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上位頚椎の外傷 救急部カンファレンスミニレクチャー 2013.5.18 整形外科 大田 亮

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Page 1: 上位頚椎の外傷 - 日本赤十字社 松山赤十字病院 類 AndersonとD’Alonzoの歯突起骨折の分類 Ⅰ型:歯突起の上部を通過する斜骨折 Ⅱ型:歯突起と椎体の結合部の骨折

上位頚椎の外傷

救急部カンファレンスミニレクチャー 2013.5.18

整形外科 大田 亮

Page 2: 上位頚椎の外傷 - 日本赤十字社 松山赤十字病院 類 AndersonとD’Alonzoの歯突起骨折の分類 Ⅰ型:歯突起の上部を通過する斜骨折 Ⅱ型:歯突起と椎体の結合部の骨折

頚部の痛みを訴える外傷患者

• 麻痺はあるか?

• 感覚障害があるか?

• どこが痛いか?

• ネックカラーを外してもよいのか?

どの高位の麻痺か?

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上位頚椎骨折

• 環椎骨折

• 軸椎骨折

環椎破裂骨折(Jefferson骨折) 後弓骨折 前弓水平骨折

歯突起骨折 Hangman骨折

脊髄損傷を来す割合は低い 見逃されやすい!

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画像検査 • X線写真

• CT

• MRI

4方向(正面,側面,両斜位)+開口位 骨折が疑われるときには,動態撮影は しない方が無難 側面像で後咽頭腔の評価

骨折の診断については大変有用

脊髄損傷があれば早急に撮影が必要

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Anderson分類

AndersonとD’Alonzoの歯突起骨折の分類 Ⅰ型:歯突起の上部を通過する斜骨折 Ⅱ型:歯突起と椎体の結合部の骨折 Ⅲ型:椎体に及ぶ骨折

Page 6: 上位頚椎の外傷 - 日本赤十字社 松山赤十字病院 類 AndersonとD’Alonzoの歯突起骨折の分類 Ⅰ型:歯突起の上部を通過する斜骨折 Ⅱ型:歯突起と椎体の結合部の骨折

治療

• 上位頚椎の骨折では脊髄損傷を来すことが

まれなため,緊急手術となることは多くない

• しかし初診時に十分な病態評価を行っていな

いと待機的手術になった際などに困ります

• 脊髄損傷は中下位頚椎での外傷に合併する

ことが多い

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治療

• 保存的治療

• 手術的治療

仰臥位にて砂嚢固定 頚椎の配列異常があれば牽引 その後の経過を見て外固定や手術の考慮 ポリネック,フィラデルフィアカラーの固定力は強くない!

前方法 後方法

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脊髄損傷

• 四肢麻痺です!!

画像評価: 病態の把握のために必要 Xp(正面,側面,開口位) CT(再構成画像も.3Dあるとベター) MRI(損傷高位の確認)

理学的所見: 呼吸,血圧,膀胱直腸障害の把握が重要 Anal reflex:完全麻痺か不全麻痺かの判別に有用 Spinal Shock:徐脈,血圧低下

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脊髄損傷

C4 C4

術前MRI 術後MRI

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処置

• 静脈路の確保

• 気道の確保

• 尿道バルーンの留置

• ステロイド大量療法(副作用をよく説明して!)

• アドナ・トランサミン投与(骨傷がある場合)

整形外科医を呼んでください!