認知症と「意味の世界」 大井玄先生

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認知症と「意味の世界」 脳(意識・無意識)の視点から桜新町アーバンクリニック 大井 玄 1

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Page 1: 認知症と「意味の世界」 大井玄先生

認知症と「意味の世界」 ≪脳(意識・無意識)の視点から≫

桜新町アーバンクリニック

大井 玄

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Page 2: 認知症と「意味の世界」 大井玄先生

「認知する」とは、知的な情報処理過程

それは、環境からの刺激(情報)を記憶と照合して(意識的、無意識的に)判断、記憶、思考すること。 「認知症」とは、

認知する能力が生活の妨げになるほど衰えた状態

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Page 6: 認知症と「意味の世界」 大井玄先生

・作り話には「方向性」がある

・かならず自尊心と誇りが保持されるように 作られる

・作り話を受け入れる絶対の必要性

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環境からの刺激(情報): 受け取るものによってすべて意味がちがう 手を打てば 鯉は餌と聞き 鳥は逃げ 女中は茶と聞く 猿沢の池

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記憶の「脳・神経モデル」

脳の部位 ・作動記憶 前頭葉(前頭前皮質) ・短期記憶 側頭葉内側部 (海馬とその周辺) ・長期記憶 脳の各部

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Page 11: 認知症と「意味の世界」 大井玄先生

作動記憶(ワーキング・メモリ)

外界から入ってきた情報(刺激)のどれかに注意を向け、認識し記憶すべきものとして選別する働き。

環境からの情報を、過去の記憶された情報と照合する=指紋の照合をする場合:新しく得られた指紋を光源の上に置いて、保存されている指紋と重ね合わせてみる必要がある。情報についてこれを行うのが作動記憶である。 例:場所の見当・人の同定 認知症の高齢者の中核にある情動は「不安」

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仮想現実症候群

「意識は清明で、脳が過去の経験と

記憶に基づく「世界」を組み立てて

いるのを観察できる」 石井 毅 2003

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Page 13: 認知症と「意味の世界」 大井玄先生

認知症高齢者への対応

「意味の世界」を推察し、情報ではなく情動を共有する 偽会話

個人史(パスワード発見)・触ること・笑うこと

看護・介護・社会的支援は広い意味の「認知行動療法」「薬物療法」の効果は限定的

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Page 14: 認知症と「意味の世界」 大井玄先生

鏡神経細胞 (ミラー・ニューロン、物まね細胞)

私たちの見ている他人の行為は、

すべて私たちも 脳(心)の中で、行っている

まね・意図・感情・意味 14

Page 15: 認知症と「意味の世界」 大井玄先生

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Page 16: 認知症と「意味の世界」 大井玄先生

まとめ 1.作り話は誰もがやる 2.脳は経験と記憶に基き世界を創る 3.私たちは(認知症・非認知症を問わ ず)「意味の世界」を紡ぎ住む 4.認知症の人の中核にある気持ち(情 動)は不安 5.認知症高齢者の「意味の世界」に入 る:怒らぬ、笑顔、触るそして理解 する努力

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