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簡単、PHP開発環境Ubuntu12.04デスクトップ編 PHP での開発のため、LAMP サーバーを Ubuntu12.04 上に構築 しましょう。開発統合環境の NetBeans とデバッガーXdebug も設 定します。 Hirohisa Kawase

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簡単、PHP開発環境Ubuntu12.04デスクトップ編

PHP での開発のため、LAMP サーバーを Ubuntu12.04 上に構築しましょう。開発統合環境の NetBeans とデバッガーXdebug も設

定します。

Hirohisa Kawase

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簡単、PHP開発環境Ubuntu12.04デスクトップ編

PHP での開発のため、LAMP サーバーを Ubuntu12.04 上に構築しましょう。開発統合環境の NetBeans とデバッガーXdebug も設定します。

©2012 Hirohisa Kawase

This version was published on 2012-08-06

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Contents

前書き i

本書の対象 iii

履歴 iv

1 準備 1

1.1 ランチャー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2

1.2 アップデートの実行 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3

1.3 端末の使用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4

1.4 Synapticパッケージマネージャー . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5

1.5 ルートユーザー権限 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 7

2 LAMPのインストール 10

2.1 taskselのインストール . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 11

2.2 LAMPをまとめてインストールする . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 13

2.3 コマンドラインでLAMPをインストールする . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 17

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前書き

 この電子書籍は http://kore1server.comで公開中の記事をそのまま出版したものです。

  Ubuntu12.04 上に LAMP サーバーを構築し、個人向けの PHP 開発環境を素早く用意するための情報です。慣れますと LAMP サーバーを10分程度で構築できるようになります。その他のセットアップを入れても30分かかりません。

 採用しているセットアップ方法は、「セキュリティよりも準備のしやすさ」を主眼においております。XAMMP のセットアップの手間と対して変わらない程度になっています。

 実際、Linux で開発するのになぜか XAMMP を使用している方々が最近多いようです。XAMPPはお手軽にインストールできるのですが、デフォルトではセキュリティ的な観点は考慮されていません。それであっても実際にネットに公開するわけでなく、開発に使用する使い方が多いわけで、それでも事は足ります。

 なぜなら、コンピューターがつながっているルーター(最近のモデムはルーターの機能を含んでいます)を設定し、公開するポートを開かない限り外部からのアクセスはやってこないからです。

 ですから、個人的に開発に使用するだけでしたら、難しいことを多く考え、セキュリティのために複雑な設定を行う必要はありません。お手軽にインストールする方法で十分です。

 セキュリティも手間も大して変わりないとしたら、XAMMP を使用せず、Ubuntu の LAMP サーバーを立ち上げる利点は何でしょうか?

 第一に、Ubuntuという Linxuを使用する意味合いです。Windows嫌いになり、デスクトップ OSとして利用している方もいらっしゃるでしょうが、大抵の場合は、知的好奇心やスキルアップなど、技術と知識の向上を願い、使用しているかたが多いでしょう。それなのに、手間がかからない、ワンパックインストールの XAMPP を入れるのは、いささか矛盾した話です。

 第二に XMAPP と LAMP サーバーでは、聞き手に与えるあなたの技術レベルの印象が違うのです。

 例えばある程度の技術力以上の会社を相手に、就職や仕事の受注目的でおこなわれる面接の過程で、「開発のサーバーは XAMPP 使ってます。」とバレちゃえば、間違いなく「技術的にはたいしたことない人」と思われるでしょう。もちろんあなたがデザイナーさんで、相手の会社が技術力は少なくとも、デザイン力や企画力で勝負しているところでしたら、話は別でしょうけれどね。

 なぜなら数年前までは、Ubuntuを始めとする Linux上で LAMPサーバー立てるのはそれなりの理解と技術力が必要でした。しかし、最近は Linux のディストリビューション(配布元)が頑張って前準備してくれているため、ほとんど手間いらずに立てられます。もちろん、実用レベルで運用するには知識と理解が必要ですが、開発用のセキュリティは甘くても、一応何でも動く、ほぼデフォルトで良いようなサーバーであれば、知識は浅くても、順序を踏み、誰でも簡単に立てられるのです。XAMPP使っているという事は、それすらできない、もしくは理解できないレベルだと判断される可能性が大きいのです。

 第三にめったやたらと頻繁に重要なアップデートは起きないにせよ、Ubuntu で直接 LAMP を立てれば、Ubuntu のアップデートシステムで、最新の状態に保たれます。XAMPP を使用している場合、もし重要なアップデートの必要が起きても、XAMPP 自身がアップデートされるまで待たなくてはなりません。

 そして何より一番重要なのは、LAMP サーバーを立てる経験が、動作の仕組みを深く知ることにつながり、その知識があなたの役に立つという事です。それは、見せかけだけの知識でなく、活用でき

i

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前書き ii

る生きた知恵であり、理解できるようになると、もっと知りたいという欲求が起き、さらにあなたは自分で調べ、研鑽を積むことになるでしょう。

 その第一歩はまず動作するサーバーを立ててみる事です。動いているものをベースに改良するのは、一度も動かないものを一生懸命動かそうとするよりも、ずっと簡単で効率的に学習できます。

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本書の対象

 この「やさしい」開発環境作成マニュアルは、以下の人たちを対象としています。

• Ubuntu 12.04 をインストールできている方

• LAMP サーバーを立てたい方

• PHP 開発者やデザイナーの方で Linux を使ってみたい方

• とにかく一度、Linux でサーバーを立ててみたい方

 内容は、手順の説明をメインに多少の解説を加えています。

 対象とする OS およびソフトウェアは以下の通りです。

• Ubuntu 12.04 (この書籍ではインストールを取り扱いません)

• Apache2(Web サーバー、バージョンは Ubuntu のリポジトリーによる)

• PHP 5.3(もしくは Ubuntu のリポジトリー上のバージョン)

• MySQL(データベース、バージョンは Ubuntu のリポジトリーによる)

• Xdebug(PHP デバッガ、バージョンは Ubuntu のリポジトリーによる)

• NetBeans 7.2(もしくは Oracle 提供の最新バージョン)

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履歴

• 2012/08/01  ベータ版出版

• 2012/08/06  正式版出版(未表紙)

iv

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1 準備 まずは設定の準備を行いましょう。Ubuntu12.04 デスクトップ版を新規にインストールした直後の状態から説明します。

1

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準備 2

1.1 ランチャー

 簡単に説明しますと、ランチャーとは画面の左側に表示されているアイコンがズラリと縦に並んでいる場所のことです。インストール済みのプログラムを起動するツールです。頻繁に使用するプログラムは、このランチャーに登録しておくと便利です。

画面左端にランチャーが表示されます

 現在のインストール直後のデフォルト状態では、ランチャーは左に固定表示になっています。以前はウィンドウが表示されると自動的に隠れ、画面の左端にマウスカーソルを移動すると表示されるのがデフォルトでしたが、最近変更になったようです。

 ランチャーを常に表示しておきたい方は、このままにしておきましょう。以前の通り、普段は隠れていてほしい方は、ランチャーのシステム設定を起動してください。外観アイコンをクリック、挙動タブをクリック、「Lancherを自動的に隠す」のスイッチボタンをクリックし、オンに設定します。

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準備 3

1.2 アップデートの実行

 インストールした後は、まずアップデートの表示がされます。まず、すべてのアップデートを実行しましょう。アップデートの最中は新しくプログラムをインストールできなくなります。アップデートが終わると、再起動が求められます。完全にアップデートが終了した後のほうがシステムは安定していると考えられますので、初心者のかたは特に、再起動後に以降を試してください。

 アップデートは起動後しばらくすると自動的に通知されます。すぐに実行したい場合は、画面右上の設定アイコンをクリック、「ソフトウェアは最新状態です。」もしくは「アップデートがあります」と表示されているアイテムをクリックしてください。後は表示されたウィンドウの指示に従えば、アップデートは始まります。最初のアップデートは量が多いため、終了まで約30分程です。

右上の設定アイコンからアップデートマネージャーを起動できます。

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準備 4

1.3 端末の使用

 端末とはコマンドラインでプログラムを実行するツールです。これはコマンドラインをメインに使用するユーザーであれば、最も使用するプログラムになります。また、GUI の使用がメインであっても、時より使用するので、ランチャーに登録してしまいましょう。

 最初に、ランチャーの一番上のアイコン、「Dash ホーム」をクリックしてください。

 ランチャーには表示されていないがインストール済みのプログラムがカテゴライズされており、右上から検索もできます。その検索ボックスで、「ter」と打ち込んでください。

 するといくつかアイコンが表示され、その内の一つが「端末」です。クリックしてください。起動されます。

DASHホームで’ter’と入力します。左に「端末」が表示されます。

 ランチャーに登録されていないプログラムであっても、実行中のアイテムはランチャー上に表示されます。ランチャー上のプログラムをクリックすると、そのプログラムのウィンドウが表示されます。

 では、ランチャー上の「端末」を右クリックしてください。

 メニューが表示されます。「Lanchar に登録」を選んでください。これで、ランチャーに登録され、いつでも簡単に端末が起動できるようになります。

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準備 5

1.4 Synapticパッケージマネージャー

 これまで見てきた通り、プログラムは画面左端のランチャーと、そのランチャーの一番上にあるDash ホームで起動します。

  Ubuntu を始め、Linux では様々なプログラムが予め使いやすいようにネット上の一箇所にまとめて用意されています。その場所から、新しいプログラムを探して、インストール、不必要になればアンインストールするためのプログラムもランチャーに登録されています。これをリポジトリーと呼んでいます。

 リポジトリーには、パッケージという単位でファイルが登録されています。あるパッケージは実行形式を含むプログラムに必要なファイル全部です。あるパッケージは特定のプログラムの機能を拡張する目的で作られます。また、設定ファイルだけを含んだパッケージも存在します。プログラムのドキュメントも本体とは別にパッケージにされます。プログラムは使用するが、ドキュメントは読まないユーザーもいますからね。パッケージと言ってもその内容は様々で、ダウンロードし、インストールするファイルのグループのことをパッケージと呼ぶと考えてください。

 リポジトリーを調べ、パッケージをインストールしてくれるソフトウェアの一つが、Ubuntuソフトウェアセンターです。アイコンをクリックしてください。起動状態でも色々表示されますが、それはほんの一部のプログラムで、あなたの必要なものが表示されることはまずありません。通常、右上の検索ボックスを用いて目的のパッケージを見つけ出します。

ソフトウェアセンター起動時の一例。バーナーと表示されるアイテムは変動します。

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準備 6

 では、検索ボックスで”syna” と打ち込んでください。Synaptic パッケージマネージャーが表示されます。それをクリックで選び、インストールボタンを押しますと自動的にダウンロードし、インストールされます。

 この Synaptic パッケージマネージャーも新しいプログラムを探し、ダウンロードし、インストールするために使用します。

 2つのパッケージマネージャーの違いは、Ubuntu ソフトウェアセンターには、デスクトップ環境で比較的よく使用されるプログラムが選ばれており、機能を絞って手間をかけずに簡単にインストールしたり、アンインストールしたりできるようになっています。一方の Synaptic パッケージマネージャーは登録されているソフトウェア全部が操作対象になっており、高度な操作もできるようになっています。

 ですから、目的のソフトウェアが分かっている場合は、まず Ubuntu ソフトウェアセンターで探し、無ければ Synaptic パッケージマネージャーで探すのが初心者のかたには簡単でしょう。

  Ubuntu ソフトウェアセンターに登録されるパッケージはけっこう頻繁に変更になります。実際、このチュートリアルを書いている 3 日間の間にも、この文章を書き換えなくてはならない変更がありました。

 ソフトウェアセンターで見つからなければ、Synapitc で探します。ですから、初めから Synapticを活用した方が二度手間にならないため、Ubuntu を活用したい方には Synaptic の使用をおすすめします。この書籍中も Synaptic の使用がメインとなります。(徹底的に活用したい人にはコマンドライン apt-get をお勧めします。)

 なお、この Synaptic パッケージマネージャーは、インストールすると、自動的にランチャーに登録されます。ですから、自分で登録する必要はありません。すぐに、ランチャーから起動できます。

Synapticパッケージマネージャーの起動時の一例。

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準備 7

1.5 ルートユーザー権限

  Ubuntu を始めとする Linux では、システムの根幹に関わる操作を行う管理者に、すべての操作を行うことのできる権限を与えます。これをルート権限と言います。日本語ですと管理者権限とも言います。最近の OS では、Linux に限らず管理者という言葉はもう一般的に使用されていますね。

 この書籍の中で扱う設定の多くは、このルート権限を必要とします。私達が通常のログインをしている状態は、通常の権限を持つ、一般的なユーザーとしてシステムを使用します。システムを管理する立場の人は、必要に応じルートユーザーの権限に切り替え、システムのメンテナンスを行います。

 こうした作業のために、「端末」からルートユーザー(スーパユーザー)で実行するべきコマンドをタイプする際には、sudo(コマンド向け)や gksudo(ウィンドウで操作するプログラム向け)を先頭につけ、パスワードでの認証をチェックするのが Ubuntu 流です。そのコマンドを実行している間だけ、一時的にルートユーザーになります。

  Ubuntu 以外の Linux では、sudo などを使用しコマンド実行時の間のみルートユーザーになるよりも、su コマンドでルートユーザーになり、ルート権限が必要な作業を全部行い、その後ルートユーザーを抜ける方法がどちらかといえば一般的です。ですから、Ubuntu 使用者の中にも、ルートユーザーになれる設定法をブログの記事にしている方も多いのです。こちらの方法に親しんでいると、いちいちコマンドの先頭に sudo とか打ち込むのは面倒に感じるからです。

 この書籍中では、コマンドを打ち込む方法とウィンドウとマウスの操作で行う方法のどちらが簡単かを考慮し、手間がかからないほうを使用していきます。ですが、みなさんの中には、ファイルブラウザでできる操作はファイルブラウザで行いたい、もしくは端末を使用するにしても他の OS のようにスーパーユーザーとして操作し、いちいち sudoとか gksudoとか付けたくない方もいらっしゃるかと思います。

 そこで、スーパーユーザーとしてファイルブラウザもしくは端末をアイコンクリックで開けるようにする方法を紹介します。一度設定しておけば、マウス操作だけで起動できますので便利ですよ。

 この設定は必ずしも必要なものではありません。今は飛ばして、後ほどやりたくなったら、設定するのもいいでしょう。

 まず、ホームフォルダーの中にサブフォルダーを作成してください。名前はお好きなもので結構です。以降はMyLancher というフォルダー名にした前提で説明していきます。

 では、MyLancher の中に空のテキストファイルを作成しましょう。MyLancher フォルダーをダブルクリックで開き、右クリックし、「新しいドキュメントの作成」、「空のドキュメント」を選びます。

 名前は root_user.sh にしてください。ダブルクリックし、エディターを開きます。

 以下の内容を貼り付け、保存してください。貼りつけたい範囲を選択状態にし、エディターに切り替え、マウスホイール(中ボタン)クリックで貼りつけられます。(ページ左上の章と右上のページ、下の脚注も一緒に貼り付けないように注意してください。)

#!/bin/sh

cat << EOF > root-nautilus.desktop

[Desktop Entry]

Encoding=UTF-8

Name=root ブラウザ

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準備 8

Comment= 管理者権限のファイルブラウザExec=/usr/bin/gksudo /usr/bin/nautilus /

Icon=/usr/share/icons/Humanity/categories/48/applications-electronics.svg

Categories=Application;tool;root

Version=1.0

Type=Application

GenericName[ja_JP.UTF-8]= 管理者権限のファイルブラウザEOF

chmod u+x root-nautilus.desktop

cat << EOF > root-terminal.desktop

[Desktop Entry]

Encoding=UTF-8

Name=root 端末Comment= 管理者権限の端末Exec=/usr/bin/gksudo /usr/bin/gnome-terminal /

Icon=/usr/share/icons/Humanity/apps/48/gksu-root-terminal.svg

Categories=Application;tool;root

Version=1.0

Type=Application

GenericName[ja_JP.UTF-8]= 管理者権限の端末EOF

chmod u+x root-terminal.desktop

 保存したら、エディターを閉じます。

 次に、このファイルを右クリックし、プロパティを開きます。「アクセス権」タブをクリックし、「プログラムとして実行可能」にチェックをつけます。これでプロパティを閉じてください。

 用意は出来ました。root_user.sh をダブルクリックしてください。「実行する」もしくは「端末内で実行する」を選んでください。

 アイコンが2つ作成されます。

root端末と rootブラウザの2つが作成されます。

  root 端末はルートユーザーの権限で実行される端末です。sudo を実行せずとも、管理者権限の必要なコマンドを実行できます。

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準備 9

  root ブラウザは管理者権限で、ファイルブラウザを開きます。基本、自分のホールフォルダー以外での作業は、管理者権限が必要になりますので、そうした場合に便利に使用出来ます。

 もともと、Ubuntuのファイルブラウザにはルート権限で開くメニューを追加するパッケージが用意されていました。しかし、それは現在削除されています。そのファイルブラウザを開発している人が、ファイルブラウザはルート権限で実行すべきでないと発言したからです。

 しかし、ルート権限でファイルブラウザを実行するのは特に初心者で端末でのコマンドが苦手な方には、便利に使えますので、簡単な方法を紹介しています。便利だからといっても、必要最低限で使用しましょう。普段の自分のユーザー権限でできることまで、行うのは避けましょう。ファイルブラウザを含め、プログラムは見えない所でファイルを作成することがあり、ルート権限で作成されたファイルのおかげで、通常の自分の環境がうまく動かなくなることがあるからです。

 生成された起動アイコンはダブルクリックで実行できます。このまま、必要なときはこのMyLancher フォルダーを開き、ダブルクリックで実行してください。

 もっと便利な方法は、アイコンを画面左端のランチャーにドラッグ&ドロップしてみてください。ランチャーに登録されます。ランチャーを自動的に左端に隠す設定にしている場合は、ちょっとコツが必要です。ランチャーが現れたら、ひとまずドロップしてしまいましょう。そのあとで、アイコンの登録位置を変更しましょう。

 ランチャーに登録したアイコンの表示位置を変更するには、アイコンの真ん中をドラッグし、上下に移動します。

ファイルブラウザの下にルートブラウザ、通常の端末の下にルート端末を登録した例

 これで、いつでもワンクリックでルート操作ができるようになりました。

 仮想ホスト設定の章では、Web 設定に関するコマンド操作の起動アイコンを作成する方法を紹介いたします。お楽しみに。

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2 LAMPのインストール  Ubuntu の LAMP サーバーのインストールは手順だけを取り出してみれば、難しくありません。

 コマンドを打ち込むのが好きな人のために、後半は端末を使用してインストールする方法を紹介しています。まずは、多くの人が大好きな GUI でウィンドウとマウス操作によりインストールする方法です。

10

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LAMPのインストール 11

2.1 taskselのインストール

  tasksel は Ubuntu とその同系列で使用される、目的によりインストールするパッケージを選んでくれるプログラムです。

 例えば今回の例ですと、LAMP サーバーをインストールしたいわけです。LAMP サーバーはWebサーバーの Apachと PHP、MySQLを Linux上で動かすものです。Ubuntuは Linuxの一種ですから、後は Apach、PHP、MySQL をインストールできれば良いわけです。

  tasksel は LAMP サーバー・メールサーバーなどの機能単位で必要なソフトウェアの選択を手助けしてくれるプログラムです。

 大昔はともかく、Linux が流行りだした要因の一つは、プログラムのインストールの容易さです。大抵のプログラムはあちらこちらで探しまわり、ダウンロード/インストールする手間がかかりません。リポジトリにまとまっており、パッケージの管理ソフトでお手軽にインストールできます。ですから、インストール自体は昔から、それほど難しくはありませんでした。まあ更に大昔はソースから全部Make していましたから、とても手間がかかりましたけど。

 インストールは簡単でも、設定が難しかったのです。大抵のプログラムは今でも設定ウィンドウやツールは用意されていません。テキストベースの設定ファイルで細かい調整をしなくてはなりません。しかし、ここ数年はどの Linux でも、手間のかかる設定を済ませてくれるようになっているので、面倒ではありません。

  tasksel はこうしたインストールを更に簡単にしてくれるツールです。ある目的に必要なパッケージをまとめてインストールしてくれます。今回はこれを使用し、LAMP サーバーに必要なパッケージをまとめてインストールします。

 では、最初にこの tasksel をインストールしましょう。

  Synaptic を起動してください。クイック検索で”tasksel“と入力してください。リスト中に taskselが表示されます。他のパッケージも表示されますが、tasksel だけをインストールします。クリックし「インストール設定」状態にしましょう。パッケージの依存による追加のインストールの確認が表示されます。チェックマークボタンをクリックします。

Synapticではパッケージごとに操作を指定し、上部の適用アイコンでまとめて実行します

 では、上部の適用アイコンをクリックしてください。

 確認ウィンドウなどが表示されますが、そのまま適用ボタン、OK ボタンをクリックしてください。インストールするパッケージにより、依存するパッケージをインストールするか確認されます。

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LAMPのインストール 12

taskselをインストールする場合、必要な別のパッケージも同時にたくさんインストールされます

  Ubuntu のインストールでは、インストールしようとしている目標のパッケージが、動作するために必要な別のパッケージが存在する場合、それも同時にインストールします。Ubuntuソフトウェアセンターでは、黙って全部インストールされます。Synaptic では確認ウィンドウが表示されます。必要であれば、ここでインストールされるパッケージをチェックし、問題なければチェックマークボタンを押します。上級者で自分でパッケージをいじったり、リポジトリーを追加していない限り、通常問題は起きませんので、無条件に承認しても大丈夫です。

 確認が終われば、あとは必要なパッケージがダウンロードされ、自動的にインストールされます。インストールが終了したら、一度 Synaptic を終了してください。

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LAMPのインストール 13

2.2 LAMPをまとめてインストールする

  Ubuntu ソフトウェアセンターにできなくて、Synapitc パッケージマネージャーにできる高度な機能の一つが、tasksel を利用したパッケージの選択です。Synaptic は tasksel を統合しています。

 そのため、tasksel をインストールしていないと、これから行うことはできません。メニューにも表示されません。

  Synapic を起動してください。次にメニューバーの編集を選んでください。

  Synaptic をフルスクリーンで表示している場合は、メニューは表示されていません。マウスカーソルを画面の一番上に移動してください。表示されます。Ubuntuでは、現在アクティブなウィンドウがフルスクリーン状態の場合、画面の一番上にマウスカーソルを移動した時にのみメニューが表示されます。

 編集をクリックし、「タスクを利用してパッケージにマークする」を選んでください。すると、まとめてインストールできるリストが表示されます。LAMP serverにチェックマークを付け、OK ボタンを押します。

taskselが Synapticで動作します。「LAMP server」を選んでください。

 これで、インストールするパッケージ(ソフトウェア)郡が選ばれました。続いて、インストールされるパッケージの確認ウィンドウが表示されます。チェックマークボタンをクリックします。

 忘れずに上部の適用アイコンをクリックしてください。LAMP サーバーに必要なパッケージが全部ダウンロードされ、インストールが行われます。そして、最低限の設定が行われます。

  LAMP のM はMySQL を意味します。当然MySQL も同時にインストールされます。

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LAMPのインストール 14

 そのため、インストールの途中で MySQL のルートユーザー(MySQL の管理者ユーザー)に対するパスワードを入力するように求められます。パスワードを決め、入力してください。

MySQLのルートユーザーのパスワードを決め、入力します

 全く同じウィンドウが2回現れ、入力を求められます。2回目は確認のためです。迷わず両方共、同じパスワードを入力してください。間違って異なったパスワードをタイプしてしまうと、再度入力が促されます。今度は、2つのウィンドウに同じパスワードを入力してください。

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LAMPのインストール 15

パスワードが異なると再入力を求められます。

 あくまで個人の開発用だと割りきって使用するなら、rootというありふれた覚えやすいパスワードもありでしょう。ただし、セキュリティー的には脆弱ですので、決して外部にサーバーを公開しないでくださいね。

 インストールが終了すれば、もう LAMP サーバーは動作しています。

 まず、Web サーバーが動作しているか確認しましょう。Firefox を起動し、localhost へアクセスしてください。英語で It Wroks!と表示されれば、サーバーが起動しています。

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LAMPのインストール 16

このように表示されれば、LAMPインストール成功です。もう、動作しています

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LAMPのインストール 17

2.3 コマンドラインでLAMPをインストールする

 ウィンドウとマウスを使用して今回行ったことを、コマンドで行う方法です。ここまでの手順を実行し、LAMP をインストール済みの方は、行う必要はありません。

 ここで紹介している方法は、今までのように GUI を使用しマウスとウィンドウでインストールするよりは、端末でコマンドを叩いてインストールしたい方のためのものです。

 端末を起動しましょう。ランチャーに登録しましたか?多用するツールはどんどん登録して便利にしましょう。

 では、コマンドを実行してください。打ち込みたいコマンド部分を選択し、端末ウィンドウをアクティブにしたら、マウスのホイール(中央ボタン)をクリックすると貼り付けられます。

sudo apt-get install tasksel

  sudoは管理者のレベルでコマンドを実行する時に先頭に付けて実行するコマンドです。これを使用すると、あなたのパスワードを求められます。一度、認証に成功すると一定時間はパスワードを入力する必要はなくなります。

 コマンドを実行すると、tasksel がダウンロードされ、インストールされます。途中で、実行して良いか尋ねられますので、y と入力し、Enter しましょう。

 次に、インストールした tasksel を実行します。端末で sudo tasksel と入力してください。端末の中でメニュー形式でどれをインストールするか選べるようになります。タブとスペースキーで LAMPサーバーを選んでください。

 画面の表示に従い続けていけば、必要なパッケージは全部インストールされます。

 途中で GUI を使用する場合と同様に、MySQL のルートユーザーに対するパスワードを求められます。