-高齢者の大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭置換術- t-974 007267...
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A1T100922T T-974 007267
※このカタログは環境にやさしい大豆インキを使用しています。■禁無断転載、複写〔2010年9月改訂〕
Ver.2.1
手術手技
-高齢者の大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭置換術-
目 次
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2~3
4.専用器具 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6~8
2.手術適用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
5.術前準備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3.ステム概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
6.手術手技 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9~12
7.器具使用方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13~22
8.閉創 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
6-1
7-1
6-4
7-4
7-8
6-2
7-2
6-5
7-5
7-9
6-3
7-3
6-6
7-6
7-10
6-7
7-7
体位 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
皮切と展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
小外旋筋群と大腿方形筋の切離 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
関節包の切開と骨頭の脱臼 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
小転子の処置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
骨折型の確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
近位骨片の処置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
骨欠損の範囲、高さの確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
Calcar基部骨折端のトリミング ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
大腿骨遠位髄腔の処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
大腿骨近位髄腔の処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
トライアルステム挿入と前捻角の確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
大転子骨片の仮整復と大転子プレートによる仮固定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17~18
骨頭の仮整復と軟部組織のバランス調整 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
インプラントの組立て ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
インプラントの挿入 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
大転子プレートと骨頭ボール・バイポーラカップの設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
高齢者の大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭置換術
はじめに1 大腿骨近位部骨折には主に頚部骨折(内側型)と転子間骨折(外側型)に分類されており、治療方法は頚部骨折には人工骨頭置換術が、転子間骨折には骨接合術が、これまでは一般的な適応とされてきました。しかしながら転子間骨折は骨折の形態により、さらに安定型と不安定型(大転子骨折と小転子骨折を伴う)に分類されており、安定型に対して骨接合術はよい適応ですが、不安定型に対しては必ずしも骨接合術では整復・固定が容易ではなく早期荷重が困難な症例も存在します。高齢者の早期離床と荷重は、様々な合併症の予防のみならずQOLの向上にも近年では重要課題となっております。一方、人工骨頭置換術は再置換術における大腿骨近位部の巨大な骨欠損と不良な骨質に対しても、人工関節のデザインの改善と材質の開発、手術手技の進歩等により、確実な除痛、支持性とROMの確保が可能となり、安定した成績が報告されるまでにいたっています。
そこで、これら骨接合術では早期荷重が困難と思われる高齢者の大腿骨近位部骨折症例に対して、確実な除痛と支持性をもつ人工骨頭用ステムが開発されました。特徴として、この人工骨頭用ステムは再置換術に対するステムコンセプトを導入したことにより、大腿骨頚部の欠損と、それによるステムの回旋不安定性と加重に対応しています。高齢者のため骨粗しょう症が懸念されますが、再置換時の不良な骨質を考慮すれば、むしろ優れた成績が期待できるものと考えられます。大腿骨近位部骨折に小転子骨折を伴っている症例でも、小転子に対して頸部は約15度前捻しているため、大腿骨頸部の内側基部皮質骨は損傷されずに残っております。ここで荷重を確実に受けられるようにステムに水平ツバが作成されており、小転子骨折はステムの荷重と安定性に大きな影響はありません。したがって敢えて骨片の整復、固定の必要はありませんが、骨片に頸部基部が含まれる様な大きな小転子骨折には厳重な整復と固定が必要です。
次に最大の特徴として、大転子骨折に対しても適用できるよう、強固な大転子固定器がステム本体近位部にモジュラー式に取付けられるように考案されている事です(図4)。既成の分離型大転子固定器具は別途ワイヤーにて骨粗しょう症のある大腿骨に骨孔を作成して固定するため、ワイヤーの破損か緩みにより大転子偽関節が危惧されますが、この大転子固定器は連結器とプレートにて両側より圧迫する為、カウンター効果に優れています。更にアームにて大転子頭頂部を中殿筋腱を含めて中枢より末梢に大転子を押さえ込むように作用するため、中殿筋の強力な中枢への牽引力に充分対応でき早期荷重と偽関節予防が可能となります(図1)。
2
図.1MOD-Centaurステム分離型大転子固定器具による固定の懸念
プレート脱転
カウンター効果ワイヤー破損
連結器アーム
プレート
目 次
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2~3
4.専用器具 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6~8
2.手術適用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
5.術前準備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
3.ステム概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5
6.手術手技 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9~12
7.器具使用方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13~22
8.閉創 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
6-1
7-1
6-4
7-4
7-8
6-2
7-2
6-5
7-5
7-9
6-3
7-3
6-6
7-6
7-10
6-7
7-7
体位 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
皮切と展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
小外旋筋群と大腿方形筋の切離 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10
関節包の切開と骨頭の脱臼 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
小転子の処置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
骨折型の確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
近位骨片の処置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
骨欠損の範囲、高さの確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
Calcar基部骨折端のトリミング ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13
大腿骨遠位髄腔の処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
大腿骨近位髄腔の処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15
トライアルステム挿入と前捻角の確認 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
大転子骨片の仮整復と大転子プレートによる仮固定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17~18
骨頭の仮整復と軟部組織のバランス調整 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19
インプラントの組立て ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
インプラントの挿入 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
大転子プレートと骨頭ボール・バイポーラカップの設置 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
高齢者の大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭置換術
はじめに1 大腿骨近位部骨折には主に頚部骨折(内側型)と転子間骨折(外側型)に分類されており、治療方法は頚部骨折には人工骨頭置換術が、転子間骨折には骨接合術が、これまでは一般的な適応とされてきました。しかしながら転子間骨折は骨折の形態により、さらに安定型と不安定型(大転子骨折と小転子骨折を伴う)に分類されており、安定型に対して骨接合術はよい適応ですが、不安定型に対しては必ずしも骨接合術では整復・固定が容易ではなく早期荷重が困難な症例も存在します。高齢者の早期離床と荷重は、様々な合併症の予防のみならずQOLの向上にも近年では重要課題となっております。一方、人工骨頭置換術は再置換術における大腿骨近位部の巨大な骨欠損と不良な骨質に対しても、人工関節のデザインの改善と材質の開発、手術手技の進歩等により、確実な除痛、支持性とROMの確保が可能となり、安定した成績が報告されるまでにいたっています。
そこで、これら骨接合術では早期荷重が困難と思われる高齢者の大腿骨近位部骨折症例に対して、確実な除痛と支持性をもつ人工骨頭用ステムが開発されました。特徴として、この人工骨頭用ステムは再置換術に対するステムコンセプトを導入したことにより、大腿骨頚部の欠損と、それによるステムの回旋不安定性と加重に対応しています。高齢者のため骨粗しょう症が懸念されますが、再置換時の不良な骨質を考慮すれば、むしろ優れた成績が期待できるものと考えられます。大腿骨近位部骨折に小転子骨折を伴っている症例でも、小転子に対して頸部は約15度前捻しているため、大腿骨頸部の内側基部皮質骨は損傷されずに残っております。ここで荷重を確実に受けられるようにステムに水平ツバが作成されており、小転子骨折はステムの荷重と安定性に大きな影響はありません。したがって敢えて骨片の整復、固定の必要はありませんが、骨片に頸部基部が含まれる様な大きな小転子骨折には厳重な整復と固定が必要です。
次に最大の特徴として、大転子骨折に対しても適用できるよう、強固な大転子固定器がステム本体近位部にモジュラー式に取付けられるように考案されている事です(図4)。既成の分離型大転子固定器具は別途ワイヤーにて骨粗しょう症のある大腿骨に骨孔を作成して固定するため、ワイヤーの破損か緩みにより大転子偽関節が危惧されますが、この大転子固定器は連結器とプレートにて両側より圧迫する為、カウンター効果に優れています。更にアームにて大転子頭頂部を中殿筋腱を含めて中枢より末梢に大転子を押さえ込むように作用するため、中殿筋の強力な中枢への牽引力に充分対応でき早期荷重と偽関節予防が可能となります(図1)。
2
図.1MOD-Centaurステム分離型大転子固定器具による固定の懸念
プレート脱転
カウンター効果ワイヤー破損
連結器アーム
プレート
43
手術適用2 高齢者の大腿骨近位部骨折に対して、本人工骨頭置換術が適応となるのは以下のような症例です(図3)。
手術手技の特徴として、大転子骨折を伴う時は人工骨頭中心の基準となる大転子頂点が不確実となり、軟部組織の緊張が緩み脱臼の危険性があるため、手術手技上ステムの位置決めには慎重を要します。まず頸部内側欠損に対して3種類の補填高から適切な高さを選び、一旦人工骨頭ステムを整復後、大転子を整復して緊張のバランスを確認することが重要です。大転子外側の軟部組織の可及的温存は骨癒合に重要です。切除した骨頭からは骨髄を採取して、大転子骨折部を中心に充分骨移植して骨癒合を促進します。また小転子骨折がある場合は、ステムの前捻に注意を要します。高齢者は骨粗鬆症があり、骨片はもろく注意深くあつかう必要があり、手術操作には骨接合術同様に慎重に行わなければなりません。
後 面 外 側 内 側 前 面
GP+L
3 segments
4 segments 5 segments
N+L N+GP GP+GA
大腿骨転子間骨折の基本骨片(segment)
Segment組み合わせによる骨折型分類
図.2
N
LL
GP
GA GA
N : NeckGP: Great trochanter / PosteriorGA: Great trochanter / AnteriorL : Lessor trochanter
外側面GP+GA
Ⅰ 高齢者の大腿骨近位部骨折、特に大転子骨折を含む不安定型で、整復が困難であり、骨接合術では安定せず、早期荷重が困難な症例。
Ⅱ 高齢者の大腿骨頚部骨折で、頚部内側骨皮質の欠損を認め、補填材による代用を必要とする症例。
Ⅲ 単純な大腿骨転子間骨折でも、骨粗鬆症が著しく、骨接合術では、早期荷重が困難な症例。
Ⅳ 大腿骨転子部骨折の偽関節後に対する再手術症例。
頚部骨折(Ⅱ) 転子間骨折(Ⅲ)
頚部縦骨折 著明骨粗鬆症
頚部
図.3
手 術 適 応
43
手術適用2 高齢者の大腿骨近位部骨折に対して、本人工骨頭置換術が適応となるのは以下のような症例です(図3)。
手術手技の特徴として、大転子骨折を伴う時は人工骨頭中心の基準となる大転子頂点が不確実となり、軟部組織の緊張が緩み脱臼の危険性があるため、手術手技上ステムの位置決めには慎重を要します。まず頸部内側欠損に対して3種類の補填高から適切な高さを選び、一旦人工骨頭ステムを整復後、大転子を整復して緊張のバランスを確認することが重要です。大転子外側の軟部組織の可及的温存は骨癒合に重要です。切除した骨頭からは骨髄を採取して、大転子骨折部を中心に充分骨移植して骨癒合を促進します。また小転子骨折がある場合は、ステムの前捻に注意を要します。高齢者は骨粗鬆症があり、骨片はもろく注意深くあつかう必要があり、手術操作には骨接合術同様に慎重に行わなければなりません。
後 面 外 側 内 側 前 面
GP+L
3 segments
4 segments 5 segments
N+L N+GP GP+GA
大腿骨転子間骨折の基本骨片(segment)
Segment組み合わせによる骨折型分類
図.2
N
LL
GP
GA GA
N : NeckGP: Great trochanter / PosteriorGA: Great trochanter / AnteriorL : Lessor trochanter
外側面GP+GA
Ⅰ 高齢者の大腿骨近位部骨折、特に大転子骨折を含む不安定型で、整復が困難であり、骨接合術では安定せず、早期荷重が困難な症例。
Ⅱ 高齢者の大腿骨頚部骨折で、頚部内側骨皮質の欠損を認め、補填材による代用を必要とする症例。
Ⅲ 単純な大腿骨転子間骨折でも、骨粗鬆症が著しく、骨接合術では、早期荷重が困難な症例。
Ⅳ 大腿骨転子部骨折の偽関節後に対する再手術症例。
頚部骨折(Ⅱ) 転子間骨折(Ⅲ)
頚部縦骨折 著明骨粗鬆症
頚部
図.3
手 術 適 応
65
専用器具4ステム概要3 本ステムはモジュラー式ステムであり、近位部ステム、遠位部ステムおよび骨折した大転子を押さえ込み固定するための大転子プレートより構成されます。近位部ステムと遠位部ステムはステム固定用ネジにより、固定します。大転子プレートを使用する場合は、さらに連結器を取り付けた後、大転子プレートをプレート固定ネジにより固定します。ステム近位部および大転子プレートには、ワイヤを通すための穴が設けられており、補助的にワイヤ締結を用いることもできます。
大転子プレートを使用しない場合
大転子プレートを使用する場合
連結器
大転子プレート
プレート固定ネジ
ステム固定用ネジ
近位部ステム
遠位部ステム
図.4
No. 品名 数量
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
❶
❷
❸
❹
❺
❻
❼
❽
❾
❶
❷
❸
近位部リーマ ø21 1
近位部リーマ ø22 1
近位部リーマ ø23 1
近位部リーマ用アタッチメント ø9 2
近位部リーマ用アタッチメント ø10 2
近位部リーマ用アタッチメント ø11 2
近位部リーマ用アタッチメント ø12 2
近位部リーマ用アタッチメント ø13 2
近位部リーマ用アタッチメント ø14 2
近位部リーマ用アタッチメント ø15 2
近位部リーマ用アタッチメント ø16 2
遠位部リーマ ø9 1
遠位部リーマ ø10 1
遠位部リーマ ø11 1
遠位部リーマ ø12 1
遠位部リーマ ø13 1
遠位部リーマ ø14 1
遠位部リーマ ø15 1
遠位部リーマ ø16 1
スターターリーマ 1
大転子リーマ 1
リセクションガイド 1
大腿骨頭摘出器 1
ラチェットハンドル 2
箱ノミ 1
ボールインパクター 1
ハンマー 1
アタッチメント①-Ø9
アタッチメント②-Ø10
アタッチメント③-Ø11
アタッチメント④-Ø12
アタッチメント⑤-Ø13
アタッチメント⑥-Ø14
アタッチメント⑦-Ø15
アタッチメント⑧-Ø16
プロキシマル C
プロキシマル B
プロキシマル A
ディスタル ①-Ø9
ディスタル②-Ø10
ディスタル③-Ø11
ディスタル④-Ø12
ディスタル⑤-Ø13
ディスタル⑥-Ø14
ディスタル⑦-Ø15
ディスタル⑧-Ø16
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
ダイテンシリ-マ
±0+6+3
35mm40mm
45mm
❹❺❻❼❽❾
65
専用器具4ステム概要3 本ステムはモジュラー式ステムであり、近位部ステム、遠位部ステムおよび骨折した大転子を押さえ込み固定するための大転子プレートより構成されます。近位部ステムと遠位部ステムはステム固定用ネジにより、固定します。大転子プレートを使用する場合は、さらに連結器を取り付けた後、大転子プレートをプレート固定ネジにより固定します。ステム近位部および大転子プレートには、ワイヤを通すための穴が設けられており、補助的にワイヤ締結を用いることもできます。
大転子プレートを使用しない場合
大転子プレートを使用する場合
連結器
大転子プレート
プレート固定ネジ
ステム固定用ネジ
近位部ステム
遠位部ステム
図.4
No. 品名 数量
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
M-
❶
❷
❸
❹
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❻
❼
❽
❾
❶
❷
❸
近位部リーマ ø21 1
近位部リーマ ø22 1
近位部リーマ ø23 1
近位部リーマ用アタッチメント ø9 2
近位部リーマ用アタッチメント ø10 2
近位部リーマ用アタッチメント ø11 2
近位部リーマ用アタッチメント ø12 2
近位部リーマ用アタッチメント ø13 2
近位部リーマ用アタッチメント ø14 2
近位部リーマ用アタッチメント ø15 2
近位部リーマ用アタッチメント ø16 2
遠位部リーマ ø9 1
遠位部リーマ ø10 1
遠位部リーマ ø11 1
遠位部リーマ ø12 1
遠位部リーマ ø13 1
遠位部リーマ ø14 1
遠位部リーマ ø15 1
遠位部リーマ ø16 1
スターターリーマ 1
大転子リーマ 1
リセクションガイド 1
大腿骨頭摘出器 1
ラチェットハンドル 2
箱ノミ 1
ボールインパクター 1
ハンマー 1
アタッチメント①-Ø9
アタッチメント②-Ø10
アタッチメント③-Ø11
アタッチメント④-Ø12
アタッチメント⑤-Ø13
アタッチメント⑥-Ø14
アタッチメント⑦-Ø15
アタッチメント⑧-Ø16
プロキシマル C
プロキシマル B
プロキシマル A
ディスタル ①-Ø9
ディスタル②-Ø10
ディスタル③-Ø11
ディスタル④-Ø12
ディスタル⑤-Ø13
ディスタル⑥-Ø14
ディスタル⑦-Ø15
ディスタル⑧-Ø16
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35
45 40 35ダイテンシリ-マ
±0+6+3
35mm40mm
45mm
❹❺❻❼❽❾
87
専用器具4専用器具4
No. 品名 数量
M- 近位部ステムトライアル ø21×35 1
M- 近位部ステムトライアル ø21×40 1
M- 近位部ステムトライアル ø21×45 1
M- 近位部ステムトライアル ø22×35 1
M- 近位部ステムトライアル ø22×40 1
M- 近位部ステムトライアル ø22×45 1
M- 近位部ステムトライアル ø23×35 1
M- 近位部ステムトライアル ø23×40 1
M- 近位部ステムトライアル ø23×45 1
M- 遠位部ステムトライアル ø9 1
M- 遠位部ステムトライアル ø10 1
M- 遠位部ステムトライアル ø11 1
M- 遠位部ステムトライアル ø12 1
M- 遠位部ステムトライアル ø13 1
M- 遠位部ステムトライアル ø14 1
M- 遠位部ステムトライアル ø15 1
M- 遠位部ステムトライアル ø16 1
M- 大転子プレートトライアルR50 1
M- 大転子プレートトライアルR70 1
M- 大転子プレートトライアルL50 1
M- 大転子プレートトライアルL70 1
M- コネクタートライアル 2
M- 大転子プレート用トライアルネジ 1
M- ボール・トライアル 22+0 1
M- ボール・トライアル 22+3 1
M- ボール・トライアル 22+6 1
M- ボール・トライアル 26+0 1
M- ボール・トライアル 26+3 1
M- ボール・トライアル 26+6 1
M- ボール・トライアル 26+9 1
Ø9 Ø10
Ø11
Ø12
Ø13
Ø14
Ø15
Ø16
ロッカクドライバ-
JMMステム打込棒
Ø21×35
Ø21×40
Ø21×45
Ø22×35
Ø22×40
Ø22×45
Ø23×35
Ø23×40
Ø23×45
No. 品名 数量
M- ステム打込み棒 1
M- ステム打込み棒取付フック 1
M- ステム組立て器 1
M- トルクレンチ 1
M- 六角ドライバ 1
M- フック抜去器 1
87
専用器具4専用器具4
No. 品名 数量
M- 近位部ステムトライアル ø21×35 1
M- 近位部ステムトライアル ø21×40 1
M- 近位部ステムトライアル ø21×45 1
M- 近位部ステムトライアル ø22×35 1
M- 近位部ステムトライアル ø22×40 1
M- 近位部ステムトライアル ø22×45 1
M- 近位部ステムトライアル ø23×35 1
M- 近位部ステムトライアル ø23×40 1
M- 近位部ステムトライアル ø23×45 1
M- 遠位部ステムトライアル ø9 1
M- 遠位部ステムトライアル ø10 1
M- 遠位部ステムトライアル ø11 1
M- 遠位部ステムトライアル ø12 1
M- 遠位部ステムトライアル ø13 1
M- 遠位部ステムトライアル ø14 1
M- 遠位部ステムトライアル ø15 1
M- 遠位部ステムトライアル ø16 1
M- 大転子プレートトライアルR50 1
M- 大転子プレートトライアルR70 1
M- 大転子プレートトライアルL50 1
M- 大転子プレートトライアルL70 1
M- コネクタートライアル 2
M- 大転子プレート用トライアルネジ 1
M- ボール・トライアル 22+0 1
M- ボール・トライアル 22+3 1
M- ボール・トライアル 22+6 1
M- ボール・トライアル 26+0 1
M- ボール・トライアル 26+3 1
M- ボール・トライアル 26+6 1
M- ボール・トライアル 26+9 1
Ø9 Ø10
Ø11
Ø12
Ø13
Ø14
Ø15
Ø16
ロッカクドライバ-
JMMステム打込棒
Ø21×35
Ø21×40
Ø21×45
Ø22×35
Ø22×40
Ø22×45
Ø23×35
Ø23×40
Ø23×45
No. 品名 数量
M- ステム打込み棒 1
M- ステム打込み棒取付フック 1
M- ステム組立て器 1
M- トルクレンチ 1
M- 六角ドライバ 1
M- フック抜去器 1
109
中殿筋
小外旋筋群 方形筋
ホーマン鉤を股関節上下に挿入
術前準備5 骨折の状態を正しく理解するために、骨折側のみならず健側の2方向のレントゲン像をとることを勧めます。健側との比較により大転子頂点から骨折内側端までの欠損量が予測でき、適切な補填高が予め選択できます。大転子は骨頭中心の基準となるため、大転子骨折を伴う場合は、大転子骨片の整復位置と大腿骨コンポーネントの位置決めに特に重要となります。CTscanを術前に準備することができれば、さらに詳細な骨折の状態について正確に把握することができ有用です。
手術手技 (後側方進入 ; Southern Approach)(術式ビデオ参照)6 転子間骨折に著明な大転子斜骨折を伴った代表的な転子部不安定型骨折について説明します。
6-1 体 位 側臥位にて患肢を軽度屈曲位として、後側方より進入します。大転子骨片は小外旋筋群により後方に転位していることが多いためです。
図.5
大転子下端二横指末梢中央から大転子上端中央までの直線的皮切に続き、後腸骨棘に向け三横指ほど後方に緩やかな曲線を加えます(図5)。転子間骨折では骨頭下骨折に比較して短縮が強く、短縮矯正時には大転子は下方に移動するため、末梢への皮切をやや延長しておくと、操作が容易となります。大腿筋膜腸筋も同切して、筋鈎をかけます。
6-2 皮切と展開
大腿骨を愛護的に軽度内旋し、小外旋筋群を確認します。このとき、大転子に単鋭鈎か二双鈎をかけ、ホーマン鈎を股関節の上下にかけ、上方にひくと転位した大転子骨片が整復され視野が得られます。次に小外旋筋群と大腿方形筋を大転子側で切離すると、大転子はさらに整復され、小転子まで展開されます(図6)。この操作をする際、坐骨神経は注意深く保護しなければなりません。
6-3 小外旋筋群と大腿方形筋の切離
図.6
ホーマン鉤を起こし上げて骨片を整復。その後、外旋筋群を切離
109
中殿筋
小外旋筋群 方形筋
ホーマン鉤を股関節上下に挿入
術前準備5 骨折の状態を正しく理解するために、骨折側のみならず健側の2方向のレントゲン像をとることを勧めます。健側との比較により大転子頂点から骨折内側端までの欠損量が予測でき、適切な補填高が予め選択できます。大転子は骨頭中心の基準となるため、大転子骨折を伴う場合は、大転子骨片の整復位置と大腿骨コンポーネントの位置決めに特に重要となります。CTscanを術前に準備することができれば、さらに詳細な骨折の状態について正確に把握することができ有用です。
手術手技 (後側方進入 ; Southern Approach)(術式ビデオ参照)6 転子間骨折に著明な大転子斜骨折を伴った代表的な転子部不安定型骨折について説明します。
6-1 体 位 側臥位にて患肢を軽度屈曲位として、後側方より進入します。大転子骨片は小外旋筋群により後方に転位していることが多いためです。
図.5
大転子下端二横指末梢中央から大転子上端中央までの直線的皮切に続き、後腸骨棘に向け三横指ほど後方に緩やかな曲線を加えます(図5)。転子間骨折では骨頭下骨折に比較して短縮が強く、短縮矯正時には大転子は下方に移動するため、末梢への皮切をやや延長しておくと、操作が容易となります。大腿筋膜腸筋も同切して、筋鈎をかけます。
6-2 皮切と展開
大腿骨を愛護的に軽度内旋し、小外旋筋群を確認します。このとき、大転子に単鋭鈎か二双鈎をかけ、ホーマン鈎を股関節の上下にかけ、上方にひくと転位した大転子骨片が整復され視野が得られます。次に小外旋筋群と大腿方形筋を大転子側で切離すると、大転子はさらに整復され、小転子まで展開されます(図6)。この操作をする際、坐骨神経は注意深く保護しなければなりません。
6-3 小外旋筋群と大腿方形筋の切離
図.6
ホーマン鉤を起こし上げて骨片を整復。その後、外旋筋群を切離
1211
小転子に骨折を認めても、近位骨片と連続性がなく、腸腰筋腱によって大腿骨前上方に転位している症例は、あえて整復の操作は必要ないでしょう。(これは通常の転子間骨接合術においても同様です。)しかし近位骨片と連続性を認め、腸腰筋腱によって大腿骨前上方に牽引されている症例は腸腰筋腱を切離する必要があります。切離により近位骨片は整復され、安定します。
6-5 小転子の処置
この操作後、大腿骨の内旋が容易となり、小転子後下方まで術野が確保でき骨折全体が観察できるようになります。術前に想定した骨折型か、確認をします。大転子内側の小外旋筋群の残存組織等を切除して大転子骨折型を同定することは重要ですが、大転子外側の骨膜と中殿筋被膜の連続性は温存します。大転子の整復と骨癒合に重要です。
6-6 骨折型の確認
小外旋筋群を関節包から切離して関節包を露出させ、T字切開を加えて、骨頭を愛護的に脱臼させます。大腿骨頸部が転子部骨髄内に深く嵌入している場合、骨頭の脱臼は大腿骨の内旋、内転操作で通常可能ですが、骨折部が不安定な場合、強引な脱臼操作はかえって危険なため、まず骨頭下にて頸部をボーンソーにて切断して骨頭を摘出したほうが安全です(図7)。
6-4 関節包の切開と骨頭の脱臼
図.7
ボーンソー
大腿骨転子部に嵌入している頸部を鋭匙にて把持して、揺さぶるように中枢側に引くと頸部が抜去できます。頸部と大転子が一塊となった症例では、転子窩で切断して大転子骨片を残す必要があります。次に大腿骨近位部を展開する為に、大転子骨片に二双鈎をかけて骨片を翻転し、骨折部にホーマン鈎を挿入して大転子骨片を充分によけます。このとき、大転子と骨幹部の母床連続性はやむなく断たれます。大腿骨近位部の展開を最優先して術野を確保し、以後の操作、特にステムとの適合性、安定性を確実にする必要があります(図8)。
6-7 近位骨片の処置
二双鈎
中殿筋
ホーマン鈎
ホーマン鈎
大転子骨片翻転
図.8
1211
小転子に骨折を認めても、近位骨片と連続性がなく、腸腰筋腱によって大腿骨前上方に転位している症例は、あえて整復の操作は必要ないでしょう。(これは通常の転子間骨接合術においても同様です。)しかし近位骨片と連続性を認め、腸腰筋腱によって大腿骨前上方に牽引されている症例は腸腰筋腱を切離する必要があります。切離により近位骨片は整復され、安定します。
6-5 小転子の処置
この操作後、大腿骨の内旋が容易となり、小転子後下方まで術野が確保でき骨折全体が観察できるようになります。術前に想定した骨折型か、確認をします。大転子内側の小外旋筋群の残存組織等を切除して大転子骨折型を同定することは重要ですが、大転子外側の骨膜と中殿筋被膜の連続性は温存します。大転子の整復と骨癒合に重要です。
6-6 骨折型の確認
小外旋筋群を関節包から切離して関節包を露出させ、T字切開を加えて、骨頭を愛護的に脱臼させます。大腿骨頸部が転子部骨髄内に深く嵌入している場合、骨頭の脱臼は大腿骨の内旋、内転操作で通常可能ですが、骨折部が不安定な場合、強引な脱臼操作はかえって危険なため、まず骨頭下にて頸部をボーンソーにて切断して骨頭を摘出したほうが安全です(図7)。
6-4 関節包の切開と骨頭の脱臼
図.7
ボーンソー
大腿骨転子部に嵌入している頸部を鋭匙にて把持して、揺さぶるように中枢側に引くと頸部が抜去できます。頸部と大転子が一塊となった症例では、転子窩で切断して大転子骨片を残す必要があります。次に大腿骨近位部を展開する為に、大転子骨片に二双鈎をかけて骨片を翻転し、骨折部にホーマン鈎を挿入して大転子骨片を充分によけます。このとき、大転子と骨幹部の母床連続性はやむなく断たれます。大腿骨近位部の展開を最優先して術野を確保し、以後の操作、特にステムとの適合性、安定性を確実にする必要があります(図8)。
6-7 近位骨片の処置
二双鈎
中殿筋
ホーマン鈎
ホーマン鈎
大転子骨片翻転
図.8
1413
図.11
器具使用方法7
7-1 骨欠損の範囲、高さの確認 近位骨片切除によって生じた骨欠損の範囲を確認します。特にcalcar基部の残存位置はステムの安定性、補填高に影響するため重要です。整復された大転子骨片頂部と残存calcar基部に器具(リセクションガイド、近位部ステムトライアル)を挿入して、適切な補填高を決定します。
適切な補填高が決定されれば、その位置を基準にしてボーンソーやリューエルを用いて、大腿骨近位部のトリミングを行ないます。特に前方転子部の残存は、ステム挿入時に障害となる為、充分に切除する必要があります(図9)。
7-2 Calcar 基部骨折端のトリミング
図.9
大腿骨遠位部における髄腔とステムの固定(回旋に対する安定性)は、ステム遠位部に形成されたスプラインによって形成されます。したがって、大腿骨遠位部ステムが適合するように遠位部髄腔を適切に処理する必要性があります。遠位部用リーマは全てストレートリーマであり、φ9からφ16まで1mmピッチで用意されています。図10に示されるように、φ9リーマを使用した後に、φ9遠位部インプラントを挿入すると、スプラインは0.6mm骨に噛み込むことになります。そのため、遠位髄腔の骨質に応じてですが、最終遠位リーマ径より1mm小さなインプラント選択した方が遠位髄腔に対して適度な噛み込みが得られる状態で挿入できます。(その場合でも片側0.1mm骨に噛み込みます。)
遠位部用リーマを順次1mmずつ行い、適切な皮質骨の接触が得られるまでリーミングします。この際、ホーマン鈎を用いて大転子骨片を展開すると視野が広がります(図11)。
遠位部リーマには、対応する近位部インプラントのネック高さの目安となるラインが印字されており上端ラインから順にネック高さ35mm、40mm、45mmとなっています(図12、あくまで参考です)。従って、遠位部ステム長は順に、5mm、10mm長くなりますので、注意が必要です(図13)。
採用する近位部インプラントが不確かな場合は、予定より浅めに一旦終了し、近位部リーマを実施した後に、再度遠位部リーマを所定の深さまでリーミングします。
7-3 大腿骨遠位髄腔の処理
0.6mm(嚙み込み深さ)ø9(遠位
部リーマø9)
遠位部ステム径ø9の横断面(スプライン形状)
図.10
ディスタル ①-Ø9
45
4035
ディスタル ①-Ø9
35mm高さ
40mm高さ
45mm高さ
遠位部リーマ
454035
図.12
図.13
354045
45 40 35
遠位部リーマ
近位部リーマ
1413
図.11
器具使用方法7
7-1 骨欠損の範囲、高さの確認 近位骨片切除によって生じた骨欠損の範囲を確認します。特にcalcar基部の残存位置はステムの安定性、補填高に影響するため重要です。整復された大転子骨片頂部と残存calcar基部に器具(リセクションガイド、近位部ステムトライアル)を挿入して、適切な補填高を決定します。
適切な補填高が決定されれば、その位置を基準にしてボーンソーやリューエルを用いて、大腿骨近位部のトリミングを行ないます。特に前方転子部の残存は、ステム挿入時に障害となる為、充分に切除する必要があります(図9)。
7-2 Calcar 基部骨折端のトリミング
図.9
大腿骨遠位部における髄腔とステムの固定(回旋に対する安定性)は、ステム遠位部に形成されたスプラインによって形成されます。したがって、大腿骨遠位部ステムが適合するように遠位部髄腔を適切に処理する必要性があります。遠位部用リーマは全てストレートリーマであり、φ9からφ16まで1mmピッチで用意されています。図10に示されるように、φ9リーマを使用した後に、φ9遠位部インプラントを挿入すると、スプラインは0.6mm骨に噛み込むことになります。そのため、遠位髄腔の骨質に応じてですが、最終遠位リーマ径より1mm小さなインプラント選択した方が遠位髄腔に対して適度な噛み込みが得られる状態で挿入できます。(その場合でも片側0.1mm骨に噛み込みます。)
遠位部用リーマを順次1mmずつ行い、適切な皮質骨の接触が得られるまでリーミングします。この際、ホーマン鈎を用いて大転子骨片を展開すると視野が広がります(図11)。
遠位部リーマには、対応する近位部インプラントのネック高さの目安となるラインが印字されており上端ラインから順にネック高さ35mm、40mm、45mmとなっています(図12、あくまで参考です)。従って、遠位部ステム長は順に、5mm、10mm長くなりますので、注意が必要です(図13)。
採用する近位部インプラントが不確かな場合は、予定より浅めに一旦終了し、近位部リーマを実施した後に、再度遠位部リーマを所定の深さまでリーミングします。
7-3 大腿骨遠位髄腔の処理
0.6mm(嚙み込み深さ)ø9(遠位
部リーマø9)
遠位部ステム径ø9の横断面(スプライン形状)
図.10
ディスタル ①-Ø9
45
4035
ディスタル ①-Ø9
35mm高さ
40mm高さ
45mm高さ
遠位部リーマ
454035
図.12
図.13
354045
45 40 35
遠位部リーマ
近位部リーマ
1615
図.17
ステム近位円錐形部分と大腿骨近位骨幹円錐形の適合性は、ステムの回旋安定性と支持性に重要です。近位部リーマは近位部インプラント径φ21、φ22、φ23に合わせて、3種類あります(図14)。φ21用近位部リーマより順に行います。また、近位部リーマには近位部リーマ用アタッチメントを取り付けます(図15)。取り付ける近位部リーマ用アタッチメント径は、最終の遠位部リーマ径と同寸のものを用いるようにします。近位部リーマの刻印は、大転子頂部(骨頭中心)までの長さを表しています。仮に骨切位置にφ23近位部リーマの40mmラインまで挿入できた場合は、インプラントφ23のネック高さ40mmの近位部ステムを使用することになります(図16)。なお、近位部リーマ用アタッチメントと近位部リーマはネジ固定のため、リーマを逆回転することは禁止です。リーミングの際、髄腔は楕円形のため大腿骨前後の骨皮質の菲薄化を伴うので、骨折に注意します(図17)。
7-4 大腿骨近位髄腔の処理
プロキシマル A
アタッチメント④-Ø12
45 40 35
ø23
ø23
プロキシマル A
プロキシマル B
プロキシマル C
アタッチメント①-Ø9
アタッチメント②-Ø10
アタッチメント③-Ø11
アタッチメント④-Ø12
アタッチメント⑤-Ø13
アタッチメント⑥-Ø14
アタッチメント⑦-Ø15
アタッチメント⑧-Ø16
ø21
ø9 ø10 ø11 ø12 ø13 ø14 ø15 ø16
ø22 ø23
図.15
近位部リーマ
近位部リーマ用アタッチメント図.14
図.16
近位部リーマと近位部リーマ用アタッチメントはネジ固定のため、近位部リーマを逆回転しないで下さい。
近位部リーマ
近位部リーマ用アタッチメント
ネック高さの目安
転子間骨折に小転子骨折を伴う症例では、ステム前捻の指標がないため、常に注意が必要です。頸部基部と膝関節内顆を指標にしてトライアルステムの挿入角を決定します。予定の位置まで慎重に挿入して、適合性と安定性を確認します。特に回旋の安定性は重要であり、ステムが用手的に容易に回旋するようならば、ステム位置をさらに深くするか、近位ステム径を大きくする必要があります。
7-5 トライアルステム挿入と前捻角の確認
近位部ステムトライアル
近位部径 ø21mm 近位部径 ø22mm 近位部径 ø23mm
カルカー高さ
35mm 40mm 45mm 35mm 40mm 45mm 35mm 40mm 45mm
35#21 40#21 45#21 35#22 40#22 45#22 35#23 40#23 45#23
近位部ステム
遠位部ステムトライアル
ø9 ø10 ø11 ø12 ø13 ø14 ø15 ø16
#9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16
遠位部ステム
図.18
ステムトライアルの組み立て図.19
トライアルステムが予定の位置まで挿入できず、骨片にあたる場合は必要に応じて近位部骨片のトリミングを再度行ないます。
ネジ固定
近位部ステムトライアル
遠位部ステムトライアル
Ø9 Ø11
Ø12
Ø13
Ø14
Ø15
Ø16
Ø10Ø21×35
Ø21×40
Ø21×45
Ø22×35
Ø22×40
Ø22×45
Ø23×35
Ø23×40
Ø23×45
1615
図.17
ステム近位円錐形部分と大腿骨近位骨幹円錐形の適合性は、ステムの回旋安定性と支持性に重要です。近位部リーマは近位部インプラント径φ21、φ22、φ23に合わせて、3種類あります(図14)。φ21用近位部リーマより順に行います。また、近位部リーマには近位部リーマ用アタッチメントを取り付けます(図15)。取り付ける近位部リーマ用アタッチメント径は、最終の遠位部リーマ径と同寸のものを用いるようにします。近位部リーマの刻印は、大転子頂部(骨頭中心)までの長さを表しています。仮に骨切位置にφ23近位部リーマの40mmラインまで挿入できた場合は、インプラントφ23のネック高さ40mmの近位部ステムを使用することになります(図16)。なお、近位部リーマ用アタッチメントと近位部リーマはネジ固定のため、リーマを逆回転することは禁止です。リーミングの際、髄腔は楕円形のため大腿骨前後の骨皮質の菲薄化を伴うので、骨折に注意します(図17)。
7-4 大腿骨近位髄腔の処理
プロキシマル A
アタッチメント④-Ø12
45 40 35
ø23
ø23
プロキシマル A
プロキシマル B
プロキシマル C
アタッチメント①-Ø9
アタッチメント②-Ø10
アタッチメント③-Ø11
アタッチメント④-Ø12
アタッチメント⑤-Ø13
アタッチメント⑥-Ø14
アタッチメント⑦-Ø15
アタッチメント⑧-Ø16
ø21
ø9 ø10 ø11 ø12 ø13 ø14 ø15 ø16
ø22 ø23
図.15
近位部リーマ
近位部リーマ用アタッチメント図.14
図.16
近位部リーマと近位部リーマ用アタッチメントはネジ固定のため、近位部リーマを逆回転しないで下さい。
近位部リーマ
近位部リーマ用アタッチメント
ネック高さの目安
転子間骨折に小転子骨折を伴う症例では、ステム前捻の指標がないため、常に注意が必要です。頸部基部と膝関節内顆を指標にしてトライアルステムの挿入角を決定します。予定の位置まで慎重に挿入して、適合性と安定性を確認します。特に回旋の安定性は重要であり、ステムが用手的に容易に回旋するようならば、ステム位置をさらに深くするか、近位ステム径を大きくする必要があります。
7-5 トライアルステム挿入と前捻角の確認
近位部ステムトライアル
近位部径 ø21mm 近位部径 ø22mm 近位部径 ø23mm
カルカー高さ
35mm 40mm 45mm 35mm 40mm 45mm 35mm 40mm 45mm
35#21 40#21 45#21 35#22 40#22 45#22 35#23 40#23 45#23
近位部ステム
遠位部ステムトライアル
ø9 ø10 ø11 ø12 ø13 ø14 ø15 ø16
#9 #10 #11 #12 #13 #14 #15 #16
遠位部ステム
図.18
ステムトライアルの組み立て図.19
トライアルステムが予定の位置まで挿入できず、骨片にあたる場合は必要に応じて近位部骨片のトリミングを再度行ないます。
ネジ固定
近位部ステムトライアル
遠位部ステムトライアル
Ø9 Ø11
Ø12
Ø13
Ø14
Ø15
Ø16
Ø10Ø21×35
Ø21×40
Ø21×45
Ø22×35
Ø22×40
Ø22×45
Ø23×35
Ø23×40
Ø23×45
1817
トライアルステムが仮整復された軟部組織の緊張下で、大転子骨片の仮整復を行ないます。大転子裏面の骨髄、骨皮質を必要に応じてトリミングし、コネクタートライアルに沿うように処置します(図20)。
7-6 大転子骨片の仮整復と大転子プレートによる仮固定
コネクタートライアルの仮止め
大転子裏面のトリミング
大転子プレートの圧迫
トライアルステムの挿入
中殿筋繊維の縦割大転子プレートトライアルの挿入
大転子プレート
ステム
コネクター
上面
30°
30°
次に、コネクタートライアルを仮止めし(図22)、中殿筋後方1/3部を繊維方向に少し縦割します。そこに大転子プレートトライアルのアーム部を挿入し、コネクタートライアルと結合させます。この時、大転子プレートトライアルは2種類の長さより選択可能です(図23)。
大転子プレートトライアルの方向性が決まれば、一度コネクタートライアルを固定し、次に大転子プレートトライアルを末梢へ回転圧迫することにより、大転子骨片は自動的に末梢へ牽引固定されます(図24)。その後、大転子プレートトライアルのアーム部をネジ固定します。大転子骨片の安定性を確認します。その際、大転子骨片が不安定である場合には、大転子プレートにワイヤーを通し補強することも考慮します。
図.20
図.22
図.23
図.24
図.21
大転子骨片の確実な固定性を確保するため、大転子プレートは片側30°以下になるように設置して下さい。片側30°を超えて設置すると、大転子骨片の固定性が得られないおそれがあります。
1817
トライアルステムが仮整復された軟部組織の緊張下で、大転子骨片の仮整復を行ないます。大転子裏面の骨髄、骨皮質を必要に応じてトリミングし、コネクタートライアルに沿うように処置します(図20)。
7-6 大転子骨片の仮整復と大転子プレートによる仮固定
コネクタートライアルの仮止め
大転子裏面のトリミング
大転子プレートの圧迫
トライアルステムの挿入
中殿筋繊維の縦割大転子プレートトライアルの挿入
大転子プレート
ステム
コネクター
上面
30°
30°
次に、コネクタートライアルを仮止めし(図22)、中殿筋後方1/3部を繊維方向に少し縦割します。そこに大転子プレートトライアルのアーム部を挿入し、コネクタートライアルと結合させます。この時、大転子プレートトライアルは2種類の長さより選択可能です(図23)。
大転子プレートトライアルの方向性が決まれば、一度コネクタートライアルを固定し、次に大転子プレートトライアルを末梢へ回転圧迫することにより、大転子骨片は自動的に末梢へ牽引固定されます(図24)。その後、大転子プレートトライアルのアーム部をネジ固定します。大転子骨片の安定性を確認します。その際、大転子骨片が不安定である場合には、大転子プレートにワイヤーを通し補強することも考慮します。
図.20
図.22
図.23
図.24
図.21
大転子骨片の確実な固定性を確保するため、大転子プレートは片側30°以下になるように設置して下さい。片側30°を超えて設置すると、大転子骨片の固定性が得られないおそれがあります。
2019
近位部インプラントと遠位部インプラントを組立てます。まず、近位部インプラントに遠位部インプラントを強くねじ込みます。その後、近位部インプラントの上方の穴より固定用ネジを挿入し、仮固定を行います(図27)。
仮固定後、ステム組立て器に設置します。固定ピンを近位部ステムのワイヤ通し用穴に挿入することによって、ステム組立て器と近位部ステムとを固定します(図28)。その後、トルクレンチを設置し、所定トルク(130kgf-cm)になるまでトルクを負荷します(図29)。
7-8 インプラントの組立て 適切なトライアルステムが決まれば、一度骨頭の仮整復を行い、軟部組織の緊張、下肢長、可動域、脱臼の有無を確認します(図25)。頸部長にて微調整は可能です(図26)。
7-7 骨頭の仮整復と軟部組織のバランス調整
+6
+0
+3
※※※
対応はメタルボールとジルコニアボールになります。人工骨頭トライアルは、MOD-Centaurステム器具セットの中に準備しておりません。ご必要の際は、別途お問い合わせ下さい。
ボールトライアル22+0
人工骨頭トライアル※※ボールトライアル22+3
ボールトライアル22+6※
ステムトライアルによる仮整復図.25
図.26
固定用ネジ
組立て前
組立て後
近位部インプラント
遠位部インプラント
図.27
ステム組立て器
固定ピン
固定ピンを挿入することにより、ステムとステム組立て器を連結することができます。
図.28
トルクレンチ
図.29
・遠位部インプラントは、術式7-3でも述べましたが、最終リーマ径の1mmアンダーのインプラントを選択する方が適合性が良く安全に髄腔に挿入できます。・固定用ネジ(MOD-C ステムボルト)は遠位部インプラントに同梱されています。製品の開封時、固定用ネジが不潔にならないよう注意して下さい。
2019
近位部インプラントと遠位部インプラントを組立てます。まず、近位部インプラントに遠位部インプラントを強くねじ込みます。その後、近位部インプラントの上方の穴より固定用ネジを挿入し、仮固定を行います(図27)。
仮固定後、ステム組立て器に設置します。固定ピンを近位部ステムのワイヤ通し用穴に挿入することによって、ステム組立て器と近位部ステムとを固定します(図28)。その後、トルクレンチを設置し、所定トルク(130kgf-cm)になるまでトルクを負荷します(図29)。
7-8 インプラントの組立て 適切なトライアルステムが決まれば、一度骨頭の仮整復を行い、軟部組織の緊張、下肢長、可動域、脱臼の有無を確認します(図25)。頸部長にて微調整は可能です(図26)。
7-7 骨頭の仮整復と軟部組織のバランス調整
+6
+0
+3
※※※
対応はメタルボールとジルコニアボールになります。人工骨頭トライアルは、MOD-Centaurステム器具セットの中に準備しておりません。ご必要の際は、別途お問い合わせ下さい。
ボールトライアル22+0
人工骨頭トライアル※※ボールトライアル22+3
ボールトライアル22+6※
ステムトライアルによる仮整復図.25
図.26
固定用ネジ
組立て前
組立て後
近位部インプラント
遠位部インプラント
図.27
ステム組立て器
固定ピン
固定ピンを挿入することにより、ステムとステム組立て器を連結することができます。
図.28
トルクレンチ
図.29
・遠位部インプラントは、術式7-3でも述べましたが、最終リーマ径の1mmアンダーのインプラントを選択する方が適合性が良く安全に髄腔に挿入できます。・固定用ネジ(MOD-C ステムボルト)は遠位部インプラントに同梱されています。製品の開封時、固定用ネジが不潔にならないよう注意して下さい。
2221
組み立てたインプラントを、トライアルステム挿入時に用いたステム打ち込み棒にて、大腿骨に設置します。この際、目標の位置までインプラントが挿入できない場合、無理に打込まず、一時挿入を中止します。骨折の危険性がある為、一度、インプラントを抜去して、近位部もしくは遠位部のリーミングを再度慎重に行ないインプラントを挿入する事をおすすめします(図30)。予定位置まで挿入後、ステム打ち込み棒を回旋させて、インプラントの回旋安定性を確認します。
閉 創8 止血、洗浄を行なった後、持続吸引機を挿入します。その後、関節包、小外旋筋群及び大腿方形筋を縫合します。最後に、大腿筋膜張筋、皮下、皮膚を順次縫合して閉創します。
7-9 インプラントの挿入 7-10 大転子プレートと骨頭ボール・バイポーラカップの設置 挿入されたステムに、大転子プレート用コネクターを六角ドライバにて仮固定します。次に、先程縦割した中殿筋に大転子プレートのアームを通して大転子プレートを挿入し、仮固定します。大転子プレートの先端が大転子頂部を押さえ込み、大転子骨折間に圧迫がかかった状態になるように、徒手的に大転子プレートを押さえつけ、六角ドライバにて強固にネジ固定します。必要に応じて、ワイヤリングを追加します(図31)。大転子プレートの固定は、もし中殿筋の緊張が強ければ、人工骨頭を脱臼させておこなうといいでしょう。
その後、骨頭ボールとバイポーラカップを挿入します。その際に、必要に応じて骨片を用いてステムと大転子の間隙に骨移植を施します。骨移植を施すことで間隙は安定します。この移植骨片の脱落防止のために本ステムには、背面にツバが作成されています(図32)。
図.30
大転子プレートの圧迫図.31
大転子プレートの固定後図.32
大転子プレート固定用ネジ(MOD-C TRコネクターボルト)は大転子プレートに同梱されています。製品の開封時、大転子プレート固定用ネジが不潔にならないよう注意して下さい。
2221
組み立てたインプラントを、トライアルステム挿入時に用いたステム打ち込み棒にて、大腿骨に設置します。この際、目標の位置までインプラントが挿入できない場合、無理に打込まず、一時挿入を中止します。骨折の危険性がある為、一度、インプラントを抜去して、近位部もしくは遠位部のリーミングを再度慎重に行ないインプラントを挿入する事をおすすめします(図30)。予定位置まで挿入後、ステム打ち込み棒を回旋させて、インプラントの回旋安定性を確認します。
閉 創8 止血、洗浄を行なった後、持続吸引機を挿入します。その後、関節包、小外旋筋群及び大腿方形筋を縫合します。最後に、大腿筋膜張筋、皮下、皮膚を順次縫合して閉創します。
7-9 インプラントの挿入 7-10 大転子プレートと骨頭ボール・バイポーラカップの設置 挿入されたステムに、大転子プレート用コネクターを六角ドライバにて仮固定します。次に、先程縦割した中殿筋に大転子プレートのアームを通して大転子プレートを挿入し、仮固定します。大転子プレートの先端が大転子頂部を押さえ込み、大転子骨折間に圧迫がかかった状態になるように、徒手的に大転子プレートを押さえつけ、六角ドライバにて強固にネジ固定します。必要に応じて、ワイヤリングを追加します(図31)。大転子プレートの固定は、もし中殿筋の緊張が強ければ、人工骨頭を脱臼させておこなうといいでしょう。
その後、骨頭ボールとバイポーラカップを挿入します。その際に、必要に応じて骨片を用いてステムと大転子の間隙に骨移植を施します。骨移植を施すことで間隙は安定します。この移植骨片の脱落防止のために本ステムには、背面にツバが作成されています(図32)。
図.30
大転子プレートの圧迫図.31
大転子プレートの固定後図.32
大転子プレート固定用ネジ(MOD-C TRコネクターボルト)は大転子プレートに同梱されています。製品の開封時、大転子プレート固定用ネジが不潔にならないよう注意して下さい。
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※このカタログは環境にやさしい大豆インキを使用しています。■禁無断転載、複写〔2010年9月改訂〕
Ver.2.1
手術手技
-高齢者の大腿骨近位部骨折に対する人工骨頭置換術-