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  • 昭和60年4月20日 411

    大量 のガス産生を伴 った化膿性肝膿瘍の1例

    和泉市立病院内科

    高松 健 次 宮 本 修 中野 義隆

    小松 裕 司 南川 博 司 西 本 正紀

    (昭和59年9月3日 受付)

    (昭和59年10月16日受理)

    Key words: Liver abscess, Gas forming infection, Klebsiella pneumoniae

    要 旨

    ガス産生感 染症 と して従 来 はClostridium属 に よる ガス壊疸 が代 表的 で あ った が,最 近 は ガス壊 疸 に

    おい て も非Clostridium性 の ものの増加 が指 摘 され,そ の他気 腫性 腎孟 腎炎 や気 腫性 胆嚢炎 な どの報告

    も散見 され る.肝 は その豊 富 な血流 のた めか ガ スが貯留 しに くい と言 われ,ガ ス像 を伴 う肝膿 瘍 の報告

    は稀で あ る.

    最近 著者 らは,糖 尿病 患者 に発 症 した大 量 の ガス像 を伴 う化膿 性肝膿 瘍 を経験 した ので,若 干 の考察

    と共 に報 告 した.

    症 例 は不 明熱 として入院 した62歳 の女性.著 明 な 白血 球増 多 と共 にGOT,GPT,ALP,LAPの 上 昇 が

    あ り,腹 部単純 写 真で右 横 隔膜下 方 に ガス像 が認め られ た.腹 部 エ コーに よ り肝 右 葉 内 にhyperechoic

    とhypoechoicな 部 分の混 在す る腫瘤 像 が描 出 され,CTでair-fluid levelを 有す る大 量 の ガス像 を伴 う

    低 吸収域 がみ られ,ガ ス産生 性肝 膿瘍 と診 断 した.直 ちに開腹 に よるチ ュー ブ ドレナ ージを施 行 し,全

    身及 び局 所化学 療法 に よ り軽 快 した.血 液 と膿 か らはKlebsiella pneumoniaeカ ミ分 離 され,ガ スに悪 臭 は

    感 じられ な か った.同 時 に右 側 の全眼球 炎 も併 発 してお り,眼 球摘 出術 が施 され た.肝 膿瘍 の発症 経路

    は不 明 であ り,全 眼球炎 は肝膿 瘍 に よ る転 移性膿 瘍形 成 と考 え られ た.

    1.は じめ に

    病 巣 内 に ガ ス を 生 じる感 染 症 と して は,従 来 よ

    りClostridium属 に よ る ガ ス壊 疽 が 良 く知 られ て

    い る.し か しClostridium属 以 外 の嫌 気 性 菌 や,あ

    る い は 好 気 性 菌 に て も ガ ス産 生 を み る こ と が あ

    り1)2),特 に糖 尿病 で は 組 織 内 の グル コー ス濃 度 が

    高 く,従 っ て ブ ドウ糖 醗 酵 に よ る ガ ス産 生 が 容 易

    で あ り,非Clostridium性 ガ ス産 生 感 染 症 の 基 礎

    疾 患 と して 重 要 視 され る.

    今 回,著 者 らは コ ン トロー ル不 良 な糖 尿 病 患 者

    に お い てKlebsiella pneumoniae(以 下K.pneu-

    moniae)に よ り発 症 した,大 量 の ガ ス産 生 を伴 う

    孤 立 性 化 膿 性 肝 膿 瘍 を 経 験 した.内 部 臓 器 の ガ ス

    産 生 感 染 症 の 報 告 と して,気 腫 性 胆 嚢 炎3)や 気 腫

    性腎孟腎炎4)などが散見 されるが,ガ ス産生を伴

    う肝膿瘍の報告は極めて少な く5)~7),稀な症例 と

    考え報告する.

    2.症 例

    K.Y.62歳,女 性,青 果販売業.

    主訴:発 熱.

    家族歴:母 が胆のう炎で死亡.

    既往歴:18歳,肺 結核,60歳,糖 尿病.

    現病歴:2年 前より近医で糖尿病にてSU剤 を

    服用 していたが,コ ン トロール状態は不良であっ

    た.昭 和58年11月26日 夕方,突 然に悪感戦藻 と共

    に39℃ の発熱があり,翌 日も同様のため11月28日

    某病院へ入院.不 明熱として種々抗生剤の投与を

    受けていたが,39℃ 前後の弛張熱が持続 した.12

    月2日 突然右眼の眼痛 と視力低下を来た し全眼球

    炎 と診断され,12月6日 当院眼科へ転院 し,同 時

    別刷請求先:(〒594)大 阪府和泉市府中町780

    和泉市立病院内科 高松 健次

  • 412 感染症学雑誌 第59巻 第4号

    に当内科と共観 となった.こ の間食欲不振は強度

    であったが腹痛はなかった.

    入院時現症:身 長151cm,体 重45kgで 意識は清

    明であったが栄養状態は不良であった.体 温37℃,

    脈拍78/分 で不整はなく,血圧82/40mmHgと 低 く

    呼吸数も24/分 と頻回であった.球 結膜に黄疸はな

    かったが,瞼 結膜は貧血状で,両 眼瞼に浮腫が認

    められ特に右側が著明であった.心 音異常な く呼

    吸音は左背部にて吸気時にcrackleを 聴取 した.

    腹部は平坦で軟 らか く,圧 痛はなく,肝 ・脾 も触

    知 しなかった.両 下肢前脛骨部 ・足背に著明な浮

    腫が認め られたが,腱 反射など神経学的所見には

    異常はなかった.

    入院時検査所見:Table 1に示 した如 く,尿 糖

    が強陽性であ り,沈渣では少数であったが赤血球,

    白血球,円 柱 も認め られた.末 梢血では赤血球数

    329×104,ヘ モグロビン10.1gと 貧血があ り,白血

    球数は38,800と 著増し,CRP4+,α1 globulin

    8.1%,α2 globulin 15.8%と 炎症反応がみられた

    が,血 沈値は1時 間値17mm,2時 間値51mmと 軽

    度の促進に とどまった.空 腹時血糖は257mg/dl

    と高値で,同 時にGOT104KU,GPT68KU,ALP

    25.7KAU,LAP238GRU,LDH483Wro.Uと 肝

    機能異常が認められ,血 清蛋 白も4.2g/dlと 低蛋

    白血症が存在 した.ま た低蛋 白血症による肺間質

    浮腫のためか,低 炭酸ガス血症を伴 う低酸素血症

    があり,更 に3.6mEq/lと いう低 カ リウム血症 と

    合わせて血液pHは7.506と 軽度 のalkalemiaで

    あった.発 熱や白血球増多の程度に較べて血沈促

    進が軽度であったため,DICを 疑い血液凝固能を

    測定 したが,FDPが10μg/mlと 若干高値であっ

    た以外に異常な くDICの 存在は否定的であった.

    入院後経過(Fig.1):前 医により抗生剤 として

    FOM2gとDKB100mg宛1日2回 の点滴静注

    が施行 されてお り,当 院へ転院当日はそのまま同

    薬剤投与を続けることとした.翌12月7日 静脈血

    培養を実施 し,そ の後IVHを 開始する と共 に投

    与抗生剤 もCZX1g宛1日3回 に変更 した.IVH

    のカテーテル位置確 認のた めの腹部単純 写 真

    (Fig.2)に おいて右横隔膜の下方にガス像を認め

    たが,ま だこの時点ではその本態は認識されない

    ままであった.入 院時の肝機能検査異常の存在か

    Table 1 Laboratory examination on admission

  • 昭和60年4月20日 413

    Fig. 1 Clinical course

    Fig. 2 Abdominal radiograph showing gross gas

    below the right hemidiaphragm.

    ら,理 学所見上は圧痛などを認めなかったものの

    肝胆道系感染症を疑い12月9日 腹部エコー検査を

    行 な い,肝 右 葉 内 にFig.3の 如 くそ の 内 部echo

    はhyperechoic及 びhypoechoicな 部 分 が 混 在 す

    る 約10×10cm大 の 腫 瘤 像 が 認 め られ,更 にCT

    像(Fig.4)でair-nuidlevelを 有 し著 明 な ガ ス像

    を 伴 うlow density部 が 描 出 さ れ,ガ ス産 生 性 肝

    膿 瘍 と診 断 さ れ た.間 も な く静 脈 血 培 養 か らK.

    pneumoniaeの 発 育 が確 認 され,CZXよ り更 に肝

    内 へ の移 行 が 良好 とさ れ るLMOXに 抗 生 剤 を 変

    更 す る と共 に,入 院5日 後 の12,月11日 開 腹 に よ り

    肝 膿 瘍 内 に ドレ ナ ー ジ チ ュ ー ブ を挿 入 した.膿 瘍

    内 の 膿 は米 の と ぎ汁 に似 た 灰 白 色 で あ り,特 に 悪

    臭 は感 じ られ な か っ た.一 部 膿 が腹 腔 内 へ 流 出 し

    た た め 腹 腔 内 に も ドレー ンを 留 置 し,手 術 を 終 え

    た.後 に判 明 した 膿 の細 菌 培 養 結 果 は,静 脈 血 培

    養 同様K.pneumoniaeの み が 分 離 さ れ,嫌 気 性 菌

    は 発 育 し なか っ た,そ の デ ィス ク法 に よ る抗 生 剤

    感 受 性 はABPC(十),CEZ(卅),CZX(卅),

    LMOX(卅),GM(卅),MINO(十)で あ り,静 脈

    血 よ り分 離 さ れ た 菌 株 はMINO(廾)で あ った

    が,他 の薬 剤 で は 良 く一 致 し同 一 菌 株 と考 え られ

  • 414 感染症学雑誌 第59巻 第4号

    Fig.3 Ultasonographic appearance showing large

    mass with hypoechoic and hyperechoic areas.

    Fig.4 CT scan demonstrating low density mass

    containing gross gas with air fluid level.(Dec.10.

    1983)

    た.手 術後は速やかに解熱 し全身状態も向上 した

    が,右 眼は失明 し更に眼痛も強度のため12月16日

    右眼摘出術が施行 された.残 念なが ら眼球内の膿

    の細菌培養 は実施 されていない.

    その後発熱も全 く認め られな くなり,途 中か ら

    併用 されたGMと 共に,12月22日 か らは全身的化

    学療法は中止 し,ド レナージチ ューブを通じての

    Fig.5 CT scan showing remain of small low

    density area.(Jan.27.1984)

    局 所 洗 浄 の み が

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