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『プリンシプル』について

ちかふじりゅう

2009年10月9日版

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❖テーマ名の”プリンシプル”という語は、白洲次郎著『プリンシプルのない日本』から拝借した。

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❖ “プリンシプルとは何と訳してよいか知らない。原則とでもいうのか。”

❖ “西洋人とつき合うには、すべての言動にプリンシプルがはっきりしていることは絶対に必要である。”

❖ “日本も明治維新までの武士階級等は、総ての言動は本能的にプリンシプルによらなければならないという教育を徹底的にたたきこまれたものらしい。”

ー白洲次郎著 『プリンシプルのない日本(1969年)』より

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❖本サイトでは、同書から、”プリンシプルがある”ことを下記のように解釈した。

 『言動や行動内容の基準として、いつも立ち返るべき原理・原則・本来の目的等(プリンシプル)を理解・把握し、それに従って考え、言動・行動すること』

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❖類似の指摘は白洲次郎氏だけではない.

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司馬遼太郎氏は、著書『坂の上の雲』で、陸軍がロシア軍には通用しないことが明らかになった戦術をその後も長期間続け、数万人に及ぶ死傷者を出した事件を下記のように表現し、日本の民族性の問題かもしれないと述べている.

❖「それをあたかも宗教者が教条を守るように絶対の原理もしくは方法とし、反覆してすこしもふしぎとしない」

ー司馬遼太郎『坂の上の雲』 文庫本第5巻

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❖塩野七海氏は、著書『ローマ人の物語』で「手段の目的化」にすぐに陥る日本の問題を各所で触れている.

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❖大前研一氏にいたっては、『知の衰退からいかに脱出するか?』というタイトルの著書で、様々な角度からこの問題を扱っている.

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❖人事コンサルティング会社社長の柴田励司氏は、「集団皿回し」という絶妙な表現を使って、この問題を表現している.

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 “どの会社、どの企業、団体に伺っても、この現象が見えます。「集団皿回し」です。自分の皿を回すのに手いっぱいで、他のことができない。しかもそれが集団化している。

 ですから、何か新しいことをやろうとしてもできない。皿が多いと割れちゃうからです。そこで、「人が足りません」と言って、人を入れるんですけど教えられないんです。自分の皿が割れちゃうから。

 そうこうするうちに、立ち続けですから足が厳しいことになって、ばたばた倒れていく。これが日本全部に蔓延している。”

http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20061128/114496/?P=2 日経ビジネス Onlineより

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❖現状の日本の組織では、何のためにやっているのかよく分からない、納得できない”皿回し”業務が沢山存在するのが普通だ。

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❖私は色々な人に「あなたは業務時間の何%、皿回しに使わざるを得ないか?」と尋ねる。

❖大抵は50%以上の数値を答える。”80%以上”と答える人も多い。ある熱意の高い若手官僚からは、”98%”という答えもあった。

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このままで、いいのだろうか?

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❖世の中の変化が少なく、順風が続き、強力な競争相手がいない時代には、何も考えず、過去に上手くいった方法を、疑うことなく黙々と続けることが大きな成果を生む場合もある。

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❖安定成長期(80年前後~90年代前半*)の日本経済がそうであった。

(*) 製造業では2000年頃まで、安定成長期と呼べるかもしれない.

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❖いまだ大手企業役員の大半は、ビジネスパーソンとして最も多感な30代を、そういう時代に生きてきた。

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時代考証

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❖かつて日本企業の世界戦略はシンプルだった。

❖市場は3つ:✎日本

✎米国

✎西欧州

❖今、この3市場では世界の半分に満たない.

http://itpro.nikkeibp.co.jp/as/saas/knowledge/15.shtml 日経BP IT Proより

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❖今や、世界経済はG7(8)ではなく、G20でないと問題を解決できなくなった。

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❖日本のグローバルGDPのシェアは1994年に17.9%でピークを迎えた後に急速に落ち込み、2007年には8.0%へ、その後もさらに減少が続く。

ー財務省:www.mof.go.jp/kankou/hyou/g686/686_02.xls

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❖一つ前の10年(*)で、「産業の米」と言われた半導体で日本は世界シェアを大きく失った。

(*) 80年代後半~90年代後半

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❖その”まさか”と思われた事件は、日本社会に大きな衝撃を与えた.

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❖直近の10年も、産業界は”まさか”という事件の連続だった.

(慣れのせいか、衝撃は小さかったが)

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❖10年前、iPod / iPhoneは、ソニーが生み出す製品だと思っていた.

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❖10年前、i-modeや写メールに代表される(当時の)先端技術を引っさげ、日本メーカーが携帯電話端末の世界市場を席巻できると思っていた.それまでの電化製品がそうであったように.

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❖10年前、 ステッパー(半導体露光装置)の市場は、ニコンとキャノンで世界シェアの9割近くを占めていた.

❖現在は、オランダのASMLが顧客ベースで80%、売上ベースで65%のシェアを占めている.

ー wikipedia: ASML

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❖10年前、太陽電池産業はシャープが圧倒的な市場シェアを占めていた.

❖現在、1位はQ-Cells(ドイツ)、2位 First-Solar(米国)、3位 Suntech(中国)で、シャープは4位.

ー wikipedia: 太陽電池

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❖10年前、アニメーションといえば日本のお家芸で、スタジオ・ジブリは最大のヒットメーカーだった.

❖現在は、PIXAR(米国)がアニメーションの世界を席巻.映像制作を高度に自動化する同社の超ハイテク戦略は、有能なアニメ・クリエータを世界中から惹き付けている.

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❖10年前、ゲーム産業では日本のゲームソフト・メーカーの世界シェアが絶大だった.

❖現在、ハードの売上を含めても、日本メーカーのシェアは20%程度しかない.

ーJ-CAST News / 2009/1/18

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❖10年前、テレビ市場は、日本メーカーがシェア上位を独占していた.

❖下記は、2009年第一4半期液晶テレビの北米シェア.

✎ Visio(米国) : 21.6%✎ Samsung(韓国) : 19.9%✎ ソニー : 16.6%✎ LG Electronics(韓国) : 10.7%✎ シャープ : 9.4%

ー iSuppliレポート(2009年5月11日)

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・・・

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❖次の10年へ向け、何をすべきか?

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❖今、世の中は変化の大波の中にあり、日本経済には逆風が吹き荒れ、世界中に強力な競争相手がいる。

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❖深く考えず、過去に上手くいった方法を、疑うことなく黙々と続けることは、次世代への重大な責任放棄となる時代になった.

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❖明治維新以降、忘れられていた「プリンシプルのある社会」を再び取り戻す時期だ.

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