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財団法人 先端医療振興財団先端医療センター病院脳血管内治療科 医長

坂井 千秋 先生

NEUROINSIGHT

ステント支援下及びバルーン支援下コイル塞栓術におけるAxium™の有用性

神戸市立医療センター中央市民病院脳神経外科 部長

坂井 信幸 先生

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■ 症例1

患者:42歳男性現病歴:偶然発見された椎骨動脈合流部動脈瘤(W 7.1xH 5.0mm、neck 5.9mm)(症例1_

Fig1)。合流部はfenestrationを形成しており、左椎骨動脈造影にて動脈瘤がはっきり造影されることから、neckは左椎骨動脈にあると判断した。既往歴:特記すべきこと無し。家族歴:特記すべきこと無し。

 右大腿動脈から7Fr long sheathを留置し、ヘパリン5000IU 静注により全身ヘパリン化し、ACTを術中250秒以上に保った。Roadmaster 7FrをGuiding Catheterとして左椎骨動脈へ誘導し留置した。Enterprise VRD 4.5mmx22mmを留置するため、まずProwler select plusをCHIKAI 14を用いて脳底動脈へ誘導した。続いてJ型にsteam shapeしたExcelsior SL-10 STを動脈瘤内に誘導し、先端をout�ow zoneへ留置した。Enterprise VRD 4.5mmx22mmを、neckをカバーするように脳底動脈から左椎骨動脈に留置した。 Axium™ 3D 5mmx15cmでframingしようとしたが、コイルが球形にならず何度かjail腔に逸脱したが、何度かまき直してうまく瘤内に納めることができた。Frameは安定しており、更にAxium™ 3D 5mmx10cm、4mmx8cmで強固なframeを作り(症例1_Fig2)、柔らかめのAxium™ Helical 3mmx6cm x2本、3mmx4cm、2mmx4cm x4本、2mmx3cmを、サイズダウンしながらpackingした。ほぼ瘤内を完全に塞栓したところでExelsior SL-10 STが瘤腔から逸脱したため、手技を終了した(症例1_Fig3、Fig4))。Volume embolization ratio(VER)は44.1%であった。

シース: 7Fr Long sheath

ガイディングシステム: Roadmaster 7Fr(Goodman) Cathex 5Fr OK-2M 125cm(Cathex) ラジフォーカス 0.035(Terumo) マイクロカテーテル :

Excelsior SL-10 ST(Stryker) Prowler select plus(Johnson & Johnson)※ステント留置用 ガイドワイヤー :

CHIKAI 10(Asahi)

CHIKAI 14(Asahi)※ステント留置用 ステント: Enterprise VRD 4.5mmx22mm(Johnson & Johnson)

症例 1: 椎骨動脈合流部動脈瘤に対する ステント支援下コイル塞栓術

症例1_Fig2

症例1_Fig3

症例1_Fig1

症例1_Fig4

NEUROINSIGHT 

症例

使用器材

手技

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患者:61歳男性現病歴:頭痛のスクリーニング検査で発見された右内頚動脈傍鞍部動脈瘤(W 3.7xH 6.9mm、neck 3.9mm)(症例2_Fig1)。既往歴:特記すべきこと無し。家族歴:特記すべきこと無し。

 右大腿動脈から7Fr long sheathを挿入し、ヘパリン5000IU 静注で全身ヘパリン化した。Roadmaster 7Frを右内頚動脈へ誘導し留置した。HyperGlide 4mmx20mm + X-pedion 10をneckをカバーするように留置し、neck remodelingを行った。Excelsior SL-10 90°をCHIKAI 10

を用いて瘤内に誘導した。Balloon assist下に、Axium™ 3D 4mmx12cm x2本およびAxium™

3D 4mmx8cmでframingした(症例2_Fig2)。かなりしっかりしたframeが形成され、その後は柔らかいAxium™ 3D 3mmx8cm、Helical 2mmx4cm x4本でpackingした。VERは58.5%であり、ほぼ完全な塞栓を完成して終了した(症例2_Fig3、Fig4)。

1.Axium™ 3D 5mmx15cm(Covidien)

2.Axium™ 3D 5mmx10cm(Covidien)3.Axium™ 3D 4mmx8cm(Covidien)4.Axium™ Helical 3mmx6cm(Covidien)5.Axium™ Helical 3mmx6cm(Covidien)6.Axium™ Helical 3mmx4cm(Covidien)

 本症例は、椎骨動脈合流部の窓部(fenestration)にできたwide neckでやや不整形の動脈瘤で、stent assist によるコイル塞栓術を行った。Framingの際にコイルが数回瘤外に逸脱したが、巻き直すうちに1st loopがcageの内部に収まり、更にAxium™ 3D 5mmx10cm、4mmx8cm

を追加することにより、かなりしっかりしたframeを作ることができた。その後3mm、2mmのコイルへサイズダウンしてもcompartmentを形成することなく、全体をpackingすることができた。

7.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)8.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)9.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)10.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)11.Axium™ Helical 2mmx3cm(Covidien)

症例 2: 内頸動脈傍鞍部動脈瘤に対する バルーン支援下コイル塞栓術

症例2_Fig2

症例2_Fig1

症例

手技

コイル

考察

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シース: 7Fr Long sheath

ガイディングシステム: Roadmaster 7Fr(Goodman) Cathex 5Fr OK-2M 125cm(Cathex) ラジフォーカス 0.035(Terumo) マイクロカテーテル :

Excelsior SL-10 90°(Stryker) ガイドワイヤー :

CHIKAI 10(Asahi)

X-pedion 10(Covidien)

バルーンカテーテル: HyperGlide 4mmx20mm(Covidien)

1.Axium™ 3D 4mmx12cm(Covidien) 2.Axium™ 3D 4mmx12cm(Covidien)3.Axium™ 3D 4mmx8cm(Covidien)4.Axium™ 3D 3mmx8cm(Covidien)

5.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)6.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)7.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)8.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)

 本症例は、長径短径比が1.8と細長い動脈瘤であり、framing coilは短径に合わせ4mm径を選択した。長めの12cmを2本用いても瘤内全体をカバーし足りなかったため、更に8cm長を追加し脳動脈瘤内全体にframeを形成した。この症例でもframingを形成する過程で余分なcompartmentを作ることはなく、3mm以下のpacking coilを追加することでほぼ閉塞した。

ステント支援下及びバルーン支援下コイル塞栓術におけるAxium™の有用性

使用器材

考察

コイル

■ 症例1

患者:58歳男性現病歴:めまいの精査で偶然発見された前交通動脈瘤(W 7.7xH 5.5mm、neck 4.2mm)(症例3_Fig1)で、以前開頭術を受けたがwide neckであるためラッピングに終わっている。Stent assist下でコイル塞栓術を施行した。既往歴:特記すべきこと無し。家族歴:特記すべきこと無し。

 右大腿動脈から7Fr long sheathを留置し、ヘパリン5000IU静注 で全身ヘパリン化した。Roadmaster 7Frを左内頚動脈へ誘導し留置した。右A1 はhypoplasticで、右A2の温存が必須であった。Excelsior SL-10 STをCHIKAI 14を用いて右A2へ誘導した後、CHIKAI 14

300cmに置換し、Prowler select plusをexchange methodでA2へ誘導した。Excelsior SL-10 45 を゚CHIKAI 10で動脈瘤に誘導した。Enterprise VRD 4.5mmx22mmを右A2から左A1にかけて留置した。留置後のDyna CTでは、Enterprise VRD 4.5mmx22mmがA1A2

junction部でkinkしていたため、Axium™ 3D 7mmx20cmを用いてneckを形成するようにframingした(症例3_Fig2)。Neck近傍はややroughになっても良いと判断し、サイズダウンしてAxium™ 3D 6mmx20cm、6mmx15cmを追加した。Excelsior SL-10の位置がやや不安定だったため、その後はkick backしないように柔らかめのAxium™ 3D 3mmx6cm x2本、3D 3mmx4cmをさらに追加し、後半はAxium™ Helical 2mmx4cm x3本、Helical 2mmx3cm x4本、3D 2mmx2cm、Helical 2mmx2cm x2本でmicrocatheterが瘤から逸脱するまでpackingし、VERは52.6%で塞栓を終了した(症例3_Fig3、Fig4)。

症例 3: 前交通動脈瘤に対するステント支援下コイル塞栓術症例

手技

症例2_Fig4

症例2_Fig3

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ステント支援下及びバルーン支援下コイル塞栓術におけるAxium™の有用性

シース: 7Fr Long sheath

ガイディングシステム: Roadmaster 7Fr(Goodman) Cathex 5Fr OK-2M 125cm(Cathex) ラジフォーカス 0.035(Terumo) マイクロカテーテル :

Excelsior SL-10 ST(Stryker)※Prowler select plus誘導用 Excelsior SL-10 45°(Stryker)※脳動脈瘤塞栓用 Prowler select plus(Johnson & Johnson)※ステント留置用 ガイドワイヤー :

CHIKAI 10(Asahi)

CHIKAI 14(Asahi)※ステント留置用 ステント: Enterprise VRD 4.5mmx22mm(Johnson & Johnson)

 本症例は、wide neckの前交通動脈瘤で、症例1と同様にstent assistでコイル塞栓を行った。A1-A2の屈曲部で stentがkinkしたため、framing coilとしてneckからcoilが逸脱しないよう長径に近い7mmを選択したが、予想より外へ広がり、loopの一部がneck部でjail腔に逸脱していると思われた。そのため、2nd、3rd coilには6mm径を用いたところ、目標とした位置にframeを形成することができた。それでもmicrocatheterの位置が不安定であったため、packingには柔らかい3mm以下のcoilを用いたが、microcatheterのkick backはほとんどなく、最終的に良好なpacking効果を得ることができた。

1.Axium™ 3D 7mmx20cm(Covidien) 2.Axium™ 3D 6mmx20cm(Covidien)3.Axium™ 3D 6mmx15cm(Covidien)4.Axium™ 3D 3mmx6cm(Covidien)5.Axium™ 3D 3mmx6cm(Covidien)6.Axium™ 3D 3mmx4cm(Covidien)7.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)8.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)

9.Axium™ Helical 2mmx4cm(Covidien)10.Axium™ Helical 2mmx3cm(Covidien)11.Axium™ Helical 2mmx3cm(Covidien)12.Axium™ Helical 2mmx3cm(Covidien)13.Axium™ Helical 2mmx3cm(Covidien)14.Axium™ 3D 2mmx2cm(Covidien)15.Axium™ Helical 2mmx2cm(Covidien)16.Axium™ Helical 2mmx2cm(Covidien)

使用器材

コイル

症例3_Fig2

症例3_Fig1

症例3_Fig4

症例3_Fig3

考察

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・ Framingについて 我々は通常脳動脈瘤の短径に近い径のコイルを選択するため、この3例では7mm径以上のコイルを使用したのは1例のみであったが、0.0125 inchの4-6mm径のコイルでも、安定したframeの形成が可能であった。3D-shape memoryはそれほど強くないため、dome/neck比の低い動脈瘤ではneck remodeling techniqueを要することが多いと考えられるが、一度完成したframeの安定性は良かった。

・ Packingについて Shape memoryが強すぎないためcompartmentを形成しにくく、スペースがあれば全体に広がっていく。これはpackingに際して有利に働く傾向があり、特に3mm以下のコイルではmicrocatheterのkick backが少なく、packing rateが上がる。早めに小さめ且つ短めのコイルを選ぶと、閉塞するまで多くのコイルを要する可能性があるが、タイトにpackできるということと同義である。

・ Detachmentについて 離脱に要する操作はdelivery pusherにdetacherを装着してスライドノブを引くだけである。今回使用した中では1本だけ強制離脱を行ったが、ブレークインジケーターの先でdelivery pusherを折りrelease wireを引くだけで離脱できた。離脱したかどうかのサインがないため、慣れるまでは不安に感じることもあるが、強制離脱の操作は簡便で確実であった。

・ 使用上の注意点 SR機構を有しており、catheter controlさえ良ければ�nishing coilとしても十分使える。ただし、他の�nishing coilよりややしっかりした印象があるので、入りきらないときは他のコイルを試すことが必要になるかも知れない。

・ 印象と評価 Shape memory が強すぎることがないため、不整形の動脈瘤でもドーム全体を覆うことができる。Microcatheterのkick backが少ないため、microcatheterの動きが制限されるstent assistによるコイル塞栓術にも向いている。素線径が段階的に太くなり4mm径以上のコイルでのframingは非常に安定しているため、中~大型動脈瘤にも使いやすい。Packing coilとして位置づけるのが良いという印象。

総括


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