジル) 2014年7〜12月の生産量は前年同期比29.1%増の7.2Mtとなった。新設した第4ペレット工場(8.3Mtpa:100%ベース)のランプアップによるもの。当該プラン

トは2014年1〜3月期に初生産を記録し、No.1~No.4工場の計30.5Mtpa体制(100%ベース)へのランプアップは2016年6月までに達成の予定。

石炭 原料炭の2014年7〜12月の生産量は前年同期比21.5%増の25.4Mtで、過去最高記録を更新した。2014/15年度の生産計画は、2014年6月末時点から変

更は無く、前年比4%増の47Mt(100%ベース)を予定している。一方、一般炭の生産量は前年同期比で▲3.1%減少し、34.8Mtとなった。2014/15年度は前年度と同程度の73Mtの生産を計画しており、修正は無い。

十分達成可能な目標である。さらに、ポートヘッドランド港の内湾整備(デボトルネッキング)およびJimblebar拡張(フェーズ2)という、これも低コストの投資により、2017年度末(2018年6月)までに290Mtpaへの拡張可能性も視野に入れている。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート6(562)

【 】の数値はオリジナル

⇒原料炭 豪QLDオペレーション(BMAおよびBHP Mitsui)は各炭田の好調な生産、選炭プラントおよび輸送システムの効率化、高稼働が牽引して、生産記録を更新した。これは前期に初生産したCaval Ridgeが早くも設計生産能力での生産を行った事、また、Goonyella、Daunia、Poitrelが生産記録を達成した事によるもの。豪NSWオペ レ ー シ ョ ン(Illawarra)は 前 年 同 期 比39.3%増 の4.67Mtで、生産記録を更新した。設備稼働率の改善によるもの。なお、2013年7〜12月期の低水準な生産量は、停電によるDendrobiumの減産が大きく影響している。

⇒一般炭 コロンビアのCerrejonはLa Guajira地方で発生している旱魃の影響により、ダストコントロールに困難が生じており、2014年7〜12月の生産量は前年同期比で▲17%と、大減産を余儀なくされている。また、米NM州(ニューメキシコ州)オペレーションもFour Corners石炭火力発電所の部分的な完全閉鎖(5基中3基)により、前年同期比▲13.9%となっている。さらに、豪NSWオペレーションも収率の低い原料および選炭プラントの停電により、前年同期比で▲5.6%の減少となった。唯一、南アフリカは選炭プラントの高稼働により10.4%の増加となった(なお、2013年7〜12月はストライキにより、生産に影響が生じていた)。

プロジェクト名称 CAPEX 生産開始 内容 進捗

Hay PointStage 3 Expansion

1,505m.US$【1,250mUS$】

2015年【2014年】

港の処理能力を44Mtpaから55Mtpaに拡張。および、嵐に対する脆弱性を減少させる事。

進捗率95%。初出荷は2015年1月。予算、工期とも変更あり。

Appin Area 9 845m.US$ 2016年原料炭3.5Mtpa。West Cliffの後継鉱区で、Illswarraオペレーションの生産量(9Mtpa)維持を目的。

進捗率77%。予算、工期とも変更なし。

◆プロジェクト関連

アルミニウム、マンガン、ニッケル

⇒アルミナ 2014年7〜12月 の 生 産 量 は 前 年 同 期 比1.2%増 の2.63Mtとなった。Alumarの生産量は過去最高を記録した。Worsleyも2014年10〜12月期は四半期の生産量記録を更新した。Worsleyでの焼成キルン停止(2014年7〜9月期)による減少分は、在庫の水酸化アルミニウムから対応する事で、通年ではリカバリー可能。

⇒アルミニウム 2014年7〜12月の生産量は前年同期比▲15.5%の517Ktとなった。主な背景は、Alumar製錬所で実施している生産調整(▲37Kt)およびBaysideの製錬工程閉鎖(▲48Kt、2014年6月に閉鎖)による減産分が、Mozal製錬所の増産分(1Kt)を大幅に上回ったため。なお、Mozalは2014年7〜12月の半期生産量で過去最高を更新した。通期でも過去最高となる見込み。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 7(563)

⇒マンガン 〜Samancor〜 2014年7〜12月の鉱石生産量は前年同期比で6.5%増の2.4Mtとなり、過去最高を更新した。主な背景はHotazelオペレーションが過去最高を更新した事

(Mamatwan鉱山での鉱石収率が改善、およびWessels

鉱山の選鉱プラントの稼働率が向上)。一方、合金生産量は前年同期比22.8%増の223Ktとなった。TEMCOとMetalloysの両オペレーションにおける電気炉の安定操業が寄与した。

⇒ニッケル 2014年7〜12月の生産量は前年同期比▲10.6%の69.9Kt と な っ た。 主 な 背 景 は、Nickel West・Perseverance鉱 山 の 閉 鎖(2013年11月 )お よ びCerro Matosoでの鉱石品位と収率の低下によるもの。

 2014/15年 度 の 生 産 量 は、 前 回9月 末 と 同 じ く、Nickel Westで 前 年 比 ▲3.9%の95Kt( 前 年:98.9Kt)、Cerro Matosoで前年比▲2.9%の43Kt(同44.3Kt)の138Kt

(同143.2Kt、▲3.6%)を予定している。

コーポレート 2014年11月12日 Nickel Westの売却を優先策とする事業見直しの結果、BHP Billitonが適当と考える売却先は無かった。その結果、2014/15年度決算で4.9億US$(グロス)の減損が発生する。

 2014年12月08日 スピンオフを予定している非鉄グループの新名称が

「South 32」に決定した。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート8(564)

2. Rio Tinto  2014年Q4(10~12月) 生産レポート

ハイライト

出所 : Rio Tinto, 4th Quarter 2014 Operations Review(2015/01/20 発表)

▶  鉄鉱石 2014年の年間生産量は前年比11.1%増の295.4Mt(Rio�Tinto持分233.6Mt)となった。また、年間船積量(輸出量)は前年比16.8%増の302.6Mt(同239.9Mt)。

▶  銅 2014年の年間鉱山生産量はモンゴルOyu�Tolgoiのランプアップ効果により前年比4.1%増加した。また、銅に随伴する金の生産量もOyu�Tolgoiのランプアップおよび鉱石品位のアップ(Oyu�Tolgoiと米Bingham�Canyon)により、前年比69%増(486.7Koz)となった。

▶  ボーキサイト 2014年の年間生産量は前年比▲3.1%の41.9Mt。豪Goveオペレーションは2014年5月のアルミナ生産停止後、ボーキサイトの輸出拠点としての操業を続けている。

▶  アルミニウム 2014年の年間生産量はShawinigan製錬所の閉鎖(2013年11月)、Kitimat製錬所の部分的なシャットダウンによる減産要因が存在したにもかかわらず、前年と横並びを維持した。8か所の製錬所で、過去最高の生産を達成した(全生産量の54%を占める)。

▶  石炭 豪州の石炭事業は生産性改善が効果を発揮し、Hail�Creek、Hunter�Valley、Bengallaの各オペレーションで生産量の記録を更新した。

鉄鉱石 2014年の予算は輸出量が300Mt、生産量が295Mt(いずれも100%ベース)であった。これに対して、実績

は輸出量が302.6Mt、生産量が295.4Mtであり、予算達成となった。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 9(565)

⇒Pilbaraオペレーション(豪WA州) 2014年の年間生産量は前年比12.5%増の280.6Mt(Rio Tinto持分224.9Mt)で、過去最高となった。各鉱山の生産量が生産性の改善で増加した事および290Mtpa拡張プロジェクトが計画よりも前倒しでQ3に完工した事によるもの。なお、前年比で増加した30Mt(100%ベース)の9割はPilbaraブレンド品。 同時期における販売面は、前年比18%増の288.3Mt

(Rio Tinto持分231.5Mt)となった。生産量を上回る8Mt分は在庫の払い出しによるもので、290Mtpaプロジェクトに合わせて拡張を行っている鉄道と港湾工事のランプアップを早めるための稼働テストがその目的。 売上の55%はCFR契約で、残り45%はFOB契約。平均FOB単価は84.3US$/t。また、値決めスタイルは売上の25%が前の四半期の平均価格を採用するもので、残りは船積月の平均価格やスポットなど。 プロジェクト関連では、290Mtpaから360Mtpaへの追加拡張の工事を進めている。鉄道と港湾工事は80%

(Q3報告では75%)の進捗で、完工は計画どおり15年H1中を予定している。現在までのところ、遅延は生じていない。鉱山側の拡張は輸送インフラの進捗にあわせて順次進めていき、鉱石の生産および輸送とも、2017年までに360Mtpa体制への移行が完了する予定。その大部分、330Mtpa体制(追加40Mtpa)への移行は2015年に完成する。現在の290Mtpaから330Mtpaへの追加40Mtpaは既存鉱山の拡張によって達成される。これによって、鉱山より時間的に先行するインフラ投資のトンあたり費用を約9.00US$/tに平準化できる。

⇒�IOCオペレーション(加NL州) 2014年のペレット生産量は生産性の向上により、前年比2%増加した。一方、精鉱の生産量は前年比▲11%減少した。これは精鉱よりもペレットの生産を優先した事が主因。加えて、異常寒波による生産障害や鉱石品位の低下も理由。

銅 2014年は月を追うごとに上方修正を行った。銅精鉱は当初570Ktの計画値に対して、Q2終了時に585Ktへ、Q3終了時に615Ktへ引き上げた。これに対して、

実績は603.3Ktで98%の達成率となった。また、カソードは当初260Ktから、Q3に300Ktに上方修正をした。実績は294.7Ktで、こちらも98%の達成率。

⇒Bingham�Canyon/Kennecott�Utah�Copper(KUC) 2014年の銅精鉱生産量は前年比▲3.1%となり、ほぼ同水準を維持した。しかし、Q4生産量は前期比▲61.2%、前年同期比▲68.2%と大幅に減少した。主な理由は鉱石品位の低下および製錬所の定修により、鉱石生産量を制限したため。銅地金の生産量は9月から

始まった65日間の定修による大幅減(特にQ4)もかかわらず、1〜9月の生産が好調だった事で、前年比5.5%増となった。なお、金の生産量(鉱石)は金品位が高い鉱石を使用した事および鉱石の処理能力が増えた事で、前年比26%増となった。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート10(566)

⇒Escondida 2014年の銅生産量は鉱石品位の低下分を鉱石処理量の増加で補う事で、精鉱・SxEwカソードとも前年並みの水準を維持した。

⇒Oyu�Tolgoi(Turquoise�Hill�Resources) *Rio�TintoはOyu�Tolgoiの66%株式を持つTHRの50.8%株式を保有 2014年の生産量は、銅が前年比93.8%増の148.4Kt、金が同275%増の588.7Kozとなった(ともに100%シェアベース)。大幅な増加の背景は、年間を通じて操業を行った事、鉱石品位が高かった事、鉱石処理量が堅調だった事が挙げられる。なお、12月3日に発生した選鉱プラント付近での出火事故による影響は軽微で、

2015年1月3日にはフル生産に復帰している。 販売面では、中国の保税倉庫からの精鉱引取は依然として生産量を超過しており、在庫からの払い出しが続いている。2014年は185.8Ktの銅と561Kozの金(ともに精鉱中の金属純分として)を販売した。これにより、在庫水準は既報のとおり、年末には適正なレベルに戻った。

⇒Grasberg Freeport-McMoRan社(FCX社)とのJV契約にもとづく、2014年の割当は銅が前年比23.8%増の7.8Kt、金が2.2Kt(前年度はゼロ実績)となった。

アルミニウム関連(ボーキサイト、アルミナ、アルミニウム) 2014年の生産実績は最終的な生産計画(ボーキサイト41Mt、アルミナ7.4Mt、アルミニウム3.4Mt)をクリアした。ただし、アルミナについては、当初の8.0Mt

から7.6Mt、7.4Mtへと2回の下方修正を行った。また、通年の平均単価は2,395US$/tで前年の2,249US$/tから6.5%改善した。

⇒ボーキサイト 2014年の生産量は前年比▲3.1%(1.3Mt)と若干減少した。主な背景はGoveでのアルミナ生産が5月に停止した事で、ボーキサイトの自家消費量が減少した事によるもの(約1.5Mt減)。自社鉱山で最大シェアを持つWeipa鉱山は前年並み、ギニア(Sangaredi鉱山)は過去最高を記録したが、Goveの減少分を埋める事ができなかった。 今後、Goveはボーキサイトの輸出ビジネスに軸足を移していくが、輸送インフラの能力に制限があるので、現在の6Mtpaから8Mtpaへ拡張工事を進めている。8Mtpaに向けたランプアップは2015年から開始予定。

⇒アルミナ Goveを除いた2014年の生産量は前年比6%の増加となった。全てのアルミナ工場において、生産性の改善効果が顕著に表れており、4工場のうち3工場で過去最高となる生産量を記録した。なお、Goveは2013年11月に発表した合理化策の1つして、2014年5月に生産を停止した。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 11(567)

⇒アルミニウム 2014年の生産量は前年と同レベルの3.36Mtとなった。2013年11月のShawinigan製錬所の閉鎖およびKitimat製錬所での設備近代化工事に伴う一部設備のシャットダウンによる減産をArvida製錬所に導入されたAP60プラントによる増産、その他の製錬所での小規模な生産能力アップによる増産が補完した形(13の製錬所のうち、8工場で生産記録を更新した。当該8工場で生産量全体の54%を占める)。なお、合理化政策に従い、2014年10月にノルウェーのSORAL製錬所(50%シェア)を、また2014年12月にカメルーンのAlucam製錬所

(46.67%シェア)を売却した。これにより、Rio Tintoが関与する製錬所は13工場から11工場に減少した。

エネルギー資源(石炭、ウラン) 2014年の生産計画(石炭)は、Hail�Creekにおける一般炭の優先生産を押し進めた事で、Q毎に修正された。一般炭は16.7Mt(Q1時点)、17.5Mt(Q2)、18.0Mt(Q3)へ上方修正された一方で、原料炭は8.5Mt、注)上記の数値は、Clermont の数値(13 年:5.90Mt、14 年:2.42Mt)、および RTCM を含まない。

7.4Mt、7.0Mtへ下方修正された。最終実績は一般炭が19.09Mtで前年比15%増、予算比6%の超過となり、原料炭は7.056Mtで最終見通しどおりとなった(前年比では▲7.8%)。

⇒石炭 2014年は豪州事業において生産性の改善が大きく進み、Hail Creek、Hunter Valley、Bengallaで生産記録を更新した。特に、Hail Creekでは前年比25.5%の大幅増となった。一般炭事業では、2014年に資産売却を実行したClermontを除いた生産量が前年比で15%増加した

(19.08Mt vs. 16.58Mt)。 セ ミ ソ フ ト 炭 は16.7%減 の3.21Mtとなったが、これはHunter Valleyでの利益最大化プログラムによって、セミソフト炭の生産を減らし、一般炭を増やしたため。原料炭は前年比で▲7.8%減少した。主な原因はHail Creekで原料炭よりも高い利益を得られる一般炭の生産を増やしたため。また、Kestrelでの採炭エリアの移動とそれに伴う新規ロングウォールのランプアップが遅れている事も原因。

※モザンビーク事業の売却 2014年10月8日、Int’l Coal Ventures Pvt. Ltd.(ICVL社)へのモザンビーク石炭事業の売却は、関係当局からの承認および全ての契約条件の履行を以て完了した。当該事業は2014年7月30日に公表され、インドの政府系企業で組成したJV企業「ICVL社」に50mUS$で売却すると明らかにしていた。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート12(568)

 2014年の持分生産量(ウラン)は4.3Mlb.〜5.1Mlb.(ERAおよびRossingの合計)を計画していたが、実績

は4.09Mlb.となり、低い方の見通しに対して▲4.9%の未達となった。

⇒ウラン ERA(豪NT準州)の生産は2013年12月に発生したリーチングタンクのトラブル以降、中断していたが、6月5日に当局の承認を以て再開し、14年7〜9月に粉砕

工程の処理量がフル生産に戻った。この中断により、2014年の生産量は前年比▲60.6%となった。Rossing(ナミビア)の2014年生産量は前年比▲36%で、現在の市況に合わせた生産の見直しによるもの。

ダイヤモンドおよび工業用鉱物資源 (硼酸塩、チタン鉱物、工業塩) チタン鉱石の2014年生産量は見通しの1.5Mtに対して、約4%の未達となった。これは大口需要先である酸化チタン市場での需要が軟調であるため。ダイヤモ

ンドは15Mctの見通しに対して、13.9Mctと7.5%の未達となった。主力鉱山のArgyleが露天採掘から坑内採掘への移行する準備によるもの。硼酸塩は見通しの500Ktを達成した。

⇒ダイヤモンドArgyle(豪WA州):2014年の生産量は前年比▲19%と大きく減少した。露天採掘から坑内採掘への移行期において、露天採掘の貯鉱がゼロとなり、坑内採掘からの鉱石供給が十分に無い事で、低品位のテイリングを使用した事が減産の原因である。さらに、坑内採掘で使用している2台の粉砕設備の能力を改善する修理をQ4に実施した事も減産理由のひとつ。Diavik(NT準州):2014年の生産量は鉱石品位の低下を鉱石の採掘能力と選鉱プラントの処理能力改善でカバーする事で、前年並みを維持した。なお、Q4の生産量が前年同期比で大きく減少している理由は、選鉱プラントの処理能力が向上した事で貯鉱を使い切ってしまったため。Murowa(ジンバブエ):2014年の生産量は鉱石処理量が改善した事で、前年比6.5%の増加となった。

⇒硼酸塩(Borate) 2014年の生産量は前年比2.8%増となった。これは堅調な需要および14年Q3からスタートした新プロセス(Modified Direct Dissolving of Kernite: MDDK)のランプアップ効果に因るもの。

⇒チタン鉱物 2014年の生産量は大口需要家である酸化チタン市場が軟調な事から、前年比▲11.1%と減少した。⇒工業塩 2014年の生産量は前年比1%増と、ほぼ横並びの結果となった。

⇒2014年の生産見通し チタン鉱物(1.5Mtpa)、硼酸塩(500Ktpa:ホウ酸換算)は生産計画に変更無し。一方、ダイヤモンドは4〜6月の16Mctから、15Mctに下方修正を行った(Rio Tinto持分ベース)。これはArgyle鉱山の粉砕設備において、改善を目的としたデザイン変更を行うため。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 13(569)

 コーポレート 2015年02月12日 2014年度決算において、4.7億US$の減損が発生。Kitimatでのアルミニウム製錬所近代化工事に追加で15億US$が必要となった事から、10.9億US$を減損処理した。また、米KUCで銅の副生物としてモリブデンを回収するプロジェクトの中断に伴い、設備の除却損として5.6億US$を減損処理。また、株主への還元策として20億US$の自社株買い、および配当の前年比12%増をアナウンスした。

探査調査費の動向 2014年のP/Lで認識した探鉱調査費は前年比▲19.3%の7.65億US$となった。2013年から継続している費用削減プログラムに対する取り組みが効果を発揮していると言えるが、優先順位の高いプロジェクトへの投資は進めていく。鉱種別の支出内訳は、銅部門が最大で33%、次に18%のエネルギー部門(石炭・ウラン)、ダイヤモンドおよびインダストリアル・ミネラル部門の15%と続き、鉄鉱石部門は5%、アルミニウム部門は1%となっている。残りの約18%は全社アカウント(Central Exploration)での負担となっている。 なお、2013年および2014年とも、特記すべき探鉱資産の売却は無い。

事業部門 新規探査プロジェクト 進行中の探査プロジェクト 評価中のプロジェクト

アルミニウム 豪、伯、ラオス Amargosa Orbit(伯)South of Embley(豪)Cape Yoke(豪)Amargosa(伯)

【銅】:豪、米、チリ、ペルー、ザンビア、ロシア、カザフスタン、ウズベキスタン、モンゴル、中国

【ニッケル】:カナダ

【ニッケル】Tamarack(米 MN 州)

Cu-Mo:Resolution(米 AZ 州)Cu:La Granja(ペルー)Cu-Au:Oyu Tolgoi(モンゴル)

ダイヤモンド&

工業用鉱物

【ダイヤモンド】:印、加【チタン鉱物】:ガボン

■ダイヤモンド:  Diavik(加)  Bunder(印)■硼酸リチウム塩:  Jadar(セルビア)■チタン鉱物:  Zulti South(南ア)  Mutamba(モザンビーク)■鉄鉱石:  Simandou(ギニア)*

■カリ鉱石:  カナダ

エネルギー 【ウラン】:加、米、豪【石炭】Bowen Basin(豪)Hunter Valley(豪)

■石炭:  Mt. Pleasant(豪)  Hail Creek(豪)■ウラン:  Ranger 3 Deeps(豪)  Roughrider(加)

鉄鉱石 ボツワナ ピルバラ地区(豪) ピルバラ地区(豪)

* Simandou 鉄鉱石プロジェクトはダイヤモンドおよび工業鉱物部門の傘下に置かれている。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート14(570)

3. Vale  2014年Q4(10~12月)生産レポート

ハイライト

出所 : Vale, 2014 & 4Q14 Production Report, (2015/02/19 発表)

▶  鉄鉱石 2014年 の年間生産量は331.6Mt( 自社生産分319.2Mt+外部調達12.4Mt)となり、年間の生産記録を更新した。また、14年Q4の生産量(全体)83MtもQ4生産量の過去最高を記録した。オペレーション別にみると、北部システム(Carajas)は前年比14%増の119.7Mt(14年Q4:34.9Mt)を生産し、通年および四半期のどちらも過去最高となった。また、南部システムは同9%増の86.3Mtで、2007年以降で最高となった。さらに、鉱石輸送についても、14年Q4におけるEFC鉄道の輸送量32.9Mt、およびPonta�de�Madeira港からの輸出量32.8Mtは、四半期の記録を更新した。

▶  鉄鉱ペレット 2014年の年間生産量43Mt(Samarcoは除く)は予算の43.8Mtに僅かに届かなかったが、前年比では10%増(4Mt)となった。一方、Q4生産量の11.6Mt(Samarcoを除く)は四半期の生産記録を更新した。オペレーション別にみると、オマーンは前年比10%増の8.61Mtを生産し、Samarcoも前年比14%増の12.05Mt(持分)で、どちらも生産記録を更新した。

▶  ニッケル 2014年の年間生産量275Ktはニューカレドニア(VNC)で2か月の操業停止が発生したにも関わらず、2008年以降での最高記録となった。Q4生産量の73.7Ktも四半期の生産記録を更新した。オペレーション別にみると、ランプアップを進めているVNCは前年比17%増の18.7Ktを生産し、過去最高を更新した。

四半期生産量でも過去2番目となる6.2Ktのニッケル地金をQ4に生産した。また、ブラジル(Onca�Puma)も前年比で約10倍となる21.4Ktを生産し、過去最高となった。

▶  銅 2014年の年間生産量は前年比2.9%増の379.6Ktで、年間記録を更新した。また、Q4生産量105.5Ktも四半期記録を更新した。ブラジルのSalobo鉱山は過去最高となる98.3Kt(前年比51%増)を生産した。また、四半期の生産量31.6Ktも過去最高となった。

▶  金 2014年の年間生産量は前年比12%増の321Kozで、年間記録を更新した。また、Q4生産量93Kozも四半期記録を更新した。

▶  石炭 2014年の年間生産量(原料炭+一般炭)は前年比▲1.4%の8.65Mtとなった。Q4生産量2.31Mtも前期比▲1.3%で若干の減少となった。主に豪州での減産や休山に因るもの。モザンビーク(Moatize)は前年比29%増の4.9Mtを生産し、年間記録を更新した。また、四半期の生産量1.43Mtも過去最高となった。

▶  リン鉱石 2014年の年間生産量は前年比1.7%増の8.42Mtとなった。ペルー(Bayovar鉱山)が前年比7.2%(255Kt)増加した事で、ブラジルの減産分111Ktを補った状態。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 15(571)

鉄鉱石 2014年の年間生産量(外部調達およびSamarco*の持分を除く)は前年の299.8Mtから6.5%(19.4Mt)増加、予算比でも7.2Mt超過の319.2Mtとなり、過去最高を更新した。オペレーション別にみると、北部システム(Carajas)は前年比14%増の119.7Mtで、過去最高を更新し、南部システムは前年比9.3%増の86.3Mt* Samarco(BHP Billiton との 50:50 JV)

で、2007年以降での最高値を記録した。 Q4生産量は83Mtとなり(Samarcoを除く)、Q4の生産記録を更新した。北部システムはQ4に34.9Mtを生産し、四半期生産量で過去最高を記録した。また、輸送面においても、EFC鉄道および輸出量のどちらも四半期記録を更新した。

⇒Northern�System(Carajas) 2014年Q4生産量は前期比8.4%増、前年同期比で10%増の34.9Mtとなった。増産の主な背景は第二工場およびSerra Leste鉱山のランプアップ。

⇒South-Eastern�System Q4生産量は前期比▲8%、前年同期比▲1.8%の26.4Mtとなった。Conceicao Itabiritos(CI)鉱山の生産が好調だった事でItabiraハブは前期比0.5%、前年同期比5.3%、 前 年 比4.4%と 増 加 し た が、14年Q4にMinas Centraisが定修に入った事でマイナスとなった。 ItabiraハブはCI鉱山のランプアップ効果で上記の増産を達成した。CI鉱山のQ4生産量は2.3Mtで前期比0.5Mtの増加となった。Minas CentraisハブのQ4生産量は7.2Mtで、前期比▲19.5%、前年同期比▲21%の大幅減産となった。これはBrucutuの第5生産ラインがQ4に定修を実施したため。なお、この定修により、当該プラントの2015年の生産能力は30%増加する。MarianaハブのQ4生産量は9.6Mtで、前期比▲5.6%の減少となったが、これは2014年のマインプランに従ったもの。

⇒Southern�System Q4生産量は前期比▲13.4%の20.1Mtで、設備補修によるもの。ハブ毎の状況は次のとおり。 ParaopebaハブのQ4生産量は前期比▲17.3%の6.2Mtで、粉砕システムの事後保守(corrective maintenance)によるもの。Vargem GrandeハブのQ4生産量は前期比▲8.8%の6.2Mtで、コンベアベルトの事後保守によるもの。Minas ItabiritoハブのQ4生産量は前期比▲13.6%の7.8Mtで、 粉 砕 シ ス テ ム の 予 防 保 守(preventive maintenance)によるもの。

⇒Mid-Western�System Q4生産量は前期比▲5.3%、前年同期比▲10.8%の1.5Mtとなった。主な背景は季節要因で、雨季がスタートしたため。なお、既報のとおり、在庫削減のために上期(1〜6月)に生産調整を実施した。ただし、販売量に大きなインパクトを与えるレベルでは無い。

⇒Samarco Q4生産量は前期比▲3.2%の3.8Mtとなった。なお、この鉄鉱石はペレットの原料(pellet feed)として自家消費される。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート16(572)

鉄鉱ペレット Samarcoの持分生産量12.05Mtを除いた2014年の生産量は43Mtで、予算に対しては0.8Mtのマイナスとなったが、前年比10.2%(3.97Mt)の増加を記録した。こ

の背景はTubarao�VIIIおよびオマーンに新設したペレット工場のランプアップによるもの。 Q4の生産量は11.6Mtで、Q4の生産記録を更新した。

⇒South-Eastern�System Q4生産量は前年同期比24%、前期比5.4%の7.1Mtとなった。主に14年Q1にランプアップを開始したTubarao VIIIの増産、および14年Q3実施の定修から戻ったKobrascoの増産によるもの。

⇒Southern�System Fabrica工 場 のQ4生 産 量 は0.78Mtで、 前 期 比 ▲11.6%、前年同期比▲18.3%の減産となった。主に原料となる鉄鉱石(ペレットフィード)の制限によるもの。Vargem Grande工場のQ4生産量も減少した(前期比▲8.5%、前年同期比▲3.1%の1.41Mt)。これはQ4にメンテナンスを実施したため。

⇒Oman 2014年の通期生産量は8.61Mtで、過去最高を記録した。また、Q4生産(2.39Mt)も過去最高を記録した。なお、同工場の公称生産能力は9Mtpa。

⇒Samarco(BHP�Billitonとの50:50JV) 2014年通期の持分生産量は12.05Mtで、過去最高を記録した。また、Q4の生産量3.53Mtは四半期生産量の過去最高記録を更新した。これは第4プラント(100%シェアの生産能力:8.3Mtpa)のランプアップによるもの。

マンガン 2014年の鉱石生産量は2.35Mtとなり、前年の2.37Mtとほぼ同じレベルとなった。一方、合金の生産量は前年比▲2.3%と若干減少したが、ほぼ同じレ

ベルの範囲に収まった。四半期でみると、鉱石のQ4生産量は723Mtで、Q4としては2004年Q4以来の記録更新となった。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 17(573)

⇒マンガン鉱石 Azul鉱山のQ4生産量は鉱滓ダムから回収した鉱石の増加分が寄与した事で、前期比6.75%増の513Mtとなった。Urucum鉱山のQ4生産量は前期比12%増の177Mtで、過去最高を記録した。主に13年Q4に実施した選鉱プラントの改善効果によるもの。その他の鉱山は、Morro da Minaの北部セクションにおける鉱脈に問題があり、13年Q4から採鉱済みの鉱石を使用しており、2013年比で▲51.7%の減少となった。南部セク

ションの開発を進めており、2015年前半には通常の生産レベルに戻る予定。

⇒マンガン合金 14年Q4の生産量は前年同期比で▲18%の41Ktとなったが、これは電気炉の稼働停止によるもの。なお、生産品目の内訳はシリコマンガン(FeSiMn)が21Kt、高 炭 素Mn合 金(FeMnHc)が15.1Kt、 中 炭 素Mn合 金

(FeMnMc)が4.8Kt。

ニッケル 2014年の生産量は前年比6.2%増の275.1Ktで、2008年以降の過去最高記録となった。ただし、年間生産計画289Ktからは約5%下振れした。また、Q4生

産量(73.7Kt)はSudburyオペレーションでの操業トラブルにもかかわらず、過去最高を記録した。

⇒カナダ ON州SudburyオペレーションのQ4生産量は、電気炉および転炉に問題が発生したためマットの生産が減少した事で、前期比▲33%、前年同期比▲16%の15.1Ktにとどまった。MB州ThompsonオペレーションのQ4生産量は、前期比27.5%増、前年同期比3.2%増の6.5Ktとなった。8月に実施した定修後、Q4には通常生産に戻っている。NL州Voisey’s BayオペレーションのQ4生産量は12.6Ktで、前期比38.5%増加した。これは7月に実施した10日間の定修から復帰したため。  新 設 の Long-Harbour 精 錬 所(Total CAPEX:42.5億US$/ニッケル地金50Ktpa)は、計画に従って、引き続き試運転を行っている(14年7月の初出銑は試運転の一環)。なお、地金の原料として、当初はPTVIのマットを使用するが、その後、2015年末からは予定どおりVoisey's Bayの精鉱に切り替る。

⇒インドネシア Q4生産量はマットが20.6Ktで、前期比6.6%増、前年同期比12.5%増となった。一方、地金の生産は20.3Ktで前期比、前年同期比とも若干減少した。

⇒ニューカレドニア 酸化ニッケル(NiO)および水酸化ニッケルケーキ

(NHC)のQ4生産量は6.7Ktで、過去最高となった。引き続きランプアップを進めており、2基のHPALは順調に稼働している。最終製品(NHCおよびユーティリティニッケル)のQ4生産量は6.2Ktで、前年比17%の増加。 なお、14年5月に発生した酸性液の外部流出事故に関し、2基のうち1基のHPALは6月最終週に復帰し、14年Q4には2基体制に戻っている。

⇒ブラジル 2014年の生産量は21.4Ktで、2013年比で19.4Ktの大幅増加(9.7倍)となった。Q4の生産量は5Ktで、前期の5.8Ktから14%減少した。これはQ3の生産レポートで既報のとおり、ロータリーキルンの耐火物を修理するために10日間の定修をQ4に実施したため。操業は既に通常に戻っており、12月の生産量は単月の最高記録

(2.1Kt)を達成した。

レポート

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート18(574)

銅 2014年の生産量は予算からは25.3Kt下振れしたものの、前年比2.9%増の379.6Ktを生産し、過去最高となった。下振れの原因はSalobo�IとIIの間の連結工事

が生産に干渉したため。Q4生産量も過去最高を記録し、前期比0.8%増、前年同期比11.5%増の105.5Ktとなった。

⇒ブラジル SossegoのQ4生産量は26.9Ktで、前期比▲11.5%および前年同期比▲15.1%となった。主な原因は11月に発生した1次クラッシャーの故障によるもの。 SaloboのQ4生産量はSalobo-IIのランプアップを継続している事から、前期比22%増、前年同期比49.8%増の31.6Ktと大幅に増加しており、四半期生産量の記録を更新した。

⇒カナダ ON州SudburyオペレーションにおけるQ4生産量は23.3Ktで、前期比▲24.4%、前年同期比▲3.7%の減少となった。主な理由は14年Q2に実施した定修中に貯鉱された鉱石から生産を行ったため。NL州Voisey’s BayオペレーションにおけるQ4生産量は11.4Ktで、前期比54%増、前年同期比32.6%増となった。なお、14年Q3に実施した10日間の定修からの復帰はQ4に完了している。

⇒ザンビア �(Lubambe:�Vale40%�/�African�Rainbow�Minerals�40%�/�ZCCM�20%)

 Lubambeは2012年10月に生産を開始し、設計能力の45Ktpa(100%ベース)を目指して、ランプアップを継続している。Q4生産量は100%ベースで6.0Kt(Valeの持分では2.4Kt)。

⇒チリ 2013年12月9日にTres-Valles(18.5Ktpa / Sx-Ew)の全持分株式(90%)の売却作業を完了した。

コバルト、PGM、金・銀(銅およびニッケルの副産物)

⇒コバルト 2014年の生産量は前年比5.9%の3.74Ktとなり、過去最高を記録した。Q4生産量は1.27Ktで、前期比43.4%

の大幅増加となった。Port Colborne精錬所の定修明けにより、Voisey’s Bay産の鉱石比率が増えた事、およびVNCの操業が改善した事が増加の主な理由。

レポート

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 19(575)

⇒プラチナ(Pt)・パラジウム(Pd) PGMのQ4生産量は前期と同じレベルのプラチナ52Koz、パラジウム112Kozとなった。

⇒金(Au) 2014年の生産量は321Kozで、前年比12.1%の増加となった。Q4生産量は前期比10.7%増加の93Kozとなり、過去最高を記録した。主な背景はSaloboのランプアップ効果。

石炭 2014年の生産量は、前年比▲1.4%、また2014年度予算(10.7Mt)に対しては▲19%となる8.64Mt(原料炭:6.44Mt、一般炭:2.20Mt)に低迷した。主に、豪州Carborough�Downs(CD)の生産が低調だった事、およびIntegraの操業を2014年下期に停止した事によ

るもの。Q4生産量は前期比▲1.3%の2.31Mt(原料炭:1.79Mt、一般炭:0.52Mt)と微減したが、前年同期比では2.3%の増加となった。これはモザンビークMoatizeの操業が好調を維持しているため。

⇒豪州 CDオペレーションにおける2014年の原料炭生産量は1.86Mtで、前年比▲24%の減少となった。14年Q1に実施したロングウォールの移設による減産、および地質構造上の問題が14年Q4に発見された事による減産が主な背景として挙げられる。Q4生産量は573Mtで、前期比▲7.6%、前年同期比▲29.6%となった。これは鉱脈に地質構造上の問題が見つかり、ロングウォールの操業に支障が出たため。

 Integraオペレーションは現在の石炭価格では経済性が確保できないという経営判断により、14年5月から操業休止(Care & Maintenance)に移行した。ロングウォール方式の生産は14年Q2に休止。露天掘りは生産能力を落としながらの操業を行い、9月にランプダウンが完了した。 Issac Plainsオペレーションも低迷する石炭価格を背景として、9月に操業休止を発表した。2014年Q4を以て生産停止。

レポート

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート20(576)

⇒モザンビーク 2014年の生産量は4.91Mt(原料炭:3.12Mt、一般炭:1.79Mt)と過去最高を記録した。また、Q4生産量は前期比10.6%増の1.43Mtとなり、四半期生産の記録を更新した。なお、前年同期比111%増の背景は、13年Q4の生産量が発破用の爆薬不足により大幅に制限された事による見掛け上の増加である。 前期に引き続き、フェーズ1のランプアップは物流インフラ(Sena鉄道とBeira湾)の輸送・取扱能力に制

約があるため、11Mtpaの設計能力を達成できていない。本件は現在整備を進めているNacala回廊が供用開始される事で順次解消される。Q4時点におけるNacala回廊開発の進捗は、鉄道の新規敷設部分が完工し、MoatizeからNacala港までの鉄道による一気通貫の初輸送を無事に終えた状況である。既存区間のいくつかで行われている改良工事は2015年Q3までに完了する予定。

肥料原料(カリウム、リン)

⇒カリウム 2014年の生産量は前年と同様の492Ktとなり、結果として、通年予算(540Kt)から約9%下振れする結果となった。主な背景は鉱量の減少。Q4生産量は前期比5%増の147Ktとなった。14年Q3に行ったコンベアベルトの事後保守からの復帰が主な背景。また、前年同期比で16.7%と大きく増加している理由は13年Q4に生産停止を行ったため。

⇒リン鉱石 2014年の生産量は前年とほぼ横並びの8.4Mtで、通年予算に対しても97.6%の進捗と、ほぼ予算どおりの実績を達成した。主な背景はランプアップ中のBayovar鉱山(ペルー)が設計能力に到達したため。 Bayovar鉱山のQ4生産量は生産性の改善により、前期比で3.2%増加して1.0Mtとなった。前年同期で▲4.5%と減少した背景は14年Q4に実施したベルトコンベアの停止(maintenance stoppage)によるもの。一方、ブラジルのQ4生産量が前期比で1.7%増加した理由は、14年Q3に実施したCajati鉱山での定修後、生産性が改善したため。

コーポレート 2014年12月9日 三井物産にモザンビークのMoatize石炭事業および当該事業に付随するNacala回廊事業(物流)の一部を売却すると発表した。Moatizeの95%権益を持つVale子会社株式の15%を4.5億US$および物流事業の70%権益を持つVale子会社株式の50%を3.13億US$で売却する。これにより、三井物産は石炭事業の14.25%(95% x 15%)、および物流事業の35%(70% x 50%)を保有する。

 2015年2月26日 2014年度決算において、11.5億US$の減損が発生。内訳はブラジルの肥料事業が10.53億US$(市況悪化)、ギニアのSimandou鉄鉱石プロジェクトが11.35億US$

(政府との係争が未決着)、ニューカレドニアのVNCニッケル事業が2.4億US$(ランプアップ期間の遅延)、豪州の石炭事業が3.4億US$(休山関連)の計27.7億US$。一方、電気炉の故障による操業停止がトリガーとなり、2012年に28.5億US$の減損を行ったブラジルのOnca Pumaニッケル事業に関し、通常操業に戻ったため、16.2億US$を評価益として計上した。これにより、当期の減損額は11.5億US$となった。

レポート

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 21(577)

4. Anglo American  2014年Q4 (10~12月)生産レポート

ハイライト

出所 : Anglo American, Production Report for the Q4 ended 31 Dec, 2014   (2015/01/28 発表)

▶  鉄鉱石 2014年Q4生産量は前年同期比で10.2%増の12.4Mtとなった(100%ベース)。通年でも前年比13.7%増の48.2Mtとなった(同)。主な要因は南アフリカKumba�Iron�Ore�Ltd.の主力鉱山Sishenにおいて、マイニングデザインの変更による生産性改善計画が効果を表し始めていること。 ブラジルで新規開発中のMinas�Rio鉱山は2014年Q3に生産を開始し、10月25日に初輸出を行った。

▶  輸出用原料炭(豪州・カナダ) 2014年Q4生産量は前年同期比で4.2%増の4.9Mtとなった。通年でも前年比12.1%増の20.9Mtとなった。豪Grasstreeの生産効率が段階的に向上した事、およびロングウォールの移設完了が増加の主な背景。なお、ポートフォリオの入れ替えにより、2015年1〜6月期から豪州4拠点の売却作業に入る。一般炭と合わせ、2014年の生産量の約40%超が持分生産量から外れる見込み。

▶  輸出用一般炭(豪州、南アフリカ、コロンビア) 2014年Q4生産量は前年同期比で1.9%増の9.7Mtとなった。通年では0.9%と微増の34.6Mtを生産した。主に豪州と南アの生産性改善による増産が寄与。

▶  銅 2014年Q4生産量は前年同期比で▲18.5%の241.7Kt(100%ベース)となった。通年では▲1.2%と微減。主にCollahuasi鉱山とLos�Bronces鉱山の品位低下や生産上の制約によるもの。

▶  ニッケル 2014年Q4生産量は前年同期比で▲34.3%の6.7Ktとなった。伯Barro�AltoのFeNi工場において、2号炉の再建工事が2014年10月から始まった事による計画減産。なお、通年では、主にBarro�Altoが2013年の事故から立ち直り、比較的好調なパフォーマンスを見せた事で、前年比8.1%増の37.2Ktを生産した(ただし、電気炉の再建は必須)。

▶  プラチナ 2014年Q4生産量は前年同期比で14.1%増加の594Kozと な っ た(100%ベ ー ス )。Amandelbult、Rustenburg、Unionの主力鉱山群からの生産量が増加したためで、1年前のQ4はストライキの影響で生産量が減少していた。また、Mogalakwenaも採鉱と選鉱での生産性改善により、生産量を伸ばした。しかし、通年では約6か月に及ぶ長期のスト、その後のランプアップに時間を要した事、不採算シャフトの閉山等の要因で、前年比▲20.6%と大きく落ち込んだ。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート22(578)

鉄鉱石・マンガン

⇒鉄鉱石/南アフリカ�Kumba�Iron�Ore�Ltd. 2014年Q4生産量は前年同期比で10.2%増加の12.4Mtとなった(100%ベース)。通年でも前年比13.7%の増加。Kumbaオペレーションで生産される鉄鉱石の75%を占めるSishen鉱山は、前年同期比で10.6%増加の9.3Mtを生産した。マイニングデザインの変更は重機の待機時間や輸送量の改善などを含め、既に増産効果を見せ始めている。Q4の剝土量は前年同期比で20%増の50Mtとなり、2014年の総剝土量は前年比12%増の187Mtに達した。ターゲットとしていた220Mtには到達しなかったが、現在の仕事量(waste removal run rate)は2015年の鉄鉱石生産計画(36Mt/y)を達成するのに十分である。 準主力のKolomela鉱山は定修により、前期比▲19.3%となったが、全体としては昨年並みを堅持。 なお、輸出量は前年同期比で23%増加の11.7Mtとなった。主な背景は生産量およびSaldanah港の取扱量増加によるもの。一方、国内販売は顧客の引取量が減り、前年同期比▲31%の0.9Mtとなった。

⇒鉄鉱石/ブラジルMinas�Rio Q4に商業生産を開始(0.7Mt生産)。初船積み(中国向け80Kt)は予定どおり2014年10月に完了。 なお、鉄鉱石市況の悪化に伴い、2014年度で38億US$(3.2億US$の繰延税資産を含む)の減損処理を決定した。2012年度に実施した49.6億US$の減損処理は、のれん代を含む権益買収費用と過剰に膨らんだ工事費

(88億US$)がその理由であり、鉄鉱石価格の将来性によるものではなかった。しかし、鉄鉱石市場の環境変化を織り込んだ事業価値を再測定した結果、当該金額の減損処理を行うに至った。

■ 生産見通し 南アKumbaオペレーションはSishenとKolomelaでの増産により、この先3〜5年で5Mtpaの追加生産をターゲットとしている。2015年の生産計画は予定どおりSishenで36Mt、Kolomelaで11Mt。SishenではDingletonでの移住プログラムおよび生産最適化モデルの実行により、(剝土量が増加し、)鉱石生産量を増加させる。また、新規の移動式プラントを導入する事で、2016年には当初計画の37Mtに1Mt追加して、38Mtを予定している(2017年も38Mtを予定)。Kolomelaは2015年から生産能力を11Mtpaに引き上げ、さらに2016年に12Mtpa、2017年 に13Mtpaに 増 強 す る ス タ デ ィ 中。 ま た、Saldanah港多目的ターミナルの使用による港湾能力の追加は、輸出量の最適化に寄与する。 ブラジルMinas Rioオペレーションは2015年の生産量を11〜14Mt(wetベース)で計画している。なお、引き続きランプアップを進めており、設計能力(24〜26.5Mt:wet)の達成は2016年Q2を予定。

⇒マンガン鉱石/南ア・豪州Samancor 2014年Q4の生産量は前年同期比で4.3%増加の882Ktとなった。通年では0.2%の増加。主な要因はHotazel(南ア)での鉱石回収率の向上と選鉱プラントの処理能力アップによるもの。2014年下期(7〜12月)は下期生産量 の 過 去 最 高 を 更 新。 こ れ に よ り、2014年Q1にGEMCO(豪)で生じた天候不順による減産分がカバーされた。

⇒マンガン合金 2014年Q4の生産量は前年同期比で21.5%増加の80Ktとなった(通期では14%増)。主な要因はMetalloys(南ア)およびTEMCO(豪)の両工場において、電気炉の操業が安定し、稼働率が上がった事。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 23(579)

石炭

⇒豪州・カナダ 2014年Q4の輸出用原料炭(豪と加の合計)は前年同期比で4.2%増加の4.93Mt(豪4.76Mt、加0.17Mt)となった。 通 期 で は 12.1% 増 の 20.9Mt( 豪 19.43Mt、 加1.47Mt)。主な要因は、Grasstree(豪)におけるロングウォール(LW)移設完了と生産効率の改善によるもの。一方、Moranbah(豪)はLWのメカニカルトラブルに影響を受けており、2015年Q3まで解決に時間が掛かる見込み。一方、豪州産一般炭(輸出用)のQ4生産量も前年同期比で18.1%増加の1.87Mtとなった。各炭田での生産性改善が主な背景。しかし、通年では▲17.4%の5.17Mt(▲1.09Mt)と減少に転じた。これはDraytonのマインライフが終わりに近く、生産量が減少しているため。 なお、原料炭市況の悪化により、2014年末から操業休止に入っている加Peace-Riverは、事業価値の再評価の結果、2014年度で2.65億US$の減損処理を行う。また、ポートフォリオの入れ替えにより、豪州4拠点を2015年1〜6月期に売却予定。これにより、原料炭、一般炭を合わせた豪州事業の40%超が同社の持分生産量から外れる(コーポレートの欄を参照)。

⇒南アフリカ 輸出向け一般炭のQ4生産量は前年同期比で3.9%増加の4.78Mt、通期では6.9%増加の18.2Mtとなった。各炭田の生産性改善によるもの(坑内採掘で6%、露天採掘で5%)。一方、国内向けはEskom向け生産量が前年同期比で▲2.4%の7.44Mtとなったが、Eskom以外は42.7%増加の1.76Mtとなった。Eskomの需要が弱かった事でNew Vaalからの引取が減少。また、Krielの新規鉱区移行に伴う計画減産もマイナス要因となった。Eskom以外の国内向けが増加した背景は、Isiboneloの生産性の改善。

⇒コロンビア CerrejonのQ4生産量は前年同期比で▲8.8%の3.0Mtとなった。減少の背景として、2013年Q1に起きたストによる減産分を回復させるために、2013年Q2からQ4の生産量が大幅に増加した事で、2014年Q2からQ4の生産量が相対的に劣後した点が挙げられる。通年では、長引いた旱魃の影響で粉塵対策に困難が生じ、8月まで生産に障害が出た事で、2%増(11.2Mt)に留まった。

■ 生産見通し 豪州・カナダの原料炭および一般炭の2015年度生産量は、ノンコア資産となった4拠点の売却状況次第で大きく変動する。南アの輸出用一般炭は今年並みの17〜18Mtを予定している。生産性の改善分は、物流上の制約およびマインライフの高齢化による生産上の制約で相殺される。コロンビアも今年度並み。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート24(580)

ベースメタル(銅) 2014年Q4の生産量は前年同期比で▲18.5%減少の241.7Mt(PGMからの回収分を除く、100%ベース)となった。

SxEw

SxEw

SxEw

⇒Collahuasi(★Glencoreのページと相互参照) 2014年Q4の 生 産 量 は 前 年 同 期 比 で ▲18.8%の119.5Kt(100%ベース、含SxEw)となった。主な背景は計画に無い設備メンテナンスおよび採鉱エリアの移行に伴う鉱石品位と収率の低下によるもの。通年では5.8%増の470.4Kt(100%ベース、含SxEw)を生産した。鉱石輸送および一次粉砕設備のパフォーマンスが向上した事で、(高品位な)Rosarioピットでの原鉱石採掘量が増えたため。鉱石生産量は251Mtで前年比9%増の過去最高記録となった。なお、2013年に起きた49日間のSAGミル停止による減産と比較した見掛け増も影響している。

⇒Anglo�American�Sur (Los�Bronces鉱山、El�Soldado鉱山) 主力鉱山Los BroncesのQ4生産量は前年同期比で▲20.7%の87.2Kt(精鉱:78.9Kt、SxEw:8.3Kt、100%ベース)となった。鉱石品位の低下および16日間の予防保 全(preventive maintenance)に よ る も の。 ま た、El Soldado の 生 産 量 も 前 年 同 期 比 で 減 少 し た

(12.6Kt→7.4Ktへ▲5.2Kt)。主な背景は2014年Q3レポートで既報のとおり、断層との交差による鉱石の採鉱量および品位の低下によるもの。なお、通年では、Los Brancesは鉱石生産量の拡張および選鉱プラントの

デボトルが鉱石品位の低下分を補い、昨年並みの生産量を維持できた事で、▲2.7%の404.5Kt(含SxEw)を生産した。El Soldadoは▲37%の32.4Kt(含SxEw)で、地質上の問題(断層と交差)から生じる鉱石品位の低下によるもの。

⇒Anglo�American�Norte (Mantos�Blancos鉱山、Mantoverde鉱山) 2014年Q4の 生 産 量 は 前 年 同 期 比 で2.2%増 加 の27,600t(含SxEw)となった。Mantos Blancosの精鉱が1,000t、SxEwが6,000t増えた一部がMantoverdeの鉱石品位低下による減少(1,000t)で相殺されたが、全体として6,000tの増加となった。通年では▲6.5%の27.6Ktとなり、Mantos Blancos、Mantoverdeのどちらも鉱石品位の低下が原因。

■ 生産見通し 2015年は、Anglo American Surが2014年の437Kt(100%ベース)から若干減少の410〜440Kt(同)を予定しており、その他のオペレーションは今年度並みを維持するものの、総量では今年度と同列か3〜4%の減少が予想さ れ る。 主 な 理 由 は、Collahuasiに 次 ぐ 規 模 のLos Brancesにおいて、工業用水の使用が2015年1〜6月期に制限される結果として、鉱石処理量が減少するため。

レポート

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 25(581)

ベースメタル(ニッケル)

 2014年Q4の生産量は前年同期比で▲34.3の6,700t(PGMからの回収分を除く)となった。主な背景はブラジルBarro Altoのフェロニッケル工場における2号電気炉の再建工事による計画減産によるもの。工事は2014年10月から2015年Q2始めまで行われる。その後、2号炉の立ち上がりをみて、1号炉の再建工事が始まる。2基の電気炉が通常操業に復帰する時期は2016年Q1を予定している。なお、ブラジルCodeminも鉱石品位の低下により、前年同期比▲8.3%となった。 通期では、8.1%増の37.2Ktとなった。ブラジルBarro Alto工場での生産が2013年の事故から立ち直り、

比較的好調だった事が主な背景。Barro Altoは10月からスタートした2号炉の再建による減産分を補っても、前年比で12.7%のプラス。Codeminは鉱石品位の低下により、通年でも▲4.3%の減少。

■ 生産見通し 2014年の37Ktから20〜25Ktへ減少する見込み。主な理由はBarro Altoの電気炉再建工事による減産。逆に2016年は再建工事の完了により、40〜45Ktへ増加する計画。

ニオブ

 2014年Q4の生産量は前年同期比で8.3%増加の1,300tとなった(通期生産量も1.7%増)。鉱石品位の改善とBoa Vistaプロジェクトの完工によるランプアップ効果によるもの。

 Boa Vistaプロジェクトは建設が完了し、予定どおり、2014年12月 に 初 生 産 が 行 わ れ た。 既 存 の 生 産 量4,500tpaに約2,000tpaが追加され、2016年から6,500tpa体制となる。

PGM

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート26(582)

⇒プラチナ 2014年にストライキの影響を受けた鉱山はQ3までに完全復旧した。 2014年Q4の自社鉱山からのプラチナ生産量は22%増の380Kozとなった。主要なオペレーション別にみると、Rustenburgは36%増の105.8Koz、Unionは23%増の42.8Koz、Amandelbultは41%増の103.3Koz。Union鉱山で進めている合理化の一部として、シャフトの閉鎖をQ4に行った(年間60Koz相当の削減)。Mogalakwena

(Platreef)の生産は11%増の98.1Kozとなった。生産性改善プログラムの一環として、選鉱設備の処理能力を増強した事によるもの。なお、98.1KozはLonmin社のBaobabコンセントレーターでの処理分60Kozを含む。また、JVや関係会社の生産量は▲2%の194.3Kozとなった。主な背景は、BRPM、Mototoloでの生産が減少したため。BRPMは▲6%の50.5Kozで、2014年10月に発生した死亡事故を受けてS54が操業停止となったため。また、Mototoloは▲10%の29.5Kozで、品位低下および操業に問題が発生したため。Bokoniは11%増の27.1Koz。 これらを合計したEquivalent Refined Pt(ERP:自社鉱石+買鉱のPt含有量)の生産量は前年同期比14.2%増の594Kozとなった。一方、Refined Pt(地金)の生産量は前年同期比▲17.1%の574Kozとなった。地金の減少背景は2014年上期のスト期間中に払い出された鉱石在庫を積み増しているため(図2)。 通期のERP生産量は前年比▲20.6%の1.84Mozとなった。減少の主な原因は、まず長期化したストが挙げられ る(2014年1/23〜6/24)。 こ れ に よ り、Rustenburg、Amandelbult、Unionが打撃を受け、約424Kozの生産が失われた。また、Q3の復旧期においては、安全優先のために操業率を落とした生産を行った事で、(通常と比較して)108Kozが失われた。従い、このストによる

損失は合計532Koz。ストによる減少要因に加えて、RustenburgやUnionではリストラによる減産があり、且つUnionは2014年Q4に閉山した事で、合計114Kozが追加の減産要因となった。ただし、これらのロス分は過去最高となる年間生産量を記録したPlatreefやJV各社での増産によって、その一部が緩和された。 通期の地金生産もストの影響を大きく受け、在庫鉱石の引出しにより一部は緩和されたものの、前年比▲20.6%の1.89Mozとなった。在庫鉱石は鉱山がフル生産に戻ったQ3から順次積み増しを行っており、年末までには通常の在庫レベルを回復している。

■ 生産見通し 2014年Q3にストから速やかに回復した事で、既に通常の生産体制に復帰している。2015年は2.3〜2.4Mozを予定。2014年Q4に閉山したUnionの減少分は、その他の鉱山での生産体制の効率化により、リカバリー可能。

図2. プラチナ生産量推移

ダイヤモンド

 2014年Q4の生産量は前年同期比で▲8.4%の8.37Mct(▲0.77Mct)となった。この現象は事業全体の35〜40%の比重を占める主力鉱山Opera(Debswana社)、およ び10%程 度 の 比 重 を 占 め る 準 主 力 鉱 山Venetia

(DBCM社)において、鉱石品位が低下した事が主な背景。具体的にはOperaで▲0.78Mct、およびVenetiaで▲0.34Mctの合計▲1.13Mctが減少した事で、Opera級の主力鉱山Jwaneng(Debswana社)が19.6%(0.51Mct)増加した分が全体の増加に貢献できなかった。 ただし、2014年度を通年でみれば、前年比4.6%増

の32.6Mct(+1.45Mct)を生産した。全体の75%を占めるDebswana社の生産量が前年比6.7%(1.53Mct)増加した事が最大のプラス要因。さらに細かくみると、Opera鉱山とJwaneng鉱山(2鉱山で事業全体の約70%を占める)の1.63Mct増加し、他のオペレーションのマイナス分を補った形。また、2014年度の生産計画(31〜32Mct)に対しても若干の超過達成。

■ 生産見通し 2015年の生産量は32〜34Mctを予定している。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 27(583)

図3. 豪州の炭田別生産量

コーポレート 2014年10月25日 ブラジルMinas Rio鉄鉱石プロジェクトで生産された鉄鉱石(ペレットフィード)が初輸出された。80Kt、中国向け。2014年度の輸出量はパナマックス船型で3航海、計20万t。フェーズ1のフル生産(26.5Mtpa)に向けて、18〜20か月を掛けてランプアップしていく。

 2014年12月5日 100%子会社Anglo American Michiquillay S.A.を通じて探鉱活動を行っていたMichiquillay銅プロジェクト

(ペルー)からの撤退を正式決定した。長期的なポートフォリオに適合しないため。買収費用の3.4億US$は2013年度に減損済み。なお、Quellaveco銅プロジェクト(81.9%シェア)は引き続き推進していく。

 2015年2月13日 2014年度決算発表の中で、総額47億US$の減損を明らかにした。主な内訳は、Minas Rio(伯・鉄鉱石)が38億US$、石炭関連が5.85億US$で、この2件で全体の90%以上を占める。Minas Rioは2012年に行った49.6億US$に続く、大型減損。前回2012年の減損理由は、CAPEXの総額が過剰に膨らんだ事に対するもので、鉄鉱石価格の見通し引下げに起因するものでは無かっ

たが、今回は鉄鉱石価格の2024年までの中期見通しが当初計画値から乖離した事によるもの。また、石炭はPeace River(加)が2.65億US$、豪州関連が3.2億US$で、いずれも石炭価格の下落による事業価値の見直し(プロジェクトからの撤退を含む)によるもの。 なお、石炭事業については、豪州4か所を売却予定。対象鉱山は3鉱山と1プロジェクト(Dawson、Foxleigh、Callide、Dartbrookプロジェクト)で、2015年1〜6月期から売却に着手。これら売却対象鉱山の生産量は豪州事業の40%超に相当する(2013年で42%、2014年で44%)。

注: 2015 年は上期分だけを持分生産量としてカウント(2014 年実績の半分:斜線グラフ)。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート28(584)

▶  銅 2014年の自社生産量(own�sourced)2は前年比3.6%(53Kt)増の1,546Ktとなった。主な背景はMutandaのランプアップ効果(前年比+46.5Kt)。Mutandaは2013年末に拡張工事が完工し、現在は設計能力(200Ktpa)で生産を行っている。

▶  亜鉛 2014年の自社生産量は前年並み(▲0.9%)の1,387Ktとなった。豪州(Mt.� Isa、McArthur�River)やブルキナファソ(Pekoa)での拡張プロジェクトがランプアップ期に入った事で、2013年6月に閉山したカナダ事業(PerseveranceとBrunswick)の減少分を補った形。

▶  ニッケル 2014年の自社生産量は前年比2.5%増の101Ktとなった。Koniambo(ニューカレドニア)のランプアップ効果およびINO(カナダ)の好調な生産が主な背景で、Falcondo(ドミニカ)の休止、XNA(豪)の売却による減少分を補った形。

2 カスタムスメルター部門を除く数値(以下同じ)

▶  石炭(原料炭および一般炭) 2014年の自社生産量は前年比5.9%増の146.3Mtとなった。主に、生産性の改善と豪州で進めていた一般炭プロジェクトがランプアップに入ったため。しかし、低迷する市況に対応すべく、2014年12月から2015年1月にかけて、豪州事業は3週間の生産休止を実行した。

▶  原油 2014年の自社権益生産量(entitlement)は前年比47.5%増の7.35Mbblとなった。主な背景は赤道ギニア(Alen:2013年5月生産開始)およびチャド(Badila:2013年9月生産開始)のプロジェクトが初めて通年生産を行った事。また、チャドについては、2014年7月にBadilaやMangaraの権益を持つCaracal�Energy社を13.2%から100%に完全買収した事が持分生産量の増加に寄与した(買収額は15億US$)。なお、Mangaraは2014年12月から生産を開始し、2015年にランプアップを完了する予定。�

5. Glencore  2014年Q4(10~12月)生産レポート

ハイライト

出所 : Glencore, Production Report ended 31 Dec 2014(2015/02/11 発表)

レポート

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 29(585)

(続く)

銅 2014年の自社生産量(100%ベース)は前年同期比3.6%増の1,546Ktとなった。アフリカでの生産がランプアップにより増加している事が主な背景。また、

Collahuasi、Antapaccay、豪州の増加も寄与。その一方、Antaminaの品位低下、またAlumbreraとLomas�Bayasでの生産障害がマイナス要素となった。 レ

ポート

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート30(586)

図4. Glencoreの銅オペレーション出所:Glencore, Investor Day, 10-Dec, 2014

レポート

資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 31(587)

⇒アフリカ・オペレーション 【Katanga�/�Mutanda�/�Mopani】

⇒その他の南米オペレーション �【Alumbrera�/�Antapaccay-Tintaya�/�Lomas�Bayas�/�Punitaqui】

 2014年の生産量は前年比16.7%増の465Kt(+66.4Kt)となった。Mutandaの生産量は同30.9%増の197.1Kt

(+46.5Kt)で、2013年12月に完成した拡張工事の設計能力(200Ktpa)に近いレートで通年の稼働を行った。また、Katangaの生産量は同16%増の158Kt(+21.8Kt)で、拡張プログラムの進捗に合わせて、着実に生産量が増加している。現在、2013年Q3に完成したフェーズ4

(SxEw:100Ktpa)に続き、フェーズ5(SxEw:60Ktpa)のランプアップ準備を進めている。 Katangaの生産は、2014年も依然として電力問題(量と質)に制約を受けた。Ingaダムプロジェクトが稼働するまでの間の対応策として、停電時に設備を稼働させ続けるためのバックアップ電源の確保を含め、多くの改善を行っており、電力供給の問題は徐々に解消されつつある。Ingaダムの発電機は2015年Q4に1機、2017年Q2に残りの1機が稼働予定。 なお、コバルトの2014年生産量は前年比7.5%増の17.2Kt(+1.2Kt)と な っ た。 主 に0.7Ktを 増 産 し たMutandaの拡張によるもの(別表1)。

⇒Collahuasi(★Anglo�Americanのページと相互参照) 2014年の生産量(44%持分)は前年比5.8%の207Ktとなった。主に、2013年中頃からSAGミルを再稼働させた事、および品位が若干高い鉱石を優先して採鉱している事による。

⇒Antamina(★BHP�Billitonのページと相互参照) 2014年の生産量(33.75%持分)は前年比▲22.1%の116.4Ktとなった。これは採掘計画上、低品位の貯鉱

(long-term stock piles)を優先して使用しているためである。低品位鉱石の使用を前提として、選鉱プラントの処理量は改善されており、品位低下による減少を食い止めている状態が続いている。

 南米における準主力鉱山全体の2014年生産量は前年比0.25%増 の347.7Ktと な っ た。 鉱 山 別 に み る と、Antapaccayが同20.2%増の167.1Kt(+28.1)で、鉱石処理量と収率が改善したため。これにより、2013年10月に終了したTintataでのSxEw分(▲12.2Kt)の一部が埋め合わされた。Alumbreraは同▲6.4%の102.6Kt(▲7.0Kt)となった。地質構造上の問題でピットへのアクセスが一時的に制限されており、低品位の貯鉱を使って生産を行っている事が減少の背景。Lomas Bayasは同▲10.2%の66.6Kt(▲7.6Kt)で、SxEwの処理に制約があるため。 なお、これらの操業鉱山から得られた2014年の産金量は前年比▲1.5%の386Kozとなった(別表2)。主な背景は、Antapaccayの鉱石品位が低かったため。

⇒豪州 【Ernest�Henry�/�Mt.�Isa�/�Cobal�/�Townsville精錬所】 2014年の生産量は前年比5.5%増の259.1Ktとなった。主に、Ernest Henryの生産量が増加し、Townsville精錬所の電気銅生産において、自社鉱石比率が高まったことによるもの。 なお、産金量は前年比44.2%増の62Kozとなった(別表2)。これは金の含有量の多いErnest Henry鉱山の鉱石供給が増えたため。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート32(588)

鉛・亜鉛亜鉛: 2014年の自社生産量は減少分を増加分が補う形で、前年と横並び(▲0.85%)の1,386Ktとなった。 豪州(Mt�Isa、McArthur�River)、ブルキナファソ(Perkoa)での拡張プロジェクトがランプアップ期に

入った事で、80.1Ktのプラスとなったが、一方で、2013年6月に閉山したPerseveranceとBrunswickの減少(▲58.5Kt)、Antaminaでの鉱石品位の低下(▲16.7Kt)、Kazzincでの外部鉱石の優先使用による自社鉱石の減少(▲16.9Kt)といった複数の減少要素が存在した事で、合計では▲0.85%(▲12Kt)となった。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 33(589)

鉛: 2014年の自社生産量は前年比▲2.4%の307.5Kt(▲7.5Kt)となった。主な要因は、Brunswickの閉山

による減少(▲13.5Kt)。これにより、AR�Zinc(アルゼンチン)の増産分が相殺され、合計では前年比で若干のマイナスとなった。

⇒Antamina 亜鉛の2014年生産量は前年比▲19%の71.2Ktとなった。品位の低い貯鉱を使用しているため。

⇒Kazzinc 亜鉛の2014年生産量は前年比▲7.8%の199.3Ktとなった。これは戦略的に自社の酸化鉱に優先させて、外部調達の硫化鉱を使用したため。外部調達の鉱石分を含めた生産量は前年比1.4%増の304.5Ktとなっている。 産金量は前年比▲12.6%の506Kozとなった(別表2)。Vasilkovskyでの収率が一時的に低下しているため。外部鉱石を含めても、前年比▲4.7%の675Kozとなった。 鉛は前年比▲13.8%の25.7Ktとなったが、外部鉱石を含めた生産量は126.5Ktで、前年比39.6%の大幅な増

加となっている。ISASMELTTMの導入による処理量増加がその理由。 産銅量は前年比▲8.1%の46.8Ktで、電気炉のメンテナンスによる生産停止が何度か発生したため。

⇒豪州オペレーション【Mt.�Isa�/�McArthur�River】 亜鉛の2014年生産量は前年比8.7%増の661.6Ktとなった。これはMt. Isa(Lady Loretta)の拡張が完了した事、およびMcArthur Riverの拡張(フェーズ3)が試運転を開始した事による増産分が寄与したため。フェーズ3の拡張が完了すると、鉱石処理量が現在の250万t/yから500万t/yへ倍増する。 一方、鉛の2014年生産量は前年比1.3%増の216.4Ktとなった。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート34(590)

⇒北米オペレーション 【Matagami�–�Perseverance�/�Kidd�/�Brunswick】 亜鉛の2014年生産量は前年比▲30%の135.8Kt(▲58.5Kt)となった。主な背景はPerseveranceとBrunswickが13年6月に閉山した事(▲93.6Kt)。Perseveranceの減少分は2013年5月に生産を開始した後継鉱山Bracemac-Mcleodの増加分で補っているが、Brunswickの減少分

(▲52Kt)がそのままになっている。 なお、鉛はBrunswickの閉山により、北米オペレーションでの生産は無い。

⇒その他 �【AR�Zinc� /� Los�Quenuales� /�Sinchi�Wayra� /�Illapa�/�Rosh�Pinah�/�Perkoa】

  亜 鉛 の2014年 生 産 量 は 前 年 比9.2%増 の318.6Kt(+26.9Kt)となった。主な背景は2013年4月に生産を開始したPerkoa(ブルキナファソ)のランプアップによるも の で、2013年 の32.2Ktか ら2014年 は65.0Ktへ と32.8Kt増加した。 一方、鉛の生産量は前年比12.6%の65.4Kt(7.3Kt)となった。主な背景はAR Zincにおける鉱石処理能力および鉱石品位が向上したため。

ニッケル 2014年の自社生産量は前年比2.5%増の101Kt(+2.5Kt)と な っ た。Koniamboの ラ ン プ ア ッ プ(+11.2Kt)、およびカナダでの鉱石品位アップによる

増産(+4.3Kt)に対して、休止中のFalcondo(▲9.4Kt)および事業売却をした豪XNA(▲4.1Kt)の減産があったため。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート 35(591)

⇒カナダ・オペレーション (INO:� Integrated�Nickel�Operations:�Sudbury�/�Ragan) 2014年の自社生産量は前年比9%増の51.9Ktとなった。主な背景として、Ragan鉱山の鉱石品位が高かった事が挙げられる。買鉱分(39.5Kt)を含めた地金生産量は91.4Ktで、前年とほぼ横並び。これはNikkelverk精錬所(ノルウェー)の稼働が安定していた事によるもの。

⇒豪州オペレーション【Murrin�Murrin�/�XNA】 2014年の自社生産量は前年度の40Ktに対して、▲3.6Ktの36.4Ktとなった。2013年8月から始まったXAN

(CosmosおよびSinclair)の生産休止分(▲4.1Kt)が原因。ただし、豪州事業の中心はMurrin Murrinであり、

2013年の自社生産量も35.9Ktと、全体(40Kt)の90%を占めていた。従い、XNAの生産休止による絶対数のインパクトは軽微と言える。2014年のMurrin Murrinの生産量は買鉱分(7.7Kt)も含めて44.1Ktと、前年比6.8%増加した。これはHPALの稼働が安定しているため。 なお、Sinclairは2014年10月、豪の探鉱企業Talisman Mining社に10m.A$で売却された。

⇒Koniambo 2014年の自社生産量(フェロニッケル中のNi金属分)はランプアップの継続により、前年比8倍の12.6Ktとなった。なお、2014年12月26日、1号炉付近で湯漏れ事故が発生し、1号炉の生産を停止した。事故原因の究明と補修作業は2015年1月から開始した。

合金、他

⇒フェロクロム(FeCr) 2014年の持分生産量は前年比4.6%増の1,295Ktとなった。主な背景は2014年6月からスタートしたLion-2

(FeCr: 360Ktpa)のランプアップ効果。フル生産は2015年中頃を予定している。

⇒PGM 2014年の生産量は前年比0.6%の157Koz(4Eベース)となった。

⇒バナジウム(V2O5) 2014年の生産量は前年比▲3.7%の20.8Mlbとなった。主な背景は3週間の定修。

⇒銅 2014年のカソード生産量は前年比▲7.4%の433.8Ktとなった。Pasar精錬所(フィリピン)が台風の影響でダメージを受け、2014年Q1のほとんどの期間、生産が止まった事が主な原因。 一方、アノード生産量も前年比▲4.0%と減少した。Altonorte(チリ)製錬所において、2015年に予定していた定修を前倒しで実施したため。

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資源メジャーの最新生産動向(2014年10〜12月)

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2015.3 金属資源レポート36(592)

⇒亜鉛・鉛 2014年の亜鉛地金生産量は前年比4.9%増の781.8Ktとなった。Portovesme(イタリア)製錬所において、2013年にSXプラントが導入されたため。一方、鉛地金は前年比1.8%増の177.4Ktとなった。Portvesme製錬所が2013年に再稼働してから初めて、通年生産を経験した事によるもの。これによる増加分で、Northfleet製錬所(UK)での生産減を補完した形(2014年6月に発生したMt. Isa鉛製錬所での出火事故により、一時的にNorthfleetへのブリオン供給に障害が出た)。

⇒合金(マンガン系) 2014年の生産量(FeMn、SiMn)は前年比17.2%増の224Ktとなった。SiMnの増産背景はノルウェー工場の生産性が改善した事、また、FeMnは需要増加によるもの(フランス工場が増産)。

⇒アルミナ 2014年の生産量は前年比▲13.9%の1.38Mtとなった。主な背景は大西洋地域のアルミニウム市場が引き続き鈍いため、溶解設備の一部を止めて、生産調整を行ったため(2014年7〜12月)。また、電力供給が不安定だった事も影響している。

石炭 一般炭および原料炭を合わせた2014年の生産量は前年比5.9%増の146.3Mtとなった。主な要因は、豪州

の一般炭プロジェクトの多くがランプアップステージに入った事による増産効果。

⇒豪州・原料炭 2014年の生産量は前年比▲17.8%の6.0Mtとなった。主な背景はNewlands、Oaky Creek、Collinsvilleの各炭田において、コスト削減プログラムによる生産計画の変更が行われた事。

⇒豪州・一般炭(セミソフトを含む) 2014年の生産量は前年比10%増の63.5Mtとなった。主 な 背 景 は 生 産 性 の 改 善、Ravensworth North、Rollestonプロジェクトの完工、Ulan Westでのロングウォール生産のスタートによるもの。

⇒南アフリカ・一般炭 2014年の生産量は前年比6.0%増の46.1Mtとなった。主な背景はHlagisa(露天)が2014年にフル生産を行った事、Tweefontein(坑内)での生産性改善、Wonderfontein

(露天)の生産開始によるもの。ただし、複数の高コスト鉱山を閉鎖した事で、こうした増産効果の一部は相殺された。

⇒コロンビア炭【Prodeco�/�Cerrejon】 Prodeco:2014年の生産量は前年比4.8%増の19.5Mtとなった。主な背景はCalenturitasの設備稼働率が高かった事、およびLa Jaguaを含め天候に恵まれた事。 Cerrejon:2014年の生産量は前年比1.8%増の11.2Mtとなった。主な要因は2013年Q1に発生した32日間のストによる減産との比較した見掛け増。

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2015.3 金属資源レポート 37(593)

石油

 2014年の持分生産量は前年比47.5%増の7.35Mbblとなった。これは主にAlen(赤道ギニア/13年6月開始)およびBadila(チャド/13年9月開始)での新規生産が初めて12か月操業を行った事によるもの。また、チャ

ド(Alen、Mangara、他)の権益を持つCaracal Energyを2014年7月に完全子会社化した事も持分生産量の増加に寄与した。Mangaraは2014年12月から生産を開始し、2015年にランプアップを行う。

コーポレート 2015年2月4日 S&PがBBB(安定的)で格付けを据え置いた。

 2015年2月11日 23.9%株式を保有するLonminからの撤退を発表。GlencoreのCEOは、「当社の上流権益への投資は自社が強いトレードパワーを持つ商品に限って行われるものであり、プラチナのトレードで強みを持たない当社にとって、Lonminはノンコア資産」、と説明をした。撤退方法は、同社が保有するLonmin株をGlencoreの株主にプロラタで配分する案が有力(例:Glencoreの10%株主はLonmin株を2.39%配分される)。2015年5月の株主総会で決議に諮る。 Lonminは世界のプラチナ生産大手の1つで、旧Xstrataが2008年に23.9%株式を買収した。

 2015年2月26日 豪州の石炭事業に関し、2015年生産量を15百万t削減と発表した。2015年の豪州炭の生産量は約70百万tで、今年度比20%の削減幅となる。低迷する需要動向に合わせた事業の最適化を図る。稼働中の鉱山への対応とは別に、プロジェクトの遅延も含め、石炭事業の全面的な見直しを行い、市況低迷期を乗り切る考え。

 2015年3月3日 2015年のCAPEXに関し、市況鈍化への柔軟な対応が求められるとして、2014年12月に投資家会合で発表した79億US$から、65~68億US$への削減を明らかにした。

(2015.3.3)

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2015.3 金属資源レポート38(594)

【別添資料】

表1.�コバルトの生産量推移

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2015.3 金属資源レポート 39(595)

表3.�銀の生産量推移

表2.�金の生産量推移

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2015.3 金属資源レポート40(596)

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