2016/02/27 コンテンツ文化史学会発表スライド

61
―キングレコードのアニメーション関連音楽市場への参入とその発展― 明治大学大学院 国際日本学研究科 博士後期課程 宮本亮平

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― キ ン グ レ コ ー ド の ア ニ メ ー シ ョ ン 関 連 音 楽 市 場 へ の 参 入 と そ の 発 展 ―

明 治 大 学 大 学 院 国 際 日 本 学 研 究 科博 士 後 期 課 程

宮 本 亮 平

はじめに

研究概要

背景

アニメーション音楽を取り巻く現在の状況

アニメーション音楽産業の規模的推移

先行研究

当時の業界関係者らの証言など

調査

仮説・調査方法

調査結果等

今後の課題など

研 究 概 要

博士論文の研究は

「日本アニメーション関連音楽産業史」

→ 日本のアニメーションに、CDやレコードなどの音楽関連商品を扱う

企業や産業がどのように関与してきたのかを明らかにしたい

→ 今日の発表テーマは

「1980年前後のキングレコードの市場への本格参入とその影響」に関して

スターチャイルド設立者の証言や、

目録調査から明らかになったことについて

http://www.kingrecords.co.jp/cs/t/t7529/

初 の 「 ア ニ メ 専 門 レ ー ベ ル 」

キングレコード内に1981年に設立された

日本初の(=世界初の?)「アニメ専門レーベル」

スターチャイルドによるアニメージュ内への初広告

アニメージュ 1983年3月号

1 9 8 0 年 前 後 の 状 況 ( 詳 細 は 後 述 )

70年代まで、アニメ音楽市場は

コロムビアレコードの寡占

キングレコードの参入によってコロムビアの寡占状態が終わる

以降、キティ、キャニオン、ビクター等各社が参入

→ 今回は、このキッカケとなった

「キングの参入」に焦点を当てる

ア ニ メ ー シ ョ ン 音 楽 を 取 り 巻 く 現 在 の 状 況

近年、「アニメ音楽」は

アニメーション産業・日本の音楽産業の両方から

注目される分野

オリコン・リサーチ株式会社 2014 年上半期市場レポート【音楽ソフト】http://biz.oricon.co.jp/info/half_report_2014_music2.pdf

日 本 音 楽 産 業 に け る「 ア ニ メ 音 楽 」 の 立 ち 位 置

オリコン・リサーチ株式会社

2014 年上半期市場レポート【音楽ソフト】

「アニメ・サントラ他」も前年同期比で107.6%と 2 年連続の売上増を記録。(中略)しかし、『アナ雪』に『ラブライブ』と音楽に重点が置かれた邦洋のアニメがヒットし、音楽市場をもけん引している点は興味深い。一方、音楽市場における主力ジャンルである「J-POP」の状況だが、売上額は 1102.2 億円、前年同期比は 95.5%と 2 年連続の減少となっている。

ア ニ メ ー シ ョ ン 産 業 に お け る「 ア ニ メ 音 楽 」

主題歌やキャラクターソングなどの音楽商品は

アニメ産業においても重要な収益源

「全体の売上げが下がりつつあるアニメ産業の中にあって成長分野」

(増田 2011)

ニュータイプ 2014年11月号 表2 (P2~3)

広 告 な ど に 見 ら れ る現 在 流 通 し て い る 「 音 楽 商 材 の 種 類 」

・インスト楽曲(サントラ・イメージアルバム)

・主題歌(アニソン・タイアップ曲)

・サウンド・ドラマ(オリジナル/アニメ再編)

・声優オリジナル曲

・キャラクターソング

→ 本研究では、以上の5つを

「アニメーション関連音楽商品」のジャンルとする

一つの作品から複数の「音楽商品」がリリースされる

大 手 レ コ ー ド 会 社 の 関 与

アニメ系レーベル製作委員会等での作品への関わり

日本コロムビア株式会社 ANIMEX アイドルマスター

株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント

flying DOG 『マクロスF』

キングレコード株式会社 スターチャイルド エヴァンゲリオン

ユニバーサルミュージック合同会社 ZERO-A

株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント

ミュージックレイン NARUTO

株式会社ポニーキャニオン けいおん!

代表的なレコード会社のアニメ産業への関わり

ま と め現 在 の 「 ア ニ メ 音 楽 」 の 状 況

・邦楽市場で一定の割合を占め、各方面から近年注目される分野

・アニメーション産業の側からも収益源として注目される

・大手レコード会社が音楽商品の製作・販売のみならず

アニメーション作品の製作そのものにもコミット

・一つのアニメーション作品から様々なジャンルの音楽商品が展開される

→ このような状況がいつ、どのようにして成立してきたのか?

ア ニ メ ー シ ョ ン 音 楽 産 業 の 規 模 的 推 移 ( 売 上 )

公開されている「アニメ音楽」商品の売上に関するデータは

比較的近年の物に限定される

動画協会の「アニメ産業レポート」は2009~

(データは2002年分から)

それ以前のデータが残っているかは不明

オリコンのデータでは2007年以降に「アニメ関連」が独立項目化

29733.4 24534.9 22981.3 24567.9 23711.3

332238

245395

327030

293426 287359

0

50000

100000

150000

200000

250000

300000

350000

2010 2011 2012 2013 2014

Mill

ions

アニメ売上額

全体売上額

『 オ リ コ ン エ ン タ メ ・ マ ー ケ ッ ト 白 書 』 2 0 1 0 ~ 2 0 1 4全 体 ・ 「 ア ニ メ ・ サ ン ト ラ 他 」 売 上 額 比 較

『 オ リ コ ン エ ン タ メ ・ マ ー ケ ッ ト 白 書 』 2 0 1 0 ~ 2 0 1 4全 体 ・ 「 ア ニ メ ・ サ ン ト ラ 他 」 売 上 枚 数

12432.610400.9 10325.7 10922.3 10184.3

124572.3

107067.2

120534.3

112726.8

105010

0

20000

40000

60000

80000

100000

120000

140000

2010 2011 2012 2013 2014

Thousa

nds

アニメ売上枚数

全体売上枚数

『 オ リ コ ン エ ン タ メ ・ マ ー ケ ッ ト 白 書 』 2 0 1 0 ~ 2 0 1 4「 ア ニ メ ・ サ ン ト ラ 他 」 売 上 枚 数 ・ 売 上 額 構 成 比

8.9%

10.0%

7.0%

8.4% 8.3%

10.0%

9.7%

8.6%

9.7% 9.7%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

2010 2011 2012 2013 2014

売上額構成比

売上枚数構成比

オ リ コ ン デ ー タ の ま と め

売上枚数・売上金額ともに

2000年代は全体構成比8%~10%前後で推移

オリコンの売上額と動画協会資料の音楽関連売上もおおよそ一致

問題は

「00年代以前がどのくらいの規模であったのか?」

「どのような経緯でそのような(大きな)規模になったのか?」

という点

ア ニ メ ー シ ョ ン 音 楽 産 業 の 規 模 的 推 移 ( 新 譜 数 )

1986年の日本レコード協会発行の「日本のレコード産業」には、

ジャンル名として「アニメーション」が存在

1984年2月発行の同機関紙「The RECORD」内の

「新譜統計」には項目記載なし

→85年前後に産業側でも独立分野として認識が定着?

日 本 レ コ ー ド 協 会

ジ ャ ン ル 別 年 間 新 譜 数オ ー デ ィ オ 1 9 8 6 年

http://www.riaj.or.jp/f/data/others/sp.html

日 本 レ コ ー ド 協 会 機 関 紙T h e r e c o r d

1 9 8 4 年 2 ・ 3 月 号

予 備 調 査

「 ア ニ メ 音 楽 市 場 」 の 推 移

「アニメーション音楽市場」の、

邦楽市場全体に対する規模感やその推移について

先の日本レコード協会「日本のレコード産業」をもとに

1986年~2014年の「新譜タイトル数」の増減を調査

オ ー デ ィ オ レ コ ー ド 種 類 別 新 譜 数 の 推 移 ( 洋 邦 )

788

5390

24789

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

195

7195

8195

9196

0196

1196

2196

3196

4196

5196

6196

7196

8196

9197

0197

1197

2197

3197

4197

5197

6197

7197

8197

9198

0198

1198

2198

3198

4198

5198

6198

7198

8198

9199

0199

1199

2199

3199

4199

5199

6199

7199

8199

9200

0200

1200

2200

3200

4200

5200

6200

7200

8200

9201

0201

1201

2201

3201

4

タイトル数

レコード計

CD計

テープ系

合計

http://www.riaj.or.jp/g/data/others/sp_a.html

1340

0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

198

6

198

7

198

8

198

9

199

0

199

1

199

2

199

3

199

4

199

5

199

6

199

7

199

8

199

9

200

0

200

1

200

2

200

3

200

4

200

5

200

6

200

7

200

8

200

9

201

0

201

1

201

2

201

3

201

4

タイトル数アニメCD

アニメレコード

アニメカセット

アニメ計

ジ ャ ン ル 「 ア ニ メ ー シ ョ ン 」 新 譜 タ イ ト ル 数 推 移

0

2000

4000

6000

8000

10000

12000

14000

16000

198

6

198

7

198

8

198

9

199

0

199

1

199

2

199

3

199

4

199

5

199

6

199

7

199

8

199

9

200

0

200

1

200

2

200

3

200

4

200

5

200

6

200

7

200

8

200

9

201

0

201

1

201

2

201

3

201

4

タイトル数アニメ計

邦楽計

邦 楽 全 体 ・ 「 ア ニ メ ー シ ョ ン 」 新 譜 タ イ ト ル 数 推 移

邦 楽 全 体 に 対 す る「 ア ニ メ ー シ ョ ン 」 新 譜 タ イ ト ル 数 の 割 合 の 推 移

4%

12%

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

14%

19861987198819891990199119921993199419951996199719981999200020012002200320042005200620072008200920102011201220132014

全 体 ( 洋 邦 ) / ア ニ メ ー シ ョ ン メ デ ィ ア 別 新 譜 数

0

5000

10000

15000

20000

25000

0

200

400

600

800

1000

1200

邦楽(タイトル数)アニメ〔タイトル数〕

アニメCD

アニメレコード

アニメカセット

レコード(全体)

CD(全体)

テープ(全体)

レ コ ー ド 協 会 の デ ー タ ま と め

・アニメーションの年間新譜数のピークは1996年

・80年代・00年代は800タイトル前後を推移

・邦楽全体に対して占める割合は90年代にかけて増加

00年代以降は8%ほどで安定

・市場全体のメディアの変遷とは、大まかに一致するものの

90年代中盤に大きなずれが存在

→ 90年代中盤以降は、邦楽全体のトレンド変化とは

あまり関係していない?

85年以前のデータは後述の目録調査を通じて明らかにしていく予定

先 行 研 究

アニメーション音楽産業についての学術研究は少ない→ アニメ史そのものの研究は、質・量ともに参照するのに充分。

アニメ音楽についても、当時の関係者らの証言等は(多少)存在

木村英俊

『Theアニメ・ソング ‐ヒットはこうして作られた』

小島豊美とアヴァンデザイン活字楽団

『昭和のテレビ童謡クロニクル 『ひらけ!ポンキッキ』から『ピッカピカ音楽館』まで』

橋本一郎

『鉄腕アトムの歌が聞こえる ~手塚治虫とその時代~』

1 9 8 0 年 前 後 ま で の 大 ま か な 流 れ

文献調査などによって以下の流れが大まかに明らかに

60年代

朝日ソノラマを中心にアニメ作品の主題歌・挿入歌の市場が形成

60年代後半~70年代中盤

歌モノ中心の展開は変わらず。「コロムビア」の独占状態。

70年代後半~

キング参入を機に複数のレコード会社がアニメ産業に参入

こ の 頃 に つ い て の 重 要 な 証 言

『機動戦士ガンダム』の

音楽プロデューサーであり

「スターチャイルド」設立者でもある

藤田純二氏の証言

藤田純二(スターチャイルド創設者)

「ガンダムの音楽制作に携わって~創世記、現在、未来~ 」

(http://www.promic.net/document/pdf/200702_01.pdf)

「『機動戦士ガンダム音楽プロデューサーが語る アニメ音楽”進化”の軌跡』」

(日経BPムック『日経エンタテインメント! アニメ名作Special』日経BP社

特別講義「ガンダムが開拓したアニメサントラビジネス —スターチャイルド誕生前後のアニメ音楽業界史—」(講師:藤田純二(元・キングレコード)/司会:氷川竜介)受講レポート

(http://togetter.com/li/768965)

次にガンダム以前とガンダム以降で日本のレコードメーカーがどのように変化したのかについてお話します。ガンダムが出るまでは、コロムビアレコードが日本のアニメ音楽を完全に独占していました。当時の人は、この状態が永久に続くものと考えていました。(中略) キングレコードは先行しているコロムビアに学びながら、別の路線を模索していきました。ガンダムをきっかけにコロムビアの独占状態は終わりを告げ、キングレコードの後にはビクター、ソニーという新しい会社がアニメ音楽に力を入れ始めました。

藤田純二(スターチャイルド創設者)

「ガンダムの音楽制作に携わって~創世記、現在、未来~ 」

2007年の在大韓民国日本国大使館公報文化院での講演の書き起こしより

(http://www.promic.net/document/pdf/200702_01.pdf)

ガンダムにおいては、最初から放送に使うためのBGMを、レコード化を前提に作ったので、録音の仕方もステレオで録音したのはもとより、当時最先端のマルチトラックレコーディングという16チャンネルのテープレコーダーを使った多重録音を行いました。BGMそのものもできるだけ長い尺で、レコード化を前提にして、費用と時間、手間をかけた録音を行いました。幸いにしてガンダムはテレビで聞きなれていたBGMがステレオでたっぷり聴けるということでサウンドトラック盤が大変よく売れました。

藤田純二(スターチャイルド創設者)

「ガンダムの音楽制作に携わって~創世記、現在、未来~ 」

2007年の在大韓民国日本国大使館公報文化院での講演の書き起こしより

(http://www.promic.net/document/pdf/200702_01.pdf)

ジャケットもより青年層向けを意識してデザインされるようになる

「 ガ ン ダ ム 」 に よ っ てB G M の ビ ジ ネ ス モ デ ル が 成 立

「アニメを見る若者の存在が社会的に認識されるようになったのは、劇場版『宇宙戦艦ヤマト』の公開時である」

増田(2011)

「制作される作品の内容やファンの多様化が進み、少数のマニア向けにさまざまな作品が制作されるという傾向が出てきた」

津堅(2005)

「アニメ視聴者の青年層への拡大」

「作品やファンの多様化」

が特徴として挙げられる

→ 「アニメ音楽」に関しても同様の変化が起きていたのではないか?

1 9 8 0 年 前 後 の ア ニ メ 環 境 と の 関 係

こ れ ま で の 経 過 か ら 導 か れ る 仮 説

①一九七〇年代後半までは、アニメーション関連音楽商品は主題歌が中心であり、

コロムビアレコードの独占状態であった。

②キングレコードが『機動戦士ガンダム』関連商品のヒットによって市場に本格的

に進出し、以降他のレコード会社も参入しコロムビアの独占状態が終わる。

③『宇宙戦艦ヤマト』以降、サウンドトラックが商品として市場に定着する。また、

青年層をターゲットとする商品作りも行われるようになる。

検 証 ・ 調 査 方 法

①~③の仮説の検証のため、

実際にどのような商品がリリースされていたのかを調査

あわせて

・レコ協の資料にない1985年以前のアニメ音楽のデータ

・具体的な各レコード会社の動きなど

を明らかにするため

国会図書館に収蔵されている各社のレコード販売目録から

アニメ・マンガ等の関連商品を調査

→ 2015年12月時点で、コロムビア・キングレコードの1985年までの資料を収集済み

(2016年2月末でビクターも85年まで収集済み)

コロムビア 邦楽学芸番号順総目録 1968 目次

調 査 方 法

各目録から、項目名や商品種名に「テレビマンガ」等の記載がある商品を、各年ごとに集計

対象は

・アニメーション

・マンガ

・声優・アニソン歌手

・特撮作品

に関連する商品

コロムビア・キングレコード アニメ・マンガ関連商品年間新譜数年間新作TVアニメーション作品放映本数(日本動画協会資料より)

2 39

1316 18

21

40

7276

51

72

106

117

131

170

195

175

126120 120

116

0 0 0 0 0 0 0 0

126

19

2823

126 6 8 8

3643

52 51 50

76 74

43

6

3

14

12

15 15

19

16 16 16

18

2021

22

30

25

37

39

45

4243

41

24

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0

50

100

150

200

250

1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985

コロムビア

キング

新作TVアニメ本数

コロムビア邦楽学芸番号順総目録1968P283

複数のアニメ作品の主題歌(挿入歌)をカップリング組み合わせを変えて何シリーズもリリース

→コロムビアの中心的な商品展開手法

『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』(コロムビア 1977)の発売以降、インスト商品も相次いでリリースされる

コロムビア・キングレコード アニメ・マンガ関連商品年間新譜数年間新作TVアニメーション作品放映本数(日本動画協会資料より)

2 39

1316 18

21

40

7276

51

72

106

117

131

170

195

175

126120 120

116

0 0 0 0 0 0 0 0

126

19

2823

126 6 8 8

3643

52 51 50

76 74

43

6

3

14

12

15 15

19

16 16 16

18

2021

22

30

25

37

39

45

4243

41

24

0

5

10

15

20

25

30

35

40

45

50

0

50

100

150

200

250

1960 1961 1962 1963 1964 1965 1966 1967 1968 1969 1970 1971 1972 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985

コロムビア

キング

新作TVアニメ本数

中には5000円を超える高額商品も

→ 単純な「子供向け商品」のみを展開していたわけでもない

「ヤマトブーム」以降はBGM商品なども展開80年代には他会社の手掛けた作品のアレンジBGM集なども

コロムビア番号順目録1985 P283

キングレコード 邦楽番号順総目録 1979-80 P274~275

ま と め

①一九七〇年代後半までは、アニメーション関連音楽商品は主題歌が中心であり、コロムビアレコードの独占状態であった。

②キングレコードが『機動戦士ガンダム』関連商品のヒットによって市場に本格的に進出し、以降他のレコード会社も参入しコロムビアの独占状態が終わる。

③『宇宙戦艦ヤマト』以降、サウンドトラックが商品として市場に定着する。また、青年層をターゲットとする商品作りも行われるようになる。

「 青 年 層 」 と い う 新 し い 市 場

実は70年末~80年中判にかけて、各社から

「BGM(インスト)」

「ライブ音源」

「コミックのドラマレコード」

「声優のオリジナルレコード」

といった、新しい(かつ現在でも見られる)商品種が相次いで発生する

キングレコード 邦楽番号順総目録 1979-80 P8~9

「 青 年 層 」 と い う 新 し い 市 場

実は70年末~80年中頃にかけて、各社から

「BGM(インスト)」

「声優のオリジナルレコード」

「ライブ音源」

「コミックのドラマレコード」

といった、新しい(かつ現在でも見られる)商品種が相次いで発生する

「 声 優 」 と い う 商 材 の 定 着

「声優としては初の個人LP」

富山敬「富山敬ロマン」(1979)キングレコード 『アウト』 79年8月号

『 T K R 』 以 降

ジ・アニメ 80年7月号

「声優のうたうレコード・リスト」

この記事の中で紹介されてる(声優の)商品は

シングル(EP):15枚

LP:11枚

他:2枚

(発売予定商品は除く)

『富山敬 ロマン』発売から

1年で20枚以上のリリース

当 時 最 大 規 模 の 声 優 イ ベ ン ト

日劇声優フェスティバル

・1979年4月5日~8日

・観客動員数は4日間で約1万五千人

(『アウト』79年7月号より)

・内容はアニソン・演技・

アテレコ等

少 女 マ ン ガ の レ コ ー ド 化

アニメやラジオ放送を介さず、レコードとして独立して販売されるケースが

1984年頃から増加している

「少女マンガ(家)のイメージアルバム」はおそらく竹宮恵子『ガラスの迷路』(78年8月)

「ドラマパートを含むレコード」だと、くらもちふさこ『いつもポケットにショパン』

(80年12月5日)

が確認できた中で最古

コロムビア 番号順総目録 1985P672

1984年以降は項目に「CD」が追加

レコードから1年~1か月遅いリリース

キングレコード 番号順総目録 1986~1987 P579

課 題 ・ 今 後 の 展 望

○他のレコード会社の調査

・ビクター資料は既に収集済み。現在はキャニオンに手を付けたところ

○「朝日ソノラマ」~「コロムビア寡占」状況についての調査

・朝日ソノラマの関係者には既に聞き取り開始中

・コロムビアは資料を基に、当時の関係者に聞き取りが出来れば理想

○80年代以降の動きについて

・90年までは目録があるので調査を継続しつつ、

ビデオパッケージの目録調査も並行して行いたい

・合わせて、関係者への聞き取りを試みる

ご 清 聴 あ り が と う ご ざ い ま し た

オリコンリサーチ株式会社『Oriconエンタメ・マーケット白書2010~2014』、

オリコンリサーチ株式会社、二〇一一年~二〇一五年。

木村英俊『Theアニメ・ソング ‐ヒットはこうして作られた』角川書店、一九九九年。

小島豊美とアヴァンデザイン活字楽団『昭和のテレビ童謡クロニクル 『ひらけ!ポンキッキ』から『ピッカピカ音楽館』まで』

DU BOOKS、二〇一五年。

津堅信之『日本アニメーションの力』NTT出版、二〇〇四年。

橋本一郎『鉄腕アトムの歌が聞こえる ~手塚治虫とその時代~』少年画報社、二〇一五年。

細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史』新潮選書、二〇一三年。

増田弘道『もっとよくわかるアニメビジネス』NTT出版、二〇一一年。

山内涼子 「『機動戦士ガンダム音楽プロデューサーが語る アニメ音楽”進化”の軌跡』」

(日経BPムック『日経エンタテインメント! アニメ名作Special』日経BP社、二〇一四年。

「2014 年上半期 市場レポート【音楽ソフト】」オリコン・リサーチ株式会社、二〇一四年、

[https://biz.oricon.co.jp/info/half_report_2014_music2.pdf]、二〇一六年一月八日。

「新譜数推移」一般社団法人日本レコード協会、[http://www.riaj.or.jp/f/data/others/sp.html]、二〇一六年一月八日。

萩原由加里「日本におけるアニメーションのトーキー化 ―トーキー・アニメーションの登場と発展―」財団法人徳間記念アニメーション文化財団、二〇〇九年、

[http://www.ghibli-museum.jp/image/2010%E5%8A%A9%E6%88%90%E8%AB%96%E6%96%87-4.pdf]、二〇一六年一月八日。

藤田純二「ガンダムの音楽制作に携わって~創世記、現在、未来~ 」 一般財団法人音楽産業・文化振興財団、二〇〇七年[http://www.promic.net/document/pdf/200702_01.pdf]、二〇一六年一月八日。

告 知

4月29・30日に幕張メッセで開催される「ニコニコ超会議2016」に

お手伝いしてる「ニコニコ学会β」関連の発表スペースが設けられます。

ニコつくポスターセッションsupported by ニコニコ学会β

ニコつく研究してみたマッドネス supported by ニコニコ学会β

(一人3分間のステージ発表)

発表者募集&ぜひ一度遊びに来てください!!

詳細は「ニコつく」で検索!

告 知

「ニコニコ学会β」の分科会である「データ研究会」の第8回目が

3月26日(土)に開催されます。

第八回ニコニコ学会βデータ研究会 ~人工知能と根性で挑むコンテンツの世界~

2016年3月26日(土) 開場12:30 開演13:00 終演19:00予定

東銀座駅そば 銀座松竹スクエア13F 株式会社ドワンゴ セミナールーム

第8回ではドワンゴや博報堂のデータへの取り組み、データからみる社会心理学やウェブデータの収集と保存、さらにAPIによるアニメのデータ収集ツールやエロマンガ統計まで、いつも以上に魑魅魍魎が集まりました!

みなさまぜひ遊びに来てください!

「第八回ニコニコ学会βデータ研究会 参加登録ページ」

(http://niconicodatasig8.peatix.com/)